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Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

3

2

  用語及び定義 

3

3

  原則

9

3.1

  一般

9

3.2

  適切性

9

3.3

  完全性

9

3.4

  一貫性

9

3.5

  正確性

9

3.6

  透明性

9

4

  GHG インベントリの設計及び開発 

9

4.1

  組織の境界 

9

4.2

  活動の境界 

10

4.3

  GHG の排出量及び吸収量の定量化 

11

5

  GHG インベントリの構成要素

13

5.1

  GHG の排出量及び吸収量

13

5.2

  GHG の排出量の削減又は吸収量の増加を図る組織の活動 

13

5.3

  基準年の GHG インベントリ

14

5.4

  不確かさの評価及び削減 

14

6

  GHG インベントリの品質管理

14

6.1

  GHG の情報管理 

14

6.2

  文書保持及び記録保管 

15

7

  GHG 報告 

15

7.1

  一般

15

7.2

  GHG 報告書の計画 

15

7.3

  GHG 報告書の内容 

16

8

  検証活動における組織の役割

17

8.1

  一般

17

8.2

  検証の準備 

17

8.3

  検証の管理 

17

附属書 A(参考)各施設データの組織データへの連結 

19

附属書 B(参考)その他の間接的な温室効果ガス(GHG)の排出量の例

20

附属書 C(参考)温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP) 

21

参考文献

22


Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS Q 14064

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

Q

14064-1

  第 1 部:組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及び報告のための仕

様並びに手引

JIS

Q

14064-2

  第 2 部:プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量の削減又は吸収量の増加の定量

化,監視及び報告のための仕様並びに手引(予定)

JIS

Q

14064-3

  第 3 部:温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様並びに手引(予

定)


日本工業規格

JIS

 Q

14064-1

:2010

(ISO 14064-1

:2006

)

温室効果ガス−第 1 部:組織における

温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及び

報告のための仕様並びに手引

Greenhouse gases-Part 1: Specification with guidance at the organization

level for quantification and reporting of greenhouse gas emissions and

removals

序文 

この規格は,2006 年に第 1 版として発行された ISO 14064-1 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

注記”に記載した情報は,関連する要求事項を理解するための,又は明確にするための手引である。

気候変動は,各国,政府,企業及び一般市民が,今後数十年間に直面する最大の課題の一つとされてい

る。気候変動は,人為的システムと自然システムとの双方に影響し,資源の利用,生産及び経済活動に重

大な変化を生じさせるおそれがある。これを受け,大気中の温室効果ガス(以下,GHG という。

)の濃度

を安定化させるため,国際,地域,国内及び地方のレベルでの取組が策定され,かつ,実施されている。

このような GHG 対策には,GHG の排出量及び/又は吸収量の定量化,監視,報告及び検証が不可欠であ

る。

この規格では,組織又は企業が行う GHG インベントリの設計,開発,管理及び報告に関する原則及び

要求事項を詳説する。この規格には,GHG の排出量の境界の判定,組織による GHG の排出量及び吸収量

の定量化,並びに GHG 管理の改善をねらいとする具体的な企業の行動又は活動の特定に関する要求事項

が含まれる。また,インベントリの品質管理,報告,内部監査,及び検証活動のための組織の責任におけ

る要求事項並びに手引も含む。

ISO 14064-2

では,特に GHG の排出量の削減又は吸収量の増加を目的とする GHG プロジェクト又はプ

ロジェクトに基づく活動に焦点を当てる。ISO 14064-2 は,プロジェクトにおけるベースラインシナリオ

の決定,並びにベースラインシナリオに関連したプロジェクトにおけるパフォーマンスの監視,定量化及

び報告のための原則及び要求事項を含むとともに,GHG プロジェクトの妥当性確認及び検証のための基盤

を提供する。

ISO 14064-3

では,GHG インベントリの検証に関する,及び GHG プロジェクトの妥当性確認又は検証

に関する原則及び要求事項を詳述する。ISO 14064-3 は,GHG に関する妥当性確認プロセス又は検証プロ

セスについて規定するとともに,妥当性確認又は検証の計画,アセスメント手順,及び組織又はプロジェ

クトによる GHG に関する主張の評価のような構成要素を特定する。ISO 14064-3 は,組織又は独立当事者

が,GHG に関する主張の妥当性確認又は検証に用いることができる。


2

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

この規格,ISO 14064-2 及び ISO 14064-3(以下,JIS Q 14064 規格群という。

)の関係を,

図 に示す。

図 1JIS Q 14064 規格群の各部間の関係

JIS Q 14064

規格群は,GHG インベントリ又は GHG プロジェクトの定量化,監視,報告及び妥当性確

認又は検証に,明確性及び一貫性を与えることによって,全世界の組織,政府,プロジェクトの推進者及

び利害関係者に有益となることが期待される。特に,JIS Q 14064 規格群の利用によって,次の事項が可能

となる。

− GHG の定量化における環境の面からの完全性を高める。

− GHG プロジェクトによる排出量の削減及び吸収量の増加を含む,GHG の定量化,監視及び報告の信

頼性,一貫性及び透明性を高める。

−  組織の GHG の管理戦略及び計画の策定及び実施を促進する。

− GHG プロジェクトの開発及び実施を促進する。

− GHG の排出量の削減及び/又は吸収量の増加におけるパフォーマンス及び進ちょく(捗)状況を把握

する能力を高める。

− GHG の排出量の削減又は吸収量の増加によるクレジットの付与及び取引を促進する。

プログラム別

 
 

意図した利用者の 

ニーズに沿った 

保証水準

該 当 す る GHG
プログラム又は
意図した利用者
の要求事項

例えば,ISO 14065 
妥当性確認又は検証を行
う機関に対する要求事項

ISO 14064-3 

検証プロセス                妥当性確認プロセス及び検証プロセス

JIS Q 14064-1 

組織の GHG インベントリの設計

及び開発

ISO 14064-2

GHG

プロジェクトの設計及び実施

GHG

インベントリの文書化及び

報告

GHG

プロジェクトの文書化及び

報告

プログラム別

GHG

に関する主張 

検証

GHG

に関する主張 

妥当性確認及び/又は検証


3

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

JIS Q 14064

規格群の利用者は,次のような事例に適用することによって便益を得られる可能性がある。

a)

企業のリスク管理:例えば,リスク及び機会の抽出及び管理

b)

自主的取組:例えば,自主的な GHG の登録簿制度又は報告制度への参加

c) GHG

市場:例えば,GHG の排出枠又はクレジットの売買

d)

