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R 1660-2

:2004

(1)

まえがき

この規格は,

工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,

社団法人日本ファインセラミックス協会(JFCA)

/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS R 1660-2

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(参考)測定の流れ

附属書 2(参考)開放形共振器における信号の入出力方法の例

JIS R 1660

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS R 1660-1

第 1 部:遮断円筒導波管方法

JIS R 1660-2

第 2 部:開放形共振器方法

JIS R 1660-3

第 3 部:NRD ガイド励振誘電体共振器方法


R 1660-2

:2004

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  記号及び定義 

1

5.

  測定項目

2

6.

  測定原理

2

7.

  試験環境

2

8.

  測定装置及び開放形共振器 

2

8.1

  測定装置の構成

3

8.2

  シンセサイザ形掃引式信号発生器 

4

8.3

  ベクトル形ネットワークアナライザ 

4

8.4

  開放形共振器 

4

9.

  測定準備

5

10.

  開放形共振器の調整

6

10.1

  両球面間距離(共振器長)の決定 

7

10.2

  TEM00q 基本モードの共振周波数の測定手順 

7

10.3

  両球面間距離(共振器長)及びモード次数 の計算

7

10.4

  試料中心位置の校正 

9

11.

  測定 

9

11.1

  試料の厚み の測定

9

11.2

  共振周波数及び の測定 

9

12.

ε′

及び tan

δ

の計算

10

12.1

ε′

の計算 

10

12.2

  tanδの計算

11

13.

ε′

及び tan

δ

の誤差計算

11

14.

  報告

12

附属書 1(参考)測定の流れ 

13

附属書 2(参考)開放形共振器における信号の入出力方法の例

14


日本工業規格

JIS

 R

1660-2

:2004

ファインセラミックスのミリ波帯における誘電特性

測定方法−第 2 部:開放形共振器方法

Measurement method for dielectric properties of fine ceramics in millimeter

wave frequency range

−Part2:Open resonator method

1. 

適用範囲  この規格は,主にミリ波回路に用いる低損失誘電体基板用ファインセラミックスの,開放

形共振器方法によるミリ波帯における誘電特性の測定方法について規定する。

備考  開放形共振器方法とは,互いに対向する球面反射鏡によってその電磁界分布がガウシアンビー

ム定在波からなる TEM モード共振器を構成し,その中央に低損失誘電体基盤を設置した場合

の共振周波数及び Q 値の変化から試料の誘電特性を求める方法である。この方法は,周波数の

上限が 300GHz と高いのが特徴であるが,tanδの測定範囲は他の方法に比べて狭い。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0601

  製品の幾何特性仕様 (GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメー

JIS B 7502

  マイクロメータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS R 1600

  ファインセラミックス関連用語

JIS R 16XX-1

  ファインセラミックスのミリ波帯における誘電特性試験方法−第 1 部:遮断円筒導波

管方法

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600 及び JIS R 16xx-1 による。

4. 

記号及び定義  この規格で用いる記号及びそれらの定義は,表 による。

  1  記号及び単位

記号

単位

定義

参照箇条番号

mm

球面反射鏡の直径

6. 

R

0

 

mm

球面反射鏡の曲率半径

6. 

mm

両球面間距離(共振器長)

6. 

D

m

 

mm

両球面間距離の測定値(共振器長)

9. 

mm

試料の厚さ

6. 

λ

 

mm

波長(

λ

c/f, f  は周波数)

12.1 

f

0

 

GHz

試料を入れないときの共振周波数

11.2.1 


2

R 1660-2

:2004

  1  記号及び単位(続き)

f

L

 

GHz

試料を入れたときの共振周波数

11.2.2 

mm/s

光速,2.997 92×10

11

10.2 

Q

0

 

試料を入れないときの負荷 Q

11.2.1 

Q

L

 

試料を入れたときの負荷 Q

11.2.2 

ε′

s

 

推定比誘電率

9. 

