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S 3012 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS S 3012 : 1989 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,ほうろう層の沸騰くえん酸による耐食性及び耐熱衝撃性について,国際規格との整合

性を図るため改正することにした。また,近年の使用環境,製品実態に対応するため試験方法などを充実

させた。


S 3012 : 1998

(1) 

目次

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  種類

2

5.

  各部の名称

2

6.

  品質

2

6.1

  外観

2

6.2

  構造

3

6.3

  性能

3

6.4

  その他の品質

4

7.

  寸法,容量及び最小使用板厚

5

8.

  材料及び加工方法

6

8.1

  素地材料

6

8.2

  ほうろううわぐすり

7

8.3

  加工方法

7

9.

  試験方法

7

9.1

  装置及び器具

7

9.2

  試料

7

9.3

  外観試験

7

9.4

  密着試験

7

9.5

  耐衝撃試験

7

9.6

  耐摩耗試験

8

9.7

  耐酸性試験

8

9.8

  ひび割れ試験

10

9.9

  耐熱衝撃性試験

10

9.10

  耐熱水性試験

11

9.11

  耐食性試験

11

9.12

  取っ手の取付強度試験

13

9.13

  取っ手の繰返し強度試験

14

9.14

  注ぎ口強度試験

15

9.15

  笛吹きの音量試験

15

9.16

  笛吹き笛ふたの耐久性試験

16

9.17

  安定性試験

16

9.18

  水蒸気結露試験

16

9.19

  取っ手及びつまみ温度上昇試験

16


S 3012 : 1998

目次

(2) 

9.20

  耐煮沸性試験

16

9.21

  耐熱性試験

16

9.22

  臭気試験

16

9.23

  燃焼性試験

17

9.24

  耐熱衝撃試験

17

9.25

  ガラス製のふた耐熱衝撃性試験

17

9.26

  ほうろう層厚さ試験

18

10.

  検査方法

18

11.

  表示

18

11.1

  器物本体の表示

18

11.2

  器物本体又は下げ札若しくは包装等の表示

18


日本工業規格

JIS

 S

3012

 : 1998

家庭用ほうろう器物

Vitreous and porcelain enamelled household warers of sheet steel

序文  この規格は,1998 年に第 3 版として発行された ISO 2742, Vitreous and porcelain enamels−

Determination of resistance to boiling citric acid

及び 1998 年に第 2 版として発行された ISO 2747, Vitreous and

porcelain enamels

−Enamelled cooking utensils−Determination of thermal shock を元に,対応する部分(耐食性

試験,耐熱衝撃性試験)については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応

国際規格には規定されていない規定項目(定義,器物の種類,各部の名称,外観,構造,取っ手の強度,

寸法,容量,使用板厚,試験項目,表示事項など)を日本工業規格として追加した。

なお,この規格で国際規格と対応する規定項目(耐食性試験,耐熱衝撃性試験)のうち,点線の下線を施

してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,一般に家庭で用いる素地材料が鋼板製のほうろう器物(以下,器物という。)

について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 2742 : 1998

  Vitreous and porcelain enamels−Determination of resistance to boiling citric acid

ISO 2747 : 1998

  Vitreous and porcelain enamels−Enamelled cooking utensils−Determination of

thermal shock

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS B 1501

  玉軸受用鋼球

JIS B 7411

  一般用ガラス製棒状温度計

JIS C 1502

  普通騒音計

JIS G 3133

  ほうろう用脱炭鋼板及び鋼帯

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS K 6911

  熱硬化性プラスチック一般試験方法

JIS K 8102

  エタノール (95) (試薬)

JIS K 8283

  くえん酸一水和物(試薬)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 4301

  ほうろう製品の品質基準

JIS S 2029

  プラスチック製食器

JIS S 6006

  鉛筆及び色鉛筆

JIS Z 8401

  数値の丸め方


2

S 3012 : 1998

JIS Z 8721

  色の表示方法−三属性による表示

ISO 3585

  Borosilicate glass 3.3−Properties

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 4301 による。

4.

種類  種類は,なべ(蒸し器を含む。),湯沸かし,ポット,容器類(丸形容器)(ふたは,なくてもよ

い。

,コップ類,ボール及びバットとする。

5.

各部の名称  各部の名称は,図 による。

図 1  各部の名称

6.