規制当局/政府への報告:例えば,早期対応によるクレジット,交渉による合意又は国の報告プログ

ラム

企業の GHG インベントリに関する現行の国際規格及び運用規則をたたき台に前進を図るという目的に

沿い,この規格は,参考文献[4]に述べられている重要な概念及び要求事項の多くを取り入れている。こ

の規格の利用者は,参考文献[4]を参照し,適切な概念及び要求事項に関する追加的な手引を得ることが

推奨される。

箇条の中には,この規格の利用者に対し,どのアプローチが使用されたのか,又は下された判断は何か

について説明するように要求するものがある。説明には一般的に,次の事項の文書化が含まれる。

−  そのアプローチは,どのように使用されたか,又はその判断は,どのように下されたか。

−  そのアプローチは,なぜ選ばれたか,又はその判断は,なぜ下されたか。

箇条の中には,この規格の利用者に対し,どのアプローチが使用されたのか,又は下された判断は何か

について正当な根拠を示すように要求するものがある。正当な根拠には,一般的に,次の事項の文書化が

含まれる。

−  そのアプローチは,どのように使用されたか,又はその判断は,どのように下されたか。

−  そのアプローチは,なぜ選ばれたか,又はその判断は,なぜ下されたか。

−  他のアプローチは,なぜ選ばれなかったか。

適用範囲 

この規格は,組織のための GHG の排出量及び吸収量の定量化及び報告に関する,原則及び要求事項に

ついて規定する。この規格には,組織の GHG インベントリの設計,開発,管理,報告及び検証に関する

要求事項を含む。

JIS Q 14064

規格群は,いかなる GHG プログラムに対しても中立的である。何らかの GHG プログラム

が適用される場合,該当する GHG プログラムの要求事項は,JIS Q 14064 規格群の要求事項に追加して適

用する。

注記 1  JIS Q 14064 規格群の要求事項を満たすことで,もし,組織又は GHG プロジェクトの推進者

が,GHG プログラムの要求事項を順守できなくなる場合,該当する GHG プログラムの要求

事項が優先される。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 14064-1:2006

,Greenhouse gases−Part 1: Specification with guidance at the organization level

for quantification and reporting of greenhouse gas emissions and removals

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。


4

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

2.1 

温室効果ガス,GHGgreenhouse gas 

自然起源か人為起源かを問わず,大気を構成する気体で,地球の表面,大気及び雲によって放射される

赤外線スペクトルの内,特定波長の放射線を吸収及び放出するもの。

注記 GHG には,二酸化炭素(CO

2

,メタン(CH

4

,亜酸化窒素(N

2

O

,ハイドロフルオロカーボ

ン(HFCs)

