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R 1665

:2005

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS R 1665

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(参考)共軸二重円筒形回転粘度計

附属書 2(参考)円すい−平板形回転粘度計

附属書 3(参考)平行平板形回転粘度計


R 1665

:2005

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  流動曲線のヒステリシス測定によるチクソトロピー性の評価 

2

4.1

  原理

2

4.2

  装置

2

4.3

  セラミックススラリー試料の採取及び粘度計への導入

2

4.4

  測定条件及び手順

2

4.5

  測定結果の整理,解析方法 

3

4.6

  測定結果報告書

3

5.

  一定の低せん断速度でのせん断応力変化の時間依存性測定によるチクソトロピー性の評価 

4

5.1

  原理

4

5.2

  装置

4

5.3

  セラミックススラリー試料の採取及び粘度計への導入

4

5.4

  測定条件及び手順

4

5.5

  測定結果の整理,解析方法 

5

5.6

  測定結果報告書

5

6.

  セラミックススラリーのチクソトロピー性測定のための前処理及び留意事項 

5

附属書 1(参考)共軸二重円筒形回転粘度計 

7

附属書 2(参考)円すい−平板形回転粘度計 

10

附属書 3(参考)平行平板形回転粘度計 

12


日本工業規格

JIS

 R

1665

:2005

セラミックススラリーの回転粘度計によるチクソト

ロピー性測定方法

Method for measurement of thixotropy behavior with a rotational viscometer

of ceramics slurry

1. 

適用範囲  この規格は,共軸二重円筒形回転粘度計,円すい―平板形回転粘度計及び平行平板形回転

粘度計を用いて常温でのセラミックス粉体分散スラリーのチクソトロピー性を測定する方法について規定

する。ここで規定する方法は,セラミックス粉体の種類及び水系・非水系を問わず一定の流動性は示すも

ののチクソトロピー性などの非ニュートン性挙動を示す比較的高粘度のセラミックス粉体分散系スラリー

に適用し,粘度範囲が回転粘度計で測定可能なスラリーを対象とする。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 7117-2

  プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―回転粘度計による定せん断速度での粘

度の測定方法

JIS R 1600

  ファインセラミックス関連用語

JIS Z 8803

  液体の粘度−測定方法

JIS Z 8809

  粘度計校正用標準液

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600 によるほか,次による。

a)

せん断応力  スラリー内のずり流動面の単位面積に作用する接線力。ずり応力ともいう。

b)

せん断速度  スラリー内の流動に直角方向の層流速度変化の割合。ずり速度ともいう。

c)

ニュートン性  せん断応力とせん断速度とが比例するスラリーの性質。

d)

非ニュートン性  せん断応力がせん断速度に比例しないスラリーの性質。

参考  高分子を含む液体又はセラミックススラリーのようなサスペンジョンは普通この性質を示す。

チクソトロピー性も非ニュートン性の一つに分類される場合がある。

e)

粘度  スラリー内にせん断速度があるとき,その速度の方向に垂直な面において速度方向に単位面積

当たりに生じる応力の大きさによって示される内部抵抗。

備考  非ニュートン性流体に作用したせん断応力とせん断速度との比を見掛け粘度という。

f)

流動曲線  せん断速度とせん断応力との関係を示す曲線。

g)

チクソトロピー性  非ニュートン性のスラリーが時間依存形の流動特性をもち,一定のせん断速度状

態において見掛け粘度が時間とともに減少し,力を除くと徐々に回復する性質。

参考  スラリー粒子が凝集しているかどうかといった流体の内部構造の消長を反映していると考えら


2

R 1665

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れている。

4. 

流動曲線のヒステリシス測定によるチクソトロピー性の評価

4.1 

原理  せん断速度とせん断応力とを同時に測定できる回転粘度計によって,せん断速度を所定の速

度まで上昇後下降させてセラミックススラリー試料の流動曲線を測定する。得られた流動曲線の上昇過程

及び下降過程で発生するヒステリシスの大きさからチクソトロピー性を評価する。

4.2 

装置  装置は,次による。

a)

回転粘度計  回転粘度計は,次による。

1)

測定システム  一方の面が静止し,他方の面が一定の角速度で回転する対称的で同じ軸を共有する

二つの面から成り,その間に粘度を測定するセラミックススラリーを入れることができるもので,

面の一方にトルク測定装置を取り付け,スラリーの粘性抵抗に打ち勝つのに必要なトルクを求める

ことができるもの。

備考  適切な測定システムとしては,測定のたびにせん断速度を定めることができる JIS K 7117-2 

規定する共軸二重円筒システム及び円すい−平板システムが望ましい(

附属書 及び附属書 2

参照)

