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Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日

本工業規格である。

これによって,JIS Q 10006:1998 は改正され,この規格に置き換えられる。

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 10006:2003,Quality management

systems

−  Guidelines for quality management in projects を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS Q 10006

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  プロジェクトにおけるプロセスの構成図


Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

3.1

  活動

2

3.2

  利害関係者 

2

3.3

  プロセス 

3

3.4

  進ちょく(捗)評価

3

3.5

  プロジェクト 

3

3.6

  プロジェクトマネジメント 

4

3.7

  プロジェクトマネジメント計画書 

4

3.8

  品質計画書 

4

3.9

  供給者

4

4.

  プロジェクトにおける品質マネジメントシステム 

4

4.1

  プロジェクトの特徴

4

4.2

  品質マネジメントシステム 

6

4.3

  プロジェクトの品質マネジメントシステム

6

5.

  経営者・管理者の責任 

7

5.1

  経営者のコミットメント 

7

5.2

  戦略決定のプロセス

7

5.3

  マネジメントレビュー及び進ちょく(捗)評価 

10

6.

  資源の運用管理 

12

6.1

  資源関連のプロセス

12

6.2

  要員関連のプロセス

13

7.

  製品実現

15

7.1

  一般

15

7.2

  相互依存関連のプロセス 

15

7.3

  範囲関連のプロセス

18

7.4

  時間関連のプロセス

20

7.5

  コスト関連のプロセス 

22

7.6

  コミュニケーション関連のプロセス 

23

7.7

  リスク関連のプロセス 

25

7.8

  購買関連のプロセス

26

8.

  測定,分析及び改善

28

8.1

  改善関連のプロセス

28


Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

(3)

8.2

  測定及び分析 

29

8.3

  継続的改善 

29

附属書 A(参考)  プロジェクトにおけるプロセスの構成図

31

 


日本工業規格

JIS

 Q

10006

:2004

(ISO 10006

:2003

)

品質マネジメントシステム−プロジェクトにおける

品質マネジメントの指針

Quality management systems - Guidelines for quality management in

projects

序文  この規格は,2003 年に第 2 版として発行された ISO 10006:2003,Quality management systems −

Guidelines for quality management in projects

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作

成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある部分は,原国際規格にはない事項である。

この規格は,プロジェクトにおける品質マネジメントの手引を提供する。この規格は,品質マネジメン

トの原則及び実践を概説する。これらの原則及び実践を実行することは,プロジェクトにおける品質目標

の達成に重要であり,影響を与える。この規格は,JIS Q 9004 で与えられている手引を補足するものであ

る。この指針は,広範な読者向けのものである。

この指針は,小規模のものから非常に大規模なもの,単純なものから複雑なもの,単独のプロジェクト

から,プロジェクトのプログラム又はポートフォリオの一部であるものまで多様な形態のプロジェクトに

適用できる。

この指針は,プロジェクトを運営管理した経験をもち,所属組織が JIS Q 9000 ファミリー規格の品質マ

ネジメントの実践の適用を確実にする立場にある要員に使用されることを意図している。また,この指針

は品質マネジメントに経験をもち,その知識及び経験をプロジェクトに適用する上で,プロジェクト組織

と協力し合うことを求められている要員に使用されることも意図している。

当然のことながらあるグループはこの指針に示されている内容がそのグループにとって必要以上に詳し

すぎるとみるであろうが,反面、他の読者はその詳しさを必要としていることもある。

プロジェクトにおいて品質マネジメントを適用する場合には,プロジェクトのプロセスへの適用及びプ

ロジェクトの製品への適用の二つの側面があることが認められている。これらの二つの側面の一方でも満

たすことができない場合には,プロジェクトの製品,プロジェクトの顧客及びその他の利害関係者並びに

プロジェクト組織に重大な影響を与えることがある。

また,品質目標がプロジェクトに参画する組織のすべての階層で周知され,達成されることに対するコ

ミットメントを求めることによって,これらの側面は,品質目標の達成がトップマネジメントの責任であ

ることを強調している。しかしながら,各階層ではそれぞれのプロセス及び製品に対する責任を保持する

とよい。

プロジェクトにおけるプロセス及び製品の品質のつくり込み及び維持には,体系的なアプローチが要求

される。このアプローチでは,顧客が表明しているニーズ及び暗に示しているニーズを理解し,満たすこ

と,その他の利害関係者のニーズを理解し評価すること,並びに,プロジェクト起業組織の品質方針をプ

ロジェクトの運営管理を実行するに当たって考慮することを確実にするのを狙いとするとよい。

プロジェクトにおけるプロセスの概要が

附属書 に示されていることに留意すると良い。


2

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

1. 

適用範囲  この規格は,プロジェクトにおける品質マネジメントの適用についての手引を提供する。

この規格は,種々の複雑さをもつプロジェクト,小規模又は大規模のプロジェクト,短期又は長期のプ

ロジェクト,異なる環境のもとにあるプロジェクト,及びプロジェクトに関わる製品又はプロセスの種類

に関係なく適用できる。これにより,特定のプロジェクト向けにこの手引を修整する必要が生じる場合が

ある。

この規格はプロジェクトマネジメントそのものの手引書ではない。この規格ではプロジェクトマネジメ

ントのプロセスにおける品質に関する手引について論じている。プロジェクトの製品に関連するプロセス

における品質についての手引,及びプロセスアプローチについての手引は JIS Q 9004 に示されている。

この規格は手引を示す文書であるので,認証/審査登録の目的に用いることは意図していない。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21 に基

づき,IDT(一致している)

,MOD(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 10006:2003

,Quality management systems - Guidelines for quality management in projects (IDT)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。

次に掲げる規格は,この規格を適用するに当たって必要不可欠なものである。発効年を付した引用規格

は,記載の年の版だけが適用される。発効年を付していない引用規格は,引用規格の最新版(追補があれ

ばそれを含む)が適用される。

JIS Q 9000:2000

  品質マネジメントシステム−基本及び用語

備考 ISO 

9000:2000

  Quality management systems−Fundamentals and vocabulary が,この規格と一致

している。

JIS Q 9004:2000

  品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針

備考 ISO 

9004:2000

  Quality management systems−Guidelines for performance improvements が,この

規格と一致している。

参考  参考文献目録に,プロジェクトにおける品質マネジメントに適用できるその他の参考規格を示

す。

3. 

定義  この規格では JIS Q 9000:2000 に示された用語及び定義並びに次に示す用語及び定義を適用す

る。次の定義のいくつかは JIS Q 9000:2000 から直接引用しているが,プロジェクトに特有な注釈を付して

補足している。

3.1 

活動(activity

<

プロジェクト>プロジェクト(3.5)プロセス(3.3)において,明確にされた作業の最小項目。

3.2 

利害関係者(interested party

組織のパフォーマンス及び成功に利害関係をもつ人又はグループ。

例  顧客,所有者,組織内の人々,供給者,銀行家,組合,パートナ又は社会。

参考1.  グループは,一つの組織,その一部又は複数の組織のこともある。[JIS Q 9000:2000,定義

3.3.7]

2.

利害関係者には次の事項を含めてもよい。

−  顧客(プロジェクトの製品の)

−  消費者(プロジェクトの製品のユーザーなど)


3

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

−  プロジェクトの所有者(プロジェクトを起こす組織など)

−  パートナ(共同企業体のプロジェクトにおいて指すような)

−  資金提供者(金融機関など)

−  供給者又は下請負契約者(例えば,製品をプロジェクト組織に供給する組織)

−  社会(管轄機関,規制機関,社会全般など)

−  内部の要員(プロジェクト組織の一員など)

3.

利害関係者間で,利害が対立することはあり得る。それら利害の対立は,プロジェクトの成

功のために解決する必要が生じることがある。

3.3 

プロセス(process

インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。

参考1.  プロセスのインプットは,通常,他のプロセスからのアウトプットである。

2.

組織内のプロセスは,価値を付加するために,通常,管理された条件のもとで計画され,実

施される。

    [JIS Q 9000:2000,定義 3.4.1(参考 3 を除く)]

3.4 

進ちょく(捗)評価(progress evaluation

プロジェクト(3.5)の目標の達成に関してなされる進ちょく(捗)の査定。

参考1.  この査定は,プロジェクトの種々のプロセスを通じて,プロジェクトのライフサイクルの適

切な時点で,プロジェクトのプロセス及び製品の基準に基づいて,実施するとよい。

2.

進ちょく(捗)評価の結果によって,プロジェクトマネジメント計画書(3.7)の改訂が必要

になることがある。

3.5 

プロジェクト(project

開始日及び終了日をもち,調整され,管理された一連の活動(3.1)からなり,時間,コスト及び資源の

制約を含む特定の要求事項に適合する目標を達成するために実施される独自のプロセス[JIS Q 9000:2000,

定義 3.4.3(参考を除く)]。

参考1.  個別プロジェクトは,より規模の大きいプロジェクト構造の一部を成すことがある。

2.

一部のプロジェクトにおいては,プロジェクトの進行に伴い,目標及び範囲が更新され,製

品特性が明らかにされていく。

3.

プロジェクトの製品(JIS Q 9000:2000,3.4.2 参照)は一般的にプロジェクト範囲(7.3.1 参照)

で定義する。それは一つの製品の場合もあれば,複数の製品の場合もあり,また,有形の場

合もあれば,無形の場合もある。

4.

プロジェクトの組織は,通常,一時的なものであり,プロジェクトのライフサイクルに対し

て設けられる。

5.

プロジェクトの活動間における相互作用の複雑さは,プロジェクトの規模に必ずしも関係す

るとは限らない。

3.6 

プロジェクトマネジメント(project management

プロジェクトの目標を達成するために,プロジェクト

3.5)の全側面を計画し,組織し,監視し,管理

し及び報告すること,並びにプロジェクトに参画する人々全員への動機付けを行うこと。

3.7 

プロジェクトマネジメント計画書(project management plan

プロジェクト

3.5)の目標を満たすために必要な事項を明記している文書。

参考1.  プロジェクトマネジメント計画書には,プロジェクトの品質計画書(3.8)を含めるか又は,


4

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

引用するとよい。

2.

プロジェクトマネジメント計画書には,また,組織構成,資源,日程表,予算,リスクマネ

ジメント,環境マネジメント,安全衛生マネジメント,セキュリティマネジメントなどの計

画書を適宜含むか又は,引用する。

3.8 

品質計画書(quality plan

特定のプロジェクト

3.5),製品,プロセス(3.3)又は契約に対して,どの手順及びどの関連資源を,

誰が,いつ,適用するかを明記している文書。

参考1.  通常,これらの手順には,品質マネジメントのプロセス及び製品実現のプロセスに関連する

ものが含まれる。

2.

品質計画書は,品質マニュアルの該当部分又は手順書を引用することが多い。

3.

品質計画書は,通常,品質計画の結果の一つである。

    [JIS Q 9000:2000,定義 3.7.5]

3.9 

供給者(supplier

製品を提供する組織又は人。

例  製品の生産者,卸売業者,小売り業者,納入業者若しくは,サービス提供者又は情報提供者

参考1.  供給者は,組織の内部又は外部のいずれでもあり得る。

2.

