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R 1690

:2011

(1) 

目  次

ページ

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

1

4

  原理

2

5

  測定装置

3

6

  試料

4

7

  測定手順

5

7.1

  温度履歴曲線 

5

7.2

  膜厚

5

7.3

  各層の単位体積当たりの熱容量

6

8

  計算方法

6

9

  報告書

7

附属書 A(参考)装置の仕様 

8

附属書 B(参考)層薄膜における膜厚と面積熱拡散時間との関係

9

附属書 C(規定)温度履歴曲線の負の傾きの補正法

12


R 1690

:2011

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本ファインセラミックス協会

(JFCA)

,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準

原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格に従うことは,次の者の有する特許権等の使用に該当するおそれがあるので,留意する。

−  氏名:独立行政法人産業技術総合研究所

−  住所:東京都千代田区霞が関 1 丁目 3 番 1 号

1)  特許公開 2007−279060“熱物性値測定方法”

2)  特許  第 3430258 号“熱拡散率と界面熱抵抗測定方法”

上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施

の許諾等をする意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対

しては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。

この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ

る。

この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。経済産業大臣及び日本工業標

準調査会は,このような特許権等に関わる確認について,責任はもたない。

なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権をいう。


   

日本工業規格

JIS

 R

1690

:2011

ファインセラミックス薄膜と金属薄膜との

界面熱抵抗の測定方法

Determination of interfacial thermal resistance

between fine ceramic film and metal film

適用範囲 

この規格は,主に厚さ 10 nm∼100 nm の均質なファインセラミックス薄膜の両側に厚さ約 100 nm の金

属薄膜が施された 3 層薄膜に対し,面積熱拡散時間法によるファインセラミックス薄膜の膜厚方向の熱拡

散率及び金属薄膜並びにファインセラミックス薄膜間の界面熱抵抗を測定する方法について規定する。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0601

  製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ

JIS B 0651

  製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性

JIS C 1602

  熱電対

JIS R 1600

  ファインセラミックス関連用語

JIS R 1636

  ファインセラミックス薄膜の膜厚試験方法−触針式表面粗さ計による測定方法

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600 及び JIS B 0601 によるほか,次による。

3.1 

薄膜の裏面 

加熱用パルス光の波長に対し,透明な基板上に作製された薄膜が基板と接する面。

3.2 

薄膜の表面 

薄膜が空気と接する面。

3.3 

温度履歴曲線 

薄膜裏面をパルス加熱したときの薄膜表面における温度変化の時間依存を表示した曲線。サーモリフレ

クタンス(3.13 参照)の効果は物質によって異なるため,温度は任意単位として用いる。

3.4 

規格化された温度履歴曲線 


2

R 1690

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温度履歴曲線の最小値を 0,最大値を 1 となるように規格化した曲線。

3.5 

環境温度 

ファインセラミックス薄膜又はその近傍の温度。

3.6 

パルス幅(τ

p

 

レーザパルス光の出力の時間変化曲線において,最大値の半値以上の出力が保持される時間。

3.7 

照射直径 

試料へ照射する加熱用パルス光及び測温用パルス光の直径。光強度がガウシアン分布をもつ場合,最大

強度の 1/e

2

となる位置の包絡線で表される円の直径。

3.8 

パルス照射時刻原点(t

0

 

温度履歴曲線において時刻 0(t

0

=0)の点であり,加熱用パルス光が試料に照射された時刻に対応させ

る。

3.9 

熱拡散の特性時間(τ)(s 

厚さ で熱拡散率 α の薄膜の裏面から表面まで熱が拡散するとき,τd

2

/α によって定義される時間。

3.10 

単位体積当たりの熱容量(C)(Jm

3

 K

1

 

1 m

3

の体積をもつ物体の温度を,1 K 上昇させるのに必要な熱量。

3.11 

面積熱拡散時間(A)(s 

図 の網掛け部で示される,規格化された温度履歴曲線。縦軸が 1 の水平線及び時間 t

0

での垂直線で囲

まれる面積。

3.12 

界面熱抵抗(R

mf

)(m

2

KW

1

 