。また,せん断速度を正確に定めることはできないが,高粘性スラリーでの測定に適して

いる

附属書 に示す平行平板形でも測定は可能である。

2)

計器の基本的性能  計器は,ある範囲で回転数の設定を段階的又は連続的に変えることができ,そ

れに伴うトルクの測定を行うことができるものとし,測定するスラリーの粘度によって,別のロー

タ及びステータに交換できるように設計したものを用いる。装置のトルク測定の正確さは,フルス

ケールの読み値の 2  %以内とし,通常の計器動作範囲内における回転数測定の正確さは,測定値の

2

%以内とする。粘度測定の繰返し精度は±2  %でなければならない。

3)

校正  回転粘度計は,粘度が分かっている標準液(

1

)

を用いて定期的に校正する。標準液での測定点

を通って引いた最適近似直線が,その方法の精度限界内で座標の原点を通らない場合には,装置製

造業者の説明書によって,測定手順及び装置を更に点検する。校正に用いる標準液の粘度は,測定

試料の粘度と同じ範囲になければならない。校正を行う温度は測定温度に一致させるのがよい。

(

1

) JIS 

8809

に規定する標準液を用いる。

b)

温度調節装置  恒温槽の場合は循環温度を,電気加熱の場合は壁面温度を,0  ℃∼50  ℃の範囲では±

0.2

℃で一定に保ち,それ以上の温度では±0.5  ℃に保つことができるものとする。

参考  厳密な測定には,より厳しい許容差(例えば,±0.1  ℃)が必要な場合がある。

c)

温度計  温度計の正確さは,±0.2  ℃とする。

4.3 

セラミックススラリー試料の採取及び粘度計への導入  セラミックススラリー試料の採取及び粘度

計への導入は,次による。

a)

セラミックススラリー試料  特に指定がない場合には,新しいセラミックススラリー試料を用いる。

保管してあったセラミックススラリー試料を使用する場合は 6.の前処理を実施する。

b)

セラミックススラリー試料の測定システムへの導入  セラミックススラリー試料は,JIS Z 8803 

7.4.2

及び 9.4.2 によって,気泡が発生しないように,粘度計の測定システムへ入れる。

4.4 

測定条件及び手順  測定条件及び手順は,次による。

a)

測定温度  通常,粘度は温度に依存するので,比較のための測定は同じ温度で行う。特に温度をプロ

セス上で規定する必要がないときには(23.0±0.2)℃の条件で測定を行う。

b)

せん断速度変化条件及びせん断速度範囲の設定  せん断速度の変化は,その計器で可能な方法とし,


3

R 1665

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連続的又は段階的方法でプログラムに基づいてせん断速度を上昇させ,設定した最大せん断速度に達

したところで上昇時と同じパターンで連続的又は段階的に下降させて行う。

推奨する最大せん断速度は,せん断速度の上昇過程でスラリー中の凝集構造を十分破壊できるよう

にするため,300 s

1

以上が望ましい。ただし,粘度の高い試料を用いると測定限度に達する場合はこ

の限りでない。せん断速度の上昇,下降操作の時間は,短いと十分な非線形性が観察できず,長いと

沈降などの影響があるため,上昇及び下降過程でそれぞれ 90  秒間を推奨する。

せん断速度を段階的方法で上昇又は下降させる場合には,その計器で可能な回転数の設定に基づい

て,できる限り多くのせん断速度(10 種類程度)で行うことが望ましい。せん断速度の間隔は,Log scale

で等間隔になるように設定することが望ましい。

c)

測定手順  特に規定がない場合には,新しいスラリー試料を用いる。スラリーを粘度計に導入した後,

設定温度に到達するために十分な時間を与える。沈降性スラリーの場合,温度が一定になるまで一定

のせん断速度でスラリーに回転を与える。流動曲線は,b)の測定条件で,せん断速度を増やす方向の

測定から始め,設定した最大せん断速度に達したところでせん断速度をゼロまで下げる。スラリーの

チクソトロピー性を回復させるため 3∼5 分間静置後,再び同じ手順でせん断速度を上昇・下降させる。

一定時間の静置とせん断速度の上昇・下降操作とを最低 3 回実施する。

備考  乾燥,粒子の沈降などによる流動曲線への影響をできるだけ少なくするため,迅速な測定,試

料容器の密封などの配慮を行う。

4.5 

測定結果の整理,解析方法  流動曲線のヒステリシス面積は,スラリー粘度が高いほど大きくなる

傾向があるため,次の方法で無次元化する。

図 に示すようにせん断応力を計測時間との関係で整理し,

せん断速度の上昇過程の面積を A,下降過程の面積を B とし,無次元ヒステリシス面積を,(A-B)/(A+B)

