S 6061:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 3
4.1 用途及び構造 ················································································································ 3
4.2 レフィルの形状及び寸法 ································································································· 3
4.3 筆記線幅及びボールの直径 ······························································································ 6
5 品質······························································································································· 6
5.1 ゲルインキの品質 ·········································································································· 6
5.2 ゲルインキボールペン及びレフィルの品質 ·········································································· 6
5.3 キャップの安全要件 ······································································································· 6
6 材料······························································································································· 7
7 試験機器,試験設備及び試験溶液 ························································································ 7
8 試験······························································································································· 8
8.1 試験試料及び試験片 ······································································································· 8
8.2 試験の環境条件 ············································································································· 8
8.3 試験方法 ······················································································································ 9
9 検査方法························································································································ 11
9.1 一般 ··························································································································· 11
9.2 形式検査 ····················································································································· 11
9.3 受渡検査 ····················································································································· 11
10 表示 ···························································································································· 11
11 試験報告 ······················································································································ 13
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 14
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本筆記具工業会
(JWIMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS S 6061:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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日本工業規格
JIS
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ゲルインキボールペン及びレフィル
Gel ink ball pens and refills
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたISO 27668-1及びISO 27668-2を基に,我が国の使用実
態を反映させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,一般筆記用及び公文書用のゲルインキボールペン及びレフィルについて規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 27668-1:2009,Gel ink ball pens and refills−Part 1: General use
ISO 27668-2:2009,Gel ink ball pens and refills−Part 2: Documentary use (DOC)(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS L 0804 変退色用グレースケール
注記 対応国際規格:ISO 105-A02,Textiles−Tests for colour fastness−Part A02: Grey scale for
assessing change in colour(MOD)
JIS L 0841 日光に対する染色堅ろう度試験方法
JIS L 0843 キセノンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法
注記 対応国際規格:ISO 105-B02,Textiles−Tests for colour fastness−Part B02: Colour fastness to
artificial light: Xenon arc fading lamp test(MOD)
JIS P 8118 紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法
2
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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注記 対応国際規格:ISO 534,Paper and board−Determination of thickness, density and specific volume
(MOD)
JIS P 8119 紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法
注記 対応国際規格:ISO 5627,Paper and board−Determination of smoothness (Bekk method)(MOD)
JIS P 8124 紙及び板紙−坪量測定方法
注記 対応国際規格:ISO 536,Paper and board−Determination of grammage(MOD)
JIS P 8133 紙,板紙及びパルプ−水抽出液pHの試験方法
注記 対応国際規格:ISO 6588,Paper, board and pulps−Determination of pH of aqueous extracts(MOD)
JIS P 8140 紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法
注記 対応国際規格:ISO 535,Paper and board−Determination of water absorptiveness−Cobb method
(MOD)
JIS P 8252 紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−900 ℃燃焼法
注記 対応国際規格:ISO 2144,Paper, board and pulps−Determination of residue (ash) on ignition at
900 ℃(MOD)
JIS S 6060 14歳までの子供用の筆記・マーキング用具のキャップ−安全要件
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