重なり合う薄膜 m と薄膜 f との界面に熱流束 j (Wm

2

)  が流れ,界面に温度差

ΔT (K) が生じたとき R

mf

ΔT/によって定義される係数。

3.13 

サーモリフレクタンス 

物質の反射率が温度とともに変化する効果。対象物に照射した光の反射強度によって対象物の温度変化

を観察するために利用することができる。特に,熱電対,放射温度計などの通常の温度測定装置では測定

することができない高速な温度変化を測定するために有効である。

原理 

ファインセラミックス薄膜が金属薄膜に挟まれた 3 層膜を用意し,

図 のように 3 層膜の裏面に膜厚に

比べて十分に広い面積の加熱用パルス光を照射しパルス加熱を行う。その結果,瞬間的に昇温した裏面か

ら表面に向かって一次元的に熱が拡散し,最終的に 3 層膜の厚さ方向の温度分布は均一となる。パルス加

熱後の熱の拡散に伴う 3 層膜の表面の温度の変化を温度履歴曲線として測定する。ここで,表面にある金


3

R 1690

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属薄膜の反射率は,サーモリフレクタンスと呼ばれる効果によって温度の変化に従い変化する。したがっ

て,3 層膜の表面に照射された測温用パルス光の反射後の光強度を測定することで,測温用パルス光が照

射された時刻における表面の温度を検知することができる。このとき,薄膜の表面側を加熱し,裏面側を

測温してもよい。測温用パルス光を照射する時刻を調整することでパルス加熱後の表面における温度履歴

曲線を得る。測定された温度履歴曲線について,縦軸の最小値が 0,最大値が 1 となるように規格化した

ものが

図 である。また,図 の網掛け部で定義される面積を面積熱拡散時間と呼び,3 層膜を構成する

各層の熱物性値,膜厚及びファインセラミックス薄膜と金属薄膜との界面熱抵抗によって記述される。界

面熱抵抗の算出には,金属薄膜の膜厚を同一とし,ファインセラミックス薄膜の膜厚が異なる複数個の試

料を用意して,それぞれの面積熱拡散時間を測定する。得られた面積熱拡散時間を用いて,金属薄膜とフ

ァインセラミックス薄膜との界面熱抵抗及びファインセラミックス薄膜の熱拡散率を算出する。

図 1層膜の試料及びパルス加熱 

注記  この図は,図 の 3 層膜の両面で断熱境界条件が成り立つ場合を示しており,図内網掛け部が面積熱拡散時間

を示す。また,横軸において t

0

=0 であることに注意する。

図 2−規格化された温度履歴曲線及び面積熱拡散時間 

測定装置 

測定装置は,次の要素をもつものとし,その基本構成は,

図 による。

a) 

加熱用パルス光発光装置  試料近傍での平均出力が 10 mW∼100 mW,パルス幅が 0.1 ps∼20 ps の加


4

R 1690

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熱用パルス光を照射し,ミラーを使って試料に照射する装置。加熱用パルス光の発振間隔は,12 ns

以上あることが望ましい。また,波長,繰返し周波数及び照射直径を報告書に明記する。

なお,加熱用パルス光の薄膜表面におけるエネルギー密度は 1×10

5

 mW/cm

2

を目安とし,測定され

る信号の大きさによって調整を行う。

b) 

測温用パルス光発光装置  試料近傍での平均出力が約 1 mW,パルス幅が 0.1 ps∼20 ps のパルスで試

料に照射する機能をもつ装置。薄膜表面における測温用パルス光のエネルギー密度は 5×10

4

 mW/cm

2

を目安とするが,上記の平均出力を優先するのがよい。

注記  測温用パルス光の波長の例として,金属薄膜に,モリブデン(Mo),プラチナ(Pt),及びア

ルミニウム(Al)を用いた場合では,780 nm 近辺において良好な信号が得られる。また,金

(Au)では,532 nm 近辺において良好な信号が得られる。

c) 

集光光学系  加熱用パルス光を薄膜の裏面にビーム径 50 μm∼200 μm 程度に集光する光学系及び測温

用パルス光をビーム径 50 μm∼200 μm 程度で薄膜表面に集光する光学系からなり,また,反射された

測温用パルス光を受光装置に導くための光学系をもつ装置。

d) 

