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Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

2

2

  引用規格

3

3

  用語及び定義 

3

4

  組織の持続的成功のための運営管理 

3

4.1

  一般

3

4.2

  持続的成功 

3

4.3

  組織環境 

4

4.4

  利害関係者,ニーズ及び期待

4

5

  戦略及び方針 

5

5.1

  一般

5

5.2

  戦略及び方針の策定

5

5.3

  戦略及び方針の展開

5

5.4

  戦略及び方針に関するコミュニケーション

6

6

  資源の運用管理 

6

6.1

  一般

6

6.2

  財務資源 

7

6.3

  組織の人々 

7

6.4

  供給者及びパートナ

8

6.5

  インフラストラクチャー 

9

6.6

  作業環境 

9

6.7

  知識,情報及び技術

10

6.8

  天然資源 

11

7

  プロセスの運営管理

11

7.1

  一般

11

7.2

  プロセスの計画策定及び管理

11

7.3

  プロセスの責任及び権限 

12

8

  監視,測定,分析及びレビュー

12

8.1

  一般

12

8.2

  監視

12

8.3

  測定

12

8.4

  分析

15

8.5

  監視,測定及び分析から収集された情報のレビュー 

15

9

  改善,革新及び学習

16

9.1

  一般

16


Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)  目次

(2)

ページ

9.2

  改善

16

9.3

  革新

17

9.4

  学習

18

附属書 A(参考)自己評価ツール 

19

附属書 B(参考)品質マネジメントの原則

38

附属書 C(参考)JIS Q 9004:2010 と JIS Q 9001:2008 との対比 

42

参考文献

44


Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格

協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査

会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS Q 9004:2000 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 Q

9004

:2010

(ISO 9004

:2009

)

組織の持続的成功のための運営管理−

品質マネジメントアプローチ

Managing for the sustained success of an organization-

A quality management approach

序文 

この規格は,2009 年に第 3 版として発行された ISO 9004 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

この規格は,複雑で,過酷な,刻々と変化する環境の中で,組織が品質マネジメントアプローチによっ

て持続的成功を達成するための支援の手引を示すものである。

組織の持続的成功は,顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待を満たす組織の能力によって,長

期にわたりバランスのとれた方法で達成される。持続的成功は,組織環境の認識,学習並びに改善及び/

又は革新の適切な適用による,組織の効果的な運営管理によって達成できる。

この規格は,組織の成熟度をレビューするための重要なツールとして自己評価を推奨する。この自己評

価は,リーダーシップ,戦略,マネジメントシステム,資源及びプロセスを網羅し,その強み・弱み並び

に改善及び/又は革新の機会を特定するためのものである。

この規格は,JIS Q 9001 よりも広い品質マネジメントに焦点を当てている。この規格は,すべての該当

する利害関係者のニーズ及び期待を扱い,組織の総合的なパフォーマンスの体系的かつ継続的な改善のた

めの手引を提供するものである。JIS Q 9001 及びこの規格の要素を取り入れた,プロセスを基礎とした品

質マネジメントシステムの拡大モデルを,

図 に示す。


2

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

図 1−プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムの拡大モデル 

この規格は,JIS Q 9001 との整合性を維持するように,また,その他のマネジメントシステム規格と両

立するように作成されている。これらの規格は,相互に補完し合うが,独立して使用することもできる。

附属書 は,組織がその強み・弱みを自己評価し,その成熟度を明確にし,改善及び革新のための機会

を特定するためのツールを示す。

附属書 は,ISO/TC176 が作成した品質マネジメント規格の基礎である品質マネジメントの原則の説明

を示す。

附属書 は,JIS Q 9001:2008 とこの規格との箇条ごとの対応を示す。

適用範囲 

この規格は,組織に対して,品質マネジメントアプローチによる持続的成功の達成を支援するための手

引を示す。この規格は,規模,業種及び形態並びに活動を問わず,あらゆる組織に適用可能である。

この規格は,認証,規制又は契約に用いることを意図していない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 9004:2009

,Managing for the sustained success of an organization−A quality management

approach

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ


3

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

)は適用しない。

JIS Q 9000:2006

  品質マネジメントシステム−基本及び用語

注記  対応国際規格:ISO 9000:2005,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary(IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 9000 によるほか,次による。

3.1 

持続的成功  (sustained success) 

<組織>自らの目標を,長期にわたり達成し維持する組織の能力がもたらす状態。

3.2 

組織環境 (organization’s environment) 

組織の目標の達成,及び利害関係者に対する組織の行動様式に影響を及ぼし得る内的及び外的な要因及

び条件の組合せ。

組織の持続的成功のための運営管理 

4.1 

一般 

持続的成功を達成するために,トップマネジメントは,品質マネジメントアプローチを採用することが

望ましい。組織の品質マネジメントシステムは,

附属書 に示す原則に基づいていることが望ましい。こ

れらの原則は,効果的な品質マネジメントシステムの基礎となる概念を示すものである。持続的成功を達

成するために,トップマネジメントは,組織の品質マネジメントシステムにこれらの原則を適用すること

が望ましい。

組織は,次の事項を確実にするために,組織の品質マネジメントシステムを構築することが望ましい。

−  資源の効率的な利用

−  事実を根拠とする意思決定

−  顧客満足の重視,並びにその他の該当する利害関係者のニーズ及び期待の重視

注記  この規格において,

“トップマネジメント”という用語は,組織における意思決定権限の最高レ

ベルを意味し,

“組織”という用語は,組織におけるすべての人々を含む。これは,JIS Q 9000

で示されるこれらの用語の定義と整合している。

4.2 

持続的成功 

組織は,バランスのとれた方法で,長期にわたりその利害関係者のニーズ及び期待を一貫して満たすこ

とによって,持続的成功を達成することができる。

組織環境は,刻々と変化し,不確実であり,組織のトップマネジメントは,持続的成功を達成するため

に,次の事項を行うことが望ましい。

−  長期的な計画の展望をもつ。

−  組織環境を定常的に監視し,定期的に分析する。

−  組織のすべての利害関係者を明確にし,それぞれが組織のパフォーマンスに与える起こり得る影響を


4

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

評価し,バランスのとれた方法でそのニーズ及び期待を満たす方法を決定する。

−  継続的に利害関係者の参画を図り,組織の活動及び計画に関する情報を絶えず知らせる。

−  供給者,パートナ及びその他の利害関係者との互恵関係を確立する。

−  利害関係者のしばしば相反するニーズ及び期待のバランスをとるために,交渉及び仲裁を含む幅広い

アプローチを活用する。

−  付随する短期的及び長期的なリスクを特定し,それらのリスクを軽減するための組織の全体的な戦略

を展開する。

−  将来必要となる資源を予想する(組織の人々に要求される力量を含む。

−  組織の戦略を達成するために適切なプロセスを確立し,それらが変化する状況に迅速に対応できるこ

とを確実にする。

−  現在の計画及び手順との適合を定期的に評価し,適切な是正及び予防処置をとる。

−  組織の人々が,自己の便益のための学習の機会,及び組織の活力を維持するための機会をもっている

ことを確実にする。

−  革新及び継続的改善のためのプロセスを確立し,維持する。

4.3 

組織環境 

組織環境は,その規模(大規模若しくは小規模)

,その活動及び製品,又はその業種及び形態(営利若し

くは非営利)を問わず,刻々と変化している。したがって,組織は,定常的に組織環境を監視することが

望ましい。このような監視によって組織は,利害関係者にかかわるリスク,並びに利害関係者の変化する

ニーズ及び期待を明確にし,評価し,管理できることが望ましい。

トップマネジメントは,組織のパフォーマンスの維持及び改善のために,組織の変革及び革新のための

時宜を得た意思決定を下すことが望ましい。

注記  リスクマネジメントについての詳細情報は,JIS Q 31000 を参照。

4.4 

利害関係者,ニーズ及び期待 

利害関係者とは,組織に付加価値をもたらす,若しくは組織の活動に利害関係をもつ,又は組織の活動

によって影響を受ける個人及びその他の主体である。利害関係者のニーズ及び期待を満たすことは,組織

による持続的成功の達成に寄与する。

さらに,個々の利害関係者のニーズ及び期待は異なり(

表 参照),その他の利害関係者のニーズ及び期

待と対立するか,又は急速に変化する可能性がある。利害関係者のニーズ及び期待の表現及び充足の手段

には,協働,協力,交渉,アウトソーシング,又は活動の停止を含む,幅広い形がある。

表 1−利害関係者並びにそのニーズ及び期待の例 

利害関係者

ニーズ及び期待

顧客

製品の品質,価格及び納期

オーナ/株主

持続的な収益性 
透明性

組織の人々

良好な作業環境 
雇用の安定 
表彰及び報奨

供給者及びパートナ

相互の便益及び関係の継続性

社会

環境保護 
倫理的な行動 
法令・規制要求事項の順守


5

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

注記  多くの組織が,利害関係者について,同じような表現(顧客,オーナ/株主,供給者及びパー

トナ,組織の人々)を用いているが,それらの区分の仕方は,時代とともに,また,組織,業

種,国家及び文化によって大きく異なる場合がある。

戦略及び方針 

5.1 

一般 

持続的成功を達成するために,トップマネジメントは,組織のミッション,ビジョン及び価値基準を確

立し,維持することが望ましい。これらは,組織の人々,及び該当する場合には,その他の利害関係者に

明確に理解され,受け入れられ,支持されることが望ましい。

注記  この規格において,

“ミッション”とは,なぜ組織が存在しているかについての記述であり,

“ビ

ジョン”とは,組織の望ましい状態,すなわち,組織がどうありたいか,また,組織がその利

害関係者によってどのように受け止められたいかについての記述である。

5.2 

戦略及び方針の策定 

トップマネジメントは,組織のミッション,ビジョン及び価値基準がその利害関係者に受け入れられ,

また,支持されるために,組織の戦略及び方針を明確に定め,示すことが望ましい。組織の戦略及び方針

のレビュー,及び(適切な場合には)改訂をする必要があるかどうかを決定するために,組織環境を定期

的に監視することが望ましい。効果的な戦略及び方針を確立し,採用し,持続させるためには,組織は,

次のプロセスをもつことが望ましい。

−  顧客のニーズ及び期待,競争状況,新技術,政治的変化,経済的見通し又は社会学的要因を含め,組

織環境を継続的に監視し,定期的に分析する。

−  他の利害関係者のニーズ及び期待を明確にし,決定する。

−  組織の現在のプロセス能力及び資源を評価する。

−  将来必要となる資源及び技術を特定する。

−  組織の戦略及び方針を更新する。

−  利害関係者のニーズ及び期待を満たすために必要なアウトプットを特定する。

これらのプロセスには,プロセスを支援するために提供される必要な計画及び資源すべてがあり,時宜

を得た方法で確立されることが望ましい。

組織の戦略策定は,顧客又は規制上の要求,組織の製品,強み,弱み,機会及び脅威の分析などの活動

を考慮することが望ましい。組織の戦略策定及びレビューのために,明確なプロセスが存在することが望

ましい。

注記  “戦略”とは,特に長期にわたって,目標を達成するために論理的に構成された計画又は方法

を意味する。

5.3 

戦略及び方針の展開 

5.3.1 

一般 

持続的成功のための戦略及び方針を実施するために,組織は,次の事項に関するプロセスを確立し,維

持し,実施することが望ましい。

−  組織のしかるべき階層すべてに対し,組織の戦略及び方針を測定可能な目標に必要に応じて展開する。

−  各目標に対する日程計画を定め,目標を達成するための責任及び権限を割り当てる。

−  戦略的リスクを評価し,適切な対応策を定める。

−  必要な活動を展開するための資源を提供する。


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−  これらの目標を達成するために必要な活動を実行する。

