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R 1721

:2015

(1)

目  次

ページ

序文

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

2

3  用語,記号及び定義

2

4  基本原理

4

5  装置及び器具

4

5.1  試験機

4

5.2  荷重伝達系(負荷ジグ)

5

5.3  環境槽(チャンバー)

5

5.4  試験片の加熱

5

5.5  伸び計

5

5.6  温度測定

6

5.7  データ収集システム

6

5.8  寸法測定器

6

5.9  ひずみゲージ

6

6  試験片

6

6.1  一般

6

6.2  押し板方式による試験片

7

6.3  グリップつかみ方式による試験片

8

7  試験片の準備

10

7.1  試験片の加工

10

7.2  試験片本数

10

8  試験方法

10

8.1  試験準備(温度制御)

10

8.2  試験準備(圧縮試験)

11

8.3  試験手順

11

8.4  試験の有効性判断

12

9  計算

12

9.1  試験片の方向

12

9.2  圧縮強さ

12

9.3  最大圧縮ひずみ

13

9.4  擬似弾性率及び弾性率

13

9.5  座屈開始応力

14

9.6  試験結果の丸め方

14

9.7  試験結果の表し方

14


R 1721

:2015  目次

(2)

ページ

10  報告

14

附属書 A(参考)座屈の評価及び判定

16

附属書 JA(参考)試験機及びジグのアライメント評価方法

17

附属書 JB(参考)押し板方式における座屈防止ジグの使用

21

附属書 JC(参考)JIS と対応国際規格との対比表

23


R 1721

:2015

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本ファインセラミックス協会

(JFCA)及び国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)から,工業標準原案を具して日本工業規

格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規

格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 R

1721

:2015

長繊維強化セラミックス複合材料の高温における

圧縮特性の試験方法

Testing method for compressive behavior of continuous fiber-reinforced

ceramic composites at elevated temperature

序文

この規格は,2013 年に第 1 版として発行された ISO 14544 を基とし,我が国の実状に合わすため,技術

的内容を一部変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JC に示す。

長繊維強化セラミックス複合材料(炭素繊維強化炭素複合材料を含む。

)は耐熱性に優れ,各種産業分野

における高温部材として幅広く適用されている。長繊維強化セラミックスを高温部材として使用する場合

には,高温における圧縮挙動が材料データ及び部品設計データとして重要になる。この規格は,長繊維強

化セラミックス複合材料の高温における圧縮挙動の測定について,客観的かつ容易に再現が可能な試験方

法を提供し,長繊維強化セラミックス複合材料を利用する諸工業の発展に寄与することを目的として制定

された。

1

適用範囲

この規格は,室温を超え 2 000  ℃以下の高温における大気中,不活性雰囲気中又は真空中での長繊維強

化セラミックス複合材料(炭素繊維強化炭素複合材料を含む。

)の圧縮特性試験方法について規定する。こ

の方法は,一方向(1D)

,二方向(2D)及び三方向(xD)の連続繊維で強化された全ての長繊維強化セラ

ミックス複合材料に対する材料主軸方向の高温における圧縮試験に適用できる。

この規格は,次に示す二つの試験方法を規定する。

a)  押し板(プラテン)方式による圧縮試験方法 
b)  グリップつかみ方式による試験方法

注記 1  面外方向の強化繊維が垂直に配向していない場合,三方向(3D)強化でなく,方向強化(2

x≦3)と呼ばれることがある。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 14544:2013,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Mechanical

properties of ceramic composites at high temperature−Determination of compression properties

(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。


2

R 1721

:2015

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。その最新

版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 7502  マイクロメータ

注記  対応国際規格:ISO 3611,Geometrical product specifications (GPS)−Dimensional measuring

equipment: Micrometers for external measurements−Design and metrological characteristics(MOD)

JIS B 7721  引張試験機・圧縮試験機−力計測系の校正方法及び検証方法

注記  対応国際規格:ISO 7500-1,Metallic materials−Verification of static uniaxial testing machines−

Part 1: Tension/compression testing machines−Verification and calibration of the force-measuring 
system(MOD)

JIS B 7741  一軸試験に使用する伸び計の検証方法 
JIS C 1602  熱電対

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60584-1:1995 , Thermocouples − Part 1: Reference tables 及 び IEC 

60584-2:1982,Thermocouples. Part 2: Tolerances(全体評価:MOD)

JIS C 1612  放射温度計の性能試験方法通則 
JIS K 7076  炭素繊維強化プラスチックの面内圧縮試験方法 
JIS R 1600  ファインセラミックス関連用語

JIS R 1673  長繊維強化セラミックス複合材料の常温における圧縮挙動試験方法 
JIS Z 8401  数値の丸め方 
ISO 17161,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Ceramic composites−

Determination of the degree of misalignment in uniaxial mechanical tests

3

用語,記号及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600 によるほか,次による。

3.1

試験温度,T(test temperature)

ゲージ部中央における試験片の温度。

3.2

平行部長さ,l(calibrated length)

試験片平行部(断面積が一様かつ最小の部分)の長さ。

3.3

ゲージ部長さ,L

0

(gauge length)

試験片平行部の標点間(任意の 2 点間)における初期長さ。

3.4

均熱域(controlled-temperature zone)

ゲージ部を含む平行部において,最大温度と最低温度の差(温度偏差)が 500  ℃以上の試験では 50  ℃

以内,室温を超え 500  ℃未満では 20  ℃以内である領域。

3.5

初期断面積,A

0

(initial cross-section area)

試験温度における試験片平行部の標点間における初期断面積。表面コーティング層がある場合は,見か


3

R 1721

:2015

けの断面積及び実効断面積の 2 種類の断面積を定義する。

3.5.1

見かけの断面積,A

0,a

(apparent cross section area)

表面の耐酸化コーティング層を含む試験片の初期断面積。

3.5.2

実効断面積,A

0,e

(effective cross section area)

表面の耐酸化コーティング層を除いた試験片の初期断面積。

3.6

長手方向の変位量,ΔL(longitudinal deformation)

圧縮荷重下における標点間のゲージ部長さの減少量。最大荷重での値は,ΔL

c,m

と表記する。

3.7

圧縮ひずみ,ε(compression strain)

標点間における長手方向変位量を,ゲージ部長さで除した値(ΔL/L

0

。最大荷重における圧縮ひずみは,

ε

c,m

と表記する。

3.8

圧縮応力,σ(compression stress)

