>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

S 0012 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。


日本工業規格

JIS

 S

0012

: 2000

高齢者・障害者配慮設計指針−

消費生活製品の操作性

Guidelines for all people including elderly and people with disabilities

Usability of consumer products

序文  現在,消費者は,電子機器,情報通信機器,OA 機器,燃焼機器,玩具,衛生設備機器,健康器具,

写真機などにおいて電気操作スイッチをもつ様々な消費生活製品に囲まれている。この規格は主に高齢

者・障害者が消費生活製品を使用する際の,使用性を向上されるための指針として作成されたものである。

規格の適用に当たっては製品の種類及びその他の条件に応じて適宜選定して適用すべきものである。

また,

設備用,業務用,専門家用などの特殊な用途に使用する機械器具は対象としていない。

1.

適用範囲  この規格は,一般消費者が日常生活で使用する消費生活用製品(以下,製品という。)の電

気スイッチなどの操作部に視覚障害者や視力の衰えがみられる高齢者をはじめとするすべての使用者が使

用する消費生活製品の操作性を高めるために,それらの製品を設計する際の指針として基本的に留意すべ

き事項について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS S 0011

  高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活製品の凸記号表示

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

操作  使用者が目的を達成するために,製品に対して行う行為。

b)

操作性  使用者が製品を間違いなく使用するための,操作の分かりやすさ及び操作のしやすさ。

c)

操作要素  使用者が製品を操作するために直接力を加える部分及び操作の仕方,操作方向,操作手順,

製品の状態などを示す表示部分の総称。

例: ボタン,つまみ,取っ手,ランプ,メータ,表示文字,図記号など。

d)

操作部  操作要素の集合体。

例: 操作パネルなど。

e)

操作部分  使用者が,製品を操作するための個々の部分。

4.

一般的原則  一般的原則は,次による。

a)

製品の設計に当たっては,使用者の立場で操作性の要因を十分に考慮すること。

この場合,

“誰が”

“どのような状況で”

“どのような目的で”

“どのような方法で”及び“どのよ


2

S 0012 : 2000

うな操作をしようとしているか”という要因を考慮し,更に各要因の相互関係についても十分に考慮

すること。

b)

操作性は,製品開発段階(例えば,製品企画段階,設計段階,試作品の検討段階など)において,十

分な検討を行って評価すること。

c)

操作性の評価は,計測器による試験・評価が困難な場合が多いので,想定する使用者にできるだけ近

い評価者による,実際に近い状況での評価を行うことが望ましい。

5.

留意事項

5.1

表示の分かりやすさ  製品の使用にかかわる表示は,その製品の使用環境において,使用者にとっ

て分かりやすいもので,次に示す事項を考慮することが望ましい。

a)

表示(表示文字・図記号・絵文字)は,認知しやすい大きさとし,配色・コントラストについては,

表示面との識別が明瞭であるよう考慮すること。

b)

表示は,色だけによる識別は行わない。

c)

表示文字は,認知しやすい書体・文字間隔・線の太さを考慮すること。

d)

操作しようとする状態で,手などによってその操作に必要な表示が隠れないようにすること。

e)

視覚的な表示の他に,必要に応じ触覚による認知のために触覚記号等による表示も考慮すること。

f)

視覚的な表示の他に,必要に応じ聴覚による認知のために音・音声による表示も考慮すること。

g)

操作部分に関連する表示部分はできるだけ対象とする操作部分の近くに表示し,その対応が明確で分

かりやすいこと。

h)

印刷などによる表示は,通常の使用で容易に消えないこと。

5.2

用語・図記号の分かりやすさ  製品の使用にかかわる用語・図記号は,使用者が容易に理解できる

ように,次に示す事項などを考慮することが望ましい。

a)

操作部の機能・働きなどを指し示す用語は,その機能や働きなどを容易にイメージでき,かつ,でき

る限り平易で一般的なものを用いること。あいまいであったり,専門的な用語や技術的な用語を用い

ないこと。

b)

操作部の機能・働きなどを指し示す用語は,原則として日本語を用い,外来語を用いる場合には,そ

れが外来語として使用者の年代を問わず一般的に認知されているものに限り,カタカナで表記するこ

と。

c)

英字の組合せによる略語(イニシャル化した略語)は,一般的に認知されているものや,製品名など

として使用する以外は,原則として使用しないこと。

d)

同一品目の基本機能・働きを指し示す用語は,統一した用語を使用すること。

e)