5.3.2 

プロセス及び実践 

5.3.1

のプロセス及び実践が効果的かつ効率的であることを確実にするために,組織は,次のような活動

を実施することが望ましい。

−  組織の利害関係者の異なるニーズ及び期待から生じ得る問題を予想する。

−  問題の再発を回避するために,組織の現在のパフォーマンス及び過去の問題の根本原因を評価し,理

解する。

−  利害関係者に絶えず状況を知らせ,そのコミットメントを得て,計画に対する進ちょく(捗)状況を

常に認識してもらい,フィードバック及び改善のアイディアを得る。

−  マネジメントシステム及びそのプロセスをレビューし,必要に応じてそれらを更新する。

−  監視,測定,分析,レビュー及び報告をする。

−  改善,革新及び学習のための資源を含む,必要な資源すべてを提供する。

−  達成のための時間枠を明確にすることを含む,目標を策定し,更新し,達成する。

−  戦略にのっと(則)った結果が得られることを確実にする。

5.3.3 

展開 

組織の戦略及び方針を展開するために,組織は,そのプロセス間の関係を明確にすることが望ましい。

プロセスの順序及び相互作用の記述は,次の事項によってレビュー活動を支援することができる。

−  組織の構造,システム及びプロセス間の関係を示す。

−  プロセス間の相互作用において起こり得る問題を明確にする。

−  改善及びその他の変化への諸活動の優先順位付けのための方法を提供する。

−  組織のしかるべき階層すべてに対して,目標を設定し,整合させ,展開するための枠組みを提供する。

5.4 

戦略及び方針に関するコミュニケーション 

戦略及び方針に関する効果的なコミュニケーションは,組織の持続的成功にとって不可欠である。

このようなコミュニケーションは,有意義で,時宜を得て,継続的に行われることが望ましい。戦略及

び方針に関するコミュニケーションには,フィードバックの仕組み,レビューのサイクルも含めることが

望ましく,組織環境における変化に積極的に対処する備えを取り入れることが望ましい。

組織のコミュニケーションプロセスは,垂直と水平との両方で機能し,その受け取り側の異なるニーズ

に合わせることが望ましい。例えば,同じ情報が,組織内の人々に対してと,顧客又はその他の利害関係

者に対してとでは,異なった意味に伝わる可能性がある。

資源の運用管理 

6.1 

一般 

組織は,組織の短期的及び長期的な目標の達成に必要な内部及び外部の資源を明確にすることが望まし

い。資源の運用管理のための組織の方針及び方法は,組織の戦略と一貫性があることが望ましい。

資源(設備,施設,材料,エネルギー,知識,財務,人々など)を効果的かつ効率的に利用することを

確実にするために,組織は,これらの資源の提供,配分,監視,評価,最適化,維持及び保護を行うため

のプロセスを備えておくことが必要である。

将来の活動のための資源の利用可能性を確実にするために,組織は,起こり得る資源不足というリスク

の特定とアセスメントとを行うとともに,それらの資源の利用を改善する機会を見出すために,資源の現

在の利用状況を継続的に監視することが望ましい。これと並行して,新しい資源,最適化されたプロセス


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及び新しい技術に対する調査を行うことが望ましい。

組織は,

アウトソースした資源を含む,

特定された資源の利用可能性及び適切性を定期的にレビューし,

必要な場合には処置をとることが望ましい。これらのレビューの結果は,組織の戦略,目標及び計画のレ

ビューへのインプットとしても利用することが望ましい。

6.2 

財務資源 

トップマネジメントは,組織の財務上のニーズを明確にし,組織の現在及び将来の事業に必要な財務資

源を確保することが望ましい。財務資源は,現金,証券,貸付,その他の金融商品などの多くの異なる形

態をとることができる。

組織は,組織の目標に関係する財務資源の効果的な配分及び効率的な利用を監視し,管理し,報告する

ためのプロセスを確立し,維持することが望ましい。

このような事項に関する報告は,非効果的又は非効率的な活動を見極め,適切な改善活動に着手する手

段も提供する。マネジメントシステムのパフォーマンス及び製品の適合性に関係する活動の財務報告は,

マネジメントレビューに利用することが望ましい。

マネジメントシステムの有効性及び効率の改善は,多くの点で組織の財務状況に好影響を及ぼし得る。

例えば,次の事項を含む。

−  内部的には,プロセス及び製品の不具合を減らすこと並びに材料又は時間の無駄をなくすことによる

もの

−  外部的には,製品の不具合,保証事項(

“guarantees”及び“warranties”

)に基づく補償,製造物責任及

びその他の法的リスクによるコスト,並びに顧客及び市場を失うことによるコストを減らすことによ

るもの

注記  ISO 10014 は,組織が JIS Q 9000 の品質マネジメントの原則を適用することによって,どのよ

うにして財務的及び経済的な便益を明確にし,それらを得ることができるかについての例を提

供している。

6.3 

組織の人々 

6.3.1 

人々の運用管理 

人々は,組織における重要な資源であり,その十分な参画によって,利害関係者に対する価値創造能力

を高めることになる。トップマネジメントは,そのリーダーシップを通して,人々が組織の目標達成に十

分に参画することができるような組織共通のビジョン,組織共通の価値基準及び内部環境を創造し,維持

することが望ましい。

人々は,最も価値のある,最も重要な資源であるため,人々の作業環境が,人々の成長,学習,知識の

移転及びチームワークを促すことを確実にすることが必要である。人々の運用管理は,計画的で,透明で,

倫理的で,社会的責任を考慮したアプローチを通して実施することが望ましい。組織は,人々が自己の貢

献及び役割の重要性を理解することを確実にすることが望ましい。

組織は,人々が次の事項を行うことができるような権限を与えるプロセスを確立することが望ましい。

−  組織の戦略及びプロセスの目標を,個々の業務目標に展開し,それらの達成のための計画を立てる。

−  個々のパフォーマンス実現にかかわる制約条件を明確にする。

−  問題の解決に主体的に取り組み,責任をもつ。

−  個々の業務目標に対するパフォーマンスを評価する。

−  自らの力量及び経験を高めるための機会を積極的に追求する。

−  チームワークを推進し,人々の間の協働を促す。


8

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

−  組織内で情報,知識及び経験を共有する。

6.3.2 

人々の力量 

組織が必要な力量をもつことを確実にするために,組織は“人材開発計画”及び関連するプロセスを確

立し,維持することが望ましい。これらが,次のステップを通して,組織が人々の力量を特定し,開発し,

向上する際の支援となることが望ましい。

−  組織は,そのミッション,ビジョン,戦略,方針及び目標に沿った,短期的及び長期的に必要となる

専門的及び個人的な力量を特定する。

−  組織において現在利用可能な力量,並びにその力量と現在必要な及び将来必要となり得る力量とのギ

ャップを明確にする。

−  明確にしたギャップを埋めるために,力量の改善及び/又は力量を獲得するための処置を行う。

−  必要な力量を獲得したことを確実にするために,とった処置の有効性をレビューし,評価する。

−  獲得した力量を維持する。

注記  力量及び教育・訓練に関する更なる手引については,ISO 10015 を参照。

6.3.3 

人々の参画及び動機付け 

組織は,顧客及びその他の利害関係者に対する価値の創造及び提供に関連する,人々の責任及び活動の

意義及び重要性を人々が理解するように,人々を動機付けすることが望ましい。

組織の人々の参画及び動機付けのために,組織は次のような活動を考慮することが望ましい。

−  知識を共有化し,人々の力量を活用するプロセスの開発。例えば,改善案を収集する制度。

−  個人の業績評価に基づいた適切な表彰及び報奨制度の導入

−  個々人の能力開発を促すための技能認定制度及びキャリアプランの確立

−  人々の満足の度合い,並びにニーズ及び期待の継続的なレビューの実施

−  個別指導(mentoring)及びコーチングのための機会の提供

注記  “人々の参画”については,B.4 を参照。

6.4 

供給者及びパートナ 

6.4.1 

一般 

パートナは,製品の供給者,サービスの提供者,技術機関及び金融機関,政府及び非政府組織又はその

他の利害関係者であり得る。パートナとは,パートナシップ契約で合意され,定められる範囲で,あらゆ

る種類の資源を用いて貢献し得るものである。

組織及びそのパートナは相互に依存しており,互恵関係は両者の価値創造能力を高める。組織は,パー

トナシップを,組織の活動範囲に投資し,損益を共有し得るような,供給者との関係の特定の形態の一つ

であると考えることが望ましい。

組織がパートナシップを構築している場合,組織は次のような事項を考慮することが望ましい。

−  パートナの貢献を最大にするために,パートナに情報を適切に提供する。

−  資源(例えば,情報,知識,専門知識,技術,プロセス及び共通の教育・訓練)の提供に関して,パ

ートナを支援する。

−  パートナとの間で損益を適切に分担する。

−  パートナのパフォーマンスを改善する。

注記  “供給者との互恵関係”については,B.9 を参照。

6.4.2 

供給者及びパートナの選定,評価及び能力の改善 

組織は,組織の供給者及びパートナの能力を継続的に改善するために,また,提供される製品又はその


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Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

他の資源が組織のニーズ及び期待を満たすことを確実にするために,組織の供給者及びパートナを明確に

し,選定し,評価するプロセスを確立し,維持することが望ましい。

供給者及びパートナの選定及び評価に際して,組織は,次のような事項を考慮することが望ましい。

−  組織活動への貢献,並びに組織及びその利害関係者に対して価値を創造する能力

−  供給者及びパートナの能力を継続的に改善する可能性

−  供給者及びパートナとの協働を通して達成することが可能な組織の能力の強化

−  供給者及びパートナとの関係にかかわるリスク

組織は,供給者及びパートナとともに,そのパフォーマンスの定期的な評価及びフィードバックに基づ

いて,供給者及びパートナによって提供される製品の品質,価格及び納期,並びにそのマネジメントシス

テムの有効性を継続的に改善することを目指すことが望ましい。

組織は,組織の短期的目標と長期的目標とのバランスを考慮し,供給者及びパートナとの関係を継続的

にレビューし,強化することが望ましい。

6.5 

インフラストラクチャー 

組織は,インフラストラクチャーを効果的かつ効率的に計画し,提供し,運用管理することが望ましい。

組織は,組織の目標を満たすインフラストラクチャーの適切性を定期的に評価することが望ましい。次の

事項を適切に考慮することが望ましい。

−  インフラストラクチャーのディペンダビリティ(アベイラビリティ,信頼性,保全性及び保全支援の

考慮を含む。

−  安全性及びセキュリティ

−  製品及びプロセスに関係するインフラストラクチャーの要素

−  効率,コスト,能力及び作業環境

−  インフラストラクチャーの作業環境に対する影響

組織は,インフラストラクチャーに関連するリスクの特定及びアセスメントを行い,適切な緊急時対応

計画の策定を含む,リスクを軽減するための処置をとることが望ましい。

注記  環境影響については,JIS Q 14001,その他の JIS Q 14000 ファミリー及び ISO 14000 ファミリ

ーを参照。

6.6 

作業環境 

組織は,組織の持続的成功及び製品の競争優位を達成し,維持するために適切な作業環境を提供し,運

用管理することが望ましい。適切な作業環境は,人的及び物理的要素を組み合わせた,次の事項が考慮さ

れていることが望ましい。

−  組織の人々の潜在能力を実現させるための,創造的な作業の方法及び参画の度合いを更に大きくする

機会

−  安全規則及びその手引,並びに保護具の使用

−  人間工学

−  作業負荷及びストレスを含む心理的要素

−  職場の場所

−  組織の人々のための施設

−  効率の最大化及び無駄の最小化

−  熱,湿気,照明及び空気の流れ

−  衛生,清浄,騒音,振動及び汚染


10

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

作業環境は,組織の敷地内で作業をする人々又は組織の敷地内を訪問する人々(例えば,顧客,供給者

及びパートナ)の生産性,創造性及び快適性を促進することが望ましい。同時に,組織は,その作業環境

が,適用される法令・規制要求事項を順守し,適用される基準(環境及び労働安全衛生マネジメントに関

するものなど)に対応することを確実にすることが望ましい。

6.7 

知識,情報及び技術 

6.7.1 

一般 

組織は,知識,情報及び技術を必要不可欠な資源として運用管理するためのプロセスを確立し,維持す

ることが望ましい。そのプロセスでは,これらの資源をどのように特定し,取得し,維持し,保護し,利

用し,その必要性を評価するかについて取り扱うことが望ましい。組織は,このような知識,情報及び技

術を,組織の利害関係者と適切に共有することが望ましい。

6.7.2 

知識 

トップマネジメントは,組織の現在の知識基盤をどのように特定し,保護するかを評価することが望ま

しい。また,トップマネジメントは,組織の現在及び将来のニーズを満たすために必要な知識を,学術機

関,専門機関など,内部及び外部のソースから取得する方法を考慮することが望ましい。知識を特定し,

維持し,保護する方法を明確にする際には,次のような,考慮すべき事項が多くある。

−  失敗,ニアミスの状況及び成功から学習する。

−  組織の人々の知識及び経験から獲得する。

−  顧客,パートナ及び供給者から知識を収集する。

−  組織内に存在する文書化されていない知識(暗黙知及び形式知)から獲得する。

−  重要な情報内容の有効なコミュニケーション(特に,サプライチェーン及び内部工程での各インタフ

ェースにおいて)を確実にする。

−  データ及び記録を運用管理する。

6.7.3 

情報 

組織は,信頼性のある有益なデータを収集するためのプロセス,及びそのデータを意思決定のために必

要な情報に変換するためのプロセスを確立し,維持することが望ましい。

これには,すべての該当する関係者に向けたデータ及び情報の保管,セキュリティ,保護,コミュニケ

ーション及び配信に必要なプロセスを含む。組織の情報システム及びコミュニケーションシステムは,そ

の能力を確実に発揮できるように,頑健で,容易に利用可能なものである必要がある。組織は,組織のパ

フォーマンス,プロセス改善,及び持続的成功の達成に向けての進ちょく(捗)状況に関係する情報の完

整(integrity)