,パーフルオロカーボン(PFCs)及び六ふっ化硫黄(SF

6

)が含まれる。

2.2 

温室効果ガス(GHG)の排出源(greenhouse gas source 

GHG

を大気中に放出する物理的単位又はプロセス。

2.3 

温室効果ガス(GHG)の吸収源(greenhouse gas sink 

大気中から GHG を吸収する物理的単位又はプロセス。

2.4 

温室効果ガス(GHG)貯蔵庫(greenhouse gas reservoir 

生物圏,岩石圏若しくは水圏の物理的単位又は構成要素で,GHG の吸収源(2.3)によって大気中から

吸収された GHG,又は GHG の排出源(2.2)から分離・回収された GHG を貯蔵又は蓄積する能力がある

もの。

注記 1  特定の時点で GHG 貯蔵庫に含まれる炭素の質量の合計は,貯蔵庫の炭素ストックと呼ばれ

ることがある。

注記 2 GHG 貯蔵庫は,別の GHG 貯蔵庫に GHG を移転できる。

注記 3 GHG の排出源から大気中に入る前に GHG を収集し,これを GHG 貯蔵庫に貯蔵することを

指して,GHG の分離・回収及び貯蔵と呼ぶことがある。

2.5 

温室効果ガス(GHG)の排出量(greenhouse gas emission 

特定の期間内に大気中に放出された GHG の質量の合計。

2.6 

温室効果ガス(GHG)の吸収量(greenhouse gas removal 

特定の期間内に大気中から吸収された GHG の質量の合計。

2.7 

温室効果ガス(GHG)の排出係数又は吸収係数(greenhouse gas emission or removal factor 

活動データを GHG の排出量又は吸収量に変換する係数。

注記 GHG の排出係数又は吸収係数は,酸化成分を含めることができる。

2.8 

直接的な温室効果ガス(GHG)の排出量(direct greenhouse gas emission 

組織によって,所有又は支配された GHG の排出源(2.2)からの GHG の排出量。

注記  この規格では,財務支配及び経営支配の概念を用いて,組織の活動の境界を設定する。

2.9 

エネルギー起源の間接的な温室効果ガス(GHG)の排出量(energy indirect greenhouse gas emission 

組織が,境界の外から受け入れて消費した電力,熱又は蒸気の生成段階での GHG の排出量。


5

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

2.10 

その他の間接的な温室効果ガス(GHG)の排出量(other indirect greenhouse gas emission 

エネルギー起源の間接的な GHG の排出量以外の GHG の排出量で,

ある組織の活動の結果ではあっても,

他の組織が所有又は支配する GHG の排出源(2.2)から生じるもの。

2.11 

温室効果ガス(GHG)活動データ(greenhouse gas activity data 

GHG

の排出量又は吸収量をもたらす活動の定量的な測定値。

注記 GHG 活動データの例としては,エネルギー,燃料若しくは電力の消費量,素材の生産量,サー

ビスの提供量又は影響を受ける土地の面積を含む。

2.12 

温室効果ガス(GHG)に関する主張(greenhouse gas assertion 

責任当事者(2.23)が行う宣言又は事実に基づく客観的な声明書。

注記 1 GHG に関する主張は,ある時点に対して提示してもよいし,ある期間に対して提示してもよ

い。

注記 2  責任当事者が提示する GHG に関する主張は,明確に識別が可能で,かつ,妥当性確認を行

う者(2.34)又は検証を行う者(2.36)が適切な基準に照らして一貫した評価又は測定を行え

るものでなければならない。

注記 3 GHG に関する主張は,GHG 報告書(2.17)又は GHG プロジェクトの計画書の形で提示する

ことができる。

2.13 

温室効果ガス(GHG)情報システム(greenhouse gas information system 

GHG

の情報を確定し,管理し,かつ,維持するための方針,プロセス及び手順。

2.14 

温室効果ガス(GHG)インベントリ(greenhouse gas inventory 

ある組織の GHG の排出源(2.2

,GHG の吸収源(2.3

,並びに GHG の排出量及び吸収量。

注記  インベントリは,“目録”又は“登録簿”ともいう。

2.15 

温室効果ガス(GHG)プロジェクト(greenhouse gas project 

ベースラインシナリオにおいて特定された状態を変更させるような GHG の排出量の削減,又は吸収量

の増加をもたらす活動。

2.16 

温室効果ガス(GHG)プログラム(greenhouse gas programme 

組織又は GHG プロジェクト(2.15)の外部に位置付けられ,GHG の排出量,吸収量,排出量の削減又

は吸収量の増加を,登録,算定若しくは管理する,自主的若しくは強制的な,国際,国内若しくは地方の

システム又はスキーム。

2.17 

温室効果ガス(GHG)報告書(greenhouse gas report 

組織及びプロジェクトの GHG 関連の情報を意図した利用者(2.24)に伝達することを意図した単一の文

書。

注記 GHG 報告書には,GHG に関する主張(2.12)を含むことができる。


6

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

2.18 

地球温暖化係数,GWPglobal warming potential 

所定の期間において,それぞれの GHG の単位質量当たりの放射強制力の影響を,二酸化炭素の相当量

で記述する係数。

注記  気候変動に関する政府間パネル(以下,IPCC という。)が作成した地球温暖化係数(以下,GWP

という。

)を,

附属書 に示す。

2.19 

二酸化炭素換算量,CO

2

e

carbon dioxide equivalent 

GHG

の放射強制力を二酸化炭素の相当量に換算した単位。

注記 1  二酸化炭素換算量は,所定の GHG の質量にその GWP(2.18)を乗じて算定される。

注記 2 IPCC が作成した GWP を,附属書 に示す。

2.20 

基準年(base year 

GHG

の排出量若しくは吸収量又はその他の GHG 関連の情報を経時的に比較するために特定された過去

の期間。

注記  基準年の排出量又は吸収量は,具体的な期間(例えば,1 年)に基づいて定量化しても,複数

期間(例えば,数年間)の平均をとってもよい。

2.21 

施設(facility 

単一の地理的な境界,組織単位又は生産プロセスの内で定義された,固定式若しくは移動式を問わず,

単一の設備,一連の設備又は生産プロセス。

2.22 

組織(organization 

法人であるか否か,公的であるか私的であるかを問わず,独自の機能及び管理体制をもつ会社,法人,

事業所,官公庁団体,若しくはそれらの一部又は組合せ。

2.23 

責任当事者(responsible party 

GHG

に関する主張(2.12)及び裏付けとなる GHG の情報の提示に対して責任を負う人又は人々。

注記  責任当事者は,個人でも,組織又はプロジェクトの代表でもあり得るほか,妥当性確認を行う

者(2.34)又は検証を行う者(2.36)を採用する当事者でもあり得る。妥当性確認を行う者又は

検証を行う者は,依頼人又は GHG プログラムの運用者のようなその他の当事者が採用しても

よい。

2.24 

意図した利用者(intended user 

GHG

関連の情報の報告書によって特定された個人又は組織で,当該情報に基づき判断を下す者。

注記  意図した利用者は,依頼者(2.25),責任当事者(2.23),GHG プログラムの運用者,規制当局,

財界又はその他の影響を受ける利害関係者(例えば,地域社会,政府部局又は非政府組織)の

いずれでもあり得る。

2.25 

依頼者(client 


7

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

妥当性確認(2.31)又は検証(2.35)を要請した組織又は個人。

注記  依頼者は,責任当事者(2.23),GHG プログラムの運用者又はその他の利害関係者のいずれで

もあり得る。

2.26 

直接的な削減・吸収に寄与する活動(directed action 

GHG

プロジェクト(2.15)として組織化されていない,直接的な若しくは間接的な,GHG の排出量の

削減若しくは予防,又は GHG の吸収量の増加のために,組織が実施する具体的な活動又は取組。

注記 1 GHG プロジェクトは,ISO 14064-2 で規定されている。

注記 2  直接的な削減・吸収に寄与する活動は,継続的であることも,非継続的であることもある。

注記 3  直接的な削減・吸収に寄与する活動に起因する GHG の排出量又は吸収量の差分は,組織の

境界内外のいずれで発生してもよい。

2.27 

保証水準(level of assurance 

意図した利用者(2.24)が妥当性確認(2.31)又は検証(2.35)で要求する保証の程度。

注記 1  保証水準は,妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,何らかの重大な誤り,脱漏又は不実