品質

6.1

外観  器物の外観は良好で,著しい変形,手又は指を傷つけるおそれのあるばり,まくれ,とがり,

鋭い角部などがあってはならない。

また,9.3 によって試験したとき,

表 に適合しなければならない。ただし,端部,見え隠れ部,焼き台

による跡及び器物を炉から取り出すときのジグによる跡は,対象としない。


3

S 3012 : 1998

表 1  器物の外観

種類

項目

なべ

湯沸かし

ポット

容器類

コップ類

ボール

バット

ひび割れ

はく離

つまとび

あってはならない。

コッパーヘッド

ひけ

あってはならない。

あわ

内面部:あってはならない。

けあな

外面部:目立ってはならない。

ピンホール

内面部:あってはならない。

外面部:目立ってはならない。

目立ってはならない。

けすじ

すりきず

たまり

汚れ

色むら

凸凹

目立ってはならない。

6.2

構造  器物の構造は,次による。

a)

形状が均整で,すわりが良好でなければならない。

b)

取っ手及びつまみの仕上げは良好で,本体又はふたが持ちやすい構造でなければならない。

c)

取っ手及びつまみは,手の指が本体又は本体と直接接合する金属部分に触れにくい構造とする。ただ

し,取っ手及びつまみが金属製及び陶磁製のものは除く。

d)

各部の接合及び組立ては確実で,緩み,がたつきなどがあってはならない。ただし,取っ手に木を用

いているものは,ねじ,びょう,ピンなどによって確実に止められており,乾燥によって緩んだとき

には,簡単に締め直しができるものでなければならない。

e)

本体とふたとのはめ合せは,着脱が円滑で著しいがたつきがなく,横滑りしにくい形状でなければな

らない。

f)

湯沸かしのつぎ口は,水切りが良好で,裏漏れがあってはならない。

g)

湯沸かしの取っ手は,片側に倒れないようなストッパーがついていなければならない。

h)

笛吹きケトルは,水位線の表示があるものとする。

6.3

性能  器物の性能は,9.49.18 によって試験したとき,表 に適合しなければならない。

参考  衛生性  器物が食品に直接接触する部分は,食品衛生法(昭和 22 年法律第 233 号)に基づく昭

和 34 年厚生省告示第 370 号第 3 器具及び容器包装の基準に適合しなければならない。


4

S 3012 : 1998

表 2  性能

種類

項目

なべ

湯沸かし

ポット

容器類

コップ類

ボール

バット

箇条番号

密着性

鋼板素地に至るはく離があってはならない。

9.4

耐衝撃性 20N 以上でなければならない。

9.5

耐摩耗性

きずがあってはならない。

9.6

耐酸性

(

1

)

光沢面はクラス 3 以上で,つや消し面はクラス 2 以上でなければならない。

9.7

ひび割れ

着色してはならない。

9.8

耐熱衝撃性

注水後及び再加熱後ともはく離及びひ

び割れがあってはならない。

9.9

耐熱水性

さびがなく,クラス 2 以上でなければな

らない。

9.10

耐食性  g/m

2

 10

以下でな

ければなら

ない。

3

以下でなければならな

い。

9.11

取っ手の取付強度

破壊,脱落及び折損があってはならな

い。

9.12

取っ手の繰返し強

破壊,脱落及び折損がなく,残留たわみ

が 3%以下でなければならない。

9.13

注ぎ口強度

破壊,脱落及び折損がな

く,水漏れしてはならな

い。

9.14

笛吹きの音量

(

2

)

− 55dB 以上でなければなら

ない。

9.15

笛ふき笛ふたの耐

久性

破壊,変形及びがたつきが

あってはならない。

9.16

安定性

転倒してはならない。

9.17

水蒸気結露

水蒸気の結露によってガスこんろの炎

が消えてはならない。

9.18

(

1

)

絵柄のものは,内面について適用する。

(

2

)

湯沸かし及びポットのうち,笛吹きのものに適用する。

6.4

その他の品質  器物は,その他の品質として,次による。

a)

取っ手及びつまみの温度上昇  なべ及び湯沸かしのプラスチック製又は木製の取っ手及びつまみは,

9.19

によって試験したとき,温度は 75℃以下でなければならない。

b)

耐煮沸性  なべ,湯沸かし及びポットの取っ手及びつまみに使用するプラスチック製部品は,9.20 

よって試験したとき,欠け,クラック,膨れ及びひび割れがあってはならない。

c)

耐熱性  なべ,湯沸かし及びポットの取っ手及びつまみに使用するプラスチック製部品は,9.21 によ

って試験したとき,欠け,クラック,膨れ及びひび割れがあってはならない。

d)

臭気  なべ,湯沸かし及びポットの取っ手及びつまみに使用するプラスチック製部品は,9.22 によっ

て試験したとき,5 名中 4 名以上が刺激臭を感じてはならない。

e)

焼燃性  なべ,湯沸かし及びポットの取っ手及びつまみに使用するプラスチック製部品は,9.23 によ

って試験したとき,燃焼時間が 180 秒以下でなければならない。

f)

プラスチック製取っ手及びつまみの耐熱衝撃性  なべ及び湯沸かしの取っ手及びつまみに使用され

るプラスチック製の部品は,9.24 によって試験したとき,欠け及びひび割れがあってはならない。

g)

ガラス製のふたの耐熱衝撃性  ガラス製のふたを備えているものは,9.25 によって試験したとき,ひ

び割れがあってはならない。


5

S 3012 : 1998

h)

ほうろう層の厚さ  ほうろう層の厚さは,9.26 によって測定したとき,0.8mm 以下でなければならな

い。ただし,端部及び見え隠れ部は対象としない。

7.

