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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1622-1995 

ファインセラミックス原料粒子径分布 

測定のための試料調製通則 

General rules for the sample preparation of particle size analysis 

of fine ceramic raw powder 

1. 適用範囲 この規格は,造粒されていないファインセラミックス原料の粒子径分布測定に共通する湿

式試料調製方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 8101 エタノール (99.5) (試薬) 

JIS M 8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則 

JIS R 1620 ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

(1) 分散媒 試料を分散して懸濁させる溶媒(1)又は溶液(2) 

注(1) 蒸留水,エタノールなど 

(2) ヘキサメタりん酸ナトリウム蒸留水溶液など 

(2) ロット 粒子径分布を決定しようとする,ある量のファインセラミックス原料 

3. 試料 

3.1 

試料の採取 試料は,採取に起因する誤差が生じないように,JIS M 8100規定によってロットから

採取する。 

4. 分散媒 

4.1 

分散媒の種類 分散媒の種類は,次による。 

(1) ヘキサメタりん酸ナトリウム蒸留水溶液 試料が水に不溶又は不溶とみなせる場合には,約0.01〜0.1 

wt%のヘキサメタりん酸ナトリウム蒸留水溶液を使用する。ヘキサメタりん酸ナトリウム蒸留水溶液

は,使用する日に調製するのが望ましい。 

(2) エタノール 試料が水に可溶又は反応する場合には,JIS K 8101に規定する特級エタノールを用いる。 

(3) その他の分散媒 ヘキサメタりん酸ナトリウム蒸留水溶液及びエタノールで十分な分散効果が得られ

ない場合は,ファインセラミックス製造に用いられる高分子分散剤溶液を分散媒として用いてもよい。

ただし,分散媒は次の条件を満たさなければならない。 

(a) 固体粒子や液滴を含まないこと。 

(b) 試料のぬれがよいこと。 

R 1622-1995  

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(c) 試料が溶解しないこと。 

(d) 試料が膨潤や収縮しないこと。 

(e) 試料と化学変化を起こさないこと。 

(f) 液相沈降法(3)で粒子径分布測定を行う場合には,試料と密度(4)(5)が違うこと。 

(g) 可視光を使う方法(6)で粒子径分布測定を行う場合には,試料と屈折率(5)が違うこと。 

注(3) 遠心沈降光透過法,X線透過法,ピペット法,沈降天びん(秤)法など。 

(4) 試料の粒子密度は,JIS R 1620の規定によって測定する。 

(5) ヘキサメタりん酸ナトリウム蒸留水溶液を分散媒とした場合は,同温度の蒸留水の物性値を用

いてよい。 

(6) レーザ回折散乱法,遠心沈降光透過法など。 

4.2 

分散媒選択のための分散状態評価 分散媒又は分散剤濃度選択のための分散状態評価は,次のいず

れかの方法によって行う。 

(1) ζ電位の測定 ζ電位の絶対値ができるだけ高く,60mV以上であることが望ましい。 

(2) 沈降過程の観察 沈降界面が見られないこと(付図1参照)。 

(3) 沈降たい(堆)積物の観察 できるだけち(緻)密なたい積物であること(付図2参照)。 

(4) 粒子径分布の測定 測定された粒子径分布曲線が最も微細側に存在していること。 

5. 試料の解砕 

(1) 試料が粉体状態の場合は,次の手順によって乳鉢解砕を行う。 

(a) ひょう(秤)重した試料を,乾燥した清浄な乳鉢に入れる。 

(b) 乳鉢内面全体を使い,乳棒で大半の試料が乳鉢の壁に付着するまで強い力ですりつぶす。 

(c) へらなどを用いて乳鉢の壁に付着した試料をかき落とし,乳鉢の底に集める。 

(d) (a),(b),(c)の操作を5回繰り返す(7)。 

注(7) 乳鉢による解砕によって粒子径分布測定の再現性は向上するが,チタニアなどのように乳鉢の

材質,大きさ,解砕回数(時間),個人差の影響が現れる試料もあるので注意を要する。 

6. 試料の懸濁及び分散 

6.1 

試料の懸濁 適正な濃度となるよう試料を分散媒に懸濁させる。 

なお,使用ビーカ容量と懸濁液量は,分散状態に影響を及ぼす場合があるので,記録しておく。 

6.2 

試料の分散 

(1) 試料の分散は,次のいずれかの機器によって行う。 

(a) 超音波バス 最も強い超音波効果が得られるよう超音波バス内の水量を調節し,最も超音波効果が

強いと思われる位置にビーカを置き,分散を行う。 

(b) 超音波ホモジナイザー 出力,チップサイズ,チップ位置が分散状態に影響を及ぼすので,それら

を記録する。 

なお,ステンレスチップを用いた場合は,超音波による侵食を受けて,チップ先端から微粒子が

発生し,懸濁液を汚染するため,かくはん時にマグネトスターラーに着磁させ,汚染微粒子を除去

する。 

(2) 超音波照射によって,5℃を超える著しい温度の上昇が見られる場合は,氷水浴などで冷却する。 

(3) 超音波照射時間 測定粒子径(8)が,照射時間によらず一定となるまで超音波を照射する。ただし,測

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

定粒子径が,時間とともに小さくなり続ける場合は,適切な時間で照射を止め,照射時間を記録し粒

子径分布測定を行ってもよい。 

注(8) 例えば,50%粒子径(中位径) 

7. 懸濁液の取扱い 

7.1 

濃度調製 超音波分散を行った懸濁液は,測定直前に必要に応じて使用測定装置に最適な濃度まで

同一分散媒で希釈し,測定懸濁液とする。 

7.2 

経時変化 懸濁液を放置する場合は,粗粒子の沈降や再凝集が起きないようにかくはんしておく(9)。

かくはんによっても再凝集が防げない場合には,分散剤の種類,濃度を再検討する。 

注(9) 懸濁液濃度が,約1wt%以上になると,再凝集しやすくなる。 

7.3 

分取,移替え 懸濁液又は測定懸濁液を測定セルなどの容器に移し替える場合は,粒子の沈降によ

る偏析が起きないように十分かくはんを行う。 

8. 調製条件の記録 調製条件は,詳細に記録する(記録法の一例を付表1に示す。)。 

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付図1 沈降過程 

付図2 沈降たい積物 

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付表1 調製条件記録法の一例 

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ファインセラミックス原料粒子径分布測定のための試料調整通則原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 椿   淳一郎 

名古屋大学 

○ 山 本 英 夫 

創価大学 

○ 西 条   豊 

株式会社堀場製作所 

○ 竹 内   和 

株式会社島津製作所 

○ 大 角 道 夫 

株式会社セイシン企業 

○ 田 中 大 介 

日新製粉株式会社 

○ 松 尾 康 史 

日本特殊陶業株式会社 

○ 依 田 晴 行 

株式会社村田製作所 

○ 内 藤 牧 男 

財団法人ファインセラミックスセンター 

小 林 禧 夫 

埼玉大学 

加賀田 博 司 

松下電器産業株式会社 

田 村   博 

株式会社村田製作所 

三 浦 太 郎 

TDK株式会社 

中 山   明 

京セラ株式会社 

鵜 澤 幸 一 

住友金属鉱山株式会社 

○ 平 野 正 樹 

通商産業省生活産業局 

○ 岡 林 哲 夫 

工業技術院標準部 

○ 加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

○ 菅 野 隆 志 

ファインセラミックス国際標準化推進協議会 

○ 卯 木   稔 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

(事務局) 

○ 杉 本 克 晶 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

備考 ○印は小委員会委員 

文責 原案作成小委員会