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R 1660-1

:2004

(1)

まえがき

この規格は,

工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,

社団法人日本ファインセラミックス協会(JFCA)

/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS R 1660

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS R 1660-1 

第 1 部:遮断円筒導波管方法

JIS R 1660-2 

第 2 部:開放形共振器方法

JIS R 1660-3 

第 3 部:NRD ガイド励振誘電体共振器方法


R 1660-1

:2004

(2)

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  測定項目

2

5.

  測定原理

2

6.

  試験環境

3

7.

  測定装置及びジグ

3

7.1

  装置

3

7.2

  ジグ

4

8.

  試験用ジグ(空洞共振器)の寸法 Dの設計 

6

9.

  試験用ジグの寸法 D及び比導電率

σ

r

の測定

7

10.

  試験試料のε′及び tanδの測定 

11

10.1

  試験試料 

11

10.2

  共振周波数の推定

11

10.3

  測定手順 

11

10.4

  比誘電率ε′の計算 

12

10.5

  ε′の誤差の計算

12

10.6

  誘電正接 tanδの計算

14

10.7

  tanδの誤差の計算 

14

11.

  試験用ジグの線膨張係数α及び比抵抗率の温度係数 TCρの測定

15

12.

  試験試料のε′及び tanδの温度依存性の測定 

17

12.1

  測定条件 

17

12.2

  測定手順 

17

12.3

  試験試料のε′の温度係数 TCεの計算

17

12.4

  試験試料の tanδの温度依存性 

18

13.

  報告

18


日本工業規格

JIS

 R

1660-1

:2004

ファインセラミックスのミリ波帯における誘電特性

測定方法−第 1 部:遮断円筒導波管方法

Measurement method for dielectric properties of fine ceramics in millimeter

wave frequency range

−Part 1:Cutoff waveguide method

1. 

適用範囲  この規格は,主にミリ波回路に用いる低損失誘電体基板用ファインセラミックスの遮断円

筒導波管方法によるミリ波帯における誘電特性の測定方法について規定する。

備考  遮断円筒導波管方法とは,同一寸法の 2 本の銅円筒間に誘電体平板を挟んで誘電体共振器を構

成し,その共振周波数の測定値によって比誘電率を求め,無負荷 Q の測定値によって誘電正接

を求める方法である。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0601

  製品の幾何特性仕様 (GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS R 1600

  ファインセラミックス関連用語

IEC 60028

  International standard of resistance for copper

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600 によるほか,次による。

a) 

複素比誘電率

ε

r

  (Complex relative permittivity)  ベクトル表示による交流電界の強さ E (V/m)と交流

電束密度 D (C/m)の複素比を,真空の誘電率

ε

0

(=8.8542×10

12

 F/m)で除した値。

r

0

D

E

ε

ε

=

 (1)

複素比誘電率の実数成分を

ε′

(比誘電率という)

,虚数成分を

ε

″とすると,

ε

r

は次の式で表す。

r

ε

ε′

= −

 (2)

b) 

誘電正接 tan

δ

  (Loss factor)

誘電体損失角

δ

  の正接。複素比誘電率の実数成分・虚数成分を使うと,

tan

δ

  は次の式で表す。

tan

δ

ε″

ε′

=

 (3)

c) 

誘電率の温度係数 TC

ε

  (Temperature coefficient of permittivity)  誘電率の温度による変化率を,対応

する温度の変化分で除した値。


2

R 1660-1

:2004

)

/

ppm

(

10

)

(

6

ref

ref

ref

T

K

T

T

TC

×

=

ε

ε

ε

ε

 (4)

ここに,

Τ

ε′

:温度 における比誘電率

ref

ε′

:基準温度 T

ref

における比誘電率

d) 

表面抵抗 R

s

  (Surface resistance)

  導体の表面から内部へ流れ込む電磁場の散逸を表す等価抵抗。導体

板の導電率を

σ

とすると,R

s

は次の式で表す。

)

(

s

=

σ

µ

π

f

R

 (5)

ここに,

f: 共振周波数

μ:

透磁率(銅の場合μ=4π×10

-7

 H/m)

e) 

比導電率

σ

r

  (Relative conductivity) 

  IEC 60028 に規定する国際標準軟銅の 20  ℃における導電率

σ

0

(=5.800×10

7

 S/m)に対する導体板の導電率

σ

の比。

0

r

σ

σ

σ

=

 (6)

f) 

比抵抗率

ρ

r

(Relative resistivity)  比導電率の逆数。

r

r

1

σ

ρ

=

 (7)

g) 

比抵抗率の温度係数 TC

ρ

(Temperature coefficient of relative resistivity)  比抵抗率の温度による変化率

を,対応する温度の変化分で除した値。

)

/

ppm

(

10

)

(

6

ref

ref

ref

T

ρ

K

T

T

TC

×

=

ρ

ρ

ρ

 (8)

ここに, ρ

T

:温度 における比抵抗率

ρ

ref

:基準温度 T

ref

における比抵抗率

4. 