,機密性及び利用可能性を確実にすることが望ましい。

6.7.4 

技術 

トップマネジメントは,製品実現,マーケティング,ベンチマーキング,顧客との相互作用,供給者と

の関係,アウトソースしたプロセスなどの領域における組織のパフォーマンスを高めるために,技術的選

択肢を考慮することが望ましい。組織は,次の事項に関して評価するためのプロセスを確立することが望

ましい。

−  組織の内外における現在の技術レベル及び技術動向

−  経済的コスト及び便益

−  技術の変化に関連するリスクの評価

−  競争環境

−  組織が競争力を維持することを確実にするために,顧客要求事項に迅速に対応する組織のスピード及


11

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

び能力

注記  知識の保護については,情報技術のセキュリティ技術に関する JIS Q 27001,その他の JIS Q 

27000

ファミリー及び ISO 27000 ファミリーを参照。

6.8 

天然資源 

天然資源の入手可能性は,組織の持続的成功並びに組織の顧客及びその他の利害関係者の要求事項を満

たす能力に影響を及ぼし得る要因の一つである。組織は,エネルギー及び天然資源の短期的及び長期的な

入手可能性及び利用に関連するリスク並びにこれらの機会を考慮することが望ましい。

組織は,環境保護の側面を製品の設計・開発に組み込むこと,及び特定されたリスクを軽減するプロセ

スの構築を適切に考慮することが望ましい。

組織は,製品の設計,製造又はサービスの提供,流通,使用及び廃棄に及ぶ製品及びインフラストラク

チャーのライフサイクル全体にわたり,環境影響を最小限にすることを目指すことが望ましい。

注記  詳細情報については,環境マネジメントに関する JIS Q 14001,その他の JIS Q 14000 ファミリ

ー及び ISO 14000 ファミリーを参照。

プロセスの運営管理 

7.1 

一般 

プロセスは,それぞれの組織に固有のものであり,組織の業種及び形態,規模並びに成熟度によって異

なる。各プロセス内の活動は,組織の規模及び顕著な特徴に応じて決定し,適用することが望ましい。

組織は,その目標を達成することを目的として,アウトソースされたプロセスを含むすべてのプロセス

が効果的かつ効率的であることを確実にするために,それらのプロセスを積極的に運営管理することが望

ましい。これは,各プロセスの構築,相互関係,制約条件及び資源の配分を含む“プロセスアプローチ”

を採用することによって容易に行うことができる。

プロセス及びそれらの相互関係を定期的にレビューし,それらの改善のために適切な処置をとることが

望ましい。

プロセスは,プロセスのネットワーク,順序及び相互作用を定め,理解することによって,一つのシス

テムとして運営管理することが望ましい。このシステムの一貫した運営は,しばしば,

“マネジメントへの

システムアプローチ”と呼ばれる。ネットワークは,プロセス及びそのインタフェースで表した図表で表

現され得る。

注記  “プロセスアプローチ”については,B.5 及び ISO 9000“導入・支援”文書,Guidance on the

Concept and Use of the Process Approach for management systems

 [34]

を参照。

7.2 

プロセスの計画策定及び管理 

組織は,プロセスを定め計画し,顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待を満たし続けることが

可能な製品を継続的に提供するために必要な機能を決定することが望ましい。プロセスは,組織の戦略に

沿って計画し,管理することが望ましく,運営管理活動,資源の提供,製品実現,監視,測定及びレビュ

ー活動を取り扱うものであることが望ましい。

プロセスの計画策定及び管理においては,次の事項を考慮することが望ましい。

−  組織環境の分析

−  市場の進展の短期的及び長期的な予測

−  利害関係者のニーズ及び期待

−  達成すべき目標


12

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

−  法令・規制要求事項

−  財務的及びその他のリスクの可能性

−  プロセスのインプット及びアウトプット

−  その他のプロセスとの相互作用

−  資源及び情報

−  活動及び方法

−  要求又は要望される記録

−  測定,監視及び分析

−  是正及び予防処置

−  改善及び/又は革新活動

プロセスの計画策定では,組織が,価値を付加するために,新しい技術を開発又は獲得し,新しい製品

又は製品特性を開発するという,明確にしたニーズについても考慮することが望ましい。

7.3 

プロセスの責任及び権限 

各プロセスに対して,組織は,プロセス及びその他のプロセスとの相互作用を確立し,維持し,管理し,

改善するための明確な責任及び権限をもつプロセス管理者(しばしば,

“プロセスオーナ”と呼ばれる。

を任命することが望ましい。プロセス管理者は,プロセスの性質及び組織の文化に応じて,個人又はチー

ムでもよい。

組織は,プロセス管理者の責任,権限及び役割が,組織全体を通して認識されること,並びに個々のプ

ロセスに関連する人々が関与する業務及び活動のために必要な力量をもっていることを確実にすることが

望ましい。

監視,測定,分析及びレビュー 

8.1 

一般 

刻々と変化する不確実な環境の中で持続的成功を達成するために,組織は,そのパフォーマンスを定期

的に監視し,測定し,分析し,レビューすることが必要である。

8.2 

監視 

トップマネジメントは,組織環境を監視し,次の事項のために必要な情報を収集し,運営管理するため

のプロセスを確立し,維持することが望ましい。

−  該当する利害関係者すべての現在及び将来のニーズ及び期待を明確にし,理解する。

−  強み,弱み,機会及び脅威を評価する。

−  代替の,競争力のある,又は新しい製品の提供の必要性を決定する。

−  現在及び新規の市場及び技術を評価する。

−  法令・規制要求事項における,現在起こりつつある変更及び予期できる変更を予想する。

−  労働市場及びそれが組織の人々の忠誠心に与える影響を理解する。

−  組織の活動に関連する社会的,経済的,地球環境保護の動向及び地方の文化的側面を理解する。

−  天然資源に対するニーズ及び長期にわたるそれらの保護の必要性を決定する。

−  現在の組織能力及びプロセス能力を評価する(

附属書 参照)。

注記  “顧客重視”については,B.2 を参照。

8.3 

測定 

8.3.1 

一般 


13

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

トップマネジメントは,組織内のすべての階層並びにしかるべきプロセス及び部門すべてにおいて,組

織のミッション,ビジョン,方針,戦略及び目標に照らし,計画された結果の達成に関する進ちょく(捗)

状況の評価を実施することが望ましい。測定及び分析プロセスは,パフォーマンス評価及び効果的な意思

決定のために必要な情報を収集し,提供するため,この進ちょく(捗)状況を監視するために利用される

ことが望ましい。適切な主要パフォーマンス指標及び監視方法の選定は,測定及び分析プロセスを成功さ

せるために必要不可欠である。

主要パフォーマンス指標に関する情報の収集のために利用される方法は,組織にとって実用的かつ適切

であることが望ましい。典型的な例は次の事項を含む。

−  リスクアセスメント及びリスク管理

−  顧客及びその他の利害関係者の満足度に関するインタビュー,アンケート及び調査

−  ベンチマーキング

−  供給者及びパートナを含む,パフォーマンスのレビュー

−  プロセス変数及び製品特性の監視及び記録

8.3.2 

主要パフォーマンス指標 

組織の管理下にあり,組織の持続的成功にとって必要不可欠な要因を,パフォーマンスの測定の対象と

し,主要パフォーマンス指標(以下,KPI という。

)として定義することが望ましい。KPI は,定量化でき

ることが望ましく,組織が測定可能な目標を設定し,その傾向を特定し,監視及び予測し,必要な場合に

は是正,予防及び改善処置をとることを可能にすることが望ましい。トップマネジメントは,戦略的及び

戦術的な決定を下すための基礎として,KPI を選定することが望ましい。さらに,KPI は,最上位の目標

の達成を支援するために,組織内のしかるべき部門及び階層において,パフォーマンス指標として適切に

順次展開されることが望ましい。

KPI

は,組織の性質及び規模並びにその製品,プロセス及び活動に適したものであることが望ましい。

KPI

は,組織の目標に整合したものである必要があり,組織の目標は,組織の戦略及び方針に整合したも

のであることが望ましい(5.2 参照)

。KPI の選定に際しては,リスク及び機会に関する固有の情報を考慮

することが望ましい。

KPI

の選定に当たり,組織は,測定可能で,正確で,信頼できる情報を,また,パフォーマンスが目標

に適合していない場合に是正処置をとるため,又はプロセスの効率及び有効性を改善するために利用可能

な情報を提供することを確実にすることが望ましい。そのような情報は,次の事項を考慮することが望ま

しい。

−  顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待

−  現在及び将来における,個々の製品の組織にとっての重要性

−  プロセスの有効性及び効率

−  資源の効果的かつ効率的な利用

−  収益性及び財務パフォーマンス

−  適用可能な場合,法令・規制要求事項

8.3.3 

内部監査 

内部監査は,与えられた基準に対する組織のマネジメントシステムの適合の程度を決定するための有効

なツールであり,組織のパフォーマンスを理解し,分析し,継続的に改善するための価値のある情報を提

供する。監査は,実施されていることに対して独立性をもった視点を与えるために,評価の対象となって

いる活動に関与していない人々によって実施されることが望ましい。


14

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

内部監査は,

組織のマネジメントシステムの実施及び有効性を評価することが望ましい。内部監査には,

JIS Q 9001

JIS Q 14001 など二つ以上のマネジメントシステム規格に対する監査及び顧客,製品,プロセ

ス又は特定の課題に関連する固有の要求事項を取り扱う監査を含むことができる。

効果的な内部監査のために,内部監査は,一貫性のある方法で,力量のある要員によって,監査計画に

従って実施することが望ましい。

内部監査は,問題,リスク及び不適合の特定,並びにそれまでの監査で特定された不適合の是正の完了

段階における進ちょく(捗)状況の監視(これは,根本原因の分析,並びに是正及び予防処置の計画及び

実施に焦点を合わせることが望ましい。

)のための効果的なツールである。とられた処置が効果的であると

いうことの検証は,組織の目標を達成するように改善された組織の能力の評価を通して決定され得る。ま

た,内部監査は,

(組織の他の分野への展開が考えられる)優れた実践事例の特定及び改善の機会に焦点を

合わせることができる。

内部監査のアウトプットは,次の事項に役立つ情報源を提供する。

−  問題及び不適合への対処

−  ベンチマーキング

−  組織内の優れた実践事例の普及

−  プロセス間の相互作用に関する理解の向上

内部監査の結果は,通常,与えられた基準への適合,不適合及び改善の機会に関する情報を含む報告書

として示される。また,監査報告書は,マネジメントレビューへの必要不可欠なインプットである。トッ

プマネジメントは,組織としての是正又は予防処置を必要とするような傾向を明確にするために,すべて

の内部監査報告書をレビューするプロセスを確立することが望ましい。

組織は,第二者及び第三者監査のようなその他の監査の結果も,是正及び予防処置のフィードバックと

して取り入れることが望ましい。

注記  監査に関する更なる手引については,JIS Q 19011 を参照。

8.3.4 

自己評価 

自己評価は,組織の成熟度に関する,組織の活動及びパフォーマンスの包括的及び体系的レビューであ

る(

附属書 参照)。

自己評価は,組織全体のレベル及び個々のプロセスレベルの両方における,組織のパフォーマンスの強

み・弱み及びベストプラクティスを明確にするために利用されることが望ましい。自己評価は,必要に応

じて,組織が,改善及び/又は革新の優先順位を付け,計画し,実施することの手助けとなり得る。

自己評価の結果は,次の事項を支援する。

−  組織の総合的なパフォーマンスの継続的改善

−  組織の持続的成功の達成及び維持に向けての進展

−  必要に応じた,組織のプロセス,製品及び組織構造の革新

−  ベストプラクティスの認知

−  改善のための更なる機会の特定

自己評価の結果は,組織の該当する人々に伝達することが望ましい。自己評価の結果は,組織及びその

今後の方向性についての理解を共有するために利用することが望ましい。自己評価の結果は,マネジメン

トレビューへのインプットとすることが望ましい。

注記 1  ISO 10014 は,組織の品質マネジメントシステムの財務的及び経済的な便益に特化した自己

評価ツールを提供している。


15

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

注記 2  自己評価については,附属書 を参照。

8.3.5 

ベンチマーキング 

ベンチマーキングは,組織が,パフォーマンスを改善することを目的として,組織内外のベストプラク

ティスを模索するために利用することができる測定及び分析の手法である。ベンチマーキングは,戦略及

び方針,運営,プロセス,製品並びに組織構造に適用され得る。

a)

ベンチマーキングには,次のような種類がある。

−  組織内活動のベンチマーキング

−  競合他者とのパフォーマンス又はプロセスの競争的ベンチマーキング

−  戦略,運営又はプロセスを他業種組織と比較する一般的ベンチマーキング

b)

