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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

JIS Q 14031には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考) 環境パフォーマンス評価に関する補足指針

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Q 14031 : 2000 

(ISO 14031 : 1999) 

環境マネジメント− 

環境パフォーマンス評価−指針 

Environmental management−Environmental performance evaluation− 

Guidelines 

0. 序文 その規格は,1999年に第1版として発行されたISO 14031, Environmental management−

Environmental performance evaluation−Guidelinesを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することな

く作成した日本工業規格である。 

多くの組織が,その環境パフォーマンスを理解し,実証し,かつ,改善する方法を求めている。これは,

環境に著しく影響し得る組織の活動,製品及びサービスの要素を,より効果的に管理することによって達

成される。 

環境パフォーマンス評価 (EPE) が,この規格の主題である。EPEは,組織の環境パフォーマンスが組織

のマネジメントによって決められた基準を満たしているか否かを判定するために,信頼ができて検証可能

な情報を,いつでもマネジメントに提供する内部的なプロセスであり,ツールである。 

環境マネジメントシステムを制定している組織は,その環境方針,目的,目標,その他の環境パフォー

マンス基準に対して,その環境パフォーマンスを評価するのがよい。組織が環境マネジメントシステムを

もたないとき,EPEは次の事項について組織を支援することができる。 

その環境側面を特定したり,どの側面を重要と扱うかを決めたり,及びその環境パフォーマンスの基準

を設定したりすることの,一助としてEPEを使用するのがよい。 

・ 環境側面を特定する 

・ どれを著しい環境側面と扱うかを決める 

・ 環境パフォーマンスの基準を設定すること,及び 

・ この基準に対して環境パフォーマンスを評価すること。 

EPE及び環境監査は,必要な組織の環境パフォーマンスの状況を評価して改善分野を特定するような組

織のマネジメントを支援する。EPEは,パフォーマンスの経時変化だけでなく,現在のパフォーマンスを

評価するためのデータ及び情報の収集並びに評価の継続的なプロセスである。対照的に,環境監査は,規

格要求事項への適合性を検証するために定期的に実施する。環境監査に関する更なる指針は,JIS Q 14010 : 

1996及びJIS Q 14011に示してある。 

EPEに情報をもたらすために,マネジメントが使用できる他のツールの例には,環境レビュー及びライ

フサイクルアセスメント (LCA) が含まれる。EPEは組織の環境パフォーマンスを表現することに焦点を

当てているのに対し,LCAは製品及びサービスのシステムにかかわる環境側面及び潜在的影響を評価する

技法である。LCAについての更なる指針は,JIS Q 14040及びJIS Q 14041並びにISO 14042及びISO 14043

(参考文献参照)にある。これら及び他の関連情報又はデータは,他のマネジメントツールの実施と同じ

Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

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ように,EPEの実施を支援できる。 

1. 適用範囲 この規格は,組織内部での環境パフォーマンス評価の設計及び使用に関する指針を示す。

この規格は,種類,規模,所在地及び複雑さを問わず,すべての組織に適用できる。 

この規格は,環境パフォーマンスのレベルを述べるものではない。この規格は,認証及び登録の目的の

ための仕様規格,その他環境マネジメントシステムの適合要件を述べるためのものでもない。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 14031 Environmental management−Environmental performance evaluation−Guidelines (IDT) 

2. 用語及び定義 この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

環境 (environment)  大気,水質,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,

組織の活動をとりまくもの。 

備考 ここでいう“とりまくもの”とは,組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ(JIS Q 14001 : 1996

参照)。 

2.2 

環境側面 (environmental aspect)  環境と相互に影響し得る,組織の活動,製品又はサービスの要素。 

備考 著しい環境側面とは,著しい環境影響をもつか又はもち得る環境側面である(JIS Q 14001 : 1996

参照)。 

2.3 

環境状態指標 [environmental condition indicator (ECI)]  局地的,地域的,国家的又は地球規模の,

環境状態に関する情報を提供する特定の表現。 

備考 “局地的”とは,当該組織が考慮すべく選択した環境状態の規模によって,一つの州,省,又

は一国内の複数の州を指し,又は複数の国の群,又は大陸でもよい。 

2.4 

環境影響 (environmental impact)  有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に組織の活動,製

品又はサービスから生じる,環境に対するあらゆる変化(JIS Q 14001 : 1996参照)。 

2.5 

環境マネジメントシステム [environmental management system (EMS)]  全体的なマネジメントシ

ステムの一部で,環境方針を作成し,実施し,達成し,見直し,かつ,維持するための組織の体制,計画

活動,責任,慣行,手順,プロセス及び資源を含むもの(JIS Q 14001 : 1996参照)。 

2.6 

環境目的 (environmental objective)  環境方針から生じる全般的な環境の到達点で,組織が自ら達

成するように設定し,可能な場合には定量化されるもの(JIS Q 14001 : 1996参照)。 

2.7 

環境パフォーマンス (environmental performance)  組織の環境側面についてのその組織のマネジ

メントの結果。 

備考1. この規格では,環境パフォーマンスは,1996年発行のJIS Q 14001及びJIS Q 14004とは異な

る定義がされている。 

2. 環境マネジメントシステムの中では,結果は組織の環境方針,目的及び目標に対して測定さ

れるのが一般的である。 

2.8 

環境パフォーマンス基準 (environmental performance criterion)  組織の経営層が設定し,EPEのた

めに用いる,環境目的,目標,その他意図する環境パフォーマンスのレベル。 

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2.9 

環境パフォーマンス評価 [environmental performance evaluation (EPE)]  組織の環境パフォーマン

スに関して,経営判断をしやすくするプロセス。環境指標を選定すること,データを収集及び分析するこ

と,環境パフォーマンス基準に対して情報を評価すること,報告及びコミュニケーションをとること,を

図ること,並びにそのプロセスの定期的なレビュー及び改善すること,による。 

2.10 環境パフォーマンス指標 [environmental performance indicator (EPI)]  組織の環境パフォーマン

スについての情報を提供する特定の表現。 

2.10.1 マネジメントパフォーマンス指標 [management performance indicator (MPI)]  組織の環境パフ

ォーマンスに影響を及ぼす,様々な経営取組みについての情報を提供する,環境パフォーマンス指標。 

2.10.2 操業パフォーマンス指標 [operational performance indicator (OPI)]  組織の操業における環境パ

フォーマンスについての情報を提供する,環境パフォーマンス指標。 

2.11 環境方針 (environmental policy)  行動のため並びに環境目的及び目標設定のための枠組みを提供

する全体的な環境パフォーマンスに関連する意図及び原則についての組織による声明(JIS Q 14001 : 1996

参照)。 

2.12 環境目標 (environmental target)  環境目的から導かれ,その目的を達成するために設定される詳細

なパフォーマンスの要求事項で,実施可能な場合に定量化され,組織又はその一部に適用されるもの(JIS 

Q 14001 : 1996参照)。 

2.13 利害関係者 (interested party)  組織の環境パフォーマンスに関心をもつか,又はその影響を受ける

個人又は団体。 

2.14 組織 (organization)  法人か否か,公的か私的かを問わず,独立の機能及び管理体制をもつ企業,

会社,事業所,官公庁若しくは協会,又はその一部若しくは結合体(JIS Q 14001 : 1996参照)。 

備考 複数の事業単位をもつ組織の場合には,単一の事業単位を一つの組織と定義してもよい。 

3. 環境パフォーマンス評価 (EPE) 

