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R 1679

:2007

まえがき

この規格は,

工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,

社団法人日本ファインセラミックス協会(JFCA)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。


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白      紙


   

日本工業規格

JIS

 R

1679

:2007

電波吸収体のミリ波帯における

電波吸収特性測定方法

Measurement methods for reflectivity of electromagnetic wave absorber in

millimetre wave frequency

序文 

この規格は,ミリ波帯において,ファインセラミックスなどから作製された電波吸収体の主要な性能を

表す反射量の測定方法を標準化することによって,製品の品質管理を容易にし,信頼性の向上に資するこ

とを目的に制定された。これらの目的が達成されることによって,我が国の電波吸収体等の製品について

の技術的競争力は更に高まり,その市場拡大に寄与することが期待される。

なお,この規格に対応する国際規格は制定されていない。

1 

適用範囲 

この規格は,30 GHz∼300 GHz の周波数範囲において,反射量 0∼−50 dB・入射角 0 °∼80 °の垂直入射,

斜入射,及び各偏波に対する電波吸収体の反射量の測定方法を規定する。また,この測定方法は,電波吸

収体以外の物質,材料などの反射量の測定に対しても有効である。

なお,この規格に記載されている内容は,広く通信障害・干渉対策,場合によっては電波暗室などに使

用される電波吸収体に適用される。次のように,電波吸収体は,いかなる材料構成,いかなる形状,いか

なる層構成であってもよいものとする。

材料構成  :  導電損失材料,誘電損失材料,磁性損失材料ほか

形状      :  平板,ピラミッド形,ウエッジ形ほか

層構成    :  単層,多層,傾斜

また,この規格は,各種の電波吸収体及び電波吸収体以外の物質・材料の反射量評価試験に適用できる

広範囲の評価基準を示している。

2 

用語及び記号 

2.1 

用語の定義 

2.1.1

附属機器

ある機器の便宜又は効果発揮のために結合される機器。

2.1.2

周囲レベル

測定場所において,測定していない状態で存在する放射・伝導信号及び雑音の値。

2.1.3


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ダイナミックレンジ

基準金属板の受信レベル(dB)と測定試料がない状態の受信レベル(dB)との差。

2.1.4

指向性利得

アンテナの特定方向への放射電力密度と全放射電力を,全方向について平均した放射電力密度との比。

2.1.5

誘電体レンズアンテナ

誘電体で構成された電波レンズを,ピラミダルホーン及びコニカルホーンの前面に取り付けて使用する

アンテナ。

2.1.6

電波吸収体

電波のエネルギーをその内部で熱として消費し吸収する性質をもつ部材。

2.1.7

集束ビーム

ホーンアンテナの前面又は前方に誘電体レンズを配置し,球面波的に拡がる電磁波をビーム直径が数波

長程度になるまで収束させた電磁波。

2.1.8

フラウンホーファー領域

開口面アンテナの放射角度に対する電界パターンが,距離によって変化しなくなる領域。

2.1.9  

フレネル領域

開口面アンテナの放射角度に対する電界パターンが,距離によって変化する領域で,開口面のごく近傍

を除いた領域。

2.1.10

自由空間法

1 個又は 2 個のアンテナを用いて,空間に設置した測定試料から反射された電磁波を,ネットワークア

ナライザによって測定する方法。

2.1.11

ホーンアンテナ

導波管開口から徐々に広くして自由空間に整合させた開口面アンテナ。

2.1.12

垂直入射

境界面(測定試料前面)に対して垂直に電波が入射するさま。通常,垂直入射の反射量は,測定試料面

中心の垂線に対して,送受信アンテナを 0∼5°以内の等しい角度で設置して測定した値。

2.1.13

斜入射

境界面(測定試料前面)に対して斜めに電波が入射するさま。通常,斜入射の反射量は,測定試料面中

心の垂線に対して,送受信アンテナを等しい角度で設置して測定した値。

2.1.14

モノスタティック測定


3

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入射と反射とが同一方向であり,測定試料表面の法線に対して任意の入射角度での測定。

2.1.15

バイスタティック測定

入射角と反射角とが等しい配置での測定。

2.1.16

平行ビーム

ホーンアンテナの前面又は前方に誘電体レンズを配置し,球面波的に拡がる電磁波をその位相がアンテ

ナの軸に垂直な面でほぼ平坦となるようにした電磁波。

2.1.17

ビーム径

電磁波ビームの伝播方向に垂直な面内において,電界強度が最大電界強度位置から 3 dB 減少するまでの

ビームの直径。

2.1.18

ビームウェスト

ホーンアンテナから放射された電磁波を,誘電体レンズを用いて集束させた場合に最もビーム径が小さ

くなる部分。

2.1.19

ビームウェスト径

ビームウェストにおけるビーム径。

2.1.20

焦点

ホーンアンテナから放射された電磁波を,誘電体レンズを用いて集束させた場合のビームウェストの中

心位置。

2.1.21

焦点距離

中心軸に沿った誘電体レンズ表面から焦点までの距離。

2.1.22

反射量

送信アンテナと受信アンテナとを用い,金属板及び被測定電波吸収体(測定試料)の反射レベルをネッ

トワークアナライザなどで測定し,測定試料の反射レベル(R

a

)から金属板の反射レベル(R

m

)を引くことによ

って求めた値 で,次の式で与えられる(

図 参照)。

m

a

R

R

R

 (1)

ここに,

R: 反射量(dB)

R

a

測定試料からの反射波を受信アンテナで受信した受信
レベル(dB)

R

m

測定試料と同じ面積・形状をもつ金属板からの反射波
を受信アンテナで受信した受信レベル(dB)


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図 1−反射量の定義

2.1.23

基準金属板

測定試料と同じ面積・形状をもつ金属板。

2.1.24  

TEM

  (Transverse electromagnetic wave)

境界面に垂直に電波が入射する場合に,入射方向に対して電界及び磁界が垂直となる電波。

2.1.25

TE

  (Transverse electric wave)

境界面に斜めに電波が入射する場合に,電界が入射面に垂直な電波。

2.1.26  

TM

  (Transverse magnetic wave)

境界面に斜めに電波が入射する場合に,磁界が入射面に垂直な電波。

2.1.27

タイムドメイン機能

電気信号が時間の関数として表される機能。ベクトルネットワークアナライザは,電磁波の振幅及び位

相の測定が可能であることから,周波数依存性のデータを時間依存性のデータに逆フーリエ変換をするこ

とができる。この時間的に変化する波形に適当なゲートをかけることによって,測定試料からの反射だけ

を反映した電気信号を得ることができる。

2.2 

  略語及び記号 

  略語及び記号は

表 及び表 による。

表 1−略語

略語

用語

CW

連続波(continuous wave)

EMA

電波吸収体 (electromagnetic wave absorber)

FFT

高速フーリエ変換(fast Fourier transformation)

IF

受信周波数 (intermediate  frequency)

NWA

ネットワークアナライザ (network analyzer)

PTFE

ポリテトラフロオルエチレン(polytetrafluorethylene)

SNA

スカラネットワークアナライザ(scalar network analyzer)

TEM

横電磁界(transverse electromagnetic)

TE

横電界(transverse electric)

TM

横磁界(transverse magnetic)

TRL

スルーリフレクトライン(thru-reflect-line)