ベンチマーキングの成功は,次のような要素に依存する。

−  トップマネジメントによる支援(組織とそのベンチマーク先との間の相互の知識交流を伴うため)

−  ベンチマーキングの適用に利用される方法

−  便益対コストの見積り

−  組織の現状との正確な比較を可能にするための,調査対象の特性の理解

c)

組織は,次のような事項に関する取決めを決定するベンチマーキングの実施方法を確立し,維持する

ことが望ましい。

−  ベンチマーキングの適用範囲の決定

−  ベンチマーク先の選定並びに必要なコミュニケーション及び機密保持に関する方針のためのプロセ

−  比較する特性に対する指標及び使用するデータの収集法の決定

−  データの収集及び分析

−  パフォーマンスのギャップの特定及び改善の可能性のある領域の提示

−  対応する改善計画の策定及び監視

−  蓄積された経験の組織の知識基盤及び学習プロセスへの取込み(6.7 参照)

8.4 

分析 

トップマネジメントは,組織環境の監視から収集された情報を分析し,リスク及び機会を特定し,それ

らを運営管理するための計画を策定することが望ましい。組織は,関連する情報を監視し,維持し,組織

の戦略及び方針に与え得る影響を分析することが望ましい。

収集された情報の分析は,次のような戦略及び方針の課題に関する事実に基づいた決定を可能とするこ

とが望ましい。

−  利害関係者のニーズ及び期待に関し,長期間に起こり得る変化

−  現在組織の利害関係者に最も価値を提供している既存の製品及び活動

−  組織の利害関係者の変化するニーズ及び期待を満たすために必要な新しい製品及びプロセス

−  組織の製品に対する,長期的に進化する需要

−  台頭しつつある技術が組織に与える影響

−  必要となる可能性がある新たな力量

−  組織に影響を及ぼす,法令・規制要求事項,又は労働市場及びその他の資源における予期される変化

8.5 

監視,測定及び分析から収集された情報のレビュー 

トップマネジメントは,利用可能な情報のレビューを実施し,情報が意思決定のために利用されること

を確実にするための体系的なアプローチを利用することが望ましい(4.2 参照)


16

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

データは,次のような多くの情報源から収集できる。

−  組織環境の監視

−  主要パフォーマンス指標を含む,組織のパフォーマンスの測定

−  測定プロセスの完全性及び妥当性の評価

−  内部監査,自己評価及びベンチマーキングの結果

−  リスクアセスメント

−  顧客及びその他の利害関係者からのフィードバック

レビューは,該当する目標に対して達成された結果の評価に使用されることが望ましい。

レビューは,その動向を明確にできるようにし,また,組織の目標達成へ向けたその進ちょく(捗)状

況を評価するために,あらかじめ定められた,定期的な間隔で実施することが望ましい。また,レビュー

は,改善,革新及び学習のための機会を特定するために利用することが望ましい。レビューは,組織のビ

ジョン及び目標との関連における適応性,柔軟性及び応答性の側面を含め,それまでに実施された改善活

動の査定及び評価を取り扱うものであることが望ましい。

データの効果的なレビューは,計画された結果の達成の手助けとなり得る。

レビューのアウトプットは,活動及びプロセス間の内部ベンチマーキングのために,また,長期にわた

る傾向を示すために利用され得る。それらは,同じ分野又は異なる分野におけるその他の組織によって達

成された結果と比較する外部ベンチマーキングにも使用され得る。

レビューのアウトプットは,提供された資源の妥当性及び組織の目標の達成において資源がいかに効果

的に利用されたかを示すことができる。

レビューのアウトプットは,プロセス改善活動の実施を容易にすることができる形式で示すことが望ま

しい。

改善,革新及び学習 

9.1 

一般 

組織環境によっては,

(現在の製品,プロセスなどの)改善及び(新しい製品,プロセスなどを開発する

ための)革新が,持続的成功のために必要となり得る。

学習は,効果的かつ効率的な改善及び革新のための基礎を提供する。

改善,革新及び学習は,次の事項に適用することができる。

−  製品

−  プロセス及びそれらのインタフェース

−  組織構造

−  マネジメントシステム

−  人的側面及び組織文化

−  インフラストラクチャー,作業環境及び技術

−  該当する利害関係者との関係

効果的かつ効率的な改善,革新及び学習のための基礎とは,データ分析に基づく根拠ある判断を下す組

織の人々の能力及び原動力,並びに得られた教訓を取り込むことである。

9.2 

改善 

改善活動は,職場における地道な継続的改善から,組織全体の著しい改善まで広範囲にわたり得る。

組織は,データの分析を通して,製品,プロセス,組織構造及びマネジメントシステムの改善の目標を


17

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

決めることが望ましい。

改善プロセスは,例えば“PDCA(Plan-Do-Check-Act)”のような,構造化されたアプローチに基づいて

行うことが望ましい。この方法論は,すべてのプロセスに対してプロセスアプローチと整合させて適用す

ることが望ましい。

組織は,継続的改善が,次の事項を通して組織文化の一部として確立されるようになることを確実にす

ることが望ましい。

−  組織の人々に必要な権限を与え,改善活動に参加する機会を提供する。

−  必要な資源を提供する。

−  改善に対する表彰及び報奨制度を確立する。

−  改善プロセスそのものの有効性及び効率の継続的改善

注記  “継続的改善”については,B.7 を参照。

9.3 

革新 

9.3.1 

一般 

組織環境の変化によって,

利害関係者のニーズ及び期待を満たすために,

革新を必要とすることがある。

組織は,次の事項を行うことが望ましい。

−  革新の必要性の明確化

−  効果的かつ効率的な革新プロセスの確立及び維持

−  関連資源の提供

9.3.2 

適用 

革新は,次の事項の変化に応じて,すべての階層における課題に適用することができる。

−  技術又は製品[すなわち,顧客又はその他の利害関係者の変化するニーズ及び期待にこた(応)える

だけでなく,組織環境及び製品ライフサイクルの起こり得る変化を先取りする革新]

−  プロセス(すなわち,製品実現の方法の革新,又はプロセスの安定度を改善し,ばらつきを減少させ

る革新)

−  組織(すなわち,組織体質及び組織構造の革新)

−  組織のマネジメントシステム(すなわち,組織環境に新たな変化が起こっている場合に,競争優位を

維持し,新たな機会を活用することを確実にするための革新)

9.3.3 

タイミング 

革新を行うタイミングは,通常,革新が必要とされる緊急性と,革新の展開のために利用可能とすべき

資源とのバランスに基づいている。組織は,その戦略と整合するプロセスを利用して革新を計画し,その

優先順位を付けることが望ましい。組織は,必要な資源をもって革新活動を支持することが望ましい。

9.3.4 

プロセス 

組織内の革新のためのプロセスの確立,維持及び運営管理は,次の事項によって影響され得る。

−  革新の必要の緊急性

−  革新の目標並びにそれらが製品,プロセス及び組織構造に与える影響

−  革新に対する組織のコミットメント

−  現状に挑戦し,現状を変えようとする人々の意欲

−  新しい技術の利用可能性又は出現

9.3.5 

リスク 

組織は,変化が組織に与え得る影響を考慮することを含めて,計画された革新活動に関連するリスクの


18

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

アセスメントを実施し,必要な場合は,緊急時対応計画を含めてリスクを軽減するための予防処置を準備

することが望ましい。

9.4 

学習 

組織は,学習を通して,改善及び革新を奨励することが望ましい。

組織が持続的成功を達成するためには,

“組織としての学習”及び“個人の能力を組織の能力へ統合する

学習”を取り入れることが必要である。

a)

“組織としての学習”は,次の事項を考慮することを含む。

−  成功事例及び失敗事例を含む内外の様々な事象及び発信源から情報を収集する。

−  収集された情報の徹底的な分析を通して洞察を得る。

b)

“個人の能力を組織の能力へ統合する学習”は,人々の知識,思考パターン及び行動パターンと組織

の価値基準とを組み合わせることによって達成される。これは,次の事項を考慮することを含む。

−  ミッション,ビジョン及び戦略に基づく組織の価値基準

−  学習の支援活動及びトップマネジメントの行動によって示されるリーダーシップの発揮

−  組織の内外におけるネットワークの構築,人々のつながり,相互作用及び知識の共有の促進

−  学習及び知識の共有のためのシステムを維持する。

−  学習及び知識の共有のためのプロセスを通じた人々の力量の改善を認め,支持し,表彰する。

−  創造性を認め,組織の異なる人々の多様な意見を尊重する。

このような知識への迅速なアクセス及び利用は,持続的成功を運営管理し,維持する組織能力を高める

ことができる。


19

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

附属書 A

(参考)

自己評価ツール

A.1

  一般 

自己評価は,選択された基準に対して参照される組織の活動及び結果の包括的及び体系的レビューであ

る。

自己評価は,組織のパフォーマンス及びマネジメントシステムの成熟度について総合的な見解を提供す

ることができる。また,自己評価は,改善及び/又は革新を必要とする領域を特定すること,並びにそれ

に続く行動の優先順位の決定に役立てることができる。

組織は,改善及び革新の機会を特定し,優先順位を付け,持続的成功の目標に伴う行動計画を策定する

ために,自己評価を利用することが望ましい。自己評価のアウトプットは,組織の強み・弱み,成熟度,

及び自己評価が繰り返される場合には,長期にわたる組織の進ちょく(捗)状況を示すものである。組織

の自己評価の結果は,マネジメントレビューへの価値あるインプットとなり得る。また,自己評価は,組

織の改善されたビジョンを提供し,利害関係者の関与を推進することができる学習ツールになる可能性を

もっている。

この附属書に記載されている自己評価ツールは,この規格に記載されている手引に基づくものであり,

主要要素及びその詳細のための独立した自己評価表を含んでいる。自己評価表は,記載されているとおり

使用すること,又は組織に合うように調整することが可能である。

注記  自己評価と異なり,監査は,品質マネジメントシステム要求事項が満たされている程度を決定

するために使用される。監査所見は,品質マネジメントシステムの有効性を評価し,改善の機

会を特定するために使用される。

A.2

  成熟度モデル 

成熟した組織とは,次の事項によって効果的かつ効率的に成果を挙げ,持続的成功を達成する組織であ

る。

−  利害関係者のニーズ及び期待を理解し,これらを満たす。

−  組織環境における変化を監視する。

−  改善及び革新の可能な領域を特定する。

−  戦略及び方針を決定し,展開する。

−  目標を設定し,展開する。

−  組織のプロセス及び資源を運用管理する。

−  人々に対する信頼を示し,動機付け,コミットメント及び参画の向上につなげる。

−  相互に有益な供給者及びその他のパートナとの関係を確立する。

この自己評価ツールでは,5 段階の成熟度レベルを用いており,追加レベルを含める拡張を行うか,又

は必要に応じて調整することが可能である。

図 A.1 は,パフォーマンス基準がどのように成熟度レベルに

かかわっているかの一般的事例を表形式で示す。組織は,特定の基準に照らして組織のパフォーマンスを

レビューし,組織の現在の成熟度を特定し,組織の強み・弱みを明確にすることが望ましい。より高いレ

ベルとして与えられた基準は,検討を要する課題の理解を助け,組織がより高いレベルの成熟度に達する


20

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

上で必要となる改善を明確にするのを支援することができる。

表 A.1∼表 A.7 は,この規格に基づくすべ

ての表の例を示す。

持続的成功に至る成熟度レベル

主要要素

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

要素 1

基準 1 
基本レベル

基準 1 
ベストプラクティス

要素 2

基準 2 
基本レベル

基準 2 
ベストプラクティス

要素 3

基準 3 
基本レベル

基準 3 
ベストプラクティス

図 A.1−成熟度レベルに関連する自己評価の要素及び基準の一般モデル 

A.3

  主要要素の自己評価 

この自己評価は,組織の行動及び組織の現在のパフォーマンスの全体像を把握するために,組織のトッ

プマネジメントが定期的に実施することが望ましい(

表 A.1 参照)。

A.4

  各箇条に対する自己評価 

この自己評価は,組織の行動及び組織の現在のパフォーマンスの全体像を詳細に把握するために,組織

の業務運営責任者及びプロセスオーナが実施することを意図している。

この自己評価の要素は,

表 A.2∼表 A.7 に記載されており,この規格の箇条に対応している。しかしな

がら,組織は,その固有のニーズを満たすために,付加的又は個別の基準を設定することができる。適切

な場合,

表 A.2∼表 A.7 の必要な表に限定して自己評価することができる。

A.5

  自己評価ツールの実施手順 

次の事項は,組織が自己評価を実施するための手順である。

a)

自己評価の範囲,すなわち組織の部門及び次のような評価の種類を決定する。

−  主要要素の自己評価

−  この規格に基づく各箇条に対する自己評価

−  付加的又は個別の基準又はレベルを取り入れた,この規格に基づく各箇条に対する自己評価

b)