試験片に加えられた圧縮荷重(外力)を初期断面積で除した値。見かけの圧縮応力及び実効圧縮応力の

2 種類がある。 
3.8.1

見かけの圧縮応力,σ

a

(apparent compression stress)

見かけの断面積(A

0,a

)を用いた場合の圧縮応力。

3.8.2

実効圧縮応力,σ

e

(effective compression stress)

実効断面積(A

0,e

)を用いた場合の圧縮応力。

3.9

最大圧縮荷重,F

m

(maximum compression force)

圧縮試験において記録された試験片破壊時の最大の圧縮荷重。

3.10

圧縮強さ,σ

c,m

(compression strength)

最大圧縮荷重を初期断面積で除した値。表面コーティング層がある場合は,見かけの圧縮強度及び実効

圧縮強度の 2 種類の圧縮強度を定義する。

3.10.1

見かけの圧縮強度,σ

c,m,a

見かけの断面積(A

0,a

)を用いた場合の圧縮強さ。

3.10.2

実効圧縮強度,σ

c,m,e

実効断面積(A

0,e

)を用いた場合の圧縮強さ。

3.11

擬似弾性率,E

p

(proportionality ratio or pseudo-elastic modulus)

応力ひずみ線図の線形部分における傾き。長繊維強化セラミックス複合材料の応力ひずみ線図では,次


4

R 1721

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によって定義する。

a)  応力ひずみ線図に直線部がある場合は,擬似弾性率 E

p

は,式(1)で定義する。

(

)

1

2

1

2

2

1

p

,

ε

ε

=

σ

σ

σ

σ

E

  (1)

ここに,

(ε

1

σ

1

)

及び

(ε

2

σ

2

)

は,応力ひずみ線図の直線部における下限及び上限のひずみ並びに応力で

ある。原点近傍から直線性が認められる場合には,擬似弾性率は,弾性率

E

となる。

b

)

表面コーティング層がある場合は,見かけの弾性率及び実効弾性率の

2

種類の弾性率又は擬似弾性率

を定義する。

3.11.1

見かけの弾性率

見かけの圧縮応力(

σ

a

)を用いた弾性率又は擬似弾性率。

3.11.2

実効弾性率

実効圧縮応力(

σ

e

)を用いた弾性率又は擬似弾性率。

3.12

軸方向ひずみ(

axial strain

指定された場所における試験片表面の長手方向ひずみの平均値(

附属書 JA 参照)。

3.13

曲げひずみ(

bending strain

指定された場所における試験片表裏における長手方向ひずみの差に

1/2

を乗じたもの

附属書 JA 参照)。

3.14

曲げ率(

percent bending

曲げひずみを軸方向ひずみで除した値をパーセント表示したもの(

附属書 JA 参照)。

3.15

座屈開始荷重,F

b

荷重の増加に対して試験片側の長手方向のひずみが,増加から減少に転じたときの荷重。

4

基本原理

規定する形状及び寸法の試験片を試験温度まで加熱後,圧縮荷重を負荷する。試験は,一定のクロスヘ

ッド速度又は一定の変形速度で実施する。荷重及び長手方向変形は,連続的に測定及び記録する。

注記 1

一定のクロスヘッド速度,又は変形速度で実施するため,応力ひずみ挙動が破壊まで線形で

あるときだけ一定の負荷速度となる。

注記 2

破壊するまで試験を行う場合は,ジグを保護するために一定のクロスヘッド変位を用いるこ

とが望ましい。

5

装置及び器具

5.1

試験機

試験機は,試験片に負荷された荷重を測定するシステムを備えており,JIS B 7721 で規定する等級

1

ものを使用する。試験機の精度は,実際の試験条件(圧力,温度)においても有効でなければならない。


5

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5.2

荷重伝達系(負荷ジグ)

負荷ジグは,可動式クロスヘッド,負荷ロッド,グリップ又は押し板(プラテン)で構成する。また,

グリップ,プラテン又は負荷ロッドを接続するために連結部品類も使用する。

負荷ジグは,ロードセルの測定値,及び実際の試験片に負荷される荷重が一致するようにしなければな

らない。また,アライメントシステム又は荷重伝達システムを含む負荷ジグ系は,加熱による変化があっ

てはならない。

荷重システムは,試験片に曲げ又はねじりが発生しないように,負荷方向に対して軸合わせをする。ア

ライメント(軸ずれ)の評価は,ISO 17161

附属書 JA 参照)又は JIS R 1673 の附属書 で規定する方

法によって実施し,曲げ率を測定する。曲げ率の最大値は,

500

×

10

6

ひずみにおいて

5 %

を超えてはなら

ない。

負荷ジグとしては,次の二つの方法がある。

a

)

圧縮用押し板は,荷重計及び可動するクロスヘッドに取り付ける。圧縮用押し板は,負荷方向に対し

て垂直であり,負荷部分の室温における平行度は

0.01 mm

以上でなければならない。

接触圧力を均一にするために,巨視的に不均質な材料の試験では,試験片とプラテンとの間に柔ら

かな材料を挟み込んでもよい。ただし,挟み込む材料は,試験片及びプラテンと化学的に反応しない

材料でなければならない。

座屈が発生するような試験片形状の場合には,JIS K 7076 で規定する

附属書 JB に例示されている

座屈防止ジグを使用してもよい。ただし,座屈防止ジグは,試験片の負荷中に付加的な応力を発生す

るものであってはならない。

注記 1

 1D

及び

2D

の厚さの薄い材料では,座屈が発生しやすいため,この方法は用いない方がよ

い。

b

)

グリップは,試験片をつかみ,荷重を負荷するために使用される。グリップは,試験片を滑らさない

もので,負荷方向に適切な軸合せをしなければならない。

注記 2

グリップ及び押し板は,電気炉の外部又は内部の加熱域のいずれでもよい。

注記 3

グリップ及び押し板が電気炉の外部にある場合,試験片中央部と,試験片とジグの接触部

(つかみ部又は端部)との間に温度差が生じるので注意が必要である。

5.3

環境槽(チャンバー)

