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R 1803

:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


R 1803

:2005

(2)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  測定法の概要 

2

5.

  サーモグラフィの選択 

3

6.

  遠赤外ヒータの放射素材の分光放射率 

3

7.

  測定準備

3

7.1

  測定環境 

3

7.2

  測定器材の配置

3

7.3

  ヒータ形状・寸法の確認 

4

8.

  測定

4

8.1

  ヒータ入力の測定

4

8.2

  表面温度測定 

4

9.

  放射エネルギーの算出 

5

9.1

  全波長域放射エネルギー 

5

9.2

  特定波長帯域の放射エネルギー

5

9.3

  入力エネルギーに対する割合

5

10.

  測定結果 

5

 


日本工業規格

JIS

 R

1803

:2005

遠赤外ヒータの遠赤外域における

分光放射エネルギーの測定方法

Method for the spectral radiant energy measurement of far infrared heaters

specified in the far infrared region

序文  加熱・乾燥及び暖房用の装置・器具に用いる遠赤外ヒータは,主として遠赤外波長域の放射エネル

ギーによって熱伝達を行うヒータであるが,ヒータ表面の放射素材,ヒータ形状,構造及び寸法によって,

放射エネルギーとして利用できる割合が異なり,

更に波長帯域ごとの放射エネルギーの分布も様々である。

そのため実際のヒータについて,任意の波長帯域別に放射エネルギーを測定する方法が求められていた。

この規格で定める方法は,ヒータの放射素材の分光放射率が得られていることを前提として,実際に高

温状態にあるヒータの赤外線サーモグラフィ(以下,サーモグラフィという。

)画像を撮影し,画素ごとに

得られた輝度温度値を基に計算処理を施して放射エネルギーを求め,これを全画素について積算すること

でヒータの規定面積全体からの放射エネルギーを算出するものである。また,同時にこの放射エネルギー

を任意波長帯域別に分けて求めることもできる。

なお,この規格は,サーモグラフィ画像撮影に関する規定,その後の分光放射率データを用いた計算の

原理的方法と具体的手順とからなる。

1. 

適用範囲  この規格は,遠赤外ヒータの任意波長域ごとの放射エネルギーを,サーモグラフィによる

ヒータ表面温度分布の測定結果から求める方法について規定する。ただし,この方法はヒータ放射部材の

分光放射率が,既に JIS R 1801 などで測定されており,ヒータの有効な放射面が透過を無視できる素材で

構成され,かつ,画素の視野から見た表面が平たんな放射表面であるヒータについてだけ適用される。

なお,この規格でいう遠赤外ヒータとは,反射板などのヒータに付帯する部分を除いたヒータ個体部分

とする。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS R 1801

  遠赤外ヒータに放射部材として用いられるセラミックスの FTIR による分光放射率測定

方法

JIS Z 8113

  照明用語

JIS Z 8117

  遠赤外線用語

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8113 及び JIS Z 8117 によるほか,次による。

a) 

画素  画像を構成する最小の単位。


2

R 1803

:2005

b) 

放射輝度  ある方向の単位立体角について単位面積当たりの放射強度(W・m

2

・sr

1

c) 

輝度温度  特定の波長又は波長帯において測定物体の放射輝度に等しい放射輝度をもつ黒体の温度。

d)

放射温度  輝度温度を放射率で補正した物体表面温度。

e) 

放射束  単位時間当たりの放射エネルギー(W)。

f) 

放射発散度  単位面積から発散される放射束(W・m

2

g) 

分光放射率  放射率を各波長成分の関数として表したもの。

h)

サーモグラフィ  物体が放射する赤外放射を利用し,物体表面の熱分布を,ディスプレイ上に可視像

として表示する装置。

4. 

測定法の概要  測定は,図 の手順によって放射エネルギーを算出することから成る。

a) 

ヒータ入力の測定  8.1 によって測定する。

b) 

ヒータ表面温度分布の測定  ヒータ表面温度分布の測定は,次による。

1) 

サーモグラフィによって温度分布画像を取得する。

2) 

次に温度分布画像から有効な放射領域を抽出し,画素ごと又は等温度領域ごと(以下,特に混乱の

おそれのない場合,これらを「画素ごと」という。

)の輝度温度データを取得する。

3) 

さらにヒータ放射部材の分光放射率を用いて,画素ごとの輝度温度を放射温度に換算する。

c) 

放射エネルギーの算出  放射エネルギーの算出は,次による。

1) 

