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R 1696

:2014

(1) 

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  測定原理  

2

5

  測定装置及びプローブ  

2

6

  試験片  

3

6.1

  標準試験片  

3

6.2

  試験片の形状及び寸法  

3

6.3

  試験片の前処理  

3

7

  測定方法  

3

7.1

  試験環境  

3

7.2

  測定の手順  

3

8

  計算 

4

9

  測定結果の報告  

4


R 1696

:2014

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 R

1696

:2014

準静的圧電正効果法による圧電セラミックスの

圧電定数 d

33

測定方法

Test method for piezoelectric constant d

33

 of piezoelectric ceramics

by direct quasi-static method

適用範囲 

この規格は,準静的圧電正効果法(d33 メータ法,ベルリンコート法)を用いた圧電セラミックスの圧

電定数 d

33

測定方法について規定する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS R 1600

  ファインセラミックス関連用語

IEC 60483

,Guide to dynamic measurements of piezoelectric ceramics with high electromechanical coupling

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600 によるほか,次による。

3.1 

圧電定数 d

33

圧電基本方程式(d 形式)は,式(1)及び式(2)によって表現される。

S = s

E

T + dE(圧電逆効果)   (1)

D = dT + ε

T

E(圧電正効果)  (2)

ここに,

S: ひず(歪)み

T: 応力(N/m

2

E: 電界(V/m)

D: 電束密度(C/m

2

ε

T

自由誘電率(F/m)

一定)

s

E

弾性コンプライアンス(m

2

/N)(一定)

式(1)の圧電定数 は,圧電逆効果を表し,式(2)の は,圧電正効果を表す。両者の の単位は,それぞ

れ m/V と C/N で等価である。d

33

の添え字 33 は,振動モードを表し,二つの数字はそれぞれ電気軸(左)

と機械軸(右)を表す。圧電セラミックスでは一般に分極軸方向を 3 軸にとるので,この場合,分極軸方

向(3 軸)に応力 T

3

を加えたときに 3 軸方向の電束密度 D

3

を示す。圧電正効果を表す式(2)で電界 を一

定(例えば,0)とすると,d

33

は式(3)で表す。


2

R 1696

:2014

   

d

33

= (δD

3

 / δT

3

)

E

  (3)

測定原理 

概念図を,

図 に示す。圧電セラミックス板である試験片 1 は,上下面に電極 3 が塗布され,3 軸方向

(下から上,又は上から下方向)に分極処理される。試験片は静荷重(試験片の保持力)が負荷されたプ

ローブによって,挟まれて保持される。ここで,電極面積(=応力印加面の面積)を A(m

2

,表面電荷を

Q(C),印加した交番力を F(N)すると,電束密度 は D=Q/A,応力 は T=F/で表されるから,式(3)

を書き直すと式(4)となる。

d

33

 = (Q/A) / (F/A) = Q/F  (4)

プローブの下部(又は上部)から交番力 が試験片に印加されると,試験片の上下電極に交番電荷 

発生するので,振幅が明らかな交番力 が与えられた場合,発生電荷 を測定すれば式(4)によって d

33

が求まることになる。発生した は,バーチャルグランド回路による AC 電流及び試験片よりも十分大き

な容量をもつ標準コンデンサの AC 電圧などを測定することによって算出する。ここで,式(4)を用いるこ

とによって理論的には d

33

値が得られることになるが,現実に測定した交流信号は実効値(RMS)で扱わ

れているため,求めた d

33

値(Q/値)は定量的には意味をなさず,Q/値は定性的に d

33

値と比例関係を

示す。したがって,あらかじめ d

33

値が明らかな標準試験片を用いて校正することによって,測定した試

験片の最終的な d

33

値が得られる。

1

2

3

3軸

4

1  試験片(圧電セラミックス板)

2  プローブ

3  電極

4  3 軸方向

図 1−概念図 

測定装置及びプローブ 

測定装置及びプローブは,次による。

a) 

測定装置  測定装置は,試験片を保持し交番力を印加する応力印加ユニットと発生電荷を測定する計

測ユニットとで構成する。また,試験片を保持する際の保持力をモニターするため,プローブ付近に

フォースゲージを装着することが望ましい。

b) 