契約関係においては,供給者は時には“請負契約者”と呼ばれる。

    [JIS Q 9000:2000 定義 3.3.6]

3.

プロジェクトに関連して,

“供給者”の代わりに,

“請負契約者”又は“下請負契約者”がし

ばしば用いられる。

4. 

プロジェクトにおける品質マネジメントシステム

4.1 

プロジェクトの特徴

4.1.1

一般

プロジェクトの特徴の幾つかを次に示す。

−  プロジェクトは,プロセス及び活動で構成される,独自の,反復することのない複数の段階からな

る。

−  プロジェクトは,ある程度のリスク及び不確実性をもつ。

−  プロジェクトには,あらかじめ決定された限界範囲,例えば品質に関連する限界範囲内で明記され,

(最小限)定量化された結果を提供することが期待されている。

−  プロジェクトには,明確に詳細を示されたコスト及び資源の制約内で,計画された開始日及び終了

日がある。

−  要員は,プロジェクトの存続期間にプロジェクト組織に一時的に配属されることがある。[プロジェ

クト組織はプロジェクト起業組織(4.1.2 参照)が任命することがあり,プロジェクトの進ちょく(捗)

に応じて変更されることがある。]

−  プロジェクトは,長期にわたることもあるので,時間の経過とともに変化する内外の影響を受ける

ことがある。

4.1.2

組織

この規格では“プロジェクト起業組織”及び“プロジェクト組織”について個別に言及する。

“プロジェクト起業組織”はプロジェクトを始めることを決める組織である。プロジェクト起業組織は


5

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

単一の組織,共同企業体,コンソーシアムなどとして設立されることがある。プロジェクト起業組織はプ

ロジェクトをプロジェクト組織に割り当てる。プロジェクト起業組織は多数のプロジェクトを引き受ける

ことがあり,それらのプロジェクトをそれぞれ異なったプロジェクト組織に割り当てることがある。

“プロジェクト組織”はプロジェクトを実施する。プロジェクト組織はプロジェクト起業組織の一部の

場合がある。

4.1.3

プロジェクトにおけるプロセス及びフェーズ(段階)

プロセス及び段階はプロジェクトの二つの異なった側面である。プロジェクトは,目標の実現を計画及

び監視する手段として,並びに関連するリスクを査定する手段として,相互依存するプロセス及び段階に

分割することがある。

プロジェクトの段階はプロジェクトのライフサイクルを構想,開発,実現,終了など,管理しやすい区

分に分割する。

プロジェクトプロセスはプロセスを運営管理するために必要なプロセスであり,また,プロジェクトの

製品実現にも必要なプロセスである。

この規格で扱っているすべてのプロセスが特定のプロジェクトにおいて必ずしも存在するとは限らない

が,逆に,別のプロジェクトでは追加のプロセスが必要となることもある。あるプロジェクトの中には,

中核プロセスと支援プロセスとの区別が必要なものもある。大多数のプロジェクトに適用できると考えら

れるプロセスの一覧及びそれらの概要を

附属書 に示す。

参考  プロジェクトにおける品質マネジメントへの手引についての論議を容易にするために,この規

格では“プロセスアプローチ”を採用する。さらに,プロジェクトのプロセスを,プロジェク

トマネジメントのプロセス及びプロジェクトの製品に関連するプロセス(これらは主として,

設計,製造などのプロジェクトの製品に関連する)の二つのカテゴリーにグループ分けした。

プロセスは,それら互いの密接な関係に従って,例えば,時間に関連するすべてのプロセスは一つのグ

ループに含めて,グループ分けしている。11 グループのプロセスを紹介している。

5.

で扱う戦略決定のプロセスは,プロジェクトの方向付けをする。6.では,資源関連のプロセス及び要員

関連のプロセスを扱う。7.では,相互依存,範囲,時間,コスト,コミュニケーション,リスク及び購買

に関連するプロセスを扱う。測定及び分析,並びに継続的改善に関連するプロセスは 8.で扱う。これら 5.~8.

には,各プロセスの記述を含み,そのプロセスにおける品質マネジメントへの手引を提供している

4.1.4 

プロジェクトマネジメントプロセス

プロジェクトマネジメントには,プロジェクトの目標を達成するのに必要なプロジェクトのすべてのプ

ロセスに対して継続的に行う計画,組織化,監視,管理,報告,及び必要な是正処置の実施を含んでいる。

品質マネジメントの原則(4.2.15.2 及び JIS Q 9000:2000,0.2 参照)はすべてのプロジェクトマネジメ

ントのプロセスに適用するとよい。

4.2 

品質マネジメントシステム

4.2.1

品質マネジメントの原則

この規格におけるプロジェクトの品質マネジメントのための手引は,八つの品質マネジメントの原則に

基づいている(JIS Q 9000:2000,0.2 参照)

a

)  顧客重視

b

)  リーダーシップ

c

)  人々の参画

d

)  プロセスアプローチ


6

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

e

)  マネジメントへのシステムアプローチ

f

)  継続的改善

g

)  意思決定への事実に基づくアプローチ

h

)  供給者との互恵関係

これらの一般的な原則は,プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織の品質マネジメントシステムの

基礎にするとよい。

参考  品質マネジメントの原則を戦略決定プロセスで実施する計画に適用するための手引は,5.2.2 

ら 5.2.9 に示す。

4.3

プロジェクトの品質マネジメントシステム

プロジェクトの目標を達成するためには,品質マネジメントシステムの枠内で,プロジェクトプロセス

を運営管理する必要がある。プロジェクトの品質マネジメントシステムは,プロジェクト起業組織の品質

マネジメントシステムとできる限り連携させるとよい。

参考  JIS Q 9004:2000 は,品質マネジメントシステムの有効性及び効率の両方を考慮するための指針

を提供している。

プロジェクトを効果的に計画,実行,及び管理することを確実にするために,プロジェクト組織が必要

とし,作成すべき文書を定めて,管理するとよい(JIS Q 9004:2000,4.2 参照)

4.3.1 

プロジェクトにおける品質計画書

プロジェクトの品質マネジメントシステムは,文書化し,そのプロジェクトの品質計画書に含めるか,

又は,その中で引用するとよい。

品質計画書では,プロジェクトの品質目標達成のために必要な活動及び資源を特定するとよい。品質計

画書は,プロジェクトマネジメント計画書に組み込むか,その中で引用するとよい。

契約の場面では,顧客は品質計画書に対する要求事項を明記することがある。これらの要求事項は,プ

ロジェクト組織が使用する品質計画書の適用範囲を制限するものではない。

参考  ISO 10005 には,品質計画書に関する手引が示されている。

5. 

経営者・管理者の責任

5.1 

経営者のコミットメント

プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織のトップマネジメントのコミットメント並びに積極的な参

画は,プロジェクトの効果的で効率のよい品質マネジメントシステムを開発し,維持するために不可欠で

ある。

プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織の両方のトップマネジメントは,戦略決定のプロセス(5.2

参照)へのインプットを提供するとよい。

プロジェクト組織はプロジェクトの完了で解散することがあるので,プロジェクト起業組織のトップマ

ネジメントは,現行のプロジェクト及び将来のプロジェクトのために継続的改善の処置が確実に実行され

るようにするとよい。

品質に対する文化はプロジェクトが確実に成功するための重要な要素であるから,プロジェクト起業組

織及びプロジェクト組織のトップマネジメントは,この文化を創造する必要がある。

5.2 

戦略決定のプロセス

5.2.1

戦略決定のプロセスを通じた品質マネジメントの原則の適用

品質マネジメントの原則を適用して品質マネジメントシステムを確立,

実行及び維持するための計画は,


7

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

戦略決定,すなわち,方向付けのプロセスである。この計画は,プロジェクト組織が行うとよい。

この計画においては,プロジェクトの目標を満たすために,プロセス及び製品の両方の品質に焦点を絞

る必要がある。

6.1

6.27.2~7.8 及び 8.に示されている特有な手引に加えて,これらの中で記述されているプロセスに

も 5.2.2~5.2.9 に示す一般的手引を適用するとよい。

5.2.2 

顧客重視

組織はその顧客に依存しているのだから,現在及び将来の顧客のニーズを理解し,顧客要求事項を満た

し,顧客の期待を越えるように努力するとよい[JIS Q 9000:2000,0.2a)  参照]。

プロジェクトの成功にとっては,顧客及びその他の利害関係者の要求事項を満たすことが必要である。

すべてのプロセスが,それらの要求事項を満たすことに焦点を絞り,また,それらを満たす能力があるこ

とを確実にするために,それらの要求事項を明確に理解するとよい。

製品の目標を含むプロジェクトの目標の設定に際しては,顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期

待とを考慮するとよい。目標はプロジェクトの遂行の過程で,より精確にされることがある。プロジェク

トの目標は,プロジェクトマネジメント計画書(7.2.2 参照)の中に文書化し,また,何を達成すべきか(時

間,コスト及び製品品質に関する言葉で表して)