GHz

測定周波数

9. 

W

oa

 

mm

ビームウエスト直径

9. 

1

∼5 の整数

9. 

 TEM

00q

モードのモード次数

10.2 

5. 

測定項目  この規格で測定する項目は,複素比誘電率の実数部(以下,比誘電率という。)

ε′

及び誘電

正接 tan

δ

とする。

なお,この測定が適用できる測定周波数,

ε′

及び tan

δ

の範囲は次による。

測定周波数    :50∼300 GHz

 

ε′

:2∼40

 tan

δ

:10

5

∼10

2

6. 

測定原理  図 に示すように,試験試料の誘電体平行平板試料を 2 枚の対向する球面反射鏡によって

構成された開放形共振器の中央に挿入する。

試料の

ε′

は,試料の厚さ(t),共振器長(D),球面反射鏡の曲率半径(R

0

)

及び試料を挿入したときの

TEM

00q

(q=0,1,2,

・・・・・)基本モードの共振周波数(f

0

)

の測定から求められる。また,この比誘電率の値(

ε′

)

と,

試料挿入前の負荷 値(Q

0

)

及び試料挿入後の負荷 値(Q

L

)

との測定から,試料の誘電正接(tan

δ

)

を求める

ことができる。

測定の流れを

附属書 に示す。

R

0

ε′

tan

δ

D

M

t

R

0

×

×

  1  比誘電率及び誘電正接の測定に使用する開放形共振器

7. 

試験環境  特に指定がない限り,試験環境の温度は 25±2  ℃とし,相対湿度は 60  %以下とする。

8. 

測定装置及び開放形共振器


3

R 1660-2

:2004

8.1 

測定装置の構成  測定装置の構成例を,図 に示す。図 2 a)  は,スカラー形ネットワークアナライ

ザを使用したもの,

図 2 b)  は,ベクトル形ネットワークアナライザを使用したものを示す。

参考  図 2 a)  では,掃引信号発生器から出たミリ波信号は,方向性結合器で分割され,その一方は基

準信号として検波器を介してネットワークアナライザに入力される。他方は,試料を装着した

開放形共振器に入力される。開放形共振器を透過した信号は検波器を介してネットワークアナ

ライザに入力され,基準信号との振幅比として,縦軸に透過減衰量,横軸に周波数の形で画面

上に表示される。

スカラー型

ネットワークアナライザ

シンセサイザ型

掃引信号発生器

×N 信号逓倍器

試験信号用

検波器

開放型共振器

方向性
結合器

基準信号用

検波器

基準レベル測定用伝送路

アイソレータ

アイソレータ

アイソレータ

a)

スカラー形ネットワークアナライザを使用した構成例

ベクトル型

ネットワークアナライザ

Sパラメータ

ミリ波モジュール

Sパラメータ

ミリ波モジュール

開放型共振器

基準レベル測定用伝送路

b)