誰が自己評価に責任をもつのか,及びいつ自己評価を実施するのかを決定する。

c)

自己評価をどのように実施するのか,チーム(部門横断的若しくはその他の適切なチーム)によるの

か又は個人によるのかを決定する。自己評価の推進助言者を任命することによって,このプロセスを

支援することができる。

d)

組織の個々のプロセスの成熟度レベルを特定する。これは,組織の現在の状況と表に記載されている

例との比較を,レベル 1 から始め,既に実施されている要素に印を付け,より高い成熟度レベルへ進

んでいくことによって評価することが望ましい。現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,

それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

e)

結果を報告書にまとめる。これは,長期にわたる進歩の記録となり,組織内外の情報交換に役立たせ

ることができる。このような報告書にグラフを使用することは,結果の伝達に有用である(

図 A.2 

例を参照)


21

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

f)

組織のプロセスの現在のパフォーマンスを評価し,改善及び/又は革新すべき領域を特定する。これ

らの機会は,このプロセス及び評価の結果策定される行動計画を通して特定することが望ましい。

組織の成熟度レベルは,要素ごとに異なり得る。レベルを規定している要素と組織の現状とのギャップ

のレビューは,トップマネジメントが個々の要素をより高いレベルに向上させるのに必要な改善及び/又

は革新活動を計画し,優先順位付けをすることに役立てることができる。

図 A.2−自己評価結果の図示の例 

A.6

  自己評価の結果並びに改善及び革新の計画 

自己評価の完了は,この規格の要素に基づいて,改善及び/又は革新のための行動計画の策定につなが

り,それがトップマネジメントによる計画の策定及びレビューへのインプットとして利用されることが望

ましい。

また,自己評価から得られた情報は,次の事項にも利用できる。

−  組織全体を通して,互いに比較し,共に学ぶことを奨励する(比較は,組織のプロセス間,及び適用

される場合は異なる事業単位間で行うことができる)

−  他の組織とのベンチマーキング

−  定期的な自己評価を実施することによって,長期にわたる組織の進歩を監視する。

−  改善のための領域を特定し,優先順位付けをする。

この段階の間に,組織は,選択した行動に対する責任を割り当て,必要な資源の見積り及び提供を行い,

期待する便益及びそれに付随する認識したリスクすべてを特定することが望ましい。


表 A.1−主要要素の自己評価−主要要素に対する成熟度レベル 

成熟度レベル

主要要素

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

運営管理の重点

(運営管理)

製品,株主及び一部の顧

客に重点を置いている。

変化,問題及び機会に対

するその場限りの対応。

顧客及び法令・規制要求

事項にも重点を置いてい
る。

問題及び機会に対する多
少系統立てられた対応。

組織の人々及び一部の追

加されるべきその他の利
害関係者にも重点を置い
ている。

問題及び機会に適切に対
応するようにプロセスが

決定され,実施されてい
る。

特定された利害関係者の

ニーズのバランスをとる
ことにも重点を置いてい
る。

組織の重点施策の一つと
して,継続的改善が取り

上げられている。

新たな利害関係者のニー

ズのバランスをとること
に も 重 点 が 置 か れ て い
る。

クラス最高レベルのパフ
ォーマンスが,最優先達

成課題として設定されて
いる。

リーダーシップのアプ
ローチ 
(運営管理)

反応形であり,基本的に
トップダウンに基づいて
行われている。

依然として反応形である
が,様々な階層の管理者
による決定に留意し,行

われている。

前向きであり,権限が与
えられている。

前 向 き で あ る こ と に 加
え,その意思決定におい
ては,組織の人々が深く

関与している。

前向きで,かつ,学習を
重視しており,あらゆる
階層の人々に適切に権限

が与えられている。

重要事項決定の際の考

慮事項 
(戦略及び方針)

市場及びその他の情報源

からの非公式な情報。

顧客のニーズ及び期待。

戦略並びに利害関係者の

ニーズ及び期待。

戦略の必要な運営要素及

びプロセスへの展開。

要求される柔軟性,迅速

性及び持続的なパフォー
マンス。

結果を出すために必要
な資源の管理方法 
(資源)

その場限りの運用管理。

効果的な運用管理。

効果的かつ効率的な運用
管理。

効果的かつ効率的である
ことに加え,資源の不足
を考慮した運用管理。

資源の運用管理及び利用
は,計画的であり,効果
的 か つ 効 率 的 に 展 開 さ

れ,利害関係者を満足さ
せている。

活動の運営管理の方法

(プロセス)

幾つかの基本的作業手順

又は指示だけが用意され
ている,体系的でないア
プローチ。

基本的な品質マネジメン

トシステムが整備されて
いる,部門別アプローチ。

効果的かつ効率的な,柔

軟なプロセスアプローチ
を基礎とした品質マネジ
メントシステムに基づく

アプローチ。

効 果 的 か つ 効 率 的 で あ

り,そのプロセス間で良
い相互作用があり,迅速
性及び改善を支持する品

質マネジメントシステム
によるアプローチ。 
プロセスは,特定された

利害関係者のニーズに対
応している。

革新及びベンチマーキン

グを支持し,新たな利害
関係者のニーズ及び期待
並びに特定された利害関

係者のニーズ及び期待に
対応する品質マネジメン
トシステムによるアプロ

ーチ。

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表 A.1−主要要素の自己評価−主要要素に対する成熟度レベル(続き) 

成熟度レベル

主要要素

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

結果の達成

(監視及び測定)

無作為。

その場限りの是正処置。

部分的な目標の達成。

計画に沿った方法による
是 正 及 び 予 防 処 置 の 実

施。

予見される結果,特に,

特定された利害関係者に
ついてのものの達成。

一貫性のある監視,測定
及び改善。

持続的で,一貫した,良

好な,予想どおりの結果
の達成。

体系的な方法による改善
及び革新の実施。

組 織 の 業 界 平 均 を 超 え

て,長期的に維持されて
いる結果の達成。

組織全体にわたる体系的
な改善及び革新の実施。

結果の監視 
(監視及び測定)

財務,営業及び生産指標
の整備。

顧客満足,主要な実現プ
ロセス,及び供給者のパ
フォーマンスの監視。

組織の人々及び利害関係
者の満足の監視。

組織の戦略に整合した主
要パフォーマンス指標の
設定及び監視。

すべてのプロセスに一体
化された主要パフォーマ
ンス指標のリアルタイム

の監視。パフォーマンス
は,該当する利害関係者
に対して効率的に伝達さ

れている。

改善の優先順位付け

(改善,革新及び学習)

失敗,苦情及び財政に基

づく。

顧客満足のデータ,又は

是正及び予防処置の予想
される効果に基づく。

その他の一部の利害関係

者のニーズ及び期待,並
び に 供 給 者 及 び 組 織 の
人々のニーズ及び期待に

基づく。

追加されるべきその他の

利害関係者のニーズ及び
期待の傾向・インプット,
並びに社会的,環境的及

び経済的変化についての
分析に基づく。

新たな利害関係者からの

追 加 イ ン プ ッ ト に 基 づ
く。

学習の機会 
(改善,革新及び学習)

個々の階層における無計
画な学習の実施。

組織の成功及び失敗から
の,計画に沿った学習。

組織内の,体系的かつ共
に学ぶ学習プロセスの実
施。

継 続 的 改 善 に 埋 め 込 ま
れ,利用されている学習
及び共有の組織文化があ

る。

組織の学習のためのプロ
セスは,該当する利害関
係者と共有され,創造性

及 び 革 新 を 支 援 し て い
る。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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表 A.2−箇条 4(組織の持続的成功のための運営管理)に対する自己評価 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

4.1

(組織の持続的成功

のための運営管理) 
一般

手順に基づく機能重視の

品質マネジメントシステ
ム。

プロセスを基礎とした品

質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ
ム。

八つの品質マネジメント

の原則に基づく組織全体
に展開された品質マネジ
メントシステム。

他の分野,例えば,環境

マネジメント,労働安全
衛生マネジメントなどの
分野を統合するように拡

大されたマネジメントシ
ステム。

組織の方針すべてを完ぺ

き(璧)に展開している
マネジメントシステム。

4.2

  持続的成功

組織の実際のパフォーマ
ンスの,予算に対する定
期年次レビュー。

事業計画に対するパフォ
ーマンスの定期的レビュ
ー。

結果は,過去数年間にわ
たるパフォーマンスの一
貫 し た 改 善 を 示 し て い

る。

近未来(例えば,次の 2
年)に対する計画策定に
裏打ちされた,過去に達

成したパフォーマンスの
持続的改善。

中・長期的未来(例えば,
次の 5 年)に対する計画
策定に裏打ちされた,過

去に達成したパフォーマ
ンスの持続的改善。

4.3

  組織環境

組織に影響を与えた変化
への反応。

過去の問題の再発の可能
性を軽減するための計画
がある。

組織に対する影響の可能
性を検討するために,リ
スクアセスメントが定期

的に行われている。

組織に対するすべての特
定されたリスクを軽減す
るために,緊急時対応計

画がある。

リスクアセスメント及び
リスク対応計画は,すべ
てのリスクを対象とし,

軽減するための組織内の
継 続 的 な プ ロ セ ス で あ
る。

4.4

  利害関係者,ニー

ズ及び期待

毎年利益を計上すること
を組織の最優先の目的と

している。

顧客のニーズ及び期待に
基づいて活動している。

利害関係者のニーズ及び
期待ができ得る限り,満

たされている。

利害関係者のニーズ及び
期待が,トップマネジメ

ントによる決定のための
主要なインプットとなっ
ている。

過去数年(例えば,3 年)
にわたり,該当するすべ

ての利害関係者のニーズ
及び期待が満たされてい
る。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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表 A.3−箇条 5(戦略及び方針)に対する自己評価 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

5.1

  (戦略及び方針)

一般

5.2

  戦略及び方針の策

その場限りの計画策定の

プロセス。

戦略,方針及び目標が,

部分的にだけ定められて
いる。

方針及び戦略策定へのイ
ンプットは,その場限り
のものであり,製品及び

財務関連の側面だけが策
定されている。

戦略及び方針策定のため

の 構 造 化 さ れ た プ ロ セ
ス。

戦略及び方針策定のプロ
セスに,顧客のニーズ及
び期待の分析とともに法

令・規制要求事項の分析
が含まれている。

更に広範囲の利害関係者

のニーズ及び期待の分析
を含むよう進化している
戦略及び方針策定のプロ

セス。

該当する利害関係者のニ

ー ズ 及 び 期 待 の 評 価 の
後,計画が策定されてい
る。

計画策定のプロセスは,
必要なときに再調整され

るべき変化している外部
の傾向及び利害関係者の
ニーズを考慮している。

過去の戦略的アプローチ
による有益な結果が得ら

れている。

戦略,方針及び目標が構

造化された方法で策定さ
れている。戦略及び方針
が,該当する利害関係者

に関係する側面を網羅し
ている。

戦略及び方針に関する組
織のプロセスの結果が,
組織の利害関係者のニー

ズと一致している。

計画が最終確認される前

に,脅威,機会及び資源
の 利 用 可 能 性 が 評 価 さ
れ,考慮されている。

計画策定のプロセスの構
造化された,定期的なレ

ビューが行われている。

戦略が,組織の目標の達

成及び利害関係者のニー
ズの最適化をもたらした
ことを実証できる。

利 害 関 係 者 の 参 画 を 図
り,利害関係者が組織の

成功に貢献している。そ
の貢献の度合いが将来も
維持されると確信してい

る。

成功が将来も持続すると

確信している。

計画策定のプロセスに対

する,利害関係者からの
フィードバックを含む,
効果的な監視及び報告の

仕組みがある。

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表 A.3−箇条 5(戦略及び方針)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

5.3

  戦略及び方針の展

短 期 目 標 だ け が 設 定 さ

れ,日常業務が展開され
ている。

製品実現のためだけの計
画が策定されている。

戦略及び方針が,組織の

各階層に対する目標に展
開されている。

顧客のニーズ及び期待の
バランスに沿って計画が
策定されている。

顧客ニーズが定められた
プロセス及び目標に展開

されることによって,戦
略及び方針が進化してい
る。進化している戦略及

び方針が,パフォーマン
スレビュー及び監査の基
礎となっている。

組織の戦略的目標の達成

へ向けた進ちょく(捗)
状況の測定が実施されて
いる。計画に対するプラ

ス及びマイナスの差異が
分析され,それに基づい
た対応がされている。

組織の各プロセス及びレ

ベルに対し,戦略に沿っ
た測定可能な目標が定め
られている。

戦略の変更に従ってマネ
ジメントシステムがレビ

ューされ,更新されてい
る。

目標の達成に向けた進ち
ょく(捗)状況の測定が,
多くのプラスの傾向が存

在することを実証してい
る。

戦略計画及び方針の展開

が,組織環境の監視及び
分析からのデータを使用
して定期的にレビューさ

れ,更新されている。

過去のパフォーマンスの

分析によって,新しい又
は予期しない課題の克服
に成功したことを実証で

きる。

5.4

  戦略及び方針に関

するコミュニケーショ

要請に応じたコミュニケ
ーションだけが行われて

いる。

内部及び外部コミュニケ
ーションのためのプロセ

スが定められ,実施され
ている。

戦略及び計画の変更を組
織内の該当する人々に伝

達するための効果的なシ
ス テ ム が 整 備 さ れ て い
る。

方針変更の場合は,該当
する利害関係者及び組織

のすべての階層にその方
針の変更が伝達されてい
る。

コミュニケーションのプ
ロセスの有効性が定期的

にレビューされている。

コミュニケーションのプ

ロセスが,利害関係者の
ニーズを満たしている証
拠がある。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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表 A.4−箇条 6(資源の運用管理)に対する自己評価 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

