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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 3 

2 用語及び定義 ··················································································································· 3 

3 基本原則及びアプローチ ···································································································· 5 

3.1 一般 ···························································································································· 5 

3.2 基本原則 ······················································································································ 5 

3.3 アプローチ ··················································································································· 8 

4 環境課題を系統的に取り扱うために製品規格において考慮すべき環境側面 ·································· 9 

4.1 一般的な考慮事項 ·········································································································· 9 

4.2 インプット ·················································································································· 10 

4.3 アウトプット ··············································································································· 10 

4.4 その他の関係する課題 ··································································································· 11 

5 系統的なアプローチによる製品の環境側面の特定 ·································································· 12 

5.1 一般 ··························································································································· 12 

5.2 製品の環境側面及び環境影響を特定するためのデータ収集 ···················································· 12 

5.3 環境チェックリスト ······································································································ 13 

5.4 環境チェックリストと原案作成の手引との関係 ··································································· 14 

6 製品規格に環境規定事項を取り入れるための手引 ·································································· 15 

6.1 一般 ··························································································································· 15 

6.2 取得 ··························································································································· 15 

6.3 生産 ··························································································································· 16 

6.4 製品の使用 ·················································································································· 17 

6.5 使用済みの段階 ············································································································ 19 

6.6 輸送 ··························································································································· 20 

附属書A(参考)技術分野別の環境ガイドの開発 ······································································ 21 

附属書B(参考)規格に環境規定事項を導入した例 ···································································· 24 

参考文献 ···························································································································· 31 

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本

規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS Q 0064:1998は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Q 0064:2014 

(ISO Guide 64:2008) 

製品規格で環境課題を記述するための作成指針 

Guide for addressing environmental issues in product standards 

序文 

この規格は,2008年に第2版として発行されたISO Guide 64を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

