>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

R 1654

:2003

(1)

まえがき

この規格は,

工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,

社団法人日本ファインセラミックス協会(JFCA)

/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は,出願公開後の実用新案

登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


R 1654

:2003

(2) 

目  次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  試験装置

1

4.1

  ボールオンディスク法試験機

1

4.2

  金属顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)

2

4.3

  表面粗さ測定機

2

4.4

  化学天びん

2

5.

  試験片

2

5.1

  球状試験片

2

5.2

  円板状試験片

2

6.

  試験方法

2

6.1

  試験片密度の算出

2

6.2

  試験片の処理

2

6.3

  試験前の質量測定

2

6.4

  摩耗試験の準備

2

6.5

  摩耗試験の条件

2

6.6

  摩擦力の測定

3

6.7

  試験後の試験片の処理

3

6.8

  試験後の質量測定

3

6.9

  球状試験片の摩耗こん(痕)測定

3

6.10

  円板状試験片の摩耗こん測定

3

6.11

  摩耗試験回数

3

7.

  試験結果の表し方

3

7.1

  球状試験片の比摩耗量

4

7.2

  円板状試験片の比摩耗量

4

7.3

  摩擦係数

5

7.4

  数値の丸め方

5

8.

  報告

5

 


日本工業規格

JIS

 R

1654

:2003

ファインセラミックスのボールオン 
ディスク法による高温摩耗試験方法

Testing method for wear resistance of fine ceramics

by ball-on-disk method at elevated temperatures

1.

適用範囲  この規格は,構造用ファインセラミックスの摩耗試験のうち,高温において球状試験片

と円板状試験片とを摩擦(しゅう動)させるボールオンディスク法による試験方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0601

  製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ

JIS B 0621

  幾何偏差の定義及び表示

JIS B 0651

  製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性

JIS C 1602

  熱電対

JIS R 1613

  ファインセラミックスのボールオンディスク法による摩耗試験方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8807

  固体比重測定方法

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

摩耗  固体,粉体などとの摩擦による機械的作用によって,材料がその表面から逐次離脱していく現

象。

b)

摩耗試験  規定の試験方法によって試験片を摩擦させ,その材料の耐摩耗性を評価する試験。

c)

ボールオンディスク法  摩耗試験方法の一つであって,回転する円板状試験片に球状試験片を一定荷

重で押し付けてしゅう動させる試験方法。

d)

摩擦係数  固体同士の摩擦において,相対運動を妨げる方向に働く力(摩擦力)の荷重に対する比。

e)

比摩耗量  単位荷重及び単位しゅう動距離当たりの摩耗体積。

4.

試験装置

4.1

ボールオンディスク法試験機  円板状試験片を保持する円板ホルダ,それを回転させる駆動装置,

球状試験片を保持・固定する球ホルダ,それを円板状試験片に押し付ける荷重機構,摩擦力の検出機構,

球状及び円板状試験片の加熱機構,測温及び温度制御機構並びにその周辺装置から成る。

a)

円板ホルダは,水平面内で回転し,回転軸の振れは 0.02 mm 以下,接触部における回転軸方向の振れ

は 0.05 mm 以下に調整されているものとする。


2

R 1654

:2003

b)

駆動装置は,規定のしゅう動速度が得られる円板回転速度に設定でき,また,摩擦力の変動による回

転速度の変化が無視できるものでなければならない。

c)

球ホルダは,球状試験片を完全に固定し,円板状試験片との接触部で発生する応力に対して高い剛性

をもつものでなければならない。

d)

荷重機構は,おもり又はばね,油圧,空気圧などによる。

e)

摩擦力の検出機構は,ロードセル,板ばねのひずみ測定,回転トルク計測などの任意の方法を用いて

よいが,検出機構が摩擦状態に影響を与えてはならない。

f)

加熱方式は,任意でよいが,球状及び円板状試験片を 100  ℃以上に,かつ両試験片のしゅう動部位を

同等に加熱できるものでなければならない。

g)

温度測定は,JIS C 1602 に規定する熱電対による。熱電対では円板状試験片の温度を測定するものと

する。

h)

試験雰囲気は,大気とする。

4.2

金属顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)  摩耗こん(痕)の径及び幅を 10

µm までの精度で読み取

れるものを用いる。

4.3

表面粗さ測定機  JIS B 0651 に規定する触針式表面粗さ測定機,又はこれと同等以上の精度をもつ

ものを用いる。

4.4

はかり  試験片質量を 0.1 mg までの精度で読み取れるものを用いる。

5.