として算出する。この解析を繰り返し測定ごとに実施し,測定回数と(A-B)/(A+B)計算値との関係をプロッ

トする。せん断速度を段階的に上昇・下降させた場合の面積の計算方法は,

図 のように測定データ曲線

と横軸との間の面積を台形近似して図積分によって求める。計算の際,せん断速度を変えた直後の計測点

は,不連続に大きく変動することが多いので計算から除くことが望ましい。

4.6 

測定結果報告書  測定結果報告書には,必要に応じて,次の事項を記載する。

a)

この規格番号及び発行年

b)

測定スラリーの識別に必要なすべての詳細事項

c)

スラリー採取日

d)

測定温度(単位,℃)

e)

スラリー調製方法の詳細

f)

チクソトロピー性測定システムについての記載

g)

測定条件(最大せん断速度,静置時間,上昇・下降操作の時間間隔,段階的に上昇・下降させた場合

の段数と各段のせん断速度及びデータのサンプリング間隔)

h)

せん断応力

τ(Pa)と時間との関係の測定したすべての値をプロットした図

i)

測定時間とせん断応力との関係から計算した各測定回数での(A-B)/(A+B)の値

j)

この規格によらないで受渡当事者間で協定した測定条件(例えば,寸法の異なる測定システムの採用)

k)

測定年月日


4

R 1665

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参考  せん断速度を段階的に上昇させた場合の面積を A,下降させた場合の面積を B とした。

  1  計測時間とせん断応力との関係

5. 

一定の低せん断速度でのせん断応力変化の時間依存性測定によるチクソトロピー性の評価

5.1 

原理  せん断速度とせん断応力とを同時に測定できる回転粘度計によって,高せん断速度でセラミ

ックススラリー試料の凝集構造を十分破壊し,粘度を低下させた後,低せん断速度での粘度の回復過程を

時間を追って測定することによってチクソトロピー性を評価する。スラリーの凝集構造の形成は,一般に

比較的遅い現象であるため,高せん断速度での測定では凝集構造が速やかに破壊されすぎ時間依存性の評

価が困難であるのに対し,低せん断速度での測定は時間依存性が検知できやすいため,解析には低せん断

速度でのデータを用いて評価する。

5.2 

装置  装置は,4.2 による。

5.3 

セラミックススラリー試料の採取及び粘度計への導入  セラミックススラリー試料の採取及び粘度

計への導入は,4.3 による。

5.4 

測定条件及び手順  測定条件及び手順は,次による。

a)

測定温度  通常,粘度は温度に依存するので,比較のための測定は同じ温度で行う。特に温度をプロ

セス上で規定する必要がないときには(23.0±0.2)℃の条件で測定を行う。

b)

測定プログラムの設定  高せん断速度では,スラリーの凝集構造を十分破壊し,低せん断速度では,

破壊された構造が回復するせん断速度の組合せを選ぶ。通常の場合,300 s

1

及び,30 s

1

の組合せが

望ましい。測定時間は構造破壊及び形成の観測に必要な時間として,高せん断速度,低せん断速度共

10

分間にすることを推奨する。繰り返し測定を行う際の測定間隔は,測定精度に影響を与えない範囲


5

R 1665

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でできるだけ短くし,多くのデータをとるようにする。

これらをあらかじめプログラムできない場合は手動で測定条件の切り替えを行う。

c)

測定手順  スラリーを粘度計に導入した後,設定温度に到達するために必要な時間待つ。沈降性スラ

リーの場合,この間一定のせん断速度でスラリーに回転を与える。測定プログラムによる測定操作を

最低 2 回実施し,測定したせん断応力の繰返し性を確認する。繰返し性が悪い場合は追加の測定を実

施する。

備考  乾燥,粒子の沈降などが激しく長時間の測定ができない場合には,再度試料を導入し直し 1 回

目の測定と同一操作を行うことで繰り返し測定を実施する。また,乾燥防止のための試料容器

の密封など,意図しない試料の変化を防止するための有効な手段はできる限り用いる。

5.5 

測定結果の整理,解析方法  解析には主として低せん断速度の測定データを用い,高せん断速度か

ら低せん断速度に切り替えた時点を時間ゼロとして,粘度(又はせん断応力)の時間依存性を求め,これ

によってチクソトロピー性を評価する。

備考  この方法によって得られたデータは下の関数によく合致する場合が多く,これを用いて測定結

果を整理してもよい。

n

t

t

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

0

*

log

η

η

  (1)

