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Q 9005

:2014

(1)

目  次

ページ

序文

1

0.1

  一般

1

0.2

  この規格と JIS Q 9001JIS Q 9004 との関係

1

0.3

  他のマネジメントシステムとの両立性

1

1

  適用範囲

2

2

  引用規格

2

3

  用語及び定義

2

4

  持続的成功のための品質マネジメントの基礎概念

4

4.1

  持続的成功

4

4.2

  顧客価値提供における成功

4

4.3

  変化への対応

4

4.4

  持続的成功のための品質マネジメントシステムモデル

5

4.5

  品質マネジメントの原則

5

5

  品質マネジメントシステムの企画

8

5.1

  一般

8

5.2

  企画におけるトップマネジメントのリーダシップ

8

5.3

  提供する顧客価値の明確化

8

5.4

  もつべき能力及びい(活)かすことができる特徴の特定

9

5.5

  品質マネジメントシステムの設計

9

5.6

  品質マネジメントシステムに対する要求事項の明確化

9

6

  品質マネジメントシステムの構築及び運用

10

6.1

  品質マネジメントシステムの構築

10

6.2

  品質マネジメントシステムの運用

11

7

  経営資源の運用管理

13

7.1

  一般

13

7.2

  組織の人々

13

7.3

  パートナ

14

7.4

  知的資源

15

7.5

  インフラストラクチャー

16

7.6

  業務環境

16

7.7

  財務資源

16

8

  製品・サービス実現

17

8.1

  一般

17

8.2

  マーケティング

17

8.3

  研究開発

17


Q 9005

:2014  目次

(2)

ページ

8.4

  製品・サービスの企画

18

8.5

  設計・開発

19

8.6

  購買

21

8.7

  製造及びサービス提供

22

8.8

  製品・サービスの検査及び試験

23

8.9

  製品・サービスの販売

24

8.10

  製品・サービスの引渡し及び引渡し後の顧客サポート

25

9

  監視,測定及び分析

25

9.1

  一般

25

9.2

  製品・サービス及びプロセスの監視,測定及び分析

26

9.3

  顧客及びその他の利害関係者の認識の監視,測定及び分析

26

9.4

  事業環境の変化及びパフォーマンスの監視,測定及び分析

26

10

  品質マネジメントシステムの改善

26

10.1

  改善

26

10.2

  内部監査

27

10.3

  トップマネジメントによる有効性レビュー

27

11

  品質マネジメントシステムの革新

28

11.1

  革新

28

11.2

  自己評価

28

11.3

  トップマネジメントによる戦略的レビュー

29

附属書 A(参考)この規格で用いる重要用語の概念

30

附属書 B(参考)品質マネジメント原則の比較

34

附属書 C(参考)重要品質マネジメントシステム要素,並びにそれが具備する必要のある属性,

    性質及び状態の例

37

附属書 D(参考)監視,測定及び分析,並びにその結果の考慮事項

39

附属書 E(参考)自己評価

43


Q 9005

:2014

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人日本

規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS Q 9005:2005 は改

正され,この規格に置き換えられ,また,JIS Q 9006:2005 は廃止され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 Q

9005

:2014

品質マネジメントシステム−持続的成功の指針

Quality management systems-Guidelines for sustained success

序文

0.1

一般

組織がその使命を果たし,競争優位を維持して持続的成功を実現するためには,組織の提供する製品・

サービスの価値が顧客及びその他の利害関係者に満足を与えることによって,組織の存在意義を高めるこ

とが不可欠である。

そのために,組織は,効果的かつ効率的に組織の総合的なパフォーマンスを継続的に改善し,顧客及び

その他の利害関係者のニーズ及び期待に応えて,高い顧客価値を創造していくことが必要である。また,

高い顧客価値を創造し続けるためには,組織は市場のニーズの多様化,技術革新など組織を取り巻く事業

環境の変化を迅速に察知し,対応することが必要である。

この規格は,変容する事業環境に組織が俊敏に適応するための品質マネジメントシステムのモデルを提

供する。

0.2

この規格と JIS Q 9001JIS Q 9004 との関係

JIS Q 9001:2008

は,製品・サービスを提供するための品質マネジメントシステムのモデルを提供してい

る。組織は,JIS Q 9001:2008 を活用し,現状の事業の枠組みの中で,顧客満足に焦点を合わせた品質マネ

ジメントを推進することができる。

JIS Q 9004:2010

は,品質マネジメントアプローチによる持続的成功の達成のための指針を提供している。

この指針は,JIS Q 9001:2008 よりも広く高いレベルの品質マネジメントシステムに焦点を当てており,全

ての該当する利害関係者のニーズ及び期待を満たし,組織の全体的なパフォーマンスを体系的かつ継続的

に改善するのに役立つ。

これに対し,この規格は,変化する事業環境における持続的成功のための指針という性格は JIS Q 

9004:2010

と同じであるが,変化への俊敏な対応において重要となる,もつべき能力を自ら認識し,品質

マネジメントシステムに実装するというモデルを提示している点で異なる。すなわち,この規格は,顧客

への価値提供,事業環境の変化への対応,及びもつべき能力の実装に焦点を当て,品質マネジメントシス

テムを設計し,構築し,運用するための手順を示し,品質マネジメントシステムの各プロセス及びその運

用についての具体的な指針を提示している。また,事業環境の変化を把握して革新の必要性を判断するた

めに,自己評価及び戦略的レビューを推奨しており,持続的成功とは何か,そのためにどうあらねばなら

ないか,何をしなければならないかについての指針を提供している。

なお,

この規格は JIS Q 9004:2010 よりも一歩進んだ自己評価に資する JIS Q 9006:2005 を改めて見直し,

新たにこの規格の

附属書 として統合した。

0.3

他のマネジメントシステムとの両立性

この規格は,環境マネジメントシステム,労働安全衛生マネジメントシステム,情報セキュリティマネ


2

Q 9005

:2014

ジメントシステムなどの他のマネジメントシステムに固有な指針は含んでいない。しかし,組織が既存の

関連するマネジメントシステムを構築し,運用している場合でも,この規格の要素を取り込み,よりふさ

わしいマネジメントシステムを構築し,運用することができるようにも考慮されている。また,既存のマ

ネジメントシステムとは別に,この規格に基づいた品質マネジメントシステムを構築し,運用することも

できるように考慮されている。

1

適用範囲

この規格は,組織が顧客価値提供に焦点を当てた事業運営,事業環境の変化への的確な対応及びもつべ

き能力を実装したマネジメントシステムの構築・運用に焦点を当てた持続的成功を実現するための品質マ

ネジメントシステムについての指針を示す。

この規格は,業種,形態,規模又は提供する製品・サービスにかかわらず,持続的成功を実現すること

を目指す全ての組織に適用することができる。

組織は,この規格の規定事項のいずれかに焦点を合わせ,優先順位を付け又は適用する必要がない場合

には除外して,自らにふさわしい品質マネジメントシステムを構築することができる。

この規格は,認証,規制又は契約に用いることを意図していない。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Q 9000

  品質マネジメントシステム−基本及び用語

注記  対応国際規格:ISO 9000,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary(IDT)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 9000 によるほか,次による。

注記  “顧客価値”,“事業環境分析”,“事業シナリオ”,“組織能力像”及び“品質マネジメントシス

テムの設計”の概念を,

附属書 に示す。

3.1

品質(quality)

ニーズ又は期待を満たす能力に関する特性の全体。

注記 1  この定義は,ISO 8402:1994 と基本的には同じである。

注記 2  JIS Q 9000 の品質の定義とは,次の点で異なる。

−  JIS Q 9000 では,本来備わっている特性としているのに対し,この規格では,本来備わ

っているかどうかにかかわらず,ニーズ又は期待を満たす能力に関する特性の全体とし

ており,価格など付与された特性も品質に含まれる。

−  JIS Q 9000 では,要求事項を満たす程度としているのに対し,この規格ではニーズ又は

期待とした。これによって,品質に関する考慮事項には,要求事項と認識されていない

ニーズ又は期待が含まれることになる。

注記 3  組織の存在理由は,製品・サービスを通じて顧客に価値を提供することにある。この規格は,

提供された価値に対する顧客の評価としての品質に焦点を当てている。


3

Q 9005

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3.2

品質マネジメントシステム(quality management system)

品質(3.1)に関して組織を指揮し,運営管理するためのマネジメントシステム。

注記  この規格における品質とは,3.1 で定義されるものであり JIS Q 9000 の定義とは異なる。

3.3

顧客価値(customer value)

製品・サービスを通して,顧客が認識する価値。

注記  “顧客が認識する価値”には,現在は認識されていなくても,将来認識される可能性がある価

値も含まれる。

3.4

組織能力像(organizational profile)

競争優位であるために組織がもつべき能力の全体像。

3.5

特徴(features)

能力の源泉となり得る属性及び性質。

注記 1  特徴には,地理,規模,男女比率,外国人比率,歴史などの物理的特徴に加え,行動基準,

行動原理,価値基準,価値観などの組織風土もある。

注記 2  組織風土の例:  風通しのよい組織,柔軟性のある組織,多種多様な価値観を許容する組織,

愚直で誠実な従業員など。

3.6

事業シナリオ(business scenario)

組織の能力及び特徴を基に,組織がその競争優位を確保するために構想した筋書き。

注記  事業シナリオの考察には,市場の特定,目指す顧客価値,中長期の目標,保有している組織の

能力及び特徴,事業成功に関わる要因,組織能力像,重点化した品質マネジメントシステム要

素などの考慮が必要となることがある。

3.7

事業環境(business environment)

組織が提供する顧客価値(3.3)そのもの,その実現及び提供プロセスに影響を与える可能性がある全て

の外的要因。

注記  外的要因には,全ての利害関係者のほか,競合組織,技術動向,政治・経済情勢,社会情勢な

ども含まれる。

3.8

品質方針(quality policy)

トップマネジメントによって正式に表明された,品質(3.1)に関する組織の全体的な意図及び方向付け。

注記  品質方針は,組織が特定した事業シナリオと整合しており,品質目標を設定するための枠組み

を提供する。

3.9

パートナ(partner)

顧客価値(3.3)の創造及び提供において必要なものを支援及び提供する外部の組織。

注記 1  必要なものには,製品・サービス,プロセス,知識,情報,技術,資本などがある。


4

Q 9005

:2014

注記 2  供給者,業界団体,事業提携者,事業委託業者,流通業者,販売業者,保守サービス業者な

どがパートナになり得る。

4

持続的成功のための品質マネジメントの基礎概念

4.1

持続的成功

どのような組織も,社会的に意味のある価値を提供するために設立され,運営される。そのため,組織

には,価値提供における存在意義が認知されている証として,

“持続的成功”が望まれる。ここで“成功”

とは,価値提供において顧客及びその他の利害関係者に受け入れられることを,また“持続的”とは,事

業環境の変化に対応し続けていることを意味する。

組織の持続的成功のために,次の事項を考慮することが望ましい。

−  顧客価値提供に焦点を当てた事業運営

−  事業環境の変化への的確な対応

−  もつべき能力の埋め込まれたマネジメントシステムの設計・構築・運用

4.2

顧客価値提供における成功

事業における成功の基盤は,組織が製品・サービスを通して提供した価値が,顧客及びその他の利害関

係者に受け入れられることである。そのための最も有力な方法は,製品・サービスを通して提供した価値

に対する顧客の評価に焦点を当てる品質マネジメントの概念及び方法論の適用である。

組織は,顧客価値提供における成功のために,次の事項を考慮することが望ましい。

−  製品・サービスを通して顧客に提供する価値を明確にする。

−  顧客価値提供のために組織がもつべき能力及びい(活)かすことができる特徴を明確にする。

−  明確にした能力及び特徴を考慮し,提供価値に対する顧客の評価に関わる競争優位の視点から組織能

力像を明確にする。

−  明確にした組織能力像を,品質マネジメントシステムに実装する。

4.3

変化への対応

組織は,どのような事業環境の変化にあっても,持続的成功を確実なものとするために,変化への対応

能力をもつことが望ましい。

変化への適時かつ的確な対応のために,次の事項を考慮することが望ましい。

−  事業環境の認識:  変化の様相及びその意味を理解する。

−  もつべき能力の認識:  変化した事業環境において,組織がもつべき能力を認識する。その際には,

特に競争優位になり得る特徴を考慮することが重要である。

−  革新:  組織がもつべき能力を具現化するために,既存の枠組みの一部又は全てを否定し新しい枠組

みを生み出すことによって,自己を革新する。

変化への対応を確実にするために,組織には,学習能力を基盤とする革新の能力が必要となる。組織が

もつべき学習能力として,次の二つの側面が重要である。

a)

組織の学習能力:  事業環境を含む外部情報に対する,組織の情報収集能力,分析能力及び洞察力を

含む学習能力

b)

個人の能力と組織の能力とを融合する能力:  組織を構成する個々人の知識及び思考形態・行動様式

と,組織の価値観とを,融合する能力


5

Q 9005

:2014

組織は,革新の能力を実装する品質マネジメントシステム要素を明らかにし,顧客価値提供において持

続的に成功できるような品質マネジメントシステムを設計することが望ましい。

4.4

持続的成功のための品質マネジメントシステムモデル

組織は,持続的成功のために組織がもつべき能力を実装した品質マネジメントシステムを設計し,構築

し,運用することが望ましい。そのために,組織は,持続的成功を実現するために必要な,提供する顧客

価値,顧客価値提供のためにもつべき能力及びその能力を具現化する品質マネジメントシステムという関

係を理解したうえで,持続的成功のための品質マネジメントシステムを設計し(箇条 参照)

,その設計

に基づいて品質マネジメントシステムを構築し,運用できるように整える(箇条 参照)ことが望ましい。

さらに,変化への対応を確実なものにするためには,組織及び個人の学習能力の向上とともに,改善及

び革新を組織的に実施できるような品質マネジメントシステムの設計が必要である。

そのために,

組織は,

内部監査,有効性レビュー,自己評価及び戦略的レビューの意義を理解し実装することが望ましい。

この規格は,これらを考慮した持続的成功を実現する品質マネジメントシステムの一つのモデルを示し

ており,このモデル及びモデルを構成する各プロセスの関係を

図 に示す。

図 1−持続的成功のための品質マネジメントシステム(QMS)モデル

4.5

品質マネジメントの原則

持続的成功を実現するため,次の品質マネジメントの原則(Quality Management Principles)を適用する

ことが望ましい。

a)

顧客価値創造(customer value creation)  組織設立の第一義的な目的は製品・サービスを通して顧客に

価値を提供することにあると認識し,顧客に提供する価値を高め,また,創造する。

組織は,その製品・サービスを通して顧客に価値を提供するために設立され,運営される。顧客が

受け取った価値に対する顧客の評価を中心に位置づける事業運営こそが,組織の持続的成功をもたら


6

Q 9005

:2014

す。

b)

社会的価値重視(social value focus)  製品・サービス及びその提供に関わる活動を通して,組織が社

会に与える影響に対する顧客及びその他の利害関係者の認識を重視する。

組織は,製品・サービスを通した顧客への価値提供に加え,その他の利害関係者から,組織の社会

的存在価値に対する認知及び高い評価を受けることによって,持続的成功を実現できる。

c)

ビジョナリーリーダシップ(visionary leadership)  ビジョンを示し,これを実現するための明確な方

針を定め,組織の人々を指揮し,組織を適切な方向に導くようなリーダシップを発揮する。

事業環境の変化に迅速かつ的確に対応するためには,将来目指す方向及びそのために必要な行動を

明示し,組織を適切な方向に導くトップマネジメントを始め,組織の適切な人々によるリーダシップ

が必要である。

d)

コアコンピタンスの認識(understanding core competence)  持続的成功の源泉となる,組織がもつべき

中核能力を認識し,競争優位を維持する。

事業環境の変化に迅速かつ的確に対応するためには,変化した環境において組織がもつべき,競争

優位の視点での中核能力を自覚し,現実にその能力を保有する必要がある。

e)

成長志向(enhancing)  変化を機会であるととらえ,組織の能力を継続的に改善及び革新することの

重要性を認識し,この認識に基づいた行動を促進する。

変化する事業環境にあって,組織が顧客価値提供において持続的に成功するためには,組織の成長

を重視する組織文化及び価値観を維持し,学習能力,自律性,及び俊敏性を基礎とする改善及び革新

を積極的に促進する必要がある。

f)

システム思考(systems thinking)  考慮の対象が互いに関連する多くの要素から構成され,全体として

目的を考えることができるものととらえ,その最適化を合理的に図る思考様式を維持する。

適切に機能する品質マネジメントシステムを構築するためには,組織の品質マネジメントシステム

を,全体として目的をもち,一連のプロセスから構成されるシステムととらえ,全体と要素との関係

及び要素間の関係を考慮し,重点志向の考え方で全体最適を図るように設計,構築,運用,改善及び

革新することが重要である。

g)

プロセスアプローチ(process approach)  望む結果を得るために,一連の活動及び関連する経営資源を

用いて,インプットをアウトプットに変換するプロセスととらえて運営管理することによって,効果

的かつ効率的に目的を達成する。

品質マネジメントシステムを構成する各プロセスについて,そのプロセスを構成するインプット,

アウトプット,活動,経営資源及び測定・制御を明確にし,アウトプットに影響を与える要因を特定

して一連の活動及び経営資源を管理することによって,効果的かつ効率的な運営を行うことができる。

h)

科学的アプローチ(scientific approach to management) 考慮の対象に対して,事実及び論理性を重視し,

目的を達成するために再現可能な方法を採用する。

組織の運営管理において,目的の認識,目的達成のための合理的な手段の明確化,因果関係及び事

象の本質の理解のために,論理的,体系的かつ実証的に目的を達成することが重要である。

i)

