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日本工業規格

JIS

 R

3254

-1995

ふっ化物ガラスの

化学的耐久性試験方法

Testing method for chemical durabilities of fluoride glasses

1.

適用範囲  この規格は,ふっ化物ガラスの水に対する化学的耐久性の試験方法について規定する。

備考1.  この規格は,ふっ化物イオンの代わりに他のハロゲン化物イオンから成るガラスの溶出率を

測定する場合にも適用できる。

2.

この規格の引用規格を,

付表 に示す。

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

ふっ化物ガラス  ガラスを構成する陰イオンがふっ化物イオンだけから成り,不純物としての酸素以

外の酸化物イオンを含まず,陽イオンとしてはジルコニウムなどの金属イオンから成るガラス。

(2)

溶出率  試験片を水中に浸せきしたときの,試験片の単位面積,単位浸せき時間当たりの試験片の質

量減少量。

(3)

ふっ化物イオン溶出率  試験片を水中に浸せきしたときの,試験片の単位面積,単位浸せき時間当た

りのふっ化物イオンの溶出量。

3.

試験項目  この規格で規定する試験項目は,次のとおりとする。

(1)

溶出率

(2)

ふっ化物イオン溶出率

4.

試験片  加工中に割れない程度に徐冷されたガラスをほぼ 20×20×2mm の大きさに切り出し,次に

定める基準に従って表面の研磨仕上げを行い,超音波洗浄器を用いてアセトン洗浄し,30 分間 110℃の空

気浴乾燥の後,真空乾燥器中に保存する。1 試験当たり最大 10 個の試験片を用いる。

試験片表面は炭化けい素研磨布紙又はダイヤモンドと(砥)粒による乾式法によって研磨し,その後,

エチレングリコールと粒径 0.05

µm の酸化セリウムを用いて研磨を行い,鏡面状態に仕上げる。仕上がり

寸法は,20×20×2mm とする。

5.

溶出率

5.1

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

溶出装置  溶出装置には,水槽を装備したインキュベーター型振とう器を用い,これに 500ml のポリ

カーボネート製又はポリプロピレン製ビーカーを取り付け,1 分間 60 回で,振幅 25mm の振とうを行

うことのできる構造とする。ビーカーは複数個取付け可能なものが望ましく,水槽の温度は(室温+


2

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5

)℃から 80℃まで変化できるものとする。水槽には,かくはん用ポンプなどを装備し,水槽温度を

(設定温度±1)℃に長時間保持できる構造とする。

また,ビーカーには,振とうに支障がない形のアルミニウム製のふた(簡易型)をする。

(2)

試験片ラック  試験片を溶出装置のビーカーに浸せきするため,例として図 に示す形の試験片ラッ

クを用いる。これは,ポリカーボネート製又はポリプロピレン製であり,最大 10 個までの試験片を取

り付けることができる。この試験片ラックは振とう部と無関係に固定され,素早く試験片をビーカー

に浸せきできる構造にする。

備考  溶出液中のふっ化物イオンの定量分析に支障がなければ,ラックの材料にステンレス鋼を用い

てもよい。


3

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図 1  試験片ラック(ポリカーボネート,ポリプロピレン又はステンレス鋼製)

5.2

溶出操作  溶出操作は,次のとおりとする。

(1)

容積 500ml のビーカーに,pH6.5∼7.5 の脱イオン水 400ml を入れ,これを溶出装置に取り付け,ふた

をして,水温が 50℃の恒温に達するまで待つ。


4

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(2)

真空乾燥器中に保管されていた 5 個の試験片をそれぞれについて化学はかりを用いて質量を測定し,

試験片ラックに取り付ける。

(3)