不活性雰囲気又は真空中での試験においては,気密な環境槽(チャンバー)を用いる。チャンバーは試

験中に試験片近傍の雰囲気を適切に制御できるものでなければならない。チャンバー内の圧力変動による

荷重の変動が,ロードセルのスケールに対して

1 %

以下でなければならない。

ガス雰囲気中で試験を行う場合は,対象材料及び試験温度に適した雰囲気ガスを選択しなければならな

い。ガスの圧力レベルは,対象材料や温度,雰囲気ガス,及び伸び計の種類などを考慮して決定する。

真空中で試験を行う場合は,対象材料や伸び計ロッドが,化学的・物理的に安定な真空度で試験を実施

する。

5.4

試験片の加熱

試験片ゲージ部内における温度差が,

500

℃以上の試験では

20

℃以内,

500

℃未満では

10

℃以内とな

るように加熱しなければならない。

5.5

伸び計

試験温度において,荷重の関数として長手方向の変形を連続的に測定するために,ひずみゲージ又は伸

び計を用いる。伸び計の直線性は,フルレンジに対して

0.15 %

以下とする。伸び計は,JIS B 7741 に規定


6

R 1721

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するものを使用する。

機械式の接触形伸び計を用いる場合,試験片長手方向の初期標点間距離と一致するようにロッドを取り

付けなければならない。伸び計のロッドは,試験温度及び環境において,ロッド材料の形状変化による変

位測定精度への影響があってはならない。また,ロッド材料は,試験片材料と反応しないものを選択する。

注記 1

可能な限り長いゲージ長さの伸び計を用いることが望ましい。

注記 2

接触点で伸び計が滑らないような最小の接触力とする。また,伸び計の接触力によって,5.2

で規定されている曲げ率を超えることのないように注意する。

電気・光学式伸び計を用いる場合には,試験片に参照マークが必要である。このため,ロッド,フラッ

グなどの基準マークは,試験片の長手方向に対して垂直な試験片表面に取り付ける。これらのマーク間の

距離は,ゲージ部長さに対応する。マークに用いる材料は,試験温度において,試験片の材料と反応せず,

試験片の応力状態に影響を与えないものでなければならない。

注記 3

試験片形状によっては応力集中の原因になるため,試験片に直接マークとなる突起などを加

工する“インテグラルフラグ”の使用は望ましくない。インテグラルフラグを用いる場合は,

試験結果に影響を及ぼさないように形状・寸法などに配慮する。

注記 4

基準マークが十分に認識できない場合,光学式伸び計は望ましくない。

5.6

温度測定

熱電対は,JIS C 1602 に準拠するものを用いる。放射温度計を用いる場合は,JIS C 1612 に準拠して校

正されているものを用いる。熱電対が JIS C 1602 に準拠していない場合,また別の方法で校正された放射

温度計を用いる場合は,試験レポートに校正データを付加する。

5.7

データ収集システム

荷重及び変位データを記録するため,校正された記録計を使用する。

5.8

寸法測定器

試験片の平行部における幅及び厚さ測定に使用する長さ計は,

0.01 mm

の単位まで測定できるもの,又

はこれと同等以上の目量をもつものとする。マイクロメータは,JIS B 7502 に規定するものを使用する。

5.9

ひずみゲージ

ひずみゲージは,室温におけるジグ及び試験片のアライメントを確認するために使用する。ひずみゲー

ジが使用可能な温度であれば,

試験中の試験片長手方向ひずみの測定にも使用できる。

いずれの場合にも,

繊維束の交差のような試験片の表面における局所的な形状などによって影響されないようなゲージ長さと

する。また,ひずみ測定値が,試験片表面状態又は接着剤によって影響されないように十分に注意しなけ

ればならない。

ゲージ長さは,一般に,

2D

及び

3D

材ともに,構造ユニットセル(複合材料の織物周期構造をなす最小

単位)が二つ以上かかるものとする。ひずみゲージ,表面調整及び接着剤は,対象試料に対して適切な試

験ができるように選定するのが望ましく,また,適切なひずみ記録装置を用いるのがよい。

6

試験片

6.1

一般

試験片形状は,材料及び強化体の構造,加熱方法,負荷方法,試験方法などを考慮して選択する。ゲー

ジ部長さは,材料の代表的な値でなければならない。また,平行部長さは座屈破壊が起こらないように決

める必要がある。

注記

試験片平行部の断面積は,構造ユニットセル(複合材料の織物周期構造をなす最小単位)の

4


7

R 1721

:2015

倍以上であることが望ましい。具体的には,平行部の幅は簡単な織物材では

3

繊維束,複雑な

織物材では構造ユニットセル

2

単位を最小とする。厚さは簡単な織物材では

3

層,複雑な織物

材では構造ユニットセル

2

単位を最小とする。

試験片の座屈には,材料の剛性に加えて,試験片の長さと厚さとの比率が大きく影響する。破断前に顕

著な座屈が発生した場合には,試験片の寸法を変更する。

試験片としては,次に示す二つの区別がある。

a

)

長さ方向及び幅方向だけ所定の寸法に加工し,表裏面は,未加工状態である試験片。この場合,試験

片平行部の上下面は未加工面,側面は加工面となる。

b

)

全ての面が加工されている試験片。この試験片では,長さ方向,幅方向及び表裏面方向ともに加工面

となる。

厚さ寸法の許容値は,表裏面も加工された試験片だけに適用する。表裏面が未加工の試験片では,試験

片長手方向の中心及び両端における厚さが,その平均値に対して

5 %

を超えないことが望ましい。

6.2

押し板方式による試験片

1

形試験片の形状及び推奨寸法を

図 1,表 及び表 に,

2

形試験片の形状及び推奨寸法を

図 及び表 3

に示す。

押し板による圧縮試験では,試験片端部における接触力による破壊又は試験片の座屈を防ぐような試験

片形状及び接触面とする。

押し板による圧縮試験において,JIS K 7076 で規定する

附属書 JB に例示されている座屈防止ジグを使

用する場合には,板厚が薄い試験片も使用することができる。この場合には,例えば,

図 1 b

)

及び

表 

示す

1b

形試験片を使用する。

a)  1a 形試験片 

b)  1b 形試験片(座屈防止ジグ併用) 

図 1形試験片の形状


8

R 1721

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表 11a 形試験片の寸法

単位  mm

項目

寸法(1D,2D,xD)

許容差

試験片全長,l

t

≧1.5×l

±0

平行部長さ,l

≧15

±0.5

角柱の 1 辺,d

1

d

2

又は円柱の直径,d

1

≧8

±0.2

加工部分の平行度

0.05

加工部分の直角度

0.05

加工部分の円筒度(円筒の場合)