                (t:経過時間)

ここで,

 η

*

t

0

はパラメータで,n<0  では,t  →  ∞  のとき,

η

η

*

に収束し,n>0  では,

t

→  ∞  のとき,

η

は  ∞に発散する。

なお,この関数のパラメータ,

η

*

t

0

は n=0 で不連続になるため,データのフィッティングを

行う際には n>0 と n<0 とに分ける必要がある。

5.6 

測定結果報告書  測定結果報告書には,必要に応じて,次の事項を記載する。

a)

この規格番号及び発行年

b)

測定スラリーの識別に必要なすべての詳細事項

c)

スラリー採取日

d)

測定温度(単位,℃)

e)

スラリー調製方法の詳細

f)

測定システムについての記載(4.2 に規定する装置以外の測定システムを採用した場合は,その詳細)

g)

高・低せん断速度,及び,その継続時間(又は,すべての測定データを時系列で並べた表)

h)

時間−粘度(又は,せん断応力)の関係をプロットした図

i)

データのフィッティングを行った場合は関数形と結果をプロットした図及び計算したパラメータの値

j)

測定年月日

6. 

セラミックススラリーのチクソトロピー性測定のための前処理及び留意事項  セラミックススラリ

ーは,測定に際して留意すべき点が多い。セラミックススラリーのチクソトロピー性測定に関連する留意

事項を以下に示す。

a)

スラリーの前処理  保管してあるセラミックススラリーを使用する場合,セラミックススラリーは一

般に沈降していることが多いので,測定前にかくはん,容器の振とうなどによって分散させる。ただ


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し,セラミックススラリーは,この操作で気泡が発生することが多い。気泡が発生するとチクソトロ

ピー性が変化するので,気泡を発生させないように注意してかくはん,振とうなどを行う。

b) 

前処理に関する留意事項  前処理に関する留意事項は,次による。

1) 

脱泡操作  気泡が発生した場合には減圧などによる脱泡操作は有効であるが,実際のセラミックス

製造プロセスのものに比べスラリー特性が変わってしまうおそれがある。スラリー調製以降の成形

などのプロセスで脱泡操作を行っている場合を除き,粘度への影響が大きいので実施しないことが

望ましい。実施する場合には報告する。

2)

その他の留意事項  あまり強い高速かくはんや超音波分散などはスラリー温度の上昇を引き起こし,

スラリーに添加した分散剤,バインダーなどの高分子添加剤の不可逆変化を引き起こし,チクソト

ロピー特性を変化させるので行わない。

c)

測定時の留意事項  測定時の留意事項は,次による。

1)

乾燥の影響  高濃度のセラミックススラリーは乾燥の影響を受けやすいので,容器の密封などを行

うのが望ましい。

2)

沈降の影響  事前に,メスシリンダーにスラリーを入れ,上澄み層,中間層,濃厚層の体積の沈降

による経時変化を,メスシリンダーの目盛を読んで測定する。測定時間内に顕著な上澄み層ができ

るような沈降速度が速い場合は,温度調整時もローターを回転してかくはんする。また,沈降の影

響の大きい円すい―平板形及び平行平板形では,迅速に測定する必要がある。

関連規格  JIS R 1652  セラミックススラリーの回転粘度計による粘度測定方法


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附属書 1(参考)共軸二重円筒形回転粘度計

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1. 

特徴  回転軸を共有する 2 円筒の間げき(隙)に測定試料を満たし,片方の円筒を回転させ,トルク

応力と回転速度との関係から粘度を求める測定方法である。測定試料のせん断速度をほぼ決定でき,粘度

測定のほか,回転速度を変えた測定から,粘度のせん断速度依存性を求めることができる。測定装置には,

外筒回転形(Couette 形)及び内筒回転形(Searle 形)がある。

2. 

