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R 3107 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。


日本工業規格

JIS

 R

3107

: 1998

板ガラス類の熱抵抗及び建築における

熱貫流率の算定方法

Evaluation on thermal resistance of flat glasses and

thermal transmittance of glazing

序文  この規格は,1994 年に第 1 版として発行された ISO 10292, Glass in building−Calculation of steady-state

U values (thermal transmittance) of multiple glazing

を元に,技術的内容を変更することなく作成した日本工業

規格である。

1.

適用範囲  この規格は,板ガラス類(

1

)

の熱抵抗及び板ガラス類を建築物の外壁部の窓に用いた場合の

熱計算に必要となる熱貫流率[(

2

)

]の算定方法について規定する。

(

1

)

板ガラス類とは,次のものをいう。ただし,型板ガラスなど拡散透過性のガラスは除く。

a)

主としてソーダ石灰けい酸塩ガラスを材料とし,連続成形工程によって製造された板ガラス。

b)  a)

の表面に波長選択反射の光学薄膜を加工したもの,すなわち,熱線反射ガラスなど日射の

波長域の反射ガラス,低放射ガラスなど常温熱放射の波長域の反射ガラスなど。

c)

a)

又は b)を加工した合わせガラス,強化ガラス,倍強度ガラスなど。

d)  a)

c)のガラス板を材料とする複層ガラス。

(

2

)

我が国では従来慣習として“値”と呼ばれているが,ISO 10292 に従って,この規格では“U

値”と呼ぶ。

備考  この規格の熱貫流率は,窓サッシなどの枠にはめ込まれた窓ガラスの中央部分の 値に対応す

るものであって,建築物の熱負荷を計算するに際しては,複層ガラスのスペーサー及び窓枠の

熱橋によるエッジ効果を考慮しなければならない。また,日射がある場合には,それによる熱

負荷を計算しなければならない(JIS R 3106 参照)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS R 3106

  板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法

JIS Z 8202

  量記号,単位記号及び化学記号

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8202 によるほか,次による。

a)

熱コンダクタンス  (thermal conductance)    板ガラス類の両表面間又は,複層ガラスの中空層に接する

2

面間の温度差 1K 当たりの熱流束。


2

R 3107 : 1998

b)

熱抵抗  (thermal resistance)    熱コンダクタンスの逆数。板ガラス類の両表面の間又は,複層ガラスの

中空層に接する 2 面の間に生じる熱流束 1W/m

2

当たりの温度差。

c)

熱貫流率(値,thermal transmittance)  建築物の外壁のガラス窓において,室外側の周囲空気温度

と室内側の周囲空気温度との差 1K 当たりの,1 枚ガラス板又は,複層ガラスの中央部を貫流する熱流

束。

なお,1 枚のガラス板又は,複層ガラスの室外側・室内側の表面の温度とそれぞれの側の周囲空気

温度との差 1K 当たりの熱流束を表面熱伝達率  (thermal transfer coefficient)  と呼ぶ。

また,表面熱伝達率の逆数を表面熱伝達抵抗と呼ぶ。

備考  この定義における理論モデルでは,ガラス表面と熱放射交換する周囲の物体,天空などの温度

は空気温度に等しいものとする。

d)

修正放射率  (corrected emissivity)    複層ガラスの中空層に接する 2 面間の熱放射交換,又は建築の外

周壁における板ガラス類の室外側・室内側の周囲環境との間の熱放射交換におけるガラス板表面の放

射率。

参考  板ガラス及び光学薄膜を加工した板ガラスの表面では,射出角度によって放射率の値が異なる。

一般には,周囲物体との熱放射交換の計算では半球放射率 (hemispherical emissivity) の値が用

いられ,複層ガラスの中空層に接する 2 面間の熱放射交換では有効放射率 (effective emissivity)

と呼ばれる値が用いられる。この規格では,両者を区別することなく,垂直放射率 (normal

emissivity)

の測定値に修正係数を掛けて換算した値を用い,これを修正放射率と呼ぶ。

e)

記号及び単位  この規格で用いる数量の記号及び単位は,次のとおりとする。

c

中空層の気体の比熱 J/

(kg

・K)

d

ガラス板の厚さ又は合わせガラスの中間膜の厚さ m

h

熱コンダクタンス又は表面熱伝達率 W/

(m

2

・K)

