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R 1639-5

:2007

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本ファインセラミックス協会

(JFCA)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS R 1639

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS R 1639-1

  第 1 部:か粒径分布

JIS R 1639-2

  第 2 部:かさ密度

JIS R 1639-3

  第 3 部:乾燥減量

JIS R 1639-4

  第 4 部:流動度

JIS R 1639-5

  第 5 部:単一か粒圧壊強さ

JIS R 1639-6

  第 6 部:か粒体層圧縮挙動


R 1639-5

:2007

(2)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

1

4.

  試験装置

2

4.1

  原理

2

4.2

  試験装置

3

5.

  試験方法

4

5.1

  一般的事項

4

5.2

  か粒の調製

4

5.3

  試験準備

4

5.4

  試験手順

4

6.

  試験の結果

5

7.

  結果の記録

5


日本工業規格

JIS

 R

1639-5

:2007

ファインセラミックス−

か(顆)粒特性の測定方法−

第 5 部:単一か粒圧壊強さ

Test methods of properties of fine ceramic granules

Part 5 : Compressive strength of a single granule

序文  か粒は,微細な一次粒子からなる多粒子集合体であり,優れた流動特性,貯蔵・輸送・供給の容易

さなど,多くの利点をもつため,窯業,医薬品,食品など多岐にわたる粉体プロセスにおいて広く利用さ

れている。か粒のもつ諸特性のうち,圧壊強さは貯蔵・輸送・成形プロセスにおいて必要不可欠な情報で

ある。この規格は,単一か粒の圧壊強さ測定方法について客観的,かつ,容易に再現可能な測定方法を提

供し,か粒を扱う諸工業の発展に寄与することを目的として制定された。

なお,現在これに対応する国際規格は制定されていない。

1.

適用範囲  この規格は,試験か粒の球形度が 10 %以内で,ぜい(脆)性的に破壊する,数十から数百

µm のファインセラミックス球形か粒の個々のか粒圧壊強さの測定方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0155

  工業プロセス計測制御用語及び定義

JIS B 7611-1

  非自動はかり−性能要件及び試験方法−第 1 部:一般計量器

JIS B 7721

  引張・圧縮試験機−力計測系の校正・検証方法

JIS R 1600

  ファインセラミックス関連用語

JIS R 1625

  ファインセラミックスの強さデータのワイブル統計解析法

JIS R 1639-1

  ファインセラミックス−か(顆)粒特性の測定方法−第 1 部:か粒径分布

JIS Z 8710

  温度測定方法通則

JIS Z 8806

  湿度−測定方法

JIS Z 8815

  ふるい分け試験方法通則

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0155JIS R 1600 及び JIS R 1639-1 によるほか,

次による。

a)

か粒の圧壊試験力  か粒が圧壊するときの試験力。

b)

か粒の圧壊強さ  か粒の圧壊試験力から求めた圧壊強さ。

備考  ここで圧壊とは,対向集中荷重により誘起された半径方向引張り応力によって,か粒がぜい(脆)


2

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性的に破壊する現象のことであり,圧縮破壊とは異なる。

c)

球形度  か粒径測定装置によって,測定されたか粒の長軸径と短軸径との差の長軸径に対する割合。

d)

平面圧子  先端部に試験か粒より大きい径の平面部をもつ負荷用の圧子。

e)

か粒径  か粒の長軸径と短軸径の算術平均値。

4.

試験装置

4.1

原理  上部平面圧子と下部試料台間に置かれた単一か粒に,一定の増加割合で負荷を与え,このと

きの試料の変形挙動から,か粒圧壊強さを測定する。試料の変形過程での試験力及び圧縮変位を測定し,

記録する(

図 参照)。

負荷

単一か粒

平面圧子

試料台

0

試験力

圧縮変位

注(

1

)  P

0

は圧壊試験力 (N) を示す。

a)

  試験方法の概念図 

b)

  試料の変形挙動 

  1  単一か粒圧壊強さ試験の原理

直径 の中実球に一対の対向集中試験力 が作用するとき,負荷軸上では負荷軸及び垂直方向に次式で

表される引張応力が作用する。

2

πd

P

α

σ

 (1)

ここに,

σ

:  圧壊強さ (MPa)