測定原理及び計算方法  片方の円筒の回転によってせん断変形が試料にもたらされ,発生するせん断

応力を,装置の形状によって係数が定まるトルク応力として計測する。粘度(

η

)はせん断応力(

τ

)/せ

ん断速度(

γ

)で求められる。

ω

γ

τ

η

CM

=

=

   (1)

                        (C は装置定数)

せん断応力及びせん断速度は,内外筒の間で一定ではなく回転軸からの半径 の関数である。の位置

におけるせん断応力,せん断速度は,次の式から求められる。

)

2

(

2

r

L

M

e

π

τ

=

   (2)

÷

÷

ø

ö

ç

ç

è

æ

×

=

2

2

2

1

1

1

2

e

i

r

r

r

ω

γ

   (3)

せん断応力及びせん断速度の表示は,代表値を用いるのが便利である。代表値としては,内筒面におけ

る値と外筒面における値との平均値を用いることを推奨する。式(4)及び式(5)による

τとγ

との関係は,0.3

∼2 の間のべき乗の挙動をする流体の流動特性を非常によい近似で表現することが理論的にも経験的にも

示されている。

2

2

2

2

2

1

i

e

r

r

L

M

π

δ

δ

τ

×

+

=

   (4)

1

)

1

(

2

2

+

=

δ

δ

ω

γ

r

   (5)


8

R 1665

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ここに,

η

:  粘度(Pa・s)

τ

r

:  せん断応力の代表値(平均値)

(Pa)

r

i

:  内筒半径(m)

r

e

:  外筒半径(m)

δ

:  外筒半径/内筒半径(−)

M

:  測定されたトルク(N/m)

L

e

:  端面の補正がなされた実効内筒長さ(m)

(測定システムごとに異なるので実験的に決定する必要がある。

ω

:  回転の角速度(rad/s)= 2πn/60 (は回転数,rpm)

γ

r

:  せん断速度の代表値(S

-1

3. 

測定システムの標準的形状  測定システムの標準的形状を附属書 図 に示す。粘度計の寸法として

次の比率を推奨する。これによって,粘度計の流れ場の幾何学的相似性が得られる。これ以外の形状を用

いるときでも,括弧内に示した比率の範囲を推奨する。

δ = r

e

/r

i

 =1.0847

    (≦ 1.2)

L/r

i

 = 3    (

≧ 3)

L’/r

i

 = 1    (

≧ 1)

L’’/r

i

 = 1

r

s

/r

i

 = 0.3

α = 120°  (≦150°,  ≧90°)

備考1.  内筒下端の円すいは,気泡をためることなく試料中に内筒を挿入するための工夫である。

2.

標準形状の場合,必要な試料の体積は,8.17  ×  r

i

3

である。

3.

端面の補正は L

e

 = L +

L

としたとき,

L = 0.3 r

i

が経験値として知られている。shear thinning

の液体ではこの値は大きくなる。

4.

標準形状の粘度計の

τ

r

及び

γ

r

は,

L = 0.3 r

i

(ニュートン性流体)として,

τ

r

 (Pa) = 0.0446 M (Nm) / r

i

3

 (m)

γ

r

 (s

-1

) = 12.33

ω(rad/s)  = 1.291 n (min

-1

)

が得られる。

なお,括弧内は使用する単位を示す。


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R 1665

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附属書   1  共軸二重円筒形回転粘度計の測定システム

4. 

測定の指針  測定の指針は,次による。

a)

注意点

1)

共軸二重円筒は,内外筒の軸を正確に一致させることが必要である。

2)

内筒回転形粘度計は,低粘度液体の計測時にはテイラー流れの発生限界が測定回転数の上限となる。

b)

校正

1)

粘度計の校正には,JIS Z 8809 に規定する標準液を使用する。

c)

指針

1)

測定点は,

τ

又は

γ

を等比数列をなすように選ぶことが推奨される。

2) 

τ

γ

の関係が原点を通る直線で表されるときはニュートン性流体であり,単一の粘度で表現される。

3)

測定値の有効数字は,粘度計の精度によって決められるものである。一般的に,3 けた以上の表現

はほとんど無意味である。

4)

一般に,粘度は温度に敏感であり,試料の温度は常に記録する必要がある。

5)

高粘度・高せん断速度の測定時には,せん断流動による発熱が試料の温度上昇をもたらすので注意

が必要である。

r

i

r

e

r

s


10

R 1665

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附属書 2(参考)円すい−平板形回転粘度計

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1. 

特徴  測定システムは,回転する円すいと固定平板又はその逆の場合からなる(附属書 図 参照)。

円すいと平板とがなす角は,できる限り小さくし,一般的には 1°を超えないことが望ましいが,粒子を

含むスラリーでは,粒子の影響も考慮して,角度が 2°∼3°の円すい角が好ましい。その場合にも,4°

を超えてはならない。この測定システムでは,サンプルのどの部分においても一定のせん断速度が得られ

る。

附属書   1  円すい−平板形回転粘度計の形状

2. 