プローブ  プローブは,図 に示すような試験片に荷重を印加する部分が球面のものを用いる。球面

の半径は 3 mm 以上とし,大きい方が望ましいが,平板プローブ(接触面がフラットなプローブ)は


3

R 1696

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使用しないのがよい。

1  半径

図 2−プローブ 

試験片 

6.1 

標準試験片 

標準試験片の圧電定数 d

33

は,あらかじめ IEC 60483 に規定する共振−反共振法(以下,共振法という。

によって求めておく。標準試験片の形状は,6.2 に準じる。標準試験片は,測定する試験片と同一組成の試

験片及び通常用いる特性が安定している試験片を用いる。同一組成の試験片が準備できない場合には,通

常用いる特性が安定している試験片だけでよい。

6.2 

試験片の形状及び寸法 

試験片の形状及び寸法は,次による。

a)

試験片に電極が形成され D

3

に対応する電荷 が測定でき,かつ,分極軸方向に交番力 が印加でき

る形状とする。

b)

一般的なセラミックス形状である円板,角板などの板状振動子を用いる場合,試験片の厚み(プロー

ブ間距離)は,通常,2 mm 以上とするが,やむを得ない場合には,1.5 mm 以上の試験片としてもよ

い。

c)

円板の試験片厚みと直径との比(厚み/直径)は 0.1 以上とする。

注記  角板の試験片を使用する場合は,測定結果に影響しないよう十分な試験片厚みと角板の対角

線長さとの比(厚み/対角線長さ)をもつ試験片を使用することが望ましい。 

6.3 

試験片の前処理 

強誘電体セラミックスを試験片とする場合は,前処理として十分な分極処理を施す。

注記  分極処理が不十分な試験片では,この方法による d

33

値と共振法による d

33

値との差が大きくな

ることがある。

測定方法 

7.1 

試験環境 

試験は,20〜30  ℃で行う。湿度が影響する試験片については,結果に影響しない湿度条件で測定する。

注記  相転移温度が室温付近に存在し,応力の印加によって相転移を起こす場合には,共振法で求め

た d

33

値と大きく異なる場合が考えられるので注意を要する。

7.2 

測定の手順 

測定の手順は,次による。


4

R 1696

:2014

   

a)

試験片の保持位置  試験片の保持位置は,交番力 を印加する面の幾何学的な中心位置とする。

b)

試験片の保持力  試験片の保持力は 0.5〜10 N とし,試験片が移動しない程度の力でできるだけ小さ

な力が望ましい。

保持力の測定ができない場合には,

試験片が移動しない程度の力で支えるとよいが,

条件を同一にして標準試験片と同じ保持力が得られるようにする。

注記  局所的な圧縮応力は,試験片を保持するプローブの半径に依存する。したがって,半径の小

さなプローブを用いた場合は,より小さな保持力の方が望ましい。

c)

交番力の周波数  測定周波数は 90〜300 Hz 程度とし,100 Hz 前後の周波数とする。

なお,標準試験片と測定試験片とを同一周波数で測定する。測定器に使用する電源周波数の整数倍

の周波数は避ける。

d)

交番力の振幅  交番力の振幅は,0.1〜0.4 N(RMS)とする。

e)

測定時間  測定時間

1)

は,d

33

の時間経過特性を測定し,安定するまでの時間を測定することによって

決定することが望ましい。1 分間以上経過しても安定しない場合は,1 分間後に取得した d

33

値(1 分

間値)であることを明記した上で 1 分間後を測定時間とする。

1)

  測定時間とは,試験片をプローブにセットした後,d

33

値を取得するまでの経過時間をいう。

f)

測定回数  一つの試験片に対して,表裏それぞれについて 3〜5 回程度測定することが望ましい。その

場合,一旦試験片をプローブから取り外し,再度試験片を保持する。

計算 

得られた正及び負の圧電定数 d

33

の測定結果から,式(5)によって各測定の圧電定数 d

33

を求める。

2

/

|]

)

(

|

|

)

(

[|

33

33

33

+

+

=

d

d

d

  (5)

全試験片の表及び裏の測定値を平均し,材料の圧電定数

d

33

とする。

測定結果の報告 

報告書には,次の項目について記載する。

a)

規格番号

b)

測定年月日

c)

試験機関,測定装置及びプローブ形状

d)

標準試験片の組成,形状及び寸法,並びに測定した試験片の組成,形状及び寸法

e)

測定条件(試験環境の温度及び湿度,保持位置,保持力,交番力の周波数,交番力の振幅及び測定時

間,測定回数)

f)

測定値

g)

その他必要事項