この状態で試験片ラックに取り付けられた試験片を溶出用ビーカーに挿入する。その際,振とう方向

と試験片の広い面が平行になるように配置する。浸せき直後から時間計測を開始する。

また,溶出試験中は溶出用ビーカーにアルミニウム製簡易型のふたをする。24 時間経過後,試験片

ラックを引き上げ,脱イオン水で試験片を洗浄する。試験片を試験片ラックから取り外し,30 分間

110

℃の空気浴又は乾燥窒素浴で乾燥後,真空乾燥器又はデシケーター中で冷却する。

備考  急激な温度上昇による割れを避けるため,試験片を予熱してもよい。

5.3

測定方法  乾燥,冷却後の試験片の質量を化学はかりを用いて測定する。5.4 に規定する溶出率の平

均値が 10

4

g/cm

2

・d 以下の場合には,溶出温度を 70℃に上げ,溶出時間を延長する。

また,溶出率の平均値が 10

2

g/cm

2

・d 以上で,溶出試験によって試験片の崩壊が予測される場合には,

溶出温度を 30℃に下げ,溶出時間を短縮する。

5

個の試験片の溶出率の測定値の範囲が平均値の 2 倍を超える場合には,再試験を行う。

5.4

計算  各試験片の溶出率を,式(1)によって求める。

S

t

W

W

Q

×

1

0

 (1)

ここに,

Q

溶出率 (g/cm

2

・d)

W

0

溶出試験前の試験片の質量 (g)

W

1

溶出試験後の試験片の質量 (g)

t

溶出時間 (d)

S

溶出試験前の試験片の表面積 (cm

2

)

5

個の試験片の溶出率の平均値を JIS Z 8401 によって丸めて,有劾数字 2 けたとして表示する。

6.

ふっ化物イオン溶出率

6.1

操作  ふっ化物イオンの溶出操作は,5.2 による。

溶出液は,室温に冷却した後,その液量及び pH を測定する。

備考  溶出液中のふっ化物イオンの量が 6.3(1)6.3(2)及び 6.3(3)に記載するふっ化物イオンの定量範

囲以下の場合には,試験片を 10 個にして溶出操作を行う。

6.2

溶出液の蒸留  ふっ化物イオンの定量分析については,陰イオンの影響は少ないが,陽イオンの影

響が多く,特にアルミニウム,カドミウム,コバルト,鉄,ニッケル,ベリリウム,鉛などが妨害するの

で,あらかじめ試料液を蒸留してふっ化物イオンを分離する。

(1)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

ふっ化物イオン蒸留装置  ふっ化物イオンの定量測定に先立って,試料液を蒸留し,共存陽イオン

を除去する装置の一例を

図 に示す。


5

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図 2  蒸留装置の一例

(2)

蒸留操作  蒸留操作は,次のとおり行う。

(a)  6.1

の溶出液の適量(

1

)

(F

として 30

µg 以上を含む。)を磁器蒸発皿又はビーカーにとり,フェノー

ルフタレイン溶液 (5g/l) 2, 3 滴を加え,水酸化ナトリウム溶液 (100g/l)  を滴加して微アルカリ性と

した後,加熱して約 30ml に濃縮する。

(

1

)

溶存のふっ化物イオンを試験するときは,遠心分離を行った試料の上澄みを用いる。

(b)

図 の蒸留フラスコ中に水約 10ml で洗い移す。次に,二酸化けい素約 1g,りん酸 1ml 及び過塩素


6

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酸 (60%) 40ml[又は JIS K 8951 に規定する硫酸(

2

)30ml

]を加える(

3

)

。受器の全量フラスコ 250ml

には水 20ml(

4

)

を加え,逆流止めの先端は水面下に保つ。

(

2

)  JIS K 8951

に規定する硫酸をビーカーに入れて加熱して,盛んに白煙を発生させた後,放

冷したもの。

(

3

)

蒸留フラスコには,粒径2∼3mm の沸騰石約10個を入れる。

(

4

)

試料中にふっ化物以外のハロゲン化物が多量に含まれる場合には,水酸化ナトリウム溶液

(40g/l)

数滴とフェノールフタレイン溶液 (5g/l)  数滴を加えておく。受器中の溶液は蒸留が

終わるまで微紅色を保つように,必要に応じて水酸化ナトリウム溶液 (40g/l)  を滴加する。

なお,この場合は蒸留が終わった後,留出液に硫酸 (1+35)  を微紅色が消えるまで滴加

し,以下,(e)の操作を行う。

(c)