表示があるか否かを判断するために,妥当性確認又は検証の計画に設定する詳細度の決定に

用いられる。

注記 2  保証には,二つの水準(合理的又は限定的)があり,これによって,妥当性確認又は検証の

声明書の文言が異なる。妥当性確認及び検証の声明書の例については,ISO 14064-3:2006 の

A.2.3.2

を参照。

2.28 

重要性(materiality 

個別の誤り,脱漏及び不実表示,又はその総体が,GHG に関する主張(2.12)に影響し,かつ,意図し

た利用者(2.24)の判断にも影響を与え得るという概念。

注記 1  重要性の概念は,妥当性確認又は検証の計画及びサンプリング計画を設計する際,妥当性確

認を行う者又は検証を行う者が,重大な不一致(2.29)を見落とすというリスク(発見リス

ク)を極小化するために用いる実質的プロセスの種類を判定するために用いられる。

注記 2  重要性の概念は,脱漏又は虚偽表示があれば,意図した利用者に対する GHG に関する主張

の著しい不実表示となり,その判断に影響を及ぼすと考えられる情報を抽出する際に用いら

れる。許容可能な重要性は,合意された保証水準に基づき,妥当性確認を行う者,検証を行

う者又は GHG プログラムが決定する。この関係についての詳細は,ISO 14064-3 の A.2.3.8

を参照。

2.29 

重大な不一致(material discrepancy 

GHG

に関する主張(2.12)における実際の個別の誤り,脱漏及び不実表示,又はその総体で,意図した

利用者(2.24)の判断に影響を与えかねないもの。

2.30 

監視(monitoring 

GHG

の排出量及び吸収量,又はその他の GHG 関連のデータについての継続的又は定期的なアセスメン

ト。


8

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

2.31 

妥当性確認(validation 

GHG

プロジェクトの計画書における GHG に関する主張(2.12)を,合意された妥当性確認の基準(2.32

に照らして評価する体系的で,独立し,かつ,文書化されたプロセス。

注記 1  第一者による妥当性確認のような場合,GHG のデータ及び情報の開発のための責任がないこ

とによって,独立性が実証できることがある。

注記 2 GHG プロジェクトの計画書の内容については,ISO 14064-2 の 5.2 で規定されている。

注記 3  “バリデーション”又は“有効化審査”ともいう。

2.32 

妥当性確認の基準(validation criteria 

検証の基準(verification criteria 

比較される根拠として,参照されることによって使用される方針,手順又は要求事項。

注記  妥当性確認又は検証の基準は,政府,GHG プログラム,自主的な報告制度,規格又は最適な慣

行(good practice)の手引のいずれによって設定されてもよい。

2.33 

妥当性確認の声明書(validation statement 

検証の声明書(verification statement 

責任当事者(2.23)の GHG に関する主張(2.12)における声明書に保証を与える,意図した利用者(2.24

に対する正式な宣言書。

注記  妥当性確認を行う者又は検証を行う者による宣言は,GHG の排出量,吸収量,排出量の削減又

は吸収量の増加の主張を対象とすることができる。

2.34 

妥当性確認を行う者(validator 

力量及び独立性を備え,妥当性確認の実施及びその結果の報告に対して責任を負う人又は人々。

注記 1  この用語は,妥当性確認を行う機関を指すために用いることができる。

注記 2  “バリデータ”と呼ばれることもある。

2.35 

検証(verification 

GHG

に関する主張(2.12)を,合意された検証の基準(2.32)に照らして評価する,体系的で,独立し,

かつ,文書化されたプロセス。

注記  第一者による検証のような場合,GHG のデータ及び情報の開発のための責任がないことによっ

て,独立性が実証できることがある。

2.36 

検証を行う者(verifier 

力量及び独立性を備え,検証プロセスの実施及びその報告に対して責任を負う人又は人々。

注記  この用語は,検証を行う機関を指すために用いることができる。

2.37 

不確かさ(uncertainty 

定量化の結果に関係するパラメータで,定量化の対象に合理的に当てはめることができる数値のばらつ

きを特徴付けるもの。


9

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

注記  通常,不確かさの情報には,数値のばらつき度合いの定量的な推計,及びばらつきを起こす可

能性に関する定性的な説明が示される。

原則 

3.1 

一般 

原則の適用は,GHG 関連の情報が,正確かつ公正な報告であることを確実にする基礎となる。原則は,

この規格の要求事項の基本であり,かつ,適用を手引するものである。

3.2 

適切性 

意図した利用者のニーズに適した GHG の排出源,GHG の吸収源,GHG 貯蔵庫,データ及び方法を選択

する。

3.3 

完全性 

すべての適切な GHG の排出量及び吸収量を含める。

3.4 

一貫性 

GHG

関連の情報について,有意義な比較を可能にする。

3.5 

正確性 

実行可能な限りバイアス及び不確かさを減らす。

3.6 

透明性 

意図した利用者が合理的な確信をもって判断を下せるように,十分かつ適切な GHG 関連の情報を開示

する。

4 GHG

インベントリの設計及び開発 

4.1 

組織の境界 

組織は,単数の施設から構成しても,複数の施設から構成してもよい。施設レベルでの GHG の排出量

又は吸収量は,単数又は複数の GHG の排出源又は吸収源から生じてもよい。GHG の排出源,GHG の吸収

源と施設の関係を,

図 に示す。


10

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

x

:組織の境界内の施設の数

n

:施設内の GHG の排出源及び吸収源の数

注記 1  組織の GHG の排出量及び吸収量は,施設レベルでの GHG の排出源及び吸収源のそれぞれの量の総計である。
注記 2  組織は,ある期間に GHG の吸収源であったものが,別の期間に GHG の排出源となる,又はその逆となるこ

とがあり得る点を認識することが望ましい。

図 2GHG の排出源,GHG の吸収源と施設の関係

組織は,次のアプローチのいずれかを用いて,施設レベルでの GHG の排出量及び吸収量を連結しなけ

ればならない。

a)

支配:組織は,自らが財務支配力又は経営支配力を及ぼす施設からの GHG の排出量及び/又は吸収

量を算入する。

b)

出資比率:組織は,その出資比率に応じ,それぞれの施設からの GHG の排出量及び/又は吸収量を

算入する。

何らかの GHG プログラム又は法律に基づいた契約によって,具体的な取決めが行われている場合,組

織は,上述と異なる連結方法を用いてもよい。

ある施設が複数の組織によって支配されている場合,これらの組織は,同じ連結方法を用いることが望

ましい。

組織は,どの連結方法を用いたかを文書で示さなければならない。

選択した連結方法に変更が生じた場合,組織は,これを説明しなければならない。

施設レベルの GHG の排出量及び吸収量を組織レベルに連結するための,支配及び出資比率によるアプ

ローチを適用する際の手引を

附属書 に示す。

4.2 

活動の境界 

4.2.1 

活動の境界の設定 

組織は,その活動の境界を設定し,かつ,文書化しなければならない。活動の境界の設定には,組織の

組織の境界

組織による GHG の

排出量及び吸収量

施設 x

GHG

の排

出源  x.1

GHG

の排

出源  x.n

GHG

の吸

収源 x.1

GHG

の吸

収源  x.n

施設 1

GHG

の排

出源 1.1

GHG

の排

出源 1.n

GHG

の吸

収源 1.1

GHG

の吸

収源 1.n


11

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

活動に関連する GHG の排出量及び吸収量の特定,及び GHG の排出量及び吸収量の,直接的な排出量,エ

ネルギー起源の間接的な排出量,及びその他の間接的な排出量への分類を含む。また,その他の間接的な

排出量のうちいずれを定量化し,かつ,報告するかの選択も含む。活動の境界に変更が生じた場合,組織

は,その変更を説明しなければならない。

4.2.2 

直接的な GHG の排出量及び吸収量 

組織は,その活動の境界内にある施設からの直接的な GHG の排出量を定量化しなければならない。

組織は,その活動の境界内にある施設による GHG の吸収量を定量化することが望ましい。

電力,熱及び蒸気による直接的な GHG の排出量で,組織によって生成及び運び出し又は配給されるも

のについては,区別して個別に報告してもよいが,組織の直接的な GHG の排出量の総量から,これを差

し引いてはならない。

注記  “運び出し”とは,組織の境界外の利用者へ電力,熱又は蒸気を供給することを指す。

バイオマス燃焼による CO

2

の排出量は,他の排出量とは別に定量化しなければならない。

4.2.3 

エネルギー起源の間接的な GHG の排出量 

組織は,自らが受け入れて消費した電力,熱又は蒸気の生成段階での間接的な GHG の排出量を定量化

しなければならない。

注記  “受け入れて”とは,組織の境界の外から電力,熱又は蒸気の供給を受けることを指す。

4.2.4 

その他の間接的な GHG の排出量 

組織は,該当する GHG プログラムの要求事項,内部報告のニーズ又は GHG インベントリの意図された

用途に基づき,その他の間接的な GHG の排出量を定量化してもよい。

注記  附属書 に,その他の間接的な排出量の原因となり得る組織の活動の例を示す。

4.3 GHG

の排出量及び吸収量の定量化 

4.3.1 

定量化の段階及び除外対象 

組織の境界内において,組織は,適用可能であれば,次の段階を完了することによって,GHG の排出量

及び吸収量を定量化し,かつ,文書化しなければならない。

a) GHG

の排出源及び吸収源の特定(4.3.2 参照)

b)