注記 対応国際規格:ISO 554,Standard atmospheres for conditioning and/or testing−Specifications
(MOD)
JIS Z 8803 液体の粘度―測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
ボールペン(ball pen)
ペン自体又はレフィルに組み込まれた筆記先端の回転可能なボールによって,インキを供給する方式の
ペン。
3.2
ゲルインキ(gel ink)
筆記によってボールが回転することで粘度が著しく低くなり,筆記しない静止状態では,元の粘度かそ
れに近い粘度に高くなるインキ。
3.3
ゲルインキボールペン(gel ink ball pen)
ゲルインキを用いて筆記するボールペン。
3.4
レフィル(refill)
インキを充てんした細長い容器の先端に筆記機構部を接合したもので,完成品のペンから取り外すこと
ができ,完成品のペンから外しても筆記可能であるが,ペンとして用いるには,構成部品が不足していて
適さない,交換可能なペンの一部分。
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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3.5
初筆
未使用の状態のペンの書き始めから10 cm以内の筆記。
3.6
裏抜け(strike through)
試験用紙に書かれた筆記線のインキが浸透して,試験用紙の裏側に見える状態。
4
種類
4.1
用途及び構造
ゲルインキボールペンは,用途及び構造によって,表1のとおり区分する。
表1−用途及び構造による種類
用途による区分
構造による区分
一般筆記用
使い切り方式
レフィル交換方式
公文書用(DOC)
使い切り方式
レフィル交換方式
注記 公文書用の用途例としては,証拠として必要となる書類の作成がある。そのため,一般筆記用
の品質のほかに,文字の読み取り性の確保,長期保存性及び書類の改ざん防止のための品質が
必要となる。
なお,記号の“DOC”は,“Documentary use”の略号である。
4.2
レフィルの形状及び寸法
レフィルは,形状及び寸法によって,J,K,L,G2及びNに分類する。J,K,Lの形状及び寸法を表2
に,G2の形状及び寸法を表3に示す。表2,表3の規定以外の形状及び寸法のレフィルは,形式記号Nを
用いて示す。
なお,参考のために,ゲルインキボールペン及びレフィルの構造の代表例並びに各部の一般的な名称を
図1に示す。
表2−レフィル(J,K,L)
単位 mm
形式記号
l1
l2
l3
a
b
J
111±1.0
7.7以上
21±1.5
2.3±0.05
5.5±0.15
K
111±1.0
7.7以上
20±1.5
2.3±0.05
6.1±0.15
L
111±1.0
8.9以上
20±1.5
2.5±0.05
6.0±0.15
4
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表3−レフィル(G2)
単位 mm
形式記号
l1
l2
l3
a
b
c
d
e
G2
98.1 +0.40
−0.35
6.2±0.2
23.2±1
2.54 +0.03
−0.04
5.8±0.1
6 +0.1
−0.2
2.4±0.1
0.6±0.2
5
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図1−ゲルインキボールペン及びレフィルの構造の代表例並びに各部の一般的な名称
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4.3
筆記線幅及びボールの直径
ゲルインキボールペン及びレフィルは,筆記線幅及びボールの直径によって,表4のとおりとする。
表4−筆記線幅及びボールの直径
単位 mm
筆記線幅による区分
記号
ボールの直径
超極細字用
UF
0.40未満
極細字用
EF
0.40以上 0.55未満
細字用
F
0.55以上 0.75未満
中字用
M
0.75以上 1.00未満
太字用
B
1.00以上
5
品質
5.1
ゲルインキの品質
ゲルインキの品質は,8.3.1によって試験したとき,粘度比(η1/η2)が2.0以上であり,かつ,見かけ粘
度(η3)が20 mPa・s以上とする。
5.2
ゲルインキボールペン及びレフィルの品質
ゲルインキボールペン及びレフィルの品質は,表5の規定に適合しなければならない。
5.3
キャップの安全要件
14歳までの子供のために設計されたキャップ付きゲルインキボールペンのキャップは,JIS S 6060に適
合しなければならない。
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表5−ゲルインキボールペン及びレフィルの品質
項目
一般筆記用
公文書用
試験方法
筆記性能
明らかなかすれ及び濃度のばらつきのない筆記線が,次の規定を満たすものとする。
ただし,筆記距離について,1本の軸に複数本装てん(填)される細い及び/又は
短い(4.2で規定する形式記号Nのうち,表2のJのbより細い及び/又はl1より
短い)レフィルについては適用しない。
筆記線幅による区分における筆記距離は,次による。
− 超極細字用(UF):400 m以上
− 極細字用(EF):400 m以上