測定項目  この規格で測定する項目は,比誘電率

ε′

,誘電正接 tan

δ

,誘電率の温度係数 TC

ε

及び tan

δ

の温度依存性とする。

なお,この試験が適用できる測定周波数,

ε′

及び tan

δ

の範囲は,次のとおりである。また,特に指定の

ない限り,TC

ε

及び tan

δ

の温度依存性の測定温度範囲は,−40  ℃∼+85  ℃とする。

測定周波数

: 30

∼100 GHz

ε′

: 2

∼50

tan

δ

 

: 10

6

∼10

3

5. 

測定原理  この規格で用いる方法では,導体円筒を中央で二つに分割し,その間に誘電体基板を挟ん

だ TE

011

モード(

1

)  遮断円筒共振器を構成する(図 参照)。この共振器の共振周波数 ( f

0

)  及び無負荷 Q (Q

u

)

は,基板試料の

ε′

,tan

δ

,厚み  (t)  及び,導体円筒の直径  (D),高さ  (H)  及び遮断円筒導波管を構成する

材料の比導電率  (

σ

r

)  によって決定される。したがって,f

0

Q

u

DH

σ

r

及び を測定して,

ε′

,tan

δ

を求めることができる。遮断円筒導波管の構造は内側が円筒状で,D=7 mm,H=31 mm とすると共振周波

数は約 50 GHz となる。また,試験試料は,通常厚さ 0.5∼1.0 mm 程度,直径 10∼19 mm の円板,又は 14 mm

程度の角平板を用いる。

ミリ波帯域では電磁波は共振器内壁の表面内にサブミクロン程度の深さまでしか侵入しないため導電率


3

R 1660-1

:2004

は,表面のきずや酸化膜の有無によって直流での値よりも小さくなる。そこで,導体円筒の両端に短絡板

を付けて構成した空洞共振器の Q

u

から

σ

r

を測定によって求めることが必要である。

この方法では遮断円筒導波管を中央で二つに分割し,その間に基板試料を挟んで共振器を構成するので,

試料の縁端部は遮断円筒導波管の外に出ている。しかし,試料の厚さ は TE

011

モードの共振周波数の半波

長を

ε′

で除した値に比べて十分に小さいので,縁端部の電磁界は急速に減衰し,エネルギーは半径方向

に放射しない。この縁端部の電磁界の効果(縁端効果)は,

ε′

及び tan

δ

の測定にわずかな影響を与える。

したがって,この方法では,これを厳密な解析による解によって補正する。実際には,解析が容易な導

体円筒と同じ直径をもつ架空の円板試料を挿入した場合について,近似的な比誘電率  (

ε

a

)  及び誘電正接

(tan

δ

a

)  を求め,その後に,図で与えられた補正係数を用いて,縁端効果の補正を行い

ε′

及び tan

δ

を求め

る。また,TE

011

モードの−40∼+85  ℃における f

0

と Q

u

とを測定して

Δ

TC

ε

ε′

及び tan

δ

の温度依存性を

求める。

(

1

)

導波路の軸に垂直な平面上に電界があるモードを横電界姿態 (Transverse Electric Mode) とい

い,TE モードと略記する。これについているサフィックスは,左から順に円筒座標の軸回り方

向,径方向,軸方向の電界強度の節又は腹の数を示している。

TE

011

モードでは電界は試験試料の面内にある。したがって,ここで定める試験方法で測定さ

れる

ε′

は面方向の値である。

6. 

試験環境  特に指定のない限り,試験環境の温度は 25±2  ℃とし,相対湿度は 60  %以下とする。

7. 