6.1

(資源の運用管理)

一般

資源はその場限りで特定

され,割り当てられてい
る。

資源の特定,提供及び監

視を含む,資源の計画策
定のためのプロセスが実
施されている。

資源の利用可能性及び適

切性の定期的なレビュー
が実施されている。

資源の計画策定は,短期
的及び長期的目標を包含
している。

起こり得る資源不足のリ

スクが評価されている。

資源を運用管理するため

の組織のアプローチが,
効果的かつ効率的である
ことが立証されている。

資源計画の策定を改善す

るための機会が,

ベンチマ

ーキングを通して模索さ
れている。

6.2

  財務資源

資源はその場限りで特定
され,割り当てられてい

る。

短期の財務計画策定が行

われている。

財務資源の予測,監視及
び管理のためのプロセス

が実施されている。

財務統制が,計画に沿っ

て構造化されている。

財務資源の使用の有効性
に関して,定期的なレビ

ューが行われている。

財務に関するリスクが特

定されている。

財務に関するリスクが軽
減している。

将来の財務的ニーズが予
測され,計画されている。

財務資源の割当てが,

組織

の目標の達成に貢献して

いる。

財務資源の割当てを継続

的に再評価するプロセス
が進行している。

6.3

  組織の人々

人々は資源とみなされて
いるが,彼らの目標のわ
ずかが組織の戦略に関係

しているに過ぎない。

教育・訓練は,ほとんど

が個々の従業員の要請を
受けてその場限りで提供
されている。従業員の力

量のレビューは,ほとん
ど行われていない。

人々は,組織の戦略に関
係した目標が与えられ,
資源として認識されてい

る。

力量をレビューするため

のプログラムがある。 
個々の力量は,戦略的に
全体計画の一環として開

発されている。

改善のためのアイディア

が収集されている。

人々は,プロセスについ
て明確な責任及び目標を
もっており,それらが組

織内でどのように結び付
くかを知っている。

個別指導(mentoring)及
びコーチングを伴った技
能認定制度が確立されて

いる。

内部ネットワークが普及
しており,組織に蓄積さ
れ た 知 識 を 提 供 し て い

る。

創造性及び改善のための

技能を開発する教育・訓
練が提供されている。

人々は,自身の力量,及
びどこで自身が組織の改
善に最もよく貢献できる

かを知っている。

キャリアプランが的確に

策定されている。

外部ネットワークの構築
に組織全体の人々が関与
している。

組織全体にわた

り,人々は,新たなプロセ
スの構築に参画している。

ベストプラクティスが認
知されている。

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表 A.4−箇条 6(資源の運用管理)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

6.4

  供給者及びパート

供給者とのコミュニケー

ションが,入札,発注又
は問題解決に限定されて
いる。

供給者とのコミュニケー

ション,供給者の選定,
評価,再評価及びランク
付けを行うためのプロセ

スが整備されている。

戦略的ニーズ又はリスク

に従って供給者及びパー
トナが特定されている。

供給者及びパートナとの
関係を開発し,その関係
を管理するプロセスが存

在する。

ニーズ及び戦略に関する

パートナとのオープンな
コミュニケーションが行
われている。

パートナが組織の成功に

関与し,貢献しているこ
とを,データが実証して
いる。

6.5

  インフラストラク

チャー

基本的なインフラストラ

クチャーだけが整備され
ている。

組織のインフラストラク

チャーが計画され,管理
されている。

法令・規制要求事項が考
慮されている。

将来を考慮に入れて,イ

ンフラストラクチャー及
び関連のプロセスが定期
的 に レ ビ ュ ー さ れ て い

る。

インフラストラクチャー

のリスクが特定され,予
防処置がとられている。

組織のインフラストラク

チャーのパフォーマンス
及び原価基準は,類似の
組織と比較してそん(遜)

色がない。

起こり得る脅威の軽減及

び機会の模索のために,
緊急時対応計画が策定さ
れている。

6.6

  作業環境

基本的に必要な作業環境
だけが整備されている。

作業環境がすべての適用
される法令・規制要求事

項に順守していることを
確実にするためのプロセ
スが整備されている。

作業環境の効率及び有効
性に関する定期的なレビ

ューが行われている。

作 業 環 境 が 人 々 の 生 産
性,創造性及び快適性を

促進していることを,デ
ータが示している。

作業環境の開発のために
実施されているプロセス

は,競争力を支持し,類
似の組織に十分匹敵する
ものとなっている。

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表 A.4−箇条 6(資源の運用管理)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

6.7

  知識,情報及び技

基本的な知識,情報,技

術アプローチ及びシステ
ムが整備されている。

情報,知識及び技術の特

定,取得,保護,利用及
び評価のプロセスが実施
されている。

情報を共有するための基
本的なコミュニケーショ

ンシステムが実施されて
いる。

情報,知識及び技術が組

織内で共有され,定期的
なレビューが行われてい
る。

必要な場合には,特許及
びその他それに準じるも

のを通して,重要な技術
が管理されている。

情報,知識及び技術が,

パートナ及びその他の利
害関係者と共有されてい
る。

情報,技術及び知識の運

用管理によって達成され
た結果は,その他の組織
に匹敵するものとなって

いる。

6.8

  天然資源

天然資源の利用にかかわ
る運用管理が非常に限定
的である。

組織が必要とする天然資
源を特定し,管理し,利
用するためのプロセスが

存在している。

天然資源がどの程度効率
的に利用されているかを
測定するためのプロセス

が展開されている。

天然資源が不足するリス

クが評価され,天然資源
供給の将来に向けての継
続性を確保するための処

置がとられている。

天然資源の利用を最適化
し,代替資源の利用を考
慮するためのプロセスが

存在している。

その製品の全ライフサイ

クルにおいて,環境保護
の必要性を考慮するため
の プ ロ セ ス を も っ て い

る。

天然資源の利用に対する
アプローチは,社会の将
来世代のニーズを危険に

さらすことなく,現世代
のニーズを満たしている
ことを実証できる。

天 然 資 源 の 利 用 に 関 し
て,外部組織及びその他

の利害関係者との連携が
とれており,ベンチマー
キングされている。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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表 A.5−箇条 7(プロセスの運営管理)に対する自己評価 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

7.1

(プロセスの運営管

理) 
一般

7.2

  プロセスの計画策

定及び管理

プロセスが,非公式に,

その場限りで計画され,
管理されている。

顧客満足及び製品実現に

関連するプロセスなど,
主要なプロセスが定めら
れ,運営管理されている。

プロセス間の相互関係が
定められ,運営管理され

ている。

プロセスの有効性が計画

に沿って測定され,それ
に 基 づ い て 行 動 し て い
る。

プロセスの計画策定と戦

略の展開とが統合されて
いる。

特定された利害関係者の
ニーズ及び期待が,プロ
セスの計画策定へのイン

プットとして利用されて
いる。

プロセスの効率改善を実
証できる。

プロセスは,予測した結
果をもたらしている。

プロセスの効率及び有効
性が,レビューされてい
る。

俊敏性及び柔軟性の改善

並びにプロセス革新を実
証できる。

すべての該当する利害関
係者が,プロセスの計画
策定において考慮されて

いる。

プロセス間の相互関係の

問題が特定され,有効な
方法で解決されている。

プロセスのパフォーマン

ス が 先 進 組 織 と 比 較 さ
れ,その結果がプロセス
の計画策定に利用されて

いる。

主 要 な プ ロ セ ス の 結 果

が,業界平均を超えてい
る。

7.3

  プロセスの責任及

び権限

プロセスの責任が,その
場 限 り で 定 め ら れ て い

る。

プロセスの運営管理のた
めの明確な責任及び権限

が 割 り 当 て ら れ て い る
(例えば,

“プロセスオー

ナ”に対して)

プロセスの運営管理の問
題を回避し,解決するた

め の 方 針 が 存 在 し て い
る。

プロセスオーナの力量が
継 続 的 に 改 善 さ れ て い

る。

プロセスオーナと関連す
る人々との間で学習が共

有されている。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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表 A.6−箇条 8(監視,測定,分析及びレビュー)に対する自己評価 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

8.1

(監視,測定,分析

及びレビュー) 
一般

8.2

  監視

監視は,そのプロセスが

なく,時々しか実施され
ていない。

監視の焦点が製品に当て
られている。

製品又は管理にかかわる
問題が起きると(すなわ
ち危機的状況になると)

行動が起こされる。

適用される法令・規制要

求事項についての情報が
収集されているにもかか
わらず,要求事項の変更

は,その場限りでしか明
らかにされていない。

監視プロセスが定期的に

実施されている。

監視の焦点が顧客に当て

られている。

顧 客 の ニ ー ズ 及 び 期 待

が,計画に沿って監視さ
れている。

法令・規制要求事項にお
ける変更が,公式に設計
された仕組みを通して計

画に沿って追跡されてい
る。

監視プロセスが,有効性

を改善するために定期的
に評価されている。

監視の焦点が,供給者に
当 て ら れ て い る と と も
に,人々及びその他の利

害関係者にも限定的に当
てられている。

主要な供給者及びパート
ナからのフィードバック
が,計画的に収集されて

いる。

人々からのフィードバッ

クは,特に定めなく収集
されるだけである。

現在のプロセス能力が監
視されている。

法令・規制要求事項を追
跡 す る た め の プ ロ セ ス
が,効果的かつ効率的で

ある。

監視プロセスが体系的及

び計画的に実施されてお
り,外部情報源との相互
評価を含んでいる。

資源にかかわる要求事項
が,長期的な視野で体系

的及び計画的に評価され
ている。

従業員及び顧客からのフ
ィードバックが,専門的
に行われる調査及びフォ

ーカスグループなどのそ
の他の仕組みを通して収
集されている。

監視プロセスから信頼性

の高いデータ及び傾向が
得られる。

監視の焦点が,組織の活
動分野,技術,及び労働
状況の傾向に当てられ,

資源の利用及び開発が最
適化されている。

組織のパフォーマンスに
影響を及ぼす可能性のあ

る,経済的方針,製品需

要,技術,環境保護,又
は社会的及び文化的課題
において現在起こりつつ

ある変化又は予期できる
変化が,計画的に監視さ
れている。

31

Q

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2010

 (IS

O

 9004


20
09)


表 A.6−箇条 8(監視,測定,分析及びレビュー)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

8.3.1

(測定)

一般

8.3.2

  主要パフォーマ

ンス指標

管理層の決定又はとられ

た処置の進ちょく(捗)
状況の追跡を支援するた
めの,測定及び評価から

得た,極めて限定的な一
連のデータしか利用でき
ない。

基本的指標(例えば,財
務,納期どおりの引渡し,

顧客苦情数並びに法律上
の警告及び罰金の数)し
か利用されていない。

データが必ずしも信頼で
きるものではない。

戦略及び主要プロセスに

関連する一連の主要な指
標が形式上は定められて
いる。

指標は,主に内部のデー
タを使ったものになって

いる。

品質マネジメントシステ

ム及び追加的な主要パフ
ォーマンス指標のレビュ
ーからのアウトプットに

よって,管理層の決定が
なされている。

プ ロ セ ス レ ベ ル の 目 標

が,主要パフォーマンス
指標に結び付いている。

組織のパフォーマンスが
他の組織と比較できるよ
うなデータが利用可能で

ある。

成功の主要条件が,適切

かつ実用的な指標によっ
て特定され,追跡されて
いる。

測定システムからの信頼
できるデータによって,

管理層の決定が適切にな
されている。

主要パフォーマンス指標

に対する長期的な進ちょ
く(捗)状況を示すデー
タが利用可能である。

戦略及び目標の展開が監
視されている。

パフォーマンス指標が確
立され,広く展開されて

おり,方向性及び長期計
画の戦略的決定に利用さ
れている。

データの体系的分析によ
って,将来のパフォーマ

ンスの予測が可能となっ
ている。

包括的データの体系的分

析によって,将来のパフ
ォーマンスの予測の信頼
性が上がっている。

指標が優れた戦略的決定
に貢献している。

傾向を予測し,戦略的決
定を行うための信頼でき

る情報を提供する主要パ
フォーマンス指標が選定
され,機能している。

リスク分析が,改善の優
先順位付けのためのツー

ル と し て 実 施 さ れ て い
る。

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09)