− 細字用(F):300 m以上
− 中字用(M):150 m以上
− 太字用(B):100 m以上
8.3.2
初筆性能
10 cm以内で円滑な筆記が始まり,かつ,明らかなかすれ及び濃度のばらつきがな
いものとする。
8.3.3
裏抜け
裏抜けがないものとする。
8.3.4
乾燥性
筆記線に汚れが認められないものとする。
8.3.5
複写性
複写した線が視認できるものとする。
8.3.6
耐水性
筆記線が視認できるものとする。a)
筆記線が視認できるものとする。
8.3.7
耐光性
筆記線が視認できるものとする。
8.3.8
ペン先乾燥性
10 cm以内にかすれのない筆記が始まるものとする。
8.3.9
保存性
この表の筆記性能及び初筆性能に適合するものとする。
8.3.10
耐消しゴム性
−
筆記線が見えなくなる前に試験用紙の表
面の損傷が明らかに現れるものとする。
8.3.11
耐アルコール性
−
筆記線が視認できるものとする。
8.3.12
耐塩酸性
−
筆記線が視認できるものとする。
8.3.13
耐アンモニア性
−
筆記線が視認できるものとする。
8.3.14
耐漂白性
−
筆記線が視認できるものとする。
8.3.15
有害物質
インキは,アンチモン60 mg/kg以下,ひ素25 mg/kg以下,バリウム1 000 mg/kg以
下,カドミウム75 mg/kg以下,クロム60 mg/kg以下,鉛90 mg/kg以下,水銀60 mg/kg
以下及びセレン500 mg/kg以下とする。
8.3.16
注a) 耐水性に係る表示をするものに適用する。
6
材料
使用する材料は,環境側面及び安全性について配慮する。
7
試験機器,試験設備及び試験溶液
7.1
粘度計 粘度計は,JIS Z 8803に規定する円すい−平板形回転粘度計又はこれと技術的に同等であ
る試験装置。
注記 円すい−平板形回転粘度計のコーンロータは,円すいと平円板とのなす角が1.57°,また,円
すいの半径が24 mmの標準ロータを使うことが好ましい。
7.2
筆記試験機 筆記試験を行うとき,筆記試験機を次の各条件にセットする。
a) 筆記力は,超極細字用は,0.5 N,超極細字用以外は,1 Nとする。また,力の加え方は,次
による。
1) 筆記試験機のペン軸にレフィルを固定し,レフィルの先端部分をプッシュプルスケール又はばねば
かりで鉛直につるす。
2) プッシュプルスケール又はばねばかりの表示が,超極細字用は,0.5 N,超極細字用以外は,1 Nを
0
−0.3
0
−0.1
8
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指すまでペン軸ホルダにおもりを載せて調節する。
b) 筆記角度は,サンプルを60° 及び70° で試験し,どちらの筆記角度が筆記線にとって最もよい
かを決め,よい方の角度を採用する。
c) 筆記速度は,4.5 m/min±0.5 m/minとする。
d) 筆記パターンは,線ピッチ2 mm〜5 mmで連続らせん(円周100 mm)とする。
e) 下敷きは,磨かれたステンレス鋼板とする。
7.3
試験用紙 試験用紙は,表6の仕様に適合するものとする。
表6−試験用紙
仕様
試験方法
坪量:
70 g/m2±10 g/m2
JIS P 8124
平滑度a):
50 s±30 s
JIS P 8119
焼却後の残留物: 7 % 残留物(灰分),900 ℃燃焼時
JIS P 8252
コブ値Cobb60: 25 g/m2±10 g/m2
JIS P 8140
pH値:
6.5
JIS P 8133
厚さ:
80 μm±10 μm
JIS P 8118
色:
白色
−
成分:
100 %木材繊維,漂白
−
注a) 柔らかい裏側を試験に使用,締付け圧力は1 MPa
7.4
消しゴム タイプAデュロメータ硬さ45±5の研磨剤を含まない消しゴム。ただし,硬さは,JIS K
6253による。
7.5
複写性試験設備 静電式複写機,マイクロフィルム作成装置又はテレファックス。
7.6
耐光性試験装置 キセノンアーク灯形耐光試験機又はこれと技術的に同等である試験装置。
7.7
試験溶液
7.7.1
エタノール溶液(JIS K 8101による。) 50 %水溶液(体積分率)とする。
7.7.2
塩酸溶液(JIS K 8180による。) 10 %水溶液(質量分率)とする。
7.7.3
アンモニア溶液(JIS K 8085による。) 10 %水溶液(質量分率)とする。
7.7.4
漂白剤溶液 新しく調製されたクロラミンT 1) の3 %水溶液(質量分率)とする。
注1) 標準名:p-トルエンスルホンクロロアミドナトリウム三水和物
:Sodium-p-toluenesulfonchloramide trihydrate
8
試験
8.1
試験試料及び試験片
保存性試験(8.3.10参照)以外の試験に用いるゲルインキボールペン及びレフィルの試料は,製造後6
か月以内のものを用いる。
試験に用いる試験片は,特に規定がない限り,8.3.2で新たに実施した筆記性能試験の試験用紙から長さ
約5 cmを切り取ったものとする。
8.2
試験の環境条件
特に規定がない限り,JIS Z 8703に規定する常温20 ℃±15 ℃,常湿(65±20)%とする。
+5°
0
0
−5°
+2
−3
+1.0
−1.5
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8.3