0.05

表 21b 形試験片の寸法

単位  mm

項目

寸法(1D,2D,xD)

許容差

試験片全長,l

t

77

±0.5

平行部長さ,l

≧38

±0.5

厚さ,h

≧1.5

±0.2

平行部の幅,b

1

13

±0.2

端部の幅,b

2

19

±0.2

肩の丸み半径,r

40

±0.5

加工部分の平行度

0.05

加工部分の直角度

0.5

注記  この試験片は,試験片厚さの薄い板状の材料に対して,座屈防止ジグを使用した圧縮試験

を行うときに用いる。加工部分とは,平行部における厚さ及び幅方向を指す。

図 2形試験片の形状

表 3形試験片の寸法

単位  mm

項目

寸法(1D,2D,xD)

許容差

平行部長さ,l

≧10

±0.5

角柱の 1 辺,d

1

d

2

又は円柱の直径,d

≧10

±0.2

加工部分の平行度

0.05

加工部分の垂直度

0.05

注記  この試験片は,主に,1 形試験片を加工するには材料の厚さが不十分な場合に用いる。

6.3

グリップつかみ方式による試験片

グリップつかみ方式における試験片の全長

l

t

は,電気炉及びグリップ方式に依存する。これらの試験片

は,座屈防止ジグを使用しなくても板状試験片の試験に適用できるが,座屈を引き起こさないように,適

切な試験片の平行部長さ/厚さ(

l/h

)を選択することが必要である。

ダンベル形状である

3

形試験片を

図 及び表 に,

4

形試験片を

図 及び表 に示す。


9

R 1721

:2015

注記

  3

形試験片の平行部長さ(

l

)は

15 mm

以上であるが,座屈が発生した場合には,

15 mm

以下と

してもよい。ただし,この場合には,ひずみ測定は困難となる。

また,ストレート形状である

5

形試験片の形状及び寸法を,

図 及び表 に示す。金属又は

FRP

製のタ

ブを接着する場合,その厚さは一般には

1

3 mm

とする。この試験片は,主に

1D

2D

及び

xD

2

x

3

の試験片に用いられる。

図 3形試験片の形状

表 4形試験片の寸法

単位  mm

項目

寸法(1D,2D,xD)

許容差

平行部長さ,l

≧15

±0.5

厚さ,h

≧1

±0.2

平行部の幅,b

1

≧8

±0.2

つかみ部の幅,b

2

b

2

α

 b

1

α

:1.2∼2)

±0.2

肩の丸み半径,r

≧30

±2

加工部分(b方向)の平行度

0.05

図 4形試験片の形状

表 5形試験片の寸法

単位  mm

項目

寸法(1D,2D,xD)

許容差

平行部長さ,l

≧15

±0.5

厚さ,h

≧2

±0.2

平行部の幅,b

1

8∼20

±0.2

つかみ部の幅,b

2

b

2

α

 b

1

α

:1.2∼2)

±0.2

つかみ部の幅,b

3

b

3

β b

1

β:1.2∼2)

±0.2

肩の丸み半径,r

≧30

±2

加工部分(b方向)の平行度

0.05


10

R 1721

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図 5形試験片の形状

表 6形試験片の寸法

単位  mm

項目

寸法(1D,2D,xD)

許容差

厚さ,h

≧2

±0.2

平行部の幅,b

8∼20

±0.2

加工部分(b方向)の平行度

0.05

注記  この試験片は加工が容易であるが,温度制御域外で破壊することが多いため,主に応力

ひずみ挙動の測定に使用される。

7

試験片の準備

7.1

試験片の加工

母板から試験片を切り出す場合には,繊維方向及び試験片方向の切り出し方向に注意し,切り出した場

所・方向などを記録する。

注記 1

耐酸化コーティングを形成した素材から切り出した場合,切断面はコーティングされていな

い。そのため,切断面には適切な酸化保護を適用する。

注記 2

冷却されたつかみジグを用いる場合,試験温度とつかみジグ温度との間の温度に対する適切

な酸化保護が試験片表面に対して必要となることがある。

7.2

試験片本数

8.4 で要求する有効試験片の本数は,各試験条件に対して少なくとも

5

本以上とする。

注記

通常,

5

本とするが,統計的な評価が要求されている場合は,合理的な本数とするのがよい。

8

試験方法

8.1

試験準備(温度制御)

8.1.1

一般

試験条件に対して,8.1.2 の試験準備を行う。この準備作業は,材料,試験片形状,試験片つかみ部など,

試験条件が変化した場合には随時行わなければならない。

8.1.2

温度分布の測定及び均熱域の決定

試験前に,試験対象温度における炉内の平行部長さにおける温度分布を測定する。試験片長手方向に対

して,少なくとも

3

か所[試験片中央,標点(

2

か所)

]における温度を測定する。また,均熱域を決定す

るためには,ゲージ部の外部の温度も測定する必要がある。

試験温度は,試験片中央の温度となる。ゲージ部内における最大温度と最低温度との差(温度偏差)は,

500

℃以上の試験では

20

℃以内,

500

℃未満では

10

℃以内でなければならない。ゲージ部を含む平行部

において,最大温度と最低温度との差(温度偏差)が

500

℃以上の試験では

50

℃以内,室温を超え

500


11

R 1721

:2015

未満では

20

℃以内である領域を均熱域として決定する。

温度測定は,5.6 に従って行う。熱電対を用いた測定は,試験片厚さ方向の中心の位置に熱電対を埋め込

んだダミー試験片を用いて行う。

注記

温度制御装置で表示される温度と試験片温度との関係は,均熱域での温度分布測定と同時に測

定するのが通常である。

8.2

試験準備(圧縮試験)