受光装置及び温度応答測定回路  測温用パルス光の波長に対して十分な感度と線形性のよい受光装置

及び増幅機構をもつ装置。

e) 

記録装置  温度履歴曲線を自動記録できる装置。

f) 

環境温度測定装置  熱電対とその出力を測定する測定器とからなる装置。熱電対は,JIS C 1602 に規

定する測定温度まで安定なものを使用する。

なお,JIS C 1602 に規定されていない熱電対又は熱電対以外の温度計を使用する場合には,使用し

た温度計の性能を報告書に明記する。

なお,具体的な装置の仕様を

附属書 に示す。

図 3−装置の基本構成 

試料 

試料は,測定に用いる光の波長に対して透明であり,両面が光学研磨された基板上に成膜された 3 層膜


5

R 1690

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とし,次による。

a) 

基板  熱伝導率が小さく,基板側から薄膜に照射する加熱用の光パルスの波長に対して,透明な材料

を用いる。厚さ 0.3 mm∼1.5 mm,面積 100 mm

2

∼225 mm

2

(10 mm 角∼15 mm 角)の大きさとするこ

とが望ましい。表面の算術平均粗さは 1 nmRa 以下が望ましい。

b) 3

層膜  図 に示すように,ファインセラミックス薄膜 f と金属薄膜 m との界面熱抵抗を測定するに

は,ファインセラミックス薄膜 f の両側を金属薄膜 m で挟んだ 3 層膜を用意する。金属薄膜 m の厚さ

は 100 nm を目安とし,両側とも等しくする。次に,金属薄膜 m の厚さは固定し,ファインセラミッ

クス薄膜 f の膜厚 d

f

を変えた複数個の試料を用意する。試料の数は少なくとも 2 個必要であり,3 個

以上であることが望ましい。また,膜厚 d

f

は最も薄い試料と最も厚い試料との間で 2 倍以上の差があ

るとよい。これらの複数の試料を用意する場合には,各層の作製条件をできる限り一定となるように

留意する。さらに,詳細な膜厚の選び方は,

附属書 を参考にするとよい。

図 4層膜の熱拡散率及び界面熱抵抗を測定するために準備する試料 

測定手順 

7.1 

温度履歴曲線 

a)  3

層膜の裏面へ基板側から加熱用パルス光を照射する。加熱用パルス光には変調器によって,周期的

な強度変調が加えられているものとする。

b)

加熱用パルス光が照射されている領域に正対する 3 層膜の表面に,測温用パルス光を照射する。

c)

測温用パルス光の反射光を受光装置に取り込み電気信号へと変換した後,ロックインアンプによって,

加熱用パルス光の強度変調の周期に同期した信号成分だけを取り出して測定する。

d)

このとき測定する信号は,ロックインアンプによって得られる振幅値又は位相値のいずれでもよい。

e)

遅延制御装置によって,加熱用パルス光と測温用パルス光の試料への到達時刻を制御し,時間軸に対

する位相値又は振幅値の変化を温度履歴曲線として記録する。

f)

温度履歴曲線は,加熱用パルス光が試料に照射された時刻 t

0

より前の時刻から記録を行い,最高温度

に到達したことを観察できることが必要である。

g)

できれば最高温度に到達してから,更にその 2 倍程度の時刻まで記録するとよい。

h)

複数個用意した 3 層膜について,それぞれの温度履歴曲線を測定する。

7.2 

膜厚 

各層の膜厚は,成膜条件から算出するか,又は透過型電子顕微鏡(TEM)

,走査型電子顕微鏡(SEM)

などによる断面観察などによって求める。成膜条件から算出する場合には,同条件によって作製した単層

の薄膜の膜厚を,JIS B 0651 に規定する触針式表面粗さ測定機を用いて JIS R 1636 に規定する方法によっ


6

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て測定してもよい。

7.3 

各層の単位体積当たりの熱容量 

各薄膜の単位体積当たりの熱容量は,測定を行った環境温度における測定値又は文献値を用いることと

し,この場合には使用した値,測定方法,出典などの根拠となる情報を報告書に記載する。

計算方法 

計算方法は,次による。

a)  3

層膜に用いる金属薄膜 m について,熱拡散率 α

m

,単位体積当たりの熱容量 C

m

を文献値,実験など

によって決める。

b)