試験方法
8.3.1
ゲルインキの粘度試験
7.1に規定する粘度計によって,23 ℃±2 ℃の条件下で,JIS Z 8803の9.(円すい−平板形回転粘度計
による粘度測定方法)に規定する方法によって測定する。
a) 3 s−1〜50 s−1の任意のずり速度における見かけ粘度(η1)を測定する。次にその10倍のずり速度にお
ける見かけ粘度(η2)を測定し,粘度比(η1/η2)を算出する。
b) ずり速度383 s−1以上における見かけ粘度(η3)を測定する。
注記 ずり速度とは,液体内の流動に直角方向の層流速度の変化割合である。せん断速度ともいう。
8.3.2
筆記性能試験
少なくとも10本のゲルインキボールペン及び/又はレフィルを任意に抜き取る。8.2に規定する環境条
件下で,7.2に規定する筆記試験機によって,7.3に規定する試験用紙に表5の筆記性能に対応した連続し
た距離の線を書かせる。書き始めから終わりまでの筆記線を調べる。
8.3.3
初筆性能試験
手書き又は手書きと同等の筆記線を得ることのできる筆記試験機によって,7.3に規定する試験用紙に
10 cm程度の連続した線を書かせ,その筆記線を調べる。
8.3.4
裏抜け試験
8.3.2で新たに実施した筆記性能試験の試験用紙から筆記線の書き始め及び終わり部分以外から長さ約5
cmの試験片を用意し,8.2に規定する環境条件下に24時間放置した後,試験片の裏側を観察する。
8.3.5
乾燥性試験
7.2 a),b) 及びc) に基づいて,7.3に規定する試験用紙上に直線を1本引く。20秒後に,7.4に規定する
消しゴムで筆記線を垂直に横ぎるように1回擦った後,筆記線を調べる。
8.3.6
複写性試験
7.5に規定する装置を用い,試験片の筆記線を複写した後,複写した線を調べる。
8.3.7
耐水性試験
試験片を8.2に規定する環境条件下に2時間放置した後,蒸留水又はイオン交換水中に,“一般筆記用で
耐水性の表示のあるもの”は1時間,“公文書用”は24時間浸せきし,水中から取り出して自然乾燥して
から,試験片の筆記線を調べる。
8.3.8
耐光性試験
試験片とJIS L 0841に規定するブルースケールとを,7.6に規定する装置を用いて一緒に露光し,“一般
筆記用”はブルースケール3級の,“公文書用”はブルースケール5級の非露光部と露光部との差が,JIS L
0804に規定するグレースケール4号と同等になるまで露光した後,筆記線を調べる。ただし,キセノンア
ーク灯形耐光試験機を用いる場合には,JIS L 0843のA法(通常温度法)によって試験を行う。
8.3.9
ペン先乾燥性試験
未使用のゲルインキボールペン及び/又はレフィルのキャップ若しくは先端に保護シールなどのあるも
のはこれを外し,ペン先を露出する。インキが出ることを確かめてから,8.2に規定する環境条件下に24
時間水平に放置した後,1本の直線を手書きする。
8.3.10 保存性試験
製造直後の未使用の,キャップ付きゲルインキボールペン及び/又はレフィル2) を,包装がある場合に
はそれを除いた状態で少なくとも10本抜き取る。温度40 ℃±2 ℃,相対湿度(55±5)%の条件下で90
日間水平に保存した後,8.3.2及び8.3.3によって試験する。
10
S 6061:2010
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注2) キャップ付きでないものは,チップ先端に保護シールなどを付けた状態のものでもよい。
8.3.11 耐消しゴム性試験
試験片を,8.2に規定する環境条件下に10分間放置して乾かし,7.4に規定する消しゴムを用いて筆記線
の一部を消した後,その部分の紙の表面を調べる。
8.3.12 耐アルコール性試験
試験片を,8.2に規定する環境条件下に1時間放置して乾かし,7.7.1に規定するエタノール溶液に10分
間浸せきした後取り出して自然乾燥し,試験片の筆記線を調べる。
8.3.13 耐塩酸性試験
試験片を,8.2に規定する環境条件下に1時間放置して乾かし,7.7.2に規定する塩酸溶液に24時間浸せ
きした後取り出し,蒸留水又はイオン交換水に10分間浸せきしてから取り出して自然乾燥し,試験片の筆
記線を調べる。
8.3.14 耐アンモニア性試験
試験片を,8.2に規定する環境条件下に1時間放置して乾かし,7.7.3に規定するアンモニア溶液に24時
間浸せきした後取り出し,蒸留水又はイオン交換水に10分間浸せきしてから取り出して自然乾燥し,試験
片の筆記線を調べる。
8.3.15 耐漂白性試験
試験片を,8.2に規定する環境条件下に10分間放置して乾かし,7.7.4に規定する漂白剤溶液に5分間浸
せきした後取り出し,蒸留水又はイオン交換水に10分間浸せきしてから取り出して自然乾燥し,試験片の
筆記線を調べる。
8.3.16 有害物質試験
インキの有害物質の試験は,次のとおり行う。
a) 試料1 g以上を0.1 mgまで正しく量る。
b) 適切な大きさの容器を用い,a) で採取した試料及びその質量の50倍量の0.07 mol/L塩酸溶液(37 ℃
±2 ℃)を混合し,1分間振り混ぜる。
容器は,総容量が塩酸抽出液の1.6〜5.0倍の容器とする。また,塩酸は,JIS K 8180に規定するも
のとする。
c) 混合液の酸性度をpH計で調べ,pHが1.5以上あるときは,2 mol/L塩酸溶液をpHが1.0〜1.5となる