限られたスペースに点字で用語を略語化して表示する場合,同一品目においては統一した略語を使用

すること。

f)

技術的用語及び専門用語で,一般化した日常語に置き換えることができない用語を使用する場合は,

取扱説明書などで用語の説明を行うなど,使用者が理解できるように工夫をすること。

g)

操作部に表示する用語と,取扱説明書で使用する用語は必ず一致させ,取扱説明書を読んだ使用者の

理解が促進されるようにすること。

h)

図記号を使用する場合は,使用者の理解がより促進される方向であること。

なお,規格化された図記号又は一般的に普及している図記号を優先的に使用し,一般に普及してい

ない図記号を使用する場合は,例えば,操作表示用語を併記するなど,よく吟味して使用すること。


3

S 0012 : 2000

5.3

操作部の位置  操作部の空間的配置は,使用者が無理なく操作できるように,次に示す事項などを

考慮することが望ましい。

a)

使用者の身体寸法及び動作範囲を考慮し,使用中に身体の一部が意図しないで操作部に接触して誤操

作を起こすことがないようにすること。

b)

使用者の手が単に操作部に届くだけでなく,製品の外形から操作部の位置が容易に判断できること。

5.4

操作要素の配置  操作要素は,使用者の混乱・使用意欲の減退を引き起こさないように,操作の優

先度を考慮して配置し,使用者が目的とする操作を行う際に必要な操作部分や表示部分を探しやすく,操

作方法を理解しやすいように,次に示す事項などを考慮することが望ましい。

a)

操作部分と操作によって作動する部分との位置関係は分かりやすい配慮がなされていること。

b)

操作要素の中で,目的とする操作に必要な操作部分と表示部分が容易に区別できるようにすること。

c)

操作要素は,使用頻度,操作手順などを考慮し,一貫性のある配置にすること。

d)

操作要素は,機能ごとに形状,大きさ,色調などでグループ化していることが望ましい。

5.5

操作要素の使いやすさ  操作要素の使いやすさは,次による。

a)

つまみの回転する方向やスイッチの作動方向は,使用者の自然な認知・動作特性に適合するように,

次に示す事項などを考慮することが望ましい。

1)

操作方向と操作によって起こる変化との間に,使用者が容易に理解できる分かりやすい配慮がなさ

れていること。

2)

“入”

“切”及び“強”

“弱”の調節など,互いに関連する操作要素については,それらの操作の

方向について一貫性をもたせること。

b)

使用者が直接操作する操作部分は,使用者が操作方法を容易に理解できるとともに,操作状態におけ

る身体の特性に適合し,目的とする操作が容易に行えるように,次に示す事項などを考慮することが

望ましい。

1)

押す,引く,回すなどの操作方法が容易に理解できる形状とすること。

2)

適度な力で操作ができる形状,大きさとすること。

3)

滑りやすい操作部分の場合は,適度なひっかかりを付けたり,指のかかりがよい形状とすること。

4)

接近して並ぶときは,指が他の操作部分に当たらないような形状及び間隔にすること。

5)

シート状のキーのような操作部分は,表面に凹凸,凸記号などを付け,押す位置が触覚的にも判別

できるようにすること。

6)

同形状の操作部分を連続して配列する場合は,その中で基準となる操作部分を視覚,触覚などで読

み取れるようにすること。

7)

押しながら回すなどの,複合的な動作を要求しないこと。ただし,火災,障害などを防止する目的

の場合を除く。

8)

誤操作を防止する目的以外で,二つの操作部分を同時に操作する操作方法を用いないこと。

9)

できる限り,一つの操作部分には一つの操作機能を割り当てること。

やむをえず一つの操作部分に複数の操作機能を割り当てる場合には,機能の働きの違いが容易に

分かるような適切な表示手段との連動を考慮すること。

10)

押す時間の長さで機能の使い分けをしないことが望ましい。

11)

軽く触れるだけで作動しないことが望ましい。

12)

両手を同時に使わなければならない操作は避けることが望ましい。

13)

左右どちらの手でも操作できることが望ましい。


4

S 0012 : 2000

5.6

手順の分かりやすさ

5.6.1

基本機能の操作の明確化  使用者が,その製品の基本機能を容易に使用することができるように,

次に示す事項などを考慮することが望ましい。

a)

基本機能を開始させる操作が,操作部から容易に理解・判別しやすいこと。

b)

基本機能を終了させる操作が,操作部から容易に理解・判別しやすいこと。

5.6.2.