,及び何を測定すべきかを詳述するとよい。

時間又はコスト及び製品品質とのバランスを決定するときには,顧客要求事項を考慮に入れて,プロジ

ェクトの製品に対して起り得る影響を評価するとよい。

プロジェクトを通して,情報交換を促進するために,すべての利害関係者との間に,インタフェースを

適宜,確立するとよい。利害関係者の要求事項間に不一致があれば解決するのがよい。

通常,顧客及びその他の利害関係者の要求事項に不一致が生じたときは,法令・規制要求事項の場合を

除いて,顧客の要求事項が優先する。

不一致の解決には,顧客の同意を得るとよい。利害関係者間の合意は文書化するとよい。プロジェクト

の全期間にわたって,利害関係者の要求事項の変更に注意を払う必要がある。この変更には,プロジェク

トの開始後に参加した新しい利害関係者からの追加の要求事項を含める。

5.2.3 

リーダーシップ

リーダーたる者は目的を一致させ,組織の方向づけを確立する。リーダー達は,組織の目標を達成する

ために,人々が全面的に参画できるような内部環境を創造し,維持するとよい[JIS Q 9000:2000,0.2b

参照]。

プロジェクトマネージャは,できる限り早く任命するとよい。プロジェクトマネージャとは,プロジェ

クトを運営管理すること及びプロジェクトの品質マネジメントシステムを確立,実行,維持するのを確実

にすることに対して定められた責任及び権限をもつ個人である。プロジェクトマネージャに委任する権限

は,割り当てる責任に見合ったものであるのがよい。

プロジェクト起業組織とプロジェクト組織の両方のトップマネジメントは,

次の事項を行うことにより,

品質に対する文化を創造することに,リーダーシップをとるとよい。

−  プロジェクトの品質方針を設定し目標(品質目標を含む)を明確にする。

−  プロジェクトの目標を確実に達成するためにインフラストラクチャー及び資源を提供する。

−  プロジェクトの目標を満たす助けとなる組織構造を提供する。

−  データ及び事実に関する情報に基づいて意思決定を行う。

−  プロジェクトプロセス及び製品を改善するために,すべてのプロジェクト要員に権限を与え,動機

づけをする。


8

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

−  将来の予防処置に対する計画を行う。

参考  プロジェクトマネージャの肩書きはプロジェクトごとに変わり得る。

5.2.4

人々の参画

すべての階層の人々は組織にとって根本的要素であり,人々が全面的に参画して初めて,組織の便益の

ために人々の能力を活用することができる[JIS Q 9000:2000,0.2c)参照]。

プロジェクト組織の要員には,プロジェクトへの参加のための十分に定義された責任と権限をもたせる

とよい。プロジェクトの参加者に委譲された権限は,割り当てられた責任に一致させるとよい。

力量のある要員をプロジェクト組織に割り当てるとよい。プロジェクト組織のパフォーマンスを改善す

るためには,プロセスを監視し,管理することができるように,適切なツール,技法及び方法を,要員に

提供するとよい。

種々の国及び種々の文化に関連するプロジェクト,共同企業体,国際プロジェクトなどの場合には,多

文化にまたがる運営管理が暗に意味する課題に取り組むとよい。

5.2.5

プロセスアプローチ

活動及び関連する資源を一つのプロセスとして運営管理するとき,望まれる結果がより効率よく達成さ

れる[JIS Q 9000:2000,0.2d)参照]。

プロジェクトのプロセスを特定し,文書化するとよい。プロジェクト起業組織は自己のプロセスの開発

及び活用を通じて得られた経験,又は,他のプロジェクトから得られた経験をプロジェクト組織に伝える

とよい。この経験を,プロジェクト組織が,プロジェクトのプロセスを確立する際に考慮に入れるとよい。

しかし,このプロジェクトに独自のプロセスを確立することが必要なこともある。

これは次の事項によって達成されることがある。

−  プロジェクトのために適切なプロセスを特定する。

−  プロジェクトのプロセスのインプット,アウトプット及び目標を特定する。

−  プロセス責任者を特定し,その権限と責任を確立する。

−  プロジェクトのライフサイクルにおける将来のプロセスを予想して,プロジェクトのプロセスを設

計する。

−  プロセス間の相互関係と相互作用を定義する。

プロセスの有効性と効率は内部又は外部のレビューを通じて査定してもよい。査定はベンチマーキング

又はプロセスの成熟度の尺度による評価でも行うことができる。成熟度の尺度は,典型的な例としては,

成熟度が“正式なシステムがない”から“クラス最高のパフォーマンス”までの範囲に及ぶものがある。

多くの成熟度モデルが種々の用途のために開発されている[JIS Q 9004:2000,

附属書 参照]。

参考  ISO9000 ファミリー規格は,多くのプロセス関連及び製品関連の品質マネジメントの実践の手

引を提供している。これらは,組織のプロジェクト目標を満たすために組織を支援できるもの

である。

5.2.6

マネジメントへのシステムアプローチ

相互に関連するプロセスを一つのシステムとして,明確にし,理解し,運営管理することが組織の目標

を効果的で効率よく達成することに寄与する[JIS Q 9000:2000,0.2e)参照]。

一般に,マネジメントへのシステムアプローチは,組織が計画したプロセスの調和及び両立性を可能と

し,また,それらプロセス間のインタフェースを明解にすることを可能にする。

プロジェクトは,計画され,相互に関連し,相互に依存するプロセスの組み合わせとして実施する。プ

ロジェクト組織はプロジェクトのプロセスを管理する。プロジェクトプロセスを管理するには,必要なプ


9

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

ロセスを明らかにし,結び付け,それらのプロセスを,プロジェクト起業組織の全体システムと連携した

システムとして統合し,運営管理することが必要となる。

プロジェクトプロセスに対するプロジェクト組織とその他関連する利害関係者(プロジェクト起業組織

を含む)との間の責任と権限は明確に区分するとよい。それらは,決定し,記録するとよい。

プロジェクト組織は,適切なコミュニケーションプロセスを明確にして,プロジェクトプロセス間で情

報が交換されることを確実にするとよい。このことは,プロジェクト,その他の関連プロジェクト及びプ

ロジェクト起業組織間でも同様に行われるとよい。

5.2.7

継続的改善

組織の総合的パフォーマンスの継続的改善は,組織の永遠の目標とするとよい[JIS Q 9000:2000,0.2f

参照]。

継続的改善のサイクルは“Plan-Do-Check-Act”

(PDCA)概念に基づく[JIS Q 9004:2000

附属書 

照]。

プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織には,それらが責任を持つプロセスの有効性及び効率を改

善することを継続的に追求していく責任がある。

経験から学ぶために,プロジェクトの運営管理は個別の業務というよりも一つのプロセスとして扱うと

よい。プロジェクトを通じて得られた情報を記録し,分析するシステムを設定し,継続的改善のプロセス

で使うとよい。

改善のための機会を明確にするために,自己評価[JIS Q 9004:2000

附属書A参照],内部監査及び,必

要な場合,外部監査[JIS Q 9000:2000,3.9.1 参照]のための規定を設けるとよい。この場合には,必要な

時間及び資源も考慮に入れるとよい。

5.2.8

意思決定への事実に基づくアプローチ

効果的な意思決定はデータ及び情報の分析に基づいている[JIS Q 9000:2000,0.2g)参照]。

プロジェクトの進ちょく(捗)及びパフォーマンスに関する情報は,例えば,プロジェクトログに記録

するとよい。

プロジェクトの現況を査定するために,パフォーマンス評価及び進ちょく(捗)評価(3.3 及び 5.3 参照)

を実施するとよい。プロジェクトに関して効果的な意思決定をするために,また,プロジェクトマネジメ

ント計画書を改訂するために,プロジェクト組織は,パフォーマンス評価及び進ちょく(捗)評価から提

供される情報を分析するとよい。

これまでのプロジェクトのプロジェクト終了報告書からの情報を,現在又は将来のプロジェクトの改善

を支援するために分析し,使用するとよい。

5.2.9

供給者との互恵関係

組織及びその供給者は相互依存しており,したがって,両者の互恵関係は両者の価値創造能力を高める

[JIS Q 9000:2000,0.2h)参照]。

外部の製品を入手するための戦略を立てるときに,特に納入までに長い待ち時間を必要とする製品の場

合には,

プロジェクト組織は供給者とともに作業するとよい。

供給者とのリスクの分担を考慮してもよい。

供給者のもっている利用可能な知識を役立たせるために,供給者のプロセスに対する要求事項及び製品

仕様は,プロジェクト組織とその供給者が共同で開発するとよい。プロジェクト組織は,また,プロセス

及び製品に対する組織の要求事項を満たす供給者の能力を決定し,顧客の希望する供給者リスト,又は選

定基準を考慮に入れるとよい。

多数のプロジェクトが共通の供給者を使用することが可能かどうかを調査するとよい[JIS Q 9004:


10

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

2000,7.4 参照]。

5.3 

マネジメントレビュー及び進ちょく(捗)評価

5.3.1

マネジメントレビュー

プロジェクトの品質マネジメントシステムの適切性,妥当性,有効性及び効率を確実に継続させるため

に,プロジェクト組織のマネジメントは,計画した間隔でその品質マネジメントシステムをレビューする

とよい[ISO9004:2000,5.6 参照]。プロジェクト起業組織がマネジメントレビューに参画する必要が生じ

ることもある。

5.3.2

進ちょく(捗)評価

進ちょく(捗)評価(3.4 参照)は,プロジェクトのすべてのプロセスについて行い,プロジェクトの目

標の達成状況を査定する機会を提供するとよい。進ちょく(捗)評価からのアウトプットは,将来のマネ

ジメントレビューのインプットとして,プロジェクトのパフォーマンスに関する重要な情報を提供するこ

とができる。

a

)  進ちょく(捗)評価は次の事項のために使うとよい。

−  プロジェクトマネジメント計画書の妥当性を査定し,実施された作業がこの計画書にいかに適合

しているかを査定する。

−  プロジェクトのプロセスがいかにうまく同調し,相互に連結しているかを評価する。

−  プロジェクト目標の達成に良くも,悪くも影響すると思われる活動及び結果を明確にし,評価す

る。

−  プロジェクトの残存作業に対してインプットを得る。

−  コミュニケーションを促進する。

−  リスクの見込み外れ及び変化を明確にすることによって,プロジェクトにおけるプロセスを改善

するように仕向ける。

b

)  進ちょく(捗)評価の計画には,次の事項を含めるとよい。

−  進ちょく(捗)評価のための総合日程表の作成(プロジェクトマネジメント計画書に含めるため

に)

−  個々の進ちょく(捗)評価を運営管理するための責任の割当て

−  それぞれの進ちょく(捗)評価に対する目的,査定要求事項,プロセス,及びアウトプットの明

−  評価に参加する要員の割当て(例,プロジェクトプロセスに責任をもつ個人及びその他の利害関

係者)

−  評価されるプロジェクトプロセスの適切な要員が質問に応じるために参加することを確実にする

こと

−  関連情報が準備され,評価に利用できることを確実にすること(例,プロジェクトマネジメント

計画書)

c

)  評価者は,次の事項を行うとよい。

−  評価されるプロセスの目的,及びプロジェクトの品質マネジメントシステムにおけるその効果を

理解する。

−  関連プロセスのインプット及びアウトプットを検討する。

−  プロセスに適用される監視及び測定の基準をレビューする。

−  プロセスが効果的であるかどうかを決定する。


11

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

−  プロセスの効率を改善するための余地を探す。

−  進ちょく(捗)評価の結果について,報告書,又はその他の適切なアウトプットを作成する。

d

)  進ちょく(捗)評価がなされたら,次の事項を行うとよい。

−  評価のアウトプットは,計画された目標に対してプロジェクトのパフォーマンスが容認できるか

どうかを決定するために,プロジェクトの目標に対して査定するとよい。

−  進ちょく(捗)評価の結果として生じた処置に対して,責任を割り当てるとよい。

進ちょく(捗)評価のアウトプットは,プロジェクトマネジメントプロセスの有効性及び効率の継続的

改善のために,プロジェクト起業組織へ情報を提供するためにも使うことができる。

6. 