8.2.1

試験速度

試験片の破壊まで

1

分間以内とする変位速度を用いる。変位速度及び負荷モードを報告する。試験温度

でのクリープ変形が顕著である場合は試験速度を大きくするべきではあるが,衝撃的な荷重は避けなけれ

ばいけない。

注記

試験片の破壊まで

1

分間以内とするために,ひずみ速度

50

×

10

6

500

×

10

6

 s

1

,応力速度

20

50 MPa/s

,又はクロスヘッド変位速度

0.001

0.05 mm/s

の範囲とすることが一般的である。

8.2.2

試験片の寸法測定

試験片の中心とゲージ部両端の

3

か所における寸法を室温で

0.01 mm

の単位まで測定し,算術平均によ

って断面積を決定する。

試験片に標点測定用マーカが取り付けられている場合,室温でゲージ部長さを±

1 %

の精度で測定する。

ただし,ゲージ部長さ測定誤差よりも,室温と試験温度とにおける熱膨張の方が大きい場合は,ゲージ

部長さは熱膨張の影響を考慮するか,又は試験温度で測定しなければならない。

8.2.3

座屈判定

圧縮試験中に座屈が生じる可能性がある。圧縮試験の有効性を判断するためには,試験条件において座

屈が発生していないことを確認する必要がある。座屈が発生していないことの確認は,材料,試験片形状,

試験片つかみ部など,試験条件が変化した場合には随時行わなければならない。

座屈の発生の確認は,次のいずれかによる。

a

)

二つの伸び計を試験片の表裏に取り付け,座屈の発生を直接的に確認する。ただし,圧縮破断前に座

屈が生じたことが確認された場合は,

9.5 に規定している方法に従い,座屈開始応力も併せて報告する。

b

)

試験温度において二つの伸び計が使用できない場合は,次の方法によって座屈が発生しないことを事

前に確認する。

1

)

室温において試験片表裏のひずみを二つの伸び計又はひずみゲージを用いて測定する。

2

)

厚さの異なる試験片を用いて圧縮強度を測定する。

注記

座屈が発生しないことの事前確認は,

附属書 の手順を参考にするとよい。

8.3

試験手順

8.3.1

試験片の取付け

試験機と試験片との軸を一致させながら,試験ジグに試験片を取り付ける。曲げ,ねじりなどが負荷さ

れないように注意する。

加熱中のアライメントずれを防ぐため,予負荷が必要な場合は,予想される破断荷重に対して

5 %

を超

えてはならない。

8.3.2

伸び計の取付け

伸び計を使用する場合,室温において,平行部に伸び計を取り付ける。伸び計のゼロ調整は,試験温度

において,温度が安定した後に行う。

注記

試験片材料の熱膨張係数が大きい場合,熱膨張の影響をあらかじめ考慮して伸び計をセットす


12

R 1721

:2015

ることが望ましい。

8.3.3

不活性雰囲気の設定

不活性ガス中で試験を行う場合は,あらかじめチャンバー内の空気及び水蒸気を排気しておかなければ

ならない。これは,密閉されたチャンバー内で真空度

10 Pa

以下まで排気するか,又はガス置換をするこ

とで達成できる。

真空中で試験をする場合,真空度は 5.3 による。

8.3.4

試験片の昇温

試験片の温度を試験温度まで加熱する。温度が安定し,また伸び計の出力が安定するまで試験温度に保

持する。温度制御には,次の二つの方法がある。

a

)

試験中に試験片自体の温度を測定している場合は,その温度を温度制御に使用する。

b

)

試験中に試験片自体の温度を測定することが不可能な場合は,8.1 に示されている方法に従い,あらか

じめ測定されている試験片の温度と電気炉の温度との関係を用いる。

試験片が加熱中に初期の応力負荷状態にあることを確認する。

8.3.5

測定

測定は,次による。

a

)

温度及び環境条件(ガス,圧力など)を記録する。

b

)

試験機と伸び計のゼロ調整を行う。

c

)

荷重・長手方向ひずみ(変位)の記録を開始する。

d

)

試験片に荷重を負荷する。

e

)

試験片の最終破壊後,試験機及びデータ収集システムの作動を停止する。

f

)

環境試験の場合は,材料の特性低下が起こらない温度まで雰囲気温度を下げてから試験チャンバーを

開放する。

g

)

ゲージ部中心点からの破断部相対位置を測定して報告する。

h

)

最終破壊前に座屈が生じた場合には,座屈開始荷重を記録する。

8.4

試験の有効性判断

次の場合には,得られた試験結果は無効とする。

a

)

試験条件が記録されていない場合

b

)

試験条件を満足していない場合

c

)

試験片がグリップ部で滑った場合

d

)

グリップ部で圧壊した場合及び端部で圧壊した場合

e

)

伸び計の滑りが生じた場合

f

)

均熱域以外の箇所で破壊した場合

g

)

8.2.3 によって座屈が発生していると判定された場合

9

計算

9.1

試験片の方向

試験片長手方向に対する強化繊維の方向を示す図を,試験結果とともに報告する。

9.2

圧縮強さ

圧縮強さは,式

(2)

又は式

(3)

によって算出する。


13

R 1721

:2015

a

0,

m

c,

a

m,

c,

A

F

σ

=

  (2)

e

0,

m

c,

e

m,

c,

A

F

σ

=

  (3)

ここに,

σ

c,m,a

見かけの圧縮強さ(

MPa

σ

c,m,e

実効断面積に対する圧縮強さ(

MPa

A

0,a

試験片の見かけの断面積(

mm

2

(コーティング層を含む。

A

0,e

実効断面積(

mm

2

(コーティング層を除く。

F

c,m

最大圧縮荷重(

N

9.3

最大圧縮ひずみ

ひずみを直接測定している場合には,最大圧縮荷重

F

m

に対応するひずみ値

ε

c,m

をそのまま用いる。標点

間の変位を測定している場合には,式

(4)

によって算出する。

0

m

c,

m

c,

Δ

L

L

=

ε

  (4)

ここに,

ε

c,m

最大圧縮荷重におけるひずみ

ΔL

c,m

最大圧縮荷重における伸び計で測定された長手方向
の変位量(mm)

L

0

ゲージ部長さ(mm)

9.4

擬似弾性率及び弾性率

a)  荷重・変位線図の線形域における下限(ΔL

1

F

1

)及び上限(ΔL

2

F

2

)の 2 点間における擬似弾性率 E

p

を,

式(5)又は式(6)で算出する。

(

)

(

)

(

)

3

1

2

a

,

0

1

2

0

2

1

a

p,

10

,

Δ

Δ

=

L

L

A

F

F

L

σ

σ

E

  (5)

(

)

(

)

(

)

3

1

2

e

,

0

1

2

0

2

1

e

p,

10

,

Δ

Δ

=

L

L

A

F

F

L

σ

σ

E

  (6)