蒸留フラスコを直接加熱(

5

)

し,蒸留フラスコ内の液温が約 140℃に達してから,水蒸気を通す。

(

5

)

蒸留フラスコ中の液面まで加熱できるようにフレームを調節する。油浴,グリセリン浴などを

用いてもよい。

(d)

蒸留温度を 145±5℃,留出速度を 3∼5ml/min に調節し,受器の液量が約 220ml になるまで蒸留を

続ける。

(e)

冷却器と逆流止めを取り外し,冷却器の内管及び逆流止めの内外を少量の水で洗い,洗液も受器に

加え,さらに,水を標線まで加える。

6.3

ふっ化物イオン濃度の測定  ふっ化物イオン濃度の測定には,ランタン-アリザリンコンプレキソン

吸光光度法,イオン電極法又はイオンクロマトグラフ法を適用する。

(1)

ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法  試料液を蒸留処理し,ランタン-アリザリンコンプ

レキソンとの錯体がふっ化物イオンと反応して生じる青い色の複合錯体の吸光度を測定して,ふっ化

物イオンを定量する。

定量範囲:F

4

∼50

µg,繰返し分析精度:変動係数で 3∼10%

(1.1)

試薬  試薬は次のものを用いる。

(a)

過塩素酸 (60%)   JIS K 8223 に規定するものを,加熱して白煙を発生させた後,放冷したもの。

(b)

りん酸  JIS K 9005 に規定するもの。

(c)

水酸化ナトリウム溶液 (100g/l)    JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム 10g を水に溶かして

100ml

とする。

(d)

二酸化けい素  JIS K 8885 に規定する二酸化けい素で粒径 100∼150

µm のもの(

6

)

(

6

)

結晶質のものを用いる。品質が分からない場合には,白金るつぼ中で1150℃以上で約1時間加熱

し,デシケーター中で放冷したものを用いる。この場合,ふっ化物イオン標準液 (2mgF

/l) 10ml

をとり,6.2(2)の蒸留操作(b)(e)及び(1.3)の操作(a)(e)を行って回収率を確認する。

(e)

フェノールフタレイン溶液 (5g/l)    JIS K 8799 に規定するフェノールフタレイン 0.5g を JIS K 8102

に規定するエタノール (95) 50ml に溶かし,水を加えて 100ml とする。

(f)

ランタン−アリザリンコンプレキソン溶液(

7

)

  アリザリンコンプレキソン(1,2-ジヒドロキシアン

トラキノニル-3-メチルアミノ-N,N−二酢酸)0.192g をアンモニア水 (1+10) 4ml と酔酸アンモニ

ウム溶液 (200g/l) 4ml に溶かし,これを酢酸ナトリウム溶液(JIS K 8371 に規定する酢酸ナトリウ

ム三水和物 41g を水 400ml に溶かし,JIS K 8355 に規定する酢酸 24ml を加えたもの。

)中にかき混

ぜながら加える。この溶液をかき混ぜながら JIS K 8034 に規定するアセトン 400ml を徐々に加え,

さらに,ランタン溶液[酸化ランタン (III) 0.163g を塩酸 (1+5) 10ml に加熱溶解したもの。

]を加


7

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えてかき混ぜる。放冷後,酢酸又は JIS K 8085 に規定するアンモニア水で pH 計を用いて pH を約

4.7

に調節した後,水を加えて 1とする。

(

7

)

市販品を用いてもよい。

参考  市販のアルフッソンを用いる場合は,その 2.5g を水に溶かして 50ml とする。使用時に調

製する。

(g)

ふっ化物イオン標準液 (1 00mgF

/l)

  JIS K 8005 に規定する容量分析用標準物質のふっ化ナトリウ

ムを白金皿にとり,500℃で約 1 時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その 0.221g をとり,少

量の水に溶かし,全量フラスコ 1000ml に移し入れ,水を標線まで加える。ポリエチレン瓶に入れ

て保存する。

(h)

