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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

3

2

  引用規格  

4

3

  用語及び定義  

4

3.1

  組織及びリーダーシップに関する用語  

4

3.2

  計画に関する用語  

5

3.3

  支援及び運用に関する用語  

7

3.4

  パフォーマンス評価及び改善に関する用語  

8

4

  組織の状況  

9

4.1

  組織及びその状況の理解  

9

4.2

  利害関係者のニーズ及び期待の理解  

12

4.3

  環境マネジメントシステムの適用範囲の決定  

14

4.4

  環境マネジメントシステム  

15

5

  リーダーシップ  

16

5.1

  リーダーシップ及びコミットメント  

16

5.2

  環境方針  

18

5.3

  組織の役割,責任及び権限  

20

6

  計画 

20

6.1

  リスク及び機会への取組み  

20

6.2

  環境目標及びそれを達成するための計画策定  

30

7

  支援 

32

7.1

  資源  

32

7.2

  力量  

33

7.3

  認識  

35

7.4

  コミュニケーション  

35

7.5

  文書化した情報  

38

8

  運用 

40

8.1

  運用の計画及び管理  

40

8.2

  緊急事態への準備及び対応  

42

9

  パフォーマンス評価  

43

9.1

  監視,測定,分析及び評価  

43

9.2

  内部監査  

46

9.3

  マネジメントレビュー  

46

10

  改善  

47

10.1

  一般  

47


Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)  目次

(2)

ページ

10.2

  不適合及び是正処置  

48

10.3

  継続的改善  

49

附属書 A(参考)活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び 

    機会,並びに取組みの例  

51

附属書 B(参考)環境マネジメントシステムの実施のための段階的アプローチ 

    JIS Q 14005 に基づく)  

59

参考文献  

61


Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人日本

規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS Q 14004:2004 は

改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 Q

14004

:2016

(ISO 14004

:2016

)

環境マネジメントシステム−実施の一般指針

Environmental management systems-

General guidelines on implementation

序文 

この規格は,2016 年に第 3 版として発行された ISO 14004 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく,

現在の世代のニーズを満たすために,

環境,社会及び経済のバランスを実現することが不可欠であると考えられている。持続可能な開発は,環

境,社会及び経済という持続可能性の“三本柱”のバランスをとることによって達成される到達点である。

組織は,公的か私的か,規模の大小,及び先進国か新興国かを問わず,環境に影響を与えており,また

その見返りとして,環境からの影響を受ける可能性がある。人類の発展及び繁栄は,全人類の活動及び生

産性のよりどころとなっている天然資源の保存及び保全にかかっているということの理解が深まりつつあ

る。健全な環境パフォーマンスを達成するためには,環境マネジメントシステムの体系的なアプローチ及

び継続的改善に対する組織のコミットメントが必要である。

社会の期待を背景に,全ての組織が効率性,透明性及び説明責任を高めることで,人類の発展を支える

ために必要な資源のマネジメントを改善することへのニーズが高まっている。

気候変動,

資源の過剰消費,

並びに生態系の劣化及び生物多様性の喪失から生じる問題による環境への負荷が増大している。

この規格の狙いは,より良い環境マネジメントを支援するために,システムを確立し,実施し,維持し,

継続的に改善するための,共通の枠組みに関する手引を組織に提供することである。この環境マネジメン

トの枠組みは,組織の長期的な成功,及び持続可能な開発の総合的な到達点に寄与することが望ましい。

しっかりとした,信ぴょう(憑)性及び信頼性のある環境マネジメントシステムの枠組みを,

図 に示す。

この枠組みには,次の事項が含まれる。

−  組織の活動が行われる状況を理解する。

−  利害関係者の関連するニーズ及び期待は組織の環境マネジメントシステムと関連するため,利害関係

者の関連するニーズ及び期待を決定し,理解する。

−  環境方針及び環境目標を確立し,実施する。

−  環境パフォーマンスの改善において,トップマネジメントが主導的な役割を果たす。

−  著しい環境影響をもたらす可能性のある,組織の活動,製品及びサービスの側面を特定する。

−  事象を含む,組織に影響を与える可能性のある環境状態を特定する。

−  次に関連する,取り組む必要がある組織のリスク及び機会を考慮する。

−  組織の環境側面


2

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  組織の順守義務

−  組織のその他の課題(4.1 参照)及び要求事項(4.2 参照)

−  組織と環境との相互作用に関する認識を高める。

−  必要に応じて,組織の著しい環境側面及び順守義務,並びに取り組む必要があるリスク及び機会をマ

ネジメントするための運用管理を確立する。

−  環境パフォーマンスを評価し,必要に応じて,その改善のための処置をとる。

図 1−この規格の環境マネジメントシステムモデル 

環境マネジメントの体系的なアプローチの成果は,トップマネジメントに対して,情報に基づいた事業

上の決定を可能にする,定量的及び定性的なデータを提供することができる。こうした決定は,長期的な

成功を築き,かつ,持続可能な開発に寄与するための選択肢を作り出す。環境マネジメントシステムの成

功は,トップマネジメントが主導する,組織の全ての階層及び機能からのコミットメントのいかんにかか

っている。機会には,次の事項が含まれる。

−  有害な環境影響の防止又は低減を含め,環境を保護する。

−  製品及びサービスの設計,製造,流通,使用及び廃棄の方法を管理するか又はこの方法に影響を及ぼ

す。

−  環境影響が意図せずにライフサイクル内の他の部分に移行するのを防ぐため,ライフサイクルの視点

を用いる。

−  市場における組織の位置付けを強化し,かつ,環境にも健全な代替策を実施することで,財務上及び

運用上の便益を実現する。

−  環境情報を,関連する利害関係者に伝達する。

環境パフォーマンスの向上に加えて,有効な環境マネジメントシステムに伴う潜在的な便益には,次の


3

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

事項が含まれる。

−  顧客に対して,実証可能な環境マネジメントへの組織のコミットメントについての確信を与える。

−  一般の人々及びコミュニティとの良好な関係を維持する。

−  投資家の基準を満たし,資金調達を改善する。

−  イメージ及び市場占有率を高める。

−  原価管理を改善する。

−  責任問題に至る事態を防止する。

−  インプットする原材料及びエネルギーを節約する。

−  より環境に優しい製品を設計する。

−  許可及び承認の取得を容易にし,その要求事項を満たす。

−  外部提供者及び組織の管理下で働く全ての人の間で,環境についての認識を促進する。

−  産業界と政府との関係を改善する。

組織は,品質,労働安全衛生,環境マネジメントシステムなどの要求事項に整合し得る統合マネジメン

トシステムを運用することが可能である。このアプローチは,重複を減らし,効率性を築くための機会を

提供する。

この規格では,全体にわたって,分かりやすくするために,例示及び取組みを紹介している。これらは,

唯一の可能性を示そうとするものではなく,それらがどの組織にも必ず合致するというわけでもない。環

境マネジメントシステムの設計及び実施又は改善に当たって,組織は,自らの状況に適した取組みを選択

することが望ましい。枠内に示した実践の手引は,この規格の指針を支援する追加情報を提供することを

意図している。

適用範囲 

この規格は,しっかりとした,信ぴょう(憑)性及び信頼性のある環境マネジメントシステムを確立し,

実施し,維持し,改善することに関する,組織のための指針を示す。この指針は,持続可能性の“環境の

柱”

に寄与するような体系的な方法で組織の環境責任をマネジメントしようとする組織を対象としている。

この規格は,組織が,環境,組織自体及び利害関係者に価値をもたらす環境マネジメントシステムの意

図した成果を達成するために役立つ。環境マネジメントシステムの意図した成果は,組織の環境方針に整

合して,次の事項を含む。

−  環境パフォーマンスの向上

−  順守義務を満たすこと

−  環境目標の達成

この規格の指針は,組織が環境パフォーマンスを向上させることを助け,また,環境マネジメントシス

テムの要素を,組織の中核となる事業プロセスに統合することを可能にする。

注記 1  この環境マネジメントシステムは,労働安全衛生問題をマネジメントすることを意図したも

のではないが,組織が統合的な環境マネジメントシステム及び労働安全衛生マネジメントシ

ステムの実施を求めている場合は,それを含めることができる。

この規格は,規模,業種・形態及び性質を問わず,どのような組織にも適用でき,組織がライフサイク

ルの視点を考慮して管理することができる又は影響を及ぼすことができると決定した,組織の活動,製品


4

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

及びサービスの環境側面に適用する。

この規格の指針は,環境マネジメントを体系的に改善するために,全体を又は部分的に用いることがで

きる。また,この規格は,概念及び要求事項の追加的な説明を提供する。

この規格の指針は,JIS Q 14001 環境マネジメントシステムモデルと整合しているが,JIS Q 14001 の要

求事項の解釈を提供することを意図したものではない。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 14004:2016

,Environmental management systems−General guidelines on implementation(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

引用規格 

この規格には,引用規格はない。

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

組織及びリーダーシップに関する用語 

3.1.1 

マネジメントシステム(management system)

方針,

目的(3.2.5)及びその目的を達成するためのプロセス(3.3.5)を確立するための,相互に関連す

る又は相互に作用する,

組織(3.1.4)の一連の要素。

注記 1  一つのマネジメントシステムは,単一又は複数の分野(例えば,品質マネジメント,環境マ

ネジメント,労働安全衛生マネジメント,エネルギーマネジメント,財務マネジメント)を

取り扱うことができる。

注記 2  システムの要素には,組織の構造,役割及び責任,計画及び運用,パフォーマンス評価並び

に改善が含まれる。

注記 3  マネジメントシステムの適用範囲としては,組織全体,組織内の固有で特定された機能,組

織内の固有で特定された部門,複数の組織の集まりを横断する一つ又は複数の機能,などが

あり得る。

3.1.2 

環境マネジメントシステム(environmental management system)

マネジメントシステム(3.1.1)の一部で,環境側面(3.2.2)をマネジメントし,順守義務(3.2.9)を満

たし,

リスク及び機会(3.2.11)に取り組むために用いられるもの。

3.1.3 

環境方針(environmental policy)

トップマネジメント(3.1.5)によって正式に表明された,環境パフォーマンス(3.4.11)に関する,組織

3.1.4)の意図及び方向付け。

3.1.4 

組織(organization)

自らの

目的(3.2.5)を達成するため,責任,権限及び相互関係を伴う独自の機能をもつ,個人又は人々

の集まり。


5

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

注記  組織という概念には,法人か否か,公的か私的かを問わず,自営業者,会社,法人,事務所,

企業,当局,共同経営会社,非営利団体若しくは協会,又はこれらの一部若しくは組合せが含

まれる。ただし,これらに限定されるものではない。

3.1.5 

トップマネジメント(top management)

最高位で

組織(3.1.4)を指揮し,管理する個人又は人々の集まり。

注記 1  トップマネジメントは,組織内で,権限を委譲し,資源を提供する力をもっている。

注記 2  マネジメントシステム(3.1.1)の適用範囲が組織の一部だけの場合,トップマネジメントと

は,組織内のその一部を指揮し,管理する人をいう。

3.1.6 

利害関係者(interested party)

ある決定事項若しくは活動に影響を与え得るか,その影響を受け得るか,又はその影響を受けると認識

している,個人又は

組織(3.1.4)。

例  顧客,コミュニティ,供給者,規制当局,非政府組織(NGO),投資家,従業員

注記  “影響を受けると認識している”とは,その認識が組織に知らされていることを意味している。

3.2 

計画に関する用語 

3.2.1 

環境(environment)

大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,

組織(3.1.4)の活動をとり

まくもの。

注記 1  “とりまくもの”は,組織内から,近隣地域,地方及び地球規模のシステムにまで広がり得

る。

注記 2  “とりまくもの”は,生物多様性,生態系,気候又はその他の特性の観点から表されること

もある。

3.2.2 

環境側面(environmental aspect)

環境(3.2.1)と相互に作用する,又は相互に作用する可能性のある,組織(3.1.4)の活動又は製品又は

サービスの要素。

注記 1  環境側面は,環境影響(3.2.4)をもたらす可能性がある。著しい環境側面は,一つ又は複数

の著しい環境影響を与える又は与える可能性がある。

注記 2  組織は,一つ又は複数の基準を適用して著しい環境側面を決定する。

3.2.3 

環境状態(environmental condition)

ある特定の時点において決定される,

環境(3.2.1)の様相又は特性。

3.2.4 

環境影響(environmental impact)

有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に

組織(3.1.4)の環境側面(3.2.2)から生じる,環境(3.2.1

に対する変化。

3.2.5 

目的,目標(objective)


6

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

達成する結果。

注記 1  目的(又は目標)は,戦略的,戦術的又は運用的であり得る。

注記 2  目的(又は目標)は,様々な領域[例えば,財務,安全衛生,環境の到達点(goal)]に関連

し得るものであり,様々な階層[例えば,戦略的レベル,組織全体,プロジェクト単位,製

品ごと,サービスごと,

プロセス(3.3.5)ごと]で適用できる。

注記 3  目的(又は目標)は,例えば,意図する成果,目的(purpose),運用基準など,別の形で表

現することもできる。また,

環境目標(3.2.6)という表現の仕方もある。又は,同じような

意味をもつ別の言葉[

例  狙い(aim),到達点(goal),目標(target)]で表すこともできる。

3.2.6 

環境目標(environmental objective)

組織(3.1.4)が設定する,環境方針(3.1.3)と整合のとれた目標(3.2.5)。

3.2.7 

汚染の予防(prevention of pollution)

有害な

環境影響(3.2.4)を低減するために,様々な種類の汚染物質又は廃棄物の発生,排出又は放出を

回避,低減又は管理するための

プロセス(3.3.5),操作,技法,材料,製品,サービス又はエネルギーを

(個別に又は組み合わせて)使用すること。

注記  汚染の予防には,発生源の低減若しくは排除,プロセス,製品若しくはサービスの変更,資源

の効率的な使用,代替材料及び代替エネルギーの利用,再利用,回収,リサイクル,再生又は

処理が含まれ得る。

3.2.8 

要求事項(requirement)

明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ又は期待。

注記 1  “通常暗黙のうちに了解されている”とは,対象となるニーズ又は期待が暗黙のうちに了解

されていることが,

組織(3.1.4)及び利害関係者(3.1.6)にとって,慣習又は慣行であるこ

とを意味する。

注記 2  規定要求事項とは,例えば,文書化した情報(3.3.2)の中で明示されている要求事項をいう。

注記 3  法的要求事項以外の要求事項は,組織がそれを順守することを決定したときに義務となる。

3.2.9 

順守義務(compliance obligations)

組織(3.1.4)が順守しなければならない法的要求事項(3.2.8),及び組織が順守しなければならない又

は順守することを選んだその他の要求事項。

注記 1  順守義務は,環境マネジメントシステム(3.1.2)に関連している。

注記 2  順守義務は,適用される法律及び規制のような強制的な要求事項から生じる場合もあれば,

組織及び業界の標準,契約関係,行動規範,コミュニティグループ又は非政府組織(NGO)

との合意のような,自発的なコミットメントから生じる場合もある。

3.2.10 

リスク(risk)

不確かさの影響。

注記 1  影響とは,期待されていることから,好ましい方向又は好ましくない方向にかい(乖)離す

ることをいう。


7

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

注記 2  不確かさとは,事象,その結果又はその起こりやすさに関する,情報,理解又は知識に,た

とえ部分的にでも不備がある状態をいう。

注記 3  リスクは,起こり得る“事象”

JIS Q 0073:2010 の 3.5.1.3 の定義を参照。

)及び“結果”

JIS 

Q 0073:2010

の 3.6.1.3 の定義を参照。

,又はこれらの組合せについて述べることによって,

その特徴を示すことが多い。

注記 4  リスクは,ある事象(その周辺状況の変化を含む。)の結果とその発生の“起こりやすさ”

JIS 

Q 0073:2010

の 3.6.1.1 の定義を参照。

)との組合せとして表現されることが多い。

3.2.11 

リスク及び機会(risks and opportunities)

潜在的で有害な影響(脅威)及び潜在的で有益な影響(機会)

3.3 

支援及び運用に関する用語 

3.3.1 

力量(competence)

意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力。

3.3.2 

文書化した情報(documented information)

組織(3.1.4)が管理し,維持するよう要求されている情報,及びそれが含まれている媒体。

注記 1  文書化した情報は,様々な形式及び媒体の形をとることができ,様々な情報源から得ること

ができる。

注記 2  文書化した情報には,次に示すものがあり得る。

−  関連する

プロセス(3.3.5)を含む環境マネジメントシステム(3.1.2

−  組織の運用のために作成された情報(文書類と呼ぶこともある。

−  達成された結果の証拠(記録と呼ぶこともある。

3.3.3 

ライフサイクル(life cycle)

原材料の取得又は天然資源の産出から,最終処分までを含む,連続的でかつ相互に関連する製品(又は

サービス)システムの段階群。

注記  ライフサイクルの段階には,原材料の取得,設計,生産,輸送又は配送(提供),使用,使用後

の処理及び最終処分が含まれる。

JIS Q 14044:2010 の 3.1 を変更。

(又はサービス)

”を追加し,文章構成を変更し,かつ,

注記を追加

している。

3.3.4 

外部委託する(outsource)(動詞)

ある

組織(3.1.4)の機能又はプロセス(3.3.5)の一部を外部の組織が実施するという取決めを行う。

注記  外部委託した機能又はプロセスはマネジメントシステム(3.1.1)の適用範囲内にあるが,外部

の組織はマネジメントシステムの適用範囲の外にある。

3.3.5 

プロセス(process)

インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。

注記  プロセスは,文書化することも,しないこともある。


8

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

3.4 

パフォーマンス評価及び改善に関する用語 

3.4.1 

監査(audit)

監査基準が満たされている程度を判定するために,

監査証拠を収集し,

それを客観的に評価するための,

体系的で,独立し,文書化した

プロセス(3.3.5)。

注記 1  内部監査は,その組織(3.1.4)自体が行うか,又は組織の代理で外部関係者が行う。

注記 2  監査は,複合監査(複数の分野の組合せ)でもあり得る。

注記 3  独立性は,監査の対象となる活動に関する責任を負っていないことで,又は偏り及び利害抵

触がないことで,実証することができる。

注記 4  JIS Q 19011:2012 の 3.3 及び 3.2 にそれぞれ定義されているように,“監査証拠”は,監査基

準に関連し,かつ,検証できる,記録,事実の記述又はその他の情報から成り,

“監査基準”

は,監査証拠と比較する基準として用いる一連の方針,手順又は

要求事項(3.2.8)である。

3.4.2 

適合(conformity)

要求事項(3.2.8)を満たしていること。

3.4.3 

不適合(nonconformity)

要求事項(3.2.8)を満たしていないこと。

注記  不適合は,JIS Q 14001:2015 に規定される要求事項,及び組織(3.1.4)が自ら定める追加的な

環境マネジメントシステム(3.1.2)要求事項に関連している。

3.4.4 

是正処置(corrective action)

不適合(3.4.3)の原因を除去し,再発を防止するための処置。

注記  不適合には,複数の原因がある場合がある。

3.4.5 

継続的改善(continual improvement)

パフォーマンス(3.4.10)を向上するために繰り返し行われる活動。

注記 1  パフォーマンスの向上は,組織(3.1.4)の環境方針(3.1.3)と整合して環境パフォーマンス

3.4.11)を向上するために,

環境マネジメントシステム(3.1.2)を用いることに関連してい

る。

注記 2  活動は,必ずしも全ての領域で同時に,又は中断なく行う必要はない。

3.4.6 

有効性(effectiveness)

計画した活動を実行し,計画した結果を達成した程度。

3.4.7 

指標(indicator)

運用,マネジメント又は条件の状態又は状況の,測定可能な表現。

ISO 14031:2013 の 3.15 参照)

3.4.8 

監視(monitoring)


9

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

システム,

プロセス(3.3.5)又は活動の状況を明確にすること。

注記  状況を明確にするために,点検,監督又は注意深い観察が必要な場合もある。

3.4.9 

測定(measurement)

値を決定する

プロセス(3.3.5)。

3.4.10 

パフォーマンス(performance)

測定可能な結果。

注記 1  パフォーマンスは,定量的又は定性的な所見のいずれにも関連し得る。

注記 2  パフォーマンスは,活動,プロセス(3.3.5),製品(サービスを含む。),システム又は組織(3.1.4

の運営管理に関連し得る。

3.4.11 

環境パフォーマンス(environmental performance)

環境側面(3.2.2)のマネジメントに関連するパフォーマンス(3.4.10)。

注記  環境マネジメントシステム(3.1.2)では,結果は,組織(3.1.4)の環境方針(3.1.3),環境目標

3.2.6

,又はその他の基準に対して,

指標(3.4.7)を用いて測定可能である。

組織の状況 

4.1 

組織及びその状況の理解 

環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するために,組織は,組織の活動

が行われる状況を決定することが望ましい。組織の状況には,組織の目的に関連し,その環境マネジメン

トシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える,環境状態を含む外部及び内部の課題が

含まれる。組織の目的は,組織のビジョン及びミッションに反映されている。

“意図した成果(intended outcome)