資源の運用管理

6.1 

資源関連のプロセス

6.1.1

一般

資源関連のプロセスは,資源を計画し,管理することを狙いとする。このプロセスは,資源に関して起

こり得るあらゆる問題を明確にすることに役立つ。資源の例には,設備,施設,資金,情報,資材,コン

ピュータソフトウェア,要員,サービス及びスペースを含む。

資源関連のプロセス(

附属書 参照)には,次の事項がある。

−  資源の計画

−  資源の管理

参考  ここでの要員の運用管理は,要員の量的な側面に適用する。教育訓練のような他の側面は 6.2

で扱う。

6.1.2

資源の計画

プロジェクトに必要な資源を明確にするとよい。資源の計画書では,どのような資源がプロジェクトに

必要であるか,また,それらの資源をプロジェクト日程表に従っていつ要求するかを示すとよい。計画書

では,資源をいかにして,どこから入手して,振り当てるかを示すとよい。適切な場合には,余剰資源の

処理方法も,計画書に含めるとよい。計画書は資源の管理にふさわしいものであるとよい。

資源の計画へのインプットの妥当性を検証するとよい。資源を提供する組織の安定性,実現能力,及び

実績を評価するとよい。

資源に関する制約事項を考慮するとよい。制約事項の例としては,入手可能性,安全性,文化面の配慮,

国際協定,労働協約,政府規制,資金調達及び環境へのプロジェクトの影響がある。

資源計画は,仮定した条件と共に,見積,振当て及び制約事項を含めて,文書化し,プロジェクトマネ

ジメント計画書に含めるとよい。

6.1.3

資源の管理

十分な資源がプロジェクトの目標を満たすのに利用できることを確実にするために,レビューを行うと

よい。

レビューの時期並びに関連データの収集及び資源要求の予測のひん(頻)度は,プロジェクトマネジメ

ント計画書に文書化するとよい。

資源計画からの逸脱を,明確にし,分析し,処置して,記録するとよい。

行うべき処置を決定する前に,プロジェクトの他のプロセス及び目標との関係を考慮するとよい。プロ

ジェクト目標に影響を及ぼす変更は,実行する前に顧客及び関連する利害関係者の同意を得るとよい。資

源計画の変更は,適宜,承認するとよい。残存作業に対する計画書を作成する時に,資源要求の予測の修


12

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

正は,他のプロジェクトプロセスと調整するとよい。

資源の不足,又は過剰の根本原因を明確にし,記録して,継続的改善のためのインプットとして使用す

るとよい。

6.2 

要員関連のプロセス

6.2.1

一般

プロジェクトの品質及び成功は参加している要員に依存するであろう。それ故,要員関連のプロセスの

活動に特別な注意を払うとよい。

これらのプロセスは,要員が効果的で効率よくプロジェクトに貢献できる環境を作りだすことを狙いと

する。

要員関連のプロセス(

附属書 参照)には,次の事項がある。

−  プロジェクト組織構造の確立

−  要員の配置

−  チームの育成

参考  要員の運用管理の量的な側面は 6.1 で扱う。要員の運用管理のコミュニケーションの側面は 7.6

で扱う。

6.2.2 

プロジェクト組織構造の確立

プロジェクト組織構造は,プロジェクト起業組織の要求事項及び方針,並びにプロジェクトに特有の条

件に従って確立するとよい。それまでのプロジェクトの経験を利用できる場合には,最も適切な組織構造

を選定するためにこれを活用するとよい。

プロジェクトへの参加者すべての間で,効果的で効率のよいコミュニケーション及び協力を奨励するよ

うにプロジェクト組織構造を計画するとよい。

プロジェクトマネージャは,プロジェクト組織構造が,プロジェクト範囲,プロジェクトチームの大き

さ,地域条件及び適用するプロセスに対して確実に適切なものとなるようにするとよい。これにより,例

えば,プロジェクト組織構造は,機能型又はマトリックス型となることがある。プロジェクト組織構造に

おける責任及び権限の分掌を決めるには,プロジェクト起業組織及びその組織構造における,責任及び権

限の分掌を考慮する必要が生じることもある。

次の事項に対して,プロジェクト組織との関係を明確にして,その関係を確立することが必要である。

−  顧客及びその他の利害関係者

−  プロジェクトを支援するプロジェクト起業組織の機能部門(特に日程,品質,コストなどのプロジ

ェクトの機能の監視に責任を持つ機能部門)

−  同じプロジェクト起業組織内のその他の関連プロジェクト

責任及び権限の割当てを含む,職務記述書又は役割記述書を作成し,文書化するとよい。

プロジェクトの品質マネジメントシステムを確立し,実行し,維持することを確実にすることに責任を

もつプロジェクトの機能を明確にするとよい(JIS Q 9004:2000,5.5.2 参照)

。この機能とその他のプロ

ジェクトの機能,顧客及びその他の利害関係者とのインタフェースを文書化するとよい。

その構造が適切で妥当であり続けているかどうかを決定するために,プロジェクト組織構造のレビュー

を,計画し,定期的に実施するとよい。

6.2.3

要員の配置

プロジェクトに従事する要員に対して必要な力量を,教育,訓練,技量及び経験の点から明らかにする

とよい(

“力量”の定義に関して,JIS Q 9000;2000,3.9.12 参照)


13

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

個人的特質をプロジェクト要員の選定に当たって考慮するとよい。主要な要員に関する力量の要求事項

について,特別な注意を払うとよい。

特に困難が予想されるときには,力量のある要員の採用のために十分な時間を見込むとよい。要員の選

定は,職務記述書又は役割記述書に基づいて行うのがよく,さらに,要員がそれまでの経験から得た力量

及び経歴証明を考慮に入れるとよい。要員の選定基準を作成し,プロジェクトに対して選定しようと考え

ているすべてのレベルの要員にこれを適用するとよい。プロジェクトマネージャを選ぶ時には,リーダー

シップの手腕を優先させるとよい。

プロジェクトマネージャは,プロジェクトの成功に不可欠であると考えられるプロジェクトの職位に就

く要員の選定に参画するとよい。

プロジェクトマネージャは,プロジェクトの品質マネジメントシステムを確立,実行,維持する責任を

もつ管理責任者が任命されることを確実にするとよい(JIS Q 9004:2000,5.5.2  参照)

プロジェクトチームにメンバーを配属するとき,メンバーの個人的な興味,個人的な関係,長所及び短

所を考慮するとよい。メンバーの個人的な特性及び経験に関する知識は,プロジェクト組織のメンバー間

での最良な責任分担を明確にする際に役立つこともある。

職務記述書又は役割記述書には,配属された人の理解と承諾とを得るとよい。プロジェクト組織のメン

バーがプロジェクト起業組織の機能部門にも報告する場合にはいつでも,その個人の責任,権限及び報告

系統が文書化されているとよい。

特定の職務又は役割への要員の割当てを確認し,関係者全員に伝えるとよい。割り当てられた職務にお

ける要員の有効性と効率を含めて,要員の割当てが適切であることを検証するために,総合的なパフォー

マンスを監視するとよい。検証の結果に基づいて,再教育,業績に対する表彰などの適切な処置をとると

よい。

プロジェクト組織の要員の変更が顧客及び関連する利害関係者に影響するならば,可能なときには,そ

の変更を,実行する前に,顧客及び関連する利害関係者に伝えるとよい。

6.2.4

チームの育成

チームのパフォーマンスを効果的にするには,チームメンバーそれぞれが力量をもち,動機付けされて

おり,互いに進んで協力しようとする状況が必要である(JIS Q 9004:2000,6.2.1 参照)

チームのパフォーマンスを改善するためには,プロジェクトチーム全体及びチームメンバーそれぞれが

チーム育成の活動に参加するとよい。プロジェクト目標及び品質目標の達成に対する要員のプロジェクト

活動の関連性及び重要性について,要員を教育・訓練し,認識させるとよい(JIS Q 9004:2000,6.2.2

及び ISO10015 参照)

効果的なチームワークは表彰し,適宜,報奨を与えるとよい。

プロジェクト組織の管理者達は,チーム内において,また,プロジェクトに参画するすべての者に対し

て,卓越,効果的な作業上の関係,信頼及び尊敬を奨励するような作業環境の確立を確実にするとよい。

合意に基づいた意思決定,不一致の組織立った解決,明瞭で,率直で,効果的なコミュニケーション及び

顧客満足への共通のコミットメントを奨励し,育成するとよい(

“リーダーシップ”の論議については  5.2.3

参照)

プロジェクト内,又はプロジェクト組織内の変更の影響を受ける要員は,可能ならば何時でも,その変

更の計画及び実行に参画させるとよい。

7. 

製品実現


14

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

7.1

一般

7.

では,プロジェクトの製品をもたらすのに必要なプロジェクトマネジメントの七つのプロセスグルー

プを扱う(4.1.3 参照)

7.2 

相互依存関連のプロセス

7.2.1

一般

プロジェクトは,計画され相互に依存する複数のプロセスからなるシステムで構成されていて,それら

プロセスのなかの一つでの動きが,通常,他のプロセスに影響を与える。プロジェクトのプロセス間の計

画された相互依存の総合的な運営管理は,プロジェクトマネージャの責任である。

また,プロジェクト組織はプロジェクトに参画する要員の異なるグループ間の効果的で効率のよいコミ

ュニケーションを運営管理し,これら要員の責任の明確な割当てを確立するとよい。

相互依存関連のプロセス(

附属表 参照)には,次の事項がある。

−  プロジェクトの立ち上げ及びプロジェクトマネジメント計画書の作成

−  相互作用の運営管理

−  変更のマネジメント

−  プロセス及びプロジェクトの終結

7.2.2

プロジェクトの立ち上げ及びプロジェクトマネジメント計画書の作成

プロジェクトマネジメント計画書を確立し,常に更新することが不可欠であり,この計画書にはプロジ

ェクトの品質計画書を含めるか,又は引用するとよい。内容の詳細の程度は,プロジェクトの規模,複雑

さなどの要素によって決めてもよい。

プロジェクトの立ち上げ時期を通じて,プロジェクト起業組織からの過去の関連性のあるプロジェクト

の詳細を特定し,プロジェクト組織に伝えるとよい。こうすることで,それまでのプロジェクトで得られ

た経験(例:得た教訓)を最大限活用することが可能となる。

プロジェクトの目的が契約の要求事項を満たすことであるならば,契約の要求事項を満たし得ることを

確実にするために,プロジェクトマネジメント計画書の作成時に契約のレビューを行うとよい(JIS Q

9004:2000  7.2 参照)。プロジェクトが契約に基づくものではない場合,要求事項を定め,それら要求事

項が適切で,達成可能であることを確認するために,開始時のレビューを行うとよい。

プロジェクトマネジメント計画書では,次の事項を行うとよい。

a

)  顧客及びその他関連する利害関係者によって文書化された要求事項,並びにプロジェクトの目標を参

照する。すなわち,トレーサビリティを可能にするために,各要求事項に対するインプットの出所も

文書化する。

b

)  プロジェクトプロセス,及びそれらの目的を明確にし,文書化する。

c

)  次の事項に特別な注意を払い,組織上のインタフェースを明確にする。

−  プロジェクト起業組織の各種機能部門及びプロジェクト組織間のつながり並びに報告系統

−  プロジェクト組織内の機能部門間のインタフェース

d

)  他のプロジェクトプロセスで実施された計画の結果である計画書を統合する。すなわち,これらの計

画書には次の事項を含む。

−  品質計画書

−  ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(7.3.4 参照)

−  プロジェクト日程表(7.4.5 参照)

−  プロジェクト予算(7.5.3 参照)


15

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

−  コミュニケーション計画書(7.6.2 参照)

−  リスクマネジメント計画書(7.7.2 参照)

−  購買計画書(7.8.2 参照)