測定装置及びジグ

7.1 

装置

試験装置の構成例を

図 に示す。図 1 a)は,スカラー形ネットワークアナライザを使用した

もの,

図 1 b)は,ベクトル形ネットワークアナライザを使用したものとなっている。図 1 a)では,掃引信

号発生器から出たミリ波信号は,方向性結合器で分割され,その一方は基準信号として検波器を介してネ

ットワークアナライザに入力される。他方は試料を装着した試験ジグに入力される。試験ジグを透過した

信号は検波器を介してネットワークアナライザに入力され,基準信号との振幅比として,縦軸に透過減衰

量,横軸に周波数の形で画面上に表示される。

一方,

図 1 b)では,送信側ミリ波帯 S パラメータ・モジュールから出力されたミリ波信号は,試験用ジ

グを透過し,受信側ミリ波帯 S パラメータ・モジュールに入力され検波される。これと同時に送信側ミリ

波帯 S パラメータ・モジュール内部で検波された基準信号との振幅比として,縦軸に透過減衰量,横軸に

周波数の形で画面上に表示される。


4

R 1660-1

:2004

基準レベル測定用伝送路

×N 信号逓能器

試験用ジグ

方向性

結合器

基準信号用

検波器

アイソレータ

アイソレータ

アイソレータ

試験信号用

検波器

シンセサイザ形

掃引信号発生器

スカラー形

ネットワークアナライザ

a)

スカラー形ネットワークアナライザを使用した構成例

基準レベル測定用伝送路

ベクトル形

ネットワークアナライザ

S パラメータ

ミリ波モジュール

試験用ジグ

S パラメータ

ミリ波モジュール

b)

ベクトル形ネットワークアナライザを使用した構成例

  1  試験装置の構成例

7.2 

ジグ

7.2.1 

ε

及び tan

δ

の試験用ジグ

ε

及び tan

δ

の試験用ジグは,

図 に示すように中央で二つに分割でき

る構造をもつ導体円筒空洞(直径 D,長さ H

,2 本の同軸励振線及び 1 本の基準レベル測定ケーブルで構

成する。試料基板は遮断円筒導波管の中央に挟んでクリップなどで固定する[

図 2 a)]。表皮効果による実

効導電率の低下を最小限にとどめるため,導体円筒空洞の内面の表面粗さを JIS B 0601 に規定する 0.1

µmRa 以下にする。


5

R 1660-1

:2004

先端ループ
同軸励振線

誘電体平板

t

H+t

D

電波吸収材

導体円筒

短絡板

d

a)

試験試料の

ε′

及び tan

δ

の測定              b)  試験用ジグ寸法測定時

磁界結合

ループ

スポット溶接

または

はんだ付け 

同軸励振線

c)

同軸励振線の先端部拡大

コネクタ

d)

基準レベル測定用セミリジッド同軸線

  2

ε′

及び tan

δ

の試験用ジグ

同軸励振線は,特性インピーダンスが 50  Ωのセミリジッド同軸ケーブルとし,外径が 1.2 mm 又は 0.9

mm のいずれかのものを遮断円筒導波管の大きさに応じて使い分ける。同軸励振線の先端には直径 0.4 mm

程度の微少ループアンテナを形成し,ループ面を水平に固定する。2 本の同軸励振線は互いに左右に移動

して結合度を調整することができる構造とする。同軸励振線と遮断円筒導波管とを同電位にするため,ケ

ーブルの外導体が遮断円筒導波管に軽く接触する構造にする。基準レベル測定ケーブルは全透過レベルを

測定するためのもので,その長さは上記の同軸励振線 2 本分の長さとする。

導体円筒両端部に作製するリング状の溝は,導体円筒の実効導電率

σ

r

を短絡板を取り付けた空洞共振器

の Q

u

から測定する際に必要である。これによって,測定に使われる TE

01p

モードの共振周波数に影響を与

スポット溶接

はんだ付け

又は

磁界結合

ループ

同軸励振線

コネクタ

短絡板

H

t

先端ループ

同軸励振線

導体円筒

電波吸収材

誘電体平板

 


6

R 1660-1

:2004

えずに,TE

01p

モードに縮退する TM

11p

モードの共振周波数だけを数 10 MHz 程度低周波数側にシフトさせ,

それぞれの共振ピークを分離できる。

7.2.2 

TC

ε

 

及び tan

δ

  の温度依存性の試験用ジグ  TC

ε

及び tan

δ

の温度依存性の試験用ジグは,試験用ジ

グと同軸励振線とが温度変化によって相対的な位置ずれを起こさないよう固定方法を工夫する。その固定

方法の一例を

図 に示す。

ジグ

導体円筒

熱電対

電波吸収材

先端ループ同軸励振線

誘電体平板

励振線調整リング

  3  TC

ε

及び tan

δ

の温度依存性の試験用ジグの固定方法の一例

7.2.3 

ノギス  ノギスは,JIS B 7507 に規定する最小目盛 0.05 mm 又はこれと同等以上の精度をもつもの

を用いる。

8. 