VNA

ベクトルネットワークアナライザ (vector network analyzer)

VSWR

電圧定在波比(voltage standing wave ratio)


5

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表 2−記号

記号

記号の意味

く(矩)形ホーンアンテナの長径

完全吸収壁開口の一辺の 1/2(金属反射板の一辺の 1/2,

附属書 A

く(矩)形ホーンアンテナの短径

く(矩)形ホーンアンテナの長さ

C(x)

フレネル積分

D

m

アンテナの開口面の実効的な最大寸法

円形ホーンアンテナの開口面の直径

d

1

送信アンテナ鏡像から完全吸収壁開口までの距離

d

2

完全吸収壁開口から受信アンテナまでの距離

E

r

完全吸収壁一辺が 2の正方形開口がある場合の受信電界強度(

附属書 A

E

s0

完全吸収壁がない場合の受信電界強度(

附属書 A

E

0

完全吸収壁の位置における電界強度(

附属書 A

G

d

ホーンアンテナの指向性利得

ホーンアンテナの開口面から試料までの距離

R

m

基準金属板を試料架台に設置した場合の受信レベル(dB)

R

a

被測定吸収体を試料架台に設置した場合の受信レベル(dB)

S

11

反射係数

S

21

透過係数

S(x)

フレネル積分

V

a

測定試料がある状態での受信電圧

V

d

送受信アンテナ間の直接波による受信電圧

V

m

測定試料と同じ面積,形状をもつ金属板からの反射波による受信電圧

V

r

測定試料以外からの周囲からの反射波による受信電圧

V

s

測定試料だけからの反射波による受信電圧

ε

r

比誘電率

λ 

電磁波の自由空間波長

Γ

m

基準金属板を試料架台に設置した場合の受信レベルのベクトル量

Γ

r

試料架台に測定試料がない状態の受信レベルのベクトル量

Γ

a

被測定吸収体を試料架台に設置した場合の受信レベルのベクトル量

β

 

位相定数(=2π/λ)

θ

 

電磁波の試料表面への入射角

3 

測定試料 

測定試料の縦横の寸法が測定周波数帯で最も低い周波数における電磁波の波長の 10 倍程度で,表面が平

たん(坦)なリジッドな構造体が望ましい。

なお,詳細は,箇条 810 のそれぞれの測定方法による。

4 

基準金属板及び基準校正試料 

4.1 

基準金属板の材質 

基準金属板の材質は,特に指定しないが,厚さ 1∼2 mm 程度のアルミ板,銅板,ステンレス板など,入

手しやすいものとする。

4.2 

平滑度(表面粗さ) 

平滑度は,測定上限周波数の波長の 1/10 以下,望ましくは 1/20 以下とする。一例として,上限周波数


6

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300 GHz では波長は 1 mm であり,0.05 mm 以下の平滑度とする。

4.3 

平たん度 

平たん度は,1 m に対して 0.5 mm 以下とする。

4.4 

大きさ 

基準金属板の大きさは,被測定電波吸収体と同一面積・寸法をもつものとする。ただし,それぞれの測

定方法によって定められた大きさのものを使用することが望ましい。また,基準金属板の大きさによって

は,反射特性及び散乱特性が異なるので注意を要する。

附属書 に,ホーンアンテナ法における基準金属

板の大きさによる反射特性及び散乱特性の一例を示す。

4.5 

基準校正試料 

基準校正試料は,厚さが均一に加工された比誘電率の明確な石英ガラス板,単結晶サファイア板などを

用いる。基準校正試料として誘電体を選定した場合には,試料背面を自由空間として,その反射量を測定

する。測定では,比誘電率が 1 に近く自由空間とほぼ同一と見なせる発泡体で基準校正試料を固定する。

なお,反射量の理論値を求めておき,測定結果と比較することによって測定装置の精度を確認しておく

ことが望ましい。

附属書 に,石英ガラス板の背面自由空間におけるミリ波帯の反射量の一例を示す。

5 

測定機器 

5.1 

一般 

電波吸収体の反射量の測定は,ベクトルネットワークアナライザ又はスカラネットワークアナライザを

用いて行う。試験結果に相違がある場合,基準校正試料を用いて確認する。また,必要となる様々な測定

用附属品は,次に示すとおり個々の測定によって決まる。

5.2 

ネットワークアナライザ(NWA) 

5.2.1 

ベクトルネットワークアナライザ(VNA) 

ベクトルネットワークアナライザは,振幅・位相特性の測定機能及びベクトル校正機能をもつ。タイム

ドメイン処理機能をもつものが望ましい。

5.2.2 

スカラネットワークアナライザ(SNA) 

振幅特性の測定は可能であるが,位相特性の測定機能のない NWA であり,タイムドメイン機能はない。

主に,斜め入射特性の測定には有効である。

5.3 

アンテナ 

5.3.1 

ホーンアンテナ 

電波吸収体の反射量の測定に使用するホーンアンテナは,特殊な場合を除き,市販品又は自作したもの

であってもよい。

なお,測定の不確かさをなくすために,ホーンアンテナのアンテナゲイン,VSWR,寸法などが明確と

なっている市販品を使用することが望ましい。また,各周波数帯域の同軸導波管変換器は,VSWR,寸法

及び加工精度などが明確となっているものが望ましい。一例として,市販品のホーンアンテナの仕様を

属書 に示す。

5.3.2 

レンズアンテナ 

電波吸収体の反射量の測定に使用するレンズアンテナは,次に示すとおり個々の測定方法で推奨してい

る誘電体レンズアンテナを除き,金属プレートレンズアンテナ,ルーネベルグレンズアンテナなど,市販

品又は自作したものであってもよい。


7

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なお,測定の不確かさをなくすために,レンズアンテナのアンテナゲイン,VSWR,寸法などが明確と