寸法,容量及び最小使用板厚  寸法,容量及び最小使用板厚は,表 3による。

なお,寸法の許容誤差は,±5%とし,寸法の測定位置は

図 による。

表 3  なべ

単位 mm

最小使用板厚

大きさの呼び

内径又は

最大内対辺

本体

ふた

12 120

13 130

14 140

15 150

16 160

0.6 0.5

17 170

18 180

19 190

20 200

22 220

24 240

26 260

0.8 0.7

表 4  湯沸かし

単位 mm

最小使用板厚

大きさの呼び

満水容量

(

3

)

本体

ふた

0.6 0.6

以上 1.0 未満

1 1.0

以上 1.5 未満

0.6 0.5

1.5 1.5

以上 2.0 未満

2 2.0

以上 2.5 未満

0.7 0.6

2.5 2.5

以上 3.0 未満

3 3.0

以上 4.0 未満

0.8

4 4.0

以上 5.0 未満

0.7

5 5.0

以上

0.9

0.8

(

3

)

満水容量は,口頭部又は注ぎ口までの容量
のうち,いずれか少ないものをいい,実際
に湯を沸かせる量とは異なる。

表 5  ポット

単位 mm

最小使用板厚

大きさの呼び

内径又は

最大内対辺

本体

ふた

 9

 90

10 100

11 110

13 130

0.5

15 150

0.5

16 160

18 180

0.6

0.6

表 7  コップ類

単位 mm

大きさの呼び

内径又は最大内対辺

最小使用板厚

 6

 60

 7

 70

 8

 80

0.4

 9

 90

10 100

0.5

表 6  容器類

単位 mm

最小使用板厚

大きさの呼び

内径又は

本体

ふた

 9

 90

10 100

11 110

12 120

14 140

16 160

0.4

18 180

0.45

0.4

20 200

21 210

22 220

24 240

26 260

27 270

28 280

0.5 0.5

29 290

0.6

0.6

32 320

0.7

36 360

0.7


6

S 3012 : 1998

表 8  ボール

単位 mm

大きさの呼び

内径

最小使用板厚

10 110

12 120

14 140

16 160

18 180

0.4

20 200

22 220

24 240

26 260

28 280

0.5

30 300

32 320

0.6

表 9  バット

単位 mm

大きさの呼び

最小使用板厚

14 115

145

19 145

190

20 200

200

21 165

210

23 180

230

25 190

250

0.4

28 220

280

31 230

310

32 240

320

0.5

35 265

350

40 280

400

0.6

48 330

480 0.7

図 2  寸法の測定位置

8.

材料及び加工方法

8.1

素地材料  素地材料は,次のいずれかの規格に適合するもの又はこれらと同等以上のものとする。

a)

JIS G 3133 


7

S 3012 : 1998

b)  JIS G 3141

8.2

ほうろううわぐすり  ほうろううわぐすりの主成分は,無機ガラス質とする。

8.3

加工方法  加工方法は,成形された素地の内面及び外面にほうろううわぐすりを焼き付けるものと

する。

9.

試験方法

9.1

装置及び器具  装置及び器具は,特に規定のない限り,次による。

a)

はかり  ひょう量範囲が 200g のもので,精度が 0.2mg までのもの。

b)

温度計  JIS B 7411 に規定する 150 度温度計

c)

恒温器  室温∼150℃の範囲内で設定温度を±1℃に保持できる自動温度調節器付電気恒温器。

d)

乾燥器  120±5℃に保持できるもの。

e)

ガラス器具  特に規定のない限り,JIS R 3503 に適合するもの。

9.2

試料  試料は,特に規定のない限り,製品とする。ただし,製品で試験できないものは,同一材料

を用い,同一条件によって作られた 105×105mm(許容差±5mm)の平板又は直径 105mm(許容差±2mm)