R

熱抵抗

K

・m

2

/W

s

中空層の厚さ m

T

絶対温度 K

T

温度差 K

U

熱貫流率 W/

(m

2

・K)

ε

修正放射率

ε

n

 

垂直放射率(面に垂直方向の放射率)

Λ

板ガラスの熱伝導率又は合わせガラスの中間膜の熱伝導率

W/ (m

・K)

λ

中空層の気体の熱伝導率 W/

(m

・K)

µ

中空層の気体の粘度

N

・s/m

2

=kg/ (m・s)

ρ

中空層の気体の密度 kg/m

3

σ

ステファン・ボルツマン定数=5.67×10

8

 W/

(m

2

・K

4

)

無次元数

Gr

グラスホフ数

Nu

ヌセルト数

Pr

プラントル数


3

R 3107 : 1998

添え字

e

室外側

i

室内側

g

中空層の気体

m

平均

n

垂直

r

放射

s

中空層

4.

熱抵抗及び熱貫流率の求め方  板ガラス類の熱抵抗は,構成するガラス板の熱伝導抵抗と中空層の熱

抵抗の合計によって求める。熱貫流率は,熱抵抗に表面熱伝達抵抗を加えた値の逆数とする。

4.1

基礎式  板ガラス類の熱抵抗 は,次式によって求める。右辺の第 1 項は中空層の熱抵抗であって,

1

枚のガラス板ではこれを 0 とする。第 2 項はガラス板の熱伝導抵抗である。

å

å

Λ

+

=

M

N

d

h

R

m

m

s

1

 (1)

ここに,

h

s

中空層の熱コンダクタンス

N

中空層の数

M

構成するガラス板の枚数。合わせガラスでは,それを構成す
るガラス板と中間膜の枚数を含める。

d

m

構成するガラス板の厚さ又は合わせガラスの中間膜の厚さ

Λ

m

構成するガラス板の熱伝導率又は合わせガラスの中間膜の
熱伝導率

中空層の熱コンダクタンス h

s

は,次式によって求める。

h

s

h

r

h

g

 (2)

ここに,

h

r

:  放射熱コンダクタンス

h

g

:  気体の伝導と対流による熱コンダクタンス(気体熱コンダク

タンス)

ガラス窓におけるガラス中央部分の熱貫流率 は,式(1)によって求めた を用い,次式によって計算す

る。

i

e

1

1

1

h

R

h

U

+

+

=

(3)

ここに,

h

e

室外側の表面熱伝達率

h

i

室内側の表面熱伝達率

4.2

放射熱コンダクタンス  中空層の放射熱コンダクタンス

h

r

は,次式によって求める。

3

m

1

2

1

r

1

1

1

4

T

h

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

=

ε

ε

σ

(4)

ここに,

σ

ステファン・ボルツマン定数=

5.67

×

10

8

W/ (m

2

K

4

)


4

R 3107 : 1998

ε

1

ε

2

中空層に接する二つのガラス面の修正放射率[3.d)
照]

T

m

中空層に接する二つのガラス面の絶対温度の値の平均

備考

中空層の気体が常温の熱放射の波長域

5

50

µ

m

に吸収帯をもつときには,

h

r

の値が式(4)で計算

した値より小さくなる。しかし,一般の複層ガラスの中空層の厚さの気体の吸収率は小さいこ

とが多いので,このような場合にも式(4)を用いる。

4.3

気体熱コンダクタンス

a)

中空層の気体熱コンダクタンス

h

g

は,次式によって求める。

s

C

h

λ

=

g

(5)

ここに,

s

中空層の厚さ

 (m)

λ

気体の熱伝導率

 [W/ (m

K)]

C

対流効果係数

対流効果係数

C

は,中空層の気体のヌセルト数

Nu

の大きさに応じて次に示す数値とする。

Nu

1

のとき

C

1

Nu

1

のとき

C

Nu

参考

C

1

では,式(5)は対流がない状態の熱伝導による熱コンダクタンスとなる。

b)

中空層の気体のヌセルト数

Nu

は,次の式によって計算する。ただし,

Nu

の値が

1

以下であることが

既に明らかであるときには,この計算を省略することができる。

Nu

A

  (

Gr

Pr)

n

(6)

ここに,

A

n

中空層の傾斜角と熱流方向によって決まる数値

Gr

グラスホフ数[式(7)によって求める。

Pr

プラントル数[式(8)によって求める。

2

m

2

3

81

.