ベクトル形ネットワークアナライザを使用した構成例

  2  試験装置の構成例

参考  図 2 b)  では,送信側ミリ波帯 S パラメータ・モジュールから出力されたミリ波信号は,開放形

共振器を透過し,受信側ミリ波帯 S パラメータ・モジュールに入力され検波される。これと同

時に送信側ミリ波帯 S パラメータ・モジュール内部で検波された基準信号との振幅比として,

縦軸に透過減衰量,横軸に周波数の形で画面上に表示される。

基準信号用

検波器

スカラー形

ネットワーク

アナライザ

シンセサイザ形

掃引信号発生器

アイソレータ

アイソレータ

開放形共振器

基準信号用

検波器

アイソレータ

方向性
結合器

×N  信号逓倍器

基準レベル測定用伝送路

ベクトル形

ネットワーク

アナライザ

開放形共振器

S

パラメータ

ミリ波モジュール

基準レベル測定用伝送路

S

パラメータ

ミリ波モジュール

アイソレータ

アイソレータ


4

R 1660-2

:2004

8.2 

シンセサイザ形掃引式信号発生器  周波数分解能が,1 kHz 以下の機能をもつものとする。

8.3 

ベクトル形ネットワークアナライザ  周波数分解能が,1 kHz 以下の機能をもつものとする。

8.4 

開放形共振器  開放形共振器は,2 枚の球面反射鏡を対向させて共振器とした装置とする。

図 及び図 に構成の例を示す。図 では,ミリ波を導入する側と取出し側が横方向に対面している。

図 では,ミリ波送信部と受信部とが縦方向に対面している。図 の場合は,送受信部が,同一球面反射

鏡にあるので信号のカップリング防止に注意する必要がある。

  3  開放形共振器の構成例Ⅰ

モータ制御装置

球面鏡

  4  開放形共振器の構成例Ⅱ


5

R 1660-2

:2004

表 に,開放形共振器の寸法 M

R

0

及び球面反射鏡の材質の一例を示す。

  2  開放形共振器の寸法及び材質の例

単位  mm

球面反射鏡の直径 M 80∼205

球面反射鏡の曲率半径 R

0

と同じ

両球面間距離 D

通常:1.2 R

0

tan

δ

の小さい試料の測定(10

-3

以下)

1.2 R

0

∼1.3 R

0

tan

δ

の大きい試料の測定(10

-3

∼10

-2

1.1R

0

∼1.2R

0

球面反射鏡の表面材質

銅若しくは金のめっき,又は薄膜

a) 

信号の入出力方法  附属書 参照。

b) 

アパチャー(光学絞り)  高次 TEM

lmq

モード(l,  m≠0)を抑制して,基本 TEM

00q

モードを取り出すた

めのもので,附属していることが望ましい。

図 に,アパチャーの例を示す。アパチャーは,試料と

片方の球面反射鏡との間に入れる。また,アパチャーは,孔の直径を変えられるものがよい。材質は,

塩化ビニル(PVC)など電波吸収の大きいものがよい。

鏡 面 開 口 径M

絞り径

鏡面開口径 M

1W

oa

  5W

oa

  5  アパチャーの例

9. 

測定準備  測定準備は,次による。

a) 

測定周波数,試料の推定比誘電率,誘電正接から

表 を参考として開放形共振器の両球面間距離 D

m

を設定する。

b) 

ビームウエスト直径(

1

)

の概算値を,式 (1) によって計算する。

4

1

0

0

2

21

.

8

þ

ý

ü

î

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

m

m

a

D

R

D

f

W

 (1)

ここに, W

0a

:ビームウエスト直径の概算値 (mm)

f:測定周波数 (GHz)

R

0

:球面反射鏡の曲率半径 (mm)

D

m

:両球面間距離の測定値 (mm)


6

R 1660-2

:2004

(

1

)

開放形共振器の中の電磁界強度分布は,ガウシアン分布であり,両球面中央でビームは細く絞

られる。電界強度が中心の値の 1/に減衰する直径を,ビームウエスト直径という。

c) 

試料の大きさ及び厚さ

1) 

試料の大きさ  試料の大きさは 5

0a

以上とする。

備考  開放形共振器を用いた

ε′

の測定では,任意の厚さの試料について

ε′

を求めることができる。

参考  試料が薄すぎる場合は,試料を挿入したときの共振周波数の変化が小さいため測定誤差が大き

くなる。また,厚すぎる試料の場合は,試料の損失によって共振ピークが微弱になるので,こ

の場合も測定に適さない。

2)

適切な試料の厚さ  適切な試料の厚さ は,次の式によって計算する。

s

149.90

t

m

f

ε

=

×

 (2)

ここに,

t:適切な試料の厚さ

f:測定周波数 (GHz)

ε

s

:推定比誘電率

m:1∼5 の整数(モードでは奇数,モードでは偶数,図 

照)

試料の厚さの許容差は±5

µm で,厚さの平行度は,ビームウエストの外側 10 mm の相対する位置での

厚さの差が 10

µm 以内とする。

  中心線

λ/2

中心線

λ

a)

S

モード

λ

λ/2

誘電体平行平板試料

定在波

b)

A

モード

備考1.  tan

δ

の測定の場合,この図のように試料の表面に定在波の節があるとき,最も正確な測定を

行うことができる。このことは,対称モード (Symmetric mode : モード又は,奇数モード),

反対称モード(Anti-symmetric mode : モード又は,偶数モード)にかかわらず同じである。

2. 