3.1 

概要 

3.1.1 

マネジメントモデル 環境パフォーマンス評価(以下,EPEという。)は,組織の環境パフォーマ

ンス基準に対して,組織の過去及び現在の環境パフォーマンスを比較した情報を提供する指標を使用する,

内部マネジメントのプロセスである。EPEは,この規格で詳細に説明するとおり,“計画−実施−チェッ

ク−行動”のマネージメントモデルに従う。この継続的プロセスのステップは,次のとおりである。 

a) 計画 

1) EPEの計画 

2) EPEの指標選択(指標選択のプロセスには,既存指標からの選択及び新規指標の開発を含む。) 

b) 実施 次の事項を含むデータ及び情報の使用 

1) 選択された指標に関連するデータの収集 

2) データ分析及び組織の環境パフォーマンスを表す情報への変換 

3) 組織の環境パフォーマンスを表す情報を,組織の環境パフォーマンス基準に対して評価する 

4) 組織の環境パフォーマンスを表す情報の報告及びコミュニケーション 

c) チェック及び行動 EPEの見直し及び改善 

図1は,EPEの概要であり,この規格の中の関連する箇条番号及び標題を示している。附属書Aに

は,EPEの支援する補足指針を示してある。 

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図1 環境パフォーマンス評価 

3.1.2 

指標 この規格では,EPEについての指標の,二つの一般区分を述べる。 

・ 環境パフォーマンス指標(以下,EPIという。),及び 

・ 環境状態指標 (ECI) 

EPIには,次の2種類がある。 

− マネジメントパフォーマンス指標(以下,MPIという。)は,組織の操業の環境パフォーマンスに影

響を与えるマネジメント努力に関しての情報を与えるEPIの一種である。 

− 操業パフォーマンス指標(以下,OPIという。)は,組織の操業の環境パフォーマンスについての情報

を提供するEPIの一種である。 

ECIは,環境状態についての情報を提供する。この情報は,組織がその環境側面の実在の影響又は潜在

の影響をよりよく理解することを助け,それによってEPEの計画及び実施の支援をする。 

組織の経営層の決定及び行動は,組織運用のパフォーマンスに深く関係している。図2は一つの組織の

マネジメントと運用,環境状態との間の相互関係を図示し,各要素にかかわるEPE指標の種別を明記する。 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

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図2 環境状態における,組織のマネジメント及び操業の相互関係 

3.1.3 

EPEのマネジメント用途 EPEの実施に対する経営層の約束が重要である。EPEは,組織の規模,

所在地及び種類並びに組織のニーズ及び優先度に適合したものであることが望ましい。EPEは,経済的で

あり,組織の通常の事業機能及び活動の一部であることが望ましい。EPEによって作成した情報は,次の

点で組織を支援できる。 

・ 環境パフォーマンス基準を達成するために必要な行動の決定 

・ 著しい環境側面の特定 

・ 環境側面のマネジメントを,より改善する機会の特定(例 汚染予防) 

・ 環境パフォーマンスの傾向の確認 

・ 組織の効率及び有効性の向上 

・ 戦略的機会の特定 

組織の環境パフォーマンスを述べた情報の内部報告及びコミュニケーションすることは,従業員の責任

遂行を支援し,組織の環境パフォーマンス基準の達成を可能にするためには重要である。経営層は,当該

情報を他の利害関係者にも報告し又はコミュニケーションするのもよい。 

組織のEPEは,定期的に見直しを行い,改善することが望ましい。 

3.2 

EPEの計画(計画) 

