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R 1703-1

:2007

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

1

4

  原理

2

5

  試験装置

3

5.1

  器具及び装置 

3

5.2

  試薬

3

5.3

  試験室の温度及び湿度 

3

6

  試験片の準備 

3

7

  試験操作

3

7.1

  試験片の前処理

3

7.2

  水接触角の測定

4

8

  試験結果の計算 

5

8.1

  数値の丸め方 

5

8.2

  接触角の計算 

5

8.3

  試験成立条件 

5

8.4

  限界接触角の決定

6

9

  試験結果の報告 

6

10

  試験測定例 

6


R 1703-1

:2007

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS R 1703

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

R

1703-1

第 1 部:水接触角の測定

JIS

R

1703-2

第 2 部:湿式分解性能


日本工業規格

JIS

 R

1703-1

:2007

ファインセラミックス−

光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法−

第 1 部:水接触角の測定

Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)

Test method for self-cleaning performance of photocatalytic materials

Part 1: Measurement of water contact angle

序文 

屋外に設置する建築材料,道路関連資材などは,長寿命化に伴い美的外観を維持する要求が高く,自然

の太陽光を利用したセルフクリーニング性能を応用した光触媒製品が多数開発されてきた。この規格は,

このようなセルフクリーニング性能を実験室で評価できる客観的な試験方法を提供することで,光触媒材

料の普及に資することを目的として制定された。

適用範囲 

この規格は,平板状の光触媒材料のセルフクリーニング性能に影響を与える指標のうち,水接触角の測

定方法について規定する。ただし,水が染み込んで保持できないような透水性のあるもの,水滴が隠れて

しまうような凹凸をもったもの及び可視光応答形光触媒には適用しない。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0557

  用水・排水の試験に用いる水

JIS K 7100

  プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気

JIS K 9701

  ヘプタン(試薬)

JIS R 1709

  ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源

JIS Z 8101-1

  統計−用語と記号−第 1 部:確率及び一般統計用語

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

光触媒 


2

R 1703-1

:2007

光照射下で,酸化・還元作用によって,汚染物質の分解・除去,脱臭,抗菌,セルフクリーニングなど

の諸機能を発現する物質。機能性ファインセラミックスの一種。

3.2 

光触媒材料 

光触媒の諸機能を利用するため,塗布,含浸,練り込みなどの種々の方法によって光触媒を建築材料及

びその他の材料の表面に担持させたもの。

3.3 

紫外線蛍光ランプ(fluorescent UV lamp 

紫外線領域(波長が 400 nm 未満)の放射が,少なくとも全放射出力の 80  %を占めている蛍光ランプ。

3.4 

セルフクリーニング 

建築材料などの表面に担持された光触媒が,光照射下で,酸化・還元によって表面に付着した汚染物質

を分解する現象,及び同時に光照射下で発現する親水性によって,雨水又は水を掛けたときに,汚れが洗

い流される現象のうち,少なくとも一つ以上を利用して,表面を汚れにくくする機能。

3.5 

親水性 

材料の表面において,水とのぬ(濡)れがよい性質。

3.6 

接触角 

固体,液体及び気体(一般には空気。以下,空気という。

)の接する点から,液体の曲面に接線を引いた

とき,この接線と固体表面とのなす液体側の角度。

注記  水の接触角を水接触角という。

3.7 

初期接触角 

紫外光照射を開始する直前の接触角(紫外光照射 0 時間後の接触角)

3.8 

紫外光照射 時間後の接触角 

紫外光を 時間照射した後の接触角。時間の単位は,時間(h)の他に,日(d)

,分(min)又は秒(s)

を用いてもよい。

3.9 

限界接触角 

光触媒材料に一定の放射照度の紫外光を照射し,最も親水化したときの接触角。

原理 

この試験方法は,試験片の限界接触角を求めることによって,光触媒材料のセルフクリーニング性能を

得るためのものである。まず,試験片の表面に有機物を付着させる(前処理)