試験用ジグ(空洞共振器)の寸法 Dの設計

図 に空洞共振器[図 2 b)参照]のモードチャートを示す。

図 中の波線は,推奨する寸法比 D/H=0.226,0.268 及び 0.294 である。

TE

011

モードの共振周波数 f

0

(Hz)と空洞共振器の直径 D  (m),長さ H  (m)との間には,次の関係式が成立

する。

ïþ

ï

ý

ü

ïî

ï

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

÷

ø

ö

ç

è

æ ′

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

2

2

01

2

2

0

2

2

)

(

H

D

j

c

D

f

π

 (9)

ここに,

c:真空中の光速 (=2.997 9×10

8

 m/s)

j

01

:0 次の第 1 種ベッセル関数の微分が 0 となる第 1 番目の根

(=3.831 7)

式(9)  から,空洞共振器の共振周波数 f

0

(Hz)を与えて,(m)を設計する。具体例を表 に示す。空洞共

振器の材質は,導電率の大きい金属が望ましい。通常,純銅で作製する。


7

R 1660-1

:2004

 TE

1111

 TE

1111

 TE

11

9

 TE

217

 TE

11

8

TM

01

10

TM

019

TM

11

5

TM

018

 TE

111

0

 TE

015

.05

.06

 .07

.08

.09

.1

(D/H)

2

1.85

1.80

1.75

1.70

1.65

1.60

1.55

1.50

1.90

(

f

0

D/

c)

2

1.45

TE

114

TE

017

TE

113

TE

112

TE

116

TE

110

TE

111

 TE

215

 TE

011

TE

216

TE

311

 TE

512

 TE

014

TE

111

 TE

012

 TE

013

  4  空洞共振器のモードチャート

  1  空洞共振器の寸法(例)及び材質

寸法比

50 GHz

空洞共振器

材質

(D/H)

2

D/H

 

(mm)

H (mm)

0.0510

0.226

7.0

31.0

0.0718

0.268

7.0

26.1

0.0864

0.294

7.0

23.8

銅(銀)又は厚さ 10

µm 以上の銅(銀)

めっきを施した導体

9. 

試験用ジグの寸法 D及び比導電率

σ

r

の測定  試験試料の測定に先立って,試験用ジグの寸法及び

高周波における実効的な比導電率を測定する。

a) 

測定条件

1) 

試験用ジグの空洞表面(内面)にきずが付いた場合や酸化膜が発生した場合は,測定に先立って空

洞表面を研磨する。

2) 

試験用ジグ内部の環境を測定環境に等しくするため,空洞共振器を組み立てない状態で,測定環境

下に十分な時間放置する。

b) 

測定手順  試験用ジグの直径 及び長さ は,TE

01p

と TE

01q

モード(  p:  整数,pq)との共振周


8

R 1660-1

:2004

波数から測定する。比導電率は TE

01p

モードの無負荷 から測定する。手順は,次による。

1)  JIS B 7507

に規定するノギス又はそれと同等以上の精度をもつ測定器を使い,試験用ジグの直径 D

及び長さ の予備測定を行う。

2) 

基準レベル測定ケーブルを試験装置に接続し,測定する周波数範囲の透過減衰量を測定し,基準レ

ベルとする。

3)  2

個の半円筒ジグの両端に導体板を取り付ける。

4) 

試験用ジグの接合部が不連続にならないように向かい合わせ,クリップなどで固定し,空洞共振器

を構成する。

5) 

空洞共振器の結合孔に,測定ケーブル先端の結合ループを挿入する。このとき,結合ループの開口

面が,空洞共振器の円筒軸に垂直になるように固定する。また,左右の結合ループの挿入深さを同

じにする。

6) 

ネットワークアナライザの画面上で,TE

01p

モードの共振ピークを見つける(

図 参照。四角で囲ん

だモードは測定に使用可能なモードである。

。このとき,あらかじめノギスなどで測定した DH

の予備測定値を次の式に代入した値を,TE

01p

モードの共振周波数の予想値 (Hz) にすることができ

る。この際,H/2 の位置で励振すると,が偶数時のモードは共振器中央で電界が 0 となるため,励

振されにくい。そこで,励振位置を H/2 からわずかにずらすことで,すべての TE

01p

モードが励振

できる。

2

2

01

2

p

p

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

÷

ø

ö

ç

è

æ ′

=

H

D

j

c

f

π

 (10)