全ての製品は,例えば,資源の採取,原材料の取得,生産,流通,使用(適用),再使用,最終処分を含

む使用済みの製品の処理など,そのライフサイクルの全ての段階を通じて,環境に影響を及ぼす。これら

の影響は,軽微なものから重大なものにまで及び,短期間又は長期間のこともあり,かつ,地球規模,地

域的又は局所的レベルで発生する。製品の環境影響は,製品規格で規定する項目及び内容(以下,規定事

項という。)に,影響を受けるものである。 

製品寿命の全ての段階で生じる,環境に対する製品の起こり得る有害な影響を低減する必要性が,世界

中で認識されている。製品の潜在的な環境影響は,製品規格の中で環境課題を考慮すれば,減らすことが

できる。 

この規格は,製品規格の作成に関与する全ての人々を対象として,持続可能な国際貿易を促進しつつ,

環境課題に注目を集めることを意図しており,非関税障壁となることは意図していない。規格作成者が環

境の専門家になることは期待されていないが,規格作成者がこの規格を使用することによって,次の事項

が奨励される。 

− 検討中の製品に関する基本的な環境側面及び環境影響を特定し,かつ,理解する。 

− 製品規格を通じて環境課題を取り扱うことが,可能な段階及び不可能な段階を決定する。 

様々な環境側面は,ある製品のライフサイクルの中で決定することができる。しかしながら,これらの

側面の特定及びその影響の予測は,複雑なプロセスである。製品規格を作成するときは,製品がそのライ

フサイクルの様々な段階で,環境にどのように影響するかの評価を,規格開発のプロセスの可能な限り早

い段階で確実に実施することが重要である。この評価の結果は,規格において,規定事項を特定する上で

重要である。製品規格の作成者(以下,規格作成者という。)が,適用される全ての国,地域又は地方の製

品に関連する法令への順守を積極的に配慮することが期待される。 

この規格は,図1に示すような,製品によって引き起こされ得る環境に対する起こり得る有害な影響の

削減を推進するための,ライフサイクル思考(3.2.1参照)の原則に基づいた段階的なアプローチを提案す

る。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

成果 

図1−ライフサイクル思考に基づく製品規格に環境規定事項を導入するための段階的なアプローチ 

箇条3に概要を示すアプローチは,どのように製品規格を通じて環境改善に有効な貢献が行えるか,更

にどのように製品の環境に対する起こり得る有害な影響を削減するかに関して,規格作成者の自覚を促す

ためのものである。 

製品規格で環境課題を考慮することが可能か否か,適切か否かを決定するためには,製品がそのライフ

サイクルを通じ,環境にどのように相互作用しているかを理解することが必要である。箇条4でこれらの

課題を考慮し,どの環境側面(What)が規格の作成に関係しているかについて記述する。 

製品規格の作成者は,役に立つツール(環境チェックリスト)によって,環境情報,製品及び環境知識

の利用可能性,並びにライフサイクル思考の適用に基づいて,製品に関係する環境側面を評価することが

できる。箇条5及び箇条6ではこのような点を考慮し,環境側面及び環境影響を,どのように(How)特

定し,製品規格において環境側面に関する規定事項(以下,環境規定事項という。)を,どのように作成す

るかの手法について記述する。既存の規格から抜粋した,有用な幾つかの事例を,附属書Bに記載する。 

これらの情報及び追加的な手引に基づく成果として,製品規格において環境規定事項を作成することが

できる。 

ライフサイクル思考 

環境チェックリスト,情報源, 

環境規定の起草の手引,環境意識の向上手引, 

環境意識の向上 

基本原則及びアプローチ,並びに製品環境側面と,

その製品環境影響との関係 

製品環境影響との関係 

序文 

関係当事者の期待,法令への順守,天然資源の制約,

気候変動,汚染の予防,経済的な便益 

 W

h

y(


ぜ)

 箇条3及び箇条4 

 箇条5及び箇条6 

環境課題,環境改善及び環境意識を統合した, 

製品関連の規定事項を含めた製品規格 

W
h

a

t(


を)

H

ow

(

て)

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

適用範囲 

この規格は,製品規格における環境課題の記述方法についての指針を示す。この規格は,主に規格作成

者のために意図されている。この規格の目的は,次のとおりである。 

− 製品規格の規定事項,及びその製品の環境側面と環境影響との関係を概説する。 

− 製品のライフサイクルの全体の,様々な段階における環境に対する起こり得る有害な影響を削減する

ために,製品規格の規定事項の作成又は改正を支援する。 

注記1 事例については,附属書Bを参照。 

− 製品規格で環境課題を考慮することは複雑なプロセスであり,競合する優先事項のバランスを保つ必

要性を強調する。 

− 規格作成の対象となる製品の環境規定事項を決定するときに,ライフサイクル思考の採用を推奨する。 

− この規格で規定する原則及びアプローチに整合した,規格作成者が製品規格において環境課題を記述

するための,将来の関連する技術分野別のガイドの開発を推進する。 

注記2 附属書Aを参照。 

新しい製品規格を作成するとき若しくは既存の製品規格を改正するとき,又は改正する意図のあるとき

は,規格作成者には,いつでもこの規格の適用を積極的に推進することを奨励する。さらに,いかなる規

格開発の段階においても,原案作成に参画する専門家は,自身のコメントに環境課題を含めることを奨励

する。 

製品及びその固有の環境影響の多様性とともに,関連する必要な環境知識を考慮するためには,規格作

成者の作業に環境課題の専門家を参画させることが有効である。規格作成者は,関連する他の分野固有の

既存の指針及び関連規格で明確にされた環境規定事項を考慮してもよい。 

この規格では,労働安全衛生又は消費者保護の問題は,それらが環境課題と密接に関連していない限り,

製品のライフサイクルにおける分離した側面,又は固有の側面としては取り扱わない。規格作成者は,他

のガイドにおけるこのような事項については,手引とすることができる。 

注記3 参考文献に掲載した規格及びその他のガイドを参照。 

注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO Guide 64:2008,Guide for addressing environmental issues in product standards(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

環境(environment) 

大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,組織の活動を取り巻くもの。 

注記 ここでいう取り巻くものとは,組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ。 

2.2 

環境課題(environmental issue) 

環境側面及び環境影響の関心事項。 

2.3 

環境規定事項(environmental provision) 

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

環境課題を記述した規格の要求事項,推奨事項又は記載事項。 

2.4 

利害関係者(interested party) 

組織の環境パフォーマンスに関心をもつか又は影響を受ける人又はグループ(JIS Q 14001:2004の3.13

参照)。 

2.5 

ライフサイクル(life-cycle) 