。次に,一定の紫外光を照射

する。次に,その過程の接触角を測定し,試験片表面での有機物の分解と親水性の変化とを同時に評価す

るものである。ただし,この前処理が困難なものであって,紫外光照射前の初期接触角が 20°以上のもの

については,前処理しないで限界接触角を求めることもできる。


3

R 1703-1

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試験装置 

5.1 

器具及び装置 

5.1.1

ブラックライトブルー蛍光ランプ  JIS R 1709 に規定するもの。

    注記  一般に,UVA と呼ばれる紫外線を出すランプで 351 nm にピーク放射をもつものであって,可

視光を吸収する青色ガラスを使用した紫外線蛍光ランプを使用することを推奨する。

5.1.2

紫外光照射装置  ランプからの光が,試験片に均一に照射され,周囲からの光を遮断することがで

き,放射照度を調整できるように,試験片又はランプの位置を可動形とする。ランプ反射板を取り付

ける場合は,紫外放射の吸収及び劣化の少ない材料を使用し,試験片位置で放射照度が測定できる構

造とする。

5.1.3

紫外放射照度計  JIS R 1709 に規定するもの。

5.1.4

接触角測定装置  測定範囲 0∼180°,測定読取り 0.1°及び測定精度±1°をもつものとする。試験

片に付着させた液滴形状の画像から θ/2 法によって接触角を計算するもので,着滴一定時間後の接触

角が求められるものとする。

5.2 

試薬 

5.2.1 

オレイン酸  純度(cGC) 60.0  %(質量分率)以上のものとする。 

5.2.2 

ヘプタン  JIS K 9701 に規定する特級のものとする。 

5.2.3 

水  JIS K 0557 に規定の A3 又は A4 に適合するものとする。 

5.3 

試験室の温度及び湿度 

試験室は,JIS K 7100 に規定する標準温度状態 3 級及び標準湿度状態 3 級[温度(23±5)  ℃,相対湿度

(

20

10

50

+

)

%]

,又は JIS Z 8703 に規定する標準温度状態

20

  5

級及び標準湿度状態

65

 10

級[温度

(20

±

5)

℃,相対湿度

(65

±

10)

%]とすることが望ましい。試験結果の報告には,適用した試験室の温度及び湿

度を記録しなければならない。

試験片の準備 

試験片の準備は,次による。

a)

試験片  光触媒材料の平らな部分を

100

±

2 mm

角の大きさに切り取り,これを標準の大きさの試験片

とする。試験片の調製に当たっては,油などの有機物汚染,光触媒材料間の相互汚染などに十分注意

する。試験片は,光触媒材料そのものから採取することが望ましいが,光触媒材料の形状から試験片

の調製が困難な場合は,同じ原料及び加工方法で別途平板上に加工したものから試験片を調製しても

よい。また,光触媒材料を

100

±

2 mm

角に切り取ることが困難な場合,異なる

5

点で接触角を測定す

ることが可能な試験片の形状及び大きさであれば,ここに規定する形状及び大きさ以外の試験片を使

用してもよい。

b)

試験片の数  試験片は,

5

個準備する。

試験操作 

7.1 

試験片の前処理 

7.1.1 

前処理の手順 

試験片の前処理は,次の手順で実施する。ただし,7.1.3 のオレイン酸の塗布が困難なものであって,初

期接触角が

20

°以上のものについては,

7.1.2

及び 7.1.3 の操作を省いてもよい。試験片を取り扱うときは,

疎水性物質などからの汚染を防ぐために,試験片表面を直接触れないように注意する

1)


4

R 1703-1

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なお,7.1.2 及び 7.1.3 の操作を省いた場合は,7.2.3 及び 7.2.4 に加えて,紫外光照射を行わない暗条件の

試験を加えなければならない。暗条件の試験は,試験片の数を

5

個とし,紫外光照射を行わないこと以外

は,7.2.3 及び 7.2.4 と同様の手順で行う。この場合,

“紫外光照射 時間後の接触角”は“暗条件における

時間後の接触角”,“限界接触角”は“暗条件における限界接触角”とそれぞれ読み替えるものとする。

暗条件の試験を紫外光照射の試験と同時に行う場合は,途中の“暗条件における 時間後の接触角”を

求めなくてもよい。すなわち,7.2.2 の初期接触角を求めた後,紫外光照射の“限界接触角”が決定した時

点で暗条件の試験片を取り出して測定し“暗条件における限界接触角”を求めてもよい。

注記

7.1.2

及び 7.1.3 の省略にかかわらず,7.1 の前に,適切な方法によって試験片の表面を洗浄して

もよい。

1)