ひと中心マネジメント(people centered management)  人を尊重し,人の特徴を踏まえた,全ての人々

の積極的な参加を促す運営管理を行う。

組織のパフォーマンスは,最終的には人で決まる。人は,物理的に消費されることなくむしろ能力

向上の可能な,特別な経営資源である。組織運営における人の重要性及び特殊性を認識し,効果的か

つ効率的に組織を運営するために,組織を構成する全ての人々の参画を得て,人々の知識,技能及び


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Q 9005

:2014

意欲の向上に意を注ぎ,人間性を尊重し,個と組織の双方に便益のある関係に腐心し,更に人の弱さ

の克服,許容,及び補完に意を注ぐ運営管理を行うことが重要である。

j)

パートナとの協働(collaboration with partners)  パートナと協働し,最適な知識,技術,技能などを得

て,顧客価値を創造し,顧客満足を得る。

いかなる組織も,自身だけでは顧客に満足を与える価値提供はできない。顧客価値提供に必要な供

給ネットワーク(supply network)の全貌を理解し,このネットワークにおいてパートナとの良好な関

係を維持することによって初めて,持続的成功を実現することができる。

これら 10 の原則の間の関係を

図 に示す。すなわち,10 の原則は,品質マネジメントの目的に関する

原理,及び目的達成のための行動原理からなる。品質マネジメントの目的は製品・サービスを通した価値

提供にあり,

a)  顧客価値創造”及び“b)  社会的価値重視”という理念が重要である。この目的を達成す

るための運営に関わる行動原理として,

f)  システム思考”

g)  プロセスアプローチ”

,及び“h)  科学的

アプローチ”が基本である。また,この運営のための経営資源に関わる重要な行動原理として,

i)  ひと

中心マネジメント”及び“j)  パートナとの協働”がある。

さらに,これら運営及び経営資源に対する“c)  ビジョナリーリーダシップ”が重要である。これらリー

ダシップ,運営,及び経営資源を支える重要な行動原理として,

d)  コアコンピタンスの認識”及び“e)  成

長志向”がある。

価値

a) 顧客価値創造

b) 社会的価値重視

自我の確立

d) コアコンピタンスの認識

リーダシップ

c) ビジョナリー

リーダシップ

運営 f) システム思考

g) プロセスアプローチ

h) 科学的アプローチ

組織文化

e) 成長志向

経営資源

i) ひと中心マネジメント

j) パートナとの協働

目的原理

行動原理

図 2−品質マネジメントの原則の関係

注記  この規格における品質マネジメントの 10 原則と,ISO/TC176 が作成する品質マネジメント原

則との比較については,

附属書 を参照。


8

Q 9005

:2014

5

品質マネジメントシステムの企画

5.1

一般

組織は,事業環境の変化に対応して,持続的成功を実現し維持するために必要となる品質マネジメント

システムを明らかにすることが望ましい。その際には,次の事項を考慮することが望ましい。

a)

品質マネジメントシステムによって組織が提供する顧客価値を明確にする。

b)

顧客価値提供において活用することができる能力,組織がもつべき能力及びい(活)かすことができ

る特徴を特定する。

c)

特定した能力を確実に発揮するために必要な品質マネジメントシステムを設計する。

d)

品質マネジメントシステムを実行可能な状況にするために必要不可欠な要求事項を明確にする。

上記の一連の活動は,自己評価及び戦略的レビューの結果,並びに事業環境の変化に対応して,適切に

実施することが望ましい。

5.2

企画におけるトップマネジメントのリーダシップ

トップマネジメントは,持続的成功の達成に必要な品質マネジメントシステムの企画,その有効性の継

続的な監視・測定及び必要に応じた品質マネジメントシステムの改善・革新において,次の活動を含み,

リーダシップを発揮することが望ましい。

a)

法令・規制要求事項を満たすことは当然のこととして,製品・サービスを通じて提供する顧客価値を

明確にし,それを満たすことを確実にする。

b)

組織の社会的役割を明確にし,利害関係者のニーズ及び期待に応えることを確実にする。

c)

顧客価値提供,並びに利害関係者のニーズ及び期待に応える手段として,品質マネジメントシステム

の企画を率先する。

d)

企画した品質マネジメントシステムの継続的な有効性を監視・測定し,必要に応じて確実に改善・革

新を行う。

5.3

提供する顧客価値の明確化

組織は,事業において対象とする顧客及び製品・サービスを通じてその顧客に提供する顧客価値を明確

にすることが望ましい。

顧客価値の明確化に当たっては,過去の成功事例・失敗事例,対象とする事業環境及びその将来動向な

どの事実データを用いて,次の手順で行うことが望ましい。

a)

パートナ,組織及び顧客を含めた一連の供給ネットワークを構成する各関係者で創造される価値及び

その流れを把握するために,対象とする事業において,製品・サービスの提供に関わる全ての関係す

る組織並びにその間の情報及びものの流れを明確にする。

b)

対象とする事業において,組織にとっての顧客及び競合組織を明確にし,その事業環境下における具

体的な競争条件及び状況を把握する。

c)

当該競争条件及び状況下において,将来にわたって顧客の購買を促す決定的な顧客価値を明確にする。

顧客価値の特定の際には,次の事項を考慮することが望ましい。

−  顧客価値とは,顧客が認識する価値であり,提供組織側ではなく顧客の立場から提供する製品・サー

ビスの効用を認識する。

−  顧客とは,製品・サービスの購買に関わる全ての関係者であり,使用者,購買者及びそれらに影響を

与える第三者も含めて広くとらえる。


9

Q 9005

:2014

−  顕在化したニーズだけでなく,顧客自身も気づいていない潜在的なニーズも検討対象にする。

−  競合組織は,同一業界・業種だけでなく,同一の顧客価値を提供する他業界・業種の組織も検討対象

にする。

5.4

もつべき能力及びい(活)かすことができる特徴の特定

組織は,顧客価値提供を通じた持続的成功を実現するために,組織がもつべき能力及びい(活)かすこ

とができる特徴を特定することが望ましい。

特定に当たっては,次の事項を実施することが望ましい。

a)

顧客価値提供に重要となる能力を把握する。

b)

把握した能力のうち,競争優位の獲得,維持及び向上に重要となり得る能力を特定する。

c)

b)

で特定した能力のうち,組織が現在もっている能力及び特徴をい(活)かして獲得できる能力を認

識する。

d)

当該事業において,組織がどのような能力及び特徴を発揮して,どのような顧客価値を提供して事業

を営んできたかについての,現行の事業シナリオを認識する。

e)

顧客,組織,競合組織及びその競争状況,技術動向,パートナとの関係,経済状況などの,当該事業

を取り巻く環境変化を把握する。

f)

将来の事業環境下において,成功し得る複数の事業シナリオの候補を想定する。

g)

組織の能力及び特徴,並びに競合組織の動向を考慮し,持続的成功の実現のために採用する事業シナ

リオを選択し,組織が獲得,強化,維持する能力及びい(活)かすことができる特徴を決定する。

h)

採用した事業シナリオにおいて組織がもつべき能力の全体像を,組織能力像として明確にする。

i)

明確化した組織能力像が有効であり続けているかどうかを把握する手段を定め,対応が必要な場合の

対処方法を事前に検討する。

5.5

品質マネジメントシステムの設計

組織は,事業シナリオ達成のためにもつべき能力の全体像である組織能力像を発揮するために必要とな

る,品質マネジメントシステムを設計することが望ましい。

このために,組織は,次の事項を実施することが望ましい。

a)

組織能力像を十分かつ確実に発揮させる手段として,組織が重要視する品質マネジメントシステムの

要素(以下,重要品質マネジメントシステム要素という。

)を特定する。

b)

特定した重要品質マネジメントシステム要素が具備する必要のある属性,性質及び状態を明確にする。

c)

明確にした重要品質マネジメントシステム要素の属性,性質及び状態を踏まえて,個々の品質マネジ

メントシステム要素間の相互関係を決定する。

上記 a)∼c)に加え,変化への対応を可能とするための学習能力を具現化する品質マネジメントシステム

要素を明らかにする。

注記  重要品質マネジメントシステム要素,並びにそれが具備する必要のある属性,性質及び状態の

例を

附属書 に示す。

5.6

品質マネジメントシステムに対する要求事項の明確化

5.6.1

品質マネジメントシステムの運用に必要なプロセスの特定

組織は,重要品質マネジメントシステム要素[5.5 a)参照]を網羅し,品質マネジメントシステムの目的

5.1 参照)を達成するために必要となるプロセスを次の手順で特定することが望ましい。

a)

品質マネジメントシステムを構成するプロセスの全貌(箇条 6∼箇条 11 参照)を理解する。


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Q 9005

:2014

b)

重要品質マネジメントシステム要素,並びにそれらが具備する必要のある属性,性質及び状態を実現

するために,これらを実装する必要のあるプロセスを把握する。

c)

全てのプロセスのインプット及びアウトプットを明確にする。

d)

プロセス間の順序及び相互関係を明確にする。

e)

重要品質マネジメントシステム要素を実装する必要のあるプロセスの重要な活動を特定する。

f)

これらのプロセスの運営管理が効果的かつ効率的であることを確実にするために必要な判断基準及び

方法を明確にする。

5.6.2

品質マネジメントシステムの運用基盤に対する基本方針の明確化

組織は,特定した品質マネジメントシステムの各プロセスの効果的かつ効率的な運用を実現するために

必要となる,次の事項に関する基本方針を明確にすることが望ましい。

−  組織体制:  5.6.1 で明確にしたプロセスと,組織構造及び組織運営との関係(6.1.2 参照)

−  経営資源:  必要な資源の特定及びその利用を可能にする方法(6.1.4 参照)

6

品質マネジメントシステムの構築及び運用

6.1

品質マネジメントシステムの構築

トップマネジメントは,設計した品質マネジメントシステムに対する要求事項(5.6 参照)に基づき,品

質マネジメントシステムの可視化及び共有,組織体制,管理責任者の任命,経営資源の確保,並びに学習

の基盤の確立によって,品質マネジメントシステムの構築を確実にすることが望ましい。

6.1.1

品質マネジメントシステムの可視化及び共有

組織は,品質マネジメントシステムの効果的かつ効率的な運営管理のため,並びに改善及び革新を確実

に行うために,次の事項を考慮して,設計した品質マネジメントシステムの全体像を示す可視化を行い,

組織内で適切に共有できるようにし,その上で品質マネジメントシステムの構築をすることが望ましい。

−  組織を取り巻く事業環境,その構造,並びにそこに含まれる利害関係者及び顧客価値(5.3 参照)

−  採用した事業シナリオ,並びにその根拠となった事業環境変化の分析,顧客価値及び組織能力像(5.4

参照)

−  重要となる組織の能力,並びにその能力を発揮するために必要な品質マネジメントシステム要素,プ

ロセス及びそれらの相互関係(5.5 及び 5.6 参照)

注記  この可視化の結果は,組織の品質マネジメントシステムを記述する文書の重要なインプットと

なり得る。

6.1.2

組織体制

トップマネジメントは,設計した品質マネジメントシステムを組織で運営管理するために,明確にした

組織体制の基本方針(5.6.2 参照)に基づき,品質マネジメントシステムの各プロセスについての実施及び

管理責任のある部門・部署・職位を明確にし,文書化することが望ましい。また,より効果的な運営管理

のために,次の事項を考慮し,必要に応じて組織体制及び構造を見直し,より適切な体制とすることが望

ましい。

−  品質マネジメントシステムの有効性及び効率

−  品質マネジメントシステムの部門横断的な推進

−  学習,改善及び革新を考慮した,組織体制の柔軟性

6.1.3

管理責任者の任命

トップマネジメントは,

設計した品質マネジメントシステムを効果的かつ効率的に運営管理するために,


11

Q 9005

:2014

組織の品質マネジメントシステムを代表する管理責任者を任命し,次に示す責任及び権限を割り当てるこ

とが望ましい。

−  品質マネジメントシステムの確立,実施及び維持を確かなものとする。

−  顧客及びその他の利害関係者に対して,組織の品質マネジメントシステムの有効性に関する信頼感を

与える。

注記  品質マネジメントシステムの有効性に関する信頼感を与えるためには,品質マネジメントシ

ステムの有効性に関する証拠をもって示し,顧客及びその他の利害関係者の要請に応じ,的

確に対応することを含む。

−  品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善又は革新の必要性について,トップマネジメン

トに報告する。

−  顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待を満たし,それらの満足及び信頼を得ることの重要性

に関わる組織内のコミュニケーションを確立する。

6.1.4

経営資源の確保

トップマネジメントは,組織能力像に基づく品質マネジメントシステムを効果的かつ効率的に実施し,

維持するため,並びに継続的な改善及び革新を行うために,明確にした投入経営資源への基本方針(5.6.2

参照)に基づき,次の経営資源の確保を確実にすることが望ましい。

−  組織の人々(7.2 参照)

−  パートナ(7.3 参照)

−  知的資源(7.4 参照)

−  インフラストラクチャー(7.5 参照)

−  業務環境(7.6 参照)

−  財務資源(7.7 参照)

6.1.5

学習の基盤

トップマネジメントは,次の目的に必要となる経営資源,組織体制,プロセス,手法及びツールを提供

し,学習の風土及び基盤を確立し,継続的な改善及び革新を確実にすることが望ましい(6.2.4 参照)

a)

組織として,事業環境及びその変化を積極的に認知し,俊敏に対応する。

b)

獲得できた知識及び思考形態・行動様式を組織の能力として融合し,品質マネジメントシステムの運

用において効果的に活用する。

6.2

品質マネジメントシステムの運用

6.2.1

品質方針

トップマネジメントは,品質マネジメントシステムの実施,維持,並びに継続的な改善及び革新のため

に品質方針を策定し,実施し,維持することを確実にすることが望ましい。品質方針については,次の事

項を確実にすることが望ましい。

a)

顧客価値,事業シナリオ,組織能力像,事業環境変化の分析及び組織の社会的責任に対して適切であ

る。

b)

品質マネジメントシステムの継続的改善及び革新に対するコミットメントを含む。

c)

各部門及び階層における明確な目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。

d)

組織全体に伝達され,理解され,行動へ展開される。

e)

妥当性の維持のためにレビューする。

f)

トップマネジメント自ら,品質方針に沿った行動を率先垂範する。


12

Q 9005

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6.2.2

品質方針の展開

組織は,品質方針の組織全体への展開に当たって,次の事項を確実にすることが望ましい。

a)

組織全体の品質方針を部門及び階層に展開し,展開された各部門及び各階層で実現する必要のある課

題を明らかにする。

b)

課題ごとに達成目標及びその評価基準を定める。

c)

各課題を実現するための手段を明確にする。

d)

必要な経営資源を確保する。

e)

b)

d)を反映した実施計画を策定する。

6.2.3

コミュニケーション

組織は,品質マネジメントシステムの実施,維持,並びに継続的な改善及び革新のための,また,説明

責任を果たすための,組織内外におけるコミュニケーションのプロセスを次の事項を考慮して確立するこ

とが望ましい。

−  顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の変化,並びに競合組織の変化を含む事業環境の変化

を迅速に察知し,組織の適切な人々に周知する。

−  組織の人々からのフィードバック及びコミュニケーションを積極的に活用し,組織の人々の直接の参

画を促す。

−  品質マネジメントシステムのパフォーマンスの改善及び革新に関わる情報を組織の人々に周知する。

−  顧客及びその他の利害関係者に対する情報発信を行う。

6.2.4

学習の醸成

組織は,改善及び革新を実現するために,学習及びそのための風土を醸成するための環境,体制及び手

法を提供することが望ましい。

個人の学習を促進するために,次の事項を考慮し,環境,体制及び手法を提供する。

−  組織が既に獲得している知識の標準化及び周知

−  顧客との共体験を含む,協働及び共体験

−  技術,市場構造,事業環境,競争優位性などの変化の把握

−  成功・失敗事例の分析及びその結果としての体験の共有

−  個人の内省的思考の促進

−  失敗をおそれない姿勢並びに積極的な試みに対する認知及び成果への報奨

−  洞察力,分析力及び情報収集力の向上

組織の学習として,知識の形式化,集積及び共有,並びに新たな知識及び思考形態・行動様式を組織の

能力にするために,次の事項を考慮し,環境,体制及び手法を提供する。

−  異質及び多様性の許容,並びに個人の能力の尊重

−  異なる考え及び視点の建設的なぶつかり合い

−  個人間における肯定的な関わり合いの促進

−  組織内及び組織内外の境界を越えた対話の場,並びに集団としての思考の促進

−  客観的かつ分析的な思考に基づく合意形成

−  知識及び思考形態・行動様式の形式化及び可視化

−  他組織の成功事例の調査及び成功要因の分析

−  他組織の成功要因の理解に基づく組織への適用


13

Q 9005

:2014

学習を促進する環境,

体制及び手法を提供するに当たって,

情報技術の活用を考慮することが望ましい。

6.2.5

品質マネジメントシステムの文書化,並びに文書及び記録の管理

組織は,品質マネジメントシステムを文書化するとともに,文書を効果的かつ効率的に作成し,活用で

きるように,次の事項を考慮して管理することが望ましい。

−  効率を考慮し,組織の規模,業務の内容・複雑さ,活動の種類及び組織の人々の力量に応じた,適切

なものとする。

−  情報技術の進展に応じて,目的に合った媒体,入手方法及びインタフェースを活用する。

組織は,知的資源のインプットとなるデータ・情報を含む,品質マネジメントシステムの運用の結果の

記録を作成し,維持するプロセスを確立することが望ましい。記録は,読みやすく,容易に識別可能かつ

検索可能とし,記録の識別,保管,保護,検索,保管期間及び廃棄に関して必要なプロセスを確立し,実

施することが望ましい。

6.2.6

品質マネジメントシステムの改善

組織は,

明確にした顧客価値及び組織能力像に対する,

品質マネジメントシステムの有効性及び効率を,

是正処置及び予防処置,内部監査,並びにトップマネジメントによる有効性レビューを通じて継続的に改

善することが望ましい(箇条 10 参照)