の平板とし,試料の質量は 200g 以下とする。

9.3

外観試験  外観試験は,自然光の下で,試料から 25cm 離れて目視によって調べる。

9.4

密着試験  図 に示す堅木の枠を台上に水平に置き,その上に試料を通常の使用状態に設置する。

次に,試料内面部の底面中心部に,JIS B 1501 に規定する径 36.51mm の鋼球(質量約 200g)を次に規定す

る高さから自然落下させ,衝撃面のはく離の状態を調べる。ただし,堅木の枠は,試料が製品の場合は裏

面を,平板の場合は表面を使用する。

a)

使用鋼板の厚さが 0.6mm 以上の製品では,衝撃高さを 100cm とする。

b)

使用板厚が 0.6mm 未満の製品では,衝撃高さを 70cm とする。

図 3  ほうろう密着試験用の堅木の枠

9.5

耐衝撃試験  耐衝撃試験は,次による。

a)

試験体は製品とし,耐衝撃試験には

図 に示すピストル形の試験器を用いる。


8

S 3012 : 1998

b)

衝撃の測定位置は,製品外面の上下のほぼ中間で,左右に約 2cm 間隔で 5 か所の点とする。

c)

試験器が試験面に対して垂直になるようにして,力を加える。

d)

衝撃は,最初に 10N の力を加え,5 か所すべてに損傷がなければ,2N 刻みで力を加え,損傷の生じた

ときの力の直前の力を耐衝撃強度とする。

e)

耐衝撃強度の最終の判定は,衝撃後約 24 時間経過してから,25cm 離れて,5 か所の各点で大きさが

2mm

以上のはく離などの損傷の有無を目視で調べる。

図 4  ピストル形試験器

9.6

耐摩耗試験  試料の平滑な面に蛍石粉(

4

)

約 1g を直経約 10mm の円形状に振りかける。その上に摩擦

用器具(

5

)

を載せ,円筒をもち,蛍石粉を中心に左右に約 2cm の間を 10 往復し,蛍石粉を除いた後,ほう

ろう面のきずの有無を拡大鏡(倍率 5 倍)で調べる。ただし,ほうろう面がつや消しの部分は対象としな

い。

(

4

)

蛍石粉は,天然の蛍石粉を177∼250

µm の粉末にしたもので,蛍石(モース硬度4)より硬度の

高い不純物を含んではならない。

(

5

)

摩擦用具は,底面を平らにしてセーム皮で被覆した直径約 30mm,質量約 1kg の金属製の円柱

部分と,内径 35∼40mm のスライドする円筒から成るものとする(

図 参照)。

図 5  摩擦用器具

9.7

耐酸性試験  耐酸性試験は,次による。判定には表 10.1 及び表 10.2 を用いる。

a)

試料を JIS K 8102 に規定するエタノールで洗い,次いで温水ですすぎ洗いしてよく乾燥させる。


9

S 3012 : 1998

b)

試料の表面に 2∼3 滴のくえん酸(

6

)

溶液を滴下し,その面を時計皿で覆う。試料が曲面の場合は,厚さ

0.18mm

以下で直径約 30mm のふっ素を含まないろ紙の上に厚さ 0.38mm 以上で直径約 25mm のふっ素

を含まないろ紙を重ねて置き,くえん酸(

6

)

を滴下させて十分湿らせる。そしてろ紙の面を時計皿で覆

う。

c) 23

±3℃で 15 分±30 秒放置した後,

ろ紙を使用した場合はろ紙を取り去り,

純水(

7

)

でよく水洗いして,

ろ紙で軽くたたき乾燥させる。

d)

試料を,約 25cm 離れた距離から角度を変えて自然光のもとで目視によって酸で侵食された度合いに

ついて,処理面と非処理面との差を調べて判定する。

e)

処理面と非処理面とに差のあるときは,JIS S 6006 に規定する HB の鉛筆によって試料面に数本のほ

ぼ平行な線を引く。試料の色が,黒又は暗色の場合は酸化チタン顔料を試料にこすりつける。その後

試料の表面を乾いた清潔な布でこすり,試料につけたマークが消去されたかその有無を調べて判定す

る。

f)

e)

でマークが消去されないときは,同様な方法で再度マークをつけ,その面を水に浸して硬く絞った

清潔な布でこする。

g)

以上の操作後 2 時間以内に耐酸性の度合いを判定する。

(

6

)  JIS K 8283

に規定するくえん酸10g を,純水(

7

)100ml

に溶解する。調整した試験液は,24時間以

内に使用しなければならない。

(

7

)

純水は,蒸留水又はイオン交換水を用いる。

表 10.1  耐酸性試験判定表


10

S 3012 : 1998

表 10.2  分類

クラス

試験の種類

光沢面

つや消し面

目視試験−合格 1

1

摩擦試験(乾式−合格)

2

摩擦試験(湿式−合格)