3.2.1 

一般指針 組織は,次に基づきEPEを計画(EPE指標の選択を含む。)をすることが望ましい 

・ 管理可能で,かつ,影響力をもつと期待し得る著しい環境側面 

・ 環境パフォーマンス基準 

・ 利害関係者の見解 

備考 この規格のA.2には,EPEについての利害関係者の見解を特定するための指針を示している。 

EPEの計画では,組織は次の点も考慮するとよい。 

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− すべての範囲の活動,製品及びサービス 

− 組織体制 

− 包括的事業戦略 

− 環境方針 

− 法律及びその他の要求事項を満たすために必要な情報 

− 関連する国際的な環境協定 

− 環境コスト及び便益 

− 環境パフォーマンスに関する財務効果の分析に必要な情報 

− 環境パフォーマンスに関する毎年の一貫した情報の必要性 

− 局地的,地域的,国家的又は地球規模な環境状態についての情報 

− 文化的及び社会的要因 

EPEの実施のための財務的,物的及び人的な資源は,経営層が特定し,用意することが望ましい。 

組織のEPEで初期の適用範囲は,能力及び資源に応じて,経営層が最優先とする活動並びに製品,サー

ビスなどの要素に限定するとよい。時間経過に応じて,当初のEPEの適用範囲を拡大し,それまで取り扱

わなかった組織の活動,製品,サービスなどの要素に取り組むことができる。 

組織の環境側面を特定することは,EPEの計画での重要な入力となる。通常,この情報は環境マネジメ

ントシステムの中で展開される。著しい環境側面を環境マネジメントシステムの中で特定するための指針

は,JIS Q 14001及びJIS Q 14004に説明されている(参考文献参照)。環境マネジメントシステムをもっ

ている組織は,環境方針,目的,目標及びその他環境パフォーマンス基準に対して環境パフォーマンスを

評価することが望ましい。 

環境マネジメントシステムをもたない組織では,著しいと扱う環境側面を特定すること,及び環境パフ

ォーマンス基準を設定することの一助として,EPEを使ってもよい。著しい環境側面を決めるため,組織

は次の点を考慮することが望ましい。 

・ 材料並びにエネルギーの使用量及び種類 

・ 放出 

・ リスク 

・ 環境状態 

・ 発生事象の可能性 

・ 組織が準拠する法規,規制,その他の要求事項 

ほとんどの組織では,図A.1に示されているように,環境側面の見直しは組織の操業に焦点を合わせる

ことになる。 

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実践の手引 #1 

環境マネジメントシステムをもたない組織の場合における,環境側面の特定及びEPEでの相対的重要性

を特定するための方法の例 

・ 組織の活動並びに製品及びサービス,すなわち,具体的環境側面及びそれらと関連した相対的重要

性,並びに著しい環境側面にかかわる潜在的影響の特定。 

・ 特定の状態に影響を与える得る組織の活動並びに製品及びサービスを特定するための,環境状態に

ついての情報の使用。 

・ 材料,エネルギーの入力,排出,廃棄物及び放出に関する組織の既存データの分析並びにこれらの

データのリスク面での評価。 

・ 利害関係者の見解の確認及びその確認事項に関する組織の著しい環境側面の特定への使用。 

・ 環境規制,その他の要求事項に従っている組織活動の特定。ただし,必要なデータは,既に組織に

よって収集されている。 

・ 組織の製品に関する設計・開発・製造・物流・サービス・使用・再使用,リサイクル及び処分,並

びにこれらに関する環境影響の検討。 

・ 最も顕著な環境コスト又は便益を伴う組織活動の特定。 

組織は,環境マネジメントシステムをもっているか否かにかかわらず,環境パフォーマンス基準の設定

と連動して,EPEを計画することが望ましい。そうすれば,選択されたEPE指標は,組織の環境パフォー

マンスを,その基準に対して表現するのに適切なものになる。 

環境パフォーマンス基準を得るための情報源の例を,次に挙げる。 

− 現状及び過去のパフォーマンス 

− 法的要求事項 

− 認識している規範,規格及び最善の実例 

− 産業界及びその他の組織によって開発されたパフォーマンスデータ及び情報 

− 経営層による見直し及び監査 

− 利害関係者の見解 

− 科学的な研究。 

3.2.2 

EPEの指標の選択 

3.2.2.1 

一般指針 EPE指標は,定性的又は定量的なデータ又は情報をより理解しやすく,かつ,有用な

形で表現する手段として,組織が選択する。これらの指標は,組織の環境パフォーマンス,操業の環境パ

フォーマンス,又は環境状態に影響を与えるマネージメント努力について,関連データを簡便な情報に変

換する一助となるものである。組織は,その環境パフォーマンス評価に,理解可能な,関連する指標を十

分な個数,選択することが望ましい。EPEに選択した指標の数は,組織の操業の特徴と規模を反映してい

ることが望ましい。これらの指標によって,どのようなデータが使用されるかが決まる。この作業を容易

にするため,組織は自分又は他組織が収集し,使用可能となっているデータを活用しても差し支えない。 

EPEの指標を通じて伝達される情報は,直接的又は相対的な尺度若しくは指標化の情報として表現でき

る。これらの指標は,情報の性質及び使用意図に合わせて合算したり重み付けをしてよい。重み付けは,

検証能力,整合性,比較可能性及び理解容易性を保証できるように配慮して,実行することが望ましい。

データの取扱い並びに情報及びEPEの指標へのデータ変換に際しての仮定は,十分理解していることが必

要である。 

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実践の手引 #2 

EPEの指標に用いるデータの特性の例 

・ 直接の測定値又は計算値:基本データ又は情報。例えば,排出汚染物トン数。 

・ 相対測定値又は計算値:別のパラメータ(例,生産レベル,時間,場所,又はバックグラウンドの

状態)と対比又は関連付けたデータ又は情報。 

例 製品1トン当たりの排出汚染物のトン数。単位販売高当たりの排出汚染物のトン数。 

・ 指標化:例えば,基準年度の排出量に対する比率として表した当該年度排出汚染量のように,特定

基準と,情報を関連づける単位又は様式に,変換してデータ又は情報を記述する。 

・ 合算:同一種類のデータ又は情報の記述であるが,異なる情報源から収集し,合計値として表現し

たもの。所与の年度に,製品の生産から排出された特定汚染物の総トン数合計値で,当該製品を生

産する複数施設からの排出量を合計して求めたもの。 

・ 重み付け:重要性に関する係数の適用によって修正したデータ又は情報の記載。 

EPEの指標の選択に当たって考慮すべき事項が多くあり,EPI(OPI及びMPI)及びECIの選択に当た

って組織がとる方法も幾つかある。EPE指標の選択の際考慮する事項を,幾つかA.3.1に示す。A.3.2には,

EPEの指標の選択方法の例を幾つか示す。 

環境側面には複雑なものもあるが,こうした側面について包括的なパフォーマンス評価には,EPIとECI

とを組み合わせて選択するとよい。 

ある環境パフォーマンス基準を達成する活動が環境パフォーマンスの他の要素に影響するか,管理者が

理解できる十分な情報をもてるように,EPEの指標を選択することが望ましい。 

組織にとって,共通データから各指標ごとに意図する対象者に応じて導き出したEPEの指標を幾つか選

択すると,有益であることが分かる。 

実践の手引 #3 

共通データから意図する対象者に応じて,導かれたEPEの指標を幾つか選択し,組織を説明する例 

廃水を処理して湖に放出する組織は,EPEに次の指標を選択するとよい。 

・ 年当たりの特定汚染物の排出総合計量(想定される対象者:地域社会) 

・ 廃水中の汚染物濃度(想定される対象者:法規制当局) 

・ 製品当たりの放出汚染物量(想定される対象者:管理者及び消費者) 

・ よりクリーンな技術又はプロセス改善への投資に対する年当たりの放出汚染物量の変化(想定され

る対象者:経営層及び投資家) 

環境パフォーマンス又は持続可能な開発に関する,地域的,国家的及び地球規模の指標を,政府機関,

非政府組織及び科学・研究機関が開発している。EPEの指標を選択し,データを収集する場合,組織は,

こうした団体が開発した指標と,その組織に提供される情報との整合性を考慮するとよい。 

3.2.2.2 

MPIの選択 EPEに関する組織のマネジメントには,組織のあらゆるレベルでの方針,人員,計

画活動,実践及び手順が含まれる。組織の経営層が実行する取組み及び決定は,組織操業のパフォーマン

スに影響を与え,それによって組織の環境パフォーマンス全体に寄与する場合がある(図2参照)。 

マネジメントパフォーマンス指標(以下,MPIという。)は,管理事項についての組織の管理能力及び

取組みに関しての情報を提供することが望ましい。すなわち,環境パフォーマンスに影響を与えるか又は

与える可能性のある,教育訓練,法的要求事項,資源の配分及び効率的使用,環境コスト管理,購入,製

品開発,文書化,是正処置などの事項である。MPIは,環境パフォーマンスを向上させる経営層の取組み,

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決定及び処置の評価を助けることが望ましい。 

MPIは,例えば,次の事項を追跡するために使用するとよい。 

− 種々のマネジメントプログラムの実施及び有効性 

− 組織の操業の環境パフォーマンス及び環境状態にも影響を及ぼす経営層の処置 

− 組織の環境マネジメントの成功にとって特に重要な取組み 

− 状況変化に対応する柔軟性,特定の目的の達成,有効な調整又は問題解決能力を含む,組織の環境マ

ネジメントの能力 

− 法律及び条令への適合性並びに組織が同意している他の要求事項との一致 

− 財務上のコスト及び利益。 

さらに,効果的なMPIは,次の事項を支援することができる。 

・ パフォーマンスの変化の予測 

・ 実際のパフォーマンスのどこが,関連する環境パフォーマンス基準を超えるか,又は満たさないかの,

根本的原因の特定 

・ 予防活動の機会の特定 

MPIの例は,A.4.2.2に示す。 

3.2.2.3 

OPIの選択 OPIは,経営層に組織の操業についての,環境パフォーマンス情報を提供すること

が望ましい。OPIは,次のとおりである。 

・ 入力:材料(すなわち,処理材,リサイクル材,再使用材,若しくは原材料又は天然資源),エネルギ

ー及びサービス・組織の操業への供給 

・ 組織の設備及び装置の設計,設置,運用(緊急事態及び非通常運用を含む。)及び保全 

・ 出力:組織の操業の結果としての,製品(例えば,主製品,副産物,並びにリサイクル及び再使用の

材料),サービス,廃棄物(例えば,固体,液体,有害物,非有害物,リサイクル可能なもの,再使用

可能なもの)及び排出(例えば,大気への排出,水域又は土壌への流出,騒音,振動,熱,放射線,

光) 

・ 引き渡し:組織の操業からの結果としての出力 

図3は,組織の操業を示し,図A.1に詳細を示す。環境パフォーマンスの値を付けるとき,多数の活動

又は施設が,どこで特定の製品又はサービスを生み出すか,組織はそれらを考慮に入れることが望ましい。 

OPIの例は,A4.3.1に示す。 

図3 組織の操業(一般的概観) 

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10 

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3.2.2.4 

ECIの選択 ECIは,局地的,地域的,国家的又は地球規模での環境状態についての情報を供給

する。環境の状態は,時間経過又は特定の出来事で変わる場合がある。ECIは,環境への影響の尺度では

ないが,ECIにおける変化は,環境の状態と組織の活動,製品及びサービスとの関係についての有益な情

報を提供できる。 

組織は,そのEPEの中でECIを考慮すべきである。ECIは,組織に次の事項を支援する環境の状況を提

供する。 

・ 組織の著しい環境側面の特定及びマネジメント 

・ 環境パフォーマンス基準の適切性の評価 

・ EPI(MPI及びOPI)の選択 

・ 変化を測定する際の基準の確立 

・ 環境プログラムの進展に伴う,時間経過による環境の変化の確定 

・ 環境状態と組織の活動並びに製品及びサービスとの考えられる関係の調査 

・ 活動必要性の決定 

ECIの開発及び適用は,個々の事業組織よりも,むしろしばしば局地的,地域的,国家的又は国際的な

行政機関,非政府組織,科学及び研究機関の役割である。しかし,組織の活動と環境の構成要素の状態と

の間に関連を見つけることができる組織は,その能力,関心,必要性に応じ,自らの環境パフォーマンス

を評価するために自らのECIの開発をするとよい。 

組織の活動並びに製品及びサービスから直接的に生じる環境状態を特定した組織は,環境状態を変化さ

せるマネジメントの取組み及び操業パフォーマンスに結びつくECI(MPI及びOPI)を選んでもよい。 

ECIの例は,A4.4.2に示す。 

実践の手引 #4 

特定した環境問題を,選択したEPEの関連指標を用いて説明する例 

例1. 