ふっ化物イオン標準液 (2mgF

/l)

  ふっ化物イオン標準液 (100mgF

/l) 10ml

を全量フラスコ

500ml

にとり,水を標線まで加える。

(1.2)

装置及び器具

光度計  分光光度計又は光電光度計

(1.3)

操作  ふっ化物イオン濃度の測定操作は,次のとおり行う。

(a)  6.2(2)

の蒸留操作で得た留出液から 30ml 以下の適量(F

イオンとして 4∼50

µg を含む。)を全量フ

ラスコ 50ml にとる。

(b)

ランタン-アリザリンコンプレキソン溶液(

8

)20ml

を加え,さらに,水を加えて振り混ぜ,約 1 時間

放置する。

(

8

)  (1.1)(f)

参考で調製したアルフッソン溶液を用いる場合には,その5ml と JIS K 8034に規定す

るアセトン10ml を試料溶液に加えた後,水を標線まで加える。

(c)

別に,水 30ml を全量フラスコ 50ml にとり,(b)の操作を行う。

(d)

試料について(b)で得た溶液の一部を吸収セルに移し,(c)の溶液を対照液として波長 620nm 付近の

吸光度を測定する。

(e)

検量線からふっ化物イオンの量を求め,試料中のふっ化物イオンの濃度 (mgF

/l)

を算出する。

検量線は,ふっ化物イオン標準液 (2mgF

/l) 2

∼25ml を段階的にとり,(a)(d)の操作を行って,

吸光度を測定し,ふっ化物イオン (F

)

の量と吸光度との関係を作成する。

(1.4)

計算  次の式(2)によって,溶出液中のふっ化物イオン濃度を算出する。

2

1

50

250

V

V

A

F

×

×

 (2)

ここに,

F

:  溶出液中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

A

:  (1.3)(e)で求めた試料中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

V

1

:  6.2(2)(a)で用いた試料 (ml)

V

2

:  (1.3)(a)で用いた試料 (ml)

(2)

イオン電極法  試料液を蒸留処理し,緩衝液(全イオン強度調節液)を加えて pH を 5.0∼5.5 に調節

して,ふっ化物イオン電極を指示電極として電位を測定し,ふっ化物イオンを定量する。

定量範囲:F

:0.1∼100mg/l,繰返し分析精度:変動係数で 5∼20%

(2.1)

試薬  試薬は,次のものを用いる。

(a)

緩衝液 (pH5.2)    水 500ml に JIS K 8355 に規定する酢酸 57ml,JIS K 8150 に規定する塩化ナトリ

ウム 58g,1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸一水和物 4g を加えて溶かし,水酸化ナトリウム溶

液 (200g/l)  を滴下し,pH 計を用いて pH を 5.0∼5.5 に調節した後,水を加えて 1とする。


8

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(b)

ふっ化物イオン標準液 (100mgF

/l

  6.3(1)(1.1)(g)による。

(c)

ふっ化物イオン標準液 (10mgF

/l

  ふっ化物イオン標準液 (100mgF

/l) 20ml

を全量フラスコ

200ml

にとり,水を標線まで加える。使用時に調製する。

(d)

ふっ化物イオン標準液 (1mgF

/l

  ふっ化物イオン標準液 (10mgF

/l) 20ml

を全量フラスコ 200ml

にとり,水を標線まで加える。使用時に調製する。

(e)

ふっ化物イオン標準液 (0.1mgF

/l

  ふっ化物イオン標準液 (1mgF

/l) 20ml

を全量フラスコ 200ml

にとり,水を標線まで加える。使用時に調製する。

(2.2)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

電位差計  最少目盛 1mV の高入力抵抗電位差計(例えば,デジタル式 pH-mV 計,拡大スパン付き

pH-mV

計及びイオン電極用電位差計など。

(b)

指示電極  ふっ化物イオン電極

(c)