試料が薄い場合は,モードで測定するとよい。また,高い周波数で測定する場合は,

ードにすると試料を厚くできるので試料を作りやすい。

  6  開放形共振器中の電磁界強度分布

10. 

開放形共振器の調整


7

R 1660-2

:2004

10.1 

両球面間距離(共振器長)の決定  両球面間距離(共振器長)は,初めにノギスなどで,D

m

概略値を測定する。

10.2 TEM

00q

基本モードの共振周波数の測定手順  共振周波数の測定手順は,次による。

a) 

測定したい周波数を中心として 5 GHz 程度掃引して,周波数スペクトラムを観測し,複数の基本モー

ドを検出する。

参考  図 は,周波数スペクトラムの観測例である。縦軸は透過減衰量,横軸は周波数である。図 7

の例では,8 本の基本モード共振ピークが観測されている。このスペクトラム中には,TEM

00q

 (q :

正の整数)  基本モードと TEM

lmq

 (lm

≠0)  高次モードとが混在している。

備考1.  基本モードは,透過減衰量の比較的小さい,高いピークである。ピーク点の見落としのない

ように,データポイント数を最大限に取ることが望ましい。

2. 

共振ピークが数多く発生した場合は,アパチャ−を用いて不要高次共振を除去することがで

きる。

3. 

縦軸は透過減衰量で,目盛は通常,

図 の値を採用する。

b) 

基本モードの判別及び共振周波数の測定のために,掃引周波数幅を 0.5 GHz 程度に拡大し,アパチ

ャーを用いないで測定する(

図 8)。不要な高次共振ピークがある場合は,アパチャーを用いると,抑

制できる(

図 9)。通常,高い共振ピークのものが基本モードであり,図 の場合,左の高いピークを

基本モードのピークとして判別する。

c) 

掃引周波数幅を 0.02 GHz 程度にして,アパチャーを外して共振周波数を測定する。

なお,データポイント間の周波数間隔は,10 KHz 程度にする。

d) a)

c)の作業を繰り返して,複数の隣り合う基本モードの共振周波数を測定する。5 点以上を推奨する。

10.3 

両球面間距離(共振器長)及びモード次数 の計算  両球面間距離(共振器長)及びモード次

数 の計算は,次による。

a) 

各々の基本モードの測定共振周波数 f

0

と JIS B 7507 に規定するノギスとで求めた共振器長 D

m

(mm)

ら,式 (3)を用いて TEM

00q

モードのモード次数 を求める。

)

:

)(

GHz

(

10

1

cos

1

1

q

2

9

0

m

1

m

0

正の整数

q

R

D

D

c

f

×

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

=

π

 (3)

ここに,

f

0

:基本モードの共振周波数 (GHz)

c:光速度 2.997 92×10

11

(mm/s)

D

:ノギスで求めた共振器長 (mm)

R

0

:球面鏡曲率半径 (mm)

b) 

測定された複数の f

0

を に対してプロットすると直線上に並ぶので,その傾き c/2を最小自乗法によ

って決定し,を高精度に求める。


8

R 1660-2

:2004

30db

60db

94.00

99.00

周波数

(GHz)

透過減衰量

  7  開放形共振器の実際の周波数スペクトラムの例

30db

60db

96.270

96.650

周波数

(GHz)

透過減衰量

  8  共振点の測定(不要高次共振を取り除く前)