”という用語は,組織が環境マネジメントシステムの実施によって

達成しようと意図しているものを意味する。意図した成果には,環境パフォーマンスの向上,順守義務を

満たすこと,及び環境目標の達成が含まれる。これらは,最低限の中核となる成果である。ただし,組織

は,環境マネジメントシステム要求事項以上のことを実施するといったように,追加の意図した成果を設

定することができる。例えば,組織は,より広範な持続可能性の取組みを支援する社会及び環境の原則を

採用することによって,便益を得ることができる。

組織の活動は単独で行われるのではなく,資源の利用可能性,従業員の関与などの外部及び内部の課題

による影響を受けるため,組織の状況を理解することが重要である。組織の状況には,組織の複雑さ,構

造,活動,並びに組織全体及び近隣地域の両方のレベルでの機能単位の地理的な場所が含まれ得る。

組織の状況には,組織の活動が行われる自然環境が含まれる。自然環境は,組織の活動,製品及びサー

ビスに影響を与える,状態及び事象を生み出し得る。状態は,存続するか又は次第に変化し得るものであ

る。他方で,事象には,極端な状況として通常説明されるような突発的な変化を含み得る。こうした状態

及び事象の結果に対して準備し,これをマネジメントすることは,事業継続の助けとなる。

課題とは,組織にとって重要なトピック,討議及び議論のための問題,又は環境マネジメントシステム

に関して設定した意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える,変化している周囲の状況である。

組織は,どの課題が重要かを理解するために,次の事項を考慮することができる。

−  主要な原動力及び傾向となるもの。例えば,環境状態又は利害関係者の関心事に関連するもの。


10

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  環境又は組織にとって問題をもたらす可能性があるもの。

−  環境パフォーマンスの改善につながる革新を含む,有益な影響のために活用できるもの。

−  コスト削減,顧客に対する価値,又は組織の評判及びイメージの改善を含む,競争上の優位性を与え

るもの。

環境マネジメントシステムを実施若しくは改善する,又は環境マネジメントシステムを既存の事業プロ

セスに統合する組織は,環境マネジメントシステムに影響を与え得る関連する課題に関する知識を得るた

めに,組織の状況をレビューすることが望ましい。このレビューは,ライフサイクルの視点によって,並

びに調達,財務,人的資源,エンジニアリング,設計,販売及びマーケティングを含む機能横断的な関与

によって,便益を得ることができる。レビューには,次に示す主要な領域が含まれ得る。

a)

環境状態を含む,関連する外部及び内部の課題の特定,並びに組織の活動,製品及びサービスに関連

する事象の特定

b)

これらの課題が,組織の目的,及び環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力

にどのように影響を与え得るかについての考慮

c)

計画(6.1.1 参照)において,a)及び b)にどのように取り組むことができるかについての理解

d)

環境パフォーマンスを改善するための機会の特定(10.3 参照)

ライフサイクルの視点とは,組織の製品及びサービスのライフサイクルの段階に対する組織の管理及び

影響を考慮することである。このアプローチによって,組織は,組織の適用範囲を考慮して,組織に対す

る価値を付加しながら,環境に対する影響を最小限に抑える領域を特定することが可能となる。

実践の手引 1∼3 に,外部の課題,事象を含む環境状態,及び内部の課題の決定のための考慮事項の例を

示す。

実践の手引 1−外部の課題 

組織は,次の事項を考慮することができる。

−  政治:  現行の政治制度の種類(例えば,民主政治,専制政治)

,事業開発への政治介入のレベル,及

び効果的な権力行使に関する政治家の意欲

−  経済:  燃料,ガス,水などの公共施設の利用可能性,並びに住宅,道路,鉄道,海上及び空港を含

む,インフラストラクチャ及び輸送の利用可能性

−  金融:  公認の金融制度,並びに資金の利用可能性及び資金へのアクセス

−  競争:  持続可能性,エコデザイン,エコラベルなど,必要な場合に競争上の地位を維持するために

採用することができる類似の目的及び概念をもつ,近隣地域の他の組織

−  サプライチェーンマネジメント:  供給者の利用可能性,規模及び能力,技術のレベル,並びに顧客

要求事項

−  社会:  民族固有の価値観,性別問題,贈収賄,労働力の利用可能性,教育及び医療施設へのアクセ

ス,労働者教育のレベル,並びに犯罪行為のレベル

−  文化:  土地固有の埋葬地又は聖地,歴史的建造物又は遺産,薬草又は薬用植物などの特定の資源の

利用可能性,工芸品材料,文化的背景の下で儀式のために使用する食物,宗教制度,及び美的価値

−  市場及び公的需要:  製品及びサービス(エネルギー効率及び資源効率の良いものを含む。

)に関する,

現在及び今後の市場動向

−  技術:  組織に関連する技術の利用可能性及びその技術へのアクセス


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  法律:  組織の活動が行われる範囲における法的枠組み

注記  法的枠組みには,法令上の要求事項,規制上の要求事項及びその他の形式の法的要求事項が

含まれる。

−  自然:  現在及び今後の気象条件及びその他の条件,物理的状態,生物多様性,希少種及び絶滅危惧

種,生態系,資源の利用可能性(量,質及びアクセスを含む。

,再生可能エネルギー及び枯渇性エネ

ルギー,並びに特定の環境分野又は産業の特徴

外部の課題に関する組織の知識に寄与する可能性のある外部の情報源には,次の事項が含まれ得る。

−  顧客,供給者及びパートナー

−  企業間の協議会

−  業界団体

−  商工会議所

−  政府機関

−  国際機関

−  コンサルタント

−  学術研究会

−  近隣地域のニュース媒体

−  近隣地域のコミュニティグループ

実践の手引 2−事象を含む環境状態 

組織の活動,製品及びサービスに影響を与える可能性のある環境状態には,例えば,組織による特定の

種類の農産物の栽培を妨げる可能性のある気温の変化が含まれ得る。

環境事象の例には,異常気象の結果として起こる洪水があり得る。これは,汚染の予防のための有害物

質の保管といった組織の活動に影響を与える可能性がある。

次に示す情報源の幾つかを考慮することで,組織が,事象を含む環境状態を特定する助けとなり得る。

a)

気象情報,地質情報,水理情報及び生態情報

b)

組織の立地に関する過去の災害情報

c)

前回までの監査報告書,及び入手可能な場合は初期環境レビュー,ライフサイクルアセスメントなど

のアセスメント又はレビューの報告書

d)

環境に関する監視データ

e)

環境に関する許可又は認可申請書

f)

環境上の結果を伴う緊急事態及び出来事の報告書

実践の手引 3−内部の課題 

組織は,次の事項を考慮することができる。

−  組織統治及び構造:  国による及び契約上の統治の枠組み(登録及び報告を含む。

,構造の種類(階

層構造,マトリックス構造,フラット構造及びプロジェクトベースの構造を含む。

,合弁事業及び請

負サービス,並びに親会社との関係,役割,責任及び権限

−  法令順守:  状況及び傾向


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  方針,目的及び戦略:  目的(purpose)

,ビジョン,事業,その他の目的及び戦略,並びにこれらを

達成するために必要な資源

−  規模及び能力:  資源及び力量の観点からの,組織の規模,能力及び知識(例えば,資本,時間,人

員,言語,プロセス,システム及び技術並びにこれらの維持)

−  情報システム:  情報の流れ及び意思決定のプロセス(公式及び非公式の両方を含む。

,並びにこれ

らを完了するまでにかかる時間

−  内部の利害関係者との関係,並びに内部の利害関係者の認識及び価値観

−  マネジメントシステム及び規格:  組織の既存のマネジメントシステムの強み及び弱点,並びに会計

及び財務,品質,安全衛生などに関して組織が採用した指針及びモデル

−  組織のスタイル及び文化:  同族企業,公的又は私的な会社,マネジメント及びリーダーシップのス

タイル,開放的な又は閉鎖的な文化,並びに意思決定プロセス

−  契約:  契約関係の形態,内容及び範囲

関連する内部要因を検討するために用いることのできる方法には,組織の管理下で過去に働いていた又

は現在働いている人々との面談,並びに内部及び外部コミュニケーションのレビューを含む,上記で考慮

された現在のマネジメントシステムに関連する情報の収集が含まれる。

組織の状況の理解を構築するためのプロセスは,環境マネジメントシステムを計画し,実施し,運用す

るための取組みを導くために組織が用いることのできる知識をもたらすものであることが望ましい。この

プロセスは,

組織に付加価値を与え,

最も重要な課題について一般的かつ概念的な理解をもたらすような,

実践的な方法で取り組むことが望ましい。プロセス及びその結果を必要に応じて文書化し,定期的に更新

しておくことが有用なこともある。

この結果は,次の事項を行うに当たって,組織を支援するために用いることができる。

−  環境マネジメントシステムの適用範囲を設定する。

−  取り組む必要がある組織のリスク及び機会を決定する。

−  環境方針を策定し又は向上させる。

−  環境目標を確立する。

−  組織の順守義務を満たすための取組みの有効性を判定する。

4.2 

利害関係者のニーズ及び期待の理解 

4.2.1 

一般 

利害関係者は,組織の活動が行われる状況の一部でもあり,組織の状況をレビューするときに考慮する

ことが望ましい。利害関係者を決定し,利害関係者との関係が進展することによって,相互の理解,信頼

及び尊重を築き上げ得るコミュニケーションが可能となる。この関係は,必ずしも正式なものである必要

はない。

組織は,組織の環境マネジメントシステムに関連する,利害関係者並びにそれらの利害関係者のニーズ

及び期待を決定することが望ましい。関連する利害関係者の関連するニーズ及び期待を特定するプロセス

は,それらのニーズ及び期待のうち組織が順守しなければならないもの及び順守することを選ぶもの(す

なわち,組織の順守義務)を決定するために,組織にとって有益であり得る。用いる方法及び利用する資

源は,組織の規模及び性質,利用可能な資金,取り組む必要があるリスク及び機会,組織の環境マネジメ

ントの経験などによって異なり得る。


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

組織は,関連すると決定した内部及び外部の利害関係者から表明されたニーズ及び期待についての一般

的な(すなわち,詳細ではなく,高いレベルで)理解を得ることが期待されている。組織は,こうして得

た知識を,順守義務を決定するときに考慮することができる。

4.2.2 

関連する利害関係者の決定 

利害関係者は,組織の内部又は外部に存在する可能性がある。組織は,どの利害関係者が組織の環境マ

ネジメントシステムに関連するかを決定することが望ましい。利害関係者は,時間の経過とともに変化し

得るものであり,また,分野,業界又は組織の活動が行われる地理的な場所によっても異なり得る。組織

の状況の一部である内部及び外部の課題の変化によって,利害関係者が変化することもある。

4.2.3 

関連する利害関係者の関連するニーズ及び期待の決定 

組織は,環境マネジメントシステムの設計へのインプットとして,関連する利害関係者の関連するニー

ズ及び期待を決定することが望ましい。利害関係者並びにそのニーズ及び期待の例を,実践の手引 4 に示

す。義務として要求されているもの及び明示されているものだけでなく,通常暗黙のうちに了解されてい

るもの(すなわち,通常のこととして期待されているもの)についても特定することが重要である。組織

の状況において役割をもつものとして特定された関連する利害関係者は,組織の環境マネジメントシステ

ムに関連のないニーズをもっていることがあるため,必ずしも利害関係者のニーズの全てを考慮する必要

はない。

実践の手引 4−利害関係者並びにそのニーズ及び期待の例 

関係 

利害関係者の例 

ニーズ及び期待の例 

責任

投資家

組織が,投資に影響を与える可能性のあるリスク及び機会をマネ

ジメントすることへの期待

影響

非政府組織(NGO)

非政府組織の環境上の到達点を達成するための,組織による協力

のニーズ

近接

近隣の人々,コミュニティ

社会的に受け入れられるパフォーマンス,正直さ及び高潔さへの
期待

従属

従業員

安全かつ衛生的な環境の中で働くことへの期待

代表

業界会員組織

環境問題に関する協力のニーズ

当局

規制当局又は法定機関

法令順守の実証への期待

4.2.4 

順守義務の決定 

組織は,どの関連する利害関係者のニーズ及び期待を順守しなければならないか,並びにそれ以外のニ

ーズ及び期待のうちどれを採用するか,すなわち組織の順守義務とするかを決定することが望ましい。こ

の広範なレベルの知識は,6.1.3 で更に詳細に記載されている順守義務の理解に寄与し得る。

ニーズ及び期待を決定するためのアプローチは一つだけではない。組織は,その適用範囲,性質及び規

模にふさわしく,かつ,詳細さ,複雑さ,時間,コスト,及び信頼できるデータの利用可能性に関して適

切なアプローチを用いることが望ましい。

組織は,他のプロセスを通じて,又は他の目的のために,関連する利害関係者のニーズ及び期待を決定

することもある。

規制当局が要求事項を設定する場合,組織は,大気の質の基準,排出の制限,廃棄物処理規則,施設の

運用に関する認可の要求事項など,適用される広範な分野の法令についての知識を得ることが望ましい。

自発的なコミットメントの場合,組織は,顧客要求事項,自発的な規範,コミュニティグループ又は公

的機関との合意など,関連するニーズ及び期待についての広範な知識を得ることが望ましい。この知識に


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

よって,組織は,環境マネジメントシステムの意図した成果の達成に対するこれらの影響を理解すること

が可能となる。

4.2.5 

利害関係者のニーズ及び期待の利用及び適用 

4.2.1

4.2.4 のアウトプットは,組織の環境マネジメントシステムの適用範囲を定め,環境方針を確立し,

環境側面,順守義務並びに組織が取り組む必要があるリスク及び機会を決定することに役立ち得る。これ

らは,環境パフォーマンス目標を確立するときの考慮事項である。この規格の他の要素を満たすために用

いることを容易にするために,この情報を文書化しておくことが,組織にとって有用となることもある。

4.3 

環境マネジメントシステムの適用範囲の決定 

組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定するこ

とが望ましい。適用範囲は,各組織に固有のものである。4.1 及び 4.2 で決定した内部及び外部の課題の理

解に起因するインプットを特定することは,各組織の責任である。適用範囲の決定には,一つ又は複数の

場所の物理的な境界も含まれ,かつ,ライフサイクルの視点を考慮した,組織が管理する及び影響を及ぼ

す組織上の範囲が含まれる。適用範囲の意図は,環境マネジメントシステムが適用される物理的な境界並

びに機能上及び組織上の境界を明確にすることである。

組織のトップマネジメントは,環境マネジメントシステムの適用範囲を定めることについて自由度及び

柔軟性を保持している。適用範囲には,組織全体又は組織の特定の事業単位を含めてもよい。組織は,活

動,

製品及びサービスに対して管理できる又は影響を及ぼすことができる程度を理解することが望ましい。

著しい環境側面をもつ若しくはもつ可能性のある活動,

製品,

サービス若しくは施設を除外するような形,

順守義務を逃れるような形,又は利害関係者に誤解を与えるような形で適用範囲を定めていないことを確

実にすることは,環境マネジメントシステムの成功及び組織の評判の信ぴょう(憑)性にとって不可欠で

ある。不適切に狭い又は不適切な除外を含む適用範囲は,利害関係者との間での環境マネジメントシステ

ムに対する信ぴょう(憑)性を損ない,環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力

を低下させ得る。適用範囲は,事実に基づくもので,環境マネジメントシステムの境界内に含まれる組織

の運用又は事業プロセスを表した記述である。

適用範囲がより大きな組織の一部に限定されている場合,トップマネジメントとは,通常,組織のその

一部のトップマネジメントのことをいう。しかし,組織の最高位にあるトップマネジメントは,環境マネ

ジメントシステムを指揮し,支援する責任を保持することができる。組織が,管理する若しくは影響を及

ぼす範囲を変更するか,運用を拡大するか,より多くの所有物を取得するか,又は事業部門若しくは所有

物を売却する場合には,環境マネジメントシステムに影響を与える可能性のある他の変更とともに,適用

範囲を見直すことが望ましい。

組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲を決定するとき,外部から提供される活動,製品及びサ

ービスを考慮することが望ましい。組織は,著しい環境影響を与える又は与える可能性のある,外部から

提供される活動,製品及びサービスについて,組織のリーダーシップを通じてこれらを管理することもあ

れば,契約上の合意又はその他の合意によってこれらに対して影響を及ぼすこともある。

組織は,適用範囲を文書化した情報として維持し,利害関係者がそれを入手できるようにすることが望

ましい。そうするための方法は,例えば,説明書の使用,構内図,組織図又はウェブページへの追記,適

合の公式声明の掲載など,幾つかある。適用範囲を文書化するとき,組織は,関連する活動,その結果と

しての製品及びサービス,並びにそれらの適用及び/又は発生場所を特定するアプローチを用いることを

考慮することができる。

適用範囲を文書化するためのこのアプローチの使用の例として,

次の事項がある。

−  サイト A における燃焼機関及び予備部品の製造(地理的な境界)


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  個人及び組織を対象としたオンラインの教育訓練のマーケティング,設計及び実施(機能上の境界)

4.4 

環境マネジメントシステム 

4.4.1 

一般 

環境マネジメントシステムは,変化する外部及び内部の課題への組織の対応に対する有効な方向性を示

すために,継続的に監視し,定期的にレビューすることが望ましい体系だった枠組みとして見ることが望

ましい。

環境マネジメントシステムモデル及び継続的改善プロセスを,

図 に示す。共通的に用いられるマネジ

メントシステムのモデルは,Plan-Do-Check-Act(PDCA)アプローチと呼ばれる。PDCA モデルの詳細を,

実践の手引 5 に示す。

実践の手引 5−環境マネジメントシステムモデル 

PDCA

は,組織がその環境方針を確立し,実施し,維持し,環境パフォーマンスを向上させるために環

境マネジメントシステムを継続的に改善することができるようにする継続的かつ反復的なプロセスであ

る。この継続的プロセスのステップは,次のようになる。

a) Plan:

1)

利害関係者のニーズ及び期待を含む,組織及びその状況を理解する(箇条 参照)

2)

環境マネジメントシステムの適用範囲を決定し(4.3 参照)

,環境マネジメントシステムを実施する

4.4 参照)

3)

トップマネジメントのリーダーシップ及びコミットメントを確実にする(5.1 参照)

4)

環境方針を確立する(5.2 参照)

5)

関連する役割に対して,責任及び権限を割り当てる(5.3 参照)

6)

環境側面及びそれに伴う環境影響を決定する(6.1.2 参照)

7)

順守義務を特定し,参照する(6.1.3 参照)

8)

上記の 1)6)及び 7)に関連し,取り組む必要があるリスク及び機会を決定する(6.1.1 参照)

9)

上記の 8)で決定した,リスク及び機会への取組みを計画し,その取組みの有効性を評価する(6.1.4

参照)

10)

環境目標を確立し(6.2.2 参照)

,それを達成するための指標及びプロセスを定める(6.2.3 及び 6.2.4

参照)

b) Do:

1)

環境マネジメントシステムの実施及び維持のために必要な資源を決定する(7.1 参照)

2)

人(又は人々)に必要な力量を決定し,決定どおりにそれらの人々が力量を備えていること(7.2

参照)及び認識をもつこと(7.3 参照)を確実にする。

3)

内部及び外部のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持する(7.4 参照)

4)

文書化した情報を作成し,更新し(7.5.2 参照)

,かつ,管理する(7.5.3 参照)ための適切な方法を

確実にする。

5)

環境マネジメントシステム要求事項を満たすために必要な運用管理プロセスを確立し,実施し,管

理する(8.1 参照)

6)

潜在的な緊急事態及び必要な対応を決定する(6.1.1 及び 8.2 参照)

c) Check:

1)

環境パフォーマンスを監視し,測定し,分析し,評価する(9.1.1 及び 9.1.2 参照)


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

2)

順守義務を満たすことを評価する(9.1.2 参照)

3)

定期的に内部監査を実施する(9.2 参照)

4)

組織の環境マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効であることを確実にするため

に,組織の環境マネジメントシステムをレビューする(9.3 参照)

d) Act:

1)

不適合に対処するための処置をとる(10.2 参照)

2)

環境パフォーマンスを向上させるために,環境マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性

を継続的に改善するための処置をとる(10.3 参照)