α

:  か粒内の位置によって変化する無次元数

P

:  試験力 (N)

d

:  か粒径  (

µm)

また,

α

は中心で 2.48 であり,負荷点に近づくにつれて徐々に増大し,負荷点近傍では無限大となる。

一方,負荷軸上の半径方向応力は中心で

α

 

=−10.91 であり,同じく負荷点に近づくにつれて無限大にな

る。したがって,圧壊強さとしては中心部の

α

の値で評価するのが妥当である。

以上によって,か粒の圧壊強さは,式 (2) で定義する。

2

0

πd

P

α

σ

 (2)

ここに,

σ

:  圧壊強さ (MPa)

α

: 2.48

P

0

:  圧壊試験力 (N)

d

:  か粒径 (µm)

P

0


3

R 1639-5

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4.2

試験装置

4.2.1

試験機  試験機は,次による。

a)

試験機は,機枠,試料台,負荷装置,か粒の観察装置,か粒径測定装置,試験力―圧縮変位関係の表

示又は記録装置で構成され,平面圧子を備えていなければならない。

b)

試験機は,次の条件を満足しなければならない。

1)

振動の少ない安定性のある台上に置かれている。

2)

試料台の表面が水平である。

3)

か粒径を長さ測定に対する許容差を保証できる精度で測定できる。

か粒径測定装置の最小読み取り能力と測定長さとの許容誤差は,

表 による。

  1  測定長さの最小読み取り能力とその許容誤差

測定長さ l 40

µm 未満 40

µm 以上

最小読み取り能力 0.2

µm  0.005×  l

測定長さの許容誤差

±0.4 µm

±0.01×  l

4)

か粒を正確に圧縮するために,か粒を平面圧子の直下に移動することができる。

5)

負荷装置によって衝撃又は振動を伴うことなく,所定の試験力を所定の速度で負荷することができ

る。

6)

試験力を,次の精度で負荷することができる。

試験力の平均値と呼び試験力(設定した試験力)とのずれの許容値及びばらつきの許容値は,

2

による。ただし,試験力 2 mN 以上のときのずれ及びばらつきは,次の式 (3) 及び (4) によって

算出する。

( )

100

%

×

=

F

F

F

D

 (3)

( )

100

%

min

max

×

=

F

F

F

S

 (4)

ここに,

D

平均値の呼び試験力からのずれ

 (%)

F

試験力の平均値

F

呼び試験力

S

試験力のばらつき

 (%)

F

max

: 試験力の最大値

F

min

試験力の最小値

備考  試験力の検証は

3

回繰り返して行い,JIS B 7721 による正確さが

0.2 %

以上の力測定器,又は

JIS B 7611-1

による繰返し性が標準偏差で

1 mg

以下の電子はかりを用いてもよい。

  2  試験力の平均値と呼び試験力とのずれ及びばらつきの許容値

試験力 2

mN 未満 2

mN 以上

ずれの許容値

±0.02 mN

±1.0 %

ばらつきの許容値

±0.02 mN

±1.0 %

7

)

圧縮変位を測定することができる。

8

)

測定中の試験力について圧縮変位線図をモニタできるか又は記録することができる。

4.2.2

平面圧子  平面圧子は,次による。


4

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a

)

材質  平面圧子の先端部分は,十分硬い材料とする。

b

)

直径  平面圧子の直径は,被測定か粒径の約

2

倍が望ましい。

c

)

仕上げ  か粒に接する平面圧子の先端部分は,よく研磨された面であって,割れ又は表面のきずが認

められないものとする。

4.2.3

試料台  試料台は,次による。

a

)

表面粗さ  試料台の表面粗さは

0.05 µmRa

以下とする。

b

)

表面硬さ  試料台の表面硬さは,か粒の圧壊を妨げることのない硬さとする。か粒の硬さが分かって

いる場合は,か粒よりも硬い表面の台を使用するのが望ましい。

4.2.4

圧縮変位測定装置  圧縮変位測定装置は,次による。

a

)

圧縮変位測定装置の最小測定単位は,

0.01 µm

以下とする。

b

)

圧縮変位測定装置の測定精度は,JIS B 0155 による直線性がフルスケールの±

2 %

以下とする。

4.2.5

温度−湿度計

a

)

温度は,JIS Z 8710 による温度計で

0

50

℃を測定可能なものとする。

b

)

湿度は,JIS Z 8806 による湿度計で

0

100 %

を測定可能なものとする。

5.