参照電極  二重液絡形(又は塩橋)参照電極(ダブルジャンクションのスリーブ形参照電極又はセ

ラミックス形参照電極で抵抗の小さいもの。

)内筒液には塩化カリウム溶液(3mol/l∼飽和)を入れ

る。外筒液には塩化カリウム溶液(3mol/l∼飽和)又は硝酸カリウム溶液 (100g/l)  を入れる。

(d)

マグネチックスターラー  回転による発熱で液温に変化を与えないもの。

(2.3)

検量線の作成  検量線の作成は,次のとおり行う。

(a)

ふっ化物イオン標準液 (0.1mgF

/l) 100ml

を 200ml ビーカーにとり,緩衝液 (pH5.2) 10ml を加える

(

9

)

(

9

)

緩衝液 (pH5.2) は,測定時において pH を5.2に調節し,イオン強度を一定に保つとともに

微量金属イオンの妨害を抑制するためのものである。

(b)

これに指示電極(

10

)(

11

)

と参照電極(

12

)(

13

)

とを浸し,マグネチックスターラー(

14

)

を用いて,泡が電極

に触れない程度に強くかき混ぜる

(15

)

(

10

)

指示電極(ふっ化物イオン電極)は,使用時にふっ化物イオン標準液 (0.1mgF

/l)

に浸し,

指示値が安定してから電位を測定する。

(

11

)

指示電極の感応膜に傷がつくと,検量線のこう配(電位こう配)が小さくなり,応答速度

も遅くなるので注意する。

また,指示電極の感応膜が汚れると,反応速度が遅くなるので,エタノールを含ませた

脱脂綿又は柔らかい紙(ティッシュペーパーなど)で汚れをふき取り,水で洗浄する。

(

12

)

参照電極は,抵抗の小さいものを選び,外筒液と同じ溶液中に浸しておく。

(

13

)

内筒液及び外筒液に塩化カリウム飽和溶液を使用する場合には,液温が低下すると塩化カ

リウムの結晶が析出し,固着して抵抗が大きくなることがあるので注意する。

(

14

)

マグネチックスターラーを長時間使用すると,発熱して液温に変化を与えることがあるの

で,液温の変化に注意する。

(

15

)

かき混ぜ速度で電位差計の指示が不安定になる場合には,参照電極の抵抗が大きくなって

いることが多い。

(c)

液温を測り,電位差計で電位を測定する(

16

)

(

16

)

ふっ化物イオン電極の応答時間は,液温10∼30℃の場合には,ふっ化物イオンの濃度が

0.1mgF

/l

で約1分間,1mgF

/l

で約30秒間である。

また,液温が 1℃上昇すると,電位は約 0.2mV 増加する。

(d)

ふっ化物イオン標準液 (1mgF

/l) 100ml

,ふっ化物イオン標準液 (10mgF

/l) 100ml

及びふっ化物イ


9

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オン標準液 (100mgF

/l) 100ml

をそれぞれビーカー200ml にとり,緩衝液 (pH5.2) 10ml を加える。

それぞれのふっ化物イオン標準液 (1∼100mgF

/l)

の液温を(c)での液温の±1℃に調節し(

16

)

(b)

(c)の操作を行って電位を測定する。

(e)

片対数方眼紙の対数軸にふっ化物イオンの濃度を,均等軸に電位をとり,ふっ化物イオンの濃度

(mgF

/l)

と電位との関係線を作成する(

17

)

(

17

)

ふっ化物イオン標準液 (1mgF

/l)

とふっ化物イオン標準液 (100mgF

/l)

との電位の差は,

110

∼120mV (25℃)  の範囲に入り,ふっ化物イオンの濃度0.1∼100mgF

/l

の間の検量線は

直線になる。

(2.4)

操作  ふっ化物イオン濃度の測定操作は,次のとおり行う。

(a)

  6.2(2)

の蒸留操作で得た留出液から 100ml をビーカー200ml にとり,緩衝液 (pH2.5) 10ml を加え,液

温を(2.3)(c)の液温の±1℃に調節する。

(b)

  (2.3)(b)

及び(c)の操作を行って,検量線からふっ化物イオンの濃度 (mgF

/l)

を算出する。

備考1.  イオン濃度計の場合には,ふっ化物イオン標準液 (lmgF

/l)

と,ふっ化物イオン標準液

(100mgF

/l)

を用い,(2.3)(b)及び(c)の操作を行って,イオン濃度計の指示値を1mgF

/l

と100mgF

/l

になるように調節する。さらに,ふっ化物イオン標準液 (0.1mgF

/l)

とふ

っ化物イオン標準液 (10mgF

/l)

を用いてイオン濃度計の指示値を確認する。

2.