なっている市販品を使用することが望ましい。また,各周波数帯域の同軸導波管変換器は,VSWR,寸法,

加工精度などが明確となっているものが望ましい。一例として,市販品の誘電体レンズアンテナの仕様を

附属書 に示す。

5.4 

増幅器 

ダイナミックレンジを確保する目的で,増幅器を使用してもよい。

なお,増幅器の温度ドリフトなどを考慮して,箇条 のウォームアップ及び測定温度の変化に注意する。

6 

測定条件 

6.1 

温度及び環境 

気圧 860∼1 060 hPa,温度 5∼35  ℃,相対湿度 45∼85  %内で試験を行う。

なお,測定機器の動作温度及び湿度範囲が,温度及び相対湿度の範囲より狭い場合には,測定機器の条

件に従う。測定温度は,測定機器の温度ドリフトを最小限にするため,測定温度±3  ℃以内で管理するこ

とが望ましい。

なお,温度依存性をもつ測定試料では,測定温度を明記する。また,湿度依存性をもつ測定試料では,

測定における相対湿度を明記する。

6.2 

測定機器の校正温度 

測定機器の校正温度が,測定温度に対して±3  ℃以内の範囲であれば,測定の不確かさを小さくするこ

とができる。

なお,測定機器の温度が,測定温度±3  ℃以外の範囲になった場合には,再度,測定機器の校正を行う

ことが望ましい。

6.3 

測定機器のウォームアップ 

測定機器及び測定システムのウォームアップは,測定機器の仕様に規定されている時間(一般的には 15

∼45 分間)とする。

なお,測定システムの機器中でウォームアップ時間が長いものに合わせる。

6.4 

電磁界環境 

測定電波の出力が法規制より大きくなる場合又は周囲の電磁環境が悪いと判断される場合には,電波暗

室内で測定を行う。アンテナの指向性によっては,必ずしも,電波暗室内で行う必要はない場合もある。

7 

測定系の校正及び測定条件 

7.1 

測定系の校正 

NWA を用いて,推奨された校正方法で行う。校正の種類及び手順は,附属書 に示す。

7.2 

測定条件 

箇条 810 の各々の方法に対して共通の条件を規定する。

7.2.1 

ダイナミックレンジ 

測定系をセットアップした後,基準金属板の受信レベルを測定し,次いで基準金属板がない状態の受信

レベルを測定する。その受信レベルの差,すなわちダイナミックレンジを求める。一例として,ダイナミ

ックレンジが 40 dB の場合,測定試料の反射量が−20 dB で,約+0.83 dB,約−0.92 dB の誤差が生じる可

能性がある。ダイナミックレンジ及び測定誤差との関係については,

附属書 に示す。


8

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7.2.2 

ネットワークアナライザの設定 

測定されたダイナミックレンジが,必要な値にならない場合,NWA の出力レベル,IF バンド幅,アベ

レージング回数などを見直すことによって,ダイナミックレンジの向上を図る。

なお,VNA が使用可能な場合には,

附属書 及び附属書 に記載したアイソレーション処理によって,

ダイナミックレンジの向上を図ることも可能である。

8 

ホーンアンテナ法 

8.1 

測定系の構成 

8.1.1 

送受信アンテナ配置及び測定系概略ブロック図 

測定系配置図を

図 に示す。垂直入射では,反射量は二つのアンテナを用いて透過係数 S

21

で測定するか,

又は一つのアンテナにて反射係数 S

11

で測定する。

ここで,垂直入射において二つのアンテナを用いて S

21

で測定する場合には,5°以内となるように送受

信アンテナを配置する。斜め入射の場合は,送受信アンテナの配置は,測定試料面中心の垂線に対して,

互いに等しい角度となるように配置する。

なお,測定に使用する NWA などの測定機器に関しては,箇条 による。

図 2−測定系の配置例


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8.1.2 

試料架台 

8.1.2.1 

材質及び形状 

a)

  材質  試料架台は,発泡倍率の高い発泡ポリスチレン(低い比誘電率をもつ発泡体)などを用いて製

作することが,試料架台からの反射を抑えるために望ましい。

なお,発泡ポリスチレン及び発泡ポリエチレンの発泡倍率と比誘電率との関係の測定例を

附属書 G

に示す。

b)

  形状  試料架台からの反射を極力抑えるため,測定試料を装着する部分の面積及び形状は,測定試料

と同一とする。測定試料を装着する部分以外は,ピラミッド形電波吸収体などで覆うこと,又は,測

定試料を装着する部分以外の形状をウエッジ形などの加工を施すことが望ましい。一例を

図 に示す。

図 3−測定試料の装着方法


10

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8.1.2.2 

アジマス(方位角)及びエレベーション(仰角)調整機能 

試料の方位角調整及び仰角調整機構を

図 に示す。

図 4−試料の方位角調整及び仰角調整機構

8.1.3 

測定試料の装着方法 

基準金属板及び測定試料の架台への固定には,両面粘着テープ,簡易のり,厚さの薄いセロハンテープ

などを用いる。

8.1.4 

アンテナ固定架台 

送受信アンテナを固定する架台の材質は,必ずしも樹脂製又は木製である必要はないが,架台部分をピ

ラミッド形電波吸収体などで覆う。

8.2 

測定条件 

8.2.1 

測定環境 

原則として電波暗室で行う。

8.2.2 

測定距離(フランホーファー領域) 

測定試料は,式(2)によって計算された距離以上に,ホーンアンテナから離して設置する。

ホーンアンテナなどの方形開口からの電波放射を考えた場合,フレネル領域及びフランホーファー領域

の境界を与える距離 は式(2)で表す。

 

R=G

d

λ

/2

π

 (2)

ここに,

G

d

:  ホーンアンテナの指向性利得(G

d

=4

π

D

m

2

/

λ

2

 

D

m

:  アンテナの開口面の実効的な最大寸法

λ

:  自由空間波長

距離 は測定周波数帯の下限周波数において最大となるが,ホーンアンテナから測定試料までの距離は

より更に大きくとる必要がある。アンテナ指向性利得及び測定距離についての詳細は附属書 に示す。 
8.2.3 

測定試料の大きさ 

測定試料の大きさは, 100×100 mm 以上が望ましい。

8.3 

測定手順 

8.3.1 

測定位置の調整手順 


11

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a)

測定する各条件(垂直入射・斜入射,測定距離など)に,送受信アンテナ及び試料架台を設定する。

b)

送受信アンテナ高さを測定試料の中心となるように設定し,ホーンアンテナ開口面が大地に対して鉛

直となるように水準器を用いて調整する。

c)

基準金属板を試料架台に設置し,金属板が大地に対して鉛直となるように試料架台の水準器を用いて

エレベーション(仰角)を調整する。

d)

測定周波数を CW として,試料架台をアジマステーブル(ターンテーブルなど)によって方位角±10°

程度回転させ,基準金属板の受信レベルを測定し,最大受信レベル又は散乱特性の中心となる角度を

測定位置とする。

e)

測定周波数帯域にて基準金属板の受信レベルを確認し,次いで基準金属板を取り外してダイナミック

レンジの確認を行う。

なお,必要なダイナミックレンジが得られない場合には,7.2.2 の調整を行う。

8.3.2 

スカラネットワークアナライザによる測定手順 

a)

基準金属板を試料架台に設置して,その受信レベル R

m

(dB)を測定し,記録する。

b)

基準金属板を試料架台から取り外し,被測定電波吸収体を試料架台に設置し,その受信レベル R

a

(dB)

を測定し,記録する。

c)

被測定電波吸収体の受信レベル R

a

(dB)から,基準金属板の受信レベル R

m

(dB)を引算して,電波吸収体

の反射量(dB)を求める。

8.3.3 

ベクトルネットワークアナライザによる測定手順 

a)

基準金属板を試料架台に設置して,その受信レベルのベクトル量 Γ

m

を測定し,記録する。

b)

基準金属板を試料架台から取り外し,試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

を測定し,記録す

る。

c)

被測定電波吸収体を試料架台に設置して,その受信レベルのベクトル量 Γ

a

を測定し記録する。

d)

被測定電波吸収体を試料架台から取り外し,試料がない状態の受信レベルのベクトル Γ

r

を測定し,記

録する。

e)

a)

の基準金属板の受信レベルのベクトル量 Γ

m

から,b)の試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

を引き,不要波を除去する。

f)

e)

で得られたベクトル量を周波数領域から時間領域に変換し,主要レスポンスだけにゲート処理を行

う。ゲート処理後,再び周波数領域に変換して,基準金属板の受信レベル R

m

(dB)  として記録する。

g)

c)

の被測定電波吸収体の受信レベルのベクトル量 Γ

a

から,d)の試料がない状態の受信レベルのベクト

ル量 Γ

r

を引き,不要波を除去する。

h)  g)