まで振り混ぜながら滴下する。また,pH計は,±0.2 pH単位の精度をもつ計器を使用する。
d) 混合液に光が当たらないようにして,混合液を37 ℃±2 ℃で1時間連続して振り混ぜた後,37 ℃±
2 ℃で1時間放置する。
e) 混合液をろ過し,得られた溶液を原子吸光法又は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)の
試験装置を用い,原子吸光法は,JIS K 0121によって,ICP発光分析法は,JIS K 0116によって分析
する。
なお,ろ過する場合は,0.45 μm孔サイズの膜フィルタを用いてろ過する。
f)
分析結果は,表7の補正値を用い,次の式によって補正する。
100
2
1
1
Β
Β
Β
Β
×
−
=
ρ
ρ
ρ
ρ
11
S 6061:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
ρB: 分析結果の補正後の値(mg/kg)
ρB1: 分析結果(mg/kg)
ρB2: 分析元素の補正値(%)
表7−補正値(ρB2)
元素
アンチモン
ひ素
バリウム
カドミウム
クロム
鉛
水銀
セレン
補正値(%)
60
60
30
30
30
30
50
60
9
検査方法
9.1
一般
ゲルインキボールペン及びレフィルの検査は,形式検査と受渡検査とに区分し,それぞれ次のとおりと
する。この場合,検査は,合理的な抜取検査方式によってもよい。
9.2
形式検査
ゲルインキボールペン及びレフィルは,4.2及び箇条5について検査を行う。新しい種類の材料を使用し
たとき及び材料の種類の変更,材料の購入先など,技術的生産条件が変更されたときにも検査を行う。ま
た,表5の有害物質に関しては,変更がない場合でも,少なくとも5年に1回は検査を行う。
9.3
受渡検査
ゲルインキボールペン及びレフィルの受渡検査は,表5の初筆性能及び受渡当事者間で取り決めた品質
項目について行う。
10 表示
ゲルインキボールペン又はレフィルには,本体に次の事項を表示する。ただし,b) 〜d) は消費者包装
単位3) ごとに表示してもよい。
a) 製造業者名若しくは供給業者名又は商標若しくは略号
b) 規格番号 例 JIS S 6061
c) 製品名称
d) 種類:レフィルの形式記号,筆記線幅の区分記号又はボールの直径の呼び。ただし,公文書用の場合
は“公文書用”又は“DOC”。また,一般筆記用の耐水性を表示するものは,“耐水性”又は“WR”
と表示する。
e) 製造年月又はその略号
注3) ブリスター包装,スキンパック,1本袋,セット物などの消費者の手元に渡る包装をいう。
12
S 6061:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
規格番号・製品名称・種類の表示例
レフィル交換方式の例(□で囲った組合せの場合の例)
レフィルの
形式
筆記線幅による
区分
一般筆記用
公文書用
J
K
L
G2
N
UF
EF
F
M
B
・JIS S 6061 ゲルインキボールペンレ
フィル K EF
・JIS S 6061 K EF
・K EF
ボールの直径の呼びが0.5 mmの場合
・JIS S 6061 K 0.5
・JIS S 6061 K 05
・K 0.5
・K 05
・JIS S 6061 ゲルインキボールペンレ
フィル公文書用 K EF
・JIS S 6061 公文書用 K EF
・JIS S 6061 DOC K EF
・DOC K EF
ボールの直径の呼びが0.5 mmの場合
・JIS S 6061 DOC K 0.5
・JIS S 6061 DOC K 05
・DOC K 0.5
・DOC K 05
同上で耐水性表示の場合
・JIS S 6061 ゲルインキボールペンレ
フィル K EF WR
・JIS S 6061 K EF WR
・K EF WR
ボールの直径の呼びが0.5 mmの場合
・JIS S 6061 K 0.5 WR
・JIS S 6061 K 05 耐水性
・K 0.5 WR
・K 05 WR
使い切り方式の例(□で囲った場合の例)
筆記線幅による区分
一般筆記用
公文書用
UF
EF
F
M
B
・JIS S 6061 ゲルインキボールペン F
・JIS S 6061 F
・F
ボールの直径の呼びが0.7 mmの場合
・JIS S 6061 0.7
・JIS S 6061 07
・0.7
・07
・JIS S 6061 ゲルインキボールペン公文書
用 F
・JIS S 6061 公文書用 F
・JIS S 6061 DOC F
・DOC F
ボールの直径の呼びが0.7 mmの場合
・JIS S 6061 DOC 0.7
・JIS S 6061 DOC 07
・DOC 0.7
・DOC 07
同上で耐水性表示の場合
・JIS S 6061 ゲルインキボールペンF WR
・JIS S 6061 F WR
・F WR
ボールの直径の呼びが0.7 mmの場合
・JIS S 6061 0.7 WR
・JIS S 6061 07 耐水性
・0.7 WR
・07 WR
13
S 6061:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
11 試験報告
試験報告書を求められた場合には,次の情報を含むものとする。
a) JIS S 6061一般筆記用又はJIS S 6061公文書用に基づいて試験を行ったことの記載。