すべての計画書は,一貫性があるように,また矛盾がすべて解決されるようにするためにレビューする

とよい。

e

)  製品特性及びそれらをどのように測定し,査定するかを,明確にする,含める,又は参照する。

f

)  残存作業の計画を準備するために,進ちょく(捗)の測定及び管理のベースラインを提供する。すな

わち,レビュー及び進ちょく(捗)評価の計画書を作成して,日程をたてるとよい。

g

)  パフォーマンス指標及びそれらをどのように測定するかを定め,進ちょく(捗)を監視するために,

定期的な査定の規定を設ける。すわなち,これらの査定では,次の事項を行うとよい。

−  予防処置及び是正処置を促進する。

−  変化するプロジェクト環境の中で,プロジェクトの目標が有効であることを確認する。

h

)  契約の要求事項の履行を確実にするために,契約で要求されるプロジェクトのレビューを規定する。

i

)  レビューを定期的に実施し,重大な変更が生じたときにも実施する。

プロジェクトの品質マネジメントシステムは,プロジェクトの品質計画書に文書化するか,又は参照す

るとよい。プロジェクトの品質計画書と,プロジェクト起業組織の品質マネジメントシステムの適用でき

る部分との間の連係を確立するとよい。プロジェクト組織は,プロジェクト起業組織の品質マネジメント

システム及び手順を,使用可能である限り,採用し,必要ならば調整するとよい。品質マネジメントシス

テムに対する,他の関連する利害関係者からの特定の要求事項が存在する場合,プロジェクトの品質マネ

ジメントシステムがそれらの要求事項に矛盾しないことを確実にするとよい。

文書化,検証,トレーサビリティ,レビュー,監査などの品質マネジメントの実践は,プロジェクトの

全期間にわたって確立するとよい。

7.2.3

相互作用の運営管理

プロセス間の(計画された)相互依存関係を促進するために,プロジェクトにおける(計画されていな

い)相互作用を運営管理する必要がある。これには次の事項を含むとよい。

−  インタフェースの運営管理のための手順を確立すること。

−  プロジェクトの機能部門間の会議を開催すること。

−  責任の衝突,リスクの影響を受ける度合いの変化などの課題を解決すること。

−  アーンド・バリュー分析(予算のベースラインに対し,プロジェクトの総合的なパフォーマンスを

監視する技法)などの技法を使用してプロジェクトパフォーマンスを測定すること。

−  プロジェクトの現況を査定して,残存作業の計画を立てるため,進ちょく(捗)評価を実施するこ

と。

進ちょく(捗)評価は,インタフェースで起こり得る問題を特定するためにも使用するとよい。通常,

リスクはインタフェースにおいて高くなることに留意するとよい。

参考  プロジェクトにおけるコミュニケーションは,プロジェクトの調整業務に不可欠な要素であり,

7.6

で扱う。

7.2.4

変更のマネジメント

変更のマネジメントは,変更の明確化,評価,承認,文書化,実行及び管理を扱う。変更を承認する前

に,変更の意図,範囲及び影響を分析するとよい。プロジェクトの目標に影響を与える変更は,顧客及び

その他の関連する利害関係者の同意を得るとよい。


16

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

また,変更のマネジメントには,次の事項を考慮に入れるとよい。

−  プロジェクト範囲,プロジェクトの目標及びプロジェクトマネジメント計画書に対す変更を運営管

理すること。

−  相互に連結しているプロジェクトプロセスにまたがる変更を調整し,不一致があればすべて解決す

ること。

−  文書変更の手順

−  継続的改善(8.参照)

−  要員に影響する変更の側面(6.2.4 参照)

変更は,プロジェクトに好ましくない影響(例えば,クレーム)をもたらすこともあるので,できるだ

け早く明確にするとよい。好ましくない影響の根本原因を分析し,その結果は,予防に基本を置く解決策

をつくり出し,プロジェクトプロセスにおける改善を実行するのに使用とするとよい。

変更のマネジメントの一つの側面には,構成管理がある。プロジェクトの運営管理にとって,構成管理

はプロジェクトの製品の構成を指すものと見なされている。これには非成果品項目(試験用ツール,他の

設置設備など)及び成果品項目の両方を含めてもよい。

参考  構成管理の更なる手引については,ISO10007 を参照のこと。

7.2.5

プロセス及びプロジェクトの終結

プロジェクト自体は,ひとつのプロセスであるので,その終結に対して特別な注意を払うとよい。

プロセス及びプロジェクトの終了は,プロジェクトの立ち上げ時期を通じて明らかにし,プロジェクト

マネジメント計画書に含めるとよい。プロセス及びプロジェクトの終了を計画する時には,それまでのプ

ロセス及びプロジェクト(8.参照)の終了から得た経験を考慮に入れるとよい。

プロジェクトのライフサイクルのどんな時点でも,完了したプロセスは計画通りに終了するとよい。プ

ロセスの終了時には,すべての記録を編集して,プロジェクト内及び,適宜,プロジェクト起業組織に配

付し,指定された期間保持することを確実にするとよい。

プロジェクトは計画通りに終了するとよい。しかし,ある場合には,予測外の事情によって,計画より

早く又は遅くプロジェクトを終了することが必要となることもある。

プロジェクト終了の理由が何であっても,プロジェクトのパフォーマンスの完全なレビューをするとよ

い。これには,進ちょく(捗)評価の記録,及び利害関係者からのインプットを含むすべての関連記録を

考慮に入れるとよい。顧客及びその他の関連する利害関係者からのフィードバックには特別の考慮を払う

とよい。このフィードバックは,できれば,判定可能なものであるとよい。

このレビューに基づいて,他のプロジェクト及び継続的改善のために使える経験を強調して,適切な報

告書を作成するとよい(8.3 参照)

プロジェクトの終結に際して,顧客へのプロジェクト製品の正式の引渡しを行うとよい。顧客が正式に

プロジェクト製品を受け入れるまでは,プロジェクトの終結は完了しない。

プロジェクトの終結はその他の関連する利害関係者に伝えるとよい。

7.3 

範囲関連のプロセス

7.3.1

一般

プロジェクトの範囲には,プロジェクトの製品,その特性,及びどのように測定し,査定すべきかの記

述を含む。

a

)  範囲に関連するプロセスは,次の事項を狙いとする。

−  顧客並びにその他の利害関係者のニーズ及び期待を,プロジェクトの目標を達成するために実施


17

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

する活動に変換して,これらの活動を組織化すること。

−  要員がこれらの活動を実現する期間を通じて,範囲内で働くことを確実にすること。

−  プロジェクトで実施する活動が,範囲に記述された要求事項を満たすことを確実にすること

b

)  範囲関連のプロセス(附属書 参照)には,次の事項がある。

−  概念の開発

−  範囲の明確化及び管理

−  活動の定義

−  活動の管理

7.3.2

概念の開発

製品並びにプロセスに対する顧客のニーズ及び期待は,明示されたもの及び通常暗黙のうちに了解され

ているもののいずれも,法令・規制の側面を含めて,文書化された要求事項に変換し,顧客の要求がある

ときには,相互に同意するとよい。

その他の利害関係者を特定し,それらのニーズを確立するとよい。それらのニーズは,文書化された要

求事項に変換し,関連ある場合には,顧客の同意を得るとよい。

7.3.3

範囲の明確化及び管理

プロジェクト範囲を明確化するときに,プロジェクトの製品の特性を,判定可能な用語で,出来る限り

完全に,明確化し文書化するとよい。これらの特性は,設計・開発の基礎として使うとよい。これらの特

性をどのように測定し,又は,顧客及びその他の利害関係者の要求事項に対する適合性をどのように査定

するかについて明記するとよい。製品及びプロセスの特性は,顧客及びその他の利害関係者の文書化され

た要求事項に対する追跡が可能であるとよい。

範囲を明確化する際に,代替のアプローチ及び解決策を考慮するときには,裏づけとなる証拠を(実施

した分析及び使用した他の考慮事項を含めて)文書化し,明確化した範囲の中で参照するとよい。

参考  範囲の変更をどのように運営管理するかについては,変更の運営管理のプロセスで扱う(7.2.4

参照)

7.3.4

活動の定義

製品及びプロセスに対する顧客要求事項を満たすために,プロジェクトを運営管理しやすい活動に,体

系的に構造化するとよい。

参考  “ブレークダウン・ストラクチャー”の用語が,プロジェクトの分割方法を記述するためにし

ばしば使われる。この方法によって,遂行計画立案,コスト計画及び管理の目的のために,プ

ロジェクトを個別のグループのレベルに分割してもよい。また,

“活動”

“業務”

“ワークパッケ

ージ”などの用語が,この構造化の要素として用いられ,その結果は,通常“ワーク・ブレー

クダウン・ストラクチャー(WBS)

”として知られている。この規格の目的のために,用語“活

動”は作業の一項目を示す一般用語として使われている(3.1 参照)

プロジェクトに配属された要員を,これらの活動を明確化することに参加させるとよい。こうすること

により,プロジェクト組織が,それら要員の経験から便益を得ることができるし,また,要員の理解,承

諾及び責任者たる自覚を得ることができる。

各活動はその結果が判定可能であるような方法で定義するとよい。活動のリストは完全なものとなるよ

うにチェックするとよい。定義された活動には,品質マネジメントの実践,進ちょく(捗)評価並びにプ

ロジェクトマネジメント計画書の作成及び維持を含むとよい。


18

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

プロジェクト組織と利害関係者との間で問題を起こす可能性のあるプロジェクトの活動間の相互作用は,

明確にし,文書化するとよい。

7.3.5

活動の管理

プロジェクト内の活動は,プロジェクトマネジメント計画書に従って実施し,管理するとよい。プロセ

ス管理には,不一致又は誤解を最小限にするための活動間の相互作用の管理を含む。新技術を含むプロセ

スには,それらの管理に対する特別の注意を払うとよい。

起こり得る不具合及び改善の機会を明確にするために,活動内容をレビューし,評価するとよい。レビ

ューの時期は,プロジェクトの複雑さに応じて調整するとよい。

レビューの結果は,プロセスのアウトプットを査定し,残存作業を計画するための進ちょく(捗)評価

に使うとよい。残存作業のために改訂した計画を文書化するとよい。

7.4 

時間関連のプロセス

7.4.1

一般

時間関連のプロセスは,依存関係及び活動の所要期間を決定し,プロジェクトの完了を確実に時宜を得

たものとすることを狙いとする。

時間関連のプロセス(

附属書 参照)には,次の事項がある。

−  活動の依存関係の計画

−  所要期間の算定

−  日程表の作成

−  日程の管理

7.4.2

活動の依存関係の計画

プロジェクトにおける活動間の相互依存関係を明確にし,

一貫性をもたせるためにレビューするとよい。

活動を明確化するプロセスから得たデータを変更する必要がある場合には,正当な変更理由を示し,文書

化するとよい。

可能な場合はいつでも,プロジェクト計画書の作成期間には,それまでの経験を活用するために,標準

の又は実証されたプロジェクトネットワーク図を使用するとよい。これらの図を当該プロジェクトに使用

することが適切であるかを検証するとよい。

7.4.3

所要期間の算定

活動の所要期間の算定は,これらの活動に責任をもつ要員が確認するとよい。過去の経験から所要期間

を算定する際には,現在のプロジェクトの条件にとって,正確であること及び適用できることを検証する

とよい。インプットは,文書化し,それらの出所を追跡可能にするとよい。所要期間の算定値を収集する

場合には,資源計画のインプットとして,関連する資源の算定値を同時に入手することが有益である(6.1.2

参照)