疎水性物質などからの汚染を防ぐために,ポリエチレン製の手袋などを着用するのがよい。

7.1.2 

有機物の除去 

紫外放射照度計を用いて,試験片面での放射照度が

2.0 mW/cm

2

となるよう調整した紫外光照射装置を用

い,試験片に

24

時間以上の紫外光照射を行う。

7.1.3 

オレイン酸の塗布 

光触媒材料面に,次の a)又は b)によってオレイン酸を塗布する。また,直後に試験を開始しない場合に

は,シリコーングリースを使わないガラス製密閉容器で保管する。

a)

手塗り  光触媒材料面を上にして置き,試験片の光触媒材料面中央付近に

200 µL

のオレイン酸を滴下

した後,不織布製紙を用いて試験片中央付近から放射状にオレイン酸が均一となるように塗り広げる。

その後,過剰なオレイン酸をふき取り,試験片をひょう(秤)量して,オレイン酸の塗布量が

100 cm

2

当たり

2.0

±

0.2 mg

に調製する。

b)

ディップ  オレイン酸をヘプタンに希釈した体積分率

0.5

%の溶液を準備し,試験片をその溶液に沈

め,

60 cm/min

の速度で引き上げた後,

70

℃で

15

分間乾燥する。

7.2 

水接触角の測定 

7.2.1 

放射照度の測定及び試験片設置位置の準備 

紫外光照射装置の床面に紫外放射照度計の受光部を据え付け,

試験片面での放射照度が

1.0

±

0.1 mW/cm

2

となるように調整した紫外光照射装置を用いる。

放射照度を測定するときには,放射照度を安定化させるため,照射装置の光源を

15

分間以上予備点灯し

ておく。

7.1.3 a)

の手塗りの場合は,

2.0

±

0.1 mW/cm

2

とする。

7.2.2 

紫外光照射 時間後の接触角の測定 

前処理後のそれぞれの試験片について,各々,

5

か所の接触角を測定する。この各試験片ごとに測定さ

れた

5

点の接触角測定値の算術平均を,各試験片の“初期接触角(紫外光照射

0

時間後の接触角)

”とする。

水滴を試験片に接触させると,試験片に水滴が移り液滴が形成される。このときの接触角を速やかに測

定する。滴下後,

3

5

秒間が望ましい。滴下する水滴の量は,使用する接触角計の仕様書に従い,適切な

量で測定を行う。

7.2.3 

紫外光照射 時間後の接触角の測定 

試験片に紫外光照射を開始したのち,適切な照射時間の間隔をあけて,それぞれの試験片について,

各々,

5

か所の接触角を測定する。この各試験片ごとに測定された

5

点の接触角測定値の算術平均を,各試験片

の“紫外光照射 時間後の接触角”とする。

図 1 に測定例を示す。

7.2.4 

限界接触角の測定 


5

R 1703-1

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各試験片ごとに,時間的に連続する

3

回の“紫外光照射 時間後の接触角”の JIS Z 8101-1 に規定する

変動係数を求め,

10

%以下であれば,この

3

回の接触角の算術平均を各試験片の“限界接触角”とする。

各試験片の紫外光照射 時間後の接触角が,

5

°以下となった場合には,その時点で測定を終了し,その

ときの接触角測定値を各試験片の“限界接触角”としてもよい。

紫外光照射 時間後の接触角が

5

°以下となった場合には,

5

°以下”と表記するか,又は,丸めの幅:

1

として数値を丸めて,括弧内にその数字を記載する。

例えば,

4.1

°の場合は,

5

°以下”と表記するか,又は,

(4

°

)

”と表記する。

0

10

20

30

40

50

60

70

0

10

20

30

40

50

60

70

80

時間 ( h )

水接触角

 (

°

 )

試験片の前処理(オレイン酸の塗布方法)を,

“ディップ”で行った例。

図 1−測定例 

試験結果の計算 

8.1 

数値の丸め方 

数値の丸め方は,JIS Z 8401 によって,丸めの幅:

0.1

として数値を丸める。ただし,

5

°以下のときは,

7.2.4

に従う。

8.2 

接触角の計算 

各試験片ごとに測定した

5

点の接触角測定値の算術平均を求め,これをその条件における“その試験片

の接触角”とする。

8.3 

試験成立条件 

次の試験成立条件を満たすとき,その試験は有効とみなす。

初期接触角が,

20

°以上[式

(1)

