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R 1697

:2015

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  測定装置  

2

4.1

  装置構成  

2

4.2

  光源部  

3

4.3

  試料部  

3

4.4

  検出部  

4

4.5

  信号・データ処理部  

4

5

  測定装置の校正,点検及び保守  

4

5.1

  一般  

4

5.2

  光源部の波長校正  

4

5.3

  セル及びカバーガラス  

4

5.4

  積分球内壁及び白色拡散板  

5

5.5

  検出部の波長校正  

5

5.6

  分光感度補正  

5

6

  試料 

5

6.1

  保管及び前処理  

5

6.2

  試料のセルへの充塡  

5

7

  測定手順  

5

7.1

  測定環境  

5

7.2

  励起光スペクトルの測定  

5

7.3

  蛍光体試料のスペクトル測定  

6

8

  計算 

6

8.1

  フォトン数基準への変換  

6

8.2

  蛍光スペクトル  

6

8.3

  内部量子効率  

6

9

  報告 

6


R 1697

:2015

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 R

1697

:2015

白色発光ダイオード用蛍光体の積分球を用いた

内部量子効率絶対測定方法

Absolute measurement of internal quantum efficiency of phosphors

for white light emitting diodes using an integrating sphere

適用範囲 

この規格は,白色発光ダイオードに用いられる近紫外から青色の光によって励起され可視光を発する蛍

光体粉体を対象とする,積分球を用いた内部量子効率の絶対測定方法について規定する。

この規格は,緑色,だいだい(橙)色,ピンク色,赤紫色などの発光ダイオードに用いられる蛍光体に

も適用できる。

注記 1  この規格における白色発光ダイオードとは,近紫外から青色の光を発する発光ダイオードと

それらが発する光を吸収して可視光を放射する蛍光体とを備え,これらの光を混合して出力

する光源である。

注記 2  混合色が白色でない発光ダイオードに用いられる蛍光体も,混合色として白色を呈する材料

となり得るため,この規格が適用できる。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 0120

  蛍光光度分析通則

JIS Z 8105

  色に関する用語

JIS Z 8113

  照明用語

JIS Z 8120

  光学用語

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0120JIS Z 8105JIS Z 8113 及び JIS Z 8120 によるほか,

次による。

3.1 

内部量子効率 

蛍光体が吸収した励起光フォトン数に対する蛍光体から自由空間に放射された蛍光フォトン数の比率。

蛍光量子収率と呼ぶこともある。

3.2 

セル 

試料,硫酸バリウムなどの白色粉体を充塡する容器。試料などを保持するための円筒状のくぼみを付け


2

R 1697

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た平板形試料ホルダー,シャーレ,分光蛍光光度計で使用される角形セルなどの総称。

3.3 

レファレンスセル 

励起光スペクトルを測定する際に用いる,硫酸バリウム,アルミナなど,高い拡散反射率をもつ白色粉

体を充塡したセル。

3.4 

白色拡散板 

励起光スペクトルを測定する際に用いる,硫酸バリウム,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの

高い拡散反射率をもつ白色の板。

3.5 

二次吸収 

積分球に取り付けられた試料が,積分球内全方位から間接的に照射される励起光を吸収する現象。試料

に照射された励起光が試料に吸収されずに散乱又は反射し,更に積分球内面で反射を繰り返しながら試料

に再入射することによって起こる。

3.6 

自己吸収 

試料が発する蛍光の一部を試料自身が吸収する現象。

測定装置 

4.1 

装置構成 

光源部,試料部,検出部,信号・データ処理部などで構成する。分光蛍光光度計に積分球を含む試料部

を組み合わせた装置又は光源部と試料部にアレイ形分光検出器を組み合わせた装置が代表的なものである。

測定装置の代表的な構成例を,

図 及び図 に示す。

図 1−測定装置の構成例(分光蛍光光度計タイプ) 


3

R 1697

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図 2−測定装置の構成例(アレイ形分光検出器タイプ) 