30db

60db

96.270

96.650

周波数

(GHz)

透過減衰量

  9  共振点の測定(不要高次共振を取り除いた後)


9

R 1660-2

:2004

10.4 

試料中心位置の校正  試料台に標準的な試料(

2

)

図 及び図 参照)を載せ,共振周波数を測定す

る。その後,±0.5 mm 程度の距離を手動又は,ステッピングモータを用いて移動させ,

図 10 に示すよう

に共振ピークの周波数が極値を示す位置を見つける。次に,

極値を示す位置に試料台を移動して固定する。

(

2

標準的な試料にはサファイアが望ましい。

97.205

97.21

97.215

97.22

97.225

97.23

97.235

97.24

97.245

-1

-0.5

0

0.5

1

移動距離(mm)

周波数

(GHz)

94.308

94.31

94.312

94.314

94.316

94.318

94.32

94.322

94.324

94.326

-1

-0.5

0

0.5

1

移動距離(mm)

周波数

(GHz

)

 10  試料位置調整時のピークの位置変化

参考  なお,共振周波数の極小値がある場合は モードであり,共振周波数の極大値がある場合は A

モードである。

鏡面間中央の試料位置の精度は,±D/2 000 以内とする。

11. 

測定

11.1 

試料の厚み の測定  試料の厚み を,JIS B 7502 に規定するマイクロメータを用いて測定する。測

定点は,ビームウエスト

0a

から 5∼10 mm 外側の 4 点とビームウエスト

0a

の中心点との計 5 点とする。

これら 5 点の平均値を,試料の厚さとする。

なお,試料厚さは,1

µm のけたまで求める。

11.2 

共振周波数及び の測定

11.2.1 

試料を入れない場合  10.2 と同じ手順で共振ピークを拡大し(図 11 参照),f

0

と電力半値幅

f

0

を測定する。Q

0

を,次の式によって計算する。

0

0

0

f

Q

f

=

 (4)

ここに, Q

0

:試料を入れないときの負荷 Q

f

0

:試料を入れないときの共振周波数

Δ

f

0

:試料を入れないときの電力半値幅


10

R 1660-2

:2004

(GHz)

96.989

−3dB

f

0

97.039

Δ

f

0

 電力半値幅

周波数 (GHz)

97.089

 11  共振点の精密測定の例

11.2.2 

試料を入れた場合  試料を開放形共振器の試料台にセットする。次に 11.2.1 の f

0

と同じモード次数

に対応する共振周波数を測定する。その後,±0.5mm の距離を軸に沿って手動又はステッピングモータを

用いて移動させ,

図 10 に示すように共振周波数が極値を示す位置を見つける。次に極値を示す位置に試料

台を移動して固定する。試料を入れない場合と同じ手順で f

L

f

L

とを測定し,Q

L

を次の式によって計算

する。

L

L

L

f

Q

f

=

Δ

 (5)

ここに, Q

L

:試料を入れたときの負荷 Q

f

L

:試料を入れたときの共振周波数

Δ

f

L

:試料を入れたときの電力半値幅

備考1.  f

0

及び f

L

は,TEM

00q

において同じ 値で測定する。測定上の注意点を,

附属書 に記す。

2. 

試料の誘電損失が大きくて観測した周波数スペクトラムにおいて十分に鋭いピークが観測で

きない場合は,

表 を参考として両球面間距離(共振器長)を短縮するとよい。

12. 

ε

及び tan

δ

の計算

12.1 

ε

の計算

ε′

は f

L

から式 (6)∼(11)  によって計算し,有効数字 4 けたまで求める。

モード(q が偶数)の場合

t

d

1

cot

tan

2 000

2 000

t

D t

K

K

ε

ε

′ ×

− Φ =

− Φ

æ

ö

æ

ö

ç

÷

ç

÷

è

ø

è

ø

6)

モード(

q

が奇数)の場合

t

d

1

cot

tan

2 000

2 000

t

D t

K

K

ε

ε

′ ×

− Φ = −

− Φ

æ

ö

æ

ö

ç

÷

ç

÷

è

ø

è

ø

 (7)

ただし,括弧内の単位は

 (rad)

である。

K

Φ

t

及び

Φ

d

は,次の式による。


11

R 1660-2

:2004

L

12

L

958

.