3 2

摩擦試験(湿式−不合格) 無等級

無等級

9.8

ひび割れ試験  試料の表面(つや消し部分及び絵柄部分は除く。)を赤又は製品と反対色(

8

)

のインキ

(

9

)

を浸した布で摩擦し,2∼3 分放置した後布でふき取り,着色の有無を調べる。また,つや消し部分及び

絵柄部分は,9.3 の外観試験に準じてひび割れの有無を調べる。

(

8

)  JIS Z 8721

による。

(

9

)

インクは,アリニン染料の 1%水溶液とする。

9.9

耐熱衝撃性試験

9.9.1

試験器具及び装置  耐熱衝撃試験の試験器具及び装置は,次による。

a)

試料の大きさに応じた

表 11 に示す電熱板。

なお,試料の底が平らでない場合には,電熱板を直径 0.1∼0.125mm の銅粒を敷き詰めたリングで

囲む。

表 11  電熱板の種類

試料

電熱板

試料の内径 mm

径 mm

最大出力 W

 180

未満 145

1

000

±100

 180

以上 220 未満 180 1

500

±150

 220

以上 220

2

000

±200

b)

迅速に精度 2℃までの温度を示せる温度測定器。

c)

水温測定用の温度計。

d)

試料の水分をふき取る紙タオル,実験室用ティシュペーパー又はセーム皮。

e)

水を入れる容器。

f)

ストップウォッチ。

9.9.2

試料  試料は製品とし,合理的な抜取方法によって少なくとも 3 個を試験する。

9.9.3

試験の手順  試験の手順は,次による。

a)

あらかじめ最高出力で余熱した電熱板上に試料を載せ,少なくとも 5 分以内に 200±5℃になるまで加

熱する。

b)

温度の測定は,試料の内底面で,試料の側面から内径の

4

1

の距離の所で行う。

c)

所定温度に達したとき,20±1℃の水を試料の 30mm の深さまで一気に注ぎ入れる。

d)  5

±1 秒後,試料を電熱板から他の台上に移し,直ちに 20±1℃の水を試料一杯になるまで注ぎ入れ,

さらに試料全体を 20±1℃の水中に浸す。

e)

試料の温度が室温に達した後試料を水中から取り出し,水を空けて紙タオル,ティシュペーパー又は

セーム皮で拭き,はく離又はひび割れの有無を 9.3 及び 9.8 によって調べる。

f)

試験によって試料の 1 個に損傷の生じたときは,その製品ロットは不合格とする。


11

S 3012 : 1998

9.10

耐熱水性試験  試料に,その満水容量の約 70%の純水を満たし,ふたをして沸騰させる。沸騰し始

めたら直ちに加熱温度を調節し,静かに沸騰を保ちながら 5 時間±5 分間連続で加熱する。ただし,水量

が半分になるごとに元の水量まで純水を追加する。熱湯を空けて,空気中で室温になるまで放冷後内面を

布でふき,乾燥させてさびの有無を調べ,また,水位線の上下における光沢面の差を

表 10.1 及び表 10.2

によって調べる。

9.11

耐食性試験

9.11.1

なべの耐食性試験  なべの耐食性試験は,次による。

a)

試薬

くえん酸

JIS K 8283

に規定するくえん酸 33g を純水 500ml に溶解した溶液。

なお,試験ごとに 24 時間以内に調整したものを用いることとする。

溶剤  試料を洗浄する JIS K 8102 に規定するエタノール (95)

b)

試験装置及び試験器具  試験には図 に示す装置を用いる。装置は,次の部品で構成する。

1)

ISO 3585

に適合するほうけい酸ガラス製のシリンダ及び還流コンデンサ並びに静かに沸騰状態を

保つオリフィス(温度計に替えて取付け。

2)

シリンダの下部からヒータの上端までが 95mm の断熱材で覆われた熱伝導合金製の 500W 電熱ヒー

タ(可変トランス電気制御装置付き)

3) 140

℃の塩酸に耐えるプラスチックでカバーされた外径 100mm,内径 79±1mm,厚さ 2mm の合成

繊維製のワッシャ

4)

装置の上端は,ISO 3585 に適合するほうけい酸ガラス製の板


12

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図 6  なべの耐食性試験装置

c)

試料は,9.2 によって作る直径 105±2mm の円板 2 枚とする。

d)

試験の手順

1)

試料を水ですすぎ洗いし,次いで a)の溶剤で洗浄する。その後試料を 110±5℃の乾燥オーブン内で

約 2 時間乾燥し,デシケーター内で少なくとも 2 時間放冷する。次いで少なくとも 0.2mg までひょ

う量する。得られたひょう量値を試験前質量  (m

1

)