6.2.7

品質マネジメントシステムの革新

組織は,明確にした事業シナリオ及び組織能力像の革新の必要性を,自己評価及びトップマネジメント

による戦略的レビューを通じて判断し,必要な場合は,新たな事業シナリオ及び組織能力像を作成し,品

質マネジメントシステムを革新することが望ましい(箇条 11 参照)

7

経営資源の運用管理

7.1

一般

トップマネジメントは,

組織の事業シナリオの実現及び事業目標の達成に不可欠な経営資源を明確にし,

これらを利用できることを確実にすることが望ましい。

これには,顧客及びその他の利害関係者への価値提供のための品質マネジメントシステムの運用,並び

に改善及び革新に必要な経営資源を含むことが望ましい。重要な経営資源には,組織の人々,パートナ,

知的資源,インフラストラクチャー,業務環境及び財務資源がある。

7.2

組織の人々

7.2.1

一般

組織は,最も重要な経営資源である人々が,顧客価値の創造及び提供に必要な力量をもつことを確実に

するため,人々の力量を開発し,向上させるためのプロセスを確立することが望ましい。

7.2.2

力量発揮の基盤

組織は,人々が自らの活動のもつ意味及び重要性を認識して,職務遂行に必要な力量を獲得し,向上さ

せるように,次の事項を考慮して,人々を動機付けすることが望ましい。

−  人々の責任及び権限を明確にして,組織の目標達成に参画させる。

−  個人が設定した目標と組織目標との関係を明確にする。

さらに,人々の満足を高めることを意図して,次の事項を考慮することが望ましい。


14

Q 9005

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−  個人の知識及び思考形態・行動様式を共有し,これを活用できる仕組みを構築する。

−  報酬,昇進,社内公募などの人事制度を明確にし,運営管理する。

−  適切な表彰制度を導入する。

−  提案制度,技能認定制度,資格認定制度などによって,自己啓発の推進を図る。

−  人々のニーズ及び満足度を継続的に評価する。

7.2.3

力量の開発

7.2.3.1

力量の開発ニーズの特定

組織は,製品・サービスの実現に必要な力量を明確にすることが望ましい。また,組織は,人々が必要

な力量を満たしているかどうかを明確にするため,

人々の力量を各種能力評価モデルなどによって把握し,

人材マップ,技術・技能のマップなどを用いて分析評価し,個人が獲得することの必要な力量を特定する

ことが望ましい。

7.2.3.2

力量の開発計画の策定

組織は,組織が必要とする力量,すなわち,事業シナリオの実現及び製品・サービス実現に必要な力量

の開発ニーズを満たすために,適切な人材育成計画を策定することが望ましい。この育成計画には,教育・

訓練及び計画的な人事(7.2.3.4 参照)を考慮することが望ましい。

7.2.3.3

教育・訓練

組織は,次の事項を考慮して,教育・訓練を行うことが望ましい。

a)

教育・訓練の計画:  人々の力量を開発し,向上するために,教育・訓練の計画を策定して,階層別

及び分野別の教育・訓練体制を確立する。計画の策定に当たっては,対象とする力量の開発に適した

教育・訓練手法及び場の選択を考慮する。

注記  教育・訓練手法及び場の例には,職場研修,職場ローテーション,OJT,小集団活動,他組

織・他業種との交流,国際交流などがある。

b)

教育・訓練の実施:  教育・訓練を実施し,その記録を維持する。

c)

教育・訓練の有効性評価:  教育・訓練の有効性について,その目的に照らして時宜を得た評価を行

う。

7.2.3.4

計画的な人事

組織は,組織が必要とする力量を獲得及び/又は開発するために,新規採用,中途採用,異動,処遇,

その他の人事的処置を計画的に行うことが望ましい。

7.3

パートナ

7.3.1

一般

組織は,顧客価値の創造及び提供のためにパートナから支援及び提供されるものが,組織のニーズ及び

期待を満たすことを確実にするため,パートナを選択し,評価し,かつ,その力量の改善を促すためのプ

ロセスを確立することが望ましい。

7.3.2

パートナの選択

組織は,パートナを選択するに当たって,次の事項を考慮することが望ましい。

a)

組織の顧客価値の創造及び提供におけるパートナの寄与

b)

パートナとの協働による組織の能力の強化

c)

パートナとの関係に関わる組織のリスク

7.3.3

パートナの評価

組織は,

選択したパートナが適切であることを確実にするために定められた間隔で評価し,

必要に応じ,


15

Q 9005

:2014

評価結果を力量改善のインプットとすることが望ましい。評価に当たっては,次の事項を考慮することが

望ましい。

a)

パフォーマンス評価

−  パートナから提供される製品・サービスの品質(価格及び納期を含む)

−  パートナと協働して提供する製品・サービスの顧客価値

b)

能力評価

−  製品・サービスに固有の技術的能力

−  品質マネジメントシステムの能力

−  財務の健全性

7.3.4

パートナの力量の改善

組織は,パートナを評価した結果に基づいて,次の事項を考慮してパートナの力量の継続的改善を推進

することが望ましい。

a)

力量の改善の機会を明確にする。

b)

パートナが改善目標を明確にすることを確実にする。

c)

パートナの改善目標と組織の期待する目標との不一致を解決するプロセスを確立する。

d)

改善対策のフォローアップを協働で行う。

e)

顕著な改善が認められるパートナを表彰し,報奨を与える。

7.3.5

パートナへの配慮

組織は,パートナが顧客に製品・サービスを提供するに当たって,組織との協働を通じて重要な役割を

果たすことを認識して,次の事項を考慮することが望ましい。

−  パートナへの情報提供

−  パートナへの経営資源の支援

−  パートナのパフォーマンス向上

7.4

知的資源

7.4.1

一般

組織は,組織が必要とする情報及び知識・技術を認識し,獲得し,維持し,保護し,活用し,評価する

ためのプロセスを構築し,実施し,維持することが望ましい。組織は,情報及び知識・技術を組織内外か

ら獲得することに加え,個人がもつ情報及び知識・技術を共有化し,適用するための手順を確立し,実施

し,維持することが望ましい。

7.4.2

情報

組織は,情報を効果的かつ効率的に運営管理するために,次の事項を考慮することが望ましい。

−  データの取捨選択及び有用な情報への変換

−  情報及びその入手手段の合法性及び正当性の確保

−  情報の獲得及び適用における迅速さ

−  適切なセキュリティ及び機密保持

7.4.3

知識・技術

組織は,知識・技術を効果的かつ効率的に運営管理するために,次の事項を考慮することが望ましい。

−  標準化及び再利用

−  選択,識別及び適用

−  更新及び破棄


16

Q 9005

:2014

−  流出防止

−  知的財産化(特許権,著作権,商標権,実用新案権など)

−  提携及び移転

7.5

インフラストラクチャー

7.5.1

一般

組織は,製品・サービス実現を効果的かつ効率的に実施するために必要なインフラストラクチャーを計

画し,整備し,運営管理することが望ましい。インフラストラクチャーとしては,次のようなものが該当

する場合がある。

a)

建物,作業場所及び関連するユーティリティ(例えば,電気,ガス又は水)

b)

設備(ハードウェア及びソフトウェア)

c)

支援体制(例えば,輸送,通信又は情報システム)

7.5.2

インフラストラクチャーの計画

組織は,事業活動に必要となる基盤を継続的に維持することを確実にするために,目的,機能,性能,

利用可能性,コスト,安全,セキュリティ,保守などを考慮して,必要なインフラストラクチャーの整備

を計画することが望ましい。組織は,インフラストラクチャーの計画に当たり,顧客及びその他の利害関

係者のニーズ及び期待を考慮することが望ましい。

組織は,インフラストラクチャーに関連するリスクを特定し,そのリスクが顕在化した場合の影響を考

慮し,組織及び利害関係者の利益を保護するために必要な手段を講じることが望ましい。

7.5.3

インフラストラクチャーの運営管理

組織は,インフラストラクチャーを運営管理するための手順を確立し,実施し,維持することが望まし

い。インフラストラクチャーの運営管理の手順には,次の事項を含めることが望ましい。

−  対象となるインフラストラクチャーの重要性及び使用状況に基づいた,各要素の維持・検証の方式及

び頻度

−  対象となるインフラストラクチャーの保全の計画

7.6

業務環境

組織は,組織の人々の意欲,満足,及びパフォーマンスに好ましい影響を与え,組織のパフォーマンス

を高めるために,適切な業務環境を提供し,運営管理することが望ましい。

適切な業務環境を作り出すために,人的要因及び物理的要因を組み合わせた,次の事項を考慮すること

が望ましい。

−  安全規則及び安全の指針

−  人間工学

−  職場の配置

−  組織の人々のための施設

−  職場環境(熱,湿気,光,気流,衛生,清浄,騒音,振動,汚染など)

−  職場の人間関係

7.7

財務資源

組織は,効果的かつ効率的な品質マネジメントシステムの実施及び維持に必要な財務資源を計画し,確

保し,管理することが望ましい。

品質マネジメントシステムに関わる財務の報告には品質マネジメントシステムに対する投資及びその効

果を含めることが望ましく,有効性レビュー(10.3 参照)において利用することが望ましい。


17

Q 9005

:2014

8

製品・サービス実現

8.1

一般

組織は,事業シナリオに基づく製品・サービスの実現の基盤として,効果的かつ効率的なマーケティン

グ及び研究開発の機能を確立し,実施することが望ましい(8.2 及び 8.3 参照)

組織は,マーケティング及び研究開発からのアウトプットとして計画された個別の製品・サービスを,

効果的かつ効率的に実現するための計画を策定することが望ましい(8.48.10 参照)

8.2

マーケティング

8.2.1

マーケティングのプロセス

組織は,事業シナリオに基づいて提供しようとしている製品・サービス群のそれぞれに対し,市場及び

競合組織の状況などを考慮し,狙いとする市場及び顧客価値を設定するためのマーケティングのプロセス

を確立することが望ましい。

8.2.2

マーケティングのアウトプット

組織は,マーケティング活動のアウトプットとして,次の事項を明確にすることが望ましい。

a)

製品・サービスのコンセプト

b)

対象とする市場及び顧客

c)

製品・サービスの企画提案

d)

製品・サービス戦略

−  提供時期

−  販売戦略

−  宣伝戦略

8.2.3

製品・サービスのコンセプトの確立

組織は,製品・サービスのコンセプトを確立するに際し,次の事項を考慮することが望ましい。

a)

市場の区分:製品・サービス群に対するニーズの構造の相違に基づいて,狙いとする市場を区分する。

b)

製品・サービス要求事項の明確化:  a)で明確にした各区分について,その製品・サービスに対し,

ライフサイクル全般にわたる顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待を明確にする。

c)

製品・サービスの位置付け:  顧客及びその他の利害関係者のニーズにどのように応えているかとい

う視点で,組織の製品・サービスを,競合組織又は組織の類似製品・サービスと比べ位置付けを確認

する。

d)

市場の創造:  提供しようとしている価値に対する顧客の理解を求め,ニーズを喚起し,新しい市場

を創造するための方策を計画し,実施する。

8.2.4

マーケティングのプロセスの運営管理

組織は,マーケティングのプロセスの運営管理に当たり,次の事項を考慮することが望ましい。

a)

提供した製品・サービスが,確立した製品・サービスのコンセプトどおりに顧客に受け入れられたか

どうかの調査に基づく,マーケティングのプロセスの有効性の評価及び改善

b)

顧客及びその他の利害関係者の行動・価値観の観察,並びに社会・経済・国際動向に留意することに

よる顧客及びその他の利害関係者の潜在的ニーズ及び期待の把握

8.3

研究開発

8.3.1

研究開発のプロセス

組織は,次の事項を確実にするために,事業シナリオと整合した技術戦略を確立し,その戦略に基づき

研究開発を推進するためのプロセスを確立することが望ましい。


18

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−  顧客に受け入れられる製品・サービスを提供し続けるための技術的基盤を維持する。

−  製品・サービスに対する特定されたニーズに対応する。

−  潜在ニーズの発掘を可能とする。

8.3.2

技術戦略

組織は,組織の事業の成否を左右する技術(コア技術)を獲得し,維持するために,技術戦略を策定す

ることが望ましい。技術戦略の策定に当たり,次の事項を考慮することが望ましい。

−  市場及び顧客並びに必要に応じその他の利害関係者のニーズの動向

−  組織の製品・サービスの競争力

−  中長期的技術トレンド及びニーズ

−  組織の技術力(競合組織との技術的能力の比較)

−  組織の保有技術の活用

−  技術開発・導入戦略(自主開発,共同開発,大学・公的機関の活用,アウトソーシング,買収,技術

導入など)

−  特許戦略(技術の独占,固有技術の保護など)

8.3.3

研究開発プロセスの運営管理

組織は,競争優位を維持し,意図した時期に技術を確立し,顧客に受け入れられる製品・サービスを提

供するために,科学技術の動向を考慮し,研究開発テーマの設定,研究開発テーマの拡大・変更・中止の

ための研究評価,研究開発資源の再配分及び研究開発進捗管理を実施することが望ましい。

組織は,研究開発プロセスの運営管理に当たって,次の事項を考慮することが望ましい。

−  将来の顧客及びその他の利害関係者のニーズを満たす可能性のある研究開発テーマ

−  研究開発された技術の用途開発

−  戦略的思考(明確なビジョン,将来への洞察力及び経営資源の集中)

8.4

製品・サービスの企画

組織は 8.2 及び 8.3 を踏まえ,顧客に提供する,ある特定の製品・サービスを決定し,その特定された製

品・サービスを実現するための計画を策定し,実施することが望ましい。

計画及び実施に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

a)

製品・サービスに特有な,製品・サービス実現のプロセス及び文書の確立の必要性,並びに経営資源

の提供の必要性

b)

その製品・サービスのための検証,妥当性確認,監視,測定,検査及び試験活動,並びに製品・サー

ビス合否判定基準

c)

製品・サービス実現のプロセス及びその結果としての製品・サービスが要求事項を満たしていること

を実証するために必要な記録

組織は,顧客に提供する,ある特定の製品・サービスの決定に当たり,次の事項を考慮することが望ま

しい。

−  製品・サービスに対する顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待

−  適用される法令・規制及び国内外規格

−  製品・サービス実現に必要な技術

−  組織が現在もっている能力

−  顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待に基づいた製品・サービスのコンセプト及び主たる仕


19

Q 9005

:2014

−  製品・サービスの仕様に関する顧客との合意事項

−  原価企画

−  パートナを含む開発の体制及び計画の立案

−  生産場所・生産形態

−  販売価格・販売時期・販売量

−  販売方法・サービス体制

−  収益計画

8.5

設計・開発

8.5.1

設計・開発の計画

組織は,製品・サービス及びプロセスの設計・開発を計画し,管理することが望ましい。

設計・開発の計画には,次の事項を明確にすることが望ましい。

a)

設計・開発の段階

b)

設計・開発の管理

−  進捗管理

−  構成管理及び変更管理

c)

設計・開発の各段階に適したレビュー,検証及び妥当性確認

d)

設計・開発に関する責任及び権限

組織は,効果的なコミュニケーション,責任体制,経営資源及び作業の明確な割当てを確実にするため

に,設計・開発に関与するグループ間のインタフェースを運営管理することが望ましい。

設計・開発の進行に応じて,策定した計画を適切に更新することが望ましい。

8.5.2

設計・開発へのインプット

組織は,製品・サービス要求事項,並びに顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待に応えるイン

プットを明確にし,記録を維持することが望ましい。インプットには,次の事項を含めることが望ましい。

a)

製品・サービスの企画からのアウトプット(8.4 参照)

b)

該当する場合,新技術・新管理手法及びそれに伴うプロセスの改善・革新の可能性

c)

適用可能な場合は,以前の,又は他部門の類似した設計・開発から得られた情報

d)

設計・開発に関わる関係者からの改善などの提案

e)

設計・開発に不可欠なその他の要求事項

注記 1  製造及びサービス提供のプロセスの設計・開発の場合には,製品・サービスの設計・開発の

アウトプットがインプットになる場合もある。

組織は,インプットをレビューし,a)∼e)に関する要求事項は,明確であり必要十分かつ矛盾がないよ

うにすることが望ましい。

注記 2  特に物理的実体の実現を伴わないソフトウェア又はサービスにおいては,要求事項自体が曖

昧なことが多いため,インプットの妥当性については,特に考慮することが望ましい。

8.5.3

設計・開発からのアウトプット

設計・開発からのアウトプットは,設計・開発へのインプットと対比した検証及び妥当性確認を行うの

に適した形式で提示され,次の事項を満たしていることが望ましい。

a)

設計・開発へのインプットで与えられた要求事項を満たしている。


20

Q 9005

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b)

購買,製造及びサービス提供に対して適切な情報を提供している。

c)

製品・サービスの合否判定基準を含むか,又はそれを参照している。

d)

安全な使用及び適正な使用に不可欠な製品・サービスの特性を明確にしている。

注記 1  製品・サービスの設計・開発からのアウトプットには,次のようなものがある。

−  製品・サービス仕様書

−  試験・検査仕様書

−  購買仕様書

−  保守・付帯サービスのための情報

−  設計・開発の根拠となるデータ

注記 2  製造及びサービス提供のプロセスの設計・開発からのアウトプットには,次のようなものが

ある。

−  プロセス仕様書

−  作業指示書

−  設備保守計画書

−  プロセスの妥当性確認に必要な事項(8.7.2 参照)