9

µ

ρ

=

T

ΔT

s

Gr

(7)

λ

µ c

Pr

=

(8)

ここに,

T

中空層に接する

2

面間の温度差

 (K)

ρ

気体の密度

 (kg/m

3

)

µ

気体の粘度

 [N

s/m

2

kg/ (m

s)]

c

気体の比熱

 [J/ (kg

K)]

T'

m

中空層の気体の平均温度

 (K)

5.

算定式に用いる数値  上記の 4.に示す算定式による熱抵抗及び熱貫流率の計算において,次に示す数

値を用いる。

5.1

板ガラスの熱伝導率の値  式(1)において,板ガラスの熱伝導率

Λ

1W/ (m

K)

とする。

5.2

放射率の値  式(4)によって中空層の放射熱コンダクタンス

h

r

を計算するための修正放射率

ε

1

又は

ε

2

の値は,それぞれの面の特性に応じて次に示す値とする。

a)

光学薄膜を施した面では,JIS R 3106 の 7.に示す方法によって垂直放射率

ε

n

を求め,

付表 に示す係


5

R 3107 : 1998

数を用いて計算した修正放射率の値とする。

b)

光学薄膜を施してない板ガラスの表面に対しては,垂直放射率

ε

n

0.89

とし,

付表 に示す係数

ε/ε

n

0.94

を用いて修正放射率の値を

0.837

とする。

5.3

気体熱コンダクタンス計算において用いる値

5.3.1

A

及び の値  ヌセルト数

Nu

を計算する式(6)において,

A

及び

n

には,次の値を用いる。

a) 

中空層が垂直で熱流方向が水平の場合

A

0.035

n

0.38

b) 

中空層が水平で熱流方向が上向きの場合

A

0.16

n

0.28

c) 

中空層が

45

°で熱流方向が上向きの場合

A

0.10

n

0.31

熱流方向が下向きのときは,

Nu

1

とする。

5.3.2

気体の物性値  気体熱コンダクタンスを計算する式(5)並びにグラスホフ数

Gr

及びプラントル数

Pr

を計算する式(7)及び式(8)において,中空層の気体の熱伝導率

λ

,密度

ρ

,粘度

µ

,比熱

c

の値には,

付表

2

の値を用いる。

なお,混合気体の物性値

F

は,次式によって計算する。

F

F

1

R

1

F

2

R

2

+・・・・

(9)

ここに,

F

1

F

2

,・・・・:

それぞれの気体の熱伝導率,密度,粘度又は比熱

R

1

R

2

,・・・・:

それぞれの気体の容積割合

備考

付表 に示されていない気体では,それぞれの気体の熱伝導率,密度,粘度,比熱の値を用い

る。

5.4

ガラス面の温度の値及び室外側・室内側の表面熱伝達率の値  放射熱コンダクタンスを計算する式

(4)

及び気体熱コンダクタンスを計算する式(5)におけるガラス面の温度の値及び中空層の気体の温度の値

並びに熱貫流率を計算する式(3)における室外側・室内側の表面熱伝達率の値は,次による。

5.4.1

中空層の熱コンダクタンスの計算に用いる温度及び温度差の値

2

枚のガラス板から成る複層ガ

ラスの場合,中空層の熱コンダクタンスの計算に用いる温度及び温度差に,次の値を用いる。

中空層に接する二つのガラス面の平均温度

T

m

283K

中空層の気体の平均温度

T'

m

283K

中空層に接する二つのガラス面間の温度差

T

15K

3

枚以上のガラス板から成る複層ガラスでは,ガラス板の温度の標準値を定めないので,伝熱理論式の

数値解によって求める。一般的解法として,ガラス板の温度を室外・室内温度間の伝熱系から求める理論

式と,この伝熱系における各部の熱抵抗をガラス板温度の関数とする理論式を連立して,反復循環収束に

よる数値計算で求める。この際,室外・室内周囲温度の標準値は,室外温度を

0

℃,室内温度を

20

℃とす

る。

備考

ガラス板の温度の値を求める理論式は,JIS R 3106 を参照

5.4.2

室外側・室内側の表面熱伝達率  室外側・室内側の表面熱伝達率は,次による。

h

e

室外側表面熱伝達率

 4.9

ε

e

16.3 W/

(m

2

K)

h

i

室内側表面熱伝達率

 5.4

ε

i

4.1 W/

(m

2

K)