で得られたベクトル量を周波数領域から時間領域に変換し,主要レスポンスだけにゲート処理を行

う。

i)

ゲート処理後,再び周波数領域に変換して,被測定電波吸収体の受信レベル R

a

(dB)として記録する。

j)

被測定電波吸収体の受信レベル R

a

(dB)から,基準金属板の受信レベル R

m

(dB)を引いて,電波吸収体の

反射量(dB)を求める。

9 

誘電体レンズアンテナ法−集束ビーム法− 

9.1 

測定系の構成 

9.1.1 

送受信アンテナ配置及び測定系概略ブロック図 

測定系の配置例と集束ビーム法の垂直入射及び斜入射における送受信アンテナの配置並びに測定系概略


12

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ブロック図を

図 に示す。

図 5−測定配置図

9.1.2 

集束ビーム形ホーンアンテナ 

9.1.2.1 

アンテナの構成 

誘電体レンズアンテナの構成を

図 に示す。集束ビーム法において使用する誘電体レンズ系の構成は,

同軸−導波管変換器,方形−円形モード変換フィード部,円形ホーン及び凸形誘電体レンズからなる。

市販の誘電体レンズアンテナの直径・焦点距離・材質などの寸法仕様例を,

附属書 の C.2 に示す。


13

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図 6−誘電体レンズアンテナの構成

9.1.2.2 

  測定バンド 

アンテナを構成するパーツのうち,同軸−導波管変換器,及び方形−円形モード変換フィード部は,通

常,周波数バンドごとに異なるものとする。

9.1.2.3 

アンテナ架台 

送受信アンテナを設置するアンテナ架台は,アンテナ中心軸に沿って前後にスライドし,測定距離を微

調整できる構造とする。また,アンテナ設置台は,測定試料に対して入射角が可変できるような構造とす

る。

9.1.2.4 

測定試料の大きさ 

最もビームウェスト径が大きくなる周波数においては(一般的には,測定したい周波数帯域での最低周

波数)

,そのビームウェスト径の 3 倍以上の大きさとする。

9.1.3 

基準金属板の大きさ 

測定試料と同一面積及び寸法とする。

9.1.4 

測定試料ホルダ 

9.1.4.1 

材質及びサイズ 

図 に測定試料ホルダの構造を示す。測定試料ホルダは,比較的反射の小さい樹脂系のもの(例えば,

ポリカーボネート樹脂製で比誘電率が 1 に近く,電磁波に対して反射が小さいもの)で,かつ,ぶれ及び

がたつきのない構造とする。垂直入射の場合のサイズは,ビームウェスト径(−3 dB エリア)の 3 倍以上

とする。サイズの大きいもの及び小さい測定試料両方がセットできる構造がよい。

なお,斜入射の場合は,試料面でのビームの照射面積が垂直入射の場合に比べて 1/cosθ 倍大きくなるの

で,更に大きな測定試料ホルダとする。

 
 


14

R 1679

:2007

図 7−測定試料ホルダの例

9.1.4.2 

水平アジマス及びエレベーション仰角調整 

送受信アンテナに対する測定電波吸収体の設置精度を確保するため,エレベーション仰角・水平アジマ

スを微調整できる機能とする。

9.1.5 

基準金属板及び被測定電波吸収体の測定試料ホルダへの固定方法 

測定試料ホルダが測定試料を挟み込むような構造とし,測定試料にたわみなどが発生しないように 4 辺

すべて固定する方法が望ましい。

9.2 

測定手順 

9.2.1 

測定位置の調整手順 

a)

測定する各条件(垂直入射及び斜入射,測定距離など)に,送受信アンテナ及び測定試料ホルダを設

定する。

b)

送受信アンテナ高さを測定試料の中心となるように設定し,ホーンアンテナ開口面が大地に対して鉛

直となるように調整する。

c)

  基準金属板を測定試料ホルダに設置し,金属板が大地に対して鉛直となるように水準器等を使用して

エレベーション仰角を調整する。

d)

  測定周波数を固定周波数にし,測定試料ホルダを方位角±10°程度回転させ,基準金属板の受信レベ

ルを測定し,最大受信レベル又は散乱特性の中心となる角度を測定位置とする。

e)

測定周波数帯域にて基準金属板の受信レベルを確認し,次いで基準金属板を取り外してダイナミック

レンジの確認を行う。

なお,希望のダイナミックレンジが得られない場合には,7.2.2 の調整を行う。

9.2.2 

スカラーネットワークアナライザによる測定手順 

a)

基準金属板を測定試料ホルダに設置して,その受信レベル R

m

 (dB)を測定し,記録する。

b)

基準金属板を測定試料ホルダから取り外し,測定試料を測定試料ホルダに設置して,その受信レベル

R

a

 (dB)を測定し,記録する。

c)

測定試料の受信レベル R

a

 (dB)から,基準金属板の受信レベル R

m

 (dB)を引いて,測定試料の反射量(dB)

を求める。


15

R 1679

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9.2.3 

ベクトルネットワークアナライザによる測定手順 

a)

垂直入射測定の場合は,S

11

反射測定モードにする。斜入射測定の場合は,S

21

伝送測定モードにする。

b)

基準金属板を測定試料ホルダに設置し,その受信レベルのベクトル量 Γ

m

を測定し,記録する。

c)

基準金属板を測定試料ホルダから取り外し,試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

を測定し,

記録する。

d)  b)

の基準金属板の受信レベルのベクトル量 Γ

m

から,c)の試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

を引き,不要波を除去する。

e)

d)

で得られたベクトル量を周波数領域から時間領域に変換し,主要レスポンスだけにゲート処理を行

う。ゲート処理後,再び周波数領域に変換し,基準金属板の受信レベル R

m

 (dB)  として記録する。

f)

測定試料を測定試料ホルダに設置し,その受信レベルのベクトル量 Γ

a

を測定し,記録する。

g)

測定試料を測定試料ホルダから取り外し,試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

を測定し,記

録する。

h)  f)

の測定試料の受信レベルのベクトル量 Γ

a

から,g)の試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

引き,不要波を除去する。

i)

h)

で得られたベクトル量を周波数領域から時間領域に変換し,主要レスポンスだけにゲート処理を行

う。

j)

ゲート処理後,再び周波数領域に変換して,測定試料の受信レベル R

a

 (dB)として記録する。

k)

測定試料の受信レベル R

a

 (dB)から,基準金属板の受信レベル R

m

 (dB)を引算して,測定試料の反射量

(dB)を求める。

9.2.4 

ベクトルネットワークアナライザの校正機能を使った測定手順 

VNA を使用した校正の種類及び手順の詳細を附属書 に示す。

a)

垂直入射測定の場合は,S

11

反射測定モードにする。斜入射測定の場合は,S

21

伝送測定モードにする。

b)

校正タイプを選択する。S

11

反射測定モードの場合は,反射レスポンス・アイソレーション校正,また

S

21

伝送測定モードの場合は不要反射が少ないため,伝送レスポンス・アイソレーション校正を選択す

るか,又は伝送レスポンス校正を選択する。アイソレーション校正を省略した伝送レスポンス校正の

場合は,d)を省略する。

附属書 に VNA の校正の種類及び手順を示す。

c)