4.2 

光源部 

光源部は,光源装置と分光器とで構成する。

発生した励起光は,積分球の励起光導入用開口部から積分球内に導入され,試料などに照射される。試

料などに照射される励起光の大きさは,積分球内に面した試料などの直径より十分小さくする。

4.2.1 

光源装置 

光源,点灯用電源,集光系で構成される励起光を発生する装置であり,それぞれ,JIS K 0120 に規定す

るものを用いる。

4.2.2 

分光器 

励起光の波長を選択し,波長幅を制限する装置であり,JIS K 0120 に規定するものを用いる。励起光ス

ペクトルの半値幅は 15 nm 以下にすることが望ましい。

4.3 

試料部 

セル,積分球などで構成する。

4.3.1 

セル 

積分球内に面した試料の面積が励起光照射面積より十分大きくとれ,法線方向の試料の厚さが 2 mm 以

上確保できる寸法とする。

平板形試料ホルダーの場合はカバーガラスを載せて使用し,シャーレの場合は蓋をして使用する。

カバーガラス,角形セルの少なくとも一つの面,又はシャーレ及びその蓋は,石英ガラス製を用いる。

カバーガラス又は角形セルの透明な面の厚さは 1.25 mm 以下とする。

平板形試料ホルダーの材質は,白色アルミナなどの拡散反射率の高い材料を使用する。

レファレンスセルを用いる場合,蛍光体試料用セルとしてレファレンスセルで使用したものと同種のセ

ルを用いる。

励起光導入用開口部と蛍光体粉体層の間には,カバーガラス,シャーレの蓋又は角形セルの 1 面を構成

する材料以外は存在しないようにする。特に光を吸収する物質が積分球内部又は近傍に存在すると,測定

誤差を与えるので可能な限り排除する。

4.3.2 

白色拡散板又はレファレンスセル 

励起光スペクトルを測定する際,積分球のセル用開口部に,白色拡散板又はレファレンスセルを置く。


4

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4.3.3 

積分球 

内壁が白色拡散反射材料で覆われた球面となっており,励起光導入用開口部,測光用開口部,及びセル

置き場,又はセル用開口部を備える。セル用開口部を備えた積分球を用いる場合,開口部面積の総和は,

積分球内面全体の面積の 10 %未満とする。セル用開口部のない積分球を用いる場合,開口部面積及び試料

面積の総和は,積分球内面全体の面積の 10 %未満とする。内壁材には,測定波長範囲において十分に高い

拡散反射率をもつ硫酸バリウム,PTFE などを用いる。積分球の直径は 60 mm∼150 mm  程度とすることが

望ましい。

特に光を吸収する物質が積分球内部又は積分球開口部近傍に存在すると,測定誤差を与えるので可能な

限り排除する。

セルは,積分球内面上に置くか,セル用開口部に積分球外から押し当てるか,又は挿入する。

積分球は,セルを設置し励起光を照射したとき,反射光,散乱光及び蛍光を含む照射面からの直接光が

検出器によって検出されないような構造とする。またカバーガラスなどのガラス面でのフレネル反射が開

口部を経て積分球外に漏えいすることがないような構造をもつことが望ましい。

4.4 

検出部 

検出部は,入射光学系,分光器,検出器,増幅器などで構成する。

4.4.1 

入射光学系 

積分球の測光用開口部から出射する光を分光器に導入する光学部品であり,測定波長範囲において十分

高い透過率をもつレンズ結像光学系,光ファイババンドルなどを用いる。

4.4.2 

分光器及び検出器 

積分球の測光用開口部から入射光学系を介して取り出した光を分光し,その強度スペクトルに比例した

電気信号に変換する装置。検出器には,光電子増倍管,CCD 検出器など,測定波長範囲で十分な感度をも

つものを用いる。

4.4.3 

増幅器 

検出器からの電気信号を,信号処理において処理しやすい大きさに増幅する。

4.5 

信号・データ処理部 

測定に必要な信号を分離してデータ処理を行い,測定波長ごとの光強度をフォトン数基準又はエネルギ

ー基準で出力するとともにそれらのデータを蓄積する。

測定装置の校正,点検及び保守 

5.1 