定量化の方法の選択(4.3.3 参照)

c) GHG

活動データの選択及び収集(4.3.4 参照)

d) GHG

の排出係数又は吸収係数の選択又は開発(4.3.5 参照)

e) GHG

の排出量及び吸収量の計算(4.3.6 参照)

組織は,GHG の排出量又は吸収量への寄与が重大でないか,又は定量化が技術的に実行可能ではない,

若しくは費用対効果が高くない直接的又は間接的な GHG の排出源又は吸収源を,定量化から除外しても

よい。

組織は,定量化から除外した GHG の排出源又は吸収源について,その理由を説明しなければならない。

4.3.2 GHG

の排出源及び吸収源の特定 

組織は,その直接的な GHG の排出量に寄与する GHG の排出源を特定し,かつ,文書化しなければなら

ない。

組織が,

GHG

の吸収量の定量化を行う場合は,GHG の吸収量に寄与する GHG の吸収源を特定し,かつ,

文書化しなければならない。

組織は,自らが受け入れて消費した電力,熱又は蒸気の供給者を個別に文書化することが望ましい。

組織が,その他の間接的な GHG の排出量の定量化を行う場合は,その他の間接的な GHG の排出量に寄


12

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

与する GHG の排出源を個別に特定し,かつ,文書化することが望ましい。

組織は,適切な場合,特定された GHG の排出源及び吸収源を分類しなければならない。

注記 GHG の排出源及び吸収源の分類の例は,参考文献[4]及び[6]を参照。

排出源及び吸収源の特定及び分類の詳細さは,用いられる定量化の方法と整合することが望ましい。

4.3.3 

定量化の方法の選択 

組織は,合理的に不確かさを極小化し,正確で一貫した再現性のある結果をもたらす定量化の方法を選

択し,かつ,利用しなければならない。

例  定量化の方法は,GHG プログラムによって規定されていることが多く,次のように分類すること

ができる。

a)

次に基づく計算

− GHG 活動データに GHG の排出係数又は吸収係数を乗じたもの

−  モデルの利用

−  施設特有の相関関係

−  質量バランスアプローチ

b)

次のいずれかによる測定

−  継続的測定

−  断続的測定

c)

測定及び計算の組合せ

組織は,定量化の方法の選択について説明しなければならない。

組織は,それまで用いていた定量化の方法に変更が生じた場合,その変更について説明しなければなら

ない。

4.3.4 GHG

活動データの選択及び収集 

GHG

の排出量及び吸収量の定量化に GHG 活動データを用いる組織は,選択した定量化の方法の要求事

項に沿った GHG 活動データを選択し,かつ,収集しなければならない。

4.3.5 GHG

の排出係数又は吸収係数の選択又は開発 

GHG

の排出量及び吸収量の定量化に GHG 活動データを用いる組織は,次の事項を満たす GHG の排出

係数及び吸収係数を選択又は開発しなければならない。

a)

一般に認められた出所をもつ。

b)

該当する GHG の排出源又は吸収源に対して,適切である。

c)

定量化の時点で有効である。

d)

定量化の不確かさを考慮し,正確で再現性のある結果を出す意図をもって計算されている。

e) GHG

インベントリの意図する用途と一貫性がある。

組織は,GHG の排出係数又は吸収係数の出所,及び GHG インベントリの意図する用途に対する適切性

に関する正当な根拠の特定を含め,その選択又は開発について説明しなければならない。

組織は,それまで用いていた GHG の排出係数又は吸収係数に変更があった場合,その変更について説

明するとともに,必要に応じて,基準年の GHG インベントリの再計算(5.3 参照)をしなければならない。

4.3.6 GHG

の排出量及び吸収量の計算 

組織は,選択した定量化の方法(4.3.3 参照)に従い,GHG の排出量及び吸収量を計算しなければなら

ない。

GHG

の排出量又は吸収量の定量化に GHG 活動データを用いる場合,GHG の排出量及び吸収量は,GHG


13

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

活動データに GHG の排出係数又は吸収係数を乗じて計算しなければならない。

5 GHG

インベントリの構成要素 

5.1 GHG

の排出量及び吸収量 

組織は,箇条 に従って定量化を行う場合には,次の事項を施設及び組織レベルで個別に文書化しなけ

ればならない。

−  各種の GHG についての直接的な GHG の排出量

− GHG の吸収量

−  エネルギー起源の間接的な GHG の排出量

−  その他の間接的な GHG の排出量

−  バイオマス燃焼による直接的な CO

2

の排出量

組織は,適切な場合,施設レベル及び組織レベルについて,個別に,その他の種類の GHG の排出量及

び吸収量を文書化することが望ましい。

注記 1  その他の種類の GHG の排出量及び吸収量の例については,参考文献[4]及び[6]を参照。

組織は,測定の単位としてトンを使用するとともに,適切な GWP を用いて,各種の GHG の量を CO

2

e

トンに換算しなければならない。

注記 2 IPCC が作成した GWP を,附属書 に示す。

5.2 GHG

の排出量の削減又は吸収量の増加を図る組織の活動 

5.2.1 

直接的な削減・吸収に寄与する活動 

組織は,GHG の排出量の削減若しくは予防,又は GHG の吸収量の増加のために,直接的な削減・吸収

に寄与する活動を計画し,かつ,実施してもよい。

組織は,直接的な削減・吸収に寄与する活動の実施に起因する GHG の排出量又は吸収量の差分を定量

化してもよい。直接的な削減・吸収に寄与する活動の結果による GHG の排出量又は吸収量の差分は,通

常,組織の GHG インベントリに反映されることになるが,GHG インベントリの境界を越えた GHG の排

出量又は吸収量の差分となることもある。

直接的な削減・吸収に寄与する活動を定量化した場合,組織は,これを文書化することが望ましい。

報告を行う場合,組織は,直接的な削減・吸収に寄与する活動及び関連する GHG の排出量又は吸収量

の差分を個別に報告するとともに,次の事項について説明しなければならない。

a)

直接的な削減・吸収に寄与する活動の概要

b)

直接的な削減・吸収に寄与する活動の空間的かつ時間的な境界

c) GHG

の排出量又は吸収量の差分を定量化するために使用したアプローチ

d)