4.4.2 

環境マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善 

意図した成果を達成するため,組織は,環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,

継続的に改善することが望ましい。便益には,環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持すると

きに,4.1 及び 4.2 で得た知識に由来する環境パフォーマンスの向上が含まれる。

完全な環境マネジメントシステムを一度に構築することが困難な組織もあり得る。そうした組織にとっ

て,段階的アプローチは,数々の利点をもたらす可能性がある。段階的な実施をどのように行うことがで

きるかについて,

附属書 に示す。

組織は,

環境マネジメントシステム要求事項を満たす方法を決定する権限及び説明責任を保持している。

リーダーシップ 

5.1 

リーダーシップ及びコミットメント 

トップマネジメントは,組織の状況,利害関係者のニーズ及び期待並びに事業目的を考慮して,組織の

ミッション,ビジョン及び価値を設定する。これらは,組織の戦略計画に反映される。有効な環境マネジ

メントシステムの実施を成功させるためには,意図した成果を達成する能力を含め,トップマネジメント

のコミットメント,説明責任及びリーダーシップが不可欠である。したがって,トップマネジメントは,

組織の環境マネジメントシステムの有効性に説明責任を負い,環境マネジメントシステムの意図した成果

が達成されることを確実にすることが望ましい。トップマネジメントのコミットメントとは,方向性とと

もに物的資源及び資金を提供することを意味する。これには,環境マネジメントシステムの支援及び有効

な環境マネジメントの重要性の伝達に積極的に関与することが含まれる。

トップマネジメントのコミットメントは,環境マネジメントシステムが次の事項を満たすことを確実に

することが望ましい。

−  事業の中核となる戦略から分離して又は個別にマネジメントされない。

−  戦略的な事業上の決定を行うときに考慮される。

−  事業目的と整合している。

−  適切な時期に,効果的に提供される,適切なレベルの資源によって便益を得る(7.1 参照)

−  事業全体から適切な関与を得る。

−  組織に真の価値をもたらす。

−  継続的に改善し,長期的に成功を持続させる。

環境方針及び環境目標は,組織の戦略計画の環境関連の構成要素を満たすことを狙いとしており,組織

の環境マネジメントシステムの基礎となる。

トップマネジメントは,

戦略の計画又はレビューを行うとき,


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

ライフサイクルの最初の段階で,

活動,

製品又はサービスの環境パフォーマンスを考慮することによって,

より大きな価値を実現する可能性をもつ。

例えば,

建物又は製品の環境パフォーマンスを改善する機会は,

設計段階において環境に関する基準を考慮する場合の方が,それらの建設又は製造段階まで環境に関する

基準の考慮を先延ばしにする場合よりも,増加する。

環境マネジメントシステムは,組織の戦略的な方向性の本質に沿ったもので,他の事業プロセスに統合

されている場合には,より有効で,永続的なものとなる(実践の手引 6 参照)

実践の手引 6−事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合 

事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合のためには,トップマネジメントのリーダーシップ

及びコミットメントが不可欠である。環境マネジメントシステム要求事項を種々の事業上の機能に統合す

るに当たっての詳細さのレベル及び程度の決定は,組織に委ねられる。統合は,継続的なプロセスであり,

継続的改善に沿って,時間の経過とともにその便益が増加し得る。

組織の事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合によって,次の事項を行う組織の能力が向上

する可能性がある。

−  プロセス及び資源の共有を通じて,より有効かつ効率的に運用を行う。

−  組織が運用において依存しているプロセスにより密接に関わることによって,価値を高める。

組織は,次に示す事項を含む,事業プロセスに環境マネジメントの活動を統合する機会を考慮すること

ができる。

−  革新及び競争力との関連などで,組織のビジョン又は戦略に,環境マネジメントシステムの意図した

成果又は環境目標を(明示的に又は暗黙のうちに)組み込む。

−  組織の統治に,環境方針のコミットメントを組み込む。

−  職務記述書の中に,環境マネジメントシステムの責任を組み込む。

−  部門又は従業員の評価が含まれる可能性のある組織の事業パフォーマンスシステムに,環境パフォー

マンス指標(例えば,KPI)を組み込む。

−  財務報告書,サステナビリティレポートなどの対外的な報告書に,環境パフォーマンスを組み込む。

−  標準的な事業リスクマネジメントプロセスに,著しい環境側面,並びに環境マネジメントシステムに

影響を与えるその他のリスク及び機会の決定のプロセスを組み込む。

−  事業プロセス計画,製品又はサービスの設計,及び調達プロセスに,環境に関する基準を組み込む。

−  業務伝達,エンゲージメントの手段及びプロセス(例えば,広報)に,環境コミュニケーションを組

み込む。

トップマネジメントは,必要に応じて,直接の関与又は権限の委譲を通じて,有効な環境マネジメント

及び環境マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達することが望ましい。コミュニケーショ

ンは,公式なこともあれば,非公式なこともあり,かつ,目に見えるもの及び口頭によるものを含め,様々

な形態をとる可能性がある。

トップマネジメントは,組織内で関連する管理層の役割をもつその他の人々が,環境マネジメントシス

テムに関する自身の責任の領域に対してリーダーシップを適用できるよう,それらの人々を支援すること

が望ましい。これによって,トップマネジメントのリーダーシップ及びコミットメントの価値を,組織の

中に広めていくことが可能となる。リーダーシップ及びコミットメントを実証することによって,トップ


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

マネジメントは,組織の従業員及び組織の管理下で働く他の人々に対し,組織の環境マネジメントシステ

ムの意図した成果を達成するように,指揮し,支援することが可能となる。

注記  管理層には,経営層及び管理者が含まれる。

トップマネジメントが,全ての階層で人々が環境マネジメントシステムに積極的に参加することを奨励

するような文化を創るとき,その組織は,環境目標を達成し,改善の機会を特定できる状態になっている。

5.2 

環境方針 

環境方針は,環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で,環境に関する組織の戦略的な方

向性を定める。環境方針は,環境目標を確立するための枠組みを示すことが望ましく,かつ,組織に要求

される環境責任及びパフォーマンスのレベルを定めるものであり,これに照らしてその後の行動を判断す

ることができる。環境方針は,組織の行動の原則を確立する。

環境方針は,組織に固有なもので,組織の目的に対して,並びに組織の活動,製品及びサービスから生

じる組織の環境影響の性質及び規模を含む組織の活動が行われる状況に対して適切なものであることが望

ましい。環境方針は,順守義務を満たすことのコミットメント,並びに環境保護,汚染の予防及び継続的

改善に関連するコミットメントを含むことが望ましい。実践の手引 7 及び実践の手引 8 に,環境方針のコ

ミットメントに関連する追加情報を示す。

環境方針を策定するとき,組織は,次の事項を考慮することが望ましい。

a)

ビジョン,ミッション,中核的な価値及び信条

b)

指導原則

c)

利害関係者のニーズ及び期待,並びに利害関係者とのコミュニケーション

d)

特定の近隣地域又は地方の条件を含む,環境マネジメントシステムに関連する内部及び外部の課題

e)

組織のその他の方針(例えば,品質,労働安全衛生)との調整

f)

事象を含む外部の環境状態から生じる,組織の活動に対する顕在する及び潜在的な影響

環境方針を確立する責任は,組織のトップマネジメントにある。環境方針は,文書化した情報として維

持し,品質,労働安全衛生及び社会的責任に関連するものなど組織のその他の方針文書と整合しているこ

とが望ましく,また,それらの方針文書に含まれるか,又は関係付けられることがある。トップマネジメ

ントは,環境方針を実施し,環境方針の策定及び修正へのインプットを提供する責任がある。環境方針は,

組織の管理下で働く全ての人に伝達することが望ましく,また,利害関係者に対して入手可能にすること

が望ましい。組織は,環境方針を,ウェブサイトに掲載するといったように,制約のない形で入手可能に

することを決定することもあれば,利害関係者の身元,ニーズ及び期待に関する情報を得た上で必要に応

じて,又は要請に応じて,入手可能にすることもある。

実践の手引 7−環境保護及び汚染の予防 

組織は,資源の利用可能性,大気の質,水質,気候変動に伴う組織への影響など,組織の活動が行われ

る環境について,ますます認識するようになってきている。その結果,汚染の予防を含む環境保護へのコ

ミットメントによって,組織は,自らの事業及び社会の持続可能性に寄与している。

環境保護 

組織の環境保護に対するコミットメントは,組織の活動,製品,サービス及び立地と関連している。こ

のコミットメントは,組織内で,又はサプライチェーンマネジメント,製品の使用若しくは処分を通じて

実現することができる。組織によっては,自らの活動の性質,規模及び環境影響の理由によって,必要に

応じて,環境保護に対する固有なコミットメントを表明することが望ましい。例えば,組織の活動が森林


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

伐採に関係する場合には,生物多様性又は生態系サービスの保護に対するコミットメントを考慮すること

が望ましい。

環境保護の実際的な方法には,次の事項が含まれ得る。

−  例えば生産に関連した天然資源の使用量の削減,又は再利用若しくはリサイクルへの取組みを通じて

行われる,水,化石燃料などの天然資源の使用効率の改善

−  現場での保全を通じて直接に,又は検証済みの持続可能な供給源から材料を購入するといった調達の

決定を通じて間接的に行われる,生物多様性,生息地及び生態系の保護

−  気候変動への正味の負担を低減するために,温室効果ガスの排出の回避若しくは排出量の削減,又は

カーボンニュートラルの方針の採用を通じて行われる,気候変動の緩和

−  回避,代替又は低減を通じて行われる,大気の質及び水質の改善

汚染の予防 

汚染の予防は,設計・開発,製造,流通,使用及び使用後を含む,製品又はサービスのライフサイクル

全体にわたって組み込むことができる。このような戦略は,資源を保全し,廃棄物及び排出物を低減する

ことだけでなく,コスト削減並びにより競争力の高い製品及びサービスを生み出すことにも役立ち得る。

製品の設計・開発への環境側面の導入に関する手引は,ISO/TR 14062 及び JIS Q 14006 に示されている。

発生源の低減は,廃棄物及び排出物の生成を回避すると同時に,資源も節約するため,最も有効な方法

となることが多い。しかし,状況によっては,発生源の低減による汚染の予防が現実的でないこともある。

組織は,次に示すように,発生源での汚染の予防を最優先にして,汚染の予防の取組みを段階的に行うこ

とを考慮することができる。

a)

発生源の低減又は排除(環境配慮設計・開発,材料の代替使用,プロセス,製品又は技術の変更,並

びにエネルギー及び物質資源の節約を含む。

b)

プロセス又は施設内での材料の再利用又はリサイクル

c)

材料の敷地外での再利用又はリサイクル

d)

回収及び処理(敷地内外での廃棄物の流れからの回収,並びに環境影響を低減するための,敷地内外

での排出物の処理及び廃棄物の排出の処理。

e)

許可されている場合には,焼却,管理されている処分などの,管理方式。ただし,組織は,これ以外

の選択肢を十分に考慮してから,このような方法を用いることが望ましい。

実践の手引 8−環境方針及び持続可能性 

数多くの国際組織,政府,専門家団体及び市民グループが,環境の持続可能性を支援することを意図し

た指導原則を作成している。そのような指導原則は,組織が,持続可能性の三つの柱の一つである環境へ

のコミットメントの全体的な適用範囲を定める助けとなり,また,共通した一連の価値を与えるのに役立

つ。指導原則は,組織が環境方針を策定する際に参考となるが,その指導原則は,環境方針を策定する組

織に固有のものであることが望ましい。

環境方針には,次に示すような他のコミットメントを含めることができる。

a)

持続可能な開発及びそれに関連する指導原則(例えば,国連アジェンダ 21,国連グローバル・コンパ

クト,赤道原則)

b)

環境マネジメントのプロセス及び計画の統合的な利用を通じた,新規の開発による著しい有害な環境

影響の最小化

c)

環境側面及び持続可能な開発の原則を考慮に入れた,製品の設計


20

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

5.3 

組織の役割,責任及び権限 

環境マネジメントシステムの確立,

実施及び維持並びに環境パフォーマンスの改善が成功するか否かは,

トップマネジメントが責任及び権限をどのように定め,それを組織内でどのように割り当てるかに依存す

る(実践の手引 9 参照)

トップマネジメントは,次の目的で,十分な権限,認識,力量及び資源をもつ責任者又は機能を割り当

てることが望ましい。

a)

適用される組織の全ての階層で,環境マネジメントシステムの確立,実施及び維持を確実にする。

b)

環境パフォーマンス及びその改善の機会を含め,環境マネジメントシステムについて,トップマネジ

メントに報告する。

これらの責任及び権限は,他の機能又は責任と組み合わせることができる。

トップマネジメントは,環境マネジメントシステムの有効な実施を確実にするために,必要に応じて,

環境マネジメントシステムに影響を与える業務を行う,組織の管理下で働く人々の責任及び権限が定めら

れ,組織内に伝達されることを確実にすることが望ましい。環境マネジメントシステムの責任は,環境に

関する機能に限定されるとみないほうがよく,設計,調達,エンジニアリング,品質などの組織内の他の

機能を含み得る。トップマネジメントが提供する資源は,それによって,割り当てられた責任を果たすこ

とができるようにすることが望ましい。組織の構造に変更があったときは,責任及び権限のレビューを行

うことが望ましい。

実践の手引 9 に,環境マネジメントシステムの役割及び責任の例を示す。

実践の手引 9−役割及び責任の例 

環境マネジメントシステムの責任 

その責任をもつ典型的な人(複数も可) 

全体的な方向性(意図した成果)を確立する。

社長,最高経営責任者(CEO)

,役員会

環境方針を策定する。

社長,最高経営責任者,適宜その他の者

環境目標及びプロセスを策定する。

該当する管理者,適宜その他の者

設計プロセスにおいて環境側面を考慮する。

製品及びサービスの設計者,建築士,技術者

全体的な環境マネジメントシステムパフォーマンスを監視する。 環境管理者

順守義務を満たすことを確実にする。

全ての管理者

継続的改善を促進する。

全ての管理者

顧客の期待を特定する。

販売及びマーケティングスタッフ

供給者に関する要求事項及び調達基準を特定する。

調達担当者,購買担当者

会計プロセスを策定し維持する。

財務管理者,会計管理者

環境マネジメントシステム要求事項に適合する。

組織の管理下で働く全ての人

環境マネジメントシステムの運用をレビューする。

トップマネジメント

注記  会社及び協会では,組織の構造が異なるため,それぞれの業務プロセスに従って環境マネジメントの責任を

定める必要がある。例えば,中小企業の場合,オーナーがこれらの活動の全てに責任を負うことがある。

計画 

6.1 

リスク及び機会への取組み 

6.1.1 

一般 

計画は,環境マネジメントシステムがその意図した成果を達成することを確実にするために必要な取組

みを決定し,実施するために不可欠である。計画は,継続的なプロセスであり,また,変化している周囲

の状況,並びに環境マネジメントシステムそのもののインプット及びアウトプットに基づいて行う,環境

マネジメントシステムの要素の確立及び実施,

並びに維持及び改善に用いる。

計画プロセスがあることで,


21

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

組織が環境保護にとって最も重要な領域を特定し,そこに資源を集中させるための助けとなり得る。計画

プロセスはまた,組織が順守義務及びその他の環境方針のコミットメントを満たすこと,並びに環境目標

を確立し,達成することの助けとなり得る。

組織は,取り組む必要があるリスク及び機会を決定するためのプロセスをもつことが望ましい。このプ

ロセスは,環境マネジメントシステムの意図した成果に影響を与える可能性のある課題を含む,組織の活

動が行われる状況の理解(4.1 参照)

,並びに組織が順守義務として採用するものを含む,関連する利害関

係者の関連するニーズ及び期待の理解(4.2 参照)を適用することから始まる。環境マネジメントシステム

の適用範囲と併せて,これらは,取り組む必要があるリスク及び機会を決定するときに考慮することが望

ましいインプットとなる。計画プロセスで作成される情報は,管理しなければならない運用を決定するた

めの重要なインプットとなる。この情報はまた,教育訓練,力量,監視及び測定のニーズの特定などの,

環境マネジメントシステムの他の部分の確立及び改善にも用いることができる。

環境マネジメントシステムは,リスク及び機会に取り組むことによって,組織,その利害関係者及び環

境に価値をもたらす。しっかりとした,信ぴょう(憑)性及び信頼性のある環境マネジメントシステムは,

組織の長期的な存続を支えることができる。取り組む必要があるリスク及び機会をマネジメントすること

なくしては,組織が,意図した成果を達成することも,事象を含む環境状態に対応することも難しい場合

がある。組織は,取り組む必要があるリスク及び機会を決定するためのプロセスをもつことが望ましい。

取り組む必要があるリスク及び機会の例を,実践の手引 10 に示す。順守義務,利害関係者の見解,並びに

事象を含む環境状態などの取り組む必要があるリスク及び機会のその他の発生源について,考慮に入れる

ことが望ましい。

実践の手引 10−取り組む必要がある,組織に影響を与えるリスク及び機会の例 

リスク及び機会は,組織,及び環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響

を与える可能性がある。組織に対する有害な影響は,例えば,次の事項によってもたらされる可能性があ

る。

a)

環境側面。例えば,土壌又は地下水をほとんど汚染しない極少量の漏えいで,環境の観点から著しい

とみられないものでも,環境意識の高い企業としての組織のイメージを害することがある。

b)

著しい環境側面。例えば,汚染の事態によって,著しい環境側面をマネジメントする組織の能力に疑

念が生じ,それによって信ぴょう(憑)性が弱まるような場合。

c)

順守義務を満たさないこと。これは,罰金,是正処置のためのコスト,及び活動する上での社会的な

認可の潜在的な喪失をもたらす可能性がある。

d)

環境に影響を与える事象を含む,環境状態。例えば,気候変動によって水の利用可能性が減少し,そ

れが組織の排水処理プラントの運用に影響を与える可能性があるような場合。

e)

組織の規模の急速な拡張を,それに釣り合う熟練した従業員を増加させずに行うよう求める,顧客の

ニーズ。これは,環境上の害をもたらす間違いを起こす可能性につながり得る。

f)

広範な反対意見を結集し得る,組織の環境パフォーマンスに関する利害関係者の見解。

g)

リスク及び機会がもたらし得る意図しない結果を考慮せずに行う,それらのリスク及び機会への取組

み。例えば,組織のレクリエーション地域に水を引くために廃水を使用する機会は,それらの地域を

使用する人々の健康の問題を引き起こす可能性がある。

注記  潜在的な緊急事態に関する手引を,8.2 に示す。


22

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

組織にとって潜在的で有益な影響には,次が含まれ得る。

a)

汚染物排出を低減できる制御装置などの,新規の技術の特定。

b)

リサイクル水などの,資源保全の最適化。

c)

提案されている廃棄物処理方法への反対意見を和らげるための,利害関係者との協働。

環境マネジメントシステムがその意図した成果を達成できるという確信を与え,望ましくない影響を防

止又は低減し,継続的改善を達成するために,取り組む必要があるリスク及び機会の発生源として可能性

があるものには,次の三つがある。

a)

環境側面(6.1.2 参照)

b)

順守義務(6.1.3 参照)

c)

4.1

及び 4.2 で特定したその他の課題及び要求事項

組織は,取り組む必要があるリスク及び機会を決定するとき,そのアプローチを選ぶ自由度をもつ。例

えば,組織は,次の事項のいずれかを行うことができる。

−  環境側面,順守義務並びにその他の課題及び要求事項を決定し,続いて,それらの各々について,取

り組む必要がある,関連するリスク及び機会を決定する。

−  取り組む必要があるリスク及び機会の決定を,著しい環境側面の決定に組み込み,また,取り組む必

要があるリスク及び機会のその他の発生源についても同様のアプローチを用いる。

−  取り組む必要があるリスク及び機会の複数の発生源を併せて考慮する,代替アプローチに従う。

組織は,取り組む必要があるリスク及び機会の決定に当たって,既存の事業プロセスを用いることがで

きる。選択したアプローチには,組織の活動が行われる状況に応じて,単純な定性的プロセス又は完全な

定量的評価(例えば,決定マトリックスにおける基準の適用)を含めてもよい。アプローチの例を,実践

の手引 11 に示す。

取り組む必要があるリスク及び機会の結果は,取組みの計画策定(6.1.4 参照)

,環境目標の確立(6.2 

照)

,並びに有害な環境影響及び他の望ましくない影響を防止するための関連する運用の管理(8.1 参照)

へのインプットとなる。

附属書 は,活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,並び

にそれらに対応するための取組みの例を提供する。

また,

この結果は,

環境マネジメントシステムに関連する力量のニーズ及びコミュニケーションの決定,

監視及び測定のニーズの決定,内部監査プログラムの確立,緊急事態への準備及び対応のプロセスの策定

などの,環境マネジメントシステムの他の領域に影響を与える可能性がある。

緊急事態は,顕在した又は潜在的な結果を緩和するために即時の対応を必要とする,計画していない又

は予期しない事象である。緊急事態は,例えば,火災,爆発,有害物質の漏えい又は排出によるもの,鉄

砲水,暴風雨,台風,津波などの自然事象によるものなどのように,組織に有害な影響をもたらす場合が

ある。緊急事態は,また,消火活動中の敷地外への汚染消火用水の排出,火災後に有害になり得る火災に

よる損傷材料の処理の必要性といったように,

環境又は組織への二次影響をもたらす場合がある。

組織は,

環境マネジメントシステムの適用範囲内で,環境上の結果をもち得るものを含む,潜在的な緊急事態を決

定することが望ましい。


23

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

実践の手引 11−取り組む必要があるリスク及び機会の決定のアプローチの例 

インプットの例 

プロセスの例 

アウトプットの例 

環境側面(6.1.2 参照)