8.5.4

設計・開発のレビュー

組織は,プロセスの設計・開発を含む設計・開発の適切な段階において,設計・開発に関連する部門を

代表する者を含む部門横断的なチームによる体系的なレビューを,計画されたとおりに行うことが望まし

い。

このレビューでは,次の事項を実施することが望ましい。

a)

設計・開発の結果が,要求事項を満たせるかどうかを評価する。

b)

問題を明確にし,必要な処置を提案する。

このレビューの結果の記録及び必要な処置があれば,その記録を維持することが望ましい。

8.5.5

設計・開発の検証

組織は,プロセスの設計・開発を含む設計・開発からのアウトプットが,設計・開発へのインプットで

与えられている要求事項を満たしていることを確実にするために,計画されたとおりに検証を実施するこ

とが望ましい。この検証の結果の記録及び必要な処置があれば,その記録を維持することが望ましい。

注記  検証活動の例には,次の事項がある。

−  設計・開発仕様と試験結果との比較

−  設計・開発仕様とシミュレーション結果との比較

−  過去の設計の経験,特に不適合,欠陥などとの対比による評価

8.5.6

設計・開発の妥当性確認

組織は,結果として得られるプロセス及び製品・サービスが,指定された用途又は意図された用途に応

じた要求を満たし得ることを確実にするために,計画した方法に従って,設計・開発の妥当性確認を実施

することが望ましい。組織は,実行可能な場合にはいつでも,製品の引渡し若しくはサービス提供又はプ

ロセスの運用の前に,妥当性確認を完了することが望ましい。妥当性確認の結果の記録及び必要な処置が

あれば,その記録を維持することが望ましい。

組織は,妥当性確認において発見された設計・開発の問題に対する必要な処置を計画し,実施し,その

処置が適切に実施されたことを確認することが望ましい。


21

Q 9005

:2014

注記  妥当性確認の例には,次の事項がある。

−  シミュレーション

−  試作品による評価

−  顧客によるサンプル品又はサービスの試験提供の評価結果の評価

8.5.7

構成管理

組織は,設計・開発の段階で,必要に応じ各製品・サービスがどの要素から構成されているかを明確に

し,それぞれの要素を識別し,そのトレーサビリティを管理する手順を確立し,実施し,維持することが

望ましい。

注記 1  要素には部品,構成品,アイテム,工程,材料,設備,人などがある。

注記 2  製品に関しては,トレーサビリティは,次のようなものに関連することがある。

−  材料及び部品の源

−  処理の履歴

−  出荷後の製品の配送及び所在

8.5.8

設計・開発の変更管理

組織は,管理対象とする設計・開発の変更を明確にし,記録を維持することが望ましい。変更に対して,

レビュー,検証及び妥当性確認を適切に行い,その変更を実施する前に承認することが望ましい。設計・

開発の変更のレビューには,その変更が,製品・サービスを構成する要素及び既に引き渡されている製品・

サービスに及ぼす影響の評価を含めることが望ましい。変更のレビューの結果の記録及び必要な処置があ

れば,その記録を維持することが望ましい。

注記  設計・開発の変更の管理のために構成管理が役立つことがある。

8.6

購買

8.6.1

購買プロセス

組織は,購買製品・サービスが,組織の要求事項を満たしていることを確実にするために,次の事項を

含む購買プロセスを確立することが望ましい。

−  供給者の選定,評価及び再評価の基準を規定する。

−  供給者の組織の能力を評価し,選定する。

−  購買製品・サービスの性能,価格並びに提供タイミング及び量に関する要求事項を明確にする。

−  規定した基準に,購買製品・サービスが適合することを確実にする。

−  不適合となった購買製品・サービスに対する処理を確実にする。

−  供給者の品質マネジメントシステムの構築・運用を支援する。

8.6.2

購買情報

組織は,購買製品・サービスに関する情報を明確にし,次の事項のうち該当する事項を供給者及び組織

内に伝達することが望ましい。

a)

購買製品・サービス仕様

b)

価格,提供タイミング及び量に関する要求事項

c)

製品・サービス,プロセス,インフラストラクチャー及び検証の手順の承認に関する要求事項

d)

要員の適格性確認に関する要求事項

e)

品質マネジメントシステムに関する要求事項

f)

購買製品・サービスに関連する不適合に関する要求事項

g)

購買製品・サービスに関連する不適合の処理に対する要求事項


22

Q 9005

:2014

組織は,

供給者に伝達する前に,

規定した購買要求事項が妥当であることを確実にすることが望ましい。

8.6.3

購買製品・サービスの検証

組織は,購買製品・サービスの受入時に,規定した購買要求事項に応じた購買製品・サービスの検査又

はその他の活動を実施することが望ましい。また,必要な場合には,供給者における製品・サービス実現

のプロセスの段階においても,適切な指示,検査などを行い,購買製品・サービスの品質を確保する手順

を確立し,実施し,維持することが望ましい。

8.6.4

供給者とのコミュニケーション

組織は,供給者と購買製品・サービスに関する情報を共有化するために,効果的なコミュニケーション

を図ることが望ましい。情報の例には,次の事項がある。

−  供給者の工程管理・変更管理の状況

−  購買製品・サービスの検証結果

−  検出された不適合の原因分析の状況及びその結果

−  購買製品・サービスの品質の傾向

−  購買製品・サービスの品質がもたらした最終製品・サービスへの影響

8.7

製造及びサービス提供

8.7.1

製造及びサービス提供の計画

組織は,製造及びサービス提供の計画を策定し,管理することが望ましい。

製造及びサービス提供の計画には,次の事項を含むことが望ましい。

a)

製品・サービスの設計・開発からのアウトプット

b)

プロセスの設計・開発からのアウトプット

c)

製造及びサービス提供のタイミング及び量

d)

製造及びサービス提供の作業手順

e)

経営資源(インフラストラクチャー,要員など)

f)

監視機器及び測定機器

g)

原材料,部品など

h)

リリース(次工程への引渡しを含む。

)の基準

i)

問題発生時の処理に関する手順

8.7.2

製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認

組織は,次の場合に,製造及びサービス提供における該当するプロセスの妥当性確認を行うことが望ま

しい。

a)

結果として生じるアウトプットが,それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合。

b)

製品の使用又はサービス提供の後でしか不適合が顕在化しない場合。

c)

不適合の除去が不可能な場合。

妥当性確認によって,これらのプロセスが計画どおりの結果を出せることを実証することが望ましい。

組織は,これらのプロセスについて,次の事項のうち適用できるものを含んだ手順を確立し,実施し,

維持することが望ましい。

−  プロセスのレビュー及び承認のための明確な基準

−  設備の承認及び要員の適格性確認


23

Q 9005

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−  設計・開発からのアウトプット(8.5.3)で規定した方法及び手順の適用

−  記録に関する要求事項

−  定期的な妥当性の再確認

8.7.3

識別及びトレーサビリティ

組織は,必要な場合には,製品・サービス実現の全過程において適切な手段で製品・サービスを識別す

ることが望ましい。また,組織は,製品の出荷及びサービスの提供後の識別の管理に関する手順を確立し,

実施し,維持することが望ましい。トレーサビリティが要求事項となっている場合には,組織は,製品・

サービスについて一意の識別を管理し,記録を維持することが望ましい。

識別及びトレーサビリティでは,次の事項を考慮することが望ましい。

−  関連する法令・規制要求事項

−  顧客要求事項

−  安全に関連する要求事項

注記  ある産業分野では,構成管理が識別及びトレーサビリティを維持する手段である。

8.7.4

製品及びその構成要素の保存

組織は,内部処理から指定納入先への引渡しまでの間,製品を構成する要素を含め,要求事項への適合

を維持するように製品を保存することが望ましい。

組織は,次の事項を考慮して,保存についての手順を確立し,実施し,維持することが望ましい。

−  製品及び/又は製品を構成する要素の特性

−  保存方法(包装など)

−  保存期間及び保存条件

−  保存製品の評価方法

−  識別及び取扱い

注記  内部処理とは,組織が運営管理している製品実現のプロセスにおける活動をいう。

8.7.5

在庫管理

組織は,製品及び/又は製品を構成する要素の適合性の維持及び経営資源の有効活用を図るために,適

切な在庫管理の計画を策定し,管理することが望ましい。

在庫管理の計画の策定においては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  特性の劣化,賞味期限など

−  顧客要求事項

−  適正在庫

−  在庫の監視(販売実績,回転率など)

−  在庫に関する情報の共有

−  在庫の確認の方法

−  使用に適さない製品及び/又は製品を構成する要素の処理

8.8

製品・サービスの検査及び試験

8.8.1

検査及び試験

組織は,製品・サービス要求事項が満たされていることを検証するために,製品・サービスの特性を考

慮して,検査又は試験することが望ましい。組織は,検査又は試験を,製造及びサービス提供の適切な段

階で実施することが望ましい。また,製品・サービスの企画(8.4 参照)で決めたことが問題なく完了す

るまでは,製品・サービスの提供は行わないことが望ましい。


24

Q 9005

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検査及び試験の方法を選定する場合には,次の事項を考慮することが望ましい。

−  製品・サービス特性

−  コスト,時間及び過去の品質実績

−  検査の方式

−  適切な測定方法

−  検査・試験要員に必要な力量

−  結果の記録

8.8.2

不適合製品・サービスの管理

組織は,製品・サービス要求事項に適合しない製品が誤って使用又は引き渡されたりすることを防ぐた

め,及び適合しないサービスの結果の修正が行われることを確実にするために,それらを識別し,処理す

る手順を確立し,実施し,維持することが望ましい。手順には,次の事項を含めることが望ましい。

a)

不適合製品及び不適合となったサービスの結果の識別,隔離,修正又は廃棄の方法

b)

異なった適用への転用

c)

顧客との合意に基づく特別採用

d)

引渡し後又は使用開始後に検出された不適合に対する処置

e)

とった処置及びその結果の記録

8.8.3

検査・試験機器の管理

組織は,検査及び試験に必要な機器を明確にし,適切に維持することが望ましい。

測定値の正当性が保証されなければならない機器に関して,次の事項を考慮した効果的かつ効率的な機

器管理の計画を策定し,管理することが望ましい。

a)

定められた間隔又は使用前に行う,国際計量標準又は国家計量標準にトレーサブルな計量標準に照ら

した校正若しくは検証又はその両方。このような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いた

基準の記録

b)

機器の調整又は必要に応じての再調整

c)

校正の状態が明確にできる識別

d)

測定した結果が無効になるような操作の防止

e)

校正者及び使用者に求められる力量

f)

取扱い,保守,保管における,損傷及び劣化に対する保護

g)

監視及び測定にコンピュータソフトウェアを使う場合における,そのコンピュータソフトウェアによ

って意図した監視及び測定ができることの確認

検査・試験機器に問題が発生した場合は,それまでに測定した結果の検証を行い,適切な処置を取り,

その記録を維持することが望ましい。

校正及び検証の結果の記録を維持することが望ましい。

8.9

製品・サービスの販売

組織は,販売活動を通して顧客との良好な関係を確立し,維持するために,次の事項を考慮した効果的

かつ効率的な販売活動の計画を策定することが望ましい。

−  マーケティングのアウトプット(8.2.2 参照)

−  顧客とのコミュニケーションの方法

−  顧客との販売契約の内容

−  顧客情報の有効活用


25

Q 9005

:2014

−  保証及び特典

−  要員の顧客対応能力

−  内部コミュニケーションの方法

−  組織が提供する製品・サービスの販売情報の有効活用

−  競合組織の動向

8.10

製品・サービスの引渡し及び引渡し後の顧客サポート

8.10.1

製品・サービスの引渡し

組織は,製品・サービスの引渡しに際して,意図した製品・サービスの特性が十分に発揮されることを

確実にするために,次の事項を考慮して,製品・サービスの引渡しに関する手順を確立し,実施し,維持

することが望ましい。

−  顧客要求事項(納期,納入先など)

−  製品・サービスの結果の,安全な使用・利用に関する情報

−  製品・サービスの結果の,使用・利用及び保守に関する情報

−  製品・サービスの結果の,使用・利用に必要な教育・訓練

−  輸送及び据付け

8.10.2

製品・サービス引渡し後の顧客サポート

組織は,製品・サービスの結果が使用されている期間において,意図した製品・サービスの結果の特性

が十分に現れ,かつ,安全に使用されることを確実にするために,次の事項を考慮して,製品・サービス

引渡し後の顧客サポートに関する手順を確立し,実施し,維持することが望ましい。

a)

関連する法令・規制要求事項

b)

顧客サポートの内容(方法,時間など)及び体制(組織,要員,受付窓口など)

c)

製品・サービスの結果の,稼動状態の監視(

例  リアルタイムモニタ)

d)

補修部品及び補給品の提供

e)

問合せ及び苦情受付

注記  苦情受付に関しては,JIS Q 10002 を参照。

f)

不適合に関する情報,バージョンアップに関する情報及びその他保守に関する情報

g)

リサイクル方法及び廃棄方法に関する情報

9

監視,測定及び分析

9.1

一般

組織は,変化する事業環境の中で持続的成功を達成するために,品質マネジメントシステムのパフォー

マンスに重要な影響のある製品・サービス,プロセス,顧客及びその他の利害関係者の認識,事業環境の

変化並びに総合的なパフォーマンスについて,定常的に監視,測定及び分析を実施することが望ましい。

さらに,これらの一連の活動の結果を,組織の人々に定期的に伝達することが望ましい。

トップマネジメントは,監視,測定及び分析の結果から,組織が,製品・サービス,プロセス及び品質

マネジメントシステムのパフォーマンスをレビューし,問題がある場合には関連部門へ情報を遅滞なくフ

ィードバックし,事業シナリオを実現するために,改善及び/又は革新を行うことを確実にすることが望

ましい。

注記  監視,測定及び分析における評価指標,考慮事項及び活用方法を,参考として附属書 に示す。


26

Q 9005

:2014

9.2

製品・サービス及びプロセスの監視,測定及び分析

組織は,品質マネジメントシステムのパフォーマンスに重要な影響のある製品・サービス及びプロセス

について,次の事項を考慮して,その製品・サービス及びプロセスの監視及び測定方法を明確にし,実施

することが望ましい。

−  監視及び測定対象

−  監視及び測定項目

−  監視及び測定方法の正しさ

−  目標値

−  処置限界及びそれを超えた場合の対応計画

組織は,製品・サービス及びプロセスを継続的に改善するために,それらの製品・サービス及びプロセ

スの監視及び測定結果を分析し,その結果を有効性レビューへのインプットとすることが望ましい。

9.3

顧客及びその他の利害関係者の認識の監視,測定及び分析

組織は,顧客及びその他の利害関係者の認識を監視及び測定するために,その影響要因を考慮し,その

評価指標を設定することが望ましい。

組織は,顧客及びその他の利害関係者の認識の監視及び測定の結果を分析し,その結果を有効性レビュ

ーへのインプットとすることが望ましい。

9.4

事業環境の変化及びパフォーマンスの監視,測定及び分析

組織は,持続的成功のための事業シナリオの実現状況を評価するため,次の事項を考慮し,品質マネジ

メントシステムの総合的なパフォーマンス(市場占有率,売上高,利益,格付けなど)を監視及び測定す

ることが望ましい。

−  市場及び顧客,並びにその他の利害関係者のニーズ及び期待の動向

−  社会の価値観及び法規制の動向

−  技術の動向

−  競合組織の動向

−  パートナとの関係

−  経済状況など

組織は,事業シナリオを維持又は革新するために,事業環境の変化及びパフォーマンスの,監視及び測

定の結果を分析し,その結果を戦略的レビューへのインプットとすることが望ましい。

10

品質マネジメントシステムの改善

10.1

改善

10.1.1

継続的改善

組織は,次の事項を通じて得られた様々な問題点を改善の機会としてとらえ,製品・サービス及び品質

マネジメントシステムを継続的に改善することが望ましい。

a)

製品・サービスの検査及び試験

b)

製品・サービスの監視,測定及び分析

c)

プロセスの監視,測定及び分析

d)

顧客及びその他の利害関係者の認識の監視,測定及び分析

e)

内部監査


27

Q 9005

:2014

f)

有効性レビュー

g)

自己評価

h)

戦略的レビュー

10.1.2

是正処置

組織は,再発防止のため,時宜を得て,製品・サービス及び品質マネジメントシステムに関する不適合

又はその他の望ましくない状況の原因を除去する処置をとることを確実にすることが望ましい。組織は,

次の事項を含む手順を確立し,実施し,維持することが望ましい。

a)

不適合又はその他の望ましくない状況の内容確認

b)

不適合又はその他の望ましくない状況の真の原因の特定

c)

不適合又はその他の望ましくない状況の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価

d)

必要な処置の決定及び実施

e)

とった処置の結果の記録

f)

是正処置において実施した活動のレビュー

10.1.3

予防処置

組織は,製品・サービス及び品質マネジメントシステムに関する起こり得る不適合又はその他の望まし

くない起こり得る状況が発生することを防止するために,その原因を除去する処置を決めることが望まし

い。

組織は,次の事項を含む手順を確立し,実施し,維持することが望ましい。

a)

起こり得る不適合又はその他の望ましくない起こり得る状況及びそれらの原因の特定

b)

起こり得る不適合又はその他の望ましくない起こり得る状況の発生を予防するための処置の必要性の

評価

c)

必要な処置の決定及び実施

d)

とった処置の結果の記録

e)