複数個の試料から得られたそれぞれの温度履歴曲線について,

図 に示すように,温度変化の最小値

が 0,最大値が 1 となるように規格化する。規格化された温度履歴曲線について,それぞれの面積熱

拡散時間を算出する。

注記  面積熱拡散時間を用いる解析手法は,薄膜へ単一のパルス加熱を行った場合の薄膜から基板

への熱浸透及び薄膜の最表面からの熱損失のない理想的な温度履歴曲線を仮定している。一

方,現実の測定系では,薄膜を加熱用パルス光によって繰り返して加熱し,かつ薄膜から基

板への熱浸透があるため,温度履歴曲線の全体に負の傾きが加わった形状が測定されること

がある。以上の理由から,温度履歴曲線の規格化を行う前に,

附属書 を参照して温度履歴

曲線の補正を行う。

c)

図 に示すように,得られた面積熱拡散時間 を縦軸,ファインセラミックス薄膜の膜厚 d

f

を横軸と

し,それぞれの試料の結果をプロットする。

d)  3

層膜の面積熱拡散時間は式(1)で表される。

(

)

i

i

i

i

i

i

d

C

+

d

C

d

d

C

+

d

C

+

d

C

d

C

+

d

d

C

+

d

C

=

R

d

g

f,

f

m

m

f

2

f,

f,

f

m

m

f,

f

2

m

m

m

2

m

f,

f

m

m

mf

f

f,

2

6

1

3

4

)

,

,

(

α

α

α



i

i

d

C

+

d

C

d

C

+

d

C

d

C

R

+

f,

f

m

m

f,

f

m

m

m

m

mf

2

2

 (1)

ここに,

i: 番目の試料

g: 面積熱拡散時間の理論式(s)

α

m

金属薄膜 m の熱拡散率(m

2

 s

1

α

f

ファインセラミックス薄膜 f の熱拡散率(m

2

 s

1

d

m

金属薄膜 m の膜厚(m)

d

f,i

番目の試料のファインセラミックス薄膜 f の膜厚(m)

C

m

金属薄膜 m の単位体積当たりの熱容量(J m

3

K

1

C

f

ファインセラミックス薄膜 f の単位体積当たりの熱容量
(J m

3

K

1

R

mf

金属薄膜 m とファインセラミックス薄膜 f との間の界面
熱抵抗(m

2

 KW

1

e)

ファインセラミックス薄膜 f

i

の膜厚 d

f,i

に対する面積熱拡散時間 A

i

のデータセット(

図 5)に対し,

式(2)が最小になる層 f の熱拡散率 α

f

と界面熱抵抗 R

mf

の組合せを最小二乗法によって算出する。

i

i

i

R

d

g

A

2

mf

f

,

f

)]

,

,

(

[

α

 (2)

ここに,

A

i

i

番目の試料の面積熱拡散時間の測定値(

s


7

R 1690

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注記  実線は式(1)で記述される面積熱拡散時間の膜厚依存性を示し,黒丸は測定結果を元に算出された面積熱散時

間を示す。

図 5−膜厚 d

f

に対する面積熱拡散時間 のプロット 

報告書 

報告書には,次の項目を記載する。

なお,受渡当事者間の協定によって記載する必要がない旨の合意が得られた項目については報告書への

記載を省略できる。

a)

規格番号(JIS R 1690

b)

試料

1)

各試料の薄膜の構成及び基板

2)

各層の膜厚

3)

基板及び薄膜の寸法及び形状

c) 

測定条件

1)

環境温度

2)

加熱用パルス光及び測温用パルス光の仕様(パルス幅,波長,平均出力,繰返し周波数,照射直径)

d) 

データ処理法

1)

熱拡散率算出方法及び算出時の条件

2)

解析に必要な物性値。文献値などを引用した場合はその値及び出典

e) 

測定結果

1)

ファインセラミックス薄膜の熱拡散率及びファインセラミックス薄膜と金属薄膜との界面熱抵抗

2)