表 A.6−箇条 8(監視,測定,分析及びレビュー)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

8.3.3

  内部監査

8.3.4

  自己評価

幾つかのデータが収集さ

れているが,公式な方法
は採用されていない。

監査は,問題,顧客から
の苦情などに応じて実施
されているだけである。

収集されたデータが,主
に製品に関する問題だけ

を解決するために利用さ
れている。

幾つかのデータが定期的

に主要なプロセスから収
集されている。

マネジメントシステムの
レビューを行うために,
監査データが計画に沿っ

て利用されている。

自己評価が限定的に行わ

れている。

データ及び評価の結果が

予防にも利用され始めて
いる。

データ収集が,決められ

たプロセスに組み込まれ
ている。

特にデータが判断,意見
などから引き出される場
合には,データを検証す

るために適切性確認の調
査が実施されている。

データの正確性及びマネ
ジメントシステムの有効
性が実証できるような監

査を行っている。

自己評価が定期的に実施

されており,その結果が
組織の成熟度の決定及び
全体のパフォーマンスの

改善に利用されている。

データ収集プロセスが継

続的に評価され,それら
の有効性及び効率が改善
されている。

自己評価の結果が,戦略
策定プロセスに統合され

ている。

特定された,より高い成

熟度レベルとのギャップ
をビジョン及び戦略と照
らし合わせ,そのギャッ

プを埋めるための処置を
計画的に実行している。

他の利害関係者を監査に

参画させ,更なる改善の
機会の特定に役立たせて
いる。

自己評価が,組織のすべ
ての階層によって実施さ

れている。

8.3.5

  ベンチマーキン

組織内におけるベストプ

ラクティスに関する話題
が 非 公 式 で 散 文 的 で あ
る。市場の製品との製品

比較がある程度行われて
いる。

トップマネジメントが,

ベストプラクティスの特
定及び普及を支持してい
る。

主要な競合他者の幾つか
の製品が分析され,比較

されている。

(製品,プロセス及び業

務に関する)外部ベンチ
マーキングが,組織の指
導層によって支持されて

いる。

ベンチマーキングの方法

論が確立されている。

主要なパフォーマンス測

定結果が,構造化された
方法論の下に内部及び外
部ベンチマーキングの対

象となっている。

ベンチマーキングが,改

善,革新及び学習の機会
を特定するためのツール
として体系的に利用され

ている。

外部からベンチマーク先

になるように頻繁に求め
られている。

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表 A.6−箇条 8(監視,測定,分析及びレビュー)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

8.4

  分析

データ分析の非公式で散
文的な事例が使用されて
いる。 
 
データ分析の対象として
経済的及び財務的目標だ
けが定められている。 
 
限定的な顧客の苦情分析
がされている。

該当する外部及び内部の
情報の分析が,定期的に
実施されている。 
 
幾つかの基本的な統計ツ
ールが利用されている。
 
顧客のニーズ及び期待を
満たしている度合いを明
確にするために評価が実
施されている。製品改善
が,これらの分析に基づ
いている。 
 
プ ロ セ ス 及 び 製 品 に 法
令・規制要求事項の変更
が与える影響が,定期的
に分析されている。

計画に沿った分析プロセ
スが,統計的ツールの幅
広い利用によって支援さ
れている。 
 
分析が,該当する利害関
係者のニーズ及び期待の
特定のために活用されて
いる。 
 
効 果 的 な 決 定 及 び 処 置
が,情報の分析に基づい
て行われている。

分析プロセスが,新しい
資源,材料及び技術の評
価のために利用されてい
る。 
 
分 析 プ ロ セ ス の 有 効 性
が,パートナ又はその他
の知識源と分析結果を共
有することによって高め
られている。 
 
情報の分析からのインプ
ットに基づいて,製品の
顕著な特徴が特定され,
利害関係者にとって製品
に 価 値 が 加 え ら れ て い
る。

該当する政治,環境,社会及
び技術にかかわる比較デー
タが分析され,利用されてい
る。 
 
短期的及び長期的目標の達
成に影響を及ぼす可能性の
あるリスク及び機会が特定
され,分析されている。 
 
戦略及び方針の決定が,計画
された方法で収集され,分析
された情報に基づいて行わ
れている。

8.5

  監視,測定及び分

析から収集された情報
のレビュー

レビューの方法がその場
限りである。 
 
多くの場合,問題対応形
でレビューが行われてい
る。

品質目標の達成に向けた
進ちょく(捗)状況及び
品質マネジメントシステ
ムのパフォーマンスを評
価するための定期的なレ
ビューを実施している。
 
レビューにおいて,すべ
ての活動中のプロジェク
ト 及 び 改 善 処 置 に つ い
て,それらの計画及び目
標に対する進ちょく(捗)
状況を評価している。

主要パフォーマンス指標
及び該当する目標の計画
に沿ったレビューを定期
的に実施している。 
 
良くない傾向が特定され
た場合には,それらに対
す る 処 置 が と ら れ て い
る。 
 
レビューによって,適切
な資源が提供されたかど
うかが分かる。

レビューからのアウトプ
ットが,協働及び学習を
促進する方法として利害
関係者の一部と共有して
いる。 
 
優 れ た 実 践 事 例 を 特 定
し,共有するために,内
部比較が行われている。

様々な情報が,組織のすべて
の戦略及び業務領域におけ
る優れたパフォーマンスを
示している。 
 
レビューからのアウトプッ
トがパートナと共有され,パ
ートナのパフォーマンスの
レベル及び満足に影響を及
ぼし得る製品及びプロセス
の改善のためのインプット
として利用されている。 
レビューの結果が,とられた
処置が効果的であることを
実証している。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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表 A.7−箇条 9(改善,革新及び学習)に対する自己評価 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

9.1

(改善,革新及び学

習) 
一般

9.2

  改善

改善活動がその場限りの

ものであり,顧客又は規
制に関する苦情に基づい
ている。

是正及び予防処置に基づ

く基本的改善プロセスが
整備されている。

継 続 的 改 善 の た め の 教
育・訓練を提供している。

改善活動の成果が,組織

の大部分の製品及び主要
なプロセスにおいて実証
されている。

改善プロセスの焦点が,
戦略及び目標と整合して

いる。

戦略的に重要な改善を推

進したチーム及び個人に
対する表彰制度を整備し
ている。

継続的改善プロセスが,
組織の幾つかの階層にお

いて,また,組織の供給
者及びパートナとともに
機能している。

改善プロセスから生まれ

た結果が,組織のパフォ
ーマンスを高めている。

改善プロセスが体系的に
レビューされている。

改善が,製品,プロセス,
組織構造,運営モデル及
び組織のマネジメントシ

ス テ ム に 適 用 さ れ て い
る。

改善活動と業界平均以上

の成果の達成との間に強
固な関係を示す証拠があ
る。

改善が,組織全体にわた
り,また,組織の供給者

及びパートナにも同様に
日常活動として組み込ま
れている。

学習し,変化する組織の
能力を含め,組織のパフ

ォーマンスの改善に焦点
が当てられている。

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表 A.7−箇条 9(改善,革新及び学習)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

9.3

  革新

革新がほとんど行われて

いない。

新しい製品の導入はその

場限りで,革新の計画も
ない。

革新が,顧客のニーズ及

び期待に関するデータに
基づいて行われている。

新しい製品及びプロセス

の た め の 革 新 プ ロ セ ス
は,革新を計画するため
に必要な組織環境の変化

を特定することができる
ものである。

革新の優先順位付けが,

革新の緊急性,資源の利
用可能性,及び組織の戦
略とのバランスに基づい

て行われている。

供給者及びパートナが革

新プロセスに参画してい
る。

革新プロセスの有効性及
び 効 率 の 定 期 的 な 評 価
が,学習プロセスの一環

として行われている。

革新が組織の運営方法の

改善のために利用されて
いる。

革新の活動が,組織環境

における起こり得る変化
を予想したものとなって
いる。

革新の活動に伴う特定さ
れたリスクを回避又は軽

減するための予防計画が
策定されている。

革新が,製品,プロセス,
組織構造,運営モデル及
び組織のマネジメントシ

ス テ ム に 適 用 さ れ て い
る。

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表 A.7−箇条 9(改善,革新及び学習)に対する自己評価(続き) 

成熟度レベル

細分箇条

レベル 1

レベル 2

レベル 3

レベル 4

レベル 5

9.4

  学習

苦情に端を発し,幾ばく

か の 教 訓 が 得 ら れ て い
る。

学習が個人ベースのもの
であり,知識の共有がな
い。

学習が,問題及びその他

のデータの,決められた
とおりの分析から受身的
に行われている。

情報及び知識を共有する
ためのプロセスがある。

情報を共有するための計

画的活動,イベント及び
フォーラムがある。

提案又は教訓によって得
られた良好な結果を評価
するシステムが整備され

ている。

戦略及び方針に学習が取

り上げられている。

学習が主要な課題として

認識されている。知識を
共有するために,トップ
マネジメントによってネ

ットワークの構築,人々
のつながり及び相互作用
が促進されている。

トップマネジメントが,
学習推進活動を支援し,

自ら模範を示している。

組 織 の 学 習 能 力 を 通 し

て,個人の力量と組織の
力量とを統合している。

学習が改善及び革新プロ
セスのための基盤となっ
ている。

誤りから学び,改善の機

会を得て,リスクをとり,
失敗を許容することを可
能にする,学習する組織

文化がある。

学習のために外部と関係

を維持している。

注記  現在の成熟度レベルは,レベル 1 から順に確認し,それまでのレベルの要素すべてが満たされた最上位のレベルとなる。

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Q

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Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

附属書 B

(参考)

品質マネジメントの原則

B.1

  一般 

この附属書では,ISO/TC176 が作成した品質マネジメント規格が基礎としている八つの品質マネジメン

トの原則を示している。これらの原則は,パフォーマンスの改善に向けて自らの組織を導くための枠組み

の一つとしてトップマネジメントが活用できるものである。

この附属書は,これら八つの品質マネジメントの原則についての標準的な説明を示す。加えてこの附属

書は,これらの原則の活用によって得られる便益,及び組織のパフォーマンス改善のために,これらの原

則を適用する際に,通常,管理層がとる行動の例を示す。

B.2

  原則 1:顧客重視 

組織は,その顧客に依存しており,そのために,現在及び将来の顧客ニーズを理解し,顧客要求事項を

満たし,顧客の期待を超えるように努力することが望ましい。

a)

主な便益は,次による。

−  市場での機会に柔軟かつ迅速に対応することによる,収入及び市場占有率の増加

−  顧客満足向上のための,組織の資源活用の有効性の向上

−  再取引きにつながる顧客のロイヤリティの向上

b)

顧客重視の原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  顧客のニーズ及び期待を調査し,理解する。

−  組織の目標が顧客のニーズ及び期待につながっていることを確実にする。

−  顧客のニーズ及び期待を組織全体に伝達する。

−  顧客満足の度合いを測定し,その結果に基づいて行動する。

−  顧客との関係を体系的に運営管理する。

−  顧客の満足と,その他の利害関係者(オーナ,従業員,供給者,融資者,地域コミュニティ,社会

全体など)の満足との間の,バランスのとれたアプローチをとることを確実にする。

B.3

  原則 2:リーダーシップ 

リーダーは,組織の目的及び方向を一致させる。リーダーは,人々が組織の目標を達成することに十分

に参画できる内部環境をつく(創)りだし,維持することが望ましい。

a)

主な便益は,次による。

−  人々が,組織の目標を理解し,それに向けて意欲をもつ。

−  活動が,統一された方法で,評価され,整合され,実施される。

−  組織の階層間の情報交換の不足及び不備が最小限に抑えられる。

b)

リーダーシップの原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  顧客,オーナ,従業員,供給者,融資者,地域コミュニティ及び社会全体を含むすべての利害関係

者のニーズを考慮する。

−  組織の将来に関する明確なビジョンを確立する。


39

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

−  目標を高めに設定する。

−  組織のすべての階層において,共通の価値基準,公平性及び倫理的模範を作り持続させる。

−  信頼を醸成し,恐れを取り除く。

−  人々に対し,責任及び説明責任をもって行動するために必要な,資源,教育・訓練及び行動の自由

を提供する。

−  人々の貢献を促すように鼓舞し,奨励し,褒める。

B.4

  原則 3:人々の参画 

すべての階層の人々は,組織にとって最も重要なものであり,その全面的な参画によって,組織の便益

のためにその能力を活用することが可能となる。

a)