予防処置において実施した活動のレビュー

10.2

内部監査

組織は,品質マネジメントシステムが,組織の定めた要求事項に適合し,効果的かつ効率的に実施され,

維持されているかを評価することが望ましい。組織は,監査プログラムを確立し,実施することが望まし

い。組織は,監査プログラムの策定に当たって,監査の対象となるプロセス及び領域の状態及び重要性,

並びにこれまでの監査結果を考慮することが望ましい。

組織は,監査員の選定及び監査の実施において,監査プロセスの客観性及び公平性を確保することが望

ましい。

組織は,内部監査の結果を有効性レビューへのインプットとし,製品・サービス及び品質マネジメント

システムの継続的改善に活用することが望ましい。

注記  監査については,JIS Q 19011 を参照。

10.3

トップマネジメントによる有効性レビュー

10.3.1

一般

トップマネジメントは,組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当,効果的かつ効率

的であることを確実にするために,組織が定めた間隔で,品質マネジメントシステムの有効性をレビュー

することが望ましい。このレビューでは,品質マネジメントシステムの改善の機会の評価とともに,品質

方針及び目標を含む品質マネジメントシステムの変更の必要性の評価も行うことが望ましい。有効性レビ


28

Q 9005

:2014

ューの結果の記録は維持することが望ましい。

10.3.2

有効性レビューへのインプット

有効性レビューへのインプットには,次の情報を含めることが望ましい。

−  品質方針の展開状況

−  内部監査の結果及びその他の監査の結果

−  製品・サービス及びプロセスの監視,測定及び分析の結果

−  顧客及びその他の利害関係者の認識の監視,測定及び分析の結果

−  是正処置及び予防処置の状況

−  前回までの有効性レビューの結果に対するフォローアップの状況

−  品質マネジメントシステムに影響を及ぼす可能性のある変更

−  改善のための提案

−  品質マネジメントシステムに関わる財務の報告

10.3.3

有効性レビューからのアウトプット

有効性レビューからのアウトプットには,

次の事項に関する決定及び処置全てを含めることが望ましい。

a)

品質マネジメントシステム並びにそのプロセスの有効性及び効率の改善

b)

顧客満足の向上に必要な製品・サービスの改善

c)

顧客及びその他の利害関係者の認識の改善

d)

経営資源の補強の必要性

e)

戦略的レビューへの提案

有効性レビューのアウトプットは,戦略的レビューへのインプットとすることが望ましい。

11

品質マネジメントシステムの革新

11.1

革新

組織は,有効性レビュー,自己評価及び戦略的レビューを通じて得られた様々な変化の予兆を認識した

上で事業環境の分析を行い,必要に応じて事業シナリオを見直し,新たな組織能力像を明確にし,それを

具現化するように技術,製品・サービス,組織,プロセス及び品質マネジメントシステムを革新すること

が望ましい。

11.2

自己評価

トップマネジメントは,事業シナリオ及びこの規格の規定事項に従って,設計し,構築し,運用してい

る品質マネジメントシステムの有効性及び効率,更に組織の持続的成功の可能性を自己評価するためのプ

ログラムを確立し,実施することを確実にすることが望ましい。

組織は,次の事項を考慮して自己評価を実施することが望ましい。

−  明確にされている組織能力像を再確認する。

−  その組織能力像が品質マネジメントシステムのどの要素で実現されているかを再確認する。

−  その特定された要素について,自己評価基準を設計し,重点的に評価する。

組織は,自己評価プログラムの策定に当たり,次の事項を考慮することが望ましい。

−  目的及び範囲

−  自己評価者に必要な力量

−  時期及び手順を含む詳細な実施計画


29

Q 9005

:2014

組織は,自己評価の結果を戦略的レビューへのインプットとし,品質マネジメントシステムの改善及び

革新に活用することが望ましい。

自己評価の結果は,組織内の関係者に周知し,組織の事業環境及び将来の方向性に対して共通認識をも

てるように活用することが望ましい。

注記  自己評価の方法及び基準について,参考となる情報を附属書 に示す。

11.3

トップマネジメントによる戦略的レビュー

11.3.1

一般

トップマネジメントは,組織を取り巻く事業環境の変化を把握して,製品・サービス及び技術,事業シ

ナリオ及び組織能力像,

並びにプロセス及び品質マネジメントシステムの革新の必要性を判断するために,

あらかじめ定められた間隔,及び/又は必要に応じ,戦略的レビューを実施することが望ましい。トップ

マネジメントは,次の事項を考慮し,戦略的レビューを実施することが望ましい。

−  事業シナリオを実現できたか。

−  現在もっている組織の能力は,事業シナリオの遂行に十分であったか。

−  事業シナリオの遂行のためにふさわしい品質マネジメントシステムを設計し,構築し,運用していた

か。

−  組織能力像の変更が必要か。

戦略的レビューの結果の記録は維持することが望ましい。

11.3.2

戦略的レビューへのインプット

戦略的レビューへのインプットには,次の情報を含めることが望ましい。

a)

前回までの戦略的レビューの結果に対するフォローアップの状況

b)

品質マネジメントシステムの改善活動の結果

c)

有効性レビューからの提案

d)

事業シナリオの見直しの結果

e)

事業環境の変化及びパフォーマンス(市場占有率,売上高,利益,格付けなど)の,監視,測定及び

分析の結果

f)

自己評価の結果

g)

組織能力像

11.3.3

戦略的レビューからのアウトプット

戦略的レビューからのアウトプットには,次の事項に関する決定及び処置を含めることが望ましい。

−  革新の必要性

−  事業シナリオの修正の必要性,並びにその修正の対象及び内容

−  組織能力像の変更の必要性及びその根拠,並びに新たな組織能力像

−  革新のための組織体制

戦略的レビューのアウトプットは,品質マネジメントシステムの企画へのインプットとすることが望ま

しい(箇条 参照)


30

Q 9005

:2014

附属書 A

参考)

この規格で用いる重要用語の概念

A.1

顧客価値

持続的成功を達成するための顧客満足の中心概念には,製品・サービスに内在し,将来の顧客満足の源

泉となり得る潜在的な要素を含む必要がある。製品・サービスのそのものは,価値を提供する際の媒体に

過ぎず,顧客が満足を感じるのは,製品・サービスに内在する価値そのものである。したがって,この規

格では,顧客満足ではなく,次の三つの価値概念を含んだ顧客価値を品質マネジメントシステムの中心に

据えている。

a)

製品・サービスの購入の決定要因として顧客が認識する価値

b)

購入した製品・サービスの使用及び廃棄を通し顧客が確認する価値

c)

確認の結果から生まれる信頼感に基づき新たに認識される価値

顧客価値の a),すなわち,顧客が製品・サービスを購入する際に,購買の動機及び選択の基準として認

識される側面が,組織の持続的成功に最も重要である。顧客価値の b)には,製品・サービスそのものの特

性,製品・サービスのメンテナンス及び修理の容易さ,廃棄にかかるコストなどがあり,顧客価値の c)に

は,過去の経験を通し確立される製品・サービスを生産する組織に対する信頼感,ブランドなども含まれ

る。認識には,強弱の程度があり,かつ,プラスに作用するもの及びマイナスに作用するものがある。マ

イナスの認識が勝る製品・サービスは価値がないと判断される。顧客は,プラスの認識が勝る製品・サー

ビスの中から,複数の選択肢を抽出し,比較検討することによって,個々の対象から得られる認識に優先

順位付けを行い,独自の価値認識を確立し,製品・サービスの購入を決定する(

表 A.1 参照)。

表 A.1−顧客が認識する価値の一般的な例

価値として

認識する対象

顧客が使用者の視点で認識する。

顧客が社会の視点で認識する。

プラスに作用

マイナスに作用

プラスに作用

マイナスに作用

製品・サービス及び

そ れ ら に 付 随 す る

もの

有用性(機能,性能,

操作性)

信頼性 
入手性

製品支援

経済性

リスク

・  安全性

・  情報セキュリティ
コスト

・  メンテナンス

・  オペレーション

消費を通した貢献

・  地域貢献

・  社会貢献

利用に伴うリスク

・  健康

・  安全 
・  地球環境

・  文化的

提 供 す る 組 織 に 起

因するもの

ブランド

信頼感

悪評

組織の貢献

・  地域貢献 
・  社会貢献

CSR

A.2

事業環境分析・事業シナリオ・組織能力像

A.2.1

一般

組織を取り巻く事業環境は,日々刻々と変化しており,組織は常に,起こりつつある変化及び新たな事

業環境に向き合って行かなければならない。組織が持続的な成功を達成するためには,組織を取り巻く事

業環境を認識し,起こり得る変化を予測した上で組織の能力及び特徴をい(活)かし,競争優位を確立す

るための筋書きを描き,その筋書きを共有し,筋書きに沿って組織を導き,必要となる組織の能力を育成

し続ける必要がある。


31

Q 9005

:2014

A.2.2

事業環境分析

事業環境分析,並びに事業シナリオ及び組織能力像の明確化の起点になるのは,顧客価値である。事業

環境分析とは,組織を取り巻く事業環境の現状及び予想される変化,顧客価値提供に関わる資源の状況及

び将来の見通し,組織の能力及び特徴を考慮し,組織が提供する顧客価値を次の三つの視点で評価するこ

とである。

a)

その顧客価値を組織が継続的に提供し続けることは可能か。

b)

その顧客価値は事業成功の基盤の視点において優位性をもっているか。

c)

その顧客価値が受け入れられる市場は,その規模及び特徴において事業運営に見合うか。

組織は,原材料,製造及び提供に至る製品・サービスの源流から最終顧客に至るサプライチェーンのど

こかに位置し,そのサプライチェーンの中で組織独自の価値を創造し提供している。組織を取り巻く環境

には,このサプライチェーンの状況及びサプライチェーンに影響を与える可能性のある社会環境も考慮し

なければならない。また,顧客価値提供に関わる資源の状況及び将来の見通しには,製品・サービスの原

材料に関する見通しに加え,その価値を実現する技術の動向及び変化も重要な考慮要因となる。

A.2.3

事業シナリオ

事業環境分析の結果に基づき,組織が将来にわたり提供する顧客価値,その顧客価値を基盤として確保

及び開拓する市場及びその規模,顧客価値を通し発揮する優位性,及びそれらを実現するために必要とな

る組織の能力の全体像を明らかにし,組織外部の環境に組織内部をどう対応させ,組織を成功に導く道筋

を示すものが事業シナリオで,事業シナリオには,組織能力像の獲得の方策も含まれる。

A.2.4

組織能力像

事業シナリオの一部を構成し,顧客価値の創造,市場の開拓及び価値提供における優位性の発揮に必要

な組織がもつべき能力の全体像が組織能力像で,組織能力像には,組織が既に獲得している能力だけでな

く,将来獲得する必要のある能力も含まれる。

A.3

品質マネジメントシステムの設計

組織がシステム化する品質マネジメントシステムの姿は,組織が価値提供における優位性を確立し,そ

の優位性を持続するために

図 の品質マネジメントシステムモデルをどう特徴付けるかを描きだすことに

よって明らかになる。このための手順は,箇条 5(具体的には,5.3 及び 5.4)に示されている。品質マネ

ジメントシステムの設計(具体的な手順は,5.5 に示されている)では,5.4 で採用した事業シナリオ及び

明確化した組織能力像に関連する品質マネジメントシステムの要素を特定し,これら品質マネジメントシ

ステムの基本仕様を決める。この基本仕様では,特定した品質マネジメントシステムの重要要素が具備す

る必要のある属性,性質及び状態を決め,それらをプロセスに埋め込み,全体のプロセスを構築し,プロ

セス間の相互関係,プロセスの流れ,各々のプロセスの基本仕様,並びにインプット及びアウトプットな

どの詳細を決定する。品質マネジメントシステム要素及び具備する必要のある属性の例を,

附属書 に示

す。

事業シナリオは組織が競争優位を獲得し維持するために,その時点の事業環境を分析し,それらに起こ

り得る将来の変化予測を基に決められたものであり,必ずしも未来永ごう(劫)有効であり続けるとはい

えない。これらのことを念頭に,品質マネジメントシステム設計において,予見されるリスクを明確にし,

その予兆をとらえるための監視及び予兆が表れたときの初動などを決め,監視プロセスに組み込んでおく

ことも重要である。


32

Q 9005

:2014

A.4

品質マネジメントシステムの設計に至るフロー

顧客価値の抽出から品質マネジメントシステムの設計に至るまでのフローを,

図 A.1∼図 A.3 に示す。

図 A.1 は顧客価値の抽出から,購買を促す決定的な顧客価値の特定[5.3 c)参照]に至るまでを,図 A.2 

決定的な顧客価値から組織能力像に至るまで,及び

図 A.3 は組織能力像から品質マネジメントシステムの

基本仕様の決定に至るまでを示している。

図 A.1 は,5.3 で規定されている“顧客価値”を概念的に示している。顧客価値の明確化の具体的なステ

ップは,5.3 に示されている。

顧客価値の抽出  ⇒  事業環境分析  ⇒  決定的な顧客価値

図 A.1−顧客価値の抽出から購買を促す決定的な顧客価値の特定に至るまでのフロー

図 A.2 は,5.3 及び 5.4 で述べられている“顧客価値”,

“事業シナリオ”及び“組織能力像”の関係を概

念的に示すとともに,A.2.3 及び A.2.4 に追加情報を提供している。

決定的な顧客価値  ⇒  事業シナリオ  ⇒  組織能力像

図 A.2−決定的な顧客価値から組織能力像に至るまでのフロー

図 A.3 は,5.5 で述べられている品質マネジメントシステムを設計することにおける,組織能力像,品質

マネジメントシステム要素及び品質マネジメントシステムの基本仕様の関係を概念的に示している。品質

マネジメントシステムの設計の手順及び品質マネジメントシステムに対する要求事項の明確化については,

5.5

及び 5.6 に示されている。品質マネジメントシステムの設計に当たっては,組織能力像として明らかに

なった能力以外の能力・特徴ももつ必要があり,他の品質マネジメントシステム要素についても,特性を

指定する必要がある。そのためには,他の要素を備えるためのプロセス及びその特性を考察しつつ,重要

品質マネジメントシステム要素の実現に関連するプロセスに重点を置いて品質マネジメントシステムの仕

様を決める必要があり,その手順は 5.6.1 に示されている。

なお,この規格の箇条 は,顧客価値の明確化から品質マネジメントシステムの基本仕様に至る一連の

顧客価値の

再評価

長期的成功の

戦略

能力及び特徴

組織能力像

決定的な 
顧客価値

事業シナリオ

顧客価値の

抽出

優位性のある

顧客価値

顧客価値の

評価

顧客価値の

選択

決定的な 
顧客価値

組織が継続的に提供可能か? 
事業成立の基盤の視点において
優位性をもっているか? 
市場は,規模及び特徴において事
業運営に見合うか?

現状及び変化

の予測

事業環境 
組織の特徴 
組織の能力


33

Q 9005

:2014

活動を示している。

組織能力像  ⇒  品質マネジメントシステムの基本仕様(品質マネジメントシステムの設計)

図 A.3−組織能力像から品質マネジメントシステムの基本仕様の決定に至るまでのフロー

組織能力像

重要品質マネジ
メントシステム

要素の特定

品質マネジメン

トシステムの

基本仕様

品質マネジメントシステムを構成するプロセスの全貌の理解

(重要品質マネジメント要素に関連するプロセスの認識)

重要品質マネジメントシステ
ム要素が具備する必要のある

属性,性質及び状態

品質マネジメント
システム要素間の

関係性の検討


34

Q 9005

:2014

附属書 B

参考)

品質マネジメント原則の比較

B.1

一般

この附属書では,ISO/TC176 が作成する一連の品質マネジメント規格の基盤として定められた品質マネ

ジメントの原則と,箇条 で述べたこの規格における品質マネジメントの原則との関係を示す。

注記 1  ISO/TC176 が作成した品質マネジメントの原則は,JIS Q 9000 に記載されているほか,その

手引も含めた形で,JIS Q 9004 の附属書に収録されている。また,ISO のウェブサイトでも

公開している。

注記 2  ISO/TC176 が作成した品質マネジメントの原則は,この規格の発効された 2014 年 12 月 22

日時点で改正の検討が行われている。

B.2

八つの品質マネジメントの原則

ISO/TC176

が作成する一連の品質マネジメント規格の基盤として定められた,八つの品質マネジメント

の原則の概要は,次のとおりである。

a)

原則 1:顧客重視  組織はその顧客に依存しており,そのために,現在及び将来の顧客ニーズを理解

し,顧客要求事項を満たし,顧客の期待を超えるように努力することが望ましい。

b)

原則 2:リーダシップ  リーダは,組織の目的及び方向を一致させる。リーダは,人々が組織の目標

を達成することに十分に参画できる内部環境を創りだし,維持することが望ましい。

c)

原則 3:人々の参画  全ての階層の人々は,組織にとって最も重要なものであり,その全面的な参画

によって,組織の便益のためにその能力を活用することが可能となる。

d)

原則 4:プロセスアプローチ  活動及び関連する資源が一つのプロセスとして運用管理されるとき,

望まれる結果がより効率よく達成される。

e)

原則 5:マネジメントへのシステムアプローチ  相互の関連するプロセスを一つのシステムとして明

確にし,理解し,運営管理することが組織の目標を効果的で効率よく達成することに寄与する。

f)

原則 6:継続的改善  組織の総合的パフォーマンスの継続的改善を組織の永遠の目標とすることが望

ましい。

g)

原則 7:意思決定への事実に基づくアプローチ  効果的な意思決定は,データ及び情報の分析に基づ

いている。

h)