操作手順での配慮  タイマー予約操作,コース設定などの,幾つもの数値などを入力するような操

作においては,使用者が習得しやすく,また忘れた場合の手掛かりを得やすいように,次に示す事項など

を考慮することが望ましい。

a)

操作の手順を,選択肢を重ねた階層構造とする場合は,その階層構造があまり複雑にならないように

すること。

b)

操作のやり直しがしやすいように,分かりやすい手順の戻し操作手段を設けること。

c)

操作手順の中での現在の位置状況が分かるように,適切な表示手段との連携をとること。

d)

使用者の操作を受け付ける時間に制限を設ける場合には,操作に慣れない使用者でも頻繁に制限に至

ることのないよう,適切な余裕時間とすること。また,使用者に制限時間の存在を示すこと,更には

制限時間に至る過程を通告する手段を設けることが望ましい。

5.7

適切なフィードバック  使用者が操作に対する結果や状況を確実に認識し,スムーズに次の操作に

移ることができるように,次に示す事項などを考慮することが望ましい。

a)

操作に対する結果(

“正常に受付”

“エラー”など)を使用者に明確に伝えるために,視覚的・聴覚的・

触覚的なフィードバックを行うこと。

b)

フィードバックは操作直後に行うこと。ただし,操作による結果に時間がかかる場合は,動作状態(機

能が動作しているか否か)も知らせること。

c)

一連の操作に対する反応時間には,極端な偏りがないようにすること。

d)

各操作ステップを踏んで操作するものについては,現在どの段階にいて,かつ,何をしているのかも

知らせること。

e)

フィードバックの方法は,使用者の知覚・認知・運動特性を考慮して設定すること。

f)

フィードバックは,視覚的・聴覚的・触覚的に分かりやすくし,内容により重複して行うこと。

g)

同一の操作によって,設定値や設定モードなど複数の選択肢を一定の順番で切り換える(サイクリッ

ク)操作方法においては,基点において音や音声を発する,視覚表示するなど適切にフィードバック

する補助手段を設けること。

h)

つまみの回転量など操作量と表示量との関係は,使用者の知覚・認知・運動特性を考慮して設定する

こと。

5.8

報知音の分かりやすさ  操作のフィードバックや操作ガイド,機器の状態などを知らせるための情

報伝達の手段として用いる報知音や音声は,通常それらが用いられると考えられる様々な使用環境におい

て,使用者にとって聞き取りやすく,目的や意味が理解・判別しやすいように,次に示す事項などを考慮

することが望ましい。

a)

報知音は,聴覚の衰えや,報知すべき距離,周囲の環境音などに考慮し,過不足ないよう音量や音質

や音の持続時間を適切に設定すること。また,可能な限り“入”

“切”機能や音量調節機能を設ける

よう配慮することが望ましい。

b)

操作の確認,操作の誤りなどを報知する音は,操作と報知になるべく時間差がないよう配慮すること。

c)

報知音の種類,区分,組合せは極力シンプルにし,容易に判別しやすくすること。


5

S 0012 : 2000

5.9

触覚による使いやすさ  製品の操作部に凸記号を表示することによって,視覚障害者や視力の衰え

がみられる高齢者をはじめとする使用者の操作性の向上を図るために用いる押しボタン式の操作部などは,

次による。

5.9.1

凸点を表示する操作部分  凸点を表示する操作部分は,次による。

a)

視覚障害者にとって特に有効な操作部分

5.9.2

凸バーを表示する操作部分  製品における基本機能のスタート及び終了(停止)を兼用している操

作部分(ON/OFF 兼用の操作部分)には表示しない。

なお,凸バーの使用は必要最小限に止める。

5.10

誤操作の対処・防止  使用者が機器に対したときの操作方法の想定の仕方や,操作部分に加える力

加減などは,年齢,障害の程度,関連機器の操作経験の有無などによって大きく異なる。したがって,使

用者は設計者が想定した正しい操作をするとは限らないので,あらかじめ,誤操作を予想した設計が必要

であり,次に示す事項などを考慮することが望ましい。

a)

不用意に操作してはならない重要な操作部分は,他の操作部分から離して配置したり,ロック機構,

カバーなどを設けること。

b)

誤操作した場合は,その状況が使用者に直ちに分かるように表示,報知音,ランプなど,なるべく使

用者の複数の感覚に訴える注意・警告を行うこと。

c)