直接的な削減・吸収に寄与する活動における GHG の排出量又は吸収量の差分が,直接的,間接的又

はその他のタイプの GHG の排出量又は吸収量のいずれによって生じるかの決定及び分類

例  直接的な削減・吸収に寄与する活動には,次のような取組が含まれる。

−  エネルギーの需要及び使用の管理

−  エネルギー効率

−  技術又はプロセスの改善

− GHG の捕捉,及び一般的には,GHG 貯蔵庫への貯蔵

−  輸送及び出張の需要の管理

−  燃料の転換又は代替


14

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

−  植林

5.2.2 GHG

の排出量の削減又は吸収量の増加を図るプロジェクト 

組織が,ISO 14064-2 に規定されているような方法を用いて定量化される,GHG プロジェクトから購入

された又は GHG プロジェクトの開発を通じて得られた,GHG の排出量の削減又は吸収量の増加を報告す

る場合には,組織は,GHG プロジェクトとは別にそのような GHG の排出量の削減又は吸収量の増加をリ

スト化しなければならない。

5.3 

基準年の GHG インベントリ 

5.3.1 

基準年の選択及び設定 

組織は,比較の目的,又は GHG プロジェクトの要求事項若しくは GHG インベントリのその他の意図さ

れた用途に見合うように,GHG の排出量及び吸収量に関する過去の基準年を設定しなければならない。

過去の GHG の排出量又は吸収量について,十分な情報がない場合,組織は,GHG インベントリを初め

て作成した年を基準年として用いてもよい。

基準年を設定する場合,組織は,次の事項を実施しなければならない。

a)

組織の活動を代表するデータ,一般的には,単年度データ,多年度平均又は移動平均を用いて,基準

年の GHG の排出量及び吸収量を定量化する。

b)

検証可能な GHG の排出量又は吸収量のデータを入手できる基準年を選択する。

c)

基準年の選択について説明する。

d)

この規格の規定に従って基準年の GHG インベントリを開発する。

組織は,基準年を変更してもよいが,基準年を変更した場合には,組織は,その変更について説明しな

ければならない。

5.3.2 GHG

インベントリの再計算 

組織は,次の事項を説明するために,基準年の GHG インベントリの再計算の手順を開発し,適用し,

かつ,文書化しなければならない。

a)

活動の境界の変更

b)

組織の境界を出入りした GHG の排出源又は吸収源の所有及び支配

c) GHG

の排出量又は吸収量に著しい変化をもたらす,GHG の定量化の方法の変更

組織は,施設の閉鎖又は開業を含む,施設の生産水準の変化を説明する目的で,基準年の GHG インベ

ントリを再計算してはならない。

組織の基準年の GHG インベントリの再計算を,それ以降の GHG インベントリで文書化することが望ま

しい。

5.4 

不確かさの評価及び削減 

組織は,排出係数及び吸収係数に関連する不確かさを含む,GHG の排出量及び吸収量のための不確かさ

の評価を完了し,かつ,文書化することが望ましい。

組織は,不確かさの評価を完了する際,参考文献[5]の原則及び方法を適用してもよい。

6 GHG

インベントリの品質管理 

6.1 GHG

の情報管理 

6.1.1 

組織は,次の事項を満たす GHG の情報管理の手順を確立し,かつ,維持しなければならない。

a)

この規格の原則への適合を確実にする。

b) GHG

インベントリの意図された用途との一貫性を確実にする。


15

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

c) GHG

インベントリの正確性及び完全性を確実にするため,日常的かつ一貫性のあるチェック作業を規

定する。

d)

誤差及び脱漏を特定し,かつ,取り扱う。

e)

情報管理の活動を含む,適切な GHG インベントリの記録を文書化し,かつ,保存する。

6.1.2 

組織の GHG の情報管理の手順では,次の事項を考慮することが望ましい。

a) GHG

インベントリの開発責任者の責任及び権限の特定及びレビュー

b)

インベントリの開発チームの構成員を対象とする適切な研修の特定,実施及びレビュー

c)

組織の境界の特定及びレビュー

d) GHG

の排出源及び吸収源の特定及びレビュー

e) GHG

活動データ,並びに GHG インベントリの意図された用途と一貫した GHG の排出係数及び吸収

係数を含む,定量化の方法の選択及びレビュー

f)

複数の施設間の一貫性を確実にするための,定量化の方法の適用のレビュー

g)

測定装置の使用,維持及び校正(該当する場合)

h)

しっかりとしたデータの収集システムの開発及び維持

i)

規則的な正確性のチェック

j)

定期的な内部監査及び技術レビュー

k)

情報管理のプロセスの改善のための機会の定期的なレビュー

6.2 

文書保持及び記録保管 

組織は,文書保持及び記録保管のための手順を確立し,かつ,維持しなければならない。

組織は,検証を可能にするため,GHG インベントリの設計,開発及び維持を裏付ける文書を保管し,か

つ,維持しなければならない。文書は,書面でも,電子又はその他の様式でも差し支えないが,文書保持

及び記録保管のための組織の GHG の情報管理の手順に従って処理しなければならない。

7 GHG

報告 

7.1 

一般 

組織は,GHG 報告書を準備し,GHG インベントリの検証及び GHG プログラムへの参加を容易にし,外

部又は内部の利用者に情報を提供することが望ましい。GHG 報告書は,完全性,一貫性,正確性,適切性

及び透明性を備えていることが望ましい。組織は,該当する GHG プログラム,内部報告のニーズ及び報

告書の意図した利用者のニーズに基づき,GHG 報告書の内容,構造,一般の入手可能性及び配布方法を決

定することが望ましい。

この規格への適合を表明する GHG に関する主張を公表する場合,組織は,この規格に従って作成した

GHG

報告書又は当該の GHG に関する主張についての,独立した第三者による検証の声明書を一般に公表

しなければならない。組織の GHG に関する主張について,独立した第三者による検証が行われた場合,

検証の声明書は,意図した利用者に提示されなければならない。

7.2 GHG

報告書の計画 

組織は,GHG 報告書の計画に当たって,次の事項を検討し,かつ,文書化することが望ましい。

a)

組織の GHG の方針,戦略又はプログラム,及び該当する GHG プログラムとの関連を踏まえたこの報

告書の目的及び目標

b)

報告書の意図された用途及び意図した利用者

c)

報告書の準備及び作成についての全般的かつ具体的な責任


16

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

d)

報告書の公表の頻度

e)

報告書の有効期間

f)

報告書の様式

g)

報告書に含まれるべきデータ及び情報

h)

報告書の入手可能性及び配布方法に関する方針

7.3 GHG

報告書の内容 

7.3.1 

GHG

報告書は,組織の GHG インベントリについて記述するとともに,次の事項を含まなければな

らない。 

a)

報告を行う組織についての記載

b)

責任者

c)

報告書の対象期間

d)

組織の境界の文書化(4.1 参照)

e) GHG

ごとに個別に CO

2

e

トンで定量化した直接的な GHG の排出量(4.2.2 参照)

f)