原則 8:供給者との互恵関係  組織及びその供給者は相互に依存しており,両者の互恵関係は両者の

価値創造能力を高める。

B.3

品質マネジメントの原則間の関係

箇条 で述べたこの規格における品質マネジメントの原則と,ISO/TC176 が作成する一連の品質マネジ

メント規格の基盤として定められた八つの品質マネジメントの原則(B.2)との間の関係を

表 B.1 に示す。


35

Q 9005

:2014

表 B.1−品質マネジメントの原則間の関係

JIS Q 9005

の 10 原則

8

原則

a)

顧客価値創造

(1)

顧客重視

b)

社会的価値重視

c)

ビジョナリーリーダシップ     (2)

リーダシップ

d)

コアコンピタンスの認識

e)

成長志向

(6)

継続的改善

f)

システム思考

(5)

マネジメントヘの

システムアプローチ

g)

プロセスアプローチ

(4)

プロセスアプローチ

h)

科学的アプローチ

(7)

意思決定への事実に

基づくアプローチ

i)

ひと中心マネジメント

(3)

人々の参画

j)

パートナとの協働

(8)

供給者との互恵関係

B.4

この規格における品質マネジメントの原則の位置付け

箇条 で述べた 10 の原則のそれぞれについて,ISO/TC176 が作成する一連の品質マネジメント規格の

基盤として定められた八つの原則(B.2)との対比において,その特徴を次に示す。

a)

顧客価値創造  8 原則では,組織は事業運営において顧客に依存しているので“顧客重視”でなけれ

ばならないとしている。

この規格では,品質とは製品・サービスを通して提供した価値に対する顧客の評価であるとの認識

を基礎に,事業運営における品質の重要性の再認識を促し,顧客重視及び顧客中心の根拠を強化して

いる。また,その他の利害関係者に対する考慮については,b)に掲げる“社会的価値重視”を追加し

ている。

b)

社会的価値重視  8 原則では,

“顧客重視”のための活動において,顧客以外の利害関係者への考慮に

も触れている。

この規格では,顧客だけではなく他の利害関係者との関係が重要であると述べるとともに,組織が

社会的存在であると認識し,組織が社会に与える価値,例えば,社会的存在としての組織の責任,製

品・サービスの顧客以外の関係者への影響,製品・サービス提供に関わる活動がもたらす関係者への

影響などについての考慮が必要であるとしている。

c)

ビジョナリーリーダシップ  基本的に 8 原則と同じである。

この規格では,リーダシップにおけるビジョンの重要性に鑑み,原則の名称に“ビジョナリー”を

追加し,強調している。

d)

コアコンピタンスの認識  8 原則には含まれていない。

この規格では,成功するためにもつべき能力を認識し,自己の特徴をい(活)かしてその能力を獲

得することの重要性に鑑み,追加している。

e)

成長志向  8 原則では,継続的改善の重要性について述べている。

この規格では,常に成長していく気概及び成長できる能力が,継続的な改善及び革新を具現化する

基盤として重要であるとしている。

f)

システム思考  8 原則では,

“システムアプローチ”として,品質マネジメントシステムの設計,構築

及び運営の基本について述べている。

この規格では,システムアプローチをマネジメントシステムへの適用に限定せず,

“システム思考”


36

Q 9005

:2014

と呼んで,このアプローチの基本概念を再整理している。すなわち,ある程度複雑な対象に対して,

対象全体の目的を明確にした上で,対象を構成する要素を特定し,その要素間及び目的と要素との間

の関係の理解に基づき最適化を図る方法論として説明している。当然,この思考法はマネジメントシ

ステムの設計,構築及び運営にも適用できる。

g)

プロセスアプローチ  8 原則では,活動をプロセスとして運営管理することの重要性について述べて

いる。

この規格では,このアプローチの本質を,良い結果を得るために要因系に注目すること,及び活動

をプロセスとして理解することの意義に求め,基本概念を再整理している。

h)

科学的アプローチ  8 原則では,意思決定おける事実に基づくアプローチについて述べている。

この規格では,事実に基づくアプローチを含む“科学的アプローチ”

,すなわち事実,論理性,再現

可能性,及び因果関係の理解に基づく目的達成を重視するアプローチに概念を拡大している。

i)

ひと中心マネジメント  8 原則では,人々の参画が中心であった。

この規格では,人々の参画から拡大して,人々を重視し,い(活)かし,大切にする組織運営の重

要性について述べている。

j)

パートナとの協働  8 原則では,組織とパートナの双方に便益のある関係の重要性について述べてい

る。

この規格では,供給者というより,事業のパートナとしての認識が重要であることが強調されてい

る。


37

Q 9005

:2014

附属書 C 

参考)

重要品質マネジメントシステム要素,

並びにそれが具備する必要のある属性,性質及び状態の例

C.1

一般

この附属書は,組織能力像の発揮に当たって重要視する品質マネジメントシステム要素,並びにそれが

具備する必要のある属性,性質及び状態の例を示しており,5.5 の品質マネジメントシステムの設計で活

用する(

表 C.1 参照)。


38

Q 9005

:2014

表 C.1

品質マネジメント

システムの要素

重要

品質マネジメントシステム要素の例

具備する必要のある

属性,性質及び状態の例

固有技術,知識

・  商品設計・開発技術

・  小型化設計技術 
・  多種多様な金融商品に対する高度な専門知識

・  生産技術

・  高硬度材料 X の加工法

・  複雑形状の金型製造技術

・  評価技術

・  高精度かつ高速度分析が可能な評価技術

・  不特定多数のユーザからのコメント,レビュー

内容などのビッグデータの体系的な分析及び
評価技法

品質マネジメント

システムの企画,

有効性評価,革新

・  事業環境変化分析

・  競合組織と比べて,業界動向情報の迅速な獲得

・  事業シナリオの策定

・  競争優位の獲得,維持及び向上が実現可能な事

業シナリオの策定

・  品質方針,品質目標の展開

・  実現可能な方策への確実な展開及び効果的な

担当者の割付け

・  品質マネジメントシステムの有効

性評価,事業におけるパフォーマン
スの評価及びそのフィードバック

・  個人単位での目標達成状況管理システム

製品・サービス実

現プロセス

・  商品企画

・  顧客へのアクセスの良さ,顧客動向を迅速かつ

的確にとらえる分析力

・  設計

・  組立効率を追求した製品設計 
・  宿泊客のし(嗜)好を考慮した究極の“おもて

なし”サービス内容の設計

・  購買

・  コストパフォーマンスの高い材料購買 
・  事業リスクを考慮した購買先の的確な分散化

・  生産

・  顧客の需要変動に適切に対応できる生産・在庫

調整

・  販売,アフターサービス

など

・  顧客ニーズに合致した製品の的確かつ迅速な

提案

・  モバイルインターネット端末を用いた簡単な

商品注文方法と即日配送

経営資源の運用管

・  組織の人々の力量管理

・  高い問題解決力をもった技術者及びそれを可

能にする教育体系

・  施設,設備,機器などのインフラス

トラクチャーの管理

・  幅広いタイプの製品に対応可能で,高速度処理

可能な生産設備

・  作業効率と安全性とを追求したひと中心の職

場環境設計

・  洗練さと心が和らぐ雰囲気を感じ取れる施設

又は空間

・  業務環境管理

・  過去の不適合情報が迅速に検索可能な設計技

術蓄積システム

・  情報システム管理

・  現場と経営層との間のリアルタイムでの情報

共有システム

・  財務資源管理

など

・  高い事業収益率(ROA 及び ROE)を達成,維

持できる投資計画及び低金利での多額の資金

調達力


39

Q 9005

:2014

附属書 D 

参考)

監視,測定及び分析,並びにその結果の考慮事項

D.1

一般

この附属書は,製品・サービス及びプロセス,顧客及びその他の利害関係者の認識,並びに事業環境の

変化及びパフォーマンス(市場占有率,売上高,利益,格付けなど)に関する監視,測定及び分析におけ

る評価指標,考慮事項を示したものである。

D.2

製品・サービス及びプロセス

D.2.1

製品・サービス及びプロセスの評価指標

評価指標の例には,次の事項がある。

−  製品・サービス及びプロセスの不具合(不適合品率,苦情・クレーム件数,工程能力など)

−  コスト(コスト達成率など)

−  量・納期(生産性,納期達成率など)

−  安全(事故件数,ヒヤリハット件数など)

−  環境(エネルギー使用量など)

−  情報(検索スピード,流出による損失金額など)

D.2.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  クレームなどの結果に関して目標及び競合組織と比較する。

−  評価指標の現在の水準及びその傾向を把握する。

−  製品・サービス及びプロセスの影響因子,根本原因などを抽出する。

D.2.3

分析結果の活用方法

組織は,製品・サービス及びプロセスの監視及び測定の分析結果を,製品・サービス及びプロセスの改

善に反映させ,品質マネジメントシステムの成熟度(E.3 

注記 参照)の向上に努めることが望ましい。

D.3

顧客満足

D.3.1

顧客満足の評価指標

評価指標の例には,次の事項がある。

−  インタビュー,アンケートなどによる顧客の評価

−  賞賛及び苦情

−  製品・サービスの実績(市場占有率,売上高,利益など)

−  組織のパフォーマンス(市場占有率,売上高,利益,格付けなど)

−  顧客のロイヤルティ(再購入,組織の他製品・サービス購入,他の顧客への推薦など)

−  組織のイメージ(新聞,雑誌などの製品・サービス比較記事,ブランドイメージなど)

D.3.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  市場占有率などのパフォーマンスに関して目標及び競合組織と比較する。


40

Q 9005

:2014

−  評価指標の現在の水準及びその傾向を把握する。

−  顧客満足の影響因子,根本原因などを抽出する。

D.3.3

分析結果の活用方法

組織は,顧客満足の監視及び測定の分析結果を,新製品・サービスの企画,及び製品・サービスの改善

に反映させ,顧客満足の向上に努めることが望ましい。

D.4

組織の人々の満足

D.4.1

組織の人々の満足の評価指標

評価指標の例には,次の事項がある。

−  アンケート,面談などによる人々の評価

−  不平及び不満

−  人々の提言

−  出勤率,遅刻率及び長期欠勤の程度

−  採用に対する応募傾向

−  退職率

D.4.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  人々の満足の情報及びデータを活用して,評価指標の現在の水準及びその傾向を把握する。

−  人々の満足の影響因子,根本原因などを抽出する。

D.4.3

分析結果の活用方法

組織は,人々の満足の監視及び測定の分析結果を製品・サービス及び品質マネジメントシステムの改善

に反映させ,人々の満足の向上に努めることが望ましい。

D.5

パートナとの共生関係

D.5.1

パートナとの共生関係の評価指標

評価指標の例には,次の事項がある。

−  パートナに対する支援(情報提供,人的支援,教育・訓練,指導など)

−  発注量及びその継続性

−  不平及び不満

−  パートナの財務状態

−  パートナの技術力,及び人材の力量の向上

−  目標達成率(コスト,サイクルタイムなど)

−  パートナからの提案数

D.5.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  パートナとの共生関係の情報及びデータを活用して,評価指標の現在の水準及び傾向を把握する。

−  パートナとの共生関係の影響因子,根本原因などを抽出する。

D.5.3

分析結果の活用方法

組織は,パートナとの共生関係の監視及び測定の分析結果を,製品・サービス及び品質マネジメントシ

ステムの改善に反映させ,パートナとの共生関係の度合いの向上に努めることが望ましい。


41

Q 9005

:2014

D.6

投資家・株主の信頼

D.6.1

投資家・株主の信頼の評価指標

評価指標の例には,次の事項がある。

−  株主総会,投資者説明会(IR)などでの意見及び不満

−  株価

−  外部機関による組織の評価結果

D.6.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  投資者・株主の信頼の度合いの情報及びデータを活用して,評価指標の現在の水準及び傾向を把握す

る。

−  投資者・株主の信頼の度合いの影響因子,根本原因などを抽出する。

D.6.3

分析結果の活用方法

組織は,投資者・株主の信頼の度合いの監視及び測定の分析結果を,製品・サービス及び品質マネジメ

ントシステムの改善に反映させ,投資者・株主の信頼の度合いの向上に努めることが望ましい。

D.7

社会に対する影響

D.7.1

社会に対する影響の評価指標

組織は,顧客に提供する製品・サービスを通じて社会の発展に貢献するために,自らの活動が社会に与

える現在及び将来の影響の度合いを把握し,社会の一員としての社会的な責任を果たすことが望ましい。

評価指標を明確にするに当たって次の事項を考慮し,社会に対する影響の度合いを評価することが望まし

い。

−  環境

−  安全

−  社会貢献(文化及び地域などへの貢献)

−  組織活動の透明性

−  法令順守

−  雇用機会

−  納税

D.7.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  社会に対する影響の度合いの情報及びデータを活用して,評価指標の現在の水準及び傾向を把握する。

−  社会に対する影響の度合いの影響因子,根本原因などを抽出する。

D.7.3

分析結果の活用方法

組織は,社会に対する影響の度合いの監視及び測定の分析結果を,製品・サービス及び品質マネジメン

トシステムの改善に反映させ,社会に対する影響の度合いの向上に努めることが望ましい。

D.8

事業環境の変化及びパフォーマンス

D.8.1

市場の変化及びパフォーマンスの評価指標

評価指標の例には,次の事項がある。

−  市場動向


42

Q 9005

:2014

−  市場占有率

−  新技術の動向

−  売上高

−  利益

−  格付け

−  競合組織とのパフォーマンス比較

D.8.2

分析に当たっての考慮事項

分析に当たっては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  事業活動のパフォーマンスに関するデータを活用して,評価指標の現在の水準及び傾向を把握する。

−  市場動向のデータを活用して,市場の変化を分析する。

−  技術動向のデータを活用して,技術の変化を分析する。

D.8.3

分析結果の活用方法

組織は,事業環境の変化及びパフォーマンスの監視,測定及び分析の結果を戦略的レビューへのインプ

ットとし,品質マネジメントシステムの革新の可否を決定することが望ましい。


43

Q 9005

:2014

附属書 E

参考)

自己評価

E.1

一般

組織は,組織能力像に記述された,もつべき能力を獲得し現実に発揮できる品質マネジメントシステム

を設計し,構築し,運用するため,組織の品質マネジメントシステムの有効性,効率及び成熟度を自己評

価し,持続的成功を確実なものとすることが望ましい。

この附属書は,自己評価(11.2 参照)の方法及び基準について,参考となる情報を示す。

E.2

自己評価の基本的考え方

組織は,自己評価プログラムを確立し,次の事項を考慮して自己評価を計画し,運用することが望まし

い。

−  この規格の適用に当たって明確にされている組織能力像を再確認する。

−  その組織能力像が,この規格に従って設計された品質マネジメントシステムのどの要素で実現されて

いるかを再確認する。

−  その特定された品質マネジメントシステム要素を重点的に評価する。評価に当たり,評価対象とする

領域,側面及び活動,並びに評価の詳細さ及び分析の深さを,その重要性に応じて定め,これに基づ

いて評価項目を決めることが望ましい。

−  自己評価の結果は,組織内の関係者に周知し,組織の事業環境及び将来の方向性に対して共通認識を

もてるように活用することが望ましい。

特に,

自己評価の結果を戦略的レビューへのインプットとし,

品質マネジメントシステムの改善及び革新に活用することが望ましい。

E.3

自己評価基準の設計

組織は,明確にした組織能力像に応じて,自己評価の対象として特定した品質マネジメントシステム要

素について,次の事項を考慮して,自己評価基準(評価項目及び成熟度の判定基準)を設計することが望

ましい。

a)

評価項目の設計  5.111.3 の品質マネジメントシステム要素のうち,自己評価の対象として特定した

各要素に対して,評価項目を設計する。評価項目の設計に当たっては,各評価項目の“評価の視点”

の例を参考に,それぞれの組織における“評価指標(結果)

”を決定することが望ましい(

表 E.1 参照)。

注記 1  表 E.1 は,評価項目の構成要素である評価の視点及び評価指標(結果)の例を示したもの

である。

表 E.1 に基づき,表 E.3 以下に品質マネジメントシステム要素ごとの評価項目を

展開している。

−  評価項目の“評価の視点”の欄は,この規格に基づき作成されており,この規格の品

質マネジメントシステム要素を提供する。

−  評価項目の“評価指標(結果)

”の欄は,その品質マネジメントシステム要素全体の総

合的なパフォーマンスを測る評価指標の例を提供する。

b)

成熟度の判定基準の設計  自己評価の対象として特定した各要素に対して,共通の成熟度モデル(表

E.2

)を参考にして,成熟度の判定基準(

“実施状況”及び“結果”

)を設計する。


44

Q 9005

:2014

注記 2  成熟度モデルとは,組織の能力の段階を定義するモデルのことである。

注記 3  成熟度モデルの実施状況とは,その品質マネジメントシステム要素における実施事項の計

画及び/又はその実施の状態を表している。また,結果とは,実施状況について,それぞ

れの評価の視点に基づいて総合的に判断した結果及び競合組織との比較結果を表している。

E.4

自己評価の実施

組織は,次の事項を考慮して自己評価を行い,各要素について成熟度を確定することが望ましい。

a)

組織が設計した評価項目の評価の視点及び成熟度の判定基準(実施状況)に基づき,品質マネジメン

トシステムの各要素の実施状況を評価し,その内容を記録するとともに,成熟度を確定する。

b)

組織が設計した評価項目の評価指標(結果)及び成熟度の判定基準(結果)に基づき,品質マネジメ

ントシステムの各要素の結果の状況を評価し,その内容を記録するとともに,成熟度を確定する。

c)

自己評価した結果から,品質マネジメントシステムの改善及び革新を必要とする事項を抽出する。

d)

上記 c)に基づき,自己評価報告書を作成し,関係者に配付する。

e)