万一誤操作した場合は,操作の途中からでも元の状態に容易に復帰できたり,やり直しができるよう

にすること。

5.11

取扱いのしやすさ(参考)  使用者が容易に使用できるよう,次に示す事項などについても考慮す

ることが望ましい。

a)

設置及び接続のしやすさ  持ち運びのしやすさとも関連するが,設置が容易な構造であること。また,

配線などの接続がしやすいように配慮を行うこと。

b)

収納の簡便さ  季節商品などの収納の際に,収納箇所・収納順序などが分かりやすいように梱包にイ

ラストを入れるなどの配慮をすること。

c)

扉及びふたの開閉のしやすさ  扉やふたをもつものにあっては,開閉時に使用者に負担がかからない

ようなバランスのよい構造とすること。

d)

持ち運びのしやすさ  持ち運びできるものにあっては,取っ手などは製品重量のバランスのよい箇所

に設けること。また,重量物にはキャスターなどを設けること。

e)

手入れのしやすさ  日常の手入れを必要とする場合は,分解,組立てが容易であり,汚れが付着して

も容易に清掃できにくい素材を採用すること。

f)

製品の型番の表示  製品の型番は,見やすい位置などに配置し明確に表示すること。


6

S 0012 : 2000

高齢者・障害者配慮生活用品標準化委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

西  原  主  計

神奈川工科大学システムデザイン工学科

(委員)

高  橋  秀  郎

財団法人家電製品協会消費者部(シャープ株式会社商品信

頼性本部)

佐々木  春  夫

社団法人日本包装技術協会

加  藤  久  明

日本デザイン学会

小  宮  敏  夫

株式会社レナウンアパレル科学研究所

大  澤      宏

株式会社リーガルコーポレーション(株式会社日本靴科学

研究所)

中  田      誠

社団法人日本玩具協会

塩  崎      透

日本電気株式会社第一 C&C システム事業本部市場開発部

星  川  安  之

財団法人共用品推進機構

伊  藤  文  一

財団法人日本消費者協会商品テスト室

篠  崎      薫

社団法人日本社会福祉士会

江  木  和  子

消費者団体新宿区消団連アクティー

万  代  善  久

株式会社日本能率協会総合研究所

丹      敬  二

日本生活協同組合連合会開発企画部

伊  東  依久子

消費科学連合会

星      珠  枝

社団法人日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会

井  尻  時  雄

社団法人日本衛生材料工業連合会

馬  場      諭

家庭用ラップ技術連絡会

堀  木  敏  光

財団法人家電製品協会消費者部

中  野  義  彦

沖電気工業株式会社(日本人間工学会)

(関係者)

小  林  清  美

通商産業省機械情報産業局

安  西  久  子

通商産業省機械情報産業局

新  階      央

通商産業省生活産業局

西  川  泰  蔵

通商産業省工業技術院標準部

渡  邊  武  夫

通商産業省工業技術院標準部

千  野  雅  人

通商産業省生活産業局

(事務局)

橋  本      進

財団法人日本規格協会技術部

石  垣  正  夫

財団法人日本規格協会技術部

操作部 JIS 原案作成ワーキンググループ  構成表

氏名

所属

(主査)

高  橋  秀  郎

財団法人家電製品協会消費者部(シャープ株式会社

商品信頼性本部)

(ワーキング委員)

万  代  善  久

株式会社日本能率協会総合研究所

中  田      誠

社団法人日本玩具協会

富  山  和  治

社団法人全日本文具協会

北  島  信  夫

社団法人日本事務機械工業会

森  田  晴  良

三洋電機株式会社研究開発本部(財団法人家電製品

協会)

内  田  和  広

財団法人ベターリビング

金  井  明  一

財団法人日本消費者協会

小  熊  芳  雄

フランスベッド株式会社生産本部研究部(日本健康

福祉工業会)

小  暮  繁  枝

東京都老人クラブ連合会

小  宮  敏  夫

株式会社レナウンアパレル科学研究所

木  塚  泰  弘

社会福祉法人日本ライトハウス

堀  木  敏  光

財団法人家電製品協会消費者部

(関係者)

渡  邊  武  夫

通商産業省工業技術院標準部


7

S 0012 : 2000

新  階      央

通商産業省生活産業局

安  西  久  子

通商産業省機械情報産業局

(事務局)

橋  本      進

財団法人日本規格協会技術部

石  垣  正  夫

財団法人日本規格協会技術部