ここに,

E

p,a

見かけの擬似弾性率(GPa)

E

p,e

実効断面積に対する擬似弾性率(GPa)

F

1

荷重・変位線図上の線形域下限における圧縮荷重(N)

F

2

荷重・変位線図上の線形域上限における圧縮荷重(N)

A

0,a

試験片の見かけの断面積(mm

2

(コーティング層を含む。

A

0,e

実効断面積(mm

2

(コーティング層を除く。

L

0

ゲージ部長さ(mm)

ΔL

1

圧縮荷重 F

1

に対応する長手方向の変位量(mm)

ΔL

2

圧縮荷重 F

2

に対応する長手方向の変位量(mm)

b)  原点から直線性が認められる場合には,弾性率は式(7)又は式(8)で算出する。

3

a

,

0

0

a

10

Δ

=

L

A

FL

E

  (7)

3

e

,

0

0

e

10

Δ

=

L

A

FL

E

  (8)

ここに,

E

a

見かけの弾性率(GPa)

E

e

実効断面積に対する弾性率(GPa)


14

R 1721

:2015

F: 荷重・変位線図上の線形域における圧縮荷重(N)

A

0,a

試験片の見かけの断面積(mm

2

(コーティング層を含む。

A

0,e

実効断面積(mm

2

(コーティング層を除く。

L

0

ゲージ部長さ(mm)

ΔL: 圧縮荷重 に対応する長手方向の変位量(mm)

荷重・変位線図の線形域で複数の測定データを取得した場合には,これらのデータも弾性率の計算

に用いてよい。

c)  応力ひずみ線図に線形域が存在しない場合には,圧縮応力が 0.1  σ

c,m

と 0.5  σ

c,m

とに対応する応力・ひ

ずみ値を用いて式(5)又は式(6)で算出する。

9.5

座屈開始応力

破断前座屈が認められた場合には,座屈開始応力を,式(9)又は式(10)によって算出する。

a

0,

b

a

b,

A

F

σ

=

  (9)

e

0,

b

e

b,

A

F

σ

=

   (10)

ここに,

σ

b,a

見かけの座屈開始応力(MPa)

σ

b,e

実効断面積に対する座屈開始応力(MPa)

F

b

座屈開始荷重(N)

A

0,a

試験片の見かけの断面積(mm

2

(コーティング層を含む。

A

0,e

実効断面積(mm

2

(コーティング層を除く。

9.6

試験結果の丸め方

圧縮強さ,最大圧縮ひずみ及び弾性率に関する各試験結果は個々に算出し,その結果の平均値を JIS Z 

8401 によって有効数字 3 桁に丸める。

9.7

試験結果の表し方

標準偏差及び変動係数は,式(11)によって算出し,JIS Z 8401 によって,有効数字 2 桁に丸める。

(

)

1

2

=

n

x

x

S

  (11)

100

×

=

x

S

CV

ここに,

x: 個々の測定値

S: 標準偏差

CV: 変動係数(%)

: 測定値の平均値

n: 測定値の数

10  報告

試験結果報告書には,次の項目を報告する。

なお,受渡当事者間の協議によって,報告事項を取り決めてもよい。

a)  この規格の番号(JIS R 1721 を使用した旨の記述)


15

R 1721

:2015

b)  試験実施機関の名称及び住所 
c)  試験年月日,報告・ページに対する番号付け,顧客の名称,住所,及び署名(調印)

d)  試験片の形状(図面,規格品) 
e)  試験材料に関する記述(材料,製造番号,バッチ番号,試験片準備工程に関する記述。表面加工をし

た場合は,加工面の表面粗度)

f)  試験片のセット・アップに関する記述[加熱方式,温度測定方法,グリップ方式,荷重方式,伸び計

及びゲージの形式,荷重の伝達方式,曲げ率及び曲げ率評価方法(A 法,B 法)

g)  ゲージ部及び平行部における温度分布

h)  昇温速度,試験温度,変位速度,ひずみ速度又は荷重印加速度 
i)

試験した試験片数,及び有効試験数

j)  荷重−長さ方向変位(ひずみ)記録(必要に応じて)

k)  圧縮応力に関する有効な結果,平均値(正規分布),標準偏差(正規分布),最大圧縮荷重における圧

縮ひずみ,弾性率,可能であれば擬似弾性率,及び座屈開始応力(座屈が生じた場合)

l)

実効断面積を用いる場合の補正係数値及び補正係数を得た方法(例えば,顕微鏡写真など)

m)  記録した全ての試料の破壊位置


16

R 1721

:2015

附属書 A

参考)

座屈の評価及び判定

A.1  室温における予備試験

室温と高温とにおける試験片の剛性が近いと考えられるときは,室温において試験片表裏のひずみを二

つの伸び計又はひずみゲージを用いることによって測定し,座屈の兆候を事前に確認する[式(A.1)参照]

通常,長繊維強化セラミックス複合材料の高温における座屈開始荷重及び圧縮強度は室温に比べて低下

する。このため,高温における圧縮試験は,室温において座屈の兆候が現れていない荷重範囲で実施する。

座屈の兆候が現れていないことの判定は,応力・ひずみ関係が線形の範囲(一般には,0.1∼0.9 σ

c,m

σ

c,m

圧縮強さ)において,表と裏とのひずみの差が,10 %以下となることが目安となる。

1

.

0

''

'

''

'

ε

ε

ε

ε

+

  (A.1)

ここに,

ε': 試験片幅部の表側での圧縮ひずみ

ε'': 試験片幅部の裏側での圧縮ひずみ

円形断面の試験片の場合には,断面の対面でのひずみによって確認する。

A.2  二つの異なる試験片による予備試験

厚さ 及び 2という異なる二つの試験片を準備し,

圧縮試験を行う。

もし,

圧縮強度が異なった場合は,

更に厚い試験片(厚さ 4h)の試験を行う。

厚さの異なる試験片を準備できない場合,規定形状の試験片を用いて伸び計により弾性率を測定する試

験と,規定形状よりも短い試験片を用いて強度を測定する試験を個々に行う。


17

R 1721

:2015

附属書 JA

参考)