該当する場合は,自己評価のフォローアップを確実に行う。

f)

自己評価の結果を戦略的レビューへのインプットとする。

表 E.1−評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

この規格に基づく品質マネ

ジメントシステム要素

−  品質マネジメントシステム要素全体の総合的なパフォーマンスを測

る評価指標

表 E.2−共通の成熟度モデル

成熟度

実施状況

結果

1

品質マネジメントシステムの要素の実態及び機能が存

在していない。

計画した目標がほとんど達成されていない。

業界の下位のパフォーマンスである。

2

品質マネジメントシステムの要素は存在するが,シス

テムとして意識された運用はしていない。

計画した目標が達成されていないものが多い。

業界の中位の下のパフォーマンスである。

3

品質マネジメントシステムの要素が存在し,システム
として意識された運用がされているが,有効な活動は

実施されていない。

ほぼ計画どおりの目標を達成している。 
業界の中位の上のパフォーマンスである。

4

品質マネジメントシステムの要素が存在し,システム

として意識された運用及び有効な活動が実施されてい

るが,事業環境への変化への対応はできていない。

目標どおりの計画を達成しているが,事業環境

の変化に応じた目標を達成できていない。

業界の上位のパフォーマンスを維持している。

5

品質マネジメントシステムの要素が存在し,システム
として意識された運用及び有効な活動が実施されてお

り,事業環境の変化への対応ができている。

挑戦的な計画に対する目標を達成しており,事
業環境の変化に応じた計画に対する目標を継続

的に達成できている。

業界のトップクラスのパフォーマンスを維持し
続けている。


45

Q 9005

:2014

E.5

この規格の各箇条に対応した評価項目の例

E.5.1

箇条 の品質マネジメントシステムの企画に対応した評価項目の例

箇条 の品質マネジメントシステムの企画に対応した評価項目の例を,

表 E.3∼表 E.8 に示す。

表 E.3−一般(5.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

事業環境の変化に対応して,品質マ

ネジメントシステムを適切に企画
できているか。

−  対象事業における競争優位に直結する能力と組織の品質マネ

ジメントシステムに保有されている能力の間のミスマッチ

−  競争優位に直結する能力を発揮するための重要品質マネジメ

ントシステム要素の抜け

−  事業環境の変化に伴う品質マネジメントシステムの再企画の

頻度,タイミングの適切さ

−  企画プロセスの適切さ(必要なステップを確実に踏んでいる

か,途中の分析に矛盾はないか,分析経過及び結果は適切に
文書化され見直しの際に有効に活用できるか,など)

表 E.4−企画におけるトップマネジメントのリーダシップ(5.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

トップマネジメントは,品質マネジ

メントシステムの企画,有効性の監

視・測定及び改善・革新においてリ
ーダシップを発揮しているか。

−  顧客価値の明確化及び顧客満足の確保におけるリーダシップ

の状況(事業における顧客価値提供の位置付けの明確化,事

業運営のためのマネジメントシステムと品質マネジメントシ
ステムとの一体化の程度など)

−  利害関係者のニーズ及び期待に応えることにおけるリーダシ

ップの状況(活動の組織化,投下経営資源の質及び量など)

−  品質マネジメントシステムの企画の率先の状況(仕組みの構

築における率先,企画への参加度合いなど)

−  品質マネジメントシステムの有効性の監視・測定及び改善・

革新におけるリーダシップの状況(提案,発言の多さなど)

表 E.5−提供する顧客価値の明確化(5.3)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製品・サービスの提供に関わる全て
の 関 係 す る 組 織 及 び そ の 間 の 情

報・ものの流れを明確にしている

か。

−  顧客価値提供における供給ネットワーク内の関連組織及び価

値連鎖に対する,経営者及び組織の構成員への理解の浸透の

度合い

b)

組織にとっての顧客及び競合組織
を明確にし,その環境下における具

体的な競争条件及び状況を把握し

ているか。

−  ターゲット顧客と現取引顧客,営業先顧客との間のずれ 
−  想定外の異業種又は海外の競合組織の出現の有無及び件数

−  組織と競合組織間の優劣状況の想定外の逆転の発生の有無

−  これまでとは全く異なる価値提供による新たな競争状況の発

c)

当該競争条件及び状況下において,
将来にわたって顧客の購買を促す

決定的な顧客価値を明確にしてい

るか。

−  顧客からの受注成功・失敗事例に対する,顧客価値の説明力
−  想定外の顧客価値による失注件数

−  製品・サービス提供側が伝えたい価値と顧客が認識した価値

の間の内容及び程度の相違


46

Q 9005

:2014

表 E.6−もつべき能力及びい(活)かすことができる特徴の特定(5.4)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

顧客価値提供に必要な能力の明確
化,い(活)かしている特徴の特定

を通じて,現行の事業シナリオを可

視化しているか。

−  可視化した現行の事業シナリオと,これまでの事業の成否の

理由との一致度合い

−  過去の事業展開及び市場競争力の強化策と,事業シナリオと

の整合の状況

b)

将来の事業環境変化を適切に分析
しているか。

−  予期できなかった事業環境変化事象の件数 
−  競合組織に先行されてしまった事象又は投資案件の数

−  現行の事業シナリオへの影響の評価の適切さ

c)

将来においても持続的に成功でき

得る事業シナリオを策定している

か。

−  ターゲット顧客の市場規模の魅力度

−  異なる価値提供方式による他社の競争優位に起因する,自社

の失注事例の数

−  想定した競争優位に直結する能力についての競合組織との間

の優劣の状況

−  想定外の事業環境変化によらない,自社の分析の不十分に起

因する事業シナリオの頻繁な変更

−  事業シナリオの実現と業績との間の整合性

表 E.7−品質マネジメントシステムの設計(5.5)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

変化に的確に対応し,組織能力像を

十分かつ確実に発揮させる手段と
して,組織が構築する品質マネジメ

ントシステムの仕様を明確にして

いるか。

−  特定した重要品質マネジメントシステム要素の抜け・漏れ,

又は不必要な要素の列挙数

−  重要品質マネジメントシステム要素が具備する必要のある属

性,性質及び状態の変更件数

−  重要品質マネジメントシステム要素間の相互関係の不備に伴

う,組織体制及びプロセスの変更件数

表 E.8−品質マネジメントシステムに対する要求事項の明確化(5.6)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

品質マネジメントシステムを実行
可能な状況にするために必要とな

るプロセスを特定しているか。

−  特定した各プロセスの抜け・漏れ,プロセスの追加変更件数
−  プロセス間の相互関係の不備に伴う,プロセス及び活動の見

直し件数

b)

品質マネジメントシステムの各プ

ロセスの効果的かつ効率的な運用
を実現するために必要となる,組織

体制及び経営資源に関する基本方

針を明確にしているか。

−  組織体制の不備に伴う,各部門の役割分担,責任権限の変更

件数及び人員配置変更件数

−  重要経営資源の獲得の失敗件数,重要経営資源の不足による

事業成功の機会損出及び経営資源獲得方法の別ルートへの変

更件数


47

Q 9005

:2014

E.5.2

箇条 の品質マネジメントシステムの構築及び運用に対応した評価項目の例

箇条 の品質マネジメントシステムの構築及び運用に対応した評価項目の例を,

表 E.9 及び表 E.10 に示

す。

表 E.9−品質マネジメントシステムの構築(6.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

設計した品質マネジメントシステ

ムの全体像を示す可視化を行い,組
織内で適切に共有されることを確

実にし,その上で品質マネジメント

システムの構築をしているか。

−  事業環境・構造・利害関係者,事業シナリオ・顧客価値・組

織能力像,及び能力が発揮されるための品質マネジメントシ
ステム要素の可視化の量

−  組織の人々における,可視化された品質マネジメントシステ

ムから得られた共通認識の一貫性

−  品質マネジメントシステム構築の計画の有無

b)

トップマネジメントは組織体制の

基本方針(5.6.2 参照)に基づき,

品質マネジメントシステムの各プ
ロセスの担当を明確にしているか。

また,必要に応じて組織体制及び構

造を見直しているか。

−  組織体制の基本方針(5.6.2 参照)からの具体的な実施事項の

有無

−  品質マネジメントシステムの各プロセスについての実施及び

管理責任のある部門・部署・職位の明確さ及び文書化の程度

−  組織体制及び構造見直しのためのタイミング及び頻度

c)

トップマネジメントは,品質マネジ

メントシステムの管理責任者を任
命し,責任及び権限を割り当ててい

るか。

−  トップマネジメントによる管理責任者任命の有無

−  品質マネジメントシステムを効果的かつ効率的に運営管理す

る上での,管理責任者に割り当てられている権限の妥当性

−  管理責任者の率先垂範の状況

d)

トップマネジメントは,経営資源へ

の基本方針(5.6.2 参照)に基づき,
経営資源の確保をしているか。

−  トップマネジメントによる,

投入経営資源への基本方針

5.6.2

参照)の理解の程度

−  トップマネジメントによる,投入経営資源確保への計画の有

無,及び具体性

−  トップマネジメントによる,投入経営資源確保への実践的行

動の量

e)

必要な経営資源,組織体制,プロセ
ス,手法及びツールの提供によっ

て,学習に基づく継続的な改善及び

革新を確実にしているか。

−  学習に基づく継続的な改善及び革新の理解の度合い 
−  必要となる経営資源,組織体制,プロセス,手法及びツール

の特定及び具体性

−  認知された変化,自発的な学習の行動の量 
−  改善,革新への発案の件数


48

Q 9005

:2014

表 E.10−品質マネジメントシステムの運用(6.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

トップマネジメントは,品質方針を
策定し,実施し,維持しているか。

−  トップマネジメントによる品質方針の策定の有無 
−  品質方針を実施する上での具体的な施策の質及び量

−  トップマネジメントによる品質方針に沿った行動の一貫性

−  組織の人々における品質方針の意義への認識の一貫性と行動

への展開の有無

b)

品質方針を組織全体に展開するこ

とを確実にしているか。

−  各部門・各階層にて明確にされている課題の有無

−  課題毎の達成目標及び評価基準の有無及び質

−  達成への主題の明確さ 
−  必要な資源への計画の有無及び妥当性

−  実施計画書の有無及び質

c)

組織内外におけるコミュニケーシ

ョンプロセスを確立しているか。

−  必要となる内外におけるコミュニケーションの種類とその目

的の確立の程度

−  組織内外におけるコミュニケーションを実行するプロセスの

確立の程度

−  実施されているコミュニケーションの頻度

−  実施されたコミュニケーションの目的から評価した効果

d)

改善及び革新を実現するために,学
習及びそのための風土を醸成して

いるか。

−  個人の学習を促進する環境,体制及び手法の具体的な特定の

程度

−  その環境,体制及び手法の提供の計画の有無及び実施の頻度

−  新たな知識及び思考形態・行動様式の獲得などにつながった

個人による成功事例,失敗事例の件数

−  組織の学習として,知識の形式化,集積及び共有を行うため

の環境,体制並びに手法の具体的な特定の程度

−  その環境,体制及び手法の提供の計画の有無及び実施の頻度

−  組織の知識及び思考形態・行動様式として共有・形式化した

事例の件数

e)

品質マネジメントシステムを文書

化するとともに,文書が,効果的か
つ効率的に作成され,活用できるよ

うに管理しているか。

−  効果的かつ効率的な記録を含む文書管理プロセスの有無

−  文書管理プロセスの負荷の程度 
−  文書管理プロセスの必要となる情報の検索と再利用の容易性

−  情報技術の採用の程度

f)

品質マネジメントシステムの有効

性及び効率を,是正処置,予防処置,
内部監査,及びトップマネジメント

による有効性レビューを通じて継

続的に改善しているか(箇条 10 
照)

−  顧客価値提供の失敗事例及び件数

−  組織能力像の具現化に必要な資源等の不足事例及び件数 
−  内部監査による,失敗や能力具現化不足事例の検出数

−  是正処置・予防処置の実施頻度及び件数

−  マネジメントレビューの実施頻度 
−  是正処置及び予防処置の妥当性

g)

組織は,明確にした事業シナリオ及
び組織能力像の革新の必要性を自

己評価及び戦略的レビューを通じ

て判断し,必要な場合は,新たな事
業シナリオ及び組織能力像を作成

し,品質マネジメントシステムを革

新しているか(箇条 11 参照)

−  把握されている事業シナリオの成功及び失敗数 
−  自己評価及び戦略的マネジメントレビューの実施頻度

−  必要と認識されている革新の件数

−  新たな事業シナリオ及び組織能力像の明確化に関わる活動の

頻度


49

Q 9005

:2014

E.5.3

箇条 の経営資源の運用管理に対応した評価項目の例

箇条 の経営資源の運用管理に対応した評価項目の例を,

表 E.11∼表 E.17 に示す。

表 E.11−一般(7.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

トップマネジメントは,組織の事業
シナリオ及び事業目標の達成に不

可欠な経営資源が明確にされ,利用

できることを確実にしているか。

−  事業シナリオ及び事業目標の達成度合い 
−  組織能力像の達成度合い

−  経営資源の有効配分(重要資源の特定・優先順位付け)

−  経営資源の確保(不足資源の特定・獲得)

表 E.12−組織の人々(7.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

人々の力量を開発し,向上させるた
めのプロセスを構築し,実施し,維

持しているか。

−  人々の力量の獲得 
−  資格認定者の数

−  人材マップ・技能技術者マップの充実の程度

b)

職務遂行に必要な力量を獲得し,向

上するために,人々を動機付けして

いるか。また,人々の満足を高めて
いるか。

−  人々の動機付けの状況(提案件数及び提案の質,表彰対象者

の数,人々のオーナーシップなど)

−  人々の満足度の向上の程度(離職率,職場の不満の数など)

c)

製品・サービスの実現に影響する力

量を明確にし,開発計画を策定し,

教育訓練を実施し,計画的な人事を
行っているか。

−  計画的な力量開発の状況(恒常的な人員不足の傾向,恒常的

な人材不足,管理者予備人員・経営者予備人員の数,年齢構

成比など)

表 E.13−パートナ(7.3)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

パートナを選択し,評価し,かつ,

その力量を改善するためのプロセ
スを構築し,実施し,維持している

か。

−  パートナとの密な信頼関係の状況

−  パートナとの良好な関係の維持の状況

b)

組織は,適切なパートナを選択して

いるか。

−  良好なパートナの数

−  パートナとの関係に伴うリスクの程度 
−  パートナとの協働による価値創造(購買製品・サービスの品

質,リードタイムの短縮,プロダクトミックスの充実,情報

の共有化の推進など)

c)

パートナの力量改善推進のために

パートナを評価しているか。

−  パートナ評価項目の妥当性及びその質

−  発見した力量改善の機会の数 
−  パートナとの協働の質・回数

d)

パートナの評価に基づいて,パート

ナの力量に関して,協働で継続的改

善を行っているか。

−  パートナの改善目標の達成度

−  優良パートナ表彰の数

−  パートナ継続的改善に基づく能力向上(技術力及び品質マネ

ジメントシステムの成熟度)

e)

パートナが顧客に製品・サービスを
提供するに当たっての対等な協力

者であることを認識し,パートナへ

の配慮を行っているか。

−  パートナへの情報提供の頻度と質 
−  パートナの協働の健全性

−  パートナの組織への期待及び評価


50

Q 9005

:2014

表 E.14−知的資源(7.4)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

知的資源に関するプロセスを構築
し,実施し,維持しているか。

−  必要とする知識資源の計画的な管理の状況(必要とする知

識・技術の認識,必要とする知識・技術の獲得及び維持,知

的資源の保護,知的資源の活用など)

−  有効な技術提携の数 
−  個人が所有する情報及び知識・技術の共有の場の数と質

b)

情報を効果的かつ効率的に運営管

理しているか。

−  データの取捨選択及び有用な情報への変換の程度(IT 技術の

活用,データへのアクセス,意図が明確なデータ収集など)

−  情報及びその入手手段の合法性及び正当性の確保の状況(情

報入手に関する係争の数,情報入手に関する苦情の数など)

−  適切なセキュリティ及び機密保持の状況

(情報流出の数,

人々

の機密情報に関する認識,機密ランクの明確な設定など)

c)

知識・技術を効果的かつ効率的に運

営管理しているか。

−  標準化され登録された知的財産の数及び質

−  再利用のための選択,識別,適用及び移転の状況(IT 技術の

活用,知識・技術へのアクセス,蓄積された知識・技術の鮮

度及び有効度など)

−  商品化率などの知的財産の再利用率(知識財産化,特許件数,

特許料,知財に関する係争の数など)

−  セキュリティへの対応状況(流出による損失,流出防止ルー

ルの設定など)

−  知識・技術の移転(移転スピードなど)

表 E.15−インフラストラクチャー(7.5)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製品・サービス実現に必要なインフ

ラストラクチャーを計画し,整備

し,運営管理しているか。

−  生産高

−  稼働率(製品生産ラインの稼働率,サービスツールの稼働率

など)

−  整備コスト(製品生産ラインのメンテナンスコスト,サービ

スツール調達・整備コストなど)

b)

適切なインフラストラクチャー整

備を計画しているか。

−  必要なインフラストラクチャーの整備状況

−  インフラストラクチャーが原因の問題発生(環境問題発生件

数,安全問題発生件数,セキュリティ問題発生件数など)

−  インフラストラクチャーに関連するリスク対応計画の十分性

c)

インフラストラクチャーを運営管

理するための手順を確立し,実施

し,維持しているか。

−  個々のインフラストラクチャーの保全の十分性(MTBF,

MTTR

など)

表 E.16−業務環境(7.6)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

適切な業務環境を提供し,運営管理

しているか。

−  人々の意欲,満足,パフォーマンスの程度(生産性,作業ス

ピード,要員の健康,事故の数,ケアレスミスの数など)