ここに,

D:空洞共振器の直径の予備測定値 (m)

H:空洞共振器の長さの予備測定値 (m)

7) 

周波数掃引幅を狭くして,TE

01p

モードの共振波形を画面上に拡大表示(

図 参照)した後,空洞共

振器への結合ループの挿入深さを調整して,挿入損失を約 30 dB にする。また,左右の結合ループ

の挿入深さを同じにする。このときの共振周波数 f

p

,電力半値幅

f

p

及び挿入損失 IA

p

を測定する。

8) 

次に,ネットワークアナライザの掃引周波数を変更し,TE

01q

モードの共振ピークを見つける。この

とき,あらかじめノギスなどで測定した Dの予備測定値を次の式に代入した値を,TE

01q

モード

の共振周波数の予想値 (Hz) にすることができる。

2

2

01

2

q

q

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

÷

ø

ö

ç

è

æ ′

=

H

D

j

c

f

π

(11)

9) 7) 

と同様に,周波数掃引幅を狭くして,TE

01q

モードの共振波形を画面上に拡大表示した後,空洞

共振器への結合ループの挿入深さを調整して,挿入損失を約 30 dB にする。また,左右の結合ルー

プの挿入深さを同じにする。このときの共振周波数 f

q

を測定する。


9

R 1660-1

:2004

  5  実際の空洞共振器の周波数応答例によるモード判別

-60

-50

-40

-30

-20

過減衰量

  I.

A

. (d

B

)

60

58

56

54

52

50

周波数 f

(GHz)

TM

111

 TE

016

TE

014

TE

013

TE

01

1

TE

015

TM

11

0

TE

1111

TE

31

1

TM

0111

TM

11

6

TM

11

5

TM

11

4

TM

11

3

TM

019

TM

11

2

TE

312

TE

313

TE

111

0

TE

218

TE

217

TE

012

モードチャート

からの計算値

TM

018

TE

216

−20

−30

−40

−50

−60

50

52

54

56

58

60

周波数 (GHz)

透過型減衰量

I.

A

. (

dB)


10

R 1660-1

:2004

f

0

LA

0

=30dB

3dB

-35

I.A

. (

dB

)

-30

-25

周波数   f

f

0

  6  共振ピークの拡大表示

c) 

試験用ジグの寸法 Dの計算  試験用ジグ寸法は,次の手順で計算する。

2

2

2

2

2

2

01

q

p

p

q

p

q

f

f

j

c

D

=

π

 (12)

2

p

2

q

2

2

p

q

2

f

f

c

H

=

 (13)

ここに,

D:空洞共振器の直径 (m)

H:空洞共振器の長さ (m)

f

p

:TE

01p

モードの共振周波数の測定値 (Hz)

f

q

:TE

01q

モードの共振周波数の測定値 (Hz)

c:真空中の光速 (=2.997 9×10

8

 m/s)

j

01

:0 次の第 1 種ベッセル関数の微分が 0 となる第 1 番目の根

(=3.831 7)

d) 

試験用ジグの比導電率

σ

r

の計算  試験用ジグの

σ

r

は,次の手順で計算する。

1) 

無負荷 Q

20

p

p

u

p

10

1

IA

f

f

Q

=

 (14)

ここに,

Q

u

:TE

01p

モードの無負荷 Q

f

p

:TE

01p

モードの共振周波数の測定値 (Hz)

f

p

:電力半値幅の測定値 (Hz)

IA

p

:挿入損失の測定値 (dB)


11

R 1660-1

:2004

2)

比導電率

σ

r

3

2

2

01

2

0

0

2

3

2

2

01

2

2

2

2

4

u

p

r

ïþ

ï

ý

ü

ïî

ï

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

ïþ

ï

ý

ü

ïî

ï

í

ì

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

H

D

j

c

D

j

Q

f

π

µ

σ

π

π

π

σ

 (15)

ここに,

σ

r

:空洞共振器の比導電率

σ

0

:5.8×10

7

 (S/m)

µ

0

:4

π×10

7

 (H/m)

10. 