大気の質が不十分と知られている地区にあるサービス業の組織は,EPEの適切な指標として,車からの

排出物削減の目標に合わせ,大気の質情報を選ぶ。 

ECI 

・ 車からの排出物に伴う大気汚染物の濃度 

OPI 

・ 代替燃料の使用による,車の排出物の削減 

・ 燃料消費の総量 

・ 車の燃料効率 

・ 車の整備頻度 

・ 環境対応の制御技術をもつ車の台数。 

MPI 

・ 公共輸送の促進とそれに用いた金額合計 

・ 公共輸送の使用による便益に対する従業員教育の時間数 

・ 燃料消費削減,車の整備及び燃料効率の向上並びに代替燃料の使用,に対する取組みの効果 

例2. 

環境情報から水資源が減っていると指摘された地域において,組織は,その情報なしでは選ばなかった

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11 

Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

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であろう,水資源保全に関する環境パフォーマンス指標を選択した。 

ECI 

・ 地下水の水位 

・ 水位回復比率 

OPI 

・ 1日当たりの水使用量 

・ 生産単位当たりの水使用量 

MPI 

・ 水消費量の削減方法の研究に使った金額合計 

3.3 

データ及び情報の使用(実施) 

3.3.1 

概要 図4は,環境パフォーマンスを評価するためにデータ及び情報を使用するステップを示す。

これらのステップは,3.3.2〜3.3.5に示す。 

図4 データ及び情報の使用(実施) 

3.3.2 

データの収集 組織は,選定されたEPE指標の計算の入力に当たって定期的にデータを収集する

ことが望ましい。データは,EPE計画と一致する頻度で,適切なデータ源から体系的に収集することが望

ましい。 

データ収集の手順は,データの信頼性を確保することが望ましい。これは,使用可能性,妥当性,科学

的,統計的な正当性と検証可能性などの要素となる。データ収集がEPEでの使用に必要な種類で,かつ,

品質を確保するため,品質管理及び品質保証の業務によって裏付けられることが望ましい。データ収集手

順には,データ及び情報の適切な識別,ファイリング,保管,検索及び処分を含むことが望ましい。 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

組織は,自らのデータ又は他の情報源からのデータを使用するとよい。例えば,データは次の事項から

入手することができる。 

・ 監視及び測定 

・ 面談及び観察 

・ 規制に関する報告書 

・ 在庫及び生産の記録 

・ 財務及び経理の記録 

・ 購入記録 

・ 環境レビュー,監査又はアセスメントの報告書 

・ 環境教育訓練記録 

・ 科学的な報告書及び研究結果 

・ 政府機関,学術機関及び非政府組織 

・ 納入業者及び下請契約者 

・ 顧客,消費者及び利害関係者 

・ 業界団体 

3.3.3 

データの分析及び変換 収集されたデータは,分析し,組織の環境パフォーマンスを示すEPEの

指標に変換することが望ましい。結果の偏りを避けるため,収集された適切で信頼できるデータは,すべ

て考慮することが望ましい。 

データ分析には,信頼できる情報作成に必要なデータの品質,正当性,妥当性及び網羅性に配慮すると

よい。 

組織の環境パフォーマンスを示す情報は,計算,最適な予測,統計的手法及び/又はグラフ化,又は索

引化,集計若しくは重み付けを用いて作成するとよい。 

3.3.4 

情報の評価 EPI及びECIで表現される分析データからの情報は,組織の環境パフォーマンス基準

と比較することが望ましい。この比較によって,環境パフォーマンスの改善の必要性と問題点が示される

であろう。この比較の結果は,環境パフォーマンス基準が満たされた理由又は満たされなかった理由を理

解するうえで有用である。組織の環境パフォーマンスと比較の結果を記述した情報は,環境パフォーマン

スレベルを改善するか,維持するかの経営層の適切な行動を支援するために,経営層に報告することが望

ましい。 

3.3.5 

報告及びコミュニケーション 

3.3.5.1 

一般指針 環境パフォーマンス報告及びコミュニケーションは,組織の環境パフォーマンスを表

す有用な情報を提供する。情報は,必要性とその対象者についての経営層の評価に基づいて,組織の内外

の利害関係者に報告又はコミュニケーションするとよい。 

報告及びコミュニケーションの便益には,次の事項が含まれる。 

・ 組織の環境パフォーマンス基準達成への支援 

・ 組織の環境方針,環境パフォーマンス基準及び関連する達成事項の自覚の向上と対話の増加 

・ 環境パフォーマンス改善に対する,組織の約束及び取組みの実証 

・ 組織の環境側面への関心及び疑問に応える仕組みの提供 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3.5.2 

内部報告及びコミュニケーション 経営層は,適切で必要な環境パフォーマンス情報をタイムリ

ーに組織全体へ確実にコミュニケーションすることが望ましい。これは,組織の従業員,契約者及びその

他の関係者がその責務を果たすのに役立ち,かつ,組織がその環境パフォーマンス基準を達成する一助と

なる。組織は,その環境マネジメントシステムの見直しの中で,この情報を考慮するとよい。 

組織の環境パフォーマンスを記述する情報の例には,次の事項が含まれる。 

・ 組織の環境パフォーマンスの傾向(例えば,廃棄物の削減) 

・ 法律及び規制の遵守状況 

・ 組織が同意している他の要求事項への適合状態 

・ コスト削減又は他の財務上の結果 

・ 環境パフォーマンスを改善する余地又は推奨事項 

3.3.5.3 

外部への報告及びコミュニケーション 組織は,外部の利害関係者に環境パフォーマンス情報を

提供するための環境報告書類又は声明書を発行することを選択することもあるし,要求されることがある。

EPEは,環境報告書又は外部対象者とのコミュニケーションに必要な情報を提供する。 

環境パフォーマンス記述情報を自主的に報告しようとする組織の決定においては,多数の要素が影響を

及ぼす。これらの要素には,操業している地域社会とのコミュニケーション,利害関係者とのビジネス上

の立場及び改善しようとする組織の意向が含まれる。 

このコミュニケーションは,組織として確信できる環境パフォーマンスの表現であることが望ましい。

環境パフォーマンスに関する情報は,実質的で意図する対象者の技術知識レベルを考慮した表現とするこ

とが望ましい。組織が外部へのコミュニケーションの実施を選択する際,選ばれる報告の方法及びコミュ

ニケーションの方法は,組織と利害関係者との対話を促進させるものであることが望ましい。 

実践の手引 #5 

組織が,外部の利害関係者に報告又はコミュニケーションするとき選択し得る情報の例 

・ 責任ある環境マネジメントの一環として,EPEへの組織の誓約の声明 

・ 組織の活動並びに製品及びサービスの記述 

・ 組織の著しい環境側面及び関係するEPE指標の声明 

・ 組織の環境パフォーマンス基準についてのパフォーマンスの情報 

・ EPEから導かれた行動 

・ 組織の包括的な成果に対する環境マネジメント及びEPEの寄与度 

3.4 

EPEのレビュー及び改善(チェック及び行動) 組織のEPEとその実施結果は,改善の余地を特定

するために定期的にレビューすることが望ましい。このようなレビューは,組織のマネジメントと操業の

パフォーマンスの改善への経営層の行動に寄与することがあり,かつ,環境状態の改善につながることが

ある。 

EPEとその結果のレビューステップには,次のことを含めることができる。 

・ 費用効果並びに得られた便益 

・ 環境パフォーマンス基準達成への進ちょく(捗)度 

・ 環境パフォーマンス基準の適切性 

・ 選択したEPE指標の適切性 

・ データ源,データ収集手段及びデータ品質 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

実践の手引 #6(チェック) 

EPEのレビューを助ける質問の例 

組織のEPEは,次のようであるか。 

・ 組織の環境パフォーマンスの変化を見るのに,適切な情報を提供しているか。 

・ 経営層に適切で有用な情報を提供しているか。 

・ 計画に従って実施されているか。 

・ データ源及びデータ収集頻度は適切であるか。 

・ 収集したデータを効果的に分析及び評価しているか。 

・ 適切な経営資源によって支援されているか。 

・ 組織の環境パフォーマンス基準に関連しているか。 

・ EPE情報の報告及びコミュニケーションのための情報を提供しているか。 

・ 適切な場合は,利害関係者からの入力を検討又は要請しているか。 

・ 組織にとって付加価値があるか。 

・ 組織及びその周囲状態の変化に対応しているか。 

・ 新たな環境問題に対応しているか。 

・ パフォーマンスについて組織が受け入れた他の尺度とよく整合しているか。 

実践の手引 #7(行動) 