−  人々が利用できる施設の問題点

−  職場の人間関係に問題はないか(職場環境における満足度な

ど)


51

Q 9005

:2014

表 E.17−財務資源(7.7)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

必要な財務資源を計画し,確保し,
管理しているか。

−  品質マネジメントシステムの財務資源の制限による機会損失

(品質マネジメントシステムに対する投資額など)

−  品質マネジメントシステムの財務資源の効果的運用状況(未

計上費用,予算の未消化など)

E.5.4

箇条 の製品・サービス実現に対応した評価項目の例

箇条 の製品・サービス実現に対応した評価項目の例を,

表 E.18∼表 E.27 に示す。

表 E.18−一般(8.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

効果的かつ効率的なマーケティン
グ及び研究開発の機能を確立して

いるか。また,そのアウトプットと

して計画された個別の製品・サービ
スを効果的かつ効率的に実現して

いるか。

−  市場のニーズ及び期待を反映した新製品・サービスの開発状

況(新製品・サービスの市場シェアなど)

−  新製品・サービス導入の状況(新規市場の開拓状況)

表 E.19−マーケティング(8.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

マーケティングのプロセスを確立

しているか。

−  狙いとする顧客及び顧客価値の特定の状況(顧客ニーズに即

したプロダクトミックスなど)

b)

マーケティング活動のアウトプッ

トを明確にしているか。

−  新製品・サービスの企画提案状況

−  新製品・サービス投入のタイミングの適切性 
−  新規市場の開拓

c)

製品・サービスのコンセプトを確立
しているか。

−  製品・サービスのコンセプトの競争力(新製品・サービスヒ

ット率,製品・サービスの競争優位性など)

d)

マーケティングのプロセスを適切

に運営管理しているか。

−  マーケティングのプロセスの運営の適切性(マーケティング

のプロセスの改善の進捗,潜在ニーズの特定など)

表 E.20−研究開発(8.3)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

事業シナリオに基づいた研究開発

を推進するためのプロセスを構築

し,実施し,維持しているか。

−  潜在ニーズを含む市場ニーズに対応した技術基盤の確立状況

(将来性のある技術シーズの数など)

b)

組織の事業の成否を左右する技術
(コア技術)を獲得し維持するため

の技術戦略を策定しているか。

−  競争力のあるコア技術の獲得状況(コア技術の開発件数)

c)

競争優位を維持し,意図した時期に

技術を確立し,顧客に受け入れられ

る製品・サービスを提供するための
研究開発プロセスの運営管理を実

施しているか。

−  技術の用途開発を含め将来性及び市場性のある技術開発テー

マへの資源の集中度合い

−  将来の顧客ニーズを満たす可能性のある研究開発テーマの数

及びその進捗(商品化した技術の数,商品に応用した技術の

数など)


52

Q 9005

:2014

表 E.21−製品・サービスの企画(8.4)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

顧客に提供する,ある特定の製品・
サービスを決定し,その製品・サー

ビスを実現するための計画を策定

し,実施しているか。

−  市場のニーズに即した製品・サービスの企画状況(市場性,

コスト,流行トレンドなどの,市場に提供した当該製品・サ

ービスの総合的な完成度,当該製品・サービスの収益率など)

−  新製品・サービスのスムースな市場投入の状況(製品・サー

ビスの投入スピードなど)

表 E.22−設計・開発(8.5)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製品・サービスの設計・開発を計画

し,管理しているか。

−  設計・開発期間

−  設計・開発に関する連携不足による問題件数

−  責任と権限に由来する問題件数 
−  マイルストーンからのずれ

b)

設計・開発へのインプットを明確に
し,レビューし,記録を維持してい

るか。

−  活用する全ての情報の考慮の状況(新技術の採用件数,過去

の問題の再発件数,設計・開発変更件数など)

c)

設計・開発からのアウトプットは,

設計・開発へのインプットと対比し
て検証及び妥当性確認ができるか。

−  設計開発のアウトプットの要求事項の充足状況(設計・開発

以降の工程で発生した設計・開発の不備による問題件数など)

d)

設計・開発の適切な段階において,
設計・開発に関係する部門代表者を

含む部門横断的な編成のチームに

よる体系的なレビューを,計画され
たとおりに行っているか。

−  設計・開発段階の進捗管理の状況(設計・開発工程で発見さ

れた問題件数など)

e)

計画されたとおりに検証を実施し

ているか。

−  製品・サービスの検証の確実さ(市場での製品に関する苦情

件数,製品・サービスのコスト目標対実績など)

f)

計画された方法に従って,設計・開

発の妥当性確認を実施しているか。

妥当性確認において発見された設
計・開発の問題に対する必要な処置

を計画し,実施し,その処置が適切

に実施されたことを確認している
か。

−  製品・サービスの妥当性確認の確実さ(設計・開発以降の工

程で発生した設計・開発の不備による問題件数,市場におけ

る問題の発生件数など)

g)

必要に応じ,各製品・サービスを構

成する要素に分解し,それぞれの要

素を識別し,そのトレーサビリティ
を管理する手順を確立しているか。

−  製品・サービスのトレーサビリティの十分性(問題発生時の

処置範囲の特定,必要な追跡ができなかった件数など)

h)

管理対象とする設計・開発の変更を
運営管理しているか。

−  変更による問題発生の数 
−  変更ミス件数


53

Q 9005

:2014

表 E.23−購買(8.6)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

購買プロセスを構築し,運営管理し
ているか。

−  購買活動の円滑さ(購買製品・サービスの納入遅れの件数,

購買製品・サービスの品質など)

b)

購買製品・サービスに関する情報を

明確にし,供給者に伝達する前に,

規定した購買要求事項が妥当であ
ることを確実にしているか。

−  購買製品・サービスの品質(価格及び納期などを含む)に関

する要求事項の明確さ(購買製品・サービスの不適合件数,

購買要求事項の未達成件数など)

c)

購買製品・サービスの受入時に,製
品・サービスの検査又はその他の活

動を実施しているか。

−  受入検査の確実さ(後工程で発見された供給者起因による問

題発生件数など)

d)

供給者と購買製品・サービスに関し

て,コミュニケーションを図ってい
るか。

−  供給者の品質改善の状況(改善目標の達成など)

−  供給者と合意した品質(価格,時期及び量などを含む)の確

保の状況

表 E.24−製造及びサービス提供(8.7)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製造及びサービス提供の計画を策
定し,管理しているか。

−  製造及びサービス提供の円滑さ(ラインストップ件数,顧客

の店頭での待ち時間など)

−  目標とする製品・サービスの品質(量及び生産コストなどを

含む)の確保状況(製品・サービスの生産目標達成度など)

b)

製造及びサービス提供で必要なプ
ロセスの妥当性確認を行っている

か。

妥当性確認によって,これらのプロ
セスが計画どおりの結果を出せる

ことを実証しているか。

−  必要なプロセスの妥当性確認の確実さ(市場での重大問題の

発生件数など)

c)

製品・サービスの識別及びトレーサ

ビリティに関する手順を確立し,実

施しているか。

−  製品・サービスの識別及びトレーサビリティの確実さ(識別

の不徹底による工程内での問題発生件数,識別及びトレーサ

ビリティに関する法令・規制違反の件数など)

d)

製品を構成する要素を含め,製品を
適合した状態のまま保存する手順

を確立しているか。

−  製品の保存の確実さ(鮮度など特性の劣化による廃棄件数な

ど,変質又はさびによる廃棄件数など)

e)

適切な在庫管理の計画を策定し,管

理しているか。

−  在庫回転率

−  過剰在庫の件数


54

Q 9005

:2014

表 E.25−製品・サービスの検査及び試験(8.8)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製品・サービスの特性を考慮した検
査又は試験を,製造及びサービス提

供の適切な段階で実施しているか。

−  問題の早期発見への寄与の程度(検査及び試験の後工程で発

見された問題発生件数,検査及び試験の工数など)

−  問題製品の有効な流失防止

(市場で発覚した不適合件数など)

b)

不適合製品及び不適合となったサ

ービスを識別し,処置する手順を確
立し,維持しているか。

−  不適合製品・サービスの識別状況(不適合製品・サービスを

混同した件数,不適合製品・サービスを誤って出荷した件数,
顧客で発覚した不適合件数など)

c)

検査及び試験に必要な機器を明確
にし,適切に維持しているか。

測定値の正当性が保証されなけれ

ばならない機器に関して,機器管理
の計画を策定し,管理しているか。

−  検査及び試験機器の管理の確実さ(検査及び試験機器の故障

件数,検査及び試験機器が原因の不適合件数など)

−  検査及び試験機器の校正の確実さ(内部監査又は外部監査等

によって発見される,期間内の校正,校正に関する表示,校
正に関する記録に関する不適合件数など)

表 E.26−製品・サービスの販売(8.9)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製品・サービスの販売活動の計画を

策定し,実施し,管理しているか。

−  顧客との販売契約締結の傾向

−  販売活動に関する顧客の苦情件数

−  販売活動に関する顧客からの賛辞の数

表 E.27−製品・サービスの引渡及び引渡後の顧客サポート(8.10)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

製品・サービスの引渡しに関して,

手順を確立し,実施しているか。

−  引渡しに関する苦情件数

−  製品・サービスの結果の安全な使用・利用に関する苦情件数
−  製品・サービスの使用・利用及び保守管理に関する問合せ件

−  製品・サービスの結果の使用・利用に必要な教育・訓練の参

加率

b)

製品・サービスの引渡し後の顧客サ

ポートに関する手順を確立し,実施

しているか。

−  顧客サポートの内容(方法及び時間)及び体制(組織,要員

及び受付窓口)に関する苦情件数

−  顧客サポート(対応及びスピード)に関する苦情件数 
−  顧客サポートに関する満足度

−  苦情対応時間

−  故障修理時間


55

Q 9005

:2014

E.5.5

箇条 の監視,測定及び分析に対応した評価項目の例

箇条 の監視,測定及び分析に対応した評価項目の例を,

表 E.28∼表 E.31 に示す。

表 E.28−一般(9.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

品質マネジメントシステムのパフ
ォーマンスに重要な影響のある情

報について,定常的に監視,測定及

び分析を実施しているか。

−  監視,測定及び分析の実施状況

b)

監視,測定及び分析の一連の活動の
結果を,組織の人々に定期的に伝達

しているか。

−  監視及び測定項目の適切性分析の結果及び方法の妥当性 
−  監視,測定及び分析の結果の伝達の適切性

c)

トップマネジメントは,監視,測定

及び分析の結果を適切な部門に遅

滞なくフィードバックし,改善及び
/又は革新を行うことを確実にし

ているか。

−  有効性レビューでの活用状況

−  戦略的レビューでの活用状況

表 E.29−製品・サービス及びプロセスの監視,測定及び分析(9.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

品質マネジメントシステムのパフ

ォーマンスに重要な影響のある製
品・サービス及びプロセスについ

て,適切に監視及び測定している

か。

−  評価指標の適切性

−  評価指標の情報収集の方法の適切性

b)

製品・サービス及びプロセスの監視

及び測定結果を分析し,その結果を
有効性レビューへのインプットと

しているか。

−  目標値と実績の差異分析の適切性

−  分析の結果及び方法の妥当性 
−  是正処置及び予防処置の実施状況

−  有効性レビューでの活用状況

表 E.30−顧客及びその他の利害関係者の認識の監視,測定及び分析(9.3)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

顧客及びその他の利害関係者の認

識を監視及び測定するために,その
影響要因を考慮し,その評価指標を

設定しているか。

−  パフォーマンス指標の適切性(対象とする利害関係者の範囲

の適切性,各々の利害関係者に対する評価指標の適切性)

−  パフォーマンス指標の情報収集の方法の適切性

b)

顧客及びその他の利害関係者の認

識の監視及び測定の結果を分析し,

その結果を有効性レビューへのイ
ンプットとしているか。

−  分析の結果及び方法の妥当性是正処置及び予防処置の実施状

−  有効性レビューでの活用状況


56

Q 9005

:2014

表 E.31−事業環境の変化及びパフォーマンスの監視,測定及び分析(9.4)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

持続的成功のための事業シナリオ
の実現状況を評価するため,品質マ

ネジメントシステムの総合的なパ

フォーマンスを監視及び測定して
いるか。

−  市場占有率,売上高,利益,格付けなどの測定の有無,及び

指標の適切性

−  事業シナリオの実現状況評価への総合的なパフォーマンス指

標の適切性

−  総合的なパフォーマンス指標の情報収集の適切性

b)

組織は,事業シナリオを維持又は革

新するために,事業環境の変化及び

パフォーマンスの,監視及び測定の
結果を分析し,その結果を戦略的レ

ビューへのインプットとしている

か。

−  目標値と実績の差異分析

−  分析の結果及び方法の妥当性

−  戦略的レビューでの活用状況

E.5.6

箇条 10 の品質マネジメントシステムの改善に対応した評価項目の例

箇条 10 の品質マネジメントシステムの改善に対応した評価項目の例を,

表 E.32∼表 E.34 に示す。

表 E.32−改善(10.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

問題点を改善の機会ととらえ,製

品・サービス及び品質マネジメント
システムを継続的に改善している

か。

−  品質マネジメントシステムの不備の改善状況

−  製品・サービスに関する問題の発生件数の推移 
−  改善目標の達成状況(コスト,量・納期などを含む品質に関

する経営要素の状況の推移)

b)

再発防止のため,適時・適切に製

品・サービス及び品質マネジメント
システムに対する是正処置を実施

しているか。

−  是正処置の実施状況

−  同一原因による再発件数

c)

未然防止のため,適時・適切に組織

は,製品・サービス及び品質マネジ

メントシステムに対する予防処置
を実施しているか。

−  予防処置の実施状況

−  類似の原因による発生件数

表 E.33−内部監査(10.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

品質マネジメントシステムの有効

性及び効率を評価しているか。

−  監査プログラムの目的の達成状況

−  監査活動に関する目標の計画対実績状況

b)

内部監査の結果を有効性レビュー

へのインプットとし,製品・サービ

ス及び品質マネジメントシステム
の継続的改善に活用しているか。

−  リスクの発生件数

−  製品・サービス及び品質マネジメントシステムの改善計画対

実績

−  是正処置及び予防処置件数

−  有効性レビューでの活用状況


57

Q 9005

:2014

表 E.34−トップマネジメントによる有効性レビュー(10.3)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

あらかじめ定められた間隔で,品質
マネジメントシステムをレビュー

しているか。

−  有効性レビューにおけるトップマネジメントのコミットメン

トの状況

−  有効性レビューの開催時期の適切性

b)

有効性レビューへ必要な情報を提

供しているか。

−  有効性レビューへのインプット情報の適切性

c)

有効性レビューの結果,有用な知見

が得られ,必要な決定及び処置がな
され,また,戦略的レビューへのイ

ンプットとしているか。

−  改善に関する指示件数

−  品質マネジメントシステムの改善計画対実績戦略的レビュー

へのインプットの適切性

E.5.7

箇条 11 の品質マネジメントシステムの革新に対応した評価項目の例

箇条 11 の品質マネジメントシステムの革新に対応した評価項目の例を,

表 E.35∼表 E.37 に示す。

表 E.35−革新(11.1)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

変化の予兆の認識に基づき事業環

境の分析を行い,必要に応じて事業
シナリオを見直し,新たな組織能力

像を明確にし,それを具現化するよ

うに革新しているか。

−  変化の認識の適時・適切性

−  事業環境分析の妥当性 
−  事業シナリオの適切な変更

−  妥当な組織能力像の認識

−  持続的成功の状況(利益率の確保,新しい事業領域の確保な

ど)

表 E.36−自己評価(11.2)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

品質マネジメントシステムの有効
性及び効率,更に組織の持続的成功

の可能性を自己評価しているか。

−  自己評価の目的の達成状況 
−  自己評価の実施に関する目標達成状況

b)

自己評価の結果を戦略的レビュー

へのインプットとし,品質マネジメ
ントシステムの改善及び革新に活

用しているか。

−  戦略的レビューへのインプットの状況

−  改善及び革新の必要な品質マネジメントシステム要素の特定

状況

c)

自己評価の結果は,適切に活用され

ているか。

−  製品・サービス及び品質マネジメントシステムの改善及び革

新への自己評価の活用状況

−  組織内での,事業環境,組織能力像,改善・革新の必要な領

域に関する認識の状況


58

Q 9005

:2014

表 E.37−トップマネジメントによる戦略的レビュー(11.3)における評価項目の例

評価項目

の区分

評価の視点

評価指標(結果)

a)

トップマネジメントは,適時,適切
に戦略的レビューを実施している

か。

−  戦略的レビューにおけるトップマネジメントのコミットメン

トの状況

−  戦略的レビューの開催時期の適切性

b)

戦略的レビューへ必要な情報を提

供しているか。

−  戦略的レビューへのインプット情報の適切性

c)

戦略的レビューの結果,有用な知見

が得られ,必要な決定及び処置がな
され,将来の品質マネジメントシス

テムの企画に活用されているか。

−  革新に関する指示件数

−  品質マネジメントシステムの革新計画対実績 
−  持続的成功の状況(利益率の確保,新しい事業領域の確保な

ど)

参考文献

[1]  JIS Q 9001:2008

  品質マネジメントシステム−要求事項

[2]  JIS Q 9004:2010

  組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ

[3]  JIS Q 10002:2005

  品質マネジメント−顧客満足−組織における苦情対応のための指針

[4]  JIS Q 19011:2012

  マネジメントシステム監査のための指針

[5]  ISO 8402:1994

  Quality management and quality assurance−Vocabulary

[6]  ISO/CD 9001:2013

  Quality management systems−Requirements