規格化された温度履歴曲線

3)

ファインセラミックスの膜厚と面積熱拡散時間との関係を示す

図 に相当するグラフ及び式

(2)

を適

用した解析結果を示す曲線

f)

この規格から離脱した事項及び受渡当事者間で協定した事項


8

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附属書 A

(参考)

装置の仕様

A.1

  装置の仕様 

A.1.1

  加熱用パルス光発生装置 

加熱用パルス光発生装置にはパルス幅

0.5 ps

,波長

1.55 μm

,平均出力

20 mW

以上,繰返し周期が

20 MHz

のモードロックパルスレーザを用いる。変調器によって,

100 kHz

1 MHz

程度の強度変調を加える。

A.1.2

  測温用パルス光発光装置 

測温用パルス光発生装置にはパルス幅

0.5 ps

,波長

0.78 μm

,平均出力

1 mW

以上,繰返し周期が

20 MHz

のモードロックパルスレーザを用いる。

A.1.3

  集光光学系 

加熱用パルス光が薄膜の基板側薄膜表面にビーム径

100  μm

程度に集光され,測温光がビーム径

50  μm

程度で薄膜表面に集光される光学系をもつものとする。

A.1.4

  受光装置及び温度応答測定回路 

シリコンフォトダイオードを用いて検出し,強度変調

100 kHz

1 MHz

に同期した信号をロックインア

ンプによって検出する。

A.1.5

  記録装置 

図 の遅延制御装置を制御し,加熱用パルス光に対して測温用パルス光の試料へ照射するタイミングを

調整し,温度履歴曲線をパソコンにファイルとして保存する機能をもつ。タイミングを変更する分解能は

20 ps

を目安とし,細かいほどよい。

注記

A.1.1

A.1.5 の数値は参考であり,規定の範囲において変更してよい。


9

R 1690

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附属書 B

(参考)

3

層薄膜における膜厚と面積熱拡散時間との関係

B.1

  単層薄膜に対する面積熱拡散時間 

単層薄膜における面積熱拡散時間は式

(B.1)

のように表される。

α

2

6

d

=

A

(B.1)

ここに,

d: 膜厚(m)

α: 熱拡散率(m

2

s

1

A: 面積熱拡散時間(s)

B.2

  層薄膜に対する面積熱拡散時間 

一方,両側に同じ物性値をもつ厚さ d

m

の金属薄膜 m に挟まれた厚さ d

f

のファインセラミックス薄膜 f

の面積熱拡散時間は式(B.2)で表される。

(

)

f

f

m

m

f

2

f

f

f

m

m

f

f

2

m

m

m

2

m

f

f

m

m

2

6

1

3

4

d

C

+

d

C

d

d

C

+

d

C

+

d

C

d

C

+

d

d

C

+

d

C

=

A

α

α



f

f

m

m

f

f

m

m

m

m

mf

2

2

d

C

+

d

C

d

C

+

d

C

d

C

R

+

(B.2)

ここに,

α

m

金属薄膜 m の熱拡散率(m

2

 s

1

α

f

ファインセラミックス薄膜 f の熱拡散率(m

2

 s

1

d

m

金属薄膜 m の膜厚(m)

d

f

ファインセラミックス薄膜 f の膜厚(m)

C

m

金属薄膜 m の単位体積当たりの熱容量(J m

3

K

1

C

f

ファインセラミックス薄膜 f の単位体積当たりの熱容量
(J m

3

K

1

R

mf

金属薄膜 m とファインセラミックス薄膜 f との間の界面
熱抵抗(m

2

 KW

1

界面熱抵抗及び薄膜の熱拡散率の違いで

表 B.1 に示すパラメータを用い,ファインセラミックス薄膜 f

の熱拡散率 α

f

を 10

7

,10

6

,10

5

,10

4

 m

2

s

1

と変化させたとき,面積熱拡散時間が膜厚 d

f

によってどの

ように変化するかを

図 B.1 に示す。

表 B.1−ファインセラミックス薄膜の熱拡散率に対する面積熱拡散時間の 

依存性の計算(図 B.1)に用いた物性値 

α

m

 3.3×10

5

 m

2

s

1

α

f

 1.0×10

7

,1.0×10

6

,1.0×10

5

,1.0×10

4

 m

2

s

1

d

m

 100

nm

C

m

 2.52×10

6

 J m

3

K

1

C

f

 1.52×10

6

 J m

3

K

1

R

mf

 5.0×10

10

 K m

2

 W

1


10

R 1690

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図 B.1−ファインセラミックス薄膜の熱拡散率による面積熱拡散時間の違い 