20

10

2

2

)

(

f

c

f

K

=

×

=

=

π

λ

π

波数

 (8)

3

1

t

2

0

10

tan

(rad)

t

KW

ε

×

Φ =

æ

ö

ç

÷

è

ø

 (9)

)

rad

(

10

tan

1

tan

2

0

3

1

0

1

d

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

þ

ý

ü

î

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

Φ

KW

t

t

t

D

KW

ε

ε

 (10)

(

)

L

2

0

0

67.4747

2

2

2

t

D

t

t

f

=

− +

+ −

æ

ö

ç

÷

è

ø

(11)

12.2 tan

δ

の計算  f

0

Q

0

f

L

及び Q

L

から tan

δ

を,次の式によって計算する。

a) tan

δ

の概略値の計算

tan

δ

の概略値を,次の式で計算する。

L

0

1

1

tan

D

Q

Q

t

δ

=

×

æ

ö

ç

÷

è

ø

 (12)

b) 

正確な tanδの計算  tan

δ

の正確な値を式(13)によって,有効数字 3 けたまで計算する。

(

)

(

)

3

3

L

d

3

0

10

1

1

tan

1

10

sin 2

2 10

t

D t

D t

Q

Q

t

K

K

δ

×

×

=

×

×

×

+

×

− Φ

×

æ

ö

ç

÷

æ

ö

è

ø

ç

÷

è

ø

+

-

Δ

Δ

 (13)

ここで,モードのときは,

Δ

を次の式によって計算する。

2

2

t

t

sin

cos

2 000

2 000

t

t

K

K

ε

=

− Φ +

Φ

æ

ö

æ

ö

ç

÷

ç

÷

è

ø

è

ø

 (14)

モードのときは,

Δ

を次の式によって計算する。

2

2

t

t

cos

sin

2 000

2 000

t

t

K

K

ε

=

− Φ +

− Φ

æ

ö

æ

ö

ç

÷

ç

÷

è

ø

è

ø

  (15)

13. 

ε

及び tan

δ

の誤差計算

a) 

ε′

の誤差は,次の式によって計算する。

2

2

t

2

0

f

ε

ε

ε

+

=

 (16)

ここに,

Δ

ε′

ε′

の誤差

Δ

ε

t

の標準偏差による

ε′

の誤差

t

t

t

=

ε

ε

Δ

ε′

f0

f

0

の標準偏差による

ε′

の誤差

0

0

f

f

0

f

=

ε

ε


12

R 1660-2

:2004

b) 

tan

δ

の誤差を,次の式によって計算する。

2

2

2

)

tan

(

)

tan

(

)

tan

(

L

0

Q

Q

δ

δ

δ

+

=

 (17)

ここに,

Δ

tan

δ

:tan

δ

の誤差

Δ

tan

δ

Q

0

Q

0

の誤差による tan

δ

の誤差

0

0

0

tan

tan

Q

Q

Q

δ

δ

=

Δ

tan

δ

Q

L

Q

L

の誤差による tan

δ

の誤差

L

L

L

tan

tan

Q

Q

Q

δ

δ

=

Δ

Δ

14. 

報告  測定結果の報告には,次の事項を記載する。

a) 

試験試料を判別する記号

b) 

試験試料の寸法

c) 

試験条件(温度,湿度)

d) 

測定周波数  ( f

L

)

e) 

比誘電率  (

ε′

)

f) 

誘電正接  (tan

δ

)


13

R 1660-2

:2004

附属書 1(参考)測定の流れ

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1. 

