日本工業規格 JIS
R 3702-1996
顕微鏡用カバーガラス
Cover glasses for microscopes
1. 適用範囲 この規格は,主として透過形顕微鏡用標本に用いられるカバーガラスについて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS R 3502 化学分析用ガラス器具の試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 8255-1 Optics and optical instruments−Microscopes−Cover glasses−Part 1 : Dimensional
tolerances, thickness and optical properties
ISO/DIS 8255-2 Optics and optical instruments Microscopes Cover glasses Part 2 : Material
requirements and test methods
3. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位であって,参考として
併記したものである。
2. 品質
2.1
外観 顕微鏡用カバーガラス(以下,カバーガラスという。)の外観は,表1のとおりとする。
表1 外観
項目
外観
色
無色透明であること。
ひずみ
互いに直交した2枚の偏光板で挟んだとき著しい干渉色がないこと。
清浄度
清浄でくもりがないこと。
泡
実用上有害なものがないこと。
すじ
透視で見えないこと。
欠け
長さ0.5mm以上のものがないこと。
きず
実用上有害なものがないこと。
角の仕上がり
長さ1mm,深さ0.5mm以上の欠けや切れ目がないこと。
2.2
アルカリ溶出量 カバーガラス2.5g当たりのアルカリ溶出量は,0.2mg (Na2O) 以下とする。
2.3
平面度 カバーガラスの平面度は,0.010mm以下とする。
2.4
屈折率及びアッベ数 カバーガラスの屈折率 (ne) 及びアッベ数 (ve) は,次のとおりとする。
ne=1.525 5±0.001 5
ve=56±2
2.5
くっつき 箱から取り出したとき,互いにくっつきがないこととする。
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R 3702-1996
3. 寸法及び許容差
3.1
厚さ カバーガラスの厚さは,表2のとおりとする。
表2 カバーガラスの厚さ
単位mm
呼び名
厚さの範囲
No.1
0.12〜0.17
No.1-S
0.15〜0.18
3.2
長辺及び短辺寸法 カバーガラスの長辺及び短辺寸法は,受渡当事者間の協定による。
なお,カバーガラスの長辺及び短辺の寸法の許容差は,表示に対して各々±0.5mmとする。
4. 試験方法
4.1
外観試験 外観試験は,カバーガラスの正面から約30cmの距離でガラス面を透視し,又は反射光を
用いて目視で行う。
4.2
アルカリ溶出試験 アルカリ溶出試験は,JIS R 3502の規定による。
4.3
平面度試験 平面度試験は,カバーガラス100枚をとり,全部を重ね合わせ,これを平板上に載せ,
まずコンパレータでその高さを測定(1)する。
次いで,その100枚の一番上に20kPa {200gf/cm2} の圧力を加えながら再びその高さをコンパレータで
測定(2)し,次の式によって1枚当たりの平面度 (mm) Aを算出する。
ここに,
H:100枚の加圧前の高さ (mm)
H1:100枚の加圧後の高さ (mm)
注(1) 測定に当たっては上下を逆にしてそれぞれ測定し,その平均値を平面度の報告とする。
(2) 試験装置は,図1を参照。
図1 平面度試験装置
4.4
屈折率測定 光源としてe-line (
546.07nm) を用いたアッベの屈折計で測定する。
4.5
くっつき試験 くっつき試験は,個装箱からカバーガラス全部を取り出し,枚数を数えながらガラ
スのくっつきを目視で確認する。このとき,ゴム製の指サック,プラスチック製の検査手袋を用いて,カ
バーガラスに湿気を与えないように,又はくっつきを起こすおそれがある異物がカバーガラスの間に入ら
ないようにする。
また試験中,カバーガラスは必ず端を持つこと。
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R 3702-1996
4.6
厚さの測定 厚さの測定は,1/100mmまで読めるマイクロメータなどを用いて測定し,JIS Z 8401
の規定によって小数点以下2けたに丸めて,その厚さを決定する。
5. 検査 検査は,4.の試験方法によって試験を行い,2.及び3.を満足しなければならない。
6. 表示 表示は,個装箱とその外装箱ごとに,次の事項を明記する。
(1) 包装時の年月(これについては外装箱だけでもよい。)
(2) 枚数
(3) 厚さの呼び名 (No.1, No.1-S)
(4) 長辺及び短辺の寸法(長辺×短辺)
(5) 製造業者名又はその略号
(6) 製造国名
関連規格 ISO 7944 Optics and optical instruments−Reference wavelengths
JIS R 3702 顕微鏡用カバーガラス原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
三 宅 和 夫
筑波大学
松 谷 有希雄
厚生省薬務局
富 岡 賢 治
文部省教育局
藤 野 達 夫
通商産業省機械情報産業局
青 柳 聖 治
日本写真機光学機器検査協会
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
辻 内 順 平
東京工業大学
太 田 次 郎
お茶の水女子大学
山 口 和 克
杏林大学
中 村 恭 一
東京医科歯科大学
嶋 昭 絋
東京大学
瀬 谷 正 樹
ユニオン光学株式会社
松 原 正 樹
オリンパス光学工業株式会社
深 井 澄 久
株式会社ニコン
寺 尾 昌 男
東洋光学工業株式会社
黒 岩 秀 一
協和光学工業株式会社
和 田 計 二
サクラ精機株式会社
加 藤 幸 彦
カートン光学株式会社
小 林 亨
株式会社トプコン
岡 崎 重 雄
株式会社清和光学
原 嶋 啓 好
和泉光学工業株式会社
余 吾 正 雄
松浪硝子工業株式会社
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
(事務局)
古 屋 武 吉
日本顕微鏡工業会