所要期間の算定値に著しい不確実性を伴うときは,リスクを評価し,文書化し,軽減するとよい。残存

するリスクに対する余裕を算定に織り込むとよい。

必要又は適切なときには,顧客又はその他の利害関係者を,所要期間の算定に参画させるとよい。

7.4.4 

日程表の作成

日程表作成のためのインプットデータを明確にし,特定プロジェクトの条件に適合するかをチェックす

るとよい。クリティカルパスを決定する場合は,長い待ち時間又は長い所要期間をもつ活動を考慮すると

よい。クリティカルパス(ネットワークを通して最長の所要期間の経路)の活動を,明確に特定する必要

がある。


19

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

利用者のさまざまなニーズに適するような,標準化された日程表の様式を用いるとよい。

活動依存状態と算定した所要期間の関係は,一貫性があるかをチェックするとよい。不整合が見つかれ

ば,日程表を完成し,発行する前に解決するとよい。日程表では,クリティカル及びクリティカルに近い

活動を特定するとよい。

日程表では,特定のインプット又は意思決定を必要とするイベント,もしくは重要なアウトプットが計

画されているイベントを明確にするとよい。これらは,ときにはキー・イベント又はマイルストーンと呼

ばれる。進ちょく(捗)評価を日程表に含めるとよい。

日程表の作成期間には,顧客及びその他の利害関係者に情報を継続して提供し,必要なときには,日程

表の作成に参画させるとよい。外部からのインプット(例えば,プロジェクト期間中に想定される顧客か

らのインプット)は,分析し,日程表の中で考慮に入れるとよい。

適切な日程表を情報として又は,要求されているならば,承認用として,顧客及びその他の利害関係者

に提供するとよい。

7.4.5 

日程の管理

プロジェクトマネジメント計画書の定めに従って,プロジェクト組織はプロジェクト日程表の定期的な

レビューを実施するとよい。プロジェクトの活動,プロセス及び関連情報について十分な管理を確実にす

るために,日程表のレビューの時期及びデータ収集の頻度を設定するとよい。

プロジェクトの残存作業における種々の傾向及び起こり得る不確実性を明確にするために,プロジェク

トの進ちょく(捗)を分析するとよい(

“不確実性”についての記述は 7.7 参照)

。進ちょく(捗)評価及

び進ちょく(捗)会議においては,最新版の日程表を使用するとよい。日程表からの逸脱を特定し,分析

し,著しい場合には処置するとよい。

日程表からの差異の根本原因を,好ましいか好ましくないかにかかわらず,明確にするとよい。

好ましくない差異がプロジェクトの目標に与える影響を確実に避けるために処置をとるとよい。好まし

いか好ましくないかにかかわらず,差異の原因を,継続的改善の基礎としてのデータを提供するために使

用するとよい(8

.参照)。

プロジェクトの予算及び資源,並びに製品の品質に与える,日程表変更の起こり得る影響を決定すると

よい。他のプロジェクトプロセス及びプロジェクト目標との関係を必ず考慮に入れた後に,講ずべき処置

への意思決定を事実に基づいて行うとよい。プロジェクトの目標に影響を及ぼす変更は,実行する前に顧

客及び関連する利害関係者と合意するとよい。

差異を考慮に入れるのに処置が必要となるときは,参画する要員及びその役割を明確にするとよい。残

存作業に対する計画を作成するときは,日程表の改訂について,他のプロジェクトプロセスと調整すると

よい。

外部からのインプット(例えば,プロジェクトの期間中に予想される顧客からのインプット)を監視す

るとよい。顧客及びその他の利害関係者は,日程表に関する変更案があれば,その情報を継続して提供し,

また,顧客及びその他の利害関係者に影響する意思決定に参画させるとよい。

7.5 

コスト関連のプロセス

7.5.1

一般

コスト関連のプロセスは,プロジェクトのコストを予測し,運営管理することを狙いとする。これによ

り,プロジェクトが予算の枠内で完了すること,及びプロジェクト起業組織へコスト情報を提供できるこ

とを確実にするとよい。

コスト関連のプロセス(

附属書 参照)には,次の事項がある。


20

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

−  コストの算定

−  予算の作成

−  コストの管理

参考  品質マネジメントの経済効果についての更なる手引は,ISO/TR10014 を参照のこと。

7.5.2

コストの算定

プロジェクトのすべてのコスト(例えば,活動,管理費,物品及びサービスのコスト)を明確に特定す

るとよい。コストの算定は,関連の情報源を考慮し,プロジェクトのブレークダウン・ストラクチャーに

関連付けるとよい(7.3.4 参照)

。過去の経験からコストを算定する際には,現在のプロジェクトの条件に

とって,正確であること及び適用できることを検証するとよい。コストは,文書化し,それらの出所を追

跡可能にするとよい。

プロジェクトの品質マネジメントシステムの確立,実行及び維持のために,十分な資金を予算化するよ

う特別な注意を払うとよい。

コストの算定に際しては,経済環境における現在及び予測の傾向を考慮に入れるとよい(例えば,イン

フレーション,税制及び為替レート)

コストの算定値に著しい不確実性を伴うときは,これらの不確実性を特定し,評価し,文書化し,処置

を行うとよい(7.7.2 参照)

。時にはコンティンジェンシーと呼ばれる,残留する不確実性に対する余裕を

算定に織り込むとよい。

コストの見積書は,プロジェクト組織の必要性にしたがうとともに,承認された会計手順に従って,予

算を確立し,作成できるような形式にするとよい。

7.5.3 

予算の作成

プロジェクト予算は,その予算を容認するために定められた手順に従ったコストの見積書及び日程表に

基づいているのがよい。

予算は,プロジェクトの目標と整合していて,すべての仮定条件,不確実性及びコンティンジェンシー

が明確にされ,文書化されているとよい。予算は,承認されたすべてのコストを含むとよく,プロジェク

トのコスト管理に適した形式にするとよい。

7.5.4

コストの管理

いかなる支出が発生するよりも前に,コスト管理システム及び関連の手順を確立し,文書化し,作業又

は支出を行うことを承認する責任者に伝えるとよい。

レビューの時期並びにデータ収集及び予測の頻度を確立するとよい。このことが,プロジェクトの活動

及び関連する情報全般に対する十分な管理を確実にする。プロジェクト組織は,残りの予算内で残存作業

を完了まで実施できることを検証するとよい。予算からの逸脱はどんなものでも特定するとよく,定めら

れた限度額を超えるなら,その差異を分析し,処置するとよい。

プロジェクトのコスト発生の傾向は,

“アーンド・バリュー分析”などの技法を用いて分析するとよい。

残存作業の計画は,不確実性を明確にするためにレビューするとよい。

予算の差異の根本原因は,好ましいか好ましくないかにかかわらず,特定するとよい。好ましくない差

異が,プロジェクトの目標に影響を与えないことを確実にするために,処置をとるとよい。好ましいか好

ましくないかにかかわらず,差異の原因を継続的改善の基礎としてのデータを提供するために使うとよい

8.参照)

とるべき処置の決定は,他のプロジェクトプロセスとプロジェクト目標に対する関係を考慮に入れた後

に,事実に基づいてのみ行うとよい。プロジェクトのコストの変更は,支出に先立って適切に承認し,正


21

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

式に認可するとよい。予算支出の予測の修正は,残存作業の計画を作成する時に,他のプロジェクトプロ

セスと調整するとよい。

時宜を得た資金の入金を確実にするために必要な情報を利用できるようにして,資源管理プロセスのイ

ンプットとして提供するとよい。

プロジェクト組織は,プロジェクトマネジメント計画書で定められているとおりに,プロジェクトコス

トの定期的なレビューを実施し,他のすべての財務上のレビュー(例えば,関連する利害関係者による外

部レビュー)を考慮に入れるとよい。

7.6 

コミュニケーション関連のプロセス

7.6.1

一般

コミュニケーション関連のプロセスは,プロジェクトに必要な情報の交換を促進することを狙いとする。

これらのプロセスは,プロジェクト情報の時宜を得て適切な,生成,収集,発信,保管及び最終処理を

確実にする。

コミュニケーション関連のプロセス(

附属書 参照)には,次の事項がある。

−  コミュニケーションの計画

−  情報の運用管理

−  コミュニケーションの管理

参考  更なる情報は,JIS Q 9004:2000,5.5.3(内部コミュニケーション),7.2(利害関係者に関連す

るプロセス)で入手できる。

7.6.2 

コミュニケーションの計画

プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織は,適切なコミュニケーションプロセスがプロジェクトで

確立され,品質マネジメントシステムの有効性及び効率に関してのコミュニケーションが行われることを

確実にするとよい。

コミュニケーションの計画は,プロジェクト起業組織,プロジェクト組織,顧客及びその他の利害関係

者のニーズを考慮に入れ,文書化されたコミュニケーションの計画に反映させるとよい。

このコミュニケーション計画書は,正式に伝える情報,それを送信するための媒体及びコミュニケーシ

ョンの頻度を定めるとよい。会議の目的,頻度,時期及び記録に関する要求事項は,コミュニケーション

計画書で定めるとよい。

プロジェクトの文書及び記録の様式,言語並びに構造は,矛盾のないことを確実にするために計画する

とよい。コミュニケーション計画書では,情報マネジメントシステム(7.6.3 参照)を定義し,誰が情報を

送り,受けとるかを明確にして,関連する文書管理,記録管理及びセキュリティの手順書を参照するとよ

い。

進ちょく(捗)評価報告書の様式は,プロジェクトマネジメント計画書からの逸脱事項を強調するよう

に設計するとよい。

参考  文書及び記録の管理に関する更なる手引については,JIS Q 9004:2000,4.2 を参照のこと。

7.6.3

情報の運用管理

プロジェクト組織はその情報のニーズを明確にし,文書化された情報マネジメントシステムを確立する

とよい。

プロジェクト組織は,また,内部及び外部の情報源を明確にするとよい。情報を運用管理する方法は,

プロジェクト組織及びプロジェクト起業組織の両方のニーズを考慮したものとするのがよい。

プロジェクトの情報を運用管理するために,情報の準備,収集,特定,分類,更新,配付,ファイリン


22

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

グ,保管,保護,検索,保持期間,及び処分に対する管理を定めた手順を確立するとよい。

記録された情報には,活動が記録された時点での支配的な条件を示すとよい。これにより,他のプロジ

ェクトで使う前に情報の妥当性及び適切性を検証することが可能になる。

プロジェクト組織は,情報の機密性,可用性及び完全性を考慮に入れて,適切な情報セキュリティを確

実にするとよい。

情報は受領者のニーズにかなったものであり,厳密にタイムスケジュールどおりに,明確に提示し,配

付するのがよい。

非公式のものを含め,プロジェクトパフォーマンスに影響するすべての合意事項は,正式に文書化する

とよい。

会議の規則及び指針を,確立し,会議の種類に対して適切なものとするのがよい。

会議の議題は,あらかじめ配付し,各項目に対して出席が必要な要員を特定しているのがよい。

議事録には,決定事項,懸案事項及び合意された処置(期限及び実施担当者を含む)の詳細を含めると

よい。議事録は,合意された期限内に,関連する利害関係者に配付するとよい。

プロジェクト組織は,その目標を設定し,満たすためのデータ,情報及び知識を使用するとよい。情報

の運用管理を改善するために,プロジェクト組織及びプロジェクト起業組織の管理者達は,情報の活用に

よって得られた便益を評価するとよい(8.参照)