基準金属板を測定試料ホルダに設置し,その受信レベルのベクトル量 Γ

m

を測定・記録するために,S

11

反射測定モードの場合は,ショート標準を選択し,校正を実行する。また,S

21

伝送測定モードの場合

は,スルー標準を選択し,校正を実行する。

d)

基準金属板を測定試料ホルダから取り外し,試料がない状態の受信レベルのベクトル量 Γ

r

を測定・記

録するため,両モードともに,アイソレーションを選択して,校正を実行する。

e)

校正機能を ON にして校正を終了する。

f)

測定試料を測定試料ホルダに設置して,その受信レベルを測定する。

g)

f)

で得られた受信レベルを周波数領域から時間領域に変換し,主要レスポンスだけにゲート処理を行

う。

h)

ゲート処理後,再び周波数領域に変換し,測定試料の受信レベル R

a

 (dB)とする。

10  誘電体レンズアンテナ法−平行ビーム法− 
10.1  測定系の構成 
10.1.1  測定システム図 


16

R 1679

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測定システムの一例を

図 に示す。入射面に垂直に測定試料を置き,入射角及び反射角が等しくなるよ

うに(通常,反射レベルが最大になる。

,位置調整が可能な測定試料台を設ける。

図 8−測定システムの例  

10.1.1.1  垂直入射 

垂直入射における測定系のブロック図を

図 に示す。垂直入射では,一つの誘電体レンズ及びアンテナ

を送受信に使用し,NWA によって,反射係数 S

11

を測定する。

多重反射などの試料以外からの反射波の影響を除去するために,必要なタイムゲート幅だけの反射波を

抽出するタイムドメイン及びゲーティング機能をもつ VNA を使用する。 

図 9−垂直入射の場合の測定系

10.1.1.2  斜入射

斜入射における測定系のブロック図を

図 10 に示す。測定系では,二つの誘電体レンズを送信及び受信ア

ンテナとして,透過係数 S

21

を測定する。

なお,ダイナミックレンジをあまり必要としない場合は,SNA が使用できる。

大きなダイナミックレンジを必要とする場合は,VNA のゲーティング機能を用いて,必要な時間幅だけ

の測定試料からの反射波を抽出する。


17

R 1679

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図 10−斜入射の場合の測定系

入射角が 70°を超える場合,測定試料からの反射波以外に,平行波が,直接受信側のレンズに入射する

可能性がある。この場合は,平行ビームの中央に

図 11 のように電波吸収体でできた遮へい(蔽)板を置い

たり,

附属書 に示すアイソレーション処理を行う。

図 11−遮へい板の位置

10.1.2  誘電体レンズアンテナ 

a)

  誘電体レンズの直径及び表面平滑度  誘電体レンズの直径は,波長の 10 倍以上とする。誘電体レン

ズの表面の平滑度は,λ/16  以下が望ましい。

なお,

附属書 に誘電体レンズアンテナの寸法仕様例を示す。

b)

ホーンアンテナ  ホーンアンテナの仮想点波源が誘電体レンズの焦点位置にくるように,ホーンアン

テナを設置する。

c)

誘電体レンズと測定試料との距離  誘電体レンズと測定試料との距離は誘電体レンズの近傍の電波の

乱れを回避するために,誘電体レンズの直径の 2.5 倍から 5 倍程度とする。

10.2  基準金属板及び測定試料 
10.2.1  基準金属板

測定試料と同じ大きさのアルミニウム,銅などの金属板とする。

10.2.2  測定試料の大きさ   

測定試料の各辺が波長の 10 倍以上とする。ただし,斜入射の場合で,特に入射角を大きくする場合は,

入射波と反射波との行路差を長くする。また,不要な反射波の影響を除くため,基準金属板及び測定試料

の後方に電波吸収体を置くことが望ましい。

10.3  測定方法


18

R 1679

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10.3.1  垂直入射の場合 

a)   VNA

の送信ポートとホーンアンテナとを接続する同軸ケーブルを用意する。

b) VNA

の送信ポートに同軸ケーブルを接続し,同軸ケーブルの先端をホーンアンテナに接続する。

c)

測定試料表面位置に,各辺の長さが誘電体レンズ径より大きい基準金属板を置き,レスポンス校正を

ショートだけで行う。次にゲート時間を最適化する。金属板からの反射が最大になるように試料架台

の角度の微調整を行い,基準金属板の反射量 R

m

(dB)を測定する。

d)

基準金属板表面と同じ位置に,表面がくるように測定試料を配置し,測定試料の反射量 R

a

(dB)を測定

する。

e)

  R

m

R

a

(dB)より反射量を算出する。

10.3.2  斜入射の場合 
10.3.2.1  ベクトルネットワークアナライザを用いる場合 

a) TE

波測定又は TM 波測定に応じてアンテナの向きを調整する。

b) VNA

の送信ポートと送信アンテナとを接続する同軸ケーブル,及び VNA の受信ポートと受信アンテ

ナとを接続する同軸ケーブルを用意する。これらの同軸ケーブルを送信ポート及び受信ポートに接続

し,その先端において,ショート,オープン及び整合[終端抵抗(50 Ω)

]校正を行う。

c)

送信アンテナを測定する入射角に,受信アンテナを測定する反射角に設置し,同軸ケーブルを各々の

ホーンアンテナに接続する。試料表面となる位置に誘電体レンズの直径より大きな基準金属板を置き,

スルーの校正を行う。

d)

試料面に基準金属板を置き,ゲート時間の最適化を行う。基準金属板からの反射が最大になるように

試料架台を調整し,基準金属板の反射量 R

m

 (dB)を測定する。

e)

金属面と同じ位置に表面がくるように測定試料を置き,測定試料の反射量 R

a

 (dB)を測定する。

f)

  基準金属板の反射量 R

m

 (dB)から,測定試料の反射量 R

a

 (dB)を引いて,反射量(dB)を求める。

10.3.2.2  スカラネットワークアナライザを用いる場合 

a) TE

波測定又は TM 波測定に応じてアンテナの向きを調整する。

b) NWA

の送信ポートと送信アンテナとを接続する同軸ケーブル,及び NWA の受信ポートと受信アンテ

ナとを接続する同軸ケーブルを用意する。

c)

送信アンテナを測定する入射角と同じ反射角に,受信アンテナを設置し,同軸ケーブルを各々のホー

ンアンテナに接続する。試料表面となる位置に誘電体レンズの直径より大きな基準金属板を置く。

NWA をスルー測定のモードに設定する。

d)

基準金属板からの反射が最大になるように試料架台の微調整を行い,NWA のスルーの校正を行う。基

準金属板と同じ位置に表面がくるように測定試料を設置し,測定試料の反射量 R

a

 (dB)を測定する。

11  結果の記録 

結果の記録は,次の項目とする。

a)

試験試料を判別する記号(被測定電波吸収体の名称,製品タイプ)

b)

試験試料の寸法

c)

試験装置のリスト(製造業者,モデル,及び最近の校正日記載が望ましい)

d)

試験装置のダイナミックレンジ(

図 12 の例参照)

e)

測定条件(温度,湿度,電波暗室及び室内などの環境,NWA の設定条件(周波数範囲,ポイント数,

アベレージングなど)