得られた放射温度から,ヒータ放射部材の分光放射率を用いて,画素ごとの,全波長域にわたる放

射エネルギーを算出する。

2)

この値を全画素につき積分し,ヒータの有効な放射領域全体からの全波長域放射エネルギーを算出

する。

3) 1)

2)と同様の手順を任意の波長域に対してそれぞれ適用し,ヒータからの各帯域別放射エネルギ

ーを算出する。

4) 

入力エネルギーに対する全波長域と帯域別放射エネルギーとの割合を算出する。

  1  測定手順の概要

a)

ヒータ入力の測定

b)

ヒータの表面温度分布の測定

  ・画像取得

  ・画像処理

  ・画素ごとに放射温度への換算

c)

放射エネルギーの算出

  ・全波長域

  ・波長帯域別

  ヒータの

分光放射率


3

R 1803

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5. 

サーモグラフィの選択  サーモグラフィは,波長感度領域がおおよそ 8∼14

µm のもので,国家標準

に基づいて校正された黒体炉で校正された温度目盛スケールをもち,数値化した出力が得られ,画像処理

機能又は画像処理ソフトをもつものを使用する。

なお,装置の性能としては,次の仕様をもつものが望ましい。

a) 

測定温度範囲:室温∼900  ℃

b) 

温度分解能:0.2  ℃以下

c) 

測定視野角:25°(水平)×20°(垂直)

d) 

有効画素数:320(水平)×236(垂直)以上

e) 

分光感度:8∼14

µm の範囲で分光感度域が明らかになっているもの

f) 

画像データ:12 ビット以上/1 画素

6. 

遠赤外ヒータの放射素材の分光放射率  遠赤外ヒータの放射素材の分光放射率は,ヒータの有効な放

射面と同じ素材について,試料温度が 200  ℃以上において,2.5∼25

µm を含む波長領域に対し測定された

データを使用する。

7. 

測定準備

7.1 

測定環境  測定環境は常温の室内とし,試料面の温度を安定に保つため,室内空気を乱す機器を遠

ざけ,静穏な状態で測定する。

なお,参考データとして室温を記録する。

7.2 

測定器材の配置  サーモグラフィの光学部は,ヒータ画像が画面中央で適切な大きさになるような

位置で,画像の輪郭がゆがまないよう鉛直方向に設置する。

なお,測定対象のヒータからの距離 L

1

は最大でも 2 m 以内とする。

測定対象のヒータは,

図 のとおり水平に配置し,ヒータから見て鉛直方向からの測定を基本とする。

また,床面からの距離 L

2

は 0.2 m 以上とすることが望ましい。

なお,ヒータ個体部分からの放射が測定可能となるよう,反射板など付帯する部分は取り除く。

  2  測定機材の配置

L

1

L

2

ヒータ

サーモグラフィ

画像視野

床  面


4

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7.3 

ヒータ形状・寸法の確認  放射に有効な部分について寸法を確認する。このとき平板状ヒータの場

合は補強のための金具部分,棒状ヒータの場合では端子部分は有効な部分から除く。このほか参考のため

全体形状を記録する。

8. 

測定

8.1 

ヒータ入力の測定  ヒータ入力は,製造業者の指定した定格値を基本とする。ただし,実用状況を

勘案し定格入力以下の適切な入力を選定してもよい。入力測定は,電気式ヒータでは電圧・電流計を用い

るなど,通常の方法によって適切に行い,参考として定格値を記録する。

なお,ガス式ヒータの場合は入力量を算出するため,ガスの種類,流量を記録することが望ましい。

8.2 

表面温度測定

8.2.1 

サーモグラフィの設定  サーモグラフィの設定は,次による。

a) 

放射率補正機能の放射率値は 1 とする。

b) 

電源投入後,製造業者が指定している時間待機し,装置を安定させる。

c) 

鮮明な画像が得られるよう,焦点をヒータ表面に正しく合わせる。

8.2.2 

画像データの取得  ヒータへの入力投入開始後,サーモグラフィで定点の温度を監視し,試料温度

が十分に安定したことを確認した後,画像データを取得する。このときヒータの有効放射領域が明確にな

るよう画像の温度領域を調整する。

8.2.3 

画像処理  画像に解析対象となる有効な放射領域を設定し,画素ごとに数値化した輝度温度デ−タ

を取得する。領域の設定に際してはヒータの形状に十分留意し,ヒータの形状・寸法との整合を確認する。

8.2.4 

放射温度への換算  得られた画素ごとの輝度温度は,ヒータ放射部材の分光放射率を用いて,各画

素に対応するヒータ部分の放射温度に換算する。この換算は,次の手順で行う。

a) 