試験試料のε′及び tanδの測定

10.1 

試験試料  試料の平行度及び平たん度が測定精度に大きな影響を与えるので,試料は精度良く仕上

げる必要がある。試料は円板(直径 d)又は角板(短い方の長さ d)とし,その大きさは,>1.2とする。

10.2 

共振周波数の推定  測定ジグの寸法,試験試料の厚み t,及び試験試料の比誘電率

ε

の概略値

ε

から,

次の式によって TE

011

モードの共振周波数 f

0

を推定する。

Y

X

X

=

tan

 (16)

2

2

0

r

2

k

k

t

X

=

ε

÷

ø

ö

ç

è

æ

<

<

2

0

π

X

 (17)

2

0

2

r

2

k

k

t

Y

=

 (18)

c

f

k

0

0

2

π

=

 (19)

D

D

j

k

8317

.

3

2

2

01

r

×

=

=

 (20)

ここに,XYf

0

を計算するためのパラメータ

f

0

:共振周波数 (Hz) の推定値

k

0

:自由空間波数

k

r

:半径方向の波数

c:真空中の光の速度 (=2.9979×10

8

m/s)

j

01

:0 次の第 1 種ベッセル関数の微分の第 1 番目の根 (=3.8317)

10.3 

測定手順  測定手順は次のとおりとする。

1) 

基準レベル測定ケーブルを

図 の試験装置に接続し,測定する周波数範囲の透過減衰量を測定し,

基準レベル(全透過レベル)とする。

2) 

誘電体基板試料を挟んだ遮断円筒導波管を,

図 の試験装置に接続する。

3) 10.2

で求めた f

0

の推定値を参考に,ネットワークアナライザを調整し,TE

011

モードの共振ピークを

画面上に表示させる。

4) 

共振ピークの挿入損失 IA

0

が約 30 dB となるように,結合ループの位置を調整する。このとき,左

右の結合ループの挿入深さを同じにし,試験試料と左右の結合ループ間との距離はお互いに等しく

なるようにする。


12

R 1660-1

:2004

5)  f

0

(Hz),電力半値幅

f

0

(Hz)  及び IA

0

(dB)  を測定する。ネットワークアナライザにマーカ機能又はス

イープアベレージング機能があれば,迅速に再現性の高い測定が可能になる。

10.4 

比誘電率ε′の計算  比誘電率

ε′

は次の式で計算し,有効数字 4 けたまで求める。

a)  k

0

k

r

c

f

k

0

0

2

π

=

 (21)

D

D

j

k

8317

.

3

2

2

01

r

×

=

=

 (22)

ここに,

f

0

:共振周波数の測定値(Hz)

b)  Y

次の式によって を計算する。

2

0

2

r

2

k

k

t

Y

=

 (23)

ここに,

Y:比誘電率を計算するためのパラメータ

c) 

X

を次の特性方程式に代入して を求める。

Y

X

X

=

tan

 (24)

ここに,

X:比誘電率を計算するためのパラメータ

d) 

ε

a

Xを次の式に代入して,

ε

a

を求める。

1

)

(

2

2

2

0

a

+

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

Y

X

tf

c

π

ε

 (25)

ここに,

ε

a

:縁端効果を無視したときの比誘電率

e) 

ε′

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

a

a

1

ε

ε

ε

ε

 (26)

ここで,

ε′

:比誘電率

∆ε

 :縁端効果の補正項(図 参照)

10.5 

ε′の誤差の計算

ε′

の誤差を次の式によって計算する。

2

2

2

2

0

f

t

D

ε

ε

ε

ε

+

+

=

 (27)

ここに,

∆ε′

 ε′

の誤差

∆ε

D

の標準偏差による

 ε′

の誤差

D

∆D

D

ε

ε

∂ ′

=

∆ε

t

の標準偏差による

ε′

の誤差

t

∆t

t

ε

ε

∂ ′

=

∆ε

f0

f

0

の標準偏差による

ε′

の誤差

0

0

0

f

∆f

f

ε

ε

=


13

R 1660-1

:2004

∆ε/ε

a

10

−4

2

3

4

5

6

7

10

−3

2

3

4

5

6

7

10

−2

2

3

4

5

6

7

10

−1

1

2

3

4

5 6 7 8

2

3

4

5 6 7 8

100

0.04

0.06

0.08

0.10

0.12

0.14

0.02

0.16

t/D=0.18

0.20

0.01

0.005

TE

011

 mode

D/H=0.226

10

ε

a

  7

ε′

の補正図


14

R 1660-1

:2004

10.6 

誘電正接 tanδの計算  誘電正接 tan

δ

  は,次の式で計算し,有効数字 3 けたまで求める。

a)  A

次の式によって,を計算する。

ε

+

=

W

1

 (28)

)

2

/

(

sin

)

2

/

(

cos

2

2

π

π

+

=

X

Y

X

W

 (29)