試験機及びジグのアライメント評価方法

この附属書は,ISO 17161 を要約して,試験機及びジグのアライメント評価方法の概要を示す。

JA.1

装置及び器具

対象とする圧縮試験に使用する試験機,つかみジグ並びに

図 JA.1 及び表 JA.1 に示す参照試験片を用意

する。参照試験片の材料は,適切な強度をもつ鋼材とする。長方形断面をもつ参照試験片に対して,

図 JA.1

に示すように 8 枚のひずみゲージを接着する。このうち位置 5 には,試験片長手方向及び±45°の 3 軸か

らなる 3 軸ひずみゲージ(ロゼッタゲージ)を貼付する。その他の 7 枚は単軸ゲージとし,いずれも試験

片長手方向に対して平行に貼付する。ひずみゲージのセンサー部は,長さ 4 mm 以下×幅 2 mm 以下とす

る。また,ひずみゲージは,参照試験片のエッジから 2 mm 以上離れた場所に接着する。

単位  mm

図 JA.1−参照試験片の形状及びひずみゲージ貼付位置


18

R 1721

:2015

表 JA.1−参照試験片の形状

単位  mm

項目

寸法

許容差

試験片全長,L

200

平行部長さ(チャック間長さ)

l

100

±0.1

厚さ,h

4

±0.1

平行部の幅,b

18

±0.1

ひずみ測定の精度は,読取値の誤差 0.5 %以内又は 3×10

6

ひずみ以内,分解能は 1×10

6

ひずみ以下で

なければならない。参照試験片に対して,ロードセルの最大容量の 10 %に該当する荷重を負荷する。その

ため,参照試験片に用いた材料の降伏応力は,この時に負荷する応力の 2 倍以上でなければならない。

JA.2

試験手順

それぞれの場所に貼付されたひずみゲージの測定値から,

図 JA.2 に示すような曲げひずみ成分 C,曲げ

ひずみ成分 S,及びねじりひずみ成分を次によって評価する。

a)  曲げ成分 C 

b)  曲げ成分 S 

c)  ねじり成分 

図 JA.2−アライメント(軸ずれ)の成分

a)  ねじりひずみの評価  はじめに参照試験片をチャックし,位置 1 及び位置 2 のひずみ測定値から参照

試験片の長手方向と試験機の荷重軸とが平行であることを確認する。

次に試験片に圧縮荷重を付与し,位置 5 の±45°方向ひずみから(ε

45

ε

45

)=γ

12

を計算し,

JA.3 を用いてねじりひずみの偏差角度φを求める。この値が要求値を満足していない場合は,グリッ

プを調整する。上記の手順を,要求値を満足するまで繰り返し実施する。

b)  曲げひずみ の評価  参照試験片に圧縮荷重を付与する。位置 4 及び位置 5 の長手方向ひずみから(ε

1,4

ε

1,5

)を計算し,

図 JA.4 を用いて曲げひずみ の偏差角度 θ を求める。この値が要求値を満足して

いない場合は,グリップを調整する。上記の手順を,要求値を満足するまで繰り返し実施する。

c)  曲げひずみ の評価  参照試験片に圧縮荷重を付与する。位置 1,2,3,6,7,8 の長手方向ひずみ

から(ε

1,8

ε

1,7

−2×ε

1,3

)及び(ε

1,1

ε

1,2

−2×ε

1,6

)を計算し,

図 JA.5 を用いて曲げひずみ の偏差距

離 を求める。この値が要求値を満足していない場合は,グリップを調整する。上記の手順を,要求

値を満足するまで繰り返し実施する。

d)  最終確認  参照試験片に対して,500×10

6

ひずみ又は材料の降伏応力の 50 %までの荷重を負荷し,

長手方向のひずみ(軸方向ひずみ)を測定する。上述の方法によって,曲げひずみ C,曲げひずみ S


19

R 1721

:2015

の評価及び修正を行う。また,曲げ率を,次の式によって計算する。

曲げ率=(曲げひずみ)/(軸方向ひずみ)×100(%)

JA.3

試験評価手順

以上の作業が終了したら,参照試験片を 180°裏返して,再度同じ手順でねじりひずみ,曲げひずみ C

曲げひずみ を評価し,アライメントを調整する。

図 JA.3−ねじりひずみの偏差角度φと位置 における

ひずみ偏差(ε

45

ε

45

との関係

図 JA.4−曲げひずみ の偏差角度 θ とひずみ偏差(ε

1,4

ε

1,5

の関係


20

R 1721

:2015

図 JA.5−曲げひずみ の偏差距離 とひずみ偏差(ε

1,8

ε

1,7

2×ε

1,3

及び(ε

1,1

ε

1,2

2×ε

1,6

との関係


21

R 1721

:2015

附属書 JB

参考)

押し板方式における座屈防止ジグの使用

この附属書は,押し板(プラテン)方式による圧縮試験において,座屈防止ジグを使用する方法につい

て記述するものであり,規定の一部ではない。

JB.1

座屈防止ジグ

試験片の座屈(面外の曲げ変形)を防止するジグで,JIS K 7076 に例示されているものを用いる。

なお,平行部には

図 JB.1 に示すようなざぐり部を設ける。材質は,鋼又はステンレス製とし,試験中に

塑性変形を生じない材質のものとする。荷重軸と試験片の軸とを一致させるために,

図 JB.1 b)に示すよう

な L 形台座の併用をするのがよい。

JB.2

座屈防止ジグの使用

a) L 形台座及びキ形ジグを組み立て,図 JB.1 b)に示すように試験片を座屈防止ジグで支持する。 
b)  ジグ取付けにおけるボルト・ナットの締付けトルクは,手で軽く締める程度(0.1∼0.15 N・m)とする。 
c)  座屈防止ジグに取り付けた試験片を圧縮板の間に置き,試験片の中心線を圧縮板の中心線に一致させ

る。このとき,試験片の両端が圧縮板と平行であることを確かめる。

座屈防止ジグと試験片との熱膨張係数が異なる場合は,

熱膨張の差によるねじの緩みなどが生じるので,

この点について考慮しなければならない。また,座屈防止ジグと試験片材料との化学反応,材料成分の拡

散などの影響がないことも事前に確認しておく必要がある。

単位  mm

a)  キ形ジグの例 

b)  形台座及びキ形ジグの組立例 

図 JB.1−座屈(面外変形)防止ジグの例


22

R 1721

:2015

参考文献  BRESSERS, J. (ed.) HTMTC−A code of practice for the measurement of misalignment induced

bending in uniaxially loaded tension-compression test pieces. JRC institute for Advanced Materials,