19

R 1679

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f)

反射量の測定方法及び測定手順

g)

反射量(dB)の周波数(GHz)依存性(

図 12 と表 の例参照)

図 12−図による報告の例

表 3−表による報告の例

周波数(GHz)

反射量(dB)

ダイナミックレンジ(dB)


20

R 1679

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21

R 1679

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附属書 A


22

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参考)


23

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基準金属板の反射特性及び散乱特性(ホーンアンテナ法)

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。ミリ波帯における電波吸収

特性の評価に重要な基準金属板の反射特性と散乱特性とを示す。

A.1  基準金属板の反射特性 

周波数 40 GHz において,50×50 mm から 300×300 mm まで寸法の異なる金属板(厚さ 2 mm のアルミ

板)の反射レベルを測定した結果を

図 A.1 に示す。また,送受信アンテナと金属板との距離を 2 m とし,

金属板の寸法を 50×50 mm から 600×600 mm まで変化させた場合の反射量を

図 A.2 に示す。図 A.2 に示す

反射量は,送信アンテナと受信アンテナとを距離 2 m で対向させた受信レベルを基準として表している。

なお,

図 A.1 及び図 A.2 に示す実線はキルヒホッフ・ホイゲンスの回折理論を用いて計算したものであ

る。

金属板寸法及び測定距離の変化に対する反射量の測定結果,並びにキルヒホッフ・ホイゲンスの回折理

論による解析結果から,電波吸収体の反射量を評価する上で基準となる金属板の反射特性を明確にするこ

とができる。

図 A.1−基準金属板の反射レベルの距離特性(40 GHz


24

R 1679

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図 A.2−距離 2 m における基準金属板の寸法変化による反射量

A.2  基準金属板の散乱特性 

送受信アンテナと金属板の距離を 2 m とし,50×50 mm から 300×300 mm まで金属板の寸法を変化させ

た場合の散乱特性を

図 A.3 に示す。また,寸法 200×200 mm の金属板における測定距離の変化に対する散

乱特性を

図 A.4 に示す。

なお,周波数 40 GHz において,金属板寸法の中心を原点として±10°の入射角の範囲で散乱特性(反

射レベル)を測定している。また,

図 A.3 及び図 A.4 に示す実線はキルヒホッフ・ホイゲンスの回折理論

を用いて計算している。

基準金属板の寸法及び測定距離によっては,電波の入射方向(θ≒0°)に極大点が得られる特性を示さ

ず,傾斜させた角度に対して平たんな特性を示すこともあるので,測定位置の設定に注意が必要である。

図 A.3−距離 2 m における基準金属板の散乱特性(40 GHz


25

R 1679

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図 A.4200×200 mm の基準金属板の距離変化による散乱特性(40 GHz)

注記

基準金属板の解析手法一例(キルヒホッフ・ホイゲンスの回折理論)  電磁界を解析する手

法には多くの種類があるが,

附属書 では,金属板を完全吸収壁上の電波が透過する開口と

して取り扱い,キルヒホッフ・ホイゲンスの回折理論によって反射特性及び散乱特性を解析

した。

キルヒホッフ・ホイゲンスの回折理論によって,伝搬路に垂直にくさび状の断面をもつ完全吸収壁が x

=−で y=±∞に存在するとき,受信点の電界強度 E

r

は式(A.1)で表される。

なお,E

0

は原点(完全吸収壁の位置)の電界強度,βは位相定数,λ は自由空間波長である。

(

)

dx

e

dy

d

e

jE

E

d

d

d

d

y

x

A

2

1

2

/

2

1

2

2

2

2

d

0

r

+

÷ø

ö

çè

æ

+

ò

ò

λ

(A.1)

この結果は,完全吸収壁がない場合の受信電界強度 E

s0

を用いて,式(A.2)のように表すことができる。

ここで,C(w)と S(w)はフレネル積分と呼ばれる。

( )

( )

úû

ù

êë

é

+

=

w

jS

w

C

j

j

E

E

2

1

2

s0

r

(A.2)

(

)

λ

d

d

d

d

A

w

2

1

2

1

2

+

=

金属板を

図 A.5 に示した

1

辺が

2A

の正方形の完全吸収壁開口とした場合,相対受信電界強度は式

(A.3)

で計算される。ここで,

d

1

は完全吸収壁開口による送信アンテナ鏡像から開口までの距離を,

d

2

は開口か

ら受信アンテナまでの距離を示す。

( )

[

]

( )

[

]

w

ψ

w

ψ

E

E

2

1

2

1

s0

r

=

(A.3)

( )

( )

( )

û

ù

ë

é

+

=

w

jS

w

C

j

j

w

ψ

2

1

2


26

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図 A.5−金属反射レベルの解析概要


27

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28

R 1679

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附属書 B


29

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参考)


30

R 1679

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ホーンアンテナ法による基準校正試料の反射量

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。ミリ波帯で均一な比誘電率

をもつ石英ガラスを基準校正試料とし,その反射量を測定した結果を示す。 
 
B.1  基準校正試料 

ミリ波帯における石英ガラスの比誘電率の評価は,S パラメータ法や遮断円筒導波管法によるラウンド

ロビン試験などが実施されており,多くの文献が発表されている。ここで,文献による石英ガラスの比誘

電率は,

ε

r

=3.80∼3.82 の値である。

なお,tan

δ

は非常に小さな値をもつ。

B.2  基準校正試料の反射量 

寸法 200×200×5.07 mm の石英ガラス(背面が空気の場合)の垂直入射における反射量を距離 1 m,2 m

及び 3 m で測定した結果を

図 B.1 に示す。

なお,伝送線路理論によって計算した結果を併せて示した。ここで,計算における石英ガラスの比誘電

率は 3.80 を用いた。

石英ガラスの反射量を測定した結果は伝送線路理論で計算した値とよく一致している。

また,整合周波数以外における反射量の偏差は,計算した反射量に対して±0.5∼±1 dB である。

図 B.1−ミリ波帯における 200×200 mm 石英ガラスの反射量


31

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32

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附属書 C


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参考)


34

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アンテナの仕様例

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

 
C.1  ホーンアンテナの仕様例 

図 C.1 及び表 C.1 に周波数帯ごとのホーンアンテナの寸法例を示す。これらは,アンテナゲインが約 24

dB の一般的なホーンアンテナである。導波管の寸法及び形状は,IEC 60153-2 (Hollow metallic waveguides.