ここに,

 

ε

e

ε

i

はガラス表面の半球放射率であって,5.2 による修正放射率の値を用いる。ただし,

常温の熱放射の波長域で高い反射率をもつ薄膜加工品の修正放射率の値は,薄膜面上の
結露がない場合に限って用いる。

備考

この規格に示す表面熱伝達率の値及び計算式は,すべて外壁のガラス窓など垂直位置のガラス

に限られる。もし,それ以外の傾斜角における

U

値を求めるときには,上記の表面熱伝達率で


6

R 3107 : 1998

はなく,それぞれ適切な

h

e

及び

h

i

の値を用いなければならない。

6.

報告  熱抵抗及び熱貫流率の値の報告は,次による。

単位は,熱抵抗は

K

m

2

/W

U

値は

W/ (m

2

K)

とし,いずれも JIS Z 8401 の規定によって有効数字

2

たに丸めた数値で示す。

なお,5.4 に定める標準値によらないときには,室外・室内側の周囲温度及び各ガラス板の温度並びに室

外・室内側表面熱伝達率の値を付記する。

参考

単位

kcal/m

2

h

・℃による値は,この規格による報告値に

0.86

を掛けて求める。

付表 1  修正放射率を垂直放射率から計 

算するための係数

修正放射率

ε

は,垂直放射率

ε

n

に係数

ε

/

ε

n

を掛けることによって求める。

垂直放射率

ε

n

係数

ε

/

ε

n

0.03 1.22

0.05 1.18

0.1 1.14

0.2 1.10

0.3 1.06

0.4 1.03

0.5 1.00

0.6 0.98

0.7 0.96

0.8 0.95

0.89 0.94

表に示される

ε

n

の刻みの中間における係

数は,刻み間を直線とした内挿で求める。


7

R 3107 : 1998

付表 2  気体の物性値

気体

温度

θ

密度

ρ

kg/m

3

粘度

µ

10

−5

kg/ (m

・s)

熱伝導率

λ

10

−2

W/ (m

・K)

比熱  c

10

3

J/ (kg

・K)

空気

−10 1.326

1.661

2.336

1.008

 0

1.277

1.711

2.416

+10 1.232

1.761

2.496

+20 1.189

1.811

2.576

アルゴン

−10 1.829

2.038

1.584

0.519

 0

1.762

2.101

1.634

+10 1.699

2.164

1.684

+20 1.640

2.228

1.734

SF

6

−10 6.844

1.383

1.119

0.614

 0

6.602

1.421

1.197

+10 6.360

1.459

1.275

+20 6.118

1.497

1.354

クリプトン

−10 3.832

2.260

0.842

0.245

 0

3.690

2.330

0.870

+10 3.560

2.400

0.900

+20 3.430

2.470

0.926


8

R 3107 : 1998

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

藤  井  正  一

芝浦工業大学

境  野  照  雄

東京工業大学

宿  谷  昌  則

武蔵工業大学

富  田  育  男

通商産業省生活産業局

岡  林  哲  夫

工業技術院標準部

稗  田  祐  史

建設省住宅局

倉  山  千  春

建設省建築研究所

黒  木  勝  一

財団法人建材試験センター中央研究所

小  野  博  保

住宅・都市整備公団

鈴  木  邦  臣

社団法人建築業協会

宍  道  恒  信

社団法人新日本建築家協会

松  本      巌

全国板硝子卸商業組合連合会

広  田      稔

全国板硝子工事協同組合連合会

杉  山  四  郎

全国板硝子商工協同組合連合会

安  田  健  治

全国複層硝子工業会

井  田  全  彦

旭硝子株式会社

相  澤  一  弘

日本板硝子株式会社

石  川  友  久

セントラル硝子株式会社

滝  川      信

板硝子協会

三  好  俊  二

板硝子協会

(事務局)

山  下  義  嗣

板硝子協会

(○印は小委員会委員)