準備

1.1 

測定周波数 f

0

を決める。

1.2 

推定

ε

s

,tan

δ

から,本体

表 を参考にして を決める。

1.3 

本体式 (1) を用いて,fD

m

及び R

0

からビームウエスト W

0a

を計算する。

1.4 

試料サイズを決める。

円の直径,正方形の一辺は,5 W

0a

以上。

試料の厚さ:本体式(2)から計算する。

2. 

測定器の調整

2.1 

の校正”に基づき,次の方法で を調整する。

測定周波数 f

0

を中心に 5 GHz で掃引して,共振ピークを求める。

測定周波数 f

0

を中心に 0.5 GHz で掃引して,共振ピークを求める。

測定周波数 f

0

を中心に 0.02 GHz で掃引して,共振ピークを求める。

f

0

及びノギスなどであらかじめ測定した D

m

から を求める。

f

0

を中心に高い共振周波数 f

1

f

2

,低い共振周波数 f

1

f

2

について同じことを繰り返し,q

2

q

1

q

0

q

1

及び q

2

を求める。

本体式(3)が成立するように,を決定する。

2.2 

試料台が開放形共振器の中心にくるように調整する。

3. 

測定

3.1 

を測定する。

3.2 

試料を入れないときの,f

0

と電力半値幅とを測定する。

3.3 

試料を入れて,と電力半値幅を測定する。

備考 tan

δ

が大きくて,共振がとれないときは,本体

表 に基づき,を変更する。


14

R 1660-2

:2004

附属書 2(参考)開放形共振器における信号の入出力方法の例

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1. 

同軸形ループアンテナを用いる方法(附属書図 参照)

a) 

開放形共振器に,送信線と受信線の 2 本の同軸ケーブルを接続する。

送信線の同軸ケーブルは,W バンド用の直径 0.9 mm のものとする。先端に直径 0.5 mm のループア

ンテナを形成し,球面反射鏡中央に開けた直径 1.1 mm の貫通孔を通して共振器内部に挿入する。そ

してループ面が,球面反射鏡の表面に垂直になるように位置を調整する。

送信線は,他方の球面反射鏡にも左右対称になるように取り付ける。

0.9

m m φ 同 軸

ル ー プ 全 長 1 /4 λ 以 下

 0.9 mm

φ 

同軸

 ループ全長 1/4

λ  以下

附属書図  1  ループアンテナを用いる方法

附属書図  2  導波管を用いる方法

b) 

結合孔による導波管結合方式  附属書図 に示すように,共振器を構成する球面反射鏡の鏡面中央に

微小結合孔を設ける。

なお,周波数が高くなるにつれて結合孔を小さくする。径はおおむね 1/4

λ

とする。

λ

c/f

周波数)

c) 

誘電体導波路を用いる方法(附属書図 参照)  導波路にはポリエチレン,ふっ素樹脂など,tan

δ

小さな材料を用い,それを円形又は,長方形の棒状に成形する。さらに,

附属書図 に示すように,

先端を円すい又は角すい状に成形し,球面反射鏡の中央の結合孔から挿入する。また,導波路の反対

側の先端は,ホーン状の結合部を介して導波管などに接続する。

d) 

準光学的励起方法  附属書図 に示すように,ガラスに数

µm の銅薄膜を形成した凹面鏡の中央に,

幅 60

µm 程度のスリットをもつ直径 10 mm 程度の結合部を設けて,準光学的に電波を導入する。反射

率が非常に高いため,入射ビームの回折損失を大きく低減できる利点がある。


15

R 1660-2

:2004

誘電体導波路

30

∼40°

1

2

λ

20

∼30°

附属書図  3  誘電体導波路を用いる方法

縞状銅薄膜

円状結合領域

銅薄膜

反射鏡

ガラス凹面鏡
+銅薄膜

反射鏡の前から見た図)

信号源

収束反

射鏡

附属書図  4  準光学的方法を用いる方法