とする。

2)

試料を,ほうろう面を内側にして

図 の試験装置に取り付ける。

3)

試験装置内にくえん酸溶液 450ml を注入し,ヒータのスイッチを入れてくえん酸を沸騰させる。

4)

くえん酸が激しく沸騰し始めたら,直ちに制御装置で沸騰速度を調節し,コンデンサから凝縮液が

1

分間に 30∼50 滴の速さで排出するようにする。

5)

6

時間経過後シリンダ内の試験液を捨て,純水でよくすすいで試料を装置から取り出し,水洗いし

ながらソフトスポンジで 3 回こする。このとき試料にガスケット跡が残っていれば注意深く取り除

く。

6)

試料を 110±5℃の乾燥オーブン内で約 2 時間乾燥し,次いでデシケーター内で約 2 時間放冷し,少


13

S 3012 : 1998

なくとも 0.2mg までひょう量する。得られたひょう量値を試験後の質量  (m

2

)

とする。

7)

なべの耐食性は,試料ごとに次の式によって算出し,JIS Z 8401 によって小数点以下 2 けたに丸め

る。

A

B

m

m

2

1

ここに,

A

:  耐食性 (g/m

2

)

B

:  試料がくえん酸に接触した面積 (m

2

)

m

1

:  試料の試験前の質量 (g)

m

2

:  試料の試験後の質量 (g)

8)

試料の耐食性を比較して数値の大きいものを当該なべの耐食性とする。ただし,2 枚の平均値と個

別試料の値とに 30%以上の開きがあるときは,新たな試料で再試験を行う。

9.11.2

湯沸かし及びポットの耐食性試験  湯沸かし及びポットの耐食性試験は,次による。

a)

試料は,9.2 によって作られた直径 105±2mm の円板 2 枚とする。

b)

試験の手順

1)

試料を水ですすぎ洗いし,次いでエタノールで洗浄する。その後試料を 110±5℃の乾燥オーブン内

で約 2 時間乾燥し,デシケーター内で 2 時間以上放冷する。次いで少なくとも 0.2mg までひょう量

する。得られたひょう量値を試験前質量  (

m

1

)

とする。

2)

試料を,ほうろう面を内側にして

図 の試験装置に取り付ける。

3)

試験装置内に純水 450ml を注入し,ヒータのスイッチを入れて純水を沸騰させる。

4)

純水が激しく沸騰し始めたら,直ちに制御装置で沸騰速度を調節し,コンデンサから純水が 1 分間

に 30∼50 滴の速さで排出するようにする。

5) 48

時間経過後シリンダ内の試験液を流し出し,純水でよくすすいで試料を装置から取り出し,水洗

いしながらソフトスポンジで 3 回こする。このとき試料にガスケット跡が残っていれば注意深く取

り除く。

6)

試料を 110±5℃の乾燥オーブン内で約 2 時間以上乾燥し,

次いでデシケーター内で約 2 時間放冷し,

少なくとも 0.2mg までひょう量する。得られたひょう量値を試験後の質量  (

m

2

)

とする。

7)

湯沸かし及びポットの耐食性は,試料ごとに次の式によって算出し,JIS Z 8401 によって小数点以

下 2 けたに丸める。

A

B

m

m

2

1

ここに,

A

:  耐食性 (g/m

2

)

B

:  試料がくえん酸に接触した面積 (m

2

)

m

1

:  試料の試験前の質量 (g)

m

2

:  試料の試験後の質量 (g)

8)

試料の耐食性を比較して数値の大きいものを当該湯沸かし及びポットの耐食性とする。ただし,2

枚の平均値と個別試料の値とに 30%以上の開きがあるときは,新たな試料で再試験を行う。

9.12

取っ手の取付強度試験  取っ手の取付強度試験は,試料の底面を固定し,表 12 に示す力を取っ手の

中央(

図 参照)に加え,1 分間保持した後力を除去し,破壊,脱落及び折損の有無を調べる。


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表 12  取っ手の取付強度

種類

力の方向

力の大きさ

なべ(両手)及び容器類

中心軸に平行で上向き

W

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

2

1

2

3

2

1

W

W

なべ(片手)

中心軸に平行で下向き

W

=  (W

1

+3W

2

)

ポット

中心軸に平行で下向き

W

=  (W

1

+2W

2

)

湯沸かし

中心軸に平行で上向き

W

=  (W

1

+2W

2

)

ここに,

W

:  おもりの質量 (kg)

W

1

:  試料の質量 (kg)

W

2

:  満水容量時の水の質量 (kg)