参考  情報マネジメントシステムは,プロジェクトが求める以上に複雑にする必要はない。

7.6.4

コミュニケーションの管理

コミュニケーションシステムを計画し,実行するとよい。プロジェクトのニーズを満たし続けることを

確実にするために,コミュニケーションシステムを管理し,監視し,レビューするとよい。

誤解又は不一致が生ずる可能性がある機能間及び組織間のインタフェースには,特別の注意を払うとよ

い。

7.7 

リスク関連のプロセス

7.7.1

一般

通常,

“リスク”は否定的側面でのみ考えられてきた。より近代的な概念である“不確実性”は常に,否

定的側面及び肯定的側面の両方を含んでいる。肯定的側面は,普通は“機会”と呼ばれる。

“リスク”の用語は,この規格では,

“不確実性”と同じ意味で使われる。つまり,否定的側面及び肯定

的側面の両方を持つ。

プロジェクトのリスクの運営管理では,プロジェクトの全体を通じて不確実性を扱う。このためには,

組織だったアプローチが必要なので,リスクマネジメント計画書に,

このアプローチを文書化するとよい。

リスク関連のプロセスの狙いは,起こり得る否定的事象の影響を最小限にすること及び改善のための機会

を最大活用することである。

不確実性は,また,プロジェクトプロセスにも,プロジェクトの製品にも関係する。

リスク関連のプロセス(

附属書 参照)には,次の事項がある。

−  リスク特定

−  リスクアセスメント

−  リスク対応

−  リスクコントロール

7.7.2 

リスク特定

プロジェクトの立ち上げ時,進ちょく(捗)評価時及びその他,重大な意思決定をする場合に,リスク


23

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

特定を行うとよい。プロジェクト起業組織により維持管理されているそれまでのプロジェクトの経験及び

履歴に基づくデータ(8.3.1 参照)は,この目的に使うとよい。このプロセスのアウトプットは,リスクマ

ネジメント計画書に記録し,この計画書はプロジェクトマネジメント計画書に含めるか又は参照するとよ

い。

プロジェクト組織,プロジェクト起業組織及び利害関係者の間で,活動,プロセス及び製品に関連した

相互作用から発生し得るリスクを特定して,記録するとよい。

リスク特定では,コスト,時間,及び製品のリスクだけでなく,製品品質,セキュリティ,ディペンダ

ビリティ,専門職としての賠償責任,情報技術,安全,健康及び環境も考慮に入れるとよい。この特定を

行う場合,現行及び予想されるすべての適用し得る法令・規制要求事項を考慮に入れるとよい。異なるリ

スク間の相互作用を考慮するとよい。新技術及び開発に起因するリスクもまた,特定するとよい。

特定されたリスクの内,重大な影響を及ぼすものはすべて文書化するとよく,そのリスクを運営管理す

るために,責任,権限,及び資源を与えた担当者を割り当てるとよい。

7.7.3

リスクアセスメント

リスクアセスメントは,プロジェクトのプロセス及びプロジェクトの製品に対して特定したリスクを分

析し,評価するプロセスである。

特定したすべてのリスクは査定するとよい。この査定では,これまでのプロジェクトの経験及び過去の

データを考慮に入れるとよい。

この査定で使われる基準及び技法を評価するとよい。定性的な分析を行い,可能な限り,定量的な分析

を引続いて行うとよい。

参考  このような分析を行うために利用できる種々の定性的及び定量的なリスクアセスメントの方法

が存在する。それらの方法は,一般に,特定されたリスクが生じる発生確率,及びそのリスク

の影響の査定に基づくものである。

プロジェクトにおいて受容できるリスクの水準,及び同意されたリスクの水準を超えた時点を決定する

方法を明確にするとよい。

すべての分析及び評価の結果は,記録し,関連する要員に伝えるとよい。

7.7.4

リスク対応

リスクを回避し,軽減し,移転し,分散し,又は受容するための解決策,及び機会を活用するための計

画は,できれば,既知の技術又は過去の経験から得られたデータに基づいたものがよい。意識した上で受

容したリスクは,特定して,受容した理由を記録するとよい。

特定したリスクの解決策の提案がされたら,それを実行することによってもたらされる好ましくない影

響又は新たなリスクが皆無であることを検証し,また,結果として起こる残留リスクに対処していること

を検証するとよい。

リスクを運営管理するために,タイムスケジュール又は予算にコンティンジェンシーが設けられている

ときは,それらを特定し,項目別に維持するとよい。

プロジェクト組織,プロジェクト起業組織及び利害関係者の間で,活動関連,プロセス関連並びに製品

関連の相互作用から発生し得るリスクに対する解決策を立案するには,特別の注意を払うとよい。

7.7.5

リスクコントロール

プロジェクト全体を通じて,リスク特定,リスクアセスメント及びリスク対応を繰り返し行うプロセス

によってリスクを監視し,管理するとよい。

リスクは常に存在することを考慮に入れて,プロジェクトを運営管理するとよい。要員が,リスクを予


24

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

想し,特定すること,及びそれらをプロジェクト組織に報告するよう奨励するとよい。

リスクマネジメント計画書は,いつでもすぐに使用できるように維持するとよい。

プロジェクトリスクの監視に関する報告書は,進ちょく(捗)評価の一部にするとよい。

7.8 

購買関連のプロセス

7.8.1

一般

購買関連のプロセスでは,プロジェクトのための製品入手について扱う。

購買関連のプロセスには,次の事項がある。

−  購買の計画及び管理

−  購買要求事項の文書化

−  供給者の評価

−  下請負契約

−  契約の管理

参考1.  “購買”,“取得”又は“調達”の用語もまたしばしばこの意味で使われる。

2.

JIS Q 9000:2000,3.4.2

の参考に示すように,

“製品”という用語は,有形及び無形の両方の製

品を指す。

3.

製品購買に関する手引は,次に示す手引に加え,JIS Q 9004:2000,7.4 で示されている。

この規格の目的及び JIS Q 9004:2000 の参照のために,7.における“組織”は“プロジェクト組織”であ

り,

“供給者”は製品をプロジェクト組織に供給する。

7.8.2

購買の計画及び管理

仕様,時間及びコストを含む製品要求事項に注意を払いながら,入手すべき製品を明確にし,入手日程

を立てた購買計画書を作成するとよい。

プロジェクトのインプットとなるすべての製品には,外部の供給者から入手するか,又はプロジェクト

起業組織(つまり“組織内部”

)から入手するかに関わらず,同一レベルの購買管理を行うようにするとよ

い。外部製品は,通常,契約により入手する。

“組織内部”の製品は内部取得の手順及び管理を用いて入手できる。

“組織内部”の製品に対しては,次

に記述した購買管理のいくつかを簡略化してもよい。

供給者とのインタフェース及び相互作用をプロジェクト組織が運営管理できるように,購買の計画を行

うとよい。

購買関連のプロセスでの活動を完了するために,十分な時間を割り当てるとよい。長納期の品目の引渡

しなど,潜在的な問題に備えた計画をたてるために,供給者のパフォーマンスについてのこれまでの経験

を役立てるとよい。

適切な購買管理を行うためには,プロジェクト組織は,購買の進ちょく(捗)を定期的にレビューを実

施し,進捗を購買計画書と比較し,必要な場合には,処置をとるとよい。

レビューの結果は,進ちょく(捗)評価にインプットするとよい。

7.8.3

購買要求事項の文書化

購買文書では,製品,その特性,適切な品質マネジメントシステム要求事項及び関連文書を明確にする

とよい。それらの文書には,購買責任の所在,製品のコスト及び引渡し日,監査に対する要求事項(必要

なとき)並びに供給者の構内への立ち入り権も含めるとよい。顧客の要求事項が購買文書の中で考慮され

ていることを確実にするとよい。

入札文書(例えば“見積り依頼書”

)は,供給者候補からの回答が,比較が可能で,不備のないものとな


25

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

るように構成するとよい。

購買文書は,すべての製品関連の要求事項及びその他の側面(購買責任の所在など)が完全に明記され

ていることを検証するために,配付前にレビューするとよい。

参考  更なる情報に関しては,JIS Q 9004:2000,7.4.1 参照。

7.8.4

供給者の評価

プロジェクトに対する供給者を評価するとよい。評価においては,技術的経験,生産能力,納期,品質

マネジメントシステム,財務上の安定性などプロジェクトに影響を与える可能性のあるすべての供給者の

側面を考慮するとよい。

プロジェクト組織は,承認済供給者の登録台帳を維持するとよい。さらに,適用可能な場合は,登録台

帳は,プロジェクト起業組織が維持し,プロジェクト組織に伝えてもよい。

参考  供給者の評価に関する更なる手引に関しては,JIS Q 9004:2000,7.4.2.及び 8.4 参照

7.8.5 

契約の締結

プロジェクト組織がプロジェクトへの供給者と契約するためのプロセスがあるとよい。そのプロセスに

は,プロジェクトの品質マネジメントシステム要求事項及び,適用可能な場合は,品質方針及び品質目標

に関する供給先とのコミュニケーションを含めるとよい。

入札評価においては,供給者からの提案書において,仕様から逸脱している事項をすべて特定し,評価

の中で考慮に入れるとよい。仕様から逸脱している事項及び改善の提案は,最初に仕様のレビューを実施

し,承認したのと同じ機能部門が承認するとよい。

入札のコスト評価は,供給者からの価格に基づくだけでなく,その他の関連するコスト,すなわち,運

営,維持,ライセンス料,輸送,保険,関税,為替レートの変動,検査,監査及び逸脱の解決に関するコ

ストなどにも基づいて行うとよい。

契約前の供給者との交渉結果がすべて確実に含まれるように,契約文書をレビューするとよい。

製品供給のための契約を締結する前に,供給者の品質マネジメントシステムを評価するとよい。

7.8.6

契約の管理

契約の管理は,契約の締結の時点,又は,発注内示書発行の時点のように原則として契約を締結するこ

とに合意した時点から始まる。期日及び記録を含む契約条件が満たされることを確実にするシステムを実

行するとよい。

契約の管理には,適切な契約関係を確立すること,及びこうした関係から生み出されるアウトプットを,

プロジェクトの全体的なマネジメントへ統合することを含めるとよい。

契約条件が満たされることを確実にするために,供給者のパフォーマンスを監視するとよい。監視の結

果を供給者にフィードバックして,何らかの処置事項があれば,それらについて合意するとよい。

契約終了の前に,すべての契約条件が満たされたこと,及び供給者のパフォーマンスに対するフィード

バックが得られて,承認済供給者の登録台帳が更新されたことを検証するとよい。

8. 