−  環境側面及び環境影響 
−  著しい環境側面を決定するための基準

基準を用いた,著しさの評
価(6.1.2.5 参照)

−  著しい環境側面 
−  著しい環境側面に関連する,

取り組む必要があるリスク

及び機会(この表の

注記を参

照。

順守義務(6.1.3 参照)

−  順守義務となる,関連する利害関係者の関連

するニーズ及び期待の決定(4.2 参照)

−  苦情,表彰及び認識を含む,利害関係者との

コミュニケーション

−  順守義務の内部監査及び外部監査

−  新たな規制の傾向のレビュー

取り組む必要があるリスク
及び機会があるか否かを決

定するための,結果の評価

順守義務に関連する,取り組む
必要があるリスク及び機会

内部及び外部の課題(4.1 参照)

−  内部及び外部の課題(実践の手引 1 及び実践

の手引 3 を参照。

)を含む,状況のレビューの

結果

−  マネジメントレビューの結果

−  トップマネジメント及びその他の機能横断的

な管理層のインプット

取り組む必要がある,組織

に対するリスク及び機会が

あるか否かを決定するため
の,結果の評価

4.1

のその他の課題に関連する,

取り組む必要があるリスク及び

機会

組織に影響を与える環境状態(実践の手引 2 参照)

環境状態に関連する,取り組む
必要があるリスク及び機会

決定した環境側面(著しい環境側面以外)

環境側面に関連する,取り組む
必要があるリスク及び機会

法的要求事項及び組織が採用することを選択した要求事項以外の,その他の要求事項(4.2 参照)

−  マネジメントレビューの結果 
−  新しい又は変化した状況

−  新しい情報

−  利害関係者とのコミュニケーション

取り組む必要がある,組織
に対するリスク及び機会が

あるか否かを決定するため

の,結果の評価

その他の要求事項に関連する,
取り組む必要があるリスク及び

機会

注記  著しい環境側面又は 4.1 及び 4.2 で特定したその他の課題及び要求事項から生じる,組織が取り組む必要があ

るリスク及び機会が存在しない可能性もある。

6.1.2 

環境側面 

6.1.2.1 

概要 

有効な環境マネジメントシステムを確立するために,組織は,環境に影響を与える可能性のある組織の

活動,製品及びサービスの要素を含め,組織が環境とどのように相互に作用し得るかについての理解を構

築することが望ましい(6.1.2.2 参照)

。環境と相互に作用し得る組織の活動,製品及びサービスの要素を,

環境側面と呼ぶ。放出,排出,材料の使用若しくは再利用,又は騒音の発生は,環境側面の例である。環

境マネジメントシステムを実施する組織は,ライフサイクルの視点を考慮して,組織が管理できる環境側

面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面を決定することが望ましい(6.1.2.3 参照)

。実践の手引

12

に,この概念に関する追加情報を示す。

有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に環境側面から生じる環境に対する変化は,環境影響と呼

ばれる。大気汚染及び天然資源の枯渇は,有害な影響の例である。水質又は土壌の質の改善は,有益な影

響の例である。環境側面とそれに伴う環境影響との関係は,一種の因果関係である。組織は,環境に著し

い影響を与える又は与える可能性のある側面,すなわち,環境を保護するために取り組む必要があるとみ


24

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

なし得る著しい環境側面を理解することが望ましい(6.1.2.4 参照)

著しい環境側面及びそれに伴う環境影響を決定することは,どこで管理又は改善が必要になるかを決定

し,かつ,まず第一に環境要因に基づいてマネジメント上の行動の優先順位を設定するために必要である

6.1.2.5 参照)

。組織の環境方針,環境目標,教育訓練,コミュニケーション,運用管理及び監視のプロ

セスは,まず第一にその著しい環境側面についての知識に基づいて策定することが望ましい。著しい環境

側面の決定は,継続的なプロセスであり,環境との関係について組織の理解を深め,環境マネジメントシ

ステムの向上を通じた組織の環境パフォーマンスの継続的改善に役立つ。

環境側面及び環境影響を決定し,その著しさを決定するためのアプローチは,全ての組織に適するもの

がただ一つあるというわけではないが,6.1.2.5 では,環境マネジメントシステムを実施又は改善しようと

する組織のための,鍵となる概念を説明する。各組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲並びに環

境影響の性質及び規模にふさわしく,かつ,詳細さ,複雑さ,時間,コスト及び信頼できるデータの利用

可能性に関して組織のニーズを満たすアプローチを選択することが望ましい。選択したアプローチに当て

はまるプロセスを実施することで,一貫性のある結果を得ることが可能となり得る。

実践の手引 12−ライフサイクルの視点 

ライフサイクルの視点には,組織が管理する又は影響を及ぼすことができる,組織の活動,製品及びサ

ービスの環境側面の考慮が含まれる。ライフサイクルの段階には,原材料の取得,設計,生産,輸送又は

配送(提供)

,使用,使用後の処理及び最終処分が含まれる。

組織の製品及びサービスにライフサイクルの視点を適用するとき,組織は,次の事項を考慮することが

望ましい。

−  製品又はサービスのライフサイクルの段階

−  ライフサイクルの段階にわたって行使する管理の程度。例えば,製品の設計者は,原材料の選定に関

する責任をもち得るが,製造者は,原材料の使用の低減及び廃棄プロセスの最小化に関する責任だけ

をもち得る。さらに,使用者は,製品の使用及び処分に関する責任だけをもち得る。

−  ライフサイクルにわたって及ぼす影響の程度。例えば,設計者は,製造者の生産方法だけに影響を及

ぼし得るが,製造者は,設計,及び製品の使用方法又は処分方法にも影響を及ぼし得る。

−  製品の寿命

−  サプライチェーンに対する,組織が及ぼす影響

−  サプライチェーンの長さ

−  製品の技術的な複雑さ

組織は,自らが最大限に管理する又は影響を及ぼすライフサイクルの段階が,資源の使用を低減し,汚

染又は廃棄を最小限に抑える最大の機会をもたらし得るため,それらのライフサイクルの段階を考慮する

ことができる。

6.1.2.2 

活動,製品及びサービスの理解 

全ての活動,製品及びサービスは,環境に対し何らかの影響を与えている。これらの影響は,ライフサ

イクル(すなわち,原材料の取得及び運搬から,使用及び処分まで)の個々の又は全ての段階において起

こる可能性がある。組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲内の活動,製品及びサービスについて,

関連する環境側面及び環境影響を特定できるように,これらの活動,製品及びサービスを理解することが


25

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

望ましい。関連する環境側面及び環境影響の特定並びにそれらの評価を助けるために,活動,製品及びサ

ービスをグループ化しておくと役立つことがある。グループ化又は分類は,組織単位,地理的な場所,作

業の流れなどの共通の特性に基づき得る。

6.1.2.3 

環境側面の決定 

環境マネジメントシステムの適用範囲内にある環境側面を決定するとき,組織は,ライフサイクルの視

点を考慮することが望ましく,また,組織の過去,現在及び計画した活動,製品及びサービスに伴う側面

を考慮することが望ましい。いずれの場合も,組織は,立ち上げ及び停止,メンテナンス,並びに合理的

に予見できる緊急事態を含む,通常及び非通常の運用状況について考慮することが望ましい。

組織が直接管理できる環境側面のほかに,組織は,例えば組織が利用する製品及びサービスに関係する

もの,組織が提供する製品及びサービスに関係するものなど,組織が影響を及ぼすことができる側面につ

いても考慮することが望ましい。環境側面に対して影響を及ぼす組織の能力を評価する場合,組織は,順

守義務,組織の方針及び近隣地域又は地方の問題を考慮することが望ましい。さらに,組織は,有害物質

を含む製品の購入,請負者又は二次請負者を含む外部提供者の実施する活動,製品・サービスの設計,供

給し使用する材料,物品又はサービス,市場に供給する製品の輸送,使用,再利用又はリサイクルなどに

よる,組織自体の環境パフォーマンスへの影響も考慮することが望ましい。

環境側面を決定し,理解するために,組織は,材料又はエネルギーのインプット及びアウトプット,用

いるプロセス及び技術,施設及び場所,輸送方法などの,その活動,製品及びサービスの特性に関する定

量的及び/又は定性的データを収集することができる。さらに,次の事項に関する情報を集めておくと役

立つことがある。

a)

組織の活動,製品及びサービスの要素と環境への潜在的な又は顕在する変化との間の因果関係

b)

利害関係者の環境上の関心事

c)

政府の規制及び許可において,他の規格において,又は業界団体,学術機関などによって特定されて

いる,潜在的な環境側面

環境側面を決定するプロセスには,

組織の活動,

製品及びサービスを熟知した個人の参加が有益である。

環境側面を決定するためのアプローチは一つだけではないが,選択したアプローチにおいて,次の事項を

考慮することができる。

−  大気への排出

−  水への排出

−  土地への排出

−  原材料及び天然資源の使用

−  エネルギーの使用

−  排出エネルギー[例えば,熱,放射,振動(騒音)

,光]

−  廃棄物及び/又は副産物の発生

−  空間の使用

したがって,組織の活動,製品及びサービスに関連する環境側面について,次の事項を含めて,考慮す

ることが望ましい。

−  施設,プロセス,製品及びサービスの設計及び開発

−  採取を含む,原材料の取得

−  倉庫保管を含む,運用又は製造のプロセス


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  施設,組織の資産及びインフラストラクチャの,運用及びメンテナンス

−  外部提供者の環境パフォーマンス及び業務慣行

−  包装を含む,製品の輸送及びサービスの提供

−  製品の保管,使用及び使用後の処理

−  廃棄物管理。これには,再利用,修復,リサイクル及び処分を含む。

注記  製品設計の環境側面に関する手引は,ISO/TR 14062 に示されている。エコデザインに関する手

引は,JIS Q 14006 に示されている。

6.1.2.4 

環境影響の理解 

環境影響の著しさを決定するときには,決定した環境側面,特に緊急事態につながる可能性のある環境

側面に伴う組織の環境影響の理解が必要である。用いることができるアプローチは多数ある。組織は,そ

のニーズに合致したアプローチを選択することが望ましい。

組織の環境側面に伴う環境影響の種類に関して,組織によってはすぐに入手できる情報で十分なことが

ある。他の組織においては,原因影響図,インプット・アウトプット若しくはマスバランス・エネルギー

バランスを示すフローチャート,又は環境影響アセスメント,ライフサイクルアセスメントなどの別のア

プローチの使用を選択することもある。

注記 1  ライフサイクルアセスメントに関する手引は,JIS Q 14040 及び JIS Q 14044 に示されている。

選択したアプローチは,次の事項を認識できることが望ましい。

−  好ましい(有益な)環境影響及び好ましくない(有害な)環境影響

注記 2  有益な可能性のある環境影響をもつ環境側面は,組織に対して環境状態の改善の機会をも

たらすことがある。有害な環境影響をもつ環境側面は,組織に対して,環境方針のコミッ

トメントを達成する能力を損なう可能性のある脅威をもたらすことがある。

−  顕在する環境影響及び潜在的な環境影響

−  大気,水,土壌,植物,動物,文化遺産など,影響を受ける可能性のある環境の部分

−  地方の気象条件,地下水の水位,土壌の種類など,環境影響の大きさに影響を与える可能性のある場

所の特性

−  環境に対する変化の性質(例えば,地球規模の問題か局所的な問題か,環境影響が発生するまでの時

間の長さ,時間の経過とともに環境影響の強さが蓄積される可能性)

実践の手引 13 に,組織が環境側面及び環境影響を決定することに役立つ,利用可能な情報源を示す。

実践の手引 13−環境側面及び環境影響を決定する場合の利用可能な情報源 

利用可能な情報源には,次の事項が含まれる。

a)

パンフレット,カタログ,年次報告書などの一般的な情報文書

b)

運用マニュアル,プロセスフローチャート,又は品質及び製品計画書

c)

前回までの監査報告書。初期環境レビュー,ライフサイクルアセスメントなどの,アセスメント又は

レビューの報告書

d)

品質,労働安全衛生などの他のマネジメントシステムからの情報

e)

技術データ報告書,発表済みの分析結果若しくは研究書,又は有害物質のリスト

f)

順守義務


27

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

g)

行動規範,国の及び国際的な政策,指針及びプログラム

h)

調達データ

i)

製品仕様,製品開発データ,安全データシート(SDS/MSDS/CSDS)

,又はエネルギー材料バランスデ

ータ

j)

廃棄物リスト

k)

監視データ

l)

環境に関する許可又は認可申請書

m)

利害関係者の見解,利害関係者からの要請,又は利害関係者との合意

n)

緊急事態の報告書

6.1.2.5 

著しい環境側面の決定 

著しさは,組織及びその状況に対して相対的な概念である。ある組織にとって著しくても,別の組織に

とっては必ずしも著しくないこともある。著しさの評価には,組織が行う技術的な分析及び判断の両方を

含めることができる。基準を用いることで,組織がどの環境側面及びそれに伴う環境影響を著しいとみな

すかを確定することに役立つことがある。このような基準を確立し,適用することで,著しさの評価に一

貫性が得られるようにすることが望ましい。

組織は,多くの環境側面及びそれに伴う環境影響をもつ可能性があるため,著しいとみなすものを決定

するための基準及び方法を確立することが望ましい。基準は,環境側面(例えば,種類,規模,頻度)に

関連することもあれば,環境影響(例えば,規模,深刻度,継続時間,暴露)に関連することもある。著

しさの基準を確立する場合,組織は,順守義務,並びに内部及び外部の利害関係者の関心事に関する情報

を含む,他のインプットも考慮してもよい。しかし,これらの基準の選定は,著しさがある環境側面を過

小評価する形で行わないほうがよい。

組織は,各基準に伴う著しさのレベル(又は値)を設定することができる。例えば,著しさの評価は,

その発生の起こりやすさ(発生確率・頻度)とその結果(深刻度・強度)との組合せに基づいて設定する

ことができる。著しさを定める場合,何らかの尺度又は順位を用いると分かりやすい。例えば,数値によ

って定量的に指定するか,高い,普通,低い,無視してよいなどのようなレベルによって定性的に定める

ことができる。

組織にとって,幾つかの基準に基づく結果を組み合わせることが,一つの環境側面及びそれに伴う環境

影響の著しさを評価するのに有用なこともある。組織は,どの環境側面が著しいかを,例えば,しきい(閾)

値を用いて決定することが望ましい。しかし,そのようなアプローチを適用する場合,組織は,しきい(閾)

値を正当化できるようにすることが望ましい。著しい環境側面は,組織が環境マネジメントシステムの意

図した成果を達成し,望ましくない影響を防止又は低減することを確実にするために取り組む必要がある

リスク及び機会をもたらし得る。

計画を促進するために,組織は,特定した環境側面及びそれに伴う環境影響,著しい環境側面を決定す

るために用いた基準,並びに著しいと決定した環境側面に関する適切な文書化した情報を維持することが

望ましい。こうした環境側面には,潜在的な緊急事態において発生する可能性があるものも含まれる。組

織は,顕在した緊急事態の緩和又はそれへの対応に必要なものを含め,運用管理の必要性を理解し運用管

理を決定するために,この情報を用いることが望ましい。必要に応じて,特定した環境影響に関する情報

を含めることが望ましい。この情報は,定期的にレビューし,更新することが望ましく,また,状況が変

化したときには,この情報を最新の状態にしておくことを確実にすることが望ましい。この情報を,リス


28

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

ト,登録簿,データベース又はその他の形式で維持すると役立つことがある。

注記  著しい環境側面の決定は,環境影響評価を要求してはいない。

6.1.3 

順守義務 

6.1.3.1 

一般 

順守義務は,取り組む必要があるリスク及び機会をもたらす可能性がある。順守義務を特定し参照する

こと及びそれらの順守義務を組織にどのように適用するかを理解することは,順守義務を満たすことを確

実にするに当たっての第 1 段階である。組織は,4.2.4 で得た知識を用いて,組織の活動,製品及びサービ

スの環境側面に関連する順守義務を特定し参照するためのプロセスを確立し,実施し,維持することが望

ましい。このプロセスは,組織が,適合を維持するために,必要に応じて事前に行動がとれるように,利

害関係者からの新規の又は変化するニーズ及び期待を考慮し,それに対応できるようにするものであるこ

とが望ましい。さらに,組織は,計画した又は新規の開発,並びに新規の又は変更された活動,製品及び

サービスが,どのように順守状況に影響を与える可能性があるかについても考慮することが望ましい。

組織は,順守義務を満たすことに関連する責任を負うか又はその行動が順守義務を満たすことに影響を

与える可能性のある,組織の管理下で働く人々(請負者,供給者などの外部提供者を含む。

)に,順守義務

に関する適切な情報を伝達することを確実にすることが望ましい。

実践の手引 14 に,環境マネジメントシステムに関連する順守義務の詳細を示す。

実践の手引 14−順守義務 

順守義務に関連する,環境マネジメントシステムの推奨する構成要素を,次に示す。組織は,次に示す

事項のために,必要なプロセスを確立し,実施し,維持し,妥当な資源を提供することが望ましい。

a)

順守義務を満たすことへのコミットメントを含む環境方針を確立する(5.2 参照)

b)

これらの順守義務を特定し,参照し,それらを組織にどのように適用するかを理解する(4.2 及び 6.1.3

参照)

c)

順守義務を考慮して,環境目標を確立する(6.2 参照)

d)

次の事項を通じて,順守義務に関係する環境目標を達成する。

−  順守義務を満たすことに関係する環境目標を達成するための,特定した,役割,責任,プロセス,

手段及び日程(6.1.4 参照)

−  順守のコミットメント及び順守義務に関係する環境目標を実施するための運用管理(必要に応じて

手順を含む。

8.1 参照)

e)

組織の管理下で働く全ての人が,自らに適用される関係するプロセス,及び順守義務を満たせなかっ

た場合の結果について認識することを確実にする(7.3 参照)

f)

組織の管理下で働く全ての人が,組織の順守義務,自らに適用される関係するプロセス,及び組織の

順守義務を満たすことの重要性に関し,適切な教育,訓練又は経験に基づいて,必要な力量を備えて

いることを確実にする(7.2 参照)

g)

組織の順守義務を考慮に入れて,環境マネジメントシステムに関連するコミュニケーションのプロセ

スを確立する(7.4 参照)

h)

順守義務を満たすことについて,定期的に評価を行う(9.1.2 参照)

i)

不順守又は不適合の事実,及び予見できる起こり得る不順守又は不適合を特定し,是正処置の特定・

実施・追跡のために速やかな処置をとる(10.1 参照)

j)

順守評価の結果の証拠として,文書化した情報を保持する(9.1.2 参照)


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

k)

環境マネジメントシステムの定期的な監査を実施するとき,順守義務を満たすことに関係する事項に

対応する(9.2 参照)

l)

マネジメントレビューを行うとき,順守義務の変化を考慮する(9.3 参照)

順守義務へのコミットメントは,順守義務を満たすことを達成し,維持するために,組織が体系的な取

組みを採用するという期待を反映している。

6.1.3.2 

法的要求事項 

組織は,環境側面に関連する法的要求事項を特定する手段として,一つ又は複数の情報源を参照するこ

とができる。そのような情報源には,政府機関,規制当局,業界団体又は取引グループ,商業データベー

ス及び出版物,並びに専門のアドバイザー及びサービスが含まれ得る。プロセスは,組織が,適合を維持

するために,新規の法的要求事項又は法的要求事項の変化を予測し,それに対応できるようにするもので

あることが望ましい。

6.1.3.3 

その他の要求事項 

また,組織は,4.2 で特定した,他の利害関係者に由来する,組織が採用した他の順守義務が,組織の環

境側面とどのように関係するかを決定することが望ましい。

6.1.3.4 

文書化した情報 

組織は,順守義務に関する文書化した情報を,登録簿又はリストのような形式で維持することが望まし

い。これは,適用される要求事項に関する認識及び透明性を維持するのに役立つことがある。この登録簿

は,それが最新であることを確実にするために,定期的にレビューすることが望ましい。この登録簿又は

リストには,次の事項が含まれ得る。

−  関連する利害関係者を含む,順守義務の由来

−  順守義務の概要

−  順守義務がどのように組織の側面及び/又は利害関係者の関連する要求事項と関係するか

6.1.4 

取組みの計画策定 

組織は,著しい環境側面,順守義務,並びに 6.1.1 で決定した取り組む必要があるリスク及び機会を考慮

し,これらにどのように取り組むかを計画することが望ましい。組織は,環境マネジメントシステムプロ

セス又は他の事業プロセスを用いた種々の方法で,取組みを計画することが望ましい。また,組織は,取

組みの有効性を決定することが望ましい。

取組みの計画策定は,環境目標の確立,運用管理,緊急事態への準備,他の事業プロセス(例えば,供

給者の評価)などの,単一の取組みを含み得る。別の方法として,組織は,管理の優先順位の組合せを含

めた環境目標及び運用管理を含む,

複数の取組みの組合せを用いることもできる。

取組みを計画するとき,

組織は,技術上の選択肢,実行可能性,並びに財務上,運用上及び事業上の要求事項を考慮することが望

ましい。計画した取組みと同様に,製品又はサービスのライフサイクル内での短期的又は長期的な環境へ

の有害な影響などの,起こり得る意図しない結果の可能性を考慮することが望ましい。

組織は,行った取組みの有効性を評価するために,統計的手法から,監視及び測定の結果と期待されて

いるパフォーマンスレベルとの比較に至るまで,

種々の方法及び技法を採用することができる

9.1 参照)