イオン電極法では,ふっ化物イオンだけが測定できるので,あらかじめふっ素化合物を

ふっ化物イオンにしてから測定する。蒸留操作で四ふっ化けい素として蒸留した場合は,

ふっ化物イオンと同じ感度で測定できる。

(2.5)

計算  次の式(3)によって,溶出液中のふっ化物イオン濃度を算出する。

1

250

V

A

F

×

 (3)

ここに,

F

溶出液中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

A

(2.4)(b)

で求めた試料中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

V

1

6.2(2)(a)

で用いた試料 (ml)

(3)

イオンクロマトグラフ法  試料液を蒸留処理し,ふっ化物イオンを,イオンクロマトグラフ法を用い

て定量する。

定量範囲:F

1

∼100mg/l,繰返し分析精度:変動係数で 1∼5%(装置,測定条件によって異なる。

(3.1)

試薬  試薬は,次のものを用いる。

(a)

水  JIS K 0101 の 2.(11)(a)(蒸留水)及び(b)(イオン交換水)に規定する蒸留水又はイオン交換水

を再蒸留又はイオン交換処理(

18

)

して精製したもの。空試験を行って使用の適否を確認する。この試

験に用いる試薬の調製及び操作には,この水を用いる。

(

18

)

強酸性陽イオン交換樹脂(ジビニルベンゼン含量8∼12%)を水素イオン形に変換(変換率

99%

以上)したものと,強塩基性陰イオン交換樹脂(I 形)

(ジビニルベンゼン含量6∼8%)

を水酸化物イオンに変換(変換率99%以上)したものとを,体積比で1:2に混合したもの

をカラムに充てん(イオン交換樹脂層の高さが300mm 以上になるようにする。

)し,これ

に蒸留水,又はイオン交換水を通水して精製する。

(b)

溶離液  溶離液は,装置の種類及び分離カラムに充てんした陰イオン交換体の種類によって異なる。

溶離液の種類及び濃度を変え,分離状態を確認し,分離状態の良好なものを用いる(

19

)


10

R 3254-1995

(

19

)

溶離液調製方法の一例を,次に示す。除去カラムを備えた装置では A 液又は B 液を,除去

カラムを備えていない装置では C 液∼E 液を用いる。

A

液[炭酸ナトリウム溶液 (3mmol/l)  ]  JIS K 8625 に規定する炭酸ナトリウム 0.318g

を水に溶かして 1とする。

B

液[炭酸水素ナトリウム溶液 (1.7mmol/l)  +炭酸ナトリウム溶液 (1.8mmol/l)  ]  JIS K 

8622

に規定する炭酸水素ナトリウム 0.143g と,JIS K 8625 に規定する炭酸ナトリウム

0.191g

とを水に溶かして 1とする。

C

液[グルコン酸カリウム溶液 (1.3mmol/l)  +四ほう酸ナトリウム溶液 (1.3mmol/l)  +ほ

う酸溶液 (30mmol/l)  +アセトニトリル溶液 (100g/l)  +グリセリン溶液 (5g/l)  ]  グルコ

ン酸カリウム 0.31g と,JIS K 8866 に規定する四ほう酸ナトリウム十水和物 0.5g と,JIS K 

8295

に規定するほう酸 1.8g と,

JIS K 8032

に規定するアセトニトリル 115ml と,

JIS K 8295

に規定するグリセリン 4ml を水に溶かして 1とする。

D

液[p-ヒドロキシ安息香酸溶液 (8mmol/l)  +ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス

(ヒドロキシメチル)メタン溶液 (3.2mmol/l)  ]  p-ヒドロキシ安息香酸 1.105g とビス(2-

ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン 0.670g を水に溶かして 1l

とする。

E

液[フタル酸溶液 (2.3mmol/l)  +2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール

(2.5mmol/l)

  フタル酸 0.382g と JIS K 9704 に規定する 2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,

3-

プロパンジオール 0.303g を水に溶かして 1とする。

(c)

除去液  除去液は,除去カラムを用いる場合に使用するが,装置及び除去カラムの種類によって異

なる。分離カラムと組み合わせて除去液の性能を確認する(

20

)

(

20

)

除去液の調製方法の一例を示す。

A

液[硫酸 (15mmol/l)  ]  硫酸 (0.5mol/l)  JIS K 8951 に規定する硫酸 30ml を少量ずつ

水 500ml 中に加え冷却後,水で 1とする。

B

液[硫酸 (25mmol/l)  ]  硫酸 (0.5mol/l) 50ml を水で 1とする。

(d)

ふっ化物イオン標準液 (100mgF

/l)

  6.3(1.1)(g)による。

(3.2)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

マイクロシリンジ  10∼100

µl

(b)

イオンクロマトグラフ  イオンクロマトグラフには,分離カラムと除去カラムを組み合わせた方式

のものと分離カラム単独の方式のものとがあるが,イオンクロマトグラフの構成は JIS K 0127 の 4.

(装置の構成)による。

(c)

分離カラム  ステンレス鋼製又は合成樹脂製のものに,陰イオン交換体を充てんしたもの(

21

)

(

21

)

測定条件下でふっ化物イオン標準液 (100mgF

/l)

の一定量を導入してクロマトグラムを求

め,ふっ化物イオンのピークが試料中の水のピークと完全に分離できるものを用いる。

また,定期的に分離カラムの性能を確認するとよい。

(3.3)

操作  ふっ化物イオン濃度の測定操作は,次のとおり行う。

(a)

イオンクロマトグラフの取扱説明書に従って,イオンクロマトグラフを作動できる状態にし(

22

)

,分

離カラム溶離液を一定流量(例えば,1∼2ml/min)で流しておく。除去カラムを必要とする装置で

は,除去液も一定流量で流しておく。

(

22

)

測定条件の例を,次に示す。


11

R 3254-1995

カラムには陰イオン交換体を充てんし,

カラム温度を 20∼40℃,

電気伝導度検出器使用,

溶離液流量 1∼2ml/min,そして除去カラム装備の場合には除去液流量 2∼4ml/min である。

(b)

  6.2(2)

の蒸留操作で得た留出液を一定量分取し,必要に応じて前処理(

23

)

した後,一定量(例えば,

10

∼50

µl の一定量)をマイクロシリンジにとり,イオンクロマトグラフに導入し,クロマトグラム

を記録する。

(

23

)

イオンクロマトグラフでは,試料中の浮遊物や微粒子によって,分離カラムの目詰まりを

起こすことがあるので,そのような場合には,次の方法によって前処理を行う。シリンジ

の先端に孔径0.2∼0.5

µm のディスポーザブルのメンブレンフィルターを取り付けたものを

用いてろ過した後,試料とする。

また,けい素,ナトリウムなどの金属元素が多量に共存する場合には,H

型陽イオン交

換樹脂カラムを使用してあらかじめ取り除く。同様に,塩素などのハロゲン化物イオンが

存在するときには,Ag 型陽イオン交換樹脂カラムを使用して除去した後,試料とする。

(c)

クロマトグラム上のふっ化物イオンに相当するピークについて,ピーク高さ又は面積を測定する。

(d)

検量線から,ふっ化物イオンの量  (

µgF

)

を求め,次の式(4)によって試料中のふっ化物イオンの濃

度 (mgF

/l)

を算出する。

000

1

×

v

a

A

 (4)

ここに,

A

:  ふっ化物イオンの濃度 (mgF

/l)

a

:  検量線から求めたふっ化物イオンの量(

µgF

v

:  試料導入量  (

µl)