また,界面熱抵抗が異なる場合も同様に,

表 B.2 に示すパラメータを用い,ファインセラミックス薄膜

と金属薄膜との界面熱抵抗 R

mf

を 5.0×10

10

,1.0×10

9

,5.0×10

9

,1.0×10

8

 m

2

KW

1

と変化させたとき,

面積熱拡散時間 がファインセラミックス薄膜の膜厚 d

f

によってどのように変化するかを

図 B.2 に示す。

表 B.2−界面熱抵抗に対する面積熱拡散時間の依存性の計算(図 B.2)に用いた物性値 

α

m

 3.3×10

5

 m

2

s

1

α

f

 1.0×10

6

 m

2

s

1

d

m

 100

nm

C

m

 2.52×10

6

 J m

3

K

1

C

f

 1.52×10

6

 J m

3

K

1

R

mf

 5.0×10

10

,1.0×10

9

,5.0×10

9

,1.0×10

8

 m

2

KW

1


11

R 1690

:2011

図 B.2−ファインセラミックス薄膜の熱拡散率 α

f

を 1.0×10

6

 m

2

s

1

に固定し,

界面熱抵抗 R

mf

だけを変えたときの面積熱拡散時間の膜厚依存性 


12

R 1690

:2011

   

附属書 C 
(規定)

温度履歴曲線の負の傾きの補正法

C.1

  温度履歴曲線の補正法 

パルス光加熱サーモリフレクタンス法では,加熱用パルス光によって試料を繰返しパルス加熱を行うこ

とが原因となり,薄膜がほぼ断熱に近い理想的な条件であったとしても,

図 C.1 における A で示される曲

線のように,温度履歴曲線全体に負の傾きが重畳した形状となる。これは,フラッシュ法のような単一の

パルス加熱における温度履歴曲線 B とは本質的に異なることを示している。ここに,試料の熱拡散の特性

時間は τ であり,加熱用パルス光は τ の 10 倍の間隔で繰り返し発振する条件である。また,各々の温度履

歴曲線は,薄膜と基板の熱浸透率の比が 9:1 の場合を示した。繰返しパルス加熱による影響は,加熱用パ

ルス光の発光する時間間隔が,薄膜の熱拡散の特性時間 τ に対して長いほど小さくなる。しかし,

図 C.1

に示すように温度履歴曲線の負の傾きが目立つ場合には,次に示す手順によって温度履歴曲線の補正を行

うことを推奨する。

注記  熱浸透率 b

[Jm

2

 s

0.5

 K

1

]

は,単位体積当たりの熱容量 C

[Jm

3

 K

1

]

と熱伝導率 λ

[Wm

1

 K

1

]

とは次の関係にある。

λ

×

C

b

(C.1)

注記  図の横軸において t

0

=0 である。

図 C.1−単一のパルス加熱で得られる温度履歴曲線と繰返しパルス加熱で得られる温度履歴曲線との違い 

ここでは,

図 C.2 を基に温度履歴曲線の補正手順を説明する。

a) 

図 C.2 に示した繰返しパルス加熱による温度履歴曲線 A について,

t

0

より負の時間側の温度履歴曲線


13

R 1690

:2011

部分を用いて線形近似を行う。線形近似によって得られる直線は

図 C.2 の直線 C で表される。

b)

温度履歴曲線 A から直線 C を差し引くことで補正された温度履歴曲線 D を得る。

なお,曲線 B は

図 C.1 における単一のパルス加熱における温度履歴曲線 B を示したものである。

補正された温度履歴曲線は,箇条 に用いることができる。

図 C.2−温度履歴曲線の補正方法