法的要求事項の中には,一部の管理についてのパフォーマンス能力及び実際のパフォーマンスの妥当性確

認又は検証の必要性を規定するものもある。場合によって,組織は,環境マネジメントシステムの外にあ

る取組みの有効性を評価することを選択することになる。これは,例えば,労働安全衛生マネジメントシ


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

ステム,工学的なプロセス又は事業プロセスを通じて行うことができる。これらの取組みが環境マネジメ

ントシステムの外で行われる場合でも,これを環境マネジメントシステムの中で参照することができる。

表 A.1 に,幾つかの活動に関する環境側面,環境影響,取り組む必要があるリスク及び機会,並びにこ

れらへの計画された取組みの例を示す。

表 A.3 に,順守義務に関係する,取り組む必要があるリスク及び機会並びにこれらへの取組みの例を示

す。

表 A.4 に,その他の課題及び要求事項に関係する,取り組む必要があるリスク及び機会並びにこれらへ

の取組みの例を示す。

6.2 

環境目標及びそれを達成するための計画策定 

6.2.1 

一般 

計画プロセスで,組織は,環境方針に盛り込まれたコミットメントを満たし,組織のその他の到達点を

達成するために,環境目標を確立する。環境目標を確立し,レビューし,及びそれらを達成するためのプ

ロセスを遂行するプロセスは,組織が,他の領域の環境パフォーマンスレベルを維持しながらある領域で

の環境パフォーマンスを改善するための体系的な基礎となる。

6.2.2 

環境目標の確立 

環境目標を確立するとき,組織は,次の事項を含むインプットを考慮することが望ましい。

−  環境方針の中の原則及びコミットメント

−  組織の著しい環境側面(及びその決定に際して作成された情報)

−  組織の順守義務

−  6.1.1 で決定した,環境マネジメントシステムに影響を与えるその他の課題及び要求事項に関連する,

取り組む必要があるリスク及び機会

組織は,次の事項についても考慮することができる。

−  環境目標を達成することによる,その他の活動及びプロセスへの効果

−  組織の社会的イメージに影響を及ぼす可能性

−  環境レビューからの所見

−  組織のその他の到達点

環境目標は,組織のトップレベルで,並びに環境方針のコミットメント及び組織全体の到達点を達成す

るための重要な活動が実施される,トップレベル以外の階層及び機能で確立されることが望ましい。環境

目標は,汚染の予防,順守義務を満たすこと及び継続的改善を含む,環境方針及び環境保護へのコミット

メントに整合していることが望ましい。

環境目標は,特定のパフォーマンスレベルとして直接表現することもできれば,一般的な形で表現し,

さらに,一つ又は複数の目標(target)

,すなわち,環境目標を達成するために満たすことが望ましい詳細

なパフォーマンス要求事項によって定めることもできる。目標(target)を設定する場合は,その目標(target)

は測定可能であることが望ましい。目標(target)は,規定された期間を含む必要があることもある。

組織が確立する環境目標は,組織全体のマネジメントの目標の一部とみなすことが望ましい。このよう

な統合は,環境マネジメントシステムだけでなく,統合されている事業プロセスの価値も高めることがで

きる。

環境目標は,組織全体に適用することもできれば,対象を狭めて,特定のサイト又は個々の活動に適用


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

することもできる。例えば,ある製造施設では,全体としてのエネルギー低減目標が,一部門のエネルギ

ー節約活動によって達成できることもある。しかし,状況によっては,組織の全部分が何らかの形で組織

全体の目標に寄与することが望ましいことがある。また,組織のそれぞれ異なる部分が,同一の全体的目

標を追求してはいるが,各部門の目標を達成するためにそれぞれ異なる活動を実施することが必要な場合

もある。

環境目標を達成するために,組織は,異なる階層及び機能の寄与のあり方を明らかにし,組織の個々の

メンバーに責任を認識させることが望ましい。

環境目標の文書類及びコミュニケーションは,環境目標を達成する組織の能力を改善する。組織は,環

境目標に関する文書化した情報を維持することが望ましい。環境目標に関する情報は,その達成に責任を

負う人々,及び運用管理などの関係する機能を実行するためにそのような情報を必要とする他の要員に提

供することが望ましい。

6.2.3 

環境目標を達成するための取組みの計画策定 

計画プロセスの一部に,組織の環境目標を達成するための実施計画を含めることができる。

実施計画では,環境目標を達成するために必要な役割,責任,プロセス,資源,期間,優先順位及び処

置を取り扱うことが望ましい。このような処置は,個々のプロセス,プロジェクト,製品,サービス,サ

イト又はサイト内の施設に対処することができる。組織は,環境目標を達成するための実施計画を,組織

の戦略計画プロセス内の他の実施計画と統合することができる。環境目標を達成するための実施計画は,

組織が環境パフォーマンスを改善する助けとなる。実施計画は,変化に対応できるものであることが望ま

しい。環境マネジメントシステムの適用範囲内のプロセス,活動,サービス及び製品で変更が生じた場合

には,環境目標及びそれに伴う実施計画を必要に応じて改訂することが望ましい。

6.2.4 

パフォーマンス指標 

組織の環境パフォーマンス指標は,環境目標の達成の進捗及び継続的改善を監視するための重要なツー

ルである。組織は,客観的で,検証可能で,かつ,再現性がある結果を出すことができる,環境パフォー

マンス指標を確立することが望ましい。指標は,組織の活動,製品及びサービスに対して適切であり,そ

の環境方針に整合し,実用的で,費用対効果が高く,技術的に実行可能なものであることが望ましい。こ

れらの指標を,組織の環境目標の達成の進捗を追跡するために用いることができる。また,指標は,これ

以外の目的のためにも,例えば環境パフォーマンスの評価及び改善のためのプロセス全体の一部としても

用いることができる。組織は,その著しい環境側面に対して適切な,環境状態指標(ECI)

,マネジメント

パフォーマンス指標(MPI)及び操業パフォーマンス指標(OPI)を用いることを考慮することができる。

実践の手引 15 に,パフォーマンス指標に関する追加情報を示す。

注記  環境パフォーマンス指標の選択及び使用に関する手引は,ISO 14031 及び ISO/TS 14033 に示さ

れている。

表 A.2 に,選択された活動に関する環境目標,目標(target)及び指標の例を示す。

実践の手引 15−パフォーマンス指標 

環境目標に対する進捗は,一般に次のような環境パフォーマンス指標を用いることによって測定するこ

とができる。

−  原材料又はエネルギーの使用量

−  二酸化炭素(CO

2

)などの排出量

−  完成品の量当たりの発生廃棄物


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  原材料及びエネルギーの使用効率

−  環境に関する出来事(例えば,制限を超えた逸脱)の件数

−  環境事故(例えば,計画外の排出)の件数

−  廃棄物のリサイクル率

−  包装材料のリサイクル率

−  製品の単位量当たりのサービス輸送距離

−  特定の汚染物質排出量。例えば,窒素酸化物(NO

x

,硫黄酸化物(SO

x

,一酸化炭素(CO)

,揮発性

有機化合物(VOCs)

,鉛(Pb)

,フロン類(CFCs)

−  環境保護への投資

−  起訴の件数

−  野生生物生息地のために留保した土地面積

−  環境側面の特定について教育訓練を受けた人の数

−  低排出技術への支出予算の比率

支援 

7.1 

資源 

組織は,環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,改善するために必要な資源を決定する

ことが望ましい。必要な資源を決定するとき,組織は,次の事項を考慮することが望ましい。

−  インフラストラクチャ

−  外部から提供される資源

−  情報システム

−  力量

−  技術

−  組織の活動,製品及びサービスに特有の,資金,人的資源及びその他の資源

資源は,適切な時期に,効果的に提供することが望ましい。

資源配分では,組織の現在のニーズと今後のニーズとを共に考慮することが望ましい。資源の配分に際

して,組織は,環境活動又は関連する活動の利点,資本及び運用コストを追跡調査することができる。こ

れには,公害防止装置のコスト(資本支出)

,組織の管理下で働く人々が環境マネジメントシステムの有効

化に要した時間(運用支出)などの事項を含めることができる。資源及びその配分は,それらの妥当性を

確実にするため,マネジメントレビューに連動したものを含め,定期的にレビューすることが望ましい。

資源の妥当性について評価を行うとき,計画した変更及び/又は新規のプロジェクト又は運用を考慮する

ことが望ましい。実践の手引 16 に,資源に関する追加情報を示す。

実践の手引 16−人的及び物的資源並びに資金 

中小規模の組織の資源基盤及び組織構造は,環境マネジメントシステムの実施に際して,ある程度の限

界もある。こうした制約を克服するために,組織は,共同戦略を考慮することができる。この共同の相手

の選択肢には,次のものが含まれ得る。

−  技術及び知識を共有するための大手の依頼者及び供給者の組織

−  共通の問題を定め,これに対処し,経験を共有し,技術開発を容易にし,施設を共同で利用し,外部


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

資源に共同で取り組むための,サプライチェーン又は同じ地域基盤内の他の組織

−  教育訓練及び認識向上のプログラムのための標準化機関,団体又は商工会議所

−  パフォーマンスの改善,ライフサイクルの視点の適用及び革新の支援のための,大学及び他の研究セ

ンター

知識は,環境マネジメントシステムを確立する又は改善するための重要な資源である。将来の課題に取

り組むとき,組織は,現在の知識基盤を考慮に入れ,必要な追加の知識を習得する又はそれにアクセスす

る方法を決定することが望ましい。

7.2 

力量 

知識,理解,技能又は能力によって,個人は,環境パフォーマンスに関して必要な力量を得ることがで

きる。組織の管理下で働く人々のうち,順守義務を満たす能力を含め,環境パフォーマンスに影響を与え

る又は与える可能性のある全ての人は,組織が決定したとおりに,訓練,教育,経験又はそれらの組合せ

に基づいて,力量を備えていることが望ましい。これらの人々には,組織の従業員のほかに,外部提供者

など組織の管理下で働く他の人々も含まれる。

こうした人々に対する力量の要求事項は,環境に著しい影響を与える又は与える可能性のある業務を行

う人に限定して適用するのではなく,環境マネジメントシステムの意図した成果の達成に不可欠な機能を

マネジメントする人,又はそうした達成に不可欠な役割を担う人にも適用される。実践の手引 17 に,力量

のニーズの例を示す。

組織の多くは,これらの全ての力量を入手できるとは限らないため,環境マネジメントシステムの意図

した成果の達成及び環境パフォーマンスを確実にするために,力量を備えたサービス提供者を調達するこ

とがある。


34

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

実践の手引 17−力量のニーズの例 

可能性のある

力量の領域 

典型的な組織上

の役割 

必要な力量・能力の例 

力量の構築のための手段の例

環境上の技術  環境技術者

−  環境サンプリングについての熟練性

−  監視機器の操作能力

−  収集に関する要求事項及び

慣行の教育訓練及び評価

−  機器の使用に関する認証又

は認可

環 境 プ ロ グ ラ ム

責任者

−  適用される環境上の規制についての熟練

−  環境分野の学位

−  適用される規制に関する教

育訓練

環境上の運用  著 し い 環 境 側 面

に 関 係 す る 業 務

を行う人々

−  自らの業務がどのように環境パフォーマ

ンスに影響を与えるかについての認識

−  有害な環境影響を最小限にするために満

たす必要がある運用基準に関する知識

−  自らの業務に関係する環境

影響に関する教育訓練

−  プロセスが管理されている

ことを確実にするための運
用基準に関する教育訓練

環境マネジメ
ントシステム

環境管理者

−  環境マネジメントシステムを確立し,実

施し,改善する能力

−  環境マネジメントシステムがその意図し

た成果を達成することを確実にするた
め,及び適切な取組みを計画するために

取り組む必要があるリスク及び機会を決

定する能力

−  環境パフォーマンス及び組織の順守義務

の結果を分析し,それらに対して行動す

る能力

−  環境マネジメントシステム

の実施の経験

−  環境マネジメントシステム

要求事項に関する教育訓練

監 査 プ ロ グ ラ ム
管理者

−  組織の環境マネジメントシステムの有効

性を決定するための監査プログラムを策

定し,マネジメントする能力

−  プログラムのマネジメント

の教育訓練

−  プログラムの実施の経験

ト ッ プ マ ネ ジ メ

ント

−  環境方針を確立し実施することの意味に

ついての知識及び理解

−  利用可能な資源,及びそれらの資源の環

境マネジメントシステムへの適用(責任

及び権限の割当てを含む。

)についての知

識及び理解

−  環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ

ム,及び環境方針の確立に

関する教育訓練

−  事業マネジメントの経験

組織は,環境マネジメントシステムの意図した成果の達成のために必要な力量を特定し,必要な場合に

は必要な力量を身に付けるための処置をとることを含め,不足分について対処することが望ましい。文書

化した情報は,特定された力量のニーズへの対処を確実にし,不足分を埋めることについての進捗を追跡

し,利害関係者への関連する情報の伝達を可能にするために,役立つことがある。最低限,力量の証拠と

しての適切な文書化した情報を保持することが望ましい。

注記  監査員の力量に関する手引を,9.2 に示す。

教育訓練を通じて力量を身に付ける場合,組織の教育訓練プロセスには,次の事項を含めることができ

る。

−  教育訓練のニーズの特定

−  特定した教育訓練のニーズに対処するための教育訓練計画又はプログラムの策定

−  教育訓練の実施

−  教育訓練の結果の評価


35

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  受けた教育訓練の文書化及び監視

該当する場合には,組織は,意図した結果が達成されていることを確認するために,教育訓練及び必要

な力量を身に付けるためにとったその他の処置の有効性を評価することが望ましい。

7.3 

認識 

トップマネジメントは,組織において,知識を向上させ,かつ,組織の環境方針のコミットメントを支

援する行動を促進するために,環境マネジメントシステム及び環境パフォーマンスに関係する認識を醸成

することに対する重要な責任を負っている。これには,従業員及び組織の管理下で働くその他の人々に対

し,組織の環境価値,及びそれらの価値がどのように組織の事業戦略に寄与し得るかを認識させることが

含まれる(5.1 参照)

トップマネジメントは,組織の管理下で働く人々に次の事項が奨励されていることを確実にすることが

望ましい。

−  環境パフォーマンスを向上させる。

−  環境マネジメントシステムの意図した成果の達成に寄与する。

−  自らの責任又は説明責任である環境目標を達成することの重要性を受け入れる。

また,トップマネジメントは,組織の管理下で働く全ての人に次の事項を認識させることを確実にする

ことが望ましい。

−  組織の環境方針及び環境方針のコミットメント

−  環境マネジメントシステムの要求事項に適合することの重要性

−  環境マネジメントシステムの有効性への自らの寄与

−  環境パフォーマンス改善の利点

−  環境マネジメントシステムにおける自らの責任及び説明責任

−  自らの業務活動のもつ,顕在する又は潜在的な著しい環境側面及びそれに伴う環境影響

−  適用可能な場合には,特定した,それらの業務活動に関係して取り組む必要があるリスク及び機会

−  組織の順守義務を含め,適用される環境マネジメントシステム要求事項から逸脱した場合の結果

認識を向上させる方法の例として,内部コミュニケーション,視覚標識及び横断幕,キャンペーン,訓

練又は教育,指導などがある。

7.4 

コミュニケーション 

7.4.1 

一般 

組織は,組織の順守義務を考慮に入れて,環境マネジメントシステムに関連するコミュニケーションの

ためのプロセスを確立することが望ましい。これらのプロセスは,次の事項を特定することが望ましい。

−  どの情報についてコミュニケーションを行う必要があるか。

−  いつ又はどの状況において,コミュニケーションを行う必要があるか。

−  誰に対してコミュニケーションを行う必要があるか。

−  どのようにコミュニケーションを行うか。

各々の状況に適切なコミュニケーションのためのプロセスを策定する場合,組織は,様々な取組みの潜

在的コスト及び利点を考慮することができる。


36

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

環境情報のコミュニケーションは,組織の環境パフォーマンスの内部評価(9.1 参照)を含む環境マネジ

メントシステムにおいて作成される情報に基づき,かつ,それらの情報と整合していることが望ましい。

注記  コミュニケーションに関する更なる情報は,JIS Q 14063 に示されている。

どのようにコミュニケーションを行おうとするかを決定するとき,組織は,組織の環境マネジメントへ

の取組みを理解し,受け入れやすくし,利害関係者との対話を促進することができる様々なコミュニケー

ション方法を考慮することが望ましい。コミュニケーション方法には,例えば,非公式の討議,組織の一

般公開,フォーカスグループ,コミュニティ対話,コミュニティイベントへの参加,ウェブサイト及び電

子メール,新聞発表,広告,定期刊行のニュースレター,年次又はその他の定期的な報告書,緊急用直通

電話などがある。

組織は,関連する質問,関心事,又は組織の環境マネジメントシステムに対するその他の伝達されたイ

ンプットを考慮し,かつ,これらに対応することが望ましい。そうした内部及び外部のコミュニケーショ

ンの受付け及び対応のためのプロセスを確立することが,有用であり得る。

組織は,次の事項を行うために,必要に応じて,コミュニケーションの証拠として,文書化した情報を

保持することが望ましい。

−  特定の利害関係者のコミュニケーション,問合せ又は関心事の履歴を振り返る。

−  現在に至るまでの,利害関係者との様々なエンゲージメントの性質を理解する。

−  将来のコミュニケーションの展開,並びに必要に応じて,特定の利害関係者の関心事のフォローアッ

プ及び取組みにおける,組織の有効性を改善する。

環境マネジメントシステムにとって追加の便益がない場合には,非公式のコミュニケーションなど,文

書化する必要がないコミュニケーションもある。コミュニケーションプロセスを確立するとき,組織は,

組織の性質及び規模,著しい環境側面,並びに利害関係者の性質,ニーズ及び期待を考慮に入れることが

望ましい。

組織は,このプロセスにおいて,次のステップを考慮することが望ましい。

−  関連する利害関係者(4.2 参照)からのものを含め,情報を収集し,又は調査する。

−  対象者(target audience)

,及び情報又は対話に対するそれらの対象者のニーズを決定する。

−  対象者の興味に合った情報を選択する。

−  対象者に伝達すべき情報を決定する。

−  どの方法及び形式がコミュニケーションにとって適切であるかを決定する。

−  コミュニケーションプロセスの有効性を評価し,定期的に判定する。

環境マネジメントシステムのコミュニケーションの主要な構成要素を,実践の手引 18 に示す。これらの

構成要素は,中核的な,かつ,最小限の構成要素として推奨されるものであり,組織は,環境マネジメン

トシステムに関連する有効なコミュニケーションのために,適宜,これら以上のことを実施することがで

きる。

実践の手引 18−環境マネジメントシステムコミュニケーション 

コミュニケーションの主要な構成要素:

トップマネジメントは,有効な環境マネジメントの重要性及び環境マネジメントシステム要求事項への

適合の重要性を伝達することが望ましい(5.1 参照)


37

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

トップマネジメントは,次の事項が組織内に伝達されていることを確実にすることが望ましい。

−  環境方針(5.2 参照)

−  関連する役割に対する責任及び権限(5.3 参照)

組織は,次に示すコミュニケーションを行うことが望ましい。

−  必要に応じて,組織の種々の階層及び機能において,著しい環境側面を伝達する(6.1.2.5 参照)

−  環境目標を伝達する(6.2.2 参照)

−  請負者を含む外部提供者に対して,関連する環境上の要求事項を伝達する(8.1 参照)

−  コミュニケーションプロセスで決定したとおりに,かつ,順守義務による要求に従って,関連する環

境パフォーマンス情報について,内部と外部の双方のコミュニケーションを行う(9.1.1 参照)

組織は,内部監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にすることが望ましい(9.2 参照)

組織の環境マネジメントシステムについてのトップマネジメントのレビューは,利害関係者からのコミ

ュニケーションの考慮を含むことが望ましい(9.3 参照)