図 7  取っ手強度試験の力をかける位置

9.13

取っ手の繰返し強度試験  取っ手の繰返し強度試験は,両手なべ,湯沸かし及びポットは取っ手の

中央部[

図 8 a)及び図 8 c)参照]を,片手なべは取っ手の長さの

2

1

の箇所[

図 8 b)参照]を固定し,図 8 d)

に示すような固定板によって,満水容量の 2 倍の水の質量に相当する荷重を毎分 30 回から 60 回の速さで

1

万回繰り返し加える[試験装置の例を

図 8 e)に示す。]。その後荷重を取り去って,本体,取っ手及び取

っ手取付金具の破壊,脱落並びに折損の有無を目視及び操作によって調べ,残留たわみを計測する。

なお,残留たわみは,次の式によって算出し,JIS Z 8401 によって小数点以下 2 けたに丸める。

σ

100

1

2

1

×

h

h

h

ここに,

σ

残留たわみ

 (%)

h

1

試験前の底面から取っ手の固定点までの高さ

 (mm)

h

2

試験後の底面から取っ手の固定点までの高さ

 (mm)


15

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図 8  取っ手繰返し強度試験

9.14

注ぎ口強度試験  注ぎ口強度試験は,本体底面を固定し,注ぎ口の先端に満水容量の

3

倍の水の質

量に相当するおもりを

図 の a)又は図 の b)のように垂直下方に

1

時間かけた後におもりを除去し,本体

と注ぎ口との接合部の破壊,脱落,折損及び水漏れの有無を目視及び操作によって調べる。

図 9  注ぎ口強度試験

9.15

笛吹きの音量試験  笛吹きの音量試験は,本体にその満水容量の

70%

の水を入れて加熱し,水が沸

騰したとき,

1m

離れた距離で JIS C 1502 に規定する普通騒音計の

A

特性音圧レベルによって音量を測定

する。


16

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9.16

笛吹き笛ふたの耐久性試験  笛吹き笛ふたの耐久性試験は,図 10 に示すように本体を固定し,笛部

を開閉するようにジグをセットして,毎分

40

回から

50

回の速さで繰り返し,

1

万回開閉を行う。試験後

目視によって笛部の破損,外れ及び使用上支障のある変形,がたつきなどの有無を調べる。また,試験後

9.15

の試験を行い,音量が

55dB

以上なければならない。

図 10  笛ふたの耐久性試験装置の例

9.17

安定性試験  安定性試験は,本体に縁まで水を満たし,ふたを付けた状態で取っ手(二つ以上の取

っ手を備えているものは大きなほうの取っ手)又は注ぎ口の方向に

15

度傾斜させたとき,転倒するかどう

かを調べる。

9.18

水蒸気結露試験  水蒸気結露試験は,無風の室内で,本体にその満水容量の約

50%

の水を入れてふ

たをし,発熱量

2 200

±

100kcal/h

(強火)に調節したバーナの直径が約

70mm

のガスこんろで加熱して沸騰

させ,

10

分間そのまま維持した後,発熱量を

700

±

50kcal/h

(弱火)に下げて

10

分間沸騰を続けた場合,

発生した水蒸気が結露して水滴となって落下し,バーナの炎が消えるかどうかを調べる。

9.19

取っ手及びつまみ温度上昇試験  取っ手及びつまみ温度上昇試験は,無風の室内で,本体にその満

水容量の約

70%

の水を入れて沸騰させ,静かに沸騰が続くようにして

5

分間加熱し,火を止めて直ちに取

っ手下部中央部[

図 11 a)c)参照]及びつまみ側面中央部[図 11 d)参照]の温度を測定する。

図 11  取っ手及びつまみ温度測定位置

9.20

耐煮沸性試験  耐煮沸性試験は,プラスチック製の取っ手及びつまみを本体から取り外し,JIS S 

2029

の 6.3(耐煮沸性)の(1)によって験を行い,異常の有無を目視によって調べる。

9.21

耐熱性試験  耐熱性試験は,プラスチック製の取っ手及びつまみを

150

±

2

℃の恒温槽内に入れ,

2

時間保持して取り出し,異常の有無を目視によって調べる。

9.22

臭気試験  臭気試験は,取っ手及びつまみを適切な中性洗剤で洗浄して十分に水洗した後,取っ手

及びつまみが完全に入る大きさの耐熱ガラス製の容器に入れ,その容器に沸騰した純水を満水容量の

80%

以上入れ,ガラス板でふたをして

5

分間放置し,ガラス板を取り去った瞬間に刺激臭の有無を調べる。

なお,試験は

5

名で行う。


17

S 3012 : 1998

9.23

燃焼性試験  燃焼性試験は,プラスチック製取っ手を本体から取り外して試験片とし,JIS K 6911

の 5.24 耐燃性の

A

法(

図 12 参照)に準じて試験し,燃焼時間を測定する。

なお,試験を行う箇所は,

図 13 に示すように取っ手の本体側下端部の中央とする。

図 12  耐燃性試験装置

図 13  燃焼試験の試験箇所

9.24