Part2:Relevant specifications for ordinary rectangular waveguides)を参照。

図 C.1−ホーンアンテナの仕様例

表 C.1−アンテナゲイン 24 dB

単位  mm

導波管

周波数

GHz

EIA

規格

IEC

規格

a b  c 

33∼50 WR-22

R-400 55.1  41.9  103.4

40∼60 WR-19

R-500 46.3  35.2  88.4

50∼75 WR-15

R-620 36.4  27.7  70.5

60∼90 WR-12

R-740 30.0  22.8  59.6

75∼110 WR-10

R-900  24.6  18.7

49.2

90∼140 WR- 8

R-1200 19.7  15.0

39.6

110∼170 WR- 7 R-1400 16.0  12.2

32.1

140∼220 WR- 5 R-1800 12.5

9.6

26.3

170∼260 WR- 4 R-2200 10.6

8.1

21.2

220∼325 WR- 3 R-2600  8.4

6.4

18.0

 
C.2  誘電体レンズアンテナの寸法仕様例 

表 C.2,図 C.2,図 C.3 に誘電体レンズアンテナの寸法仕様例を示す。


35

R 1679

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表 C.2−幾つかの誘電体レンズの仕様

名称

直径

mm

焦点距離

mm

材質

種別

A 305  305  ポリエチレン

集束ビーム形用

B 175  175

PTFE  集束ビーム形用

C 175  275

PTFE  集束ビーム形用

D 120  200

PTFE  平行ビーム形用

 

図 C.2−名称 の誘電体レンズアンテナの構造[バンド(5075 GHz)での構成例]

他の測定周波数帯では③,④,⑤の部分を交換)

図 C.3−名称 の誘電体レンズ及びホーンアンテナの寸法・仕様(平行ビーム型)の例

ホーンアンテナは周波数帯によって表 C.1 などから選択)


36

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37

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附属書 D


38

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規定)


39

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VNA

の校正の種類及び手順

序文 

この附属書は,VNA の校正の種類及び手順を規定する。

 
D.1  校正の種類 

VNA を用いて測定する場合の校正方法の分類は,次による。

D.1.1  垂直入射の場合 

a)

S

11

レスポンス校正

b)  S

11

レスポンス・アイソレーション校正

アンテナを一つだけ使用する垂直入射の場合で,かつ,誘電体レンズアンテナを使用しない方法では,

基準反射板及び測定試料からの反射レベルより,VNA テストセット内部とアンテナとの接続部における反

射レベルの方が大きくなるため,必要となる測定のダイナミックレンジ及び測定再現性が確保できないこ

とが多い。この場合は,次の工夫を施すと改善することがある。

1)

測定ケーブルをできるだけ短くする。

2)

低損失タイプの同軸ケーブルを使用する。

3)

図 D.1 に示すように,20 dB 以上の方向性度をもつ方向性結合器を VNA 外部に設置する。この場合,

補助入力ポートに反射信号だけを入力する。補助入力ポートがない場合はテストポート 2 側に接続

することができるが,測定モードは

S

11

ではなく

S

21

となる。

4)

S

11

レスポンス  校正ではなく,レスポンス校正・アイソレーション校正を実施する。

5)

誘電体レンズアンテナを使用する。

図 D.1−方向性結合器をアンテナに直接接続した垂直入射測定接続例

D.1.2  斜入射測定の場合 

a)

S

21

レスポンス校正


40

R 1679

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b)  S

21

レスポンス・アイソレーション校正

送信・受信アンテナをそれぞれ用いる斜入射測定では,方向性結合器によるダイナミックレンジの制限

を受けないため,比較的校正が容易である。 
 
D.2  校正手順 

それぞれの校正方法の手順を,次に示す。校正の演算を VNA の内部で行う場合,別途,校正標準器に

応じた校正定義表を VNA の機種に応じて作成し,使用しなければならない。

D.2.1 

S

11

及び

S

21

レスポンス校正 

図 D.2,図 D.3 に示すように,使用する標準器は基準金属板一つだけで最もシンプルである。しかし,

この方法は,アンテナ間の直接伝達波,アンテナ接続部におけるインピーダンス不整合,測定試料ホルダ

などの不要反射の影響を受けやすい。また,時間領域のゲート処理と併用することが望ましい。

a)

測定試料と同サイズの基準金属板を測定試料ホルダにセットする。

b)

その反射レベルを取得する。

c)

レスポンス校正を ON にする。

d)

基準金属板の反射を全反射基準とした測定試料の反射を測定する。

図 D.2−垂直入射測定時の基準金属板を使用したレスポンス校正例


41

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図 D.3−斜入射測定時の基準金属板を使用したレスポンス校正例

 
D.2.2 

S

11

及び

S

21

  レスポンス・アイソレーション校正 

図 D.4,図 D.5 に示すように,使用する標準器は基準金属板及び無反射標準の二つである。無反射標準

では測定試料ホルダに何も入れない状態にして,その背景にある壁においても,反射が小さく,かつ,測

定試料ホルダから十分に隔離されている状態が望ましい。特に定めがなければレスポンス校正よりこの校

正方法によるのがよい。時間領域のゲート処理を併用すると,より正確な測定が可能となる。

a)

測定試料と同サイズの基準金属板を,測定試料ホルダにセットする。

b)

その反射レベルを取得する(レスポンス校正)

c)

基準金属板を取り外し,測定試料ホルダだけにする。測定試料ホルダの後方には反射物をできるだけ

排除するか隔離する。

d)

その反射レベルを取得する(アイソレーション校正)

e)

レスポンス・アイソレーション校正を ON にする。

f)

基準金属板の反射を,全反射基準及び測定試料がない状態を無反射基準として,測定試料の反射を測

定する。

図 D.4−垂直入射測定におけるレスポンス・アイソレーション校正例


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図 D.5−斜入射測定におけるレスポンス・アイソレーション校正例

D.2.3 

S

11

1 ポートフル校正:ショート−1/4 波長オフセットショート−ロード校正 

アンテナを一つ使用した垂直入射の場合で,より正確な反射測定が必要な場合に使用する。レスポンス

校正では補正できない測定ポートのインピーダンスマッチングまで補正できる。設置例を

図 D.6 に示す。

ただし,測定試料ホルダのふらつきやアンテナ架台の設置位置の再現性が 1/100 波長以下(測定周波数の

中で一番高い周波数の波長)であることが望ましい。VNA 内蔵の校正機能を使用する場合,適切な校正定

義表があらかじめ入力されていなければならない。

a)

測定試料と同サイズの基準金属板を測定試料ホルダにセットする。

b)

その反射レベルを取得する(ショート校正)

c)

次に,アンテナの位置,又は測定試料ホルダの位置を,測定する周波数範囲の中心周波数の 1/4 波長

分遠くに離す。このとき位置の移動距離はできるだけ正確でなければならない。

d)

そのときの反射レベルを取得する(1/4 波長オフセットショート校正)

e)

最後に,アンテナ,又は測定試料ホルダを元の位置に戻し,基準金属板を取り外す。測定試料ホルダ

の後方には反射物をできるだけ排除しておく。

f)

そのときの反射レベルを取得する(ロード校正)

g)

誤差パラメータを計算し,

S

11

1 ポート校正を ON にする。

h)

測定試料を測定する。


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図 D.6−垂直入射測定における S

11

1

ポートフル校正

D.2.4  TRL 2 ポートフル校正:スルー−リフレクト−ライン校正 

1 ポートフル校正を行うかわりに,2 ポートフル校正を行ってから 1 ポート反射測定を行うことができる。

この方法は箇条 に示す誘電体レンズアンテナを使用する方法で主として用いられる。この場合,2 ポー

トフル校正には,TRL 校正が最適である。

TRL 校正を実行するには,VNA の S パラメータ・テストセット及び図 D.7 のように二つの対向するア

ンテナ,定められた距離だけ精密に移動できるアンテナ架台が必す(須)である。測定試料ホルダのふら

つきや可動アンテナ架台の位置確度が 1/100 波長以下(測定周波数の中で一番高い周波数の波長)である

ことが望ましい。VNA 内蔵の校正機能を使用する場合,適切な校正定義表があらかじめ入力されていなけ

ればならない。


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図 D.7−精密アンテナ架台の一例

図 D.8 に示された順序に従い,次の手順で校正を実施する。

a)