7.4.2 

内部コミュニケーション 

組織内の階層間及び機能間のコミュニケーションは,環境マネジメントシステムの有効性にとって不可

欠である。例えば,コミュニケーションは,問題解決,活動の調整,行動計画のフォローアップ,及び環

境マネジメントシステムの更なる発展にとって重要である。適切な情報を組織の管理下で働く人々に提供

することは,環境パフォーマンスを改善するようにそうした人々を動機付け,組織の取組みを受け入れさ

せることに役立つ。これによって,従業員及び組織の管理下で働く外部提供者が責任を果たし,組織がそ

の環境目標を達成することを助けることができる。組織は,組織のあらゆる階層からのコミュニケーショ

ンを可能にするプロセスをもつことが望ましい。これによって,組織の環境マネジメントシステム及び環

境パフォーマンスを改善するための意見及び提案を行うことが可能となる。環境マネジメントシステムの

監視,監査及びマネジメントレビューの結果は,組織内の適切な人に伝達することが望ましい。

7.4.3 

外部コミュニケーション 

外部の利害関係者とのコミュニケーションは,環境マネジメントにとって一つの重要かつ有効なツール

になることがある。組織は,順守義務及びコミュニケーションプロセス(7.4.1 参照)に関係したコミュニ

ケーション要求事項を考慮に入れ,それらに従って,環境マネジメントシステムに関連する情報について

外部コミュニケーションを行うことが望ましい。また,組織は,利害関係者に対して,製品の流通,使用

及び処分に関するものを含む環境側面について,外部コミュニケーションを行うか否かを考慮することが

できる。

組織は,外部の利害関係者に影響又は懸念を与えかねない緊急事態の場合に,外部の利害関係者とコミ

ュニケーションをとるためのプロセスを整えておくことが望ましい。また,外部コミュニケーションに関

するプロセスを文書化することが,組織にとって有用なこともある。

注記  緊急事態への準備及び対応に関する事項を,8.2 にも示す。

組織の環境パフォーマンスに関する外部の利害関係者へのコミュニケーションは,正確で,信頼性があ

り,検証可能であることが望ましい(ISO/TS 14033 参照)

。環境パフォーマンスに関連する主張は,例え

ば,組織のサステナビリティレポート,販売促進資料,広告キャンペーンのような形式をとり得る。組織

は,環境パフォーマンスの主張の検証に対する取組みを考慮することができる。


38

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

組織のパフォーマンスに関する手引は,ISO 14031 に示されている。製品関連の環境主張に関する手引

は,ISO/TS 14033 及び JIS Q 14020 に示されている。

7.5 

文書化した情報 

7.5.1 

一般 

組織は,環境マネジメントシステムが有効に運用され,組織の管理下で働く人々及びその他の関連する

利害関係者によって理解されること,並びに環境マネジメントシステムに関連するプロセスが計画どおり

に実施されることを確実にするために,適切な文書化した情報を作成し,維持することが望ましい。文書

化した情報は,組織の文化及びニーズを反映するような形で収集し,維持することが望ましい。

例えば,プロセス,計画及び実施計画の形をとる文書化した情報は,成果の一貫性,適時性及び繰返し

性を確実にするために,必要に応じて,維持することが望ましい。記録の形をとる文書化した情報は,環

境マネジメントシステム要求事項の有効な実施を実証するために,達成された結果又は実施された活動の

証拠として保持することが望ましい。達成された結果又は実施された活動の証拠の記録としての情報は,

組織の文書化した情報の一部であるが,異なるマネジメントプロセスを通じて管理してもよい。

主要な活動(例えば,特定した,取り組む必要があるリスク及び機会に関係する活動)の有効なマネジ

メントのために,組織は,文書化すること及び活動のマネジメントの方法を適切な細かさで記述すること

が可能なプロセスを確立することによって,

これらの主要な活動を実施する方法を規定することができる。

あるプロセスを文書化しないと組織が決定する場合には,

影響を受ける,

組織の管理下で働く人々に対し,

必要に応じて,コミュニケーション又は教育訓練を通じて,満たすべき要求事項を知らせることが望まし

い。

組織は,マネジメントシステムを,主要な要素の記述とともにシステムの概要又は要約を示すもので,

また関連する文書化した情報の所在を示すことができるように,マニュアルの形で文書化することができ

る。それらの環境マネジメントシステムマニュアルの構造は,JIS Q 14001 又はその他の規格の構造に従う

必要はない(実践の手引 19 参照)

文書化した情報の程度は,それぞれの組織で異なる場合がある。不必要な又は複雑な文書化した情報を

作成することは,環境マネジメントシステムの有効性を損なう可能性がある。したがって,組織は,作成

する文書化した情報の程度を検討するとき,環境マネジメントシステムの有効性,継続性及び継続的改善

のための文書化した情報の便益を考慮することができる。

文書化した情報は,そこに含まれた情報を必要とする人にとって,有用で,読みやすく,容易に理解で

きアクセスできるようになっていれば,どのような媒体(紙,電子媒体,写真,ポスター)でも管理する

ことができる。

環境マネジメントシステムのプロセスが他のマネジメントシステムのプロセスと整合している場合には,

組織は,関連する環境上の文書化した情報と他のマネジメントシステムの文書化した情報とを組み合わせ

ることができる。

環境マネジメントシステムに関連する主要な文書化した情報を,実践の手引 19 に示す。これらは,文書

化することが望ましい情報のうち,中核的な,かつ,最小限の情報であり,組織は,環境マネジメントシ

ステムの有効性のために,適宜,これら以上のことを実施することができる。

実践の手引 19−文書化した情報 

組織は,次の事項を,文書化した情報として維持することが望ましい。

−  環境マネジメントシステムの適用範囲(4.3 参照)


39

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  環境方針(5.2 参照)

−  特定した,取り組む必要があるリスク及び機会(6.1.1 参照)

−  6.1.16.1.4 で必要なプロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の,それ

らのプロセス(6.1.1 参照)

−  環境側面及びそれに伴う環境影響,著しい環境側面を決定するために用いた基準,並びに著しい環境

側面(6.1.2 参照)

−  順守義務(6.1.3 参照)

−  環境目標に関する情報(6.2.1 参照)

−  環境マネジメントシステム要求事項を満たすために必要な運用管理プロセスが計画どおりに実施され

たという確信をもつために必要な程度の,それらのプロセスに関する情報(8.1 参照)

−  6.1.1 で特定した潜在的な緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスが計画どおりに実施さ

れるという確信をもつために必要な程度の,それらのプロセス(8.2 参照)

組織は,次の事項の証拠としての文書化した情報(記録)を保持することが望ましい。

−  必要に応じて,力量(7.2 参照)

−  必要に応じて,組織のコミュニケーション(7.4.1 参照)

−  必要に応じて,監視,測定,分析及び評価の結果(9.1.1 参照)

−  順守評価の結果(9.1.2 参照)

−  監査プログラムの実施及び監査結果(9.2 参照)

−  マネジメントレビューの結果(9.3 参照)

−  特定した不適合の性質及びそれに対してとった処置,並びに是正処置の結果(10.2 参照)

文書化した情報のその他の例には,実施計画及び責任の記述,手順,プロセス情報,組織図,内部及び

外部の規格,並びにサイトの緊急対応計画が含まれる。

7.5.2 

作成及び更新 

環境マネジメントシステムに関連する文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実

にすることが望ましい。

−  適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)

−  適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)

−  適切性及び妥当性に関する,適切な内部レビュー及び承認

7.5.3 

文書化した情報の管理 

次の事項を確実にするうえで,環境マネジメントシステムの文書化した情報の管理は重要である。

−  情報は,適切な組織,部門,機能,活動又は連絡先の別に識別できる。

−  組織が維持している情報は,定期的にレビューし,必要に応じて改訂し,発行の前に所定の責任者が

承認する。

−  要求事項を満たすことを確実にするために必要なものを含む,システムを有効に機能させるために不

可欠な運用が行われている全ての場所で,関連する文書化した情報の最新版が利用できる。

注記  文書化した情報が利用できない場合には,所定の慣行に従った行動をとることで適切とみな

すこともある。


40

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  廃止された情報は,全ての発行部署,使用場所及び使用状況から速やかに撤去する(状況によっては,

例えば,法的な理由及び/又は情報保存の目的で,無効となった文書化した情報を,達成された結果

の証拠として保持することもある。

文書化した情報は,次のようにして有効に管理することができる。

−  特定のタイトル,番号,日付,改訂,改訂履歴及び責任者を記入した適切な様式を開発する。

−  組織が維持している文書化した情報のレビュー及び承認を,十分な技術的能力及び組織での権限をも

つ個人に割り当てる。

−  有効な配付システムを維持する。

運用 

8.1 

運用の計画及び管理 

8.1.1 

一般的な手引:運用管理 

組織は,環境方針のコミットメントを満たし,環境目標を達成し,著しい環境側面,順守義務並びに取

り組む必要があるリスク及び機会をマネジメントするために,組織の運用及び関連するプロセスが,管理

された方法で実施されていることを確実にすることが望ましい。有効で効率的な運用管理を計画するため

に,組織は,そのような管理が,どこで,どのような目的で必要になるかを決定することが望ましい。組

織は,組織のニーズを満たす管理の種類及びレベルを設定することが望ましい。選択された運用管理は,

その有効性を継続するために維持し,定期的に評価することが望ましい。

必要な管理を決定するとき,又は既存の管理の変更を検討するときは,取り組む必要があるリスク及び

機会並びにこれらによって生じ得る意図しない結果を考慮することが望ましい。組織は,必要に応じて有

害な影響を緩和するための処置をとり,計画した変更を管理し,意図しない変更の結果をレビューするこ

とが望ましい。

有害な環境影響に対する管理を検討するとき,組織は,次に示す優先順位を参照することができる。

−  除去[例えば,ポリ塩化ビフェニル(PCBs)

,フロン類(CFCs)などの使用禁止]

−  代替(例えば,溶剤形塗料から水性塗料への変更)

−  工学的な管理(例えば,排出管理,軽減技術など)

−  管理的な対策[例えば,手順,視覚的管理,作業指示書,安全データシート(SDS/MSDS/CSDS)な

ど]

環境方針,環境目標及び順守義務からの起こり得る逸脱を防ぐため,文書化した情報を,例えば次の事

項を説明するために,必要に応じて作成することができる。

−  実施することが望ましい活動の,特定の順序

−  求められる技量を含む,関係する要員に必要な資格

−  一定の制限値内に維持することが望ましい主要な変数。例えば,時間的変数,物理的変数,生物学的

変数

−  使用する材料の特性

−  使用するインフラストラクチャの特性

−  プロセスから生まれる製品の特性


41

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

8.1.2 

運用管理に対するニーズの特定 

組織は,次のために運用管理を利用することができる。

−  特定した著しい環境側面をマネジメントする。

−  順守義務を満たすことを確実にする。

−  環境目標を達成し,環境保護,汚染の予防及び継続的改善へのコミットメントを含め,環境方針との

整合性を確実にする。

−  環境に対する有害な影響又は組織に対する有害な影響を回避する,又はそれらを最小限に抑える。

−  機会を最大化する。

組織は,環境マネジメントシステムの適用範囲並びに 6.1 及び 6.2 で決定した取組みに基づき,ライフサ

イクルの視点を用いて,研究開発,設計,販売,マーケティング,調達,施設管理などの機能に関係する

運用を含む,必要な運用管理(6.1 及び 6.2 を参照。

)を決定することが望ましい。

ライフサイクルの段階において適用される管理の方式及び程度,又は影響を及ぼす方式及び程度は,環

境マネジメントシステムの中で定めることが望ましい。

ライフサイクルの視点は,できるだけ早い段階,すなわち,設計及び開発プロセスで考慮することが望

ましい。そうすることによって,活動,プロセス,製品又はサービスの全体的な環境パフォーマンスへの

改善を行うためのより良い機会がもたらされ,また,組織が他の段階への有害な環境影響の移行の可能性

を低減することの助けとなる。

これは,

組織及び環境保護にとってより大きな価値をもたらすこととなる。

組織の多くは,使用段階において,又は組織が提供する情報の適用において,著しい環境側面をもつ可

能性がある。著しい環境側面に影響を及ぼすための方法の例には,次の事項が含まれ得る。

−  関連する環境影響をどのようにマネジメントするかについての教育の提供

−  情報への容易なアクセスの提供(例えば,ウェブサイトで,FAQ のような形で)

−  情報を共有し,常に利用者に最新情報を提供するための,利用者グループの設置

該当する場合には,組織は,外部提供者及び外部委託したプロセスが,環境側面をマネジメントし順守

義務を満たす組織の能力にどのように影響を与え得るかを考慮することが望ましい。組織は,文書化した

手順,契約,供給者との合意,最終利用者への指示書などの必要とされる運用管理を確立し,それを適宜,

請負者,供給者及び利用者に伝達することが望ましい。外部委託したプロセスは,管理する又は影響を及

ぼす対象になり得る。外部委託したプロセスは,次に示す全ての基準を満たすものである。

a)

その機能又はプロセスが,組織が機能するために不可欠である。

b)

その機能又はプロセスが,環境マネジメントシステムが意図した成果を達成するために必要である。

c)

その機能又はプロセスが要求事項に適合することに対する責任を,組織が保持している。

d)

そのプロセスを組織が実施していると利害関係者が認識しているような,組織と外部提供者との関係

がある。

注記 1  設計は新製品の開発を意味することがあるが,他方で,既存の製品についても,再設計又は

改善の対象となり得る。

注記 2  設計プロセスにおけるライフサイクルの視点に関する更なる情報は,JIS Q 14006 及び

ISO/TR 14062

に示されている。

注記 3  製品情報に関する更なる情報は,JIS Q 14020JIS Q 14021JIS Q 14024JIS Q 14025ISO 

14046

及び ISO/TS 14067 に示されている。


42

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

8.1.3 

運用管理の確立 

運用管理は,手順,作業指示書,物理的管理,力量を備えた要員の登用,これらの組合せなど,様々な

形態をとり得る。どの管理方法を選択するかは,運用を担当する人の技能及び経験,運用自体の複雑さ及

び環境に及ぼす著しさなど,複数の要因に依存する。組織は,一貫した方法で管理を実施する能力を向上

させるためのプロセスを計画し,確立することを選択することができる。

運用管理を確立するための共通の取組みには,次の事項が含まれ得る。

a)

管理方法の選択

b)

許容される運用基準の選定。例えば,機械及び測定の運用の特徴,重量又は温度

c)

必要に応じて,特定した業務をどのように計画し,実行し,管理するかを定めたプロセスの確立

d)

必要に応じて,指示書,標識,様式,ビデオ,写真などの形式による,それらのプロセスの文書化

e)

自動化されたシステム,材料,機器,ソフトウェアなどの技術上の選択肢の適用

運用管理には,測定,監視及び評価のための,並びに運用基準を満たしているか否かを決定するための

規定を含めることもできる。

運用管理が確立されると,組織は,その管理が継続して適用されているか,かつ,それが有効であるか

否かを監視し,必要な処置を計画し,実施することが望ましい。

8.2 

緊急事態への準備及び対応 

緊急事態への対応を準備するときには,緊急事態の結果として生じ得る初期環境影響,及び初期環境影

響への対応の結果として生じ得る二次環境影響を考慮することが望ましい。例えば,火災への対応におい

ては,大気汚染の可能性を考慮することが望ましい。

合理的に予見できる緊急事態への対応を準備するときには,立ち上げ及び停止の状況並びに非通常の運

用状況について,特に注意を払うことが望ましい。緊急事態の決定に関する事項を,6.1.1 に示す。

組織は,化学物質の小規模の漏えい,排出低減装置の故障,人及び環境を広く危険にさらすような深刻

な環境状況など,様々な種類の状況に対して準備することが望ましい。組織は,合理的に予見できる個々

の緊急事態に対して準備することが望ましい。

組織独自のニーズに合致した緊急事態への準備及び対応の計画を確立することは,それぞれの組織の責

任である。計画を策定するとき,組織は,次の事項を考慮することが望ましい。

−  自然災害を含む,顕在する及び潜在的な外部の環境状態

−  現場ハザードの性質(例えば,可燃性液体,貯蔵タンク,圧縮ガス,漏えい又は事故による排出の際

にとられるべき対策)

−  緊急事態の最も起こりやすい種類及び規模

−  必要な機器及び資源

−  近接した施設(例えば,プラント,道路,鉄道)で緊急事態が発生する可能性

−  緊急事態に対処する最適な方法

−  環境上の被害を最小限に抑えるのに必要な処置

−  緊急時の体制及び責任

−  避難ルート及び集合場所

−  連絡先の詳細(例えば,消防署,流出物の清掃・浄化サービス)を含む,主要要員及び支援機関のリ

スト

−  近隣組織からの相互支援の可能性

−  内部及び外部コミュニケーションプロセス


43

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  様々な種類の緊急事態に対してとるべき緩和及び対応処置

−  是正処置及び予防処置を確立し実施するための,計画した対応の評価を含む,緊急事態後の評価プロ

セス

−  緊急事態対応手順の定期的なテストの実施

−  各物質の環境への潜在的な影響を含む有害物質に関する情報,及び事故による排出に当たってとられ

る措置

−  緊急事態への対応要員及びその有効性のテストの実施に関するものを含む,教育訓練又は力量要求事

緊急事態への準備を計画するとき,事業継続及び労働安全衛生に関連する他のマネジメントシステムと

のつながりを考慮することができる。

組織は,緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスが計画どおりに実施されるという確信をも

つために必要な程度の,文書化した情報を維持することが望ましい。

パフォーマンス評価 

9.1 

監視,測定,分析及び評価 

9.1.1 

一般 

組織は,環境パフォーマンスの定期的な監視,測定,分析及び評価のための体系的な取組みを行うこと

が望ましい。この取組みによって,組織が環境パフォーマンスについて正確に報告し,コミュニケーショ

ンを行うことが可能になり得る。

監視とは,一般には,必ずしも監視機器を用いずともある時間にわたって行われる観察のプロセスをい

う。測定とは,一般には,通常は機器を用いて,定量的又は定性的な性質を決定するプロセスをいう。し

たがって,測定は,必要に応じて,そうした機器の持続的な信頼性を確実にするための追加的な管理(例

えば,校正)の必要性を意味し得る。

組織は,環境目標,著しい環境側面,順守義務及び運用管理を考慮に入れて,監視し測定する必要があ

る対象を決定することが望ましい。これには,データを収集する頻度及びその方法の決定を含めることが

望ましい。

最も重要な測定に資源を集約させるために,組織は,容易に理解でき,かつ,環境パフォーマンスの評

価に当たって有用な情報を提供する,関連する指標を選定することが望ましい。指標の選定は,組織の運

用の性質及び規模を反映し,組織の環境影響に対して適切なものであることが望ましい。指標の例には,

温度,圧力,pH などの物理的パラメータ,材料の使用,エネルギー効率,包装の選択及び輸送が含まれる。

指標の選定に関する手引は,ISO 14031 に示されている。

監視及び測定は,環境マネジメントシステムにおいて,次に示すような様々な目的に役立ち得る。

−  環境方針のコミットメント及び環境目標の達成,並びに継続的改善に関して進捗を追跡する。

−  著しい環境側面を決定するための情報を提供する。

−  順守義務を満たすための,排出及び放出に関するデータを収集する。

−  環境目標を達成するための,水,エネルギー又は原材料の使用量に関するデータを収集する。

−  運用管理を支援又は評価するためのデータを提供する。

−  組織の環境パフォーマンスを評価するためのデータを提供する。

−  環境マネジメントシステムのパフォーマンスを評価するためのデータを提供する。


44

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

注記 1  環境パフォーマンス評価に関する更なる手引は,ISO 14031 に示されている。

注記 2  定量的環境情報に関する手引は,ISO/TS 14033 に示されている。

監視及び測定は,次のような,結果の妥当性についての確信を与えるための適切なプロセスで管理され

た条件の下で実施することが望ましい。

−  サンプリング及びデータ収集の技法の選択

−  測定機器の適切な校正又は検証の提供

−  国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準の使用

−  力量を備えた要員の登用

−  データの解釈及び傾向分析を含む,適切な品質管理手法の利用

組織は,必要に応じて,国内の認定機関によって認定されているか又は規制当局によって承認されてい

るテスト技法をもつ試験所の利用を考慮することが望ましい。認定又は承認が不可能であるか又は利用で

きない場合には,組織は,分割サンプル分析,認証標準物質のテスト,技能試験プログラムなど,結果の

正確さを検証するための他の適切な方法を考慮することができる。

監視及び測定の結果を,不適合,順守義務によって規定されている制限の順守,パフォーマンスの傾向

及び継続的改善の機会を特定するために分析し,用いることが望ましい。データの分析には,信頼できる

情報を生成するために必要な,データの質,妥当性,適切性及び完全さの考慮が含まれ得る。望ましい結

果が達成されたか否かについての決定の信頼性を高めるために,統計的ツールを用いることができる。こ

れらのツールには,必要に応じて,グラフ化,索引化,集計又は重み付けが含まれ得る。

監視,測定,分析及び評価を実施する手順を文書化することによって,生成されるデータの一貫性,再

現性及び信頼性を提供することの助けとなり得る。監視,測定,分析及び評価の結果は,文書化した情報

として保持することが望ましい。

9.1.2 

順守評価 

組織は,4.2 及び 6.1.3 で決定した順守義務に照らしてパフォーマンスを監視し,測定し,分析し,レビ

ューすることによって,順守義務が満たされている程度を評価するためのプロセスを確立することが望ま

しい。このプロセスは,組織が,順守義務を満たすことに対するコミットメントを実証し,順守状況を理

解し,規制違反の可能性を低減し,利害関係者からの,好ましくない行動を回避することの助けとなり得

る。

全ての順守義務に対するパフォーマンスは,定期的に評価することが望ましいが,その頻度及びタイミ

ングは,次の事項によって異なり得る。

−  組織の法的要求事項

−  順守義務として採用したその他の要求事項との関連性

−  順守義務の変化

−  順守義務に関する組織の過去のパフォーマンス。これには,不順守に関係する潜在的で有害な影響を

含む。

−  プロセス又は活動のパフォーマンスにおいて想定される変動。例えば,廃水処理プラントのパフォー

マンスは,受け入れる廃水量によって変動し得る。

順守評価は,組織が順守義務を満たしているか否かを決定するために,環境マネジメントシステムの他

の領域からのアウトプットを用いる,反復的なプロセスであることが望ましい。順守評価のために用いる


45

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

方法には,次のような行動を通じた情報及びデータの収集が含まれ得る。

−  施設の巡視又は検査

−  直接観察又は面談

−  プロジェクト又は業務のレビュー

−  サンプル分析又はテスト結果のレビュー,及び規制上の制限との比較

−  検証のためのサンプリング又はテスト

−  法律で求められている文書化した情報のレビュー(例えば,有害廃棄物管理票,規制上の提出物)