を満たす]でなければならない。

°

20

i

θ

 (1)

ここに,

θ

i

初期接触角(紫外光照射 0 時間後の接触角)

0 10 20 30 40 50 60 70

80

時間(h)

70

60

50

40

30

20

10

0

水接触角(°)


6

R 1703-1

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8.4 

限界接触角の決定 

限界接触角は,次の式によって計算する。

試験片ごとに,時間的に連続する 3  回の紫外光照射 n1,n2,n3  時間後の接触角から平均及び標準偏差

を求め,この変動係数が,10  %以下である場合に,それら 3  回の接触角の算術平均を限界接触角とする。

(

)

3

3

2

1

n

n

n

x

θ

θ

θ

=

 (2)

%

10

x

s

 (3)

x

f

=

θ

 (4)

ここに,

θ

n1

紫外光照射

n

1

時間後の接触角(°)

θ

n2

紫外光照射

n

2

時間後の接触角(°)

θ

n3

紫外光照射

n

3

時間後の接触角(°)

x

連続する 3 回の平均(°)

s

連続する 3 回の標準偏差(°)

θ

f

限界接触角(°)

9  

試験結果の報告 

試験の結果は,次の項目について報告する。

a)

規格番号

b)

試験年月日,温度,相対湿度など

c)

試験片の種類,大きさ,材質及び形状

d)

試薬の製造業者名,等級など

e)

ブラックライトブルー蛍光ランプの製造業者名・形式・ランプ数・ピーク放射の波長

f)

紫外放射照度計の製造業者名・形式

g)

接触角測定装置の製造業者名・形式

h)

有機物の除去方法及び紫外光照射時間

i)

オレイン酸の塗布方法

j)

各試験片の初期接触角

k)

各試験片の限界接触角及びそのときの照射時間

l)

暗条件の試験を行った場合は,各試験片の暗条件における限界接触角及びそのときの試験時間

m

)

必要であれば,各試験片の紫外光照射

n

時間後の接触角

n)

必要であれば,各試験片の暗条件における

n

時間後の接触角

o)

試験状況及び試験後の試験片に関して特記すべき事項

p)

その他都合によって試験条件を変更した場合は,変更点

10 

試験測定例 

試験結果の一例を,

表 1

に示す。

表 1

試験結果の一例 


7

R 1703-1

:2007

5

点の測定値(°)

試験片 1

1 2 3 4 5

θ

n

(°)

x

s

(%)

連続する 3 回の

平均値(°)

0  54.8 55.2 60.6 55.9 47.7  54.8

2  55.9 60.3 60.9 59.2 59.4  59.1

4  57.8 60.2 60.9 62.3 59.3  60.1

4.9

58.0

6  57.4 55.7 58.7 54.9 61.3  57.6

2.1

58.9

24 45.5 27.1 14.8 19.8 16.1  24.7

41.6

47.5

28 48.5 34.2 19.7 23.6 35.0  32.2

45.2

38.2

48 12.8 8.3 9.8

10.0

10.8  10.3

49.7

22.4

72 8.3 7.4 8.2 8.8 7.6  8.1

79.0

16.9

74 7.3 8.2 9.8 7.9 7.5  8.1

14.4

8.8

紫外光

照射時間

(h)

76 9.8 9.7 9.5 8.6 9.3 9.4   8.8

8.5

試験片の前処理(オレインの塗布方法)を,

“ディップ”で行った例。

    試験片 1 の場合

試験成立条件の確認

θ

i

:試験片 1 の初期接触角=54.8

 54.8

≧20  よって,試験成立

限界接触角の決定

θ

n1

:紫外光照射 72 時間後の接触角=8.1 (

n

1

=72)

θ

n2

:紫外光照射 74 時間後の接触角=8.1 (

n

2

=74)

θ

n3

:紫外光照射 76 時間後の接触角=9.4 (

n

3

=76)

x

:上記連続する 3 回の平均=8.5

s

:上記連続する 3 回の標準偏差=0.75

x

s

:上記連続する 3 回の変動係数=8.8  %

θ

 f

:限界接触角=8.5

  そのときの照射時間=76 時間