EPEを改善する行動の例 

・ データ品質,信頼性,及び利便性の改善 

・ 分析及び評価能力の改善 

・ EPEの新しい,又はより有益な指標の開発又は特定 

・ EPEの範囲の変更 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考) 

環境パフォーマンス評価に関する補足指針 

A.1 序文 この附属書は,例及び図を通じて,この規格の本体に示した概念を補足することを目指してい

る。表A.1に,本体の事項と附属書Aの事項との関係を示す。 

表A.1 本体の事項と附属書Aの事項との関係 

本体の事項 

附属書Aの事項 

3.2 EPEの計画(計画) 

A.2 EPEを背景とする 
  利害関係者の見解の明確化に関する指針 

3.2.2 EPEの指標の選択 

A.3 EPEの指標の選択に関する補足指針 
A3.1 EPE指標の選択における考慮事項 
A3.2 EPEの指標の選択へのアプローチの例 
A.4 EPEの指標の例 

3.2.2.2 MPIの選択 

A4.2 マネジメントパフォーマンス指標 

3.2.2.3 OPIの選択 

A4.3 操業パフォーマンス指標 

3.2.2.4 ECIの選択 

A4.4 環境状態指標 

A.2 環境パフォーマンス評価に関係する,利害関係者の見解の明確化に関する指針 環境パフォーマンス

評価の計画には,組織が関連する利害関係者からの,情報の特定及び入手の手段の確立を含めることが望

ましい。 

A.2.1 潜在的な利害関係者 利害関係者は,組織との関連において幅広く異なり,組織との利害関係,EPE

計画への潜在的な貢献,並びに彼らの関心をどのように表現したり伝達するかによって異なる。 

利害関係者の例 

・ 経営者 

・ 従業員 

・ 投資家及び潜在的な投資家 

・ 顧客及び納入業者 

・ 契約者 

・ 貸付機関及び保険業者 

・ 規制機関及び法的機関 

・ 近隣及び地域の社会 

・ コミュニケーションメディア 

・ 事業体,行政機関,学術機関及び研究機関 

・ 環境グループ,消費者の利益団体,その他の非政府組織 

・ 公共の人々 

これらの利害関係者のリストは参考にすぎない。利害関係者が,すべての組織に関連するとは限らない。

組織の性格,所在地及び状況に応じて,他に関係者がいるかもしれない。 

A.2.2 利害関係者の関心事項及び見解 主として経済的利害をもつ者の関心事項には,次の事項を含み得

る。 

・ 環境コストのマネジメント及び金額 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

・ 過去又は現在の環境債務に関する財務的影響 

・ 建設的な環境のイニシアチブ 

・ 環境パフォーマンスを改善する投資 

・ 環境の関心事項から得られる取引上の利点 

・ 環境法又は環境規制に対する,遵守のコスト 

環境又は公共の政策開発に関係する者の関心事項には,次の事項があり得る。 

・ 健康及び安全 

・ 時間経過による傾向を含め,組織の活動から生じる,実際の若しくは想定される環境へのリスク 

・ 生活の質への影響(例えば,騒音,臭気,視覚的影響) 

・ 環境に関する発生事象及び苦情 

・ 組織がその環境の約束を果たしている旨の証拠 

・ 環境影響 

・ 環境上の負荷(すなわち,排出物,放出物,廃棄物処分)で,時間経過による傾向を含む 

・ 生物多様性 

・ 持続可能性 

・ 越境汚染及び他の地球規模の環境問題 

・ 環境に及ぼす貿易の影響 

・ 規制制度の整合性 

・ 製品及びサービスの環境特性 

・ 法的及び規制の要求項目に伴う環境上の遵守状況 

・ 資源消費 

A.2.3 利害関係者の見解を明確化する方法 

利害関係者の見解を明確化する方法の例 

・ 調査及びアンケート 

・ 従業員の提案 

・ 会議及びワークショップ 

・ 市民諮問グループ及び公開会議 

・ インタビュー 

・ 公共の声明書,内部プログラム及び利害関係者の意見書のレビュー 

・ 市場調査 

・ 規制の追跡及び傾向注視 

・ 自主的指針及び規格 

・ 電子的な情報交換 

・ 産業及び公共の関心者グループへの参加 

・ 近隣,公的団体及び消費者と,供給者との直接的なコミュニケーション 

・ メディア及び他の公開情報源からの情報 

組織は,直接的及び間接的に利害関係者からの見解及び入力を得る方法の選択及び実施に当たって,彼

らの状況及び特質を考慮することが望ましい。 

A.3 EPE指標の選択に関する補足指針 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.3.1 EPE指標の選択における考慮事項 EPEの指標を選択する際,組織はこれらの指標について次の事

項を考慮することが望ましい。 

・ 組織の宣言した環境方針と整合性がとれているか。 

・ 組織のマネジメントへの取組み,操業パフォーマンス,又は環境状態に対して適切か。 

・ 組織の環境パフォーマンス基準に対してのパフォーマンスの測定に役に立つか。 

・ 内部及び外部の利害関係者に関連し,かつ,理解できるものであるか。 

・ 費用対効果がよく,かつ,タイムリーな方法で入手できるか。 

・ データのタイプ,品質及び量に基づいて意図した用い方に使用するのに適しているか。 

・ 組織の環境パフォーマンスを代表するものであるか。 

・ 環境パフォーマンスに適する単位で測定できるか。 

・ 組織の環境パフォーマンスの変化に敏感で,かつ,感度がよいか。 

・ 現在又は将来の環境パフォーマンス動向について情報を提供できるか。 

EPEの指標は,組織にとって有用なこれら考慮事項を,必ずしもすべてを満たす必要はない。 

A.3.2 EPE指標の選択へのアプローチ例 

A.3.2.1 因果関係からのアプローチ 組織は,著しい環境側面の基本的又は根本的な原因を対象とする指標

を開発しようと望むであろう。こうした原因を特定する分析を行い,この分析に基づいて指標を選択する

とよい。 

例えば,組織は,粒子状物質の多量の排出が,不適正で,かつ,まれにしか実施しない予防保全に原因

があると決定するかも知れない。そこでは,組織は,適切なOPI指標として,例えば,1日当たりの粒子

状物質の排出量や,適切なMPI指標,例えば,予防保全に配分する総金額及び予防保全回数を選択するこ

とができる。予防保全をより適切,かつ,頻繁に実施することで,組織の粒子状物質排出量が減る場合が

あると予想される。 

A.3.2.2 リスクに基づくアプローチ 

A.3.2.2.1 一般事項 EPEの指標は,特定の活動,製品又はサービスにかかわると,組織の経営層が判断し

たリスクを考慮して選択することができる。次の事項は,リスク準拠の各種アプローチの例である。 

A.3.2.2.2 確率的なリスクに基づくアプローチ 自社の操業によって問題化する重大な環境被害のリスク

に関心をもつ組織は,どの特定プロセスが最も爆発又は汚染物の環境中への放出を引き起こしそうかを明

確にするのに,確率的なリスク準拠のアプローチをとってよい。 

想定されるMPI:特定されたプロセスに従事する作業員に実施された,プロセスの安全教育訓練の時間。 

A.3.2.2.3 人間の健康に対するリスクに基づくアプローチ 長期的な健康への影響に関心のある組織は,作

業員の健康に対して著しく脅威を与える,最大のリスクをもつ特別な物質を特定するとよい。 

想定されるOPI:組織の操業から排出された特定物質の量。 

A.3.2.2.4 財務的リスクに基づくアプローチ 組織は,環境パフォーマンスにかかわる要素で著しいコスト

をもつものを特定し,EPEに適する指標を選択するとよい。 

想定されるEPEの指標。 

・ 組織の操業で使用するもっとも高価な材料のコスト 

・ 同一材料の,組織の操業での消費量 

・ 同一材料を,廃棄物から再生し,再使用するコスト 

・ 同一材料が,廃棄物の特定量に占める比率 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.3.2.2.5 持続可能リスクに基づくアプローチ 組織は,環境又は組織の競争力を脅かす環境側面に関心を