内部監査(9.2 参照)は,順守義務を満たすことを評価するために確立し実施するプロセスの有効性を決

定するために用いることができるが,組織の順守義務が満たされていることを実証するために用いること

はできない。しかし,監査の技法は,組織の順守義務を満たすことを評価するために適用することができ

る。

順守義務は,

次に示すような,

種々の環境マネジメントシステムプロセスを考慮に入れることができる。

−  著しい環境側面の決定(6.1.2.5 参照)並びに取り組む必要があるリスク及び機会の決定(6.1.1 参照)

−  取組みのための計画策定(6.1.4 参照)

−  環境目標の確立(6.2.2 参照)

−  認識(7.3 参照)

,外部コミュニケーション(7.4.3 参照)

,運用の計画及び管理(8.1 参照)

,並びに監

視及び測定(9.1 参照)のプロセスの策定

これらのプロセス及び達成された結果の有効性は,順守義務を満たすことの証拠を示すこともできる。

組織は,利害関係者が提供する報告書及びコミュニケーション(例えば,規制当局によるサイトの検査

報告書,顧客による監査)をレビューすること,又は特に順守義務に関して利害関係者とコミュニケーシ

ョンを行うことを選択することができる。

順守義務を満たしていない又は満たしていない可能性があることが特定された場合,組織は,処置をと

ることが望ましい。組織の不適合及び是正処置のプロセス(10.2 参照)は,必要な修正に対処するために

用いることがある。組織は,必要に応じて及び要求に従って,関連する利害関係者に対し,順守義務を満

たしていないことについて伝達するか,又は報告することが望ましい(7.4 参照)

不順守は,例えばそれが環境マネジメントシステムプロセスによって特定され,修正された場合は,必

ずしもマネジメントシステムの不適合にはならない。

順守評価によって,組織は,順守状況に関する知識及び理解を得ることとなる。順守評価の頻度は,こ

の知識及び理解を最新の状態にしておくに当たって適切なものであることが望ましい。評価は,トップマ

ネジメントが,順守義務を満たしていることをレビューし,組織の順守状況の認識を維持することができ

るように,適切な時期にマネジメントレビュー(9.3 参照)へのインプットを提供するような方法で実施す

ることが望ましい。

組織は,順守評価の証拠として,文書化した情報を保持することが望ましい。これには,次の事項を含

み得る。

−  順守評価の結果の報告書

−  内部監査及び外部監査の報告書

−  内部及び外部コミュニケーション並びに報告書


46

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

9.2 

内部監査 

組織の環境マネジメントシステムの内部監査は,システムが計画された取決めに適合しているか,適切

に実施され維持されているかを決定し,管理層にその情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で実

施することが望ましい。その結果は,組織の環境マネジメントシステムの改善の機会を特定するために用

いることができる。

組織は,内部監査の計画及び実施を方向付ける内部監査プログラムを策定し,その監査プログラムの目

的を達成するために必要な監査を特定することが望ましい。監査プログラム,及び内部監査の頻度は,環

境側面及び潜在的な環境影響,取り組む必要があるリスク及び機会,前回までの内部監査及び外部監査の

結果,並びにその他の関連要素(例えば,組織に影響を与える変更,監視及び測定の結果,前回までの緊

急事態)に関する組織の運用の性質に基づくことが望ましい。管理としての監査規定がある外部委託した

プロセスは,監査プログラムの計画に際して考慮することが望ましい。

組織は,内部監査の頻度を決定することが望ましい。監査プログラムは,例えば単年又は数年単位のも

のがあり,また,一回又は複数の監査から成ることもある。

監査プログラムが確実に全ての組織単位及び機能,システム要素並びに環境マネジメントシステムの全

適用範囲を定期的に監査している限り,それぞれの内部監査はシステム全体を網羅する必要はない。

内部監査は,客観的かつ公平な監査員又は監査チームが,必要に応じて組織内外から選定された技術専

門家の助けを借りて,計画し,実施することが望ましい。監査員又は監査チームの全体としての力量は,

特定の監査の目的を達成し,その監査の適用範囲に合致し,その結果に対して信頼できるほどに十分なも

のであることが望ましい。

内部監査の結果は,検証の基盤として報告書の形で提出することができ,特定の不適合を修正若しくは

防止するため,又は監査プログラムの一つ若しくは複数の目的を達成し,マネジメントレビューへのイン

プットを提供するために用いることができる。

組織は,

監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,

文書化した情報を保持することが望ましい。

注記  環境マネジメントシステム監査に関する手引は,JIS Q 19011 に示されている。

9.3 

マネジメントレビュー 

組織のトップマネジメントは,環境マネジメントシステムの継続的な適切性,妥当性及び有効性を評価

するために,自らが定めた間隔で環境マネジメントシステムのレビューを行うことが望ましい。このレビ

ューは,環境マネジメントシステムの適用範囲内にある活動,製品及びサービスの環境側面を網羅するこ

とが望ましい。

マネジメントレビューは,他の管理層の活動(例えば,役員会,運営会議)と同時に行うか,又は個別

の活動として実施することができる。環境マネジメントシステムの優先事項及び資源に関する決定と他の

事業の優先事項及び資源のニーズとのバランスがとれるように,マネジメントレビューは,組織の計画及

び予算化サイクルとの間で調整することができ,また,環境パフォーマンスは,トップマネジメントによ

る事業全体のパフォーマンスのレビューにおいて評価することができる。

マネジメントレビューへのインプットには,次の事項が含まれ得る。

−  監査の結果,及び順守義務を満たすことの評価の結果

−  苦情を含む,外部の利害関係者からのコミュニケーション

−  組織の環境パフォーマンス

−  組織の環境目標が達成されている程度

−  是正処置の状況


47

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  前回までのマネジメントレビューの結果に対するフォローアップ

−  変化している周囲の状況。これには,次を含む。

−  組織の状況

−  組織の活動,製品及びサービスの変更

−  計画した又は新規の開発に関する,著しい環境側面及び取り組む必要があるリスク・機会の評価の

結果

−  組織の順守義務の変化

−  利害関係者の見解

−  科学技術の進歩

−  緊急事態から学んだ教訓

−  資源の妥当性

−  改善のための提案

環境マネジメントシステムのレビューからのアウトプットには,次の事項に関する決定を含めることが

望ましい。

−  システムの適切性,妥当性及び有効性

−  継続的改善の機会

−  物的資源,人的資源及び資金の変更の必要性

−  必要な場合には,環境目標が達成されていない場合の処置

−  環境方針,環境目標及び環境マネジメントシステムのその他の要素の可能な変更に関係する処置

−  必要な場合には,他の事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合の改善に関係する処置

−  組織の戦略的な方向性に関する示唆

マネジメントレビューの結果の証拠として保持される文書化した情報の例には,会議の議題,出席者リ

スト,発表資料又は配付資料のコピー,及び報告書,議事録又はトラッキングシステムに記録された管理

層の決定が含まれる。

トップマネジメントは,マネジメントレビューに参加することが望ましい人を決定することができる。

そのような人には,通常,環境スタッフ,主要な組織単位の管理者及びトップマネジメントが含まれる。

他のマネジメントシステム(例えば,品質,労働安全衛生,エネルギー,事業継続)の責任者も,統合の

目的のために参加してもよい。

10 

改善 

10.1 

一般 

改善は,有効な環境マネジメントシステムのために不可欠である。組織は,次の事項の結果として,改

善の機会を特定することが望ましい。

−  環境パフォーマンス及び順守義務を満たすことに関係する,監視,測定,分析及び評価(9.1 参照)

−  環境マネジメントシステムの監査(9.2 参照)

−  マネジメントレビュー(9.3 参照)

環境マネジメントシステムの意図した成果を達成するために,組織は,不適合の管理及び修正を含む,


48

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

特定した改善の機会に取り組むために必要な処置をとり,また,環境マネジメントシステムの適切性,妥

当性及び有効性の継続的改善を通じて,環境パフォーマンスを向上させることが望ましい。

10.2 

不適合及び是正処置 

環境マネジメントシステムを継続的に有効なものとするために,組織は,不適合を特定し,有害な環境

影響を緩和する処置をとり,不適合の原因を分析し,是正処置をとるための体系的なアプローチをもつこ

とが望ましい。このアプローチは,組織が環境マネジメントシステムを実施し,維持するために役立つ。

不適合とは,環境マネジメントシステムに関係して,又は環境パフォーマンスに関連して規定すること

ができる,要求事項を満たしていないことである。環境マネジメントシステムの一部が意図したように機

能しなかったり,又は環境パフォーマンス要求事項が満たされなかったりする状況が生じることがある。

そのような状況の例には,次に示すものが含まれる。

−  次に示すような,環境マネジメントシステムパフォーマンスの不適合

−  製品の環境側面に対して,著しさの評価が行われていない。

−  緊急事態への準備及び対応に対する責任が割り当てられていない。

−  順守義務を満たすことの定期的な評価における不備

−  次に示すような,環境パフォーマンスの不適合

−  エネルギー低減目標が達成されない。

−  メンテナンス要求事項が予定どおりに実施されない。

−  運用基準(例えば,許容限界)を満たしていない。

9.2

に記載する内部監査プロセスは,定期的に不適合を特定する一つの方法である。別の方法として,不

適合の特定に対する責任,及び組織の管理下で働く全ての人に対して潜在的な又は顕在した問題を報告す

ることに対する責任を割り当てることがある。

不適合を特定した場合には,環境マネジメントシステムの適切な部分に焦点を当てた是正処置がとれる

ように,原因究明のための調査を行うことが望ましい。不適合に対処するための計画を策定する場合,組

織は,問題を解決するためにはどのような処置をとるとよいか,状況を修正し,通常の運用を再開するた

めにはどのような変更を加えるとよいか,また,原因を除去し,問題の再発又は他のところで発生するの

を防止するためには何をするとよいかについて考慮することが望ましい。そのような処置の性質及びタイ

ミングは,不適合及び環境影響の性質及び大きさに対して適切であることが望ましい。

ある潜在する問題を特定したが,顕在した不適合が存在しない場合は,不適合の発生を防止するための

処置をとることができる。潜在する問題は,顕在した不適合に対する是正処置を類似の活動が発生してい

る他の適用可能な領域に当てはめる方法,傾向分析,HAZOP(hazard operability study)などの方法を用い

ることによって特定することができる。これは,6.1.1 で特定したリスク及び機会への取組みの計画策定に

おいて考慮することが望ましい。

処置によって環境マネジメントシステムへの変更が生じる場合,該当する場合には,関連する文書化し

た情報及び必要な力量を更新することが望ましく,また,知らせる必要がある人々にその変更を伝達する

ことが望ましい。管理層は,是正処置及び問題を発生前に防止する処置が実施されていること,並びにと

った処置の有効性を確保するために体系的なレビュー及びフォローアップが行われていることを確実にす

ることが望ましい。

組織は,不適合の性質及びそれに対してとった処置並びにとった是正処置の結果の証拠として,文書化

した情報を保持することが望ましい。


49

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

10.3 

継続的改善 

10.3.1 

改善の機会 

継続的改善は,環境パフォーマンスを向上させるための有効な環境マネジメントシステムの鍵となる属

性である。継続的改善は,環境目標を達成し,環境マネジメントシステム全体又はそのいずれかの構成要

素を向上させることによって成し遂げることができる。組織は,全従業員に対して,改善の提案に寄与す

るよう奨励することができる。

組織は,改善の機会を特定するために,その環境パフォーマンス及び環境マネジメントシステムプロセ

スごとのパフォーマンスを継続的に評価することが望ましい。トップマネジメントは,マネジメントレビ

ューのプロセスを通じて,この評価に直接に関与することが望ましい。

環境マネジメントシステムの欠陥の特定は,重要な改善の機会を提供することにもなる。このような改

善を実現するために,組織は,どのような欠陥が存在するかを知り,それがなぜ存在するかを理解するこ

とが望ましい。これは,環境マネジメントシステムの欠陥の根本原因を分析することによって達成するこ

とができる。

継続的改善に役立つ情報源には,次の事項が含まれる。

−  不適合及び関連する是正処置で得られた経験

−  ベストプラクティスを基準にした外部のベンチマーキング

−  事業者団体及び同業者グループ

−  新しい法律,又は既存の法律に対して提案されている変更

−  環境マネジメントシステム監査及びその他の監査の結果

−  監視及び測定の結果の評価及び分析

−  技術の進歩に関する文献

−  従業員,顧客及び供給者を含む利害関係者の見解

10.3.2 

継続的改善の実施 

改善の機会を特定したら,どのような処置をとればよいかを決定するために,それらを評価することが

望ましい。改善のための処置を計画し,しかるべく環境マネジメントシステムの変更を実施することが望

ましい。

改善は,全ての領域で同時に実施する必要はない(4.4.1 参照)

。環境マネジメントシステムの継続的改

善の達成は,そのシステムのパフォーマンスが向上するに従って難しくなっていく可能性がある。改善の

取組みの例を,実践の手引 20 に示す。

実践の手引 20−改善の例 

改善の例には,次の事項を含む。

−  より有害でない材料の使用を促進するために,新しい材料を評価するためのプロセスを確立する。

−  組織による廃棄物の発生を低減するために,材料及び取扱いに関する従業員の教育訓練を改善する。

−  水を再利用できるように,廃水処理プロセスを導入する。

−  印刷室で両面印刷を行うために,印刷装置のデフォルト設定を変更する。

−  輸送会社による化石燃料の使用を低減するために,配送ルートを再設計する。

−  ボイラ運転での燃料の代替を実施するため,及び粒子状の排出物を低減するための環境目標を確立す

る。

−  組織内で環境改善の文化を築く。


50

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

−  利害関係者とのパートナーシップを構築する。

−  組織の事業プロセスにおける持続可能性を考慮する。


51

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

附属書 A

(参考)

活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び機会,並びに取組みの例

表 A.1−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び機会,並びに取組みの例 

活動・製品・ 

サービス 

環境側面 

顕在する及び潜在的な 

環境影響 

取り組む必要があるリスク及び機会 

取組みのための計画策定 

活動:油燃焼ボイラの運転 

ボイラの運転

燃料油の使用

再生不可能な 天然資源 の

枯渇

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  燃料油が入手不可能

−  燃料油のコストの増加 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  ボイラの熱源の,太陽エネルギーへの代替

−  運転コストの削減

財務部門から,燃料価格を監視し,

将来のコストシナリオとの比較を行

い,費用対効果分析を行うよう求め
る。

ボイラの熱源を太陽エネルギーに代

替するための環境目標を確立する。

二酸化硫黄(SO

2

,窒素酸

化物(NO

x

)及び二酸化炭

素(CO

2

(すなわち温室効

果ガス)の排出

周辺住民の呼 吸器系へ の

影響 
地表水に対す る酸性雨 の

影響

地球温暖化及び気候変動

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  順守義務を満たしていない。 
−  罰金の可能性

−  否定的な評判を受ける。 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  排出の低減:  排煙脱硫装置の設置

順守義務を満たすことを確実にする

ための運用管理を実施する。 
適切な排出低減装置を設置するため

の環境目標を確立する。

温水の排出

水質の変化(例えば,温度)

機会(潜在的で有益な影響) 
−  温排水からの熱回収

−  運転コストの削減

熱回収システムの導入のための環境

目標を確立する。

地下タンクへのボ

イラ燃料の貯蔵

土地への油の排出

(緊急事態)

土壌汚染

地下水汚染

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  清掃・浄化コスト 
−  罰金 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  ボイラの熱源の,太陽エネルギーへの代替

タンク漏れ及び清掃・浄化に対処す

るための緊急対応計画を策定する。 
タンクの漏れ試験を定期的に行うた

めの運用管理を実施する。

ボイラの熱源を太陽エネルギーに代
替するための環境目標を確立する。

51

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


52

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.1−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び機会,並びに取組みの例(続き) 

活動・製品・ 

サービス 

環境側面 

顕在する及び潜在的な 

環境影響 

取り組む必要があるリスク及び機会 

取組みのための計画策定 

燃料油の受渡し及

び移送

地表水排水設 備への燃 料

油の管理されない排出(緊
急事態)

地表水の汚染

動物体内への 有毒物質 の
蓄積

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  清掃・浄化コスト 
−  罰金

−  会社価値の低下につながる否定的な評判

受渡プロセスを策定する。

管理されない排出及び清掃・浄化に
対処するための緊急対応計画を策定

する。

活動:道路建設 

大雨時の工事

雨水の流出( 非通常の 状

況)

土壌の侵食

地表水の汚染

湿地生息地の悪化

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  清掃・浄化コスト

−  罰金 
−  将来の建設プロジェクトの喪失につながる

(生息地の悪化による)否定的な評判

沈泥の流出を抑えるための運用管理

を実施する。

管理されない流出を緩和するための
緊急対応計画を策定する。

清掃・浄化への対応を策定する。

活動:農業−稲作 

洪水,及び水田の

準備

水の使用

地下水源の枯渇

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  気候変動(例えば,降雨の減少)

−  掘り抜き井戸及び帯水層への依存の高まり
−  水コストの増加 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  少ない水使用量で栽培できる(すなわち,

より耐乾性の高い)稲種の発見

−  代替作物の栽培

将 来 の 気 候 変 動 シ ナ リ オ に 基 づ い

て,水の利用可能性のモデル化に取

り組む。 
調査研究に投資する。

農薬の使用

土壌汚染

慢性的な健康 への悪影 響
又は種の絶滅を招く,動物

体内への有毒物質の蓄積

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  地下水汚染 
−  農薬耐性をもつ生物

−  農薬使用の増加

−  コストの増加 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  有機農法の利用

−  総合的病害虫・雑草管理 
−  農薬コストの削減

農薬の使用を最小限に抑えるか又は

代替する可能性について,調査を行
う。

農薬使用の運用管理を行う。

現在の有機農法を研究する。

CO

2

及びメタン(すなわち

温室効果ガス)の排出

地球温暖化及び気候変動

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  組織及び業界のイメージの悪化

カーボンオフセットの可能性を研究
する。

52

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.1−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び機会,並びに取組みの例(続き) 

活動・製品・ 

サービス 

環境側面 

顕在する及び潜在的な 

環境影響 

取り組む必要があるリスク及び機会 

取組みのための計画策定 

製品:ボイラ 

高効率のボイラの

設計

燃料使用の削減

枯渇性エネル ギー源の 保

全  (有益な影響)

機会(潜在的で有益な影響) 
−  売上の増加 
−  革新的な設計による,評判の向上

コスト及び CO

2

の削減に関するマー

ケティングキャンペーンを行う。

設計段階における
非有害物への代替

使用後の有害 廃棄物の 発
生の削減

埋立て処分す る有害廃 棄
物の削減(有益な影響)

機会(潜在的で有益な影響) 
−  売上の増加

−  生産者責任の法令による罰金の減少

製品の適切な回収に関する情報を提
供する。

製品:プリンタのトナーカートリッジ 

再利用できるよう

に設計されたトナ

ーカートリッジ

原材料及びエ ネルギー の

使用量の削減

使用後の固形 廃棄物発 生
量の削減

枯渇性エネル ギー源の 保

全(有益な影響)

埋立て処分す る廃棄物 の
削減(有益な影響)