測定,分析及び改善

8.1 

改善関連のプロセス

8.

ではプロジェクト起業組織及びプロジェクト組織がプロジェクトからどのように学ぶべきかについて

の手引を提供する。

プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織の両方が,測定の結果及びプロジェクトのプロセスから得

たデータの分析結果を使うのがよく,現在及び将来にわたるプロジェクトの継続的改善を可能にするため,

是正処置,予防処置及び損失防止の手法(JIS Q 9004:2000,8.5 参照)を適用するとよい。


26

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

改善関連のプロセスには,次の事項がある。

−  測定及び分析

−  是正処置,予防処置及び損失防止

8.2 

測定及び分析

プロジェクト起業組織は,組織のパフォーマンスを改善し,顧客及びその他の利害関係者の満足を高め

るために,データの測定,収集及び妥当性確認を効果的で効率よく行うことを確実にする必要がある。

パフォーマンスの測定の例には,次の事項を含む。

−  個々の活動及びプロセスの評価

−  監査

−  コスト及び時間と同時に,実際に使用した資源の当初の見積との比較評価

−  製品の評価

−  供給者のパフォーマンスの評価

−  プロジェクトの目標の達成

−  顧客及びその他の利害関係者の満足

参考  更なる情報に関しては,JIS Q 9004:2000,8.を参照。

プロジェクト組織のマネジメントは,学習を支援し,改善のためのデータを提供するために,プロジェ

クトの製品及びプロセスの不適合の記録並びにその処理を分析することを確実にするとよい。プロジェク

ト組織は,顧客に関連して,どの不適合を記録し,どの是正処置を管理すべきか決めるとよい。

8.3 

継続的改善

8.3.1

プロジェクト起業組織による継続的改善

プロジェクト起業組織は,プロジェクトから学ぶ必要がある情報を明らかにし,プロジェクトから得る

情報を特定し,収集し,蓄積し,更新し,検索するために,システムを確立するとよい。

プロジェクトマネジメントのプロセスを改善するために,プロジェクト起業組織はそのプロジェクトの

ための情報マネジメントシステムを設計して,プロジェクトの適切な情報を特定し,収集することを確実

にするとよい。

プロジェクト起業組織は,そのプロジェクトが特定した重大なリスクすべての一覧表を維持するとよい。

プロジェクト起業組織は,自身が起こした他のプロジェクトで,適切な情報が使われることを確実にす

るとよい。

プロジェクトから学ぶ必要のある適切な情報は,顧客及びその他の利害関係者からのフィードバックを

含めて,プロジェクトに内在する情報から引き出される。プロジェクトのログ,適切な終了報告書,クレ

ーム,監査結果,データの分析,是正処置及び予防処置,並びにプロジェクトレビューのような,その他

の情報源からも,情報は引き出される。プロジェクト起業組織は,この情報を使用する前に,それを使用

することの妥当性を検証するとよい。

プロジェクト終了の直前に,プロジェクト起業組織はプロジェクトのパフォーマンスのレビューを実施

し,結果を文書化するとよく,その際,他のプロジェクトに使えるプロジェクトの経験を強調するとよい。

このレビューを実行する枠組みとして,プロジェクトマネジメント計画書を使用するとよい。これらのレ

ビューには,顧客及びその他関連する利害関係者を,可能ならば参画させるとよい。

参考  長期にわたるプロジェクトに対しては,より効果的に情報を収集し,時宜を得た改善を行うた

めに中間のレビューを考慮するとよい。

8.3.2

プロジェクト組織による継続的改善


27

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

プロジェクト組織は,プロジェクトの情報マネジメントシステムを,プロジェクトから学ぶことに関し

てプロジェクト起業組織が明記した要求事項を実行するよう計画するとよい。

プロジェクト組織は,プロジェクト起業組織に提供する情報が正確で完全であることを確実にするとよ

い。

プロジェクト組織は,プロジェクト起業組織が確立した,上記のシステムから得られる,プロジェクト

に関連する情報を使用して,改善を実行するとよい。

参考  更なる手引に関しては,JIS Q 9004:2000,8.5 参照。


28

Q 10006

:2004(ISO 10006:2003)

附属書 A(参考)プロジェクトにおけるプロセスの構成図

箇条

細分した箇条

細分化

した箇条

プロセス

プロセスの記述

5

経営者・管理者の責任

5.2

戦略決定のプロセス

5.2

戦略決定

品質マネジメントの原則の適用に基づいた品質マネシメントシステムの確立と実行の 
計画を含む,方向付けのプロセス。

6

資源の運用管理

6.1

資源関連のプロセス

6.1.2

資源の計画

すべての関連資源を明確にし,見積,スケジュールを作成して,振り当てる。

6.1.3

資源の管理

資源計画と使用の実際との比較を行い,必要な場合には処置を行う。

6.2

要員関連のプロセス

6.2.2

プロジェクト組織構造の確立

プロジェクトにおける役割を明確にし,権限と責任を定めることを含め,プロジェクトの 
ニーズに合うように修整したプロジェクト組織構造を定める。

6.2.3

要員の配置

プロジェクトのニーズに合った適切な力量を持つ十分な要員を選定し,配属する。

6.2.4

チームの育成

プロジェクトのパフォーマンスを高めるために個人及びチームの技量並びに能力を開発する。

7

製品実現

7.2

相互依存関連の

プロセス

7.2.2

プロジェクトの立ち上げ及びプロジ

ェクトマネジメント計画書の作成

顧客及びその他の利害関係者の要求事項を評価し,プロジェクトマネジメント計画書を
作成して,他のプロセスを立ち上げる。

7.2.3

相互作用の運営管理

プロジェクトの期間中に相互作用を運営管理する。

7.2.4

変更のマネジメント

変更を予想して,すべてのプロセスにまたがる変更を運営管理する。

7.2.5

プロセス及びプロジェクトの終結

プロセスを終了して,フィードバックを入手する。

    7.3  範囲関連のプロセス

7.3.2

概念の開発

プロジェクトの製品が何を成すべきかについての広範な概要を明らかにする。

7.3.3

範囲の明確化及び管理

判定可能な用語でプロジェクトの製品の特性を文書化して,それら特性を管理する。

7.3.4

活動の定義

プロジェクトの目標を達成するのに必要な活動及び手段を特定して,文書化する。

7.3.5

活動の管理

プロジェクトで実際に行う作業を管理する。

7.4

時間関連のプロセス

7.4.2

活動の依存関係の計画

プロジェクトの活動間の相互関係並びに論理的な相互作用及び依存関係を明確に 
する。

7.4.3

所要期間の算定

特定の条件及び必要な資源に関して,各々の活動の期間を算定する。

7.4.4

日程表の作成

全体スケジュール及び詳細スケジュールを作成するための枠組みとして,プロジェクトの
時間目標,活動の依存性及び活動の期間を相互に関連づける。

7.4.5

日程の管理

提案されたスケジュールの確認を行うため,また,遅延を回復するための適切な処置を
とるために,プロジェクト活動の実現を管理する。

28

Q

 10006

0000

 (ISO

 100

0

6

2003)


29

Q 10006

:2004 (ISO 10006:2003)

 

    7.5

コスト関連のプロセス

7.5.2

コストの算定

プロジェクトのコスト見積書を作成する。

7.5.3

予算の作成

プロジェクト予算を作成するために,コスト見積りの結果を用いる。

7.5.4

コストの管理

コストを管理し,プロジェクト予算からの逸脱を管理する。

7.6

コミュニケーション

関連のプロセス

7.6.2

コミュニケーションの計画

プロジェクトの情報システム及びコミュニケーションシステムを計画する。

7.6.3

情報の運用管理

プロジェクト組織のメンバー及び他の利害関係者が,必要な情報を利用できるように 
する。

7.6.4

コミュニケーションの管理

計画したコミュニケーションシステムに従って,コミュニケーションを管理する。

7.7

リスク関連の

プロセス

7.7.2

リスク特定

プロジェクトのリスクを決定する。

7.7.3

リスクアセスメント

リスク事象が生じる発生確率及びリスク事象がプロジェクトにあたえる影響を評価する。

7.7.4

リスク対応

リスクへの対応の計画書を作成する。

7.7.5

リスクコントロール

リスク計画書を実行し,更新する。

    7.8  購買関連のプロセス

7.8.2

購買の計画及び管理

何を,何時,購買すべきかを特定して,管理する。

7.8.3

購買要求事項の文書化

商取引上の条件及び技術上の要求事項を取りまとめる。

7.8.4

供給者の評価

製品の供給元として,どの供給者及び下請負契約者を招くのがよいかを評価し,決定す
る。

7.8.5

契約の締結

引合い,入札評価,交渉,下請負契約の準備及び締結を行う。

7.8.6

契約の管理

下請負契約者のパフォーマンスが,契約上の要求事項を確実に満たすようにする。

8

測定,分析及び改善

8.1

改善関連のプロセス

8.1

改善

プロジェクト起業組織及びプロジェクト組織が,いかにしてプロジェクトから学ぶとよいか
の手引を提供する。

8.2

測定及び分析

8.2

測定及び分析

継続的改善のために,データを測定し,収集し,その適用の妥当性を確認する手引を 
提供する。

8.3

継続的改善

8.3.1

プロジェクト起業組織による

継続的改善

プロジェクトプロセスに対して継続的改善を行うために,プロジェクト起業組織に推奨 
される手段。

8.3.2

プロジェクト組織による

継続的改善

継続的改善を可能とするために,プロジェクト組織がプロジェクト起業組織に提供する 
とよい情報。

29

Q

 10006

0000

 (ISO

 100

06

2003)


30

Q 10006

:2004(ISO 10006:2003)

参考文献

[1]  JIS Q 9001:2000

品質マネジメントシステム−要求事項

[2] ISO

10005:1995

Quality management  ―  Guidelines for quality plans

[3] ISO

10007:2003

Quality management systems ―  Guidelines for 
configuration management

[4] ISO/TR

10013:2001

Guidelines for quality management system 
documentation

[5]  ISO/TR 10014:1998

Guidelines for managing the economics of quality

[6] ISO

10015:1999

Quality management  ―  Guidelines for training

[7] ISO/TR

10017:2003

Guidelines on statistical techniques for ISO 
9001:2000

[8]  JIS Q 19011:2003

品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のため
の指針

[9] ISO/IEC

12207:1995

Information technology ―  Software life cycle 
processes

[10] ISO/IEC

17000

Conformity assessment  ― General vocabulary

[11]  TR Q 0008:2003

リスクマネジメント−用語−規格において使用するた
めの指針

[12] IEC

60300-3-3:1996

Dependability management ― Part 3: Application 
guide  ―  Section 3: Life cycle costing

[13] IEC

60300-3-9:1995

Dependability management ― Part 3: Application 
guide  ― Section 9: Risk analysis of technological 
systems

[14] IEC

62198:2001

Project risk management  ― Application guidelines