一般 

光学測定の正確さを維持するには装置の校正を正しく行い,また各種部品の管理を正しく行って,装置

全体の状態を良好に保つ必要がある。測定装置管理者は,装置製造業者が推奨する日常点検,定期点検を

確実に行わなければならない。また,定期的に装置製造業者の点検を受けることが望ましい。

5.2 

光源部の波長校正 

光源に分光光源を用いる場合は,低圧水銀ランプなどの波長公知の輝線光源,又は波長校正用光学フィ

ルタによって校正された分光器を用いる。

光源にレーザー発振器を用いる場合は,別途波長校正済みの分光器,又は波長計によって発光波長を確

認しておく。

5.3 

セル及びカバーガラス 

セル及びカバーガラスは,きずを付けないよう注意して扱う。きずが付いた場合は新品に交換し,汚れ


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が確認された場合は流水で洗浄する。

5.4 

積分球内壁及び白色拡散板 

汚れ,きず,剝がれ落ちなどがないことを目視検査又は蛍光検査で確認する。測定波長範囲における高

い拡散反射率を損ねるようなきず,汚れなどが確認された場合には,クリーニング,再生又は再塗装を行

うか,新品に交換する。

5.5 

検出部の波長校正 

検出部には,低圧水銀ランプなどの波長公知の輝線光源又は波長校正用光学フィルタによって校正され

た分光器を用いる。

5.6 

分光感度補正 

積分球から検出器までの測定系全体の相対分光感度校正は,分光放射照度標準光源などを用いて行い,

全ての測定スペクトルを相対分光感度校正結果に基づいて補正する。

試料 

6.1 

保管及び前処理 

蛍光体試料は,その特性によって適切な状態で保管し,必要に応じて前処理を行う。一般には,デシケ

ーター中に室温で保管すればよいが,大気中で水分と反応する試料又は紫外線などによって変質する試料

は,グローブボックス,着色瓶などを用い,不活性ガスを封入して保存する。

吸湿しやすい試料の場合は,測定前に真空乾燥器を用いて試料が劣化しない温度で乾燥する。

6.2 

試料のセルへの充塡 

平板形試料ホルダーを使用する場合は,試料ホルダーのくぼみに試料を山盛りに載せて平板で押しつけ

た後,すり切って試料を充塡する。その後,上部にカバーガラスをかぶせる。角形セルの場合は,粉体試

料をセルに入れた後,タッピングして充塡密度を上げ,必要に応じて蓋をする。シャーレの場合は,粉体

試料を入れた後,タッピングなどを行って表面がなるべく平らになるようにならし,蓋をする。

試料層の厚さは,積分球外にセルを設置する場合は励起光の抜けがないような十分な厚さとする。シャ

ーレの場合は,測定結果が大きく変動しない程度に十分な量の試料を入れる。

測定手順 

7.1 

測定環境 

測定装置は室温を保てる環境に設置し,直射日光が当たらないようにするなどして急激な温度変化を避

ける。試料の取扱い及び測定は,室温 10  ℃∼30  ℃,相対湿度 30 %∼70 %で変化の少ない環境で行う。

吸湿性のある試料又は耐久性の乏しい試料は,性状に応じて測定環境を整えるとともに,短時間で測定を

終えるようにする。測定装置は,測定の 30 分以上前に電源を入れておく。

7.2 

励起光スペクトルの測定 

積分球のセル用開口部に,白色拡散板又はレファレンスセルを置く。白色拡散板を用いる場合は,その

上に試料に用いるのと同じカバーガラスを置く。セルとしてシャーレを用いる場合は,空のシャーレに蓋

をして,積分球のセル置き場に設置する。レファレンスセルを用いる場合,蛍光体試料用と同種のセルを

用い,6.2 に準じた方法で白色粉体を充塡する。

積分球の励起光導入用開口部から白色拡散板,レファレンスセル又は空のシャーレに向けて,選択した

波長の励起光を照射し,測光用開口部から出射する光の強度を測定する。波長ごとに光強度を測定し励起

光スペクトルを求める。


6

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励起光強度は,検出器の信号が飽和せず,7.3 において試料の劣化が起きない強度とする。