機会(潜在的で有益な影響) 
−  サービス活動の提供

−  より長期にわたる顧客との関係

製品の販売時に,カートリッジのリ

サイクル方法についての情報を提供

する。

製品:エアコン 

消費者による装置
の運転

電気の使用(組織が側面に
“影響を及ぼす”ことがで

き得る。

再生不可能な 天然資源 の
枯渇

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  より競争力の高い製造者に比べて売上が減

競合他社に対するパフォーマンスの
ベンチマーキングを行う。

エネルギー効率に関する研究開発に

対し,更なる投資を行う。

冷媒の使用

エアコンのシ ステムに 漏
えいがあった 場合の地 球

温暖化及び潜 在的なオ ゾ

ン層破壊

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  地球温暖化及びオゾン層破壊の可能性を高

める冷媒の使用に起因する,否定的な評判

機会(潜在的で有益な影響) 
−  資格をもつ技術者による新たなサービスの

提供

代替冷媒について,研究機関とのパ
ートナーシップを確立する。

固形廃棄物の発生(組織が

側面に“影響を及ぼす”こ

とができ得る。

埋立て処分す る廃棄物 の

増加

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  廃棄委託料に係るコストの増加

−  埋立ての禁止

リサイクル又は再利用の選択肢を研

究する。

53

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


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Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.1−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び機会,並びに取組みの例(続き) 

活動・製品・ 

サービス 

環境側面 

顕在する及び潜在的な 

環境影響 

取り組む必要があるリスク及び機会 

取組みのための計画策定 

サービス:メンテナンス及び修理サービス 

化学品の取扱い及

び使用

火災又は爆発時の,管理さ

れない排出(緊急事態)

大気汚染

土壌汚染 
人体損傷

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  清掃・浄化コスト 
−  罰金

−  評判の悪化

化学品の使用を排除するための環境

目標を確立する。

下請負に出された

エアコン修理

オゾン層破壊物質(すなわ

ち冷媒)の排出(非通常の

状況)

オゾン層破壊

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  罰金

−  評判の悪化

メンテナンスの改善を確実にするた

めに契約の再入札を行う。

サービス:オフィスサポートサービス 

文書の印刷

電気の使用

紙の使用

天然資源の枯渇

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  より競争力の高いオフィスのペーパーレス

化技術による,事業の喪失

オフィスのペーパーレス化技術を提

供する機会を研究する。

両面印刷

天然資源の使用削減(組織

が側面に“影響を及ぼす”

ことができ得る。

天然資源の保全(有益な影

響)

機会(潜在的で有益な影響) 
−  コスト削減

潜在的な顧客に対して環境上及びコ

スト上の利益を促進するためのマー

ケティング資料を作成する。

古紙のリサイクル

固形廃棄物発 生量の削 減

(組織が側面に“影響を及
ぼす”ことができ得る。

埋立てする廃 棄物の削 減

(有益な影響)

機会(潜在的で有益な影響) 
−  コスト削減 
−  肯定的な評判

54

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


55

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.1−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面及び環境影響,リスク及び機会,並びに取組みの例(続き) 

活動・製品・ 

サービス 

環境側面 

顕在する及び潜在的な 

環境影響 

取り組む必要があるリスク及び機会 

取組みのための計画策定 

サービス:製品及びサービスの輸送及び流通 

定常的な運送機器

メンテナンス(オ
イル交換を含む。

窒素酸化物(NO

x

)の排出

削減 
油性廃棄物の排出

大気汚染の低減(有益な影

響) 
土壌汚染

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  罰金 
−  清掃・浄化コスト 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  油性廃棄物のリサイクル 
−  運転コストの削減

メンテナンス担当者に環境上の利益

を伝達する。 
廃棄物管理に関する運用管理プロセ

スを策定する。

再資本化において,電動車両に切り
替えることを考慮する。

運送機器の運転

燃料の使用

再生不可能な 化石燃料 の
枯渇

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  燃料の利用可能性

−  燃料コストの増加 
機会(潜在的で有益な影響) 
−  代替燃料[圧縮天然ガス(CNG)又は液化

天然ガス(LNG)

]の使用

−  燃料コストの削減

燃料の使用を削減するための環境目
標を確立する。

窒素酸化物(NO

x

)の排出

大気汚染 
地球温暖化及び気候変動

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  より厳格な燃料排出基準の導入

排出削減方法を研究する。

騒音の発生

周辺住民に与 える不快 感
又は迷惑

リスク(潜在的で有害な影響) 
−  組織のイメージの悪化

ドライバーの教育訓練を提供する。 
厳格な運転時間を課す。

包装

包装材料の引取り

埋立て処分す る廃棄物 の

削減

機会(潜在的で有益な影響) 
−  依頼者との関係の改善

契約交渉の一部として,サービスを

促進する。

55

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


56

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.2−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面,環境目標,目標(target),実施計画,指標,運用管理,並びに監視及び測定の例 

環境側面 

環境目標 

目標(target 

実施計画 

指標 

運用管理 

監視及び測定 

活動:油燃焼ボイラの運転 

燃料油の使用

再 生 不 可 能 な 資
源 の 使 用 量 を 削

減する。

1

年以内に(今年の

年間使用量を基準

にした)燃料油の
使用量を 20 %削減

する。

より効率の良い燃料バー

ナを設置する。

プロジェクト計画のマイ

ルストーン

ボイラの稼働時間当たり
の燃料油の使用量

改良バーナの据付けプロ

セス

油使用量の記録のための
プロセス

プロジェクト計画の進捗

状況の四半期ごとの評価

油使用率の月別追跡調査

温水の排出

水 温 上 昇 に よ る

流 域 の 質 へ の 好

ま し く な い 環 境
影 響 を 最 小 限 に

する。

2018

年までに排出

水の日平均温度を

5

℃下げる。

設備及び設計の技術者が

温排水の熱を回収し再利

用(すなわち,コジェネ
レーション)するために

運転を再検討する。

排出水の日平均温度

流域の水質項目

流域の魚・動物の種の数
及び多様性

水質のサンプリング及び

分析のプロセス

魚・動物のサンプリング
計画

コジェネレーションの操

作プロセス 
技術的管理

排出水の水温の連続監視

流域の水質の四半期ごと

の監視

製品:エアコン 

電気の使用

消 費 者 に エ ネ ル
ギ ー の 保 全 を 奨

励する。

今年末までに昨年
の運転温度を基準

にして運転温度を

5 %

下げる。

製品にエネルギー効率の
資料を添付して配布し,

エネルギー使用が過剰な

場合の環境影響について
消費者を教育する(例え

ば,コスト削減,有害な

環境影響の低減)

エネルギーの保全に関す
る顧客の関心の高まり

エネルギー効率の高い新

製品に対する顧客の関心
の高まり

効果的な製品材料の設計
電気エネルギーの使用

エネルギー効率に対する

顧客の要望についての新
製品設計における考慮

使用者の調査

固形廃棄物の
発生

包 装 材 使 用 量 を
減らし,消費者の

処 分 す る 固 形 廃

棄 物 の 発 生 を 削
減する。

2018

年までに現在

の製品ラインで包

装材料の 5 %削減

を達成する。

製品の包装を再設計する
( エ ン ジ ニ ア リ ン グ 部

門,6 か月)

生産変更を実施する(6
か月)

試運転及びフル生産

ユニット当たりの包装材
料の量

製品ラインで使用する包

装材料の削減率 
消費者段階での固形廃棄

物発生のユニット当たり

容積の推定削減量

設計管理プロセス 
製品包装プロセス

使用する包装材料の量の
四半期ごとの監視(例え

ば,購入時の量からスク

ラップ量を引いたもの) 
製品ラインで出荷される

製品ユニット

56

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


57

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.2−活動・製品・サービス,これらに伴う環境側面,環境目標,目標(target),実施計画,指標,運用管理,並びに監視及び測定の例(続き) 

環境側面 

環境目標 

目標(target 

実施計画 

指標 

運用管理 

監視及び測定 

サービス:製品及びサービスの輸送及び流通(運送機器のメンテナンス) 

窒 素 酸 化 物

( NO

x

) の 排

運 送 機 器 メ ン テ

ナ ン ス の 有 効 性

を改善して,大気
の 質 に 与 え る 好

ま し い 環 境 影 響

を高める。

2018

年までに NO

x

の排出量の 25 %削

減を達成する。

NO

x

削減のための主要な

メンテナンスパラメータ

を特定する。 
主要な NO

x

削減作業を採

用したメンテナンス実施

計画に変更する。 
コンピュータプログラム

によって,運送機器メン

テナンススケジュールを
最適化する。

メンテナンスの定時実施

1 km

当たりの NO

x

排出量

メンテナンスプロセス

メンテナンス技能者の教

育訓練 
定期メンテナンスのコン

ピュータによる通知

スケジュールどおりのメ

ンテナンス頻度の追跡調

査 
車両の燃料 NO

x

効率の監

車両の NO

x

排出量の四半

期ごとの試験

達成した NO

x

削減量の年

次評価

廃油の発生

要 求 事 項 に 適 合
し て 廃 油 を 管 理

する。

1

年以内にサービ

スセンターにおけ

る廃油処分要求事

項への適合を達成
する。

サービスセンターにおけ
る廃棄物管理の教育訓練

実施計画を策定し,実施

する。

訓練されたサービスセン
ター従業員の比率

廃棄物処分に関する不適

合件数 
処分された廃油の要求事

項別の比率

廃棄物管理プロセス 
サービスセンター従業員

の教育訓練実施計画

実施された,サービスセ
ンター従業員の教育訓練

の監視

廃油処分量及び処分方法
の追跡調査

57

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


58

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

表 A.3−順守義務に関係する,取り組む必要があるリスク及び機会並びにこれらへの取組みの例 

順守義務 

取り組む必要があるリスク及び機会 

取組みの計画策定 

新しい法的要求事項

リスク(潜在的で有害な影響) 
新しい又は変化する順守義務の特定及び順守における不備は,組織の

評判を害し得るほか,罰金につながり得る。

規制動向の監視が,新しい要求事項の特定を改善するために有

効であることを確実にするための管理プロセスを策定する。

規制当局が要求する情報

リスク(潜在的で有害な影響) 
対応の不備若しくは遅延又は不正確な対応は,規制当局からの調査の

拡大につながり得る。 
機会(潜在的で有益な影響) 
適切な時期に,主体的に行われ,かつ,透明性のあるコミュニケーシ

ョンは,組織と規制当局との関係を強化し得る。

報告時期を含む,規制当局員からのコミュニケーションの受付
け及び対応のためのより有効なコミュニケーションプロセス

を策定する。

コミュニケーションの適時性及び透明性を改善するための推
奨を行う内部監査プログラムを適用し,必要に応じて,コミュ

ニケーションプロセスの継続的改善のための処置をとる。

使用後の製品の引取りに関

する地域顧客の要求事項

リスク(潜在的で有害な影響) 
必要な資源の増加,及び地域での製品の引取りの支援のための運搬の

増加は,製品の単位当たりのコストを著しく増大させ得る。 
機会(潜在的で有益な影響) 
世界規模での全顧客に対する製品の引取りの実施は,環境に責任をも

つ組織としての評判を向上させ,新規事業の機会につながり得る。

資源の保全及び原材料のコスト削減のため,引取りプログラム

を支援する製品の再生産の設計を策定し,実施するための目標

を確立する。

表 A.4−その他の課題及び要求事項に関係する,取り組む必要があるリスク及び機会並びにこれらへの取組みの例 

その他の課題及び要求事項 

取り組む必要があるリスク及び機会 

リスク及び機会への取組み 

炭素税(アセットマネジメ

ントの組織,金融サービス

の組織)

リスク(潜在的で有害な影響) 
低炭素経済への移行によって,燃焼に利用できない可能性がある既知

の埋蔵石炭のような,座礁資産(stranded assets) 
機会(潜在的で有益な影響) 
再生可能エネルギー又はクリーン技術への投資によって実現した,財

務利益の増大

再生可能エネルギーへの投資の拡大及び排出集約分野への投

資の縮小によって,ポートフォリオを多角化するための目標を

確立する。

水不足(飲食料品分野の組

織)

リスク(潜在的で有害な影響) 
限定的な水の利用可能性による,生産の制約 
機会(潜在的で有益な影響) 
プロセスの最適化を通じて実現した,効率性の増加

生産プロセスにおける水の損失を低減するための,工学的な管

理を適用する。 
パフォーマンス指標を確立し,製品の単位当たりの水使用量を

監視・測定する。

58

Q 1

400

4


2

016

 (ISO

14
004


201

6)


59

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

附属書 B

(参考)

環境マネジメントシステムの実施のための段階的アプローチ

(JIS Q 14005 に基づく)

環境マネジメントシステムの適用範囲が組織の全ての活動,製品及びサービスを含み,環境マネジメン

トシステムの全ての要素を用いて,これらがその完全な範囲で取り組まれている場合,組織は,完全な環

境マネジメントシステムを構築することができる。完全な環境マネジメントシステムを一度に構築するこ

とが困難な組織もあり得る。そうした組織にとって,段階的アプローチは,環境マネジメントシステムに

投ずる時間及び資金が,どれほどの利益を生むかを容易に見積もることができるといった,数々の利点を

もたらす。組織は,環境パフォーマンスの改善がいかにコスト削減,コミュニティとの関係の改善,及び

顧客要求事項に応えることを助け,順守義務を満たすことを実証することに役立ち得るかを知ることがで

きる。組織は,組織にとって価値のある要素を一つ一つ追加又は拡大しながらシステムを実施していくこ

とによって,環境マネジメントシステムの利点を追求することができる。環境マネジメントシステムの段

階的構築のための可能なアプローチには,次が含まれる。

a)

一つ又は限定的な数の環境側面に焦点を当てた,単独のプロジェクトから着手する。これによって,

環境マネジメントシステムの基本的な要素への親しみがもたらされ,組織は体系的な方法で環境側面

をマネジメントすることの利点を経験することができるとともに,環境パフォーマンスを改善し,そ

の結果,環境マネジメントシステムの実施に対する管理層の支援を得ることに役立つ。

b)

要素の順番に合わせた規定のステップを進める(

図 B.1 参照)。このアプローチは,最初の環境プロジ

ェクトを実施した後に,環境側面をマネジメントするための構造化されたアプローチを採用すること

を決定した組織に適切であり得る。

c)

連続して又は同時に実施し得るステップを選定して用いる。このステップの選定は,例えば,利害関

係者のニーズを満たすことを含む順守義務を満たすこと,環境パフォーマンスの改善といったような,

特定の環境問題に取り組むために選択され得る。このアプローチは,その組織のペースで,かつ,そ

の組織に利用可能な資源の範囲内で,環境マネジメントシステムの有効性を確実にするために,環境

マネジメントシステムを構築しようとする組織に適切であり得る。

実施計画は,組織が次の事項を明確にするに当たって有用であり得る。

−  採用するアプローチ

−  達成までの期間

−  必要な資源

−  計画の実施における役割及び責任

−  必要な文書化した情報

−  進捗を一貫して監視及び測定することができる方法

進捗は,段階ごとの最終点で特定される成果の達成度合い,及び実施計画に沿っているかの観点から測

定することができる。環境マネジメントシステムの実施に向けた進捗の測定は,資源の効率的な使用及び

組織の環境目標の達成を確実にするために有益である。

図 B.1 は,5 段階での環境マネジメントシステムの実施を示す。段階 1 は,特定のプロジェクトの実施


60

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

に対応する。

段階 2∼5 は,

環境マネジメントシステムの主要要素の順番に沿った実施に対応する。

組織が,

環境マネジメントシステムの実施を始める十分なコミットメントがある場合には,段階 2 から始めること

ができる。

支援要素が構築される範囲は,環境マネジメントシステムが実施されるに従って大きくなる。これは,

三角形の形で示されている。支援要素が必要とされる範囲は,環境マネジメントシステムが実施されるに

従って広がる。

図 B.1段階での実施の例 

段階 1 環境マネジメントシステムの段階的実施を開始するに当たっ

て,管理層の支援及びコミットメントを確保するための環境関
連プロジェクトの取組み 
・  トップマネジメントの関与

・  プロジェクトの特定及び選定

・  選定したプロジェクトの計画及び実施

段階 2 環境マネジメントシステムの構築及び実施 

・  選定したプロジェクトの点検及びレビュー

・  組織の状況の理解

・  環境方針の準備

・  取り組む必要があるリスク及び機会の決定,並びにこれら

への取組みの計画策定

・  組 織 の 著 し い 環 境 側 面

の特定

・  組織の順守義務の特定

・  順守評価

段階 3 環境マネジメントシステムの構築及び実施 

・  環境方針の完成,伝達及び入手可能化

・  環境目標の設定及び実施計画の確立

・  監視及び測定を含む,環境パフォーマンス評価(鍵となる

特性に関する情報の収集,及びパフォーマンス指標の設定)

段階 4 環境マネジメントシステムの構築及び実施 

・  運用管理 
・  緊急事態への計画及び対応

段階 5 環境マネジメントシステムの構築及び実施 

・  監視及び測定を含む,環境パフォーマンス評価(収集,測

定,分析及び環境パフォーマンスの評価のためのプロセス
の策定)

・  内部監査

・  計画どおりに進まない場合のマネジメント 
・  進捗及びパフォーマンスのマネジメントレビュー

・  継続的改善の実施

環境マネジメントシステム
の実施及び維持を支援する
要素: 

・  リーダーシップ 
・  資源

・  力量

・  認識 
・  コミュニケーション

・  文書化した情報


61

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

参考文献

[1]  JIS Q 0073:2010

  リスクマネジメント−用語

注記  対応国際規格:ISO Guide 73:2009,Risk management−Vocabulary(IDT)

[2]  JIS Q 14001:2015

  環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引

注記  対応国際規格:ISO 14001:2015,Environmental management systems−Requirements with guidance

for use

(IDT)

[3]  JIS Q 14005

  環境マネジメントシステム−環境パフォーマンス評価の利用を含む環境マネジメント

システムの段階的実施の指針

注記  対応国際規格:ISO 14005,Environmental management systems−Guidelines for the phased

implementation of an environmental management system, including the use of environmental

performance evaluation

(IDT)

[4]  JIS Q 14006

  環境マネジメントシステム−エコデザインの導入のための指針

注記  対応国際規格:ISO 14006,Environmental management systems−Guidelines for incorporating

ecodesign

(IDT)

[5]  JIS Q 14020

  環境ラベル及び宣言−一般原則

注記  対応国際規格:ISO 14020,Environmental labels and declarations−General principles(IDT)

[6]  JIS Q 14021

  環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプ II 環境ラベル表示)

注記  対応国際規格:ISO 14021,Environmental labels and declarations−Self-declared  environmental

claims (Type II environmental labelling)

(IDT)

[7]  JIS Q 14024

  環境ラベル及び宣言−タイプ I 環境ラベル表示−原則及び手続

注記  対応国際規格:ISO 14024,Environmental labels and declarations−Type I environmental labelling

−Principles and procedures(IDT)

[8]  JIS Q 14025

  環境ラベル及び宣言−タイプ III 環境宣言−原則及び手順

注記  対応国際規格:ISO 14025,Environmental labels and declarations−Type III environmental

declarations

−Principles and procedures(IDT)

[9]  JIS Q 14040

  環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み

注記  対応国際規格:ISO 14040,Environmental management−Life cycle assessment−Principles and

framework

(IDT)

[10] JIS Q 14044:2010

  環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−要求事項及び指針

注記  対 応 国 際 規 格 : ISO 14044:2006 , Environmental management − Life cycle assessment −

Requirements and guidelines

(IDT)

[11]  JIS Q 14063

  環境マネジメント−環境コミュニケーション−指針及びその事例

注記  対 応 国 際 規 格 : ISO 14063 , Environmental management − Environmental communication −

Guidelines and examples

(IDT)

[12] JIS Q 19011:2012

  マネジメントシステム監査のための指針

注記  対応国際規格:ISO 19011:2011,Guidelines for auditing management systems(IDT)

[13] JIS Q 31000

  リスクマネジメント−原則及び指針

注記  対応国際規格:ISO 31000,Risk management−Principles and guidelines(IDT)


62

Q 14004

:2016 (ISO 14004:2016)

[14] JIS Q 50001

  エネルギーマネジメントシステム−要求事項及び利用の手引

注記  対応国際規格:ISO 50001,Energy management systems−Requirements with guidance for use

(IDT)

[15] JIS Z 26000

  社会的責任に関する手引

注記  対応国際規格:ISO 26000,Guidance on social responsibility(IDT)

[16] ISO 14031:2013

,Environmental management−Environmental performance evaluation−Guidelines

[17] ISO/TS 14033

, Environmental management − Quantitative environmental information − Guidelines and

examples

[18] ISO 14045

, Environmental management − Eco-efficiency assessment of product systems − Principles,

requirements and guidelines

[19] ISO 14046

,Environmental management−Water footprint−Principles, requirements and guidelines

[20] ISO/TR 14062

,Environmental management−Integrating environmental aspects into product design and

development

[21] ISO/TS 14067

, Greenhouse gases − Carbon footprint of products − Requirements and guidelines for

quantification and communication