ISBN 92-826-9681-2, EUR 16138 EN (1995)

EN 12291:2003  Advanced technical ceramics−Mechanical properties of ceramic composites at high

temperature in air at atmospheric pressure−Determination of compression properties


23

R 1721

:2015

附属書 JC

参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS R 1721:2015  長繊維強化セラミックス複合材料の高温における圧縮特性の試
験方法

ISO 14544:2013,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−
Mechanical properties of ceramic composites at high temperature−Determination of 
compression properties

 
(I)JIS の規定

(II) 
国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

1  適用 範

炭 素 繊 維 強 化 炭 素 複 合

材 料 を 含 む 長 繊 維 強 化
セ ラ ミ ッ ク ス 複 合 材 料

に つ い て の 圧 縮 試 験 に

ついて規定

 1

長繊維強化セラミック

ス複合材料の常温圧縮
試験について規定

追加

炭素繊維強化炭素複合材料は我が国

での使用が多く,かつ,本試験法を適
用することが妥当であるため,JIS 

炭素繊維強化炭素複合材料を追加し

た。

我が国の実状に合わせたもの

で,実質的な差異はない。 
国際規格見直しの際に提案す

る。

2  引用 規

2

3  用語,
記 号 及 び

定義

3.10.1  見かけの圧縮強
度 
3.10.2  実効圧縮強度

 3

JIS とほぼ同じ

変更

適切な用語を用いた説明に変更した。 実質的な差異はない。

 3.11.1  見かけの弾性率

3.11.2  実効弾性率 
3.12  軸方向ひずみ 
3.13  曲げひずみ 
3.14  曲げ率 
3.15  座屈開始荷重

JIS とほぼ同じ 

追加

JIS の中で使用されているので ISO 
格にない次の用語 3.11.1 見かけの弾

性率,3.11.2  実効弾性率,3.12  軸方

向ひずみ,3.13  曲げひずみ,3.14  曲
げ率及び 3.15  座屈開始荷重を追加し

た。 

国際規格見直しの際に提案す
る。

4  基本 原

4

 一致

 
 

23

R

 172

1


2

015


24

R 1721

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

5  装置 及
び器具

5.2  アライメントの評
価を規定

 5

追加

室温における圧縮試験方法として既

に規格化されている JIS R 1673 にお
いて規定されているアライメント評

価方法を高温圧縮試験においても有

効とするため,ISO 規格にない評価方
法を追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

 5.2

a)  座屈防止ジグの

使用を容認

追加

室温における圧縮試験方法として既

に規格化されている JIS R 1673 にお

いて規定されているため,座屈が発生
しやすい試験片の場合に,座屈防止ジ

グの使用を認めることを追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

 5.6  温度測定

JIS とほぼ同じ

追加

放射温度計の校正手法として JIS C 
1612 
を追記した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

 5.8  寸法測定器

JIS とほぼ同じ

変更

試験片の平行部における幅及び厚さ
測定に用いるマイクロメータの目量

を変更した。

国際規格見直しの際に提案す
る。

 5.9  ひずみゲージの使

用を容認

追加

室温における圧縮試験方法として既

に規格化されている JIS R 1673 と整
合させるため,ジグ及び試験片のアラ

イメントを確認するために,ひずみゲ

ージの使用を認めることを追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

6  試験片 6.1  試験片の形状及び

寸法

6

JIS とほぼ同じ

追加

試験片を準備する際に有益な情報で
あることから,試験片の形状・寸法に

関わる注意事項を記載した。

実質的な差異はない。

 6.2  押し板方式による

試験片

JIS とほぼ同じ

追加

JIS R 1673 で規定されている座屈防
止ジグの使用を認めていることから,
これを使用する場合の推奨試験片(1b

形試験片)を追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

 

24

R

 172

1


2

015


25

R 1721

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

6  試験片 
(続き)

6.3  グリップつかみ方
式による試験片

削除

ゲージ部長さが 15 mm 以下の 3 形試

験片の寸法表は不要なため削除した。

実質的な差異はない。

JIS とほぼ同じ

追加

試験片を準備する際に有益な情報で
あることから,試験片の形状・寸法に

関わる注意事項を記載した。

実質的な差異はない。

8  試験 方

8.2.3  座屈判定

8

JIS とほぼ同じ

追加

座屈が発生していないことの確認方

法について説明を追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

8.3.5  測定

JIS とほぼ同じ

追加

実際に測定する上で有益な情報であ
ることから,測定上の留意事項を追加

した。

国際規格見直しの際に提案す
る。

8.4  試験の有効性判断

JIS とほぼ同じ

追加

実際に測定する上で有益な情報であ

ることから,試験結果が無効となる場
合を追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

9  計算

9.5  座屈開始応力

9

追加

室温における圧縮試験方法として規

格化されている JIS R 1673 と整合さ

せるため,ISO 規格にない項目を追加
した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

9.6  試験結果の丸め方

追加

室温における圧縮試験方法として規

格化されている JIS R 1673 と整合さ

せるため,ISO 規格にない項目を追加
した。

我が国の実状に合わせたもの

で,実質的な差異はない。

9.7  試験結果の表し方

追加

室温における圧縮試験方法として規

格化されている JIS R 1673 と整合さ

せるため,ISO 規格にない項目を追加
した。

我が国の実状に合わせたもの

で,実質的な差異はない。

10  報告

報告事項

10

JIS とほぼ同じ

追加

ユーザーへの便宜のため,報告事項を

受渡当事者間の協議によって取り決

めてもよいことを追記した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

e)   試 験 片 準 備 工 程 に
関する記述

JIS とほぼ同じ 

追加

試験結果報告に当たって有益な情報
であることから,ISO 規格にはない項

目を追加した。

国際規格見直しの際に提案す
る。

25

R

 172

1


2

015


26

R 1721

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

10  報告 
(続き)

k)  座屈開始応力

JIS とほぼ同じ

追加

試験結果報告に当たって有益な情報

であることから,ISO 規格にはない項
目を追加した。

国際規格見直しの際に提案す

る。

附属書 A

(参考)

座屈の評価及び判定

附属書 A

(規定)

JIS とほぼ同じ

変更

ユーザーへの便宜のため。

国際規格見直しの際に提案す

る。

JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14544:2013,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  一致……………… 技術的差異がない。

    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

26

R

 172

1


2

015