寄せる場合がある。 

想定されるMPI:クロロフルオロカーボン (CFC) の代替化に対する組織の投資配分。 

A.3.2.3 ライフサイクルアプローチ 組織は,特定の製品に関わる入力及び出力,並びに製品のライフサイ

クルのすべての段階の著しい環境側面及び環境影響を考慮して,指標を選択するのがよい。 

例1. 組織は,使用中の製品の燃料効率を向上できることを確認したとする。環境パフォーマンス評

価の指標としては,製品使用時における消費エネルギーの原単位量があり,燃料効率向上のた

めの製品設計の変更回数が考えられる。 

例2. 組織は,製品製造時における再生不可能な材料の製品製造時の使用が,当該製品の最も著しい

環境側面であることを確認したとする。EPEの指標としては,製品単位当たりの再生不可能な

材料の使用量,及び再生不可能な材料に代わり得る代替品を研究するための資源配分などが考

えられる。 

例3. 組織は,製品輸送に用いる包装を,顧客から回収し,かつ,製造業者に返却して再使用できる

ことを確認したとする。操業パフォーマンス指標としては,顧客から回収して再処理せずに再

使用できる,包装材の比率が考えられる。 

例4. 組織は,製品が再使用又はリサイクル用に簡単に分解できないことを確認したとする。このた

め,EPE指標としては,次の事項が考えられる。 

・ リサイクル又は再使用できる,製品の部品の比率 

・ リサイクル又は再使用できない,製品の部品の比率 

・ 分解を容易にするための製品設計の変更回数 

A.3.2.4 規制又は自主的アプローチ 組織は,EPEの指標選択に当たって,規制又は自主的パフォーマンス

要求事項を確認した分野に重点を置いてもよい。パフォーマンス尺度又は関連するパフォーマンス尺度を

創出するために必要なデータは,多くの場合,組織が創出済み又は収集済みである。したがって,特定汚

染物の環境への定期的又は偶発的な排出量の報告を要する組織は,この尺度をEPE指標として使ってもよ

い。 

想定されるOPI:年間の規制対象汚染物の流出量及び年当たりの規制対象汚染物の排出量。 

自主的イニシアティブ(例 レスポンスブルケア (Responsible Car◯

R),持続可能な森林イニシアティブ 

(the Sustainable Forestry Initiative◯

R),国際商業会議所 (ICC) の持続可能な開発のビジネス憲章 (Business 

Charter for Sustainable Development),環境に責任をもつ経済性のための連合によるセリーズ原則 [Coalition 

of Environmentally Responsible Economies (CERES) Principles] に賛成した組織は,このような自発的イニシ

アティブに関係するEPEの指標を選択するとよい。例えば,汚染防止のための特定のプログラムを実行す

ることが,自発的イニシアティブの一部として要求されている組織は,ある年度中に組織が実施した関連

活動数の追跡を考えても差し支えない。 

A.4 EPEの指標の例 

A.4.1 概要 経営層は,適切なEPEの指標の選択を助けるため,問題又は機能別の論理的グループ分けを

確立することが有用である。 

次に示すEPEの指標の例は,説明を目的とした単なる参考である。次に示すグループ分け,リスト及び

例は,完全でも,包括的でもなく,必す(須)なものと判断してはならないし,必ずしもすべての組織に

とって適切であると必ずしも解釈するべきではない。組織,方針,目的及び構造は,大きく変化する。各

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

組織は,環境パフォーマンス基準を満足するうえで,重要と判断したEPEの指標を選択することが望まし

い。 

次に示す例のほとんどは,直接的な尺度,事象又は数値の形で表現し,監視に使用できる要素の種類を

示したにすぎない。EPEの指標は,比率若しくは百分率,単位時間当たり,従業員当たり,販売単位当た

り,生産単位当たりの数値又はその他相対的用語で表現すると,経営層の情報ニーズ及び意図した用途に

とって,幾つかは一層有用であることが分かる。 

A.4.2 マネジメントパフォーマンス指標 

A.4.2.1 概要 環境パフォーマンスを改善する経営取組みには,方針及びプログラムの実施,要求事項又は

期待値との適合性,財務的パフォーマンス並びに地域社会との関係が含まれる。組織の著しい環境側面及

び組織の環境パフォーマンス基準に応じて,MPIの使用に次のいずれかを選択するか,又はしないかは自

由である。 

ここでは,組織の経営取組みを測定するのに選択され得るMPIの例を示す。 

A.4.2.2 MPIの例 

A.4.2.2.1 方針及びプログラムの実施 マネジメントを実施する利点が,組織全体を通した環境方針及びプ

ログラムの実施の評価にある場合,考えられるMPIには,次の事項が含まれる。 

・ 達成された目的及び目標の数 

・ 環境目的及び目標を達成する組織単位の数 

・ マネジメント遵守規定又は操業遵守規定の実施の度合い 

・ 実施された汚染防止行動提案の数 

・ 環境について特定の責任権限をもつ責任者層の数 

・ 職務規定の中に環境要求事項が入っている従業員数 

・ 環境プログラムに参加している従業員数(例えば,提案,リサイクル,クリーンアップ提案発議,そ

の他) 

・ そのプログラムに参加している総従業員数に対して,褒賞及び表彰を受けた従業員の数 

(例えば,提案,リサイクル,クリーンアップ提案発議,その他) 

・ 環境教育訓練を必要とする人数と,教育訓練済の人数比率 

・ 請負業者中の教育訓練を受けた人数 

・ 教育訓練参加者の得点 

・ 従業員からの環境改善提案の数 

・ 組織の環境問題の知識について,従業員調査の結果 

・ 環境問題について質問した納入業者及び請負業者の数 

・ 請負でのサービス提供業者で,環境マネジメントシステムを導入又は認証を受けている数 

・ 明示的な“製品スチュワードシップ” (stewardship) 計画をもつ製品数 

・ 解体,リサイクル,又は再使用に配慮した設計がされた製品数 

・ 環境的に安全な使用及び廃棄についての説明書をもつ製品の数 

A.4.2.2.2 適合性 マネジメントを実施する利点が,要求事項又は期待事項へのマネジメントシステムの適

合の評価にある場合,考えられるMPIには,次のものを含む。 

・ 規制遵守の程度 

・ 組織の委託契約に示されている要求及び期待に対する,サービス供給者の適合程度 

・ 環境事故への対応又は是正までの時間 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

・ 解決済又は未解決の,確認された是正処置の数 

・ 罰金又は科料の回数又は付随費用 

・ 特定の活動の数と頻度(例えば,監査) 

・ 監査の計画に対し完了した数 

・ 期間当たりの監査所見の数 

・ 操業手順の見直し頻度 

・ 実施された緊急訓練の回数 

・ 計画的な準備であることを実証する,緊急対策及び対応訓練の比率 

A.4.2.2.3 財務的パフォーマンス マネジメントを実施する利点が,環境パフォーマンスと財務的パフォー

マンスとの関係の評価にある場合,想定されるMPIには次の事項がある。 

・ 製品又はプロセスの環境側面に関係するコスト(操業コスト及び資本コスト) 