測定原理及び計算方法  α<0.05 rad(すなわち,α<3°)の場合には,せん断応力及びせん断速度

の計算に次の式が適用できる。

3

2

3

r

M

π

τ =

   (1)

α

ω

γ

=

   (2)

ここに,

τ

せん断応力(

Pa

γ

せん断速度(

s

-1

M

トルク(

N

m

r:

円すいの半径(

m

α

円すいと平板のなす角(

rad

  1 rad = 180

°

/

π)

ω

角速度(

rad/s

円すいと平板との接触による摩擦を避けるために,先端を切り取った円すいを用いることがある。この

構造は,粒子を含むスラリーでは有効である。円すい−平板形回転粘度計は,円すいの回転軸が平板に垂

直になるように正確に合わせ,また,円すいの頂点と平板の接触点を正しくセット(又は先端を切り取っ

た円すいの場合には,すき間を厳密にセット)し,スラリー試料を円すいと平板との間に適切に充てんす

る(過剰充てん及び充てん不足を避ける。

)必要がある。


11

R 1665

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備考

温度によってすき間の間隔が変わることも考慮しなければならない。

3. 

この方法でスラリー粘度を測定する場合の留意事項  この方法では,少量の試料スラリー量で流動曲

線が測定できるが,液量が少なく液の深さが浅いため,乾燥の影響及び粒子の沈降の影響がほかの測定法

に比べ現れやすい。乾燥及び沈降しやすいスラリーでは,容器の密封又は速やかな測定を必要とする。乾

燥は,円すいのへりなどで特に観察される。


12

R 1665

:2005

附属書 3(参考)平行平板形回転粘度計

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1. 

特徴  測定システムは,回転する平板及び固定平板からなる(附属書 図 参照)。

平板と平板との間の距離は,できる限り

0.3 mm

以上から

3 mm

を超えないことが望ましく,スラリー

に含まれる最大粒子径の

3

倍以上の距離を推奨する。

せん断速度は中心部が

0

で平板の端部に向かって大きくなるため一定ではない。

附属書   1  平行平板形回転粘度計の形状

2. 

測定原理及び計算方法  せん断速度は,平板の中心部では

0

に,端部では最大となり,次の式が適用

できる。

ω

γ

=

h

R

max

   (1)

M

R

=

3

max

2

π

τ

  (2)

ω

π

η

4

2

R

hM

=

  (3)

ここに,

τ

max

最大せん断応力(

Pa

γ

max

最大せん断速度(

s

-1

η

粘度(Pa・s)

M

トルク(

N

m

R

平板の半径(

m

ω

角速度(

rad / s

h

h


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R 1665

:2005

h

平板間距離(

m

試料が非ニュートン流体の場合には,せん断応力とせん断速度とが比例関係にないため,粘度を計算で

求める場合せん断応力に補正が必要となる。せん断応力とせん断速度との関係が

τ=ηγ

n

の指数法則(

Power

law

)で表わされる液体の場合の補正式を次に示す。

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

3

max

2

4

3

R

M

n

π

τ

   (4)

n

は種々の回転速度において

M

を測定し,

logM / log

ω

の曲線を求め接線の傾きを求めることで決定する。

円すい―平板形回転粘度計では粒子が引っかかり測定が難しい大粒子を含むスラリーには,平行平板形は

有効である。平行平板形回転粘度計は,平板の回転軸が固定平板に垂直になるように正確に合わせ,また,

平板間の距離を正しくセットし,スラリー試料を平板の間に適切に充てんする(過剰充てん及び充てん不

足を避ける。

)必要がある(

附属書 図 参照)。

備考

温度によってすき間の間隔が変わることも考慮しなければならない。

3. 

この方法でスラリー粘度を測定する場合の留意事項  この方法では,少量の試料スラリー量で流動曲

線が測定できるが,測定は端面の影響を受けやすく試料充てんによる影響,乾燥による影響及び粒子の沈

殿による影響がほかの測定法に比べ現れやすい。乾燥及び沈降しやすいスラリーでは,測定系の密封によ

る乾燥防止や速やかな測定を必要とする。乾燥は,平板のへりなどで特に観察される。測定値に影響があ

るので注意する(

附属書 図 参照)。

附属書   2  平行平板形回転粘度計でのスラリーの充てん状態