(e)

検量線の作成は,次のとおり行う。

ふっ化物イオン標準溶液 1∼20ml を段階的に全量メスフラスコ 100ml にとり,水を標線まで加え

る。この溶液についてイオンクロマトグラフで測定を行い,ふっ化物イオンに相当するピーク高さ

又はピーク面積を求める。別に,空試験として水についても

(a)

(c)

の操作を行い,それぞれのふっ

化物イオンに相当するピーク高さ又はピーク面積を補正した後,ふっ化物イオンの量(

µgF

)とピ

ーク高さ又はピーク面積との関係線を作成する。検量線の作成は,試料測定の都度行う。

(3.4)

計算

  次の式

(5)

によって,溶出液中のふっ化物イオン濃度を算出する。

1

250

V

A

F

×

 (5)

ここに,

F

:  溶出液中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

A

:  式

(4)

で求めた試料溶液中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

V

1

6.2(2)(a)

で用いた試料 (ml)

(4)

計算

  溶出液中のふっ化物イオン濃度の測定値から,次の式

(6)

によってふっ化物イオン溶出率 (gF

/cm

2

・d)  を求め,

JIS Z 8401

によって丸めて有効数字 2 けたとして表示する。

S

t

V

F

q

×

×

×

−3

10

 (6)

ここに,

q

:  ふっ化物イオン溶出率 (gF-/cm

2

・d)

F

:  溶出液中のふっ化物イオン濃度 (mgF

/l)

V

:  溶出試験後の溶出液量  (l)

t

:  溶出試験時間 (d)


12

R 3254-1995

S

:  溶出試験前の試験片の表面積 (cm

2

)

7.

報告

  次の事項について報告する。

(1)

試験項目

(2)

溶出率及び(又は)ふっ化物イオン溶出率

(3)

試験条件(溶出温度,溶出時間,ふっ化物イオン溶出率については,ふっ化物イオンの定量分析法)

(4)

試験片の個数

付表 1  引用規格

JIS K 0101

  工業用水試験方法

JIS K 0127

  イオンクロマトグラフ分析通則

JIS K 8005

  容量分析用標準物質

JIS K 8032

  アセトニトリル(試薬)

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8085

  アンモニア水(試薬)

JIS K 8102

  エタノール (95) (試薬)

JIS K 8150

  塩化ナトリウム(試薬)

JIS K 8223

  過塩素酸(試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8355

  酢酸(試薬)

JIS K 8371

  酢酸ナトリウム三水和物(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8622

  炭酸水素ナトリウム(試薬)

JIS K 8625

  炭酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8799

  フェノールフタレイン(試薬)

JIS K 8866

  四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬)

JIS K 8885

  二酸化けい素(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS K 9005

  りん酸(試薬)

JIS K 9704

  2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(試薬)

JIS Z 8401

  数値の丸め方

関連規格

JIS K 0102

  工場排水試験方法

JIS K 0122

  イオン電極方法通則

JIS K 0124

  高速液体クロマトグラフ分析通則

JIS K 0556

  超純水中の陰イオン試験方法


13

R 3254-1995

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

松  下  和  正

長岡技術科学大学工学部

平  松  博  久

通商産業省生活産業局

倉      剛  進

工業技術院標準部

角  野  広  平

工業技術院大阪技術研究所

河  口  年  安

旭硝子株式会社

河  本  光  喜

株式会社オハラ

三  村  栄  紀

国際電信電話株式会社

沢  登  成  人

株式会社住田光学ガラス

大  西  正  志

住友電気工業株式会社

石  橋  和  史

株式会社ニコン

為  則  裕  之

日本板硝子株式会社

中  川  順  吉

日立電線株式会社

真  田  和  夫

株式会社フジクラ

及  部      晃

古河電気工業株式会社

富  田      豊 HOYA 株式会社

速  水  弘  之

三菱電線工業株式会社

寺  井  良  平

山村硝子株式会社

(事務局)

小  川  博  司

社団法人ニューガラスフォーラム