ここに,

A:tan

δ

 を計算するためのパラメータ

W

 :誘電体内外の蓄積エネルギーの比

b)  B

次の式によって,を計算する。

ε

π

π

+

÷÷ø

ö

ççè

æ ′

=

01

3

0

01

60

1

j

W

D

f

j

B

 (30)

ここに,

B:tan

δ

 を計算するためのパラメータ

c) 

Q

u

20

0

10

1

0

0

u

IA

f

f

Q

=

 (31)

ここに,

Q

u

:TE

011

モードの無負荷 Q

f

0

:TE

011

モードの共振周波数の測定値 (Hz)

f

0

:電力半値幅の測定値 (Hz)

IA

0

:挿入損失の測定値 (dB)

d) tan

δ

÷

ø

ö

ç

è

æ +

÷

ø

ö

ç

è

æ +

=

B

B

BR

A

A

Q

A

1

1

tan

s

u

δ

 (32)

ここに, tan

δ

:誘電正接

∆Α

:縁端効果の補正項(

図 参照)

∆Β

:縁端効果の補正項(

図 参照)

10.7 tan

δの誤差の計算  tan

δ

の誤差を,次の式によって計算する。

(

)

(

) (

)

2

r

2

u

2

tan

tan

tan

σ

δ

δ

δ

Q

+

=

 (33)

ここに,

tan

δ

:tan

δ

の誤差

tan

δ

Qu

Q

u

の標準偏差による tan

δ

の誤差

u

u

tan

tan

u

Q

Q

Q

=

δ

δ

tan

δ

σr

σ

r

の標準偏差による tan

δ

の誤差

r

r

tan

tan

r

σ

σ

δ

δ

σ

=


15

R 1660-1

:2004

0.05

0.04

0.03

0.02

0.01

0.00

A/A

ε′

=1

2

5

10

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0

B/B

0.20

0.15

0.10

0.05

0.00

t/D

ε′

=100

10

2

1

5

  8

A/A

B/B

の補正図

11. 

試験用ジグの線膨張係数α及び比抵抗率の温度係数 TCρの測定  試験試料の温度特性測定に先立ち,

試験用ジグの線膨張係数及び比抵抗率の温度係数を測定する。


16

R 1660-1

:2004

a) 

測定条件

1) 

測定温度範囲は−40∼+85  ℃,相対湿度は 60  %以下とする。

備考  高湿雰囲気中では,値の劣化が認められるため,測定に当たっては,湿度管理に十分注意す

る必要がある。したがって,測定は,湿度制御可能な恒温槽中又は乾燥気体中で行われること

が望ましい。

2) 

恒温槽内の温度分布は±1  ℃以下に保たれなければならない。

3) 

空洞共振器全体が測定温度に達することができるよう,測定温度に到達してから測定までに,十分

な時間が確保されなければならない。

b) 

測定手順

1) 

二つの半円筒ジグの両端部に導体板を取り付けた後,接合面のずれがないように固定する。

2) 

恒温槽の中に空洞共振器を設置後,TE

011

モードの共振ピークの挿入損失が約 30 dB になるように結

合ループの挿入深さを調整する。

3) 

恒温槽の温度を測定温度 に設定し,十分な時間を経た後,TE

011

モードの共振周波数 f

0

(

T  ),電力

半値幅

f

0

(

),挿入損失  (IA

0

)  を測定する。

c) 

試験用ジグの線膨張係数αの計算  試験用ジグの線膨張係数は,次の手順で求める。

1) 

空洞の寸法比

)

(

)

(

ref

ref

T

H

T

D

S

=

 (34)

ここに,

S:空洞の寸法比であり,測定温度範囲において一定であると

仮定する。

D(T

ref

):基準温度 T

ref

における空洞の直径 (m)

H(T

ref

):基準温度 T

ref

における空洞の長さ (m)

2) 

測定温度 での試験用ジグの寸法 D(T )H(T )

2

2

01

0

2

)

(

)

(

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

÷

ø

ö

ç

è

æ ′

=

S

j

T

f

c

T

D

π

 (35)

S

T

D

T

H

)

(

)

(

=

 (36)

ここに, ():測定温度 における空洞の直径 (m)

(T ):測定温度 における空洞の長さ (m)

f

0

(

):測定温度 における TE

011

モードの共振周波数 (Hz)

3) 

試験用ジグの線膨張計数

α

)

(

)

(

)

(

)

(

1

ref

ref

ref

T

T

T

D

T

D

T

D

=

α

 (37)