試験片

5.1

球状試験片  直径 9~10 mm の球,又は先端部を曲率半径 4.5~5 mm の球面に加工した棒状試験片。

試験面の表面粗さは,JIS B 0601 に規定する,0.1

µmRa 以下とする。

5.2

円板状試験片  直径 30 mm 程度のしゅう動円が十分に得られる平面をもつ厚さ 3 mm 以上の試験片。

試験面の平面度及び上下面の平行度は,いずれも JIS B 0621 に規定する 0.02 mm 以下とする。試験面の表

面粗さは,JIS B 0601 に規定する 0.1

µmRa 以下とする。

備考  通常,球状試験片及び円板状試験片は,同一材質とする。

6.

試験方法

6.1

試験片密度の算出  JIS Z 8807 に規定する固定比重測定方法から求めた値を用いる。

6.2

試験片の処理  球状試験片及び円板状試験片は,試薬特級アセトン中で 5 分間以上超音波洗浄し,

120

℃で 30 分間以上乾燥させた後,デシケータ中に保存する。

6.3

試験前の質量測定  摩耗試験の直前,はかりで各試験片の質量を測定する。

6.4

摩耗試験の準備  球状試験片及び円板状試験片をそれぞれのホルダに固定し,両者を静かに接触さ

せる。規定の荷重を加え,試験片の温度が設定された条件で安定した後,円板状試験片を回転させて試験

を開始する。

6.5

摩耗試験の条件

a)

荷重  荷重は,目的に応じて選択する。推奨値は 10 N とする。

b)

しゅう動速度  しゅう動速度は,目的に応じて選択する。推奨値は 0.1 m/s とする。

    なお,円板回転速度,しゅう動円直径の推奨値は,それぞれ 64 回転/分,30 mm とする。

c)

しゅう動距離  しゅう動距離は,目的に応じて選択する。推奨値は 1000 m とする。

d)

試験温度  試験温度は 100  ℃以上で,目的に応じた任意の温度とする。


3

R 1654

:2003

6.6

摩擦力の測定  摩耗試験中は常に摩擦力を測定し,ペンレコーダなどによって連続的に記録する。

6.7

試験後の試験片の処理  摩耗試験修了後の各試験片は,十分に冷却してから取り出し,摩耗粉を清

潔な布などでふき取り,6.2 と同様の処理を行う。

6.8

試験後の質量測定  6.7 の処理を行った後,はかりによって質量を測定する。

6.9

球状試験片の摩耗こん(痕)測定  試験後の球状試験片上には,図 に示すような摩耗こんが生じ

る。その最短径及びそれに垂直な方向の直径を金属顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)などによって測定

する。

6.10

円板状試験片の摩耗こん(痕)測定  試験後の円板状試験片上には,図 に示すような摩耗による

しゅう動円が生じる。触針式表面粗さ計などでその断面形状を 90 度おきの 4 か所について測定し,その摩

耗こん断面積を求める。

6.11

摩耗試験回数  同一試験条件で少なくとも 3 回の摩耗試験を行う。

  1  球状試験片上の円形摩耗こん

  2  円板状試験片上のしゅう動円

7.

試験結果の表し方  JIS R 1613 の規定による次の式によって比摩耗量及び摩擦係数を算出する。

なお,試験片が酸化などによってその質量が変化している恐れのある場合は,比摩耗量は摩耗体積によ

って算出する。


4

R 1654

:2003

7.1

球状試験片の比摩耗量

a)

摩耗体積による方法  球状試験片の摩耗体積は,6.9 で測定された摩耗こんの最短径及びそれに垂直な

方向の直径から,次の式(1)によって算出する。

3

1

(

) / 32

)

V

A B

D

=

π

 (1)

ここに,

1

V

∆ : 球状試験片の摩耗体積(m

3

)

  A

摩耗こんの最短径(m)

B

最短径に垂直な方向の直径(m)

D

球状試験片の直径(m)

比摩耗量は,  次の式(2)によって求める

2

1

/(

)

S

W

V

P L

= ∆

 (2)

ここに,

2

S

W

球状試験片の比摩耗量(m

2

/N)

P

荷重(N)

L

しゅう動距離(m)

なお,摩耗こんの形状がいびつな場合(B>1.5A),その結果は採用せず試験をやり直すか,又は報告にそ

の旨を記載する。

b

)

質量減少による方法  球状試験片質量の試験前後の差を摩耗による質量減少と考え,比摩耗量は,次

の式(3)によって算出する。

1

1

2

1

(

) (

)