・ 環境改善プロジェクトの投資に対する収益 

・ 資源使用の削減,汚染防止,又は廃棄物リサイクルを通じて達成された節約額 

・ 環境パフォーマンス又は企画目的を満たすよう設計された,新製品又は副産物の売上収入 

・ 環境意義をもつプロジェクトに充当した研究開発資金 

・ 組織の財務上の地位に,重大な影響を及ぼし得る環境債務 

A.4.2.2.4 地域社会関係 マネジメントを実施する利点が,環境問題に関する地域社会におけるマネジメン

トのプログラムの評価にある場合,想定されるMPIには次の事項がある。経営層の関心が,環境事項に関

して組織の実施するプログラムについての地域社会での評価にある場合,想定されるMPIには次の事項が

ある。 

・ 環境関連問題についての質問又はコメントの数 

・ 組織の環境パフォーマンスに関する新聞報道の数 

・ 地域社会に提供された環境教育のプログラム及び資料の数 

・ 地域社会の環境プログラムの支援に当てられた経営資源 

・ 環境報告書をもつサイトの数 

・ 野性生物プログラムをもつサイトの数 

・ 地域改善活動の進展 

・ 支援を受けたか自主的な地域の浄化又はリサイクル活動の実施数 

・ 地域社会調査からの好意的支持率 

A.4.3 操業パフォーマンス指標 

A.4.3.1 概要 組織の操業の環境パフォーマンスをはかるのに適しているOPIの例を示す。組織の操業は,

組織の施設及び装置からの入力及び出力に基づき,論理的にグループ化されている。この組織の操業には,

組織の施設及び装置とともに,組織から組織への供給及び引き渡しが含まれる。図A.1は,この状態を示

す。 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.1 組織の操業(追加的詳細) 

A.4.3.2 OPIの例 

A.4.3.2.1 材料 マネジメントを実施する利点が,操業に必要な材料に関する環境パフォーマンスにある場

合には,OPIとして次のものが考えられる。 

・ 製品単位当たりの使用材料の量 

・ 処理済材料,リサイクル材料又は再使用材料の量 

・ 製品単位当たりの,廃棄物又は再使用した包装材料の量 

・ リサイクル又は再使用した補助材料の量 

・ 生産工程で再使用した原材料の量 

・ 単位製品当たりの水の使用量 

・ 再使用した水の量 

・ 生産工程で使用する有害物質の量 

A.4.3.2.2 エネルギー マネジメントを実施する利点が,組織の操業に使用する,全エネルギー,エネルギ

ーの種類,又はエネルギー効率にある場合には,OPIとして次の事項が考えられる。 

・ 年当たり又は製品単位当たりのエネルギーの使用量 

・ 単位サービス又は単位顧客当たりのエネルギー使用量 

・ エネルギーの種類及びその使用量 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

・ 工程で発生する,又は副産物から得られるエネルギー量 

・ エネルギー保全プログラムによって節約できたエネルギー原単位量 

A.4.3.2.3 組織の操業を支えるサービス マネジメントを実施する利点が,操業を支えるサービスにある場

合,OPIとして次の事項が考えられる。 

・ サービス提供の契約者が使用する有害物質の量 

・ サービス提供の契約者が使用する清掃剤の量 

・ サービス提供の契約者が使用する,リサイクル及び再使用可能な材料の量 

・ サービス提供の契約者が排出する,廃棄物の種類及び量 

A.4.3.2.4 施設及び装置 マネジメントを実施する利点が,組織の施設及び装置に関する環境パフォーマン

スにある場合,OPIとして次の事項が考えられる。 

・ 容易に解体,リサイクル及び再使用できるよう設計された部品を含む装置の数 

・ 特定装置の年間操業時間 

・ 緊急事態(例 爆発)又は非定常時操業(運転)(例 非常停止)の年間の回数 

・ 製造のための使用される土地の総面積 

・ 単位エネルギー量を発生するのに使用される土地の面積 

・ 輸送車両の平均燃料消費量 

・ 環境対策を施した輸送車両台数 

・ 装置の予防保全に要する年間時間 

A.4.3.2.5 供給と引き渡し マネジメントを実施する利点が,組織の操業を支える入力を支える供給,及び

組織の総業成果の出力の引き渡しに関係する,環境パフォーマンスにある場合,考えられるOPIには次の

事項がある。 

・ 車両輸送の平均燃料消費量 

・ 一日当たりの,輸送方式ごとの貨物便数 

・ 汚染抑制技術を施した車両の台数 

・ 他のコミュニケーション手段によって,節減された業務出張回数 

・ 輸送方式ごとの業務出張回数 

A.4.3.2.6 製品 マネジメントを実施する利点が,製品又は副産物(例 リサイクル可能及び再使用可能な

材料を含む,主製品以外の材料であって,追加の商目的のために生産し,保有しているもの)に関係する

環境パフォーマンスにある場合,考えられるOPIには次の事項がある。 

・ 有害物特性を減らして市場に導入した新製品の数 

・ 再使用又はリサイクルのできる製品の数 

・ 製品の,再使用又はリサイクル材料の含有百分率 

・ 欠陥製品率 

・ 単位製品当たり発生する副産物の量 

・ 製品使用時に消費されるエネルギー原単位量 

・ 製品の使用寿命 

・ 環境的に安全な使用及び廃棄について指示を記載した製品の数 

A.4.3.2.7 組織によって供給されるサービス マネジメントを実施する利点が,組織の操業から供給される

サービスに関係する環境パフォーマンスにある場合,考えられるOPI指標には次の事項がある。 

・ 1平方メートル当たりに使われる清掃剤の数(清掃サービス組織用) 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

・ 燃料消費量(サービスが輸送を伴う組織用) 

・ 改善プロセスのために,売れたライセンス料(技術ライセンスの取扱組織用) 

・ 環境に関連する信用貸しのリスク事故又は支払不能の数(金融サービス組織用) 