バイオマス燃焼による CO

2

の排出量が GHG インベントリでどのように扱われているかの記載(4.2.2

参照)

g) GHG

の吸収量が定量化されている場合,CO

2

e

トンで定量化した GHG の吸収量(4.2.2 参照)

h)

定量化から除外された GHG の排出源又は吸収源がある場合,これに関する説明(4.3.1 参照)

i)

組織が受け入れて消費した電力,熱又は蒸気の生成に関連するエネルギー起源の間接的な GHG の排

出量として個別に CO

2

e

トンで定量化した量(4.2.3 参照)

j)

選択した過去の基準年及び基準年の GHG インベントリ(5.3.1 参照)

k)

基準年又はその他の過去の GHG のデータに変更があった場合,及び基準年又はその他の過去の GHG

インベントリの再計算が行われた場合,これに関する説明(5.3.2 参照)

l)

選択の理由を含む,定量化の方法への言及又はその記載(4.3.3 参照)

m)

それまで使用されていた定量化の方法に変更があった場合,これに関する説明(4.3.3 参照)

n)

使用された GHG の排出係数又は吸収係数への言及又はその文書化(4.3.5 参照)

o) GHG

の排出量及び吸収量のデータの正確性に対する不確かさの影響についての記載(5.4 参照)

p) GHG

報告書が,この規格に従って準備されている旨の声明書

q)

検証の種類及び達成された保証水準を含む,GHG インベントリ,GHG 報告書,又は GHG に関する主

張が検証されているか否かについて記載している声明書

7.3.2 

組織は,GHG 報告書に,次の事項を含めることを検討することが望ましい。 

a)

組織の GHG の方針,戦略又はプログラムについての記載

b)

バイオマス燃焼による CO

2

の排出量が定量化されている場合,個別に CO

2

e

トンで定量化した排出量

c)

適切であれば,直接的な削減・吸収に寄与する活動についての記載,及び組織の境界外で生じた GHG

の排出量又は吸収量の差分を含め,直接的な削減・吸収に寄与する活動に起因する GHG の排出量又

は吸収量の差分として CO

2

e

トンで定量化した量(5.2.1 参照)

d)

適切であれば,GHG の排出量の削減及び吸収量の増加のプロジェクトから購入又は開発することで得

られた GHG の排出量の削減及び吸収量の増加として,CO

2

e

トンで定量化した量(5.2.2 参照)

e)

適切な場合,該当する GHG プログラムの要求事項についての記載

f) GHG

の排出量又は吸収量の施設別の内訳

g)

定量化されている場合,その他の間接的な GHG の排出量として CO

2

e

トンで定量化した量(4.2.4 


17

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

照)

h)

不確かさを管理又は削減する措置を含む,不確かさの評価についての記述及びその結果(5.4 参照)

i)

効率性,又は GHG の排出量の原単位(生産の単位当たりの排出量)のような,追加的な指標につい

ての記載及び表示(参考文献[4]参照)

j)

適切な場合,内部及び/又は外部の適切な基準に照らしたパフォーマンスの評価

k) GHG

の情報管理及び監視手順についての記載(6.1 参照)

検証活動における組織の役割 

8.1 

一般 

検証の全体的なねらいは,

報告された GHG の排出量及び吸収量,

又は GHG に関する主張を,

ISO 14064-3

の要求事項に照らして公平にかつ客観的にレビューすることにある。組織は,定期的に,次の事項を行う

ことが望ましい。

a)  8.2

及び 8.3 に従い,検証のための準備をし,かつ,計画を立てる。

b)

該当するプログラムに適切な要求事項を考慮しながら,GHG インベントリの意図した利用者の要求事

項に基づき,適切な保証水準を決定する。

c)

意図した利用者のニーズ並びに ISO 14064-3 の原則及び要求事項によって検証を行う。

8.2 

検証の準備 

検証の準備に際し,組織は,次の事項を行うことが望ましい。

a)

検証の範囲及び目標を設定する。

b)

必要に応じて,この規格の要求事項をレビューする。

c)

該当する組織のプログラム又は GHG プログラムの,検証に関する要求事項をレビューする。

d)

要求される保証水準を決定する。

e)

検証を行う者との間で,検証の目標,範囲,重要性及び基準について合意する。

f)

適切な職員の役割及び責任を明確に定義し,これを伝達することを確実にする。

g)

組織の GHG の情報,データ及び記録が,完全かつ利用可能であることを確実にする。

h)

検証を行う者に適切な力量及び資格があることを確実にする。

i)

検証の声明書の内容を検討する。

8.3 

検証の管理 

8.3.1 

組織の検証計画 

組織は,次の事項を含む検証計画を策定し,かつ,実施することが望ましい。

a)

検証を行う者との間で合意された検証プロセス,範囲,基準,保証水準及び検証活動

b)

検証計画の実施及び維持のための役割及び責任

c)

計画された成果を達成するために必要な資源

d)

データのサンプリング及び管理の手順

e)

必要な文書及び記録の維持

f)

監視及び検証計画のレビューのためのプロセス

g)

力量のある検証を行う者の指名

8.3.2 

検証プロセス 

組織の検証活動においては,次の事項を取り扱うことが望ましい。

a)

検証を行う者との間での検証範囲,目標,基準及び保証水準に関する合意


18

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

b) GHG

のデータのサンプリング及び管理の手順の評価

c)

基準に照らした GHG の検証の声明書の内部レビュー

d)

検証報告

8.3.3 

検証を行う者の力量 

組織は,検証プロセスに関与するあらゆる者について,次の事項を確実にすることが望ましい。

a) GHG

管理の意義を認識している。

b)

自らが検証する事業及びプロセスを理解している。

c)

検証プロセスを支えるために必要な専門知識がある。

d)

この規格の内容及び目的に精通している。

組織は,検証を行う者が ISO 14065 に定める適切な力量があることを確実にすることが望ましい。

組織は,検証プロセスの客観性及び公平性を確保するため,検証の対象である事業の運営から管理上独

立した検証の要員を選出することが望ましい。

8.3.4 

検証の声明書 

組織は,検証を行う者に対し,少なくとも次の事項を含む声明書の提出を要請することが望ましい。

a)

検証活動の目標,範囲及び基準についての記述

b)

保証水準についての記述

c)

検証を行う者の何らかの条件又は限定の付いた結論

注記  合理的保証水準及び限定的保証水準の検証の声明書の例については,ISO 14064-3 の附属書 A

を参照。


19

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

附属書 A

(参考)

各施設データの組織データへの連結

A.1 

一般 

GHG

の定量化及び報告のシステムを開発する場合,組織は,データシステムが幅広い報告要求事項を満

たすことを確実にすることが望ましい。GHG のデータは,少なくとも施設レベルに至るまで,排出源,吸

収源及び種類の別によって,記録し,かつ,定量化することが望ましい。幅広い報告の要求事項をできる

限り柔軟に満たすように,扱われるデータは,内訳が明確になる形で保存することが望ましい。情報の連

結は,その上で,必要に応じて行うことができる。

施設レベルで GHG の排出量及び吸収量を定量化し(参考文献[5]及び参考文献[6]を参照)