主な便益は,次による。

−  人々が,意欲をもち,熱意をもって事に当たり,深く参画する。

−  組織目標の向上における革新及び創造性

−  人々が,自己のパフォーマンスについて説明責任を果たす。

−  人々が,継続的改善に意欲的に参加し,貢献する。

b)

人々の参画の原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  人々が,組織における自己の貢献及び役割の重要性を理解する。

−  人々が,自己のパフォーマンス実現にかかわる制約条件を明確にする。

−  人々が,問題に自主的に取り組み,解決に責任をもつ。

−  人々が,個人の目標に対するパフォーマンスを評価する。

−  人々が,自己の力量,知識及び経験を高めるための機会を積極的に求める。

−  人々が,知識及び経験を自由に共有する。

−  人々が,問題及び課題をオープンに議論する。

B.5

  原則 4:プロセスアプローチ 

活動及び関連する資源が一つのプロセスとして運用管理されるとき,望まれる結果がより効率よく達成

される。

a)

主な便益は,次による。

−  資源の効果的利用による,コストの削減及びサイクルタイムの短縮

−  改善され,安定した,予測可能な結果

−  改善の機会について焦点が絞られ,優先順位が付けられる。

b)

プロセスアプローチの原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  望まれる成果を得るために必要な活動を体系的に決定する。

−  主要な活動を運営管理するための責任及び説明責任を明確に決める。

−  主要な活動の能力を分析し,測定する。

−  組織の部門内及び部門間における主要な活動のインタフェースを特定する。

−  組織の主要な活動を改善する資源,方法,物などの要因に焦点を合わせる。

−  顧客,供給者及びその他の利害関係者に与える,活動のリスク,結果及び影響を評価する。


40

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

B.6

  原則 5:マネジメントへのシステムアプローチ 

相互の関連するプロセスを一つのシステムとして明確にし,理解し,運営管理することが組織の目標を

効果的で効率よく達成することに寄与する。

a)

主な便益は,次による。

−  望まれる成果を最大限に達成するプロセスの統合及び整合

−  主要なプロセスに取組みを集中する能力

−  組織の一貫性,有効性及び効率に関して利害関係者に信頼感を与える。

b)

マネジメントへのシステムアプローチの原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  組織の目標を最も効果的かつ効率的に達成するために,システムを構造化する。

−  システムのプロセス間の相互依存関係を理解する。

−  プロセスを調和し,統合する構造化されたアプローチ

−  共通の目標を達成するために必要な役割及び責任に関してよりよい理解を与え,それによって部門

間の障壁を減らす。

−  組織の能力を理解し,実行前に資源の制約を明確にする。

−  システム内の個々の活動がどのように機能すべきかについて明らかにし,目標を定める。

−  測定及び評価を通じてシステムを継続的に改善する。

B.7

  原則 6:継続的改善 

組織の総合的パフォーマンスの継続的改善を組織の永遠の目標とすることが望ましい。

a)

主な便益は,次による。

−  組織の能力の改善を通じたパフォーマンスの優位性

−  すべての階層における改善活動と組織の戦略的意図との整合

−  機会に迅速に対応する柔軟性

b)

継続的改善の原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  組織のパフォーマンスの継続的改善のための,一貫性のある全組織的なアプローチを採用する。

−  継続的改善の方法及びツールに関する教育・訓練を人々に提供する。

−  製品,プロセス及びシステムの継続的改善を,組織のすべての個々人の目標とする。

−  継続的改善の目標及び経緯を追跡するための指標を設定する。

−  改善を褒め,感謝の意を示す。

B.8

  原則 7:意思決定への事実に基づくアプローチ 

効果的な意思決定は,データ及び情報の分析に基づいている。

a)

主な便益は,次による。

−  十分な情報に基づく決定

−  事実に基づく記録への参照を通じた,過去の決定の有効性を実証する能力の向上

−  意見及び決定をレビューし,挑戦し,変更する能力の向上

b)

意思決定への事実に基づくアプローチの原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  データ及び情報が十分に正確で,信頼性のあるものであることを確実にする。

−  データを,必要とする人々がアクセスできる状態にする。

−  正しい方法を用いてデータ及び情報を分析する。


41

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

−  経験及び勘とのバランスがとれた,事実に基づく分析に基づいて,意思決定をし,処置を行う。

B.9

  原則 8:供給者との互恵関係 

組織及びその供給者は相互に依存しており,両者の互恵関係は両者の価値創造能力を高める。

a)

主な便益は,次による。

−  両者の価値創造能力の向上

−  市場又は顧客の,変化するニーズ及び期待に対して共同で対応する際の柔軟性及びスピードの向上

−  コスト及び資源の最適化

b)

供給者との互恵関係の原則の適用のためには,一般に,次の事項が必要である。

−  短期的利益と長期的視野とのバランスがとれた,供給者との関係を確立する。

−  専門的知識及び資源をパートナとの間で共有する。

−  主要な供給者を特定し,選定する。

−  明確かつオープンなコミュニケーション

−  情報及び将来計画の共有

−  共同開発及び共同での改善活動の体制を確立する。

−  供給者による改善及び達成を鼓舞し,奨励し,褒める。


42

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

附属書 C 
(参考)

JIS Q 9004:2010

と JIS Q 9001:2008 との対比

表 C.1 は,JIS Q 9001:2008 とこの規格との対応を示し,二つの規格が互いにどのように補完しているか

を示している。

JIS Q 9001

は,組織内部での適用,認証又は契約のために使用され得る品質マネジメントシステムに関

する要求事項を規定し,顧客要求事項を満たすに当たっての品質マネジメントシステムの有効性に焦点を

合わせている。

この規格は,トップマネジメントが,JIS Q 9001 の要求事項を超え,組織のパフォーマンスの体系的か

つ継続的な改善によって,すべての利害関係者のニーズ及び期待,並びに満足に対応することを望む組織

のための手引を示している。

表 C.1JIS Q 9004:2010 と JIS Q 9001:2008 との対比表 

JIS Q 9004:2010

JIS Q 9001:2008

4.1

  (組織の持続的成功のための運営管理)一般 4.1  (品質マネジメントシステム)一般要求事項

5.1

  経営者のコミットメント

− 4.2  文書化に関する要求事項

4.2

  持続的成功

4.3

  組織環境 7.2  顧客関連のプロセス

4.4

  利害関係者,ニーズ及び期待 5.2  顧客重視

5.1

  (戦略及び方針)一般 5.3  品質方針

5.2

  戦略及び方針の策定 5.3  品質方針

5.3

  戦略及び方針の展開 5.4  計画

5.4

  戦略及び方針に関するコミュニケーション 5.5.3  内部コミュニケーション

7.2.3

  顧客とのコミュニケーション

6.1

  (資源の運用管理)一般 6.1  資源の提供

6.2

  財務資源

6.3

  組織の人々

6.3.1

  人々の運用管理

6.2

  人的資源

6.3.2

  人々の力量 6.2.2  力量,教育・訓練及び認識

6.3.3

  人々の参画及び動機付け

6.4

  供給者及びパートナ

6.4.1

  一般

7.4.1

  購買プロセス

6.4.2

  供給者及びパートナの選定,評価及び能力の

改善

7.4.1

  購買プロセス

6.5

  インフラストラクチャー 6.3  インフラストラクチャー

6.6

  作業環境 6.4  作業環境

6.7

  知識,情報及び技術

6.8

  天然資源

7.1

  (プロセスの運営管理)一般 4.1  (品質マネジメントシステム)一般要求事項

7.2

  プロセスの計画策定及び管理 7.1  製品実現の計画

7.5

  製造及びサービス提供

7.3

  プロセスの責任及び権限 5.5.1  責任及び権限


43

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

表 C.1JIS Q 9004:2010 と JIS Q 9001:2008 との対比表(続き) 

JIS Q 9004:2010

JIS Q 9001:2008

8.1

  (監視,測定,分析及びレビュー)一般 8.1  (測定,分析及び改善)一般

7.6

  監視機器及び測定機器の管理

8.2

  監視 8.2.3  プロセスの監視及び測定

8.2.4

  製品の監視及び測定

8.3.1

  (測定)一般 8.2  監視及び測定

8.2.1

  顧客満足

8.3.2

  主要パフォーマンス指標 8.2.3  プロセスの監視及び測定

8.3.3

  内部監査 8.2.2  内部監査

8.3.4

  自己評価

8.3.5

  ベンチマーキング

8.4

  分析 8.4  データの分析

8.5

  監視,測定及び分析から収集された情報のレビ

ュー

5.6

  マネジメントレビュー

9.1

  (改善,革新及び学習)一般 8.5  改善

9.2

  改善 8.5  改善

9.3

  革新 7.3  設計・開発

9.4

  学習


44

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

参考文献

[1]  JIS C 5750-1

  ディペンダビリティ  マネジメント−第 1 部:ディペンダビリティ  マネジメントシス

テム

[2]  JIS Q 9001:2008

  品質マネジメントシステム−要求事項

[3]  JIS Q 10001

  品質マネジメント−顧客満足−組織における行動規範のための指針

[4]  JIS Q 10002

  品質マネジメント−顧客満足−組織における苦情対応のための指針

[5]  JIS Q 10003

  品質マネジメント−顧客満足−組織の外部における紛争解決のための指針

[6]  JIS Q 10006

  品質マネジメントシステム−プロジェクトにおける品質マネジメントの指針

[7]  JIS Q 10019

  品質マネジメントシステムコンサルタントの選定及びそのサービスの利用のための指

[8]  JIS Q 14001

  環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引

[9]  JIS Q 14040

  環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み

[10] JIS Q 14044

  環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−要求事項及び指針

[11]  JIS Q 19011

  品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針

[12] JIS Q 27001

  情報技術−セキュリティ技術−情報セキュリティマネジメントシステム−要求事項

[13]  JIS Q 31000

  リスクマネジメント−原則及び指針

[14]  TR Q 0007

  環境適合設計

[15]  ISO/TS 10004

,Quality management−Customer satisfaction−Guidelines for monitoring and measuring

[16]  ISO 10005

,Quality management systems−Guidelines for quality plans

[17]  ISO 10007

,Quality management systems−Guidelines for configuration management

[18]  ISO 10012

,Measurement management systems−Requirements for measurement processes and measuring

equipment

[19]  ISO/TR 10013

,Guidelines for quality management system documentation

[20]  ISO 10014

,Quality management−Guidelines for realizing financial and economic benefits

[21]  ISO 10015

,Quality management−Guidelines for training

[22]  ISO/TR 10017

,Guidance on statistical techniques for ISO 9001:2000

[23]  ISO/TR 14047

,Environmental management−Life cycle impact assessment−Examples of application of ISO

14042

2)

[24]  ISO/TS 14048

,Environmental management−Life cycle assessment−Data documentation format

[25]  ISO/TR 14049

,Environmental management−Life cycle assessment−Examples of application of ISO 14041

to goal and scope definition and inventory analysis

2)

[26]  ISO 26000

,Guidance on social responsibility

1)

[27]  ISO/IEC 27000

,Information technology−Security techniques−Information security management systems

−Overview and vocabulary

[28]  ISO/IEC 90003

,Software engineering−Guidelines for the application of ISO 9001:2000 to computer

software

[29]  IEC 61160

,Design review


45

Q 9004

:2010 (ISO 9004:2009)

[30]  OHSAS 18001

,Occupational health and safety management systems−Requirements

[31]  OHSAS 18002

,Occupational health and safety management systems−Guidelines for the implementation of

OHSAS 18001

[32] Quality

management

principles

3)

,ISO,2001

[33]  ISO 9000

−Selection and use

3)

,ISO,2008

[34]  Guidance on the Concept and Use of the Process Approach for management systems

4)

,ISO,2008

[35]

中小企業のための ISO 9001  何をなすべきか  ISO/TC176 からの助言

5)

,ISO,2002

[36] ISO

がすすめるマネジメントシステム規格の統合的な利用,ISO,2008

[37]  ISO Management Systems

6)

[38]

参考ウェブサイト

http://www.iso.org

http://www.tc176.org

http://www.iso.org/tc176/sc2

http://www.iso.org/tc176/ISO9001AuditingPracticesGroup

1)

今後発行予定

2)

  ISO 14041:1998

及び ISO 14042:2000 は共に廃止され,ISO 14040:2006 及び ISO 14044:2006 に置

き換えられた。

3)

次のウェブサイトから入手利用可能

 http://www.iso.org

 http://www.iso.org/tc176/sc2

4)

次のウェブサイトから入手利用可能

 http://www.iso.org/tc176/sc2

5)

  ISO 9001:2008

に整合させて改訂予定

6)

隔月に発行。世界中の様々な組織における実施状況を含めた,ISO のマネジメントシステム規

格に関する国際的な作成状況についての情報を提供している。ISO 中央事務局から入手利用可

能(sales@iso.org)