b) 試験日及び試験場所
c) 試験試料の正確な識別(箇条10参照)。
d) 次についての記載
− 筆記角度及び筆記ピッチ(7.2参照)。
− 複写性試験設備(7.5参照)。
− 耐光性試験装置(7.6参照)。
e) 試験結果。JIS S 6061公文書用による場合には,その結果から公文書用として用いることができる旨
の確認。
f)
規定の試験方法からの逸脱(箇条7及び箇条8参照)。
g) 試験者の特定及び署名
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS S 6061:2010 ゲルインキボールペン及びレフィル
ISO 27668-1:2009 Gel ink ball pens and refills−Part 1: General use
ISO 27668-2:2009 Gel ink ball pens and refills−Part 2: Documentary use (DOC)
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 一般筆記用及び公
文書用のゲルイン
キボールペン及び
レフィルについて
規定。
ISO
27668-1
ISO
27668-2
1
ISO規格は,第1部に一
般筆記用,第2部に公文
書用のゲルインキボール
ペンについて規定。
変更
二つのISO規格を一つのJIS
として規定。
使用者に分かりやすいように変更し
たが,実質的な技術的差異はない。
2 引用規格
3 用語及び
定義
3.2 ゲルインキ
3.3 ゲルインキボ
ールペン
3.5 初筆
ISO
27668-1
3
JISとほぼ同じ。
変更
JISは,ゲルインキとゲルイン
キボールペンとに分割して用
語を定義した。ISO規格では,
ゲルインキボールペンとして
規定。
ISO規格にない“初筆”を追加
し,用語を一部削除したが,実
質的な技術的差異はない。
“初筆性能”を品質及び試験方法の
項目で規定しているため,定義の必
要性からJISに追加した。
ISOへの改正提案は行わない。
4 種類
4.1 用途及び構造
4.2 レフィルの形
状及び寸法
ISO
27668-1
4
JISとほぼ同じ。
変更
JISは,構成を変更し,かつ,
図を追加したが,実質的な技術
的差異はない。
ISOへの改正提案は行わない。
5 品質
表5
5.2 ゲルインキボ
ールペン及びレフ
ィルの品質
5.3 キャップの安
全要件
ISO
27668-1
ISO
27668-2
4
JISとほぼ同じ。
追加
JISは,ISO規格にない“初筆
性能”,“有害物質”及び“キャ
ップの安全要件”を追加した。
“有害物質”及び“キャップの安全
要件”は,他の国際規格に規定され
ているので,追加の提案は行わない。
“初筆性能”については,ISO規格
の見直しの際,検討する。
3
S
6
0
6
1
:
2
0
1
0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 材料
使用する材料の環
境側面及び安全性
についての配慮。
−
−
−
追加
JISは,安全性を確保するため
使用する材料について追加し
た。
ISOへの提案については,ISO規格
の見直しの際,検討する。
7 試験機
器,試験設
備及び試験
溶液
7.2 筆記試験機
ISO
27668-1
ISO
27668-2
5
JISとほぼ同じ。
追加
JISは,ばねばかりによる力の
加え方及び下敷きについて,よ
り分かりやすいよう追加した
が,実質的な技術的差異はな
い。
ISOへの改正提案は行わない。
8 試験
8.2 試験の環境条
件
8.3.3 初筆性能試験
8.3.16 有害物質試
験
8.3.8 耐光性試験
ISO
27668-1
ISO
27668-2
6
JISとほぼ同じ。
変更
追加
追加
JISは,試験の環境条件をISO
554からJIS Z 8703の条件に変
更した。
“初筆性能”及び“有害物質”
の試験方法を追加した。
キセノンアーク灯形耐光試験
機を用いる場合の試験方法に
ついて追加したが,実質的な技
術的差異はない。
日本国内の環境条件に合わせた。
ISOへの提案については,ISO規格
の見直しの際,検討する。
ISOへの改正提案は行わない。
9 検査方法 9.1 一般
9.2 形式検査
9.3 受渡検査
−
−
−
追加
JISは,品質管理を適切に行う
ため,形式検査及び受渡検査方
法について,追加した。
ISOへの提案については,ISO規格
の見直しの際,検討する。
10 表示
表示事項及び表示
例
ISO
27668-1
ISO
27668-2
7
JISとほぼ同じ。
追加
JISは,より分かりやすいよう
に,表示例を追加したが,実質
的な技術的差異はない。
ISOへの改正提案は行わない。
11 試験報
告
ISO
27668-1
ISO
27668-2
8
JISと同じ。
一致
−
−
3
S
6
0
6
1
:
2
0
1
0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 27668-1:2009,ISO 27668-2:2009,MOD)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
3
S
6
0
6
1
:
2
0
1
0