,組織の

GHG

報告の目的及び GHG プログラムの要求事項を特定したら,施設データを組織レベルに連結するため

の指針及び参照として,次に概略を示す二つのアプローチのいずれかを選択することが望ましい。

可能であれば,組織は,財務報告について確立済みの組織の境界に従うことが望ましいが,そのために

は組織の境界が明確に説明され,一貫してその方式が守られていることが条件となる。これらの概念を適

用する際には,

“形式よりも内容”という基本的な前提に従うことが望ましい。つまり,GHG の排出量及

び吸収量は,単に組織の法的な形態ではなく,その本質及び経済的な現実に従って定量化し,かつ,報告

することが望ましい。

A.2 

支配に基づく連結 

支配アプローチを採用する組織は,

自らが支配する事業からの GHG の排出量又は吸収量を 100 %算入す

る。持分を所有していても,支配力を及ぼしていない事業からの GHG の排出量又は吸収量は算入しない。

支配は,財務的又は経営的な用語として定義してもよい。GHG の排出量又は吸収量の連結に支配アプロー

チを用いる組織は,経営支配又は財務支配のいずれかの判断基準を選択してもよい。

組織が,事業活動から経済的な利益を得る観点から,事業の財務及び運営の方針を指示できる場合,当

該事業に対する財務的な支配力をもっている。組織又はその何らかの子会社が,事業の運営の方針を導入

し,かつ,実施する全面的な権限をもつ場合,当該事業に対する経営的な支配力をもっている。

A.3 

出資比率に基づく連結 

出資比率とは,ある施設における経済的持分又は施設から派生する便益に占める割合を指す。この連結

アプローチは,異なる利用者にとっての GHG の情報の利用可能性を増加させるもので,財務的な会計及

び報告の規格によって採用されるアプローチをできる限り踏襲することをねらいとする。法的に多くの異

なる地域で事業を営みながら,その GHG の“影響範囲(footprint)

”を判定しようとする多国籍企業にと

って,出資比率のアプローチは,特に有用といえる。

出資比率に基づいて組織レベルへの連結を行うためには,生産物分与協定によるものを含む,それぞれ

の施設に対する出資率を設定し,その割合に応じて,それぞれの施設からの GHG の排出量又は吸収量を

算入する必要がある。

連結アプローチの採用に当たって,組織は,参考文献[4]を参照し,追加的な手引を得ることができる。


20

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

附属書 B

(参考)

その他の間接的な温室効果ガス(GHG)の排出量の例

B.1 

一般 

組織が,受け入れて消費した電力,熱又は蒸気の生成段階での GHG の排出量を除き,間接的な GHG の

排出量の原因となり得る組織の活動例としては,次のようなものがあげられる。

−  従業員の通勤及び出張

−  組織の製品,原料,人員又は廃棄物の他組織による輸送

−  外注活動,委託生産及びフランチャイズ

−  組織が生成するが,他組織が管理する廃棄物による GHG の排出量

−  組織の製品及びサービスの使用及び耐用年数の経過による GHG の排出量

−  組織が消費する電力,蒸気及び熱を除くエネルギー製品の生産及び流通から生じる GHG の排出量

−  購入した原材料又は主要な材料による GHG の排出量


21

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

附属書 C 
(参考)

温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP)

C.1 

温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP 

表 C.1 は,IPCC が 1996 年版国別 GHG インベントリ報告ガイドライン(参考文献[6]参照)で発表し

た,100 年間を対象期間とする GWP の数値である。

表 C.1−各種の温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP

ガス

化学式 GWP

二酸化炭素 CO

2

 1

メタン CH

4

 21

亜酸化窒素

N

2

O 310

ハイドロフルオロカーボン(HFCs)

HFC-23 CHF

3

 11 700

HFC-32 CH

2

F

2

 650

HFC-41 CH

3

F 150

HFC-43-10mee C

5

H

2

F

10

 1

300

HFC-125 C

2

HF

5

 2

800

HFC-134 C

2

H

2

F

4

(CHF

2

CHF

2

) 1

000

HFC-134a C

2

H

2

F

4

(CH

2

FCF

3

) 1

300

HFC-143 C

2

H

3

F

3

(CHF

2

CH

2

F) 300

HFC-143a C

2

H

3

F

3

(CF

3

CH

3

) 3

800

HFC-152a C

2

H

4

F

2

(CH

3

CHF

2

) 140

HFC-227ea C

3

HF

7

 2

900

HFC-236fa C

3

H

2

F

6

 6

300

HFC-245ca C

3

H

3

F

5

 560

ハイドロフルオロエーテル(HFEs)

HFE-7100 C

4

F

9

OCH

3

 500

HFE-7200 C

4

F

9

OC

2

H

5

 100

パーフルオロカーボン(PFCs)

パーフルオロメタン(四ふっ化メタン) CF

4

 6

500

パーフルオロエタン(六ふっ化エタン)

C

2

F

6

 9

200

パーフルオロプロパン

C

3

F

8

 7

000

パーフルオロブタン

C

4

F

10

 7

000

パーフルオロシクロブタン c-C

4

F

8

 8

700

パーフルオロペンタン

C

5

F

12

 7

500

パーフルオロヘキサン

C

6

F

14

 7

400

六ふっ化硫黄 SF

6

 23

900


22

Q 14064-1

:2010 (ISO 14064-1:2006)

参考文献

[1]  ISO 14064-2:2006,Greenhouse gases−Part 2: Specification with guidance at the project level for

quantification, monitoring and reporting of greenhouse gas emission reductions or removal enhancements

[2]  ISO 14064-3:2006 , Greenhouse gases − Part 3: Specification with guidance for the validation and

verification of greenhouse gas assertions

[3]  ISO 14065:2007,Greenhouse gases−Requirements for greenhouse gas validation and verification bodies for

use in accreditation or other forms of recognition

[4] World Business Council for Sustainable Development (WBCSD)/World Resources Institute (WRI). The

Greenhouse Gas Protocol, A Corporate Accounting and Reporting Standard, April 2004

 1)

[5]  Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement (GUM). BIPM, IEC, IFCC, ISO, IUPAC, IUPAP,

OIML,1993 (corrected and reprinted in 1995)

[6]  Intergovernmental Panel on Climate Change. Revised 1996 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas

Inventories Reporting Instructions, 1997

 2)

1)

 http://www.ghgprotocol.org/index.htm.

2)

 http://www.ipcc.ch.