耐熱衝撃試験  耐熱衝撃試験は,製品の種類に応じて表 13 に示す条件に従って加熱し,規定加熱時

間後,直ちに,取っ手の付いた本体及びつまみを水道水流水中に約

1

分間浸せきする。このサイクルを

10

回繰り返した後,目視によってプラスチック製取っ手及びつまみの欠け及びひび割れの有無を調べる。

表 13  加熱条件

内容物

品名

容量

加熱条件

加熱器具

ガスこんろ

なべ

満水容量の 70%

沸騰後静かに沸騰が続
くように 5 分間保持

適正火力

(

10

)

ガスこんろ

湯沸かし

水位線の容量又は

満水容量の 70%

沸騰後そのままの状態

を 1 分間保持

適正火力(

10

)

(

10

)

炎の先端が製品の底面からはみ出さない最大の火力をいう。

参考

なべ及び湯沸かしの加熱に用いるガスこんろは,次のようなものが一般的である。

バーナ

カロリー数

(kcal)

バーナ径

mm

ごとくの高さ

mm

標準バーナ 2

150

∼2 800

62

∼72 38∼45

9.25

ガラス製のふた耐熱衝撃性試験  ガラス製のふた耐熱衝撃性試験は,ガラス製のふたを,水の温度

より

8
0

120

+

℃高い温度に設定した恒温槽内に入れて 30 分間保持した後,これを取り出して直ちに水中に 1

分間浸したとき,ひび割れの有無を目視によって調べる。


18

S 3012 : 1998

9.26

ほうろう層厚さ試験  ほうろう層厚さ試験は,0.1∼3mm の範囲が測定できる電磁式膜厚計(精度は

最大目盛の 0.5%以上)を用いて,内底面の 3 か所を測定し,平均する。測定位置の例を,

図 14 に示す。

図 14  測定位置の例

10.

検査方法  器物は,6.7.及び 8.について検査を行う。この場合,検査は全数検査又は合理的な抜取検

査によって行う。

11.

表示  器物には,次の事項を表示しなければならない。

11.1

器物本体の表示

a)

製造業者名又はその略号

11.2

器物本体又は下げ札若しくは包装等の表示

a)

家庭用品品質表示法による表示

b)

製造年月又はその略号

c)

安全に関する取扱い上の注意事項  製品には,警告表示(製品に応じた安全に関する取扱上の注意事

項)を添付する。

参考  家庭用品品質表示法による表示事項は,次のとおりである。

a)

なべの場合

1)

表面加工の種類

2)

材料の種類及び底の厚さ

3)

寸法

4)

満水容量

5)

取扱い上の注意

6)

表示した者の氏名又は名称及び住所又は電話番号

b)

湯沸かしの場合

1)

表面加工の種類

2)

材料の種類及び底の厚さ

3)

満水容量

4)

取扱い上の注意

5)

表示した者の氏名又は名称及び住所又は電話番号


19

S 3012 : 1998

関連規格  ISO 2178  Non-magnetic coating on magnetic substrates−Measurement of coating thickness−

Magnetic method

ISO 2722

  Vitreous and porcelain enamels−Determination of resistance to citric acid at room

temperature

ISO 2744

  Vitreous and porcelain enamels−Determination of resistance to water and water vapour

ISO 4528

  Vitreous and porcelain enamel finishes−Selection of test methods for vitreous and

porcelain enamelled areas of articles

ISO 4532

  Vitreous and porcelain enamels−Determination of the resistance of enamelled articles to

impact

−Pistol test

家庭用ほうろう器物国際整合化 JIS 原案作成委員会  構成表

(委員長)

小見山      亨

近畿大学理工学部

成  宮      治

通商産業省生活産業局生活用品課

宮  崎  正  浩

工業技術院標準部消費生活規格課

高  橋  和  夫

通商産業省製品評価技術センター

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会国際整合化規格室

松  岡  壽  人

財団法人日本文化用品安全試験所

祖  川      理 ISO/TC107/SC6 日本国内委員会

甲  斐  麗  子

主婦連合会

金  井  明  一

財団法人日本消費者協会商品テスト室

斎  藤  有  常

日本百貨店協会品質管理室

大  山  高  志

社団法人日本琺瑯工業会

加  藤  靖  司

株式会社エジリー

(事務局)

大  野  登美蔵

社団法人日本琺瑯工業会

文責  大野登美蔵