式(1)を用いて画素ごとに,温度測定値(輝度温度)と等価な黒体放射輝度を求める。

λ

λ

λ

λ

d

T

N

T

N

)

,

(

)

(

m

2

1

b

m

ò

=

 (1)

ここに,

T

m

温度測定値(輝度温度)(K)

N(T

m

)

輝度温度 T

m

に相当する黒体放射輝度(W・m

-2

・sr

-1

λ

波長(

µm)

λ

1

λ

2

サーモグラフィの波長検出帯域のそれぞれ短、長波長
境界(

µm)

N

(

λ

,T

)

式(2)で表されるプランクの分光放射輝度

(

λ

,T)

おいて,T=T

m

の場合を示す。

  なお,以下において N

(

λ

,T

)

などの表現も同様の

意味をもつ。

)}

1

))

/(

(exp(

/{

)

/

(

)

,

(

2

1

b

=

T

C

C

T

N

5

λ

λ

π

λ

 (2)

ここに,

C

1

プランクの第 1 定数(3.7418×10

8

    W・

µm

4

・m

-2

C

2

プランクの第 2 定数(1.4382×10

4

µm・K  )

b) 

一方各画素に対応したヒータ各部の放射温度を T

h

とすると,そこからの放射輝度 GT

h

)は,次の(3)

式で求める。

ò

=

2

1

)

,

(

)

(

)

(

λ

λ

λ

λ

λ

ε

d

T

N

T

G

h

b

h

(3)


5

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ここに,

ε

(

λ

)

ヒータの放射素材の分光放射率。

c)

式(1)の放射輝度 NT

m

)と式(3)の放射輝度 GT

h

)とは,等しくなければならないから,

ò

ò

=

2

1

h

b

2

1

m

b

)

,

(

)

(

)

,

(

λ

λ

λ

λ

λ

λ

λ

ε

λ

λ

d

T

N

d

T

N

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)

となる。これを解いて T

h

を求める。

9. 

放射エネルギーの算出

9.1 

全波長域放射エネルギー  式(5)によって画素ごとに放射エネルギーを計算し,これを全画素につい

て積算してヒータの全放射エネルギーを算出する。ここで,波長の積分範囲は分光放射率データとして得

られている範囲とする。

å

å

×

=

=

)

(

n

h

a

W

W

W

 (5)

λ

λ

λ

ε

λ

d

T

W

W

)

,

(

)

(

h

ò

=

 (6)

)

,

(

)

,

(

h

b

h

T

N

T

W

λ

π

λ

=

 (7)

ここに,

W

h

ヒータの全放射エネルギー(

W

W

n

画素ごと又は等温度領域ごとの放射エネルギー(

W

W

画素ごと又は等温度領域ごとの放射発散度(

W

m

2

W(

λ,T

h

)

温度

T

h

の黒体の分光放射発散度(

W

m

2

µm

1

T

h

画素ごと又は等温度領域ごとの微小面積の温度(

K

a

画素又は等温度領域に相当する微小面積(

m

2

i

画素又は等温度領域の番号,なお,各画素ごとの因子には,
煩雑を避けるため,添え字

i

を付していない。

9.2 

特定波長帯域の放射エネルギー  ヒータ放射部材の分光放射率を用いて,任意の波長域に区切って

帯域別の放射エネルギーを算出することができる。

放射エネルギーの算出は式

(5)

を使用し,波長の積分範囲は指定した波長帯域とする。

なお,波長帯域の区分は特に定めず,任意に設定するものとする。

9.3 

入力エネルギーに対する割合  入力エネルギーが既知の場合,式

(8)

によって入力エネルギーに対す

る放射エネルギーの割合を全波長域及び各波長帯域ごとに算出する。

We

Wh

=

η

 (8)

ここに,

η

入力エネルギーに対する放射エネルギーの割合

Wh

全波長域及び波長帯域別放射エネルギー

(W)

We

入力エネルギー

(W)

10. 

測定結果  測定結果として次の項目を記録する。

a)

遠赤外ヒータの型名

b)

遠赤外ヒータの形状・寸法

c)

試験室の室温及び測定年月日


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d)

定格電力

e)

入力(電圧,電流,電力)

f)

全波長域及び波長帯域別放射エネルギー並びにそれらの入力エネルギーに対する割合

g)

その他必要な事項