・ 製品の販売後のサービス期間に使われた材料の量 

A.4.3.2.8 廃棄物 マネジメントを実施する利点が,組織の操業から発生する廃棄物に関係する環境パフォ

ーマンスにある場合,考えられるOPIには次の事項がある。 

・ 年当たり又は製品当たりの廃棄物の量 

・ 年間の,有害,リサイクル可能又は再使用可能な廃棄物の量 

・ 処分に回される廃棄物の総量 

・ サイトに貯蔵される廃棄物の量 

・ 許可証で管理される廃棄物の量 

・ 再使用可能材料に変換された年間の廃棄物の量 

・ 材料の代替化によって削減された有害廃棄物の量 

A.4.3.2.9 排出物 マネジメントを実施する利点が,組織の操業から発生する大気への排出物に関係する環

境パフォーマンスにある場合,考えられるOPIには次の事項がある。 

・ 年間の特定排出物の量 

・ 単位製品当たりの,特定排出物の量 

・ 大気に放出される廃熱の量 

・ オゾン層破壊特性のある大気排出物の量 

・ 地球の気候変動に影響する可能性をもつ大気への排出物の量 

マネジメントを実施する利点が,その操業による,土壌又は水域への排出に関係ある環境パフォーマン

スにある場合,考えられるOPIには次の事項がある。 

・ 年間の特定材料の排出量 

・ 単位製品当たりの,水域に排出される特定材料の量 

・ 水域へ放出される廃熱の量 

・ 単位製品当たりの埋立処分量 

・ 単位サービス又は単位顧客当たりの排水量 

マネジメントを実施する利点が,その操業に起因する,その他の排出物に関係ある環境パフォーマンス

にある場合,考えられるOPIには次の事項がある。 

・ ある場所で測定される騒音 

・ 放射線の量 

・ 放出熱,振動,放射光の量 

A.4.4 環境状態指標 

A.4.4.1 概要 ここでは,ECIの例を示す。 

ECIの開発及び適用は,個々の組織の役割であるよりは,局地的,地域的,国家的又は国際的政府機関,

非政府組織,及び科学的及び研究機関の役割であることが多い。科学調査,環境基準及び規制の制定,一

般へのコミュニケーションなどの目的で,これらの機関は,次の事項に関する情報を収集している。 

・ 広水域の水質特性 

・ 地域の大気の質 

・ 絶滅危ぐ(惧)種 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

・ 資源の量及び質 

・ 海洋温度 

・ 生物体の組織内の汚染物質濃度 

・ オゾン層破壊 

・ 地球規模の気象変化 

・ その他パラメータ 

こうした情報のあるものは,ECIの形をとってもよく,組織にとってEPEの実施時に考慮すべき環境側

面の管理又は特定問題点の指摘を行う際に活用できるECIの形をとってもよい。 

自分の活動と,地区の環境のある要素の状態との関係を明らかにできる組織は,EPEにおける一助とし

て,その能力,関心,及び必要性に適した自分達自身のECIを開発することを選んでもよい。 

A.4.4.2 ECIの例 

A.4.4.2.1 地域的,国家的又は地球規模のECI 地域的,国家的,又は地球規模の環境状態への組織の寄与

が,マネジメントを実施する利点であるときは,その組織は政府機関,非政府組織及び科学調査団体が調

査し,開発した指標をそのまま使用するとよい。こうした指標の例には,オゾン層の厚さ,地球の平均温

度及び海洋の魚群規模がある。 

A.4.4.2.2 局地的,地域的環境状態指標 ECIを開発し得る分野の例としては,大気,水,土地,植物,動

物,人間,景観,並びに歴史的遺産及び文化である。 

a) 大気 マネジメントを実施する利点が,地区又は地域における大気環境情報にあるときは,考えられ

るECIには次の事項がある。 

・ 選定された場所における大気の特定汚染物質の濃度 

・ 組織の施設からある特定距離における周辺温度 

・ 組織の施設の風上及び風下における視界の透明度 

・ 所定の地区内における光化学スモッグの発生頻度 

・ 組織の施設の区画における重み付けした平均騒音レベル 

・ 組織の施設からのある特定距離で測定した臭気 

例1. 特定の状況の例 

遠隔地の非工業地帯に所在する組織は,大気への排出物の抑制を達成する指標として,隣接居

住地帯での臭気の監視を望む場合がある。 

例2. 考えられる関係するECI 

組織の施設からのある特定距離で測定した臭気 

b) 水域 マネジメントを実施する利点が,地区又は地域の河川又は湖沼などの地下水又は地表水の状態

に関する情報にある場合,考えられるECIには次の事項がある。 

・ 地下水又は地表水における特定の汚染物の濃度 

・ 排水放流地点の上下流であって,施設近傍の流れの中で測定された濁度 

・ 受け入れた水の溶存酸素 

・ 組織の施設近隣の地表水の水温 

・ 地下水レベルの変化 

・ 水1リットル当たりの大腸菌群数 

例1. 特定の状況 

下水処理プラントを管理する地方自治体は,対処が必要な健康リスクがあるか否かを決定する

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ために,その下水放流の上下流で大腸菌群数を監視することを望むかもしれない。 

例2. 考えられる関連するECI 

水1リットル当たりの大腸菌群数 

c) 土地 マネジメントを実施する利点が局地的又は地域的な土地の状態に関する情報にある場合,考え

られるECIには次の事項がある。 

・ 組織の施設の周辺での選定された場所における表層土に含まれる特定の汚染物質の濃度 

・ 組織の施設近隣の土壌に含まれる選定された養分の濃度 

・ 所定の局地的範囲における 

− 修復された面積 

− 廃棄物埋立地,湿地又は観光地の面積 

− 舗装地及び非肥よく(沃)地の面積 

− 保護面積 

− 表土侵食度 

例1. 特定の状況 

組織は,その土地からの土壌の喪失に関心をもつかもしれない。 

例2. 考えられる関連するECI 

所定の局地的範囲の表土侵食度 

d) 植物 マネジメントを実施する利点が,局地的又は地域的な植物状態に関する情報にある場合,考え

られるECIには次の事項がある。 

・ 局地的又は地域的に見つかる特定植物種の組織中の特定汚染物濃度 

・ 周辺地区の作物収率推移 

・ 組織の施設から所定距離内での特定植物種の個体数 

・ 所定の局地的範囲における 

− 全植物種の数 

− 作物種の数,多様性 

・ 局地的範囲における特定種の生息地の質についての特定値 

・ 所定の局地的範囲における 

− 植物の発育量の特定値 

− 植物の発育状況の特定値 

例1. 特定の状況 

大気排出物にふっ素化合物を含む組織は,大気放出管理の改善を監視するために,その施設周

辺で植生調査を実施するかもしれない。 

例2. 考えられる関連するECI 

所定の局地的範囲における植物の発育状況の特定値 

e) 動物 マネジメントを実施する利点が,局地的又は地域的な動物の状態に関する情報にある場合,考

えられるECIには次の事項がある。 

・ 局地的又は地域的に見つかる特定動物種の組織中の特定汚染物の濃度 

・ その組織の施設からのある所定距離内での特定動物種の個体数 

・ 局地的範囲における特定種の,生息地の質についての特定値 

・ 所定の局地的範囲における全動物種の総数 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

例1. 特定の状況 

土地を管理する会社は,その影響地域下におけるその操業と生物学的多様性との関係を評価す

ることを望むかもしれない。 

例2. 考えられる関連するECI 

所定の局地的範囲における全動物種の総数 

f) 

人間 マネジメントを実施する利点が,局地的又は地域的な人口状態に関する情報にある場合,考え

られるECIには次の事項がある。 

・ 特定の人口に対する寿命データ 

・ 局地又は地域における 

− 疫学調査からの,特に感受性が強い集団の中の特定の疾患率 

− 人口増加率 

− 人口密度 

− 局地における人口の血液中の鉛レベル 

例1. 特定の状況 

製品に鉛を用いている組織は,放出物に排出する鉛と局地人口との関係を監視することを望む

かもしれない。 

例2. 考えられる関連するECI 

局地住民の血液中の鉛レベル 

g) 景観,遺跡及び文化 マネジメントを実施する利点が,局地又は地域的な歴史的又は文化的に重要な

構造物及び場所の景観要素又は状態に関する情報にある場合,考えられるECIには次の事項がある。 

・ きずつきやすい構造物の状態計測値 

・ 組織の施設の周辺における神聖と考えられる場所の状態計測値 

・ 地区における歴史的建造物の表面保全性の計測値 

例1. 特定の状況 

組織は,その地区にある歴史的建造物への,大気排出物の影響に関心があるかもしれない。 

例2. 考えられる関連するECI 

地区における歴史的建造物の表面保全性の計測値 

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Q 14031 : 2000 (ISO 14031 : 1999) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

環境パフォーマンス評価小委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

〇 横 山   宏 

株式会社日立製作所地球環境推進センタ 

(副委員長) 

〇 水 野 建 樹 

資源環境技術総合研究所 

(委員) 

大 竹 一 友 

豊橋技術科学大学 

小 林 秀 樹 

川崎製鉄株式会社環境部 

〇 井 上 清 彦 

社団法人日本鉄鋼連盟技術・環境部 

〇 後 藤 敏 彦 

環境監査研究会 

米 光 徹 志 

トヨタ自動車株式会社環境部 

伊 藤 哲 志 

トヨタ自動車株式会社環境部 

〇 高 戸   満 

日産自動車株式会社生産管理部 

小 川 隆 雄 

住友化学工業株式会社環境・安全部 

木 村 和 男 

住友化学工業株式会社環境・安全部 

〇 奈 良 恒 雄 

住友化学工業株式会社環境・安全部主任 

〇 則 武 祐 二 

株式会社リコー社会環境室環境安全グループリーダー 

寺 田   博 

財団法人日本規格協会技術部 

安 達 正 昇 

中部電力株式会社立地環境本部環境部 

中 西 顕 宏 

中部電力株式会社立地環境本部環境部 

〇 藤 原   隆 

中部電力株式会社立地環境本部環境部 

〇 三 島   亨 

株式会社竹中工務店 

〇 藤 田 克 輔 

株式会社数理計画開発技術部 

牛 島 靖 彦 

富士電機株式会社生産管理統括部 

〇 山 田   充 

富士電機株式会社生産企画室生産管理部 

吉 田 敬 史 

三菱電機株式会社環境品質部 

(関係者) 

〇 鬼 束 忠 人 

工業技術院標準部 

〇 佐 野 浩 一 

工業技術院標準部 

〇 佐久間 順 一 

通商産業省環境立地局環境政策課 

(事務局) 

〇 須 田   茂 

社団法人産業環境管理協会 

〇 松 本 清 文 

社団法人産業環境管理協会 

〇 茂 呂 美 穂 

社団法人産業環境管理協会 

備考 〇印は,環境JIS専門委員会 (14031) 委員を示す。