S

W

W

W

P L

=

⋅ ⋅ρ  (3)

ここに,

1

S

W

球状試験片の比摩耗量(m

2

/N)

1

W

試験前の質量(kg)

2

W

試験後の質量(kg)

P

荷重(N)

L

しゅう動距離(m)

1

ρ

球状試験片の密度(kg/m

3

)

ただし,質量減少が 1 mg 未満の場合には,摩耗体積によって測定するか,又は質量減少が 1 mg 以上と

なるようにしゅう動距離を延長する。

7.2

円板状試験片の比摩耗量

a

)

摩耗体積による方法  円板状試験片の摩耗体積は,6.10 で測定された摩耗こん断面積から,次の式(4)

によって算出する。

2

1

2

3

4

[

(

)] / 2

V

R S

S

S

S

π

∆ =

+ + +

 (4)

ここに,

2

V

∆ : 円板状試験片の摩耗体積(m

3

)

R

しゅう動円の半径(m)

1

S

~

4

S

しゅう動円の 4 か所のおける断面積(m

2

)

比摩耗量は,次の式(5)によって求める。

4

2

/(

)

S

W

V

P L

= ∆

⋅  (5)

ここに,

4

S

W

円板状試験片の比摩耗量(m

2

/N)

P

荷重(N)

L

しゅう動距離(m)


5

R 1654

:2003

なお,

1

S

~

4

S

のなかで最大値と最小値との比が 1.5 を超えた場合,その結果は採用せず試験をやり直す

か,又は報告書にその旨を記載する。

b

)

質量減少による方法  円板状試験片質量の試験前後の差を摩耗による質量減少と考え,比摩耗量は次

の式(6)によって算出する。

(

)

(

)

ρ

2

4

3

3

/

=

L

P

W

W

W

S

 (6)

ここに,

3

S

W

円板状試験片の比摩耗量(m

2

/N)

3

W

試験前の質量(kg)

4

W

試験後の質量(kg)

荷重(N)

L

しゅう動距離(m)

2

ρ

円板状試験片の密度(kg/m

3

)

ただし,質量減少が 1 mg 未満の場合には,摩耗体積によって測定するか,又は質量減少が 1 mg 以上と

なるようにしゅう動距離を延長する。

7.3

摩擦係数  しゅう動距離 100∼200 m を初期,500∼600 m を中期,900∼1000m を終期として,この

期ごとの摩擦力の平均値を求める。摩擦係数は,次の式(7)によって算出する。

P

/

=

µ

 (7)

ここに,

µ

:  摩擦係数

F

:  摩擦力の平均値(N)

P

:  荷重(N)

7.4

数値の丸め方  比摩耗量及び摩擦係数は,JIS Z 8401 によって有効数字 2 桁まで求める。

8.

報告  ボールオンディスク法による高温摩耗試験の結果は,次の項目について報告する。

a

)

試験片の材質(組成,結晶組織写真,室温及び試験温度における硬さ並びに破壊靭性など)

b

)

摩耗試験機の仕様(円板駆動方法,荷重機構,摩擦力検出方法,加熱方法,測温方法など)

c

)

試験条件  (温度,荷重,しゅう動円直径,円板回転速度,しゅう動速度,しゅう動距離など)

  次の項目については,個々の試験ごとに報告する。

d

)

球状試験片及び円板状試験片の試験前質量,寸法及び密度

e

)

球状試験片の摩耗体積又は,質量減少及びそれらから計算した比摩耗量

f

)

円板状試験片の摩耗体積又は質量減少及びそれらから計算した比摩耗量

g

)

試験の初期,中期及び終期における摩擦係数

h

)

試験状況及び試験後の試験片に関して特記すべき事項,特に試験温度における変質(酸化など)

備考  高温に特有の問題として、試験片に酸化等の化学反応が起きることがある。質量で測定する場

合、窒化けい素、炭化けい素では 900℃程度までは質量増加が問題になることはないと考えら

れるが、ほう化物セラミックスでは、500℃以上で無視できない質量増加が見られ、表面形状も

変化する。しかし、酸化も含めた測定も一つの「高温摩耗」評価であるという考えにより、規

格の範囲に含めることにした。この場合、ブランク試験(摩耗を行わない高温暴露試験)によ

り酸化増量を評価したことを含め、酸化反応について報告する。


6

R 1654

:2003

なお,

同一試験条件での代表値が必要であれば,

比摩耗量については 3 回以上の測定結果の算術平均を,

また,摩擦係数については試験終期の値の算術平均を用いる。