7.3 

蛍光体試料のスペクトル測定 

積分球のセル用開口部に試料を充塡したセルを押し当てるか又は積分球内のセル置き場にセルを設置す

る。

7.2

と同様にして,励起光を試料に照射し,検出器で光強度を測定し,励起光の散乱光と蛍光からなるス

ペクトルを求める。

計算 

8.1 

フォトン数基準への変換 

7.2

及び 7.3 で測定したスペクトルがエネルギー基準の場合,フォトン数基準に換算しておく。

8.2 

蛍光スペクトル 

7.3

で測定したスペクトルから,7.2 で測定した励起光スペクトルを用いて励起光スペクトル成分を除去

し,蛍光だけのスペクトルを求める。励起光成分の除去は,例えば,次の方法で行う。

方法 1  7.2 で測定した励起光スペクトルに適切な係数を乗じて得たスペクトルを 7.3 で測定したスペク

トルから差し引き,励起光付近が滑らかなスペクトルになるようにする。励起波長付近に凹凸

が生じる場合は,その前後を直線で結ぶなどして凹凸をなくす。

方法 2  励起光付近のベースラインを直線近似する。

8.3 

内部量子効率 

8.3.1 

吸収フォトン数相対値の計算 

7.3

で測定したスペクトルから 8.2 で抽出した蛍光スペクトル成分を差し引くことによって,測定スペク

トルにおける励起光スペクトル成分を抽出する。

次に,この励起光スペクトル成分を,7.2 で測定した励起光スペクトルを白色拡散板又はレファレンスセ

ルの励起波長領域における拡散反射率で除したものから差し引いたスペクトルを求める。このスペクトル

を積分することによって,蛍光体試料が吸収したフォトン数相対値を求める。

8.3.2 

蛍光フォトン数相対値の計算 

8.2

で求めた蛍光スペクトルを積分することによって,試料が発した蛍光のフォトン数相対値を求める。

8.3.3 

内部量子効率の計算 

次の式によって内部量子効率を計算する。

100

×

=

A

F

η

ここに,

η: 内部量子効率(

%

F: 蛍光フォトン数(相対値)

A: 吸収フォトン数(相対値)

なお,当事者間の取決めによって二次吸収補正,自己吸収補正などの補正を行ってもよい。

注記

二次吸収補正方法については,堀込らの文献又は大久保らの文献が,自己吸収補正方法につい

ては,

Ahn

らの文献が参考になる。

報告 

測定結果は,次の事項を報告する。

a)

この規格の番号


7

R 1697

:2015

b)

測定年月日及び測定者

c)

試料名

d)

測定装置の名称及び形式

e)

光源部の波長及び半値幅

f)

検出部の測定波長範囲

g)

内部量子効率及び計算に用いた波長範囲

h)

補正(二次吸収補正,自己吸収補正など)の有無

i)

気温,湿度

必要に応じて次の事項を報告する。

j)

光源の種類

k)

検出部の種類

l)

セルの寸法,材質,試料厚さ,励起光入射角度

m)

積分球の寸法及び材質

n)

白色拡散板,又はレファレンスセルに充塡した白色粉体の材質

o)

白色拡散板,又はレファレンスセルの拡散反射率

p)

励起光スペクトル(エネルギー基準かフォトン数基準かを明示する。

q)

蛍光体試料のスペクトル(7.3 による。

(エネルギー基準かフォトン数基準かを明示する。

r)

蛍光スペクトル(8.2 による。

(エネルギー基準かフォトン数基準かを明示する。

s)

蛍光体試料のスペクトルから励起光成分を除去する方法

t)

a)

s)以外の測定結果に影響する可能性がある事項

参考文献  堀込,和久井,分析化学  58

2009

553.

大久保,中川,照明学会誌  95-8A

2011

431.

T.S. Ahn, R.O. Al-Kaysi, A.M. Müller, K.M. Wentz and C.J. Bardeen, Rev. Sci. Instrum.

78

2007

086105.