図 D.7 のようにポート 1 アンテナ,測定試料ホルダ,ポート 2 アンテナを直線状に設置する。アンテ

ナの焦点距離を考慮し,それぞれ設置位置を決める。

b)

これを基準位置とする。

c)

測定試料ホルダを空の状態にする。まず,一番移動距離の長い“ライン”の設定をする。これは,基

準位置から“測定中心周波数の 1/4 波長”だけポート 2 アンテナの位置を遠くへ離す。

“ライン校正”

を実行する。

d)

次に,ポート 2 側のアンテナ位置を,基準位置から“ショート用基準金属板の厚さ”分だけ後ろにず

らした位置まで近づける。基準金属板を測定試料ホルダに取り付ける。

“リフレクト校正”する。

e)

最後に,基準位置に戻し,測定試料ホルダを空の状態にする。

“スルー校正”を実行する。

f) TRL

校正を終了する。

g)

図 D.9 に示すように,測定はポート 1 アンテナだけ使用して反射測定を行う。ポート 2 側アンテナは,

ポート 1 側アンテナから伝搬する信号が,少なくとも−40 dB 以上減衰するように設置する。電波吸

収体と金属板を使用してポート 2 アンテナを覆うとよい。


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図 D.8TRL 校正手順  上段からライン−リフレクト−スルー

図 D.9TRL 校正後の S

11

1

ポート測定

ここで,測定周波数がミリ波帯になると,

“中心周波数の 1/4 波長の長さ”が“基準金属板の厚さ”より

短くなることがある。この場合は,先に“リフレクト校正”を実施し,次に“ライン校正”

,最後に“スル

ー”校正を実施する。理由は,可動アンテナ架台は一方向に移動すると架台のバックラッシュの発生を抑

えることができ,希望する位置に正確に移動できるからである。


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附属書 E


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参考)


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ダイナミックレンジ及び測定誤差

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。測定系のダイナミックレン

ジを定義し,ダイナミックレンジと反射量によって求めた測定誤差との関係を示す。 
 
E.1  ダイナミックレンジ 

ダイナミックレンジとは,基準金属板の受信レベルと測定試料がない状態の受信レベルとの差を表して

いる。一例として,V-Band において寸法 300×300 mm の金属板における受信レベルと測定試料がない状

態における受信レベルの測定結果を

図 E.1 に示す。ここで,測定試料がない状態の受信レベルは−80 dB∼

−70 dB であり,寸法が 300×300 mm の金属板の受信レベルとの差,すなわちダイナミックレンジは 40 dB

∼50 dB となる。

図 E.1−金属板及び測定試料がない状態の受信レベルの測定例

 
E.2  ダイナミックレンジと測定誤差との関係 

ダイナミックレンジと測定誤差との関係を

図 E.2 に示す。基準金属板の受信レベルを 0 dB として,測定

試料の反射量が小さくなるに従い,反射量に対する測定誤差が大きくなることが分かる。したがって,ダ

イナミックレンジが大きく得られるように工夫する必要がある。

一例として,ダイナミックレンジが 40 dB の場合,測定試料の反射量が−20 dB で約+0.83 dB,約−0.92

dB の誤差が生じる可能性がある。


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図 E.2−ダイナミックレンジと反射量の測定誤差との関係


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附属書 F


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参考)


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ダイナミックレンジを向上させる手法

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。測定系のダイナミックレン

ジを向上させる手法の一例を示す。 
 
F.1 

ダイナミックレンジを向上させる手法 

ホーンアンテナ法による測定では,

図 F.1a)に示すように測定試料からの反射波以外に,送受信アンテナ

間の直接波

V

d

,周囲からの反射波

V

r

などの不要波が合成された値となる。

ここで,測定試料からの反射波だけを抽出する方法が有効となる。測定試料からの反射波だけを抽出す

る方法は,ベクトルネットワークアナライザを使用する場合,そのタイムドメイン機能を用いる方法,不

要波をベクトル的に引いて数学的に抑制する方法などがある。

図 F.1a)に示す測定試料がある状態の受信電

V

a

(ベクトル量)から,

図 F.1b)に示す測定試料がない状態の受信電圧

V

d

V

r

(ベクトル量)をベクト

ル的に引くことによって,測定試料だけの受信電圧

V

s

を求めることが可能となる。

a)

測定試料あり

b)

測定試料なし

図 F.1−不要波除去方法の一例

さらに,測定試料からの反射波だけを抽出する場合には,不要波を除去した後,測定試料の反射波を VNA

のタイムドメイン機能を用いて時間領域に変換し,測定試料の反射波だけをゲート処理する。ゲート処理

をした後,周波数領域に再変換する。


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附属書 G


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参考)


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発泡ポリスチレン及び発泡ポリエチレンの

発泡倍率と比誘電率との関係

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。一般的に試料架台として適

用される発泡ポリスチレン及び発泡ポリエチレンの発泡倍率と比誘電率の関係を示す。 
 
G.1  発泡ポリスチレン及び発泡ポリエチレンの発泡倍率並びに比誘電率 

表 G.1 及び表 G.2 に,発泡ポリスチレン及び発泡ポリエチレンの発泡倍率と比誘電率との関係を示す。

試料架台として用いる場合は,機械的強度に留意しながら,電磁波の反射がなるべく起こらないように比

誘電率

ε

r

が 1 に近い発泡倍率が大きなものを使用する。

表 G.1−発泡ポリスチレンの発泡倍率及び比誘電率の一例

発泡倍率(倍)

比誘電率 ε

r

1(ピュア−) 2.65

20 1.08 
30 1.06 
40 1.04 
60 1.03

表 G.2−発泡ポリエチレンの発泡倍率及び比誘電率の一例

発泡倍率(倍)

比誘電率 ε

r

2 1.70 
5 1.21 
6 1.21

10 1.04 
15 1.02 
30 1.02


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附属書 H


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参考)


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ホーンアンテナ法におけるフランホーファー領域

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

 
H.1  フランホーファー領域の計算 

ホーンアンテナなどの方形開口からの電波放射を考えた場合,フレネル領域とフランホーファー領域と

の境界を与える距離

R

は,アンテナの開口面の実効的な最大寸法を

D

m

とすると,式(H.1)で表される。ま

た,ホーンアンテナの指向性利得

G

d

は式(H.2)で表される。ここで,

λ

は自由空間波長を示す。式(H.1)と式

(H.2)から,ホーンアンテナの指向性利得

G

d

を用いてフランホーファー領域の境界を与える距離

R

を表現

すると,式(H.3)が得られる。 

λ

/

2

2

m

D

R

(H.1)

2

2

m

d

/

4

λ

π D

(H.2)

π

λ 2

/

d

G

(H.3)

式(H.3)を用いて計算した一例を

図 H.1

に示す。下限周波数 30 GHz で,アンテナゲインを 24 dB とする

と,40 cm 以上がフランホーファー領域と考えられる。したがって,測定試料の設置距離はマージンをみ

て 1 m 以上に設定することが望ましい。

図 H.1

アンテナゲインに対するフランホーファー領域