ここに,

α

:試験用ジグの膨張係数 (/℃)

T

ref

:室温  (℃)

T:測定温度  (℃)

d) 

試験用ジグの TC

ρ

の測定  試験用ジグの比抵抗率の温度係数 TC

ρ

は,次の手順で計算することができ

る。

1)

測定温度 での試験用ジグの比抵抗率

ρ

  (T)


17

R 1660-1

:2004

1.1) 

σ

r

の計算

2

3

2

2

2

0

u

1

r

3

2

2

2

0

0

01

4

( )

( )

2

2

( )

2

S

f T Q T

j

T

S

c

j

π

π

σ

π

σ µ

′ +

=

′ +

ì

ü

æ ö

ç ÷

í

ý

è ø

î

þ

ì

ü

æ

ö

ç

÷

í

ý

è

ø

î

þ

 (38)

1.2) 

ρ

r

の計算

)

(

1

)

(

r

r

T

T

σ

ρ

=

 (39)

ここに,

σ

r

(

):測定温度 における比導電率

ρ

r

(

):測定温度 における比抵抗率

Q

u

(

):測定温度 における無負荷 Q

2) 

試験用ジグの TC

ρ

r

r

f

r

r f

r f

1

( )

(

)

(

)

(

)

TC

T

T T

ρ

ρ

ρ

ρ

=

 (40)

ここに,

ρ

r

(

T

ref

):室温における比抵抗率

12. 

試験試料のε′及び tanδの温度依存性の測定

12.1 

測定条件

12.1.1 

測定温度範囲は,−40∼+85  ℃,相対湿度は 60  %以下とする。

備考  高湿雰囲気中では 値の劣化が認められるため,測定に当たっては湿度管理に十分注意する必

要がある。よって,測定は湿度制御可能な恒温槽中又は乾燥空気中で行われることが望ましい。

12.1.2 

恒温槽内の温度分布は,±1  ℃以下に保たれなければならない。

12.1.3 

空洞共振器全体が測定温度に達することができるよう,測定温度に到達してから測定までに,十分

な時間が確保されなければならない。

12.2 

測定手順  測定手順は,10.3 に準じる。

12.3 

試験試料のε′の温度係数 TCεの計算  測定温度範囲内の任意において測定した共振周波数 f

0

(

T  )

から,10.4 に示した計算手順に従って,測定温度 における比誘電率

ε

(

T  )  を求める。このとき,試験試

料厚さ及び共振器直径,長さを各測定温度における値に温度補正する必要がある。

a) 

温度 における試料厚さ (T )

(

)

{

}

ref

t

ref

( )

(

)

1

t T

t T

T T

α

=

+  (41)

ここに,

T

ref

:基準温度

α

t

:試験試料の線膨張係数

b) 

温度 における試験用ジグの直径 D (T ),長さ (T )

D(T)=D(T

ref

){

α

(T-T

ref

)+1}  (42)

H(T)=D(T)/S (43)

ここに,

α

11. c)  で求めた試験用ジグの線膨張係数

S11. c)  で求めた試験用ジグの寸法比

c) 

ε′

()  f

0

(),(),(T),(T)を使用して,10.4 の計算手順に従って,温度 における比誘電率

ε′

()

を求める。


18

R 1660-1

:2004

d) 

ε ′

()  の温度係数 TC

ε

ref

ref

ref

1

( )

(

)

(

)

(

)

TC

T

T T

ε

ε

ε

ε

− ′

=

 (44)

12.4 

試験試料の tanδの温度依存性  温度

T

において測定した

Q

u 

()

ε′ ()

()

()

()

R

s

 ()

によって,10.6 に示した計算手順に従って,

tan

δ  (T)

を求める。

備考 

tan

δ ()

の計算において必要となる

Rs ()

は,導電率

σ ()

の関数である。しかし,

σ ()

温度に対して線形ではないため,11.d)  で求めた抵抗率

ρ

の温度係数

TC

ρ

から,所定の

σ ()

ρ ()

の逆数として求め,

Rs ()

を算出する。このようにして

tan

δ

の温度

T

に対する依存性

を測定することができる。

13. 

報告  報告には,次の事項を記載する。

a) 

試験試料を判別する記号

b) 

試験試料の寸法

c) 

試験環境(温度,湿度)

d) 

測定周波数

f

0

e) 

比誘電率

ε′

f) 

誘電正接

tan

δ

g) 

比誘電率の温度係数

TC

ε

h) 

誘電正接の温度依存性