試験方法

5.1

一般的事項  一般的事項は,次による。

a

)

一般的にか粒圧壊強さは,温度,湿度に大きく依存するので,比較のための測定は同じ温度−湿度で

行わなければならない。温度

23

±

2

℃,湿度

50

±

10 %

によるのがよい。試験温度,湿度は記録しな

ければならない。

b

)

か粒圧壊強さの測定は,試験力の負荷速度によって大きく変わる可能性があるため,比較のための測

定は同じ負荷速度で行わなければならない。負荷速度は

0.1 mN/s

を推奨する。負荷速度は記録しなけ

ればならない。

c

)

試験か粒の個数は

20

個とする。

5.2

か粒の調製  か粒の調製は,次による。

a

)

試験をする試料のサンプリング方法は,JIS Z 8815 の 5.(試験試料の調製と採取)による。

b

)

試料を直径約

80 mm

のシャーレに厚さ約

1 mm

に広げ,大気中に約

1

時間放置する。

c

)

決められた径のか粒を選別する。

5.3

試験準備  試験準備は,次による。

a

)

装置の電源を入れて,約

30

分間放置する。

b

)

試験するか粒径から,平面圧子の直径を決定する。

c

)

最大試験力,負荷速度を設定する。

d

)

顕微鏡のピント高さと平面圧子の先端高さとが合っていることを確認し,必要に応じて調整を行う。

e

)

試料台にアルミはく(箔)など軟らかく,かつ,顕微鏡観察の容易な試料を載せて圧縮試験を行い,

平面圧子及び試料台の接触する位置を確認し,必要に応じて調整を行う。

f

)

帯電防止のため,平面圧子に静電除去スプレーを吹き付ける。静電除去スプレーは乾燥タイプのもの

を選定する。

5.4

試験手順  試験手順は,次による。

a

)

スプーンなどで試料台に微量のか粒を載せ,エアーブローなどによって,か粒を分散させる。

b

)

か粒観察装置及び試料台位置調整装置を使用して,平面圧子の直径よりも隣接か粒との距離が離れて


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いる単一か粒を選定する。

c

)

顕微鏡で,試験か粒が最も大きく観察される位置にピントを合わせ,長軸径及び短軸径を測定する。

d

)

試験か粒の頂点にピントを合わせる。

e

)

試料台を平面圧子の直下に静かに移動させて,試験力を負荷する。測定時,装置などに振動を与えて

はならない。

f

)

試験か粒が圧壊した時点で,試験力を停止する。

g

)

試験か粒の圧壊後,か粒観察装置で圧壊後の状態を観察する。

h

)

エタノールを含ませた綿棒などで平面圧子を清掃する。

i

)

平面圧子に静電除去スプレーを吹き付ける。

j

)

b

)

から i

)

の操作を合計

20

回繰り返し行う。

6.

試験の結果  圧壊強さは,式

 (2)

を用いて求める。

なお,試験結果は

20

点の各測定データと,それらの算術平均値とする。計算値は小数点以下

3

けたまで

求め,四捨五入して

2

けたに丸める。

7.

結果の記録  試験結果には,次の事項を記入する。

a

)

この規格の番号

b

)

試験年月日

c

)

試験環境(温度,湿度)

d

)

試験試料の名称

e

)

試験条件(試験装置,試験の種類,最大圧壊試験力,圧子形状,圧子先端寸法,圧子材質,負荷速度,

試験数など)

f

)

試験か粒の長軸径,短軸径及びその平均値(全データ)

g

)

圧壊試験力:

P

0

(全データ)

h

)

圧壊試験力,か粒径から算出した圧壊強さ

i

)

全データの平均圧壊強さ,ワイブルプロット図(JIS R 1625 による。

j

)

試験力−圧縮変位線図(全結果を同一グラフ上にプロットする。

必要に応じて,次の事項を記入する。

k

)

時間−圧縮変位線図(全結果を同一グラフ上にプロットする。

l

)

か粒が圧壊するまでの試験力−圧縮変位線図の平均傾き(全データ)

m

)

か粒圧壊試験前後のか粒観察写真