原材料の取得又は天然資源の産出から最終処分に至るまでの,製品システムの連続的かつ連結した段階。 

注記 “製品システム”という用語は,JIS Q 14040で定義されており,補足説明も加えられている。 

2.6 

ライフサイクル思考,LCT(life-cycle thinking) 

(製品の)ライフサイクルの全体を通して,(製品の)関係する全ての環境側面を考慮すること(IEC 

Guide 109:2003の3.10参照)。 

2.7 

汚染の予防(prevention of pollution) 

有害な製品環境影響(2.10)を低減するために,あらゆる種類の汚染物質若しくは廃棄物の発生又は放

出を回避し,低減し,又は管理するためのプロセス,操作,技法,材料,製品,サービス又はエネルギー

を(個別に又は組み合わせて)使用すること。 

注記 汚染の予防には,発生源の低減又は排除,プロセス,製品又はサービスの変更,資源の効率的

な使用,代替材料及び代替エネルギーの使用,再使用,回収,リサイクル,再生,処理などが

ある。 

2.8 

製品(product) 

全ての製品又はサービス(JIS Q 14050の6.2参照)。 

2.9 

製品環境側面(product environmental aspect) 

製品のライフサイクルを通じて環境と相互に作用する可能性のある製品の要素。 

2.10 

製品環境影響(product environmental impact) 

全体的に又は部分的に製品環境側面から生じる環境に対するあらゆる変化。 

2.11 

製品規格(product standard) 

目的適合性を確実に果たすために,製品又は製品群が満たさなければならない要求事項を規定する規格。 

注記1 製品規格は,目的適合性のための要求事項に加えて,用語,サンプリング,試験,包装及び

表示,更に場合によってはプロセスの要求事項のような側面を,直接又は引用によって含ん

でもよい。 

注記2 製品規格は,必要な要求事項の全てを規定するか,又はその一部だけを規定するかによって,

内容が全てそろったものとそうでないものとがある。このような観点から,寸法規格,材料

規格などのように規格を区別してもよい(JIS Z 8002:2006の5.4参照)。 

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.12 

規格作成者(standards writer) 

規格の作成に参画するあらゆる人。 

注記 この規格における規格とは,製品規格をいう。 

基本原則及びアプローチ 

3.1 

一般 

この箇条では,規格作成者が考慮することが望ましい基本原則及びアプローチについて規定する。 

3.2 

基本原則 

3.2.1 

ライフサイクル思考 

3.2.1.1 

原則 

規格作成者は,製品のライフサイクルの全ての段階において,関係する環境側面及び環境影響を検討す

ることが望ましい(図2参照)。 

3.2.1.2 

概説 

図2は,次に示す製品のライフサイクルの四つの主要な段階を示したものである(ただし,これらだけ

に限らない。)。 

− (材料)取得の段階 

− 生産の段階 

− 使用の段階 

− 使用済みの段階 

輸送,エネルギー供給及びその他のサービスのようなプロセスは,製品のライフサイクルの特定の段階

には属さないため,図の中心に位置する(図2参照)。むしろ,一般に,段階と段階との間に組み込まれ

ている。インプット及びアウトプットは,全ての段階及びプロセスに関係する可能性がある。 

“ライフサイクル思考”とは,製品のライフサイクルの全ての段階で,製品の全ての環境側面を考慮す

るという意味である。ライフサイクルの特定の段階に対する改善が,その製品のライフサイクルのその他

の段階における環境影響に有害な作用を及ぼすことがある。規格作成者は,ライフサイクルの段階での環

境影響への考慮が,次の事項に対して,有害な変更又は有害な影響がないことを確実にすることが望まし

い。 

− 製品に関係する環境影響の全体的な負荷 

− 局地的,地域的又は地球環境の他の側面 

例 溶剤洗浄方式から温水及び送風を用いたプロセスへの変更が,生産の段階でのエネルギーの使用

の増加という結果を招く。 

上記は,特に,製品規格の適用範囲が限定され,ライフサイクルの一定の段階にだけ適用する場合に当

てはまる。 

ライフサイクル思考を適用することによって,製品が著しく環境に影響を与えるライフサイクルの段階

及び著しい環境側面を決定することができる。これらは,規格内の環境規定事項に含まれることが望まし

く,かつ,製品の性質に大きく依存する。 

環境規定事項を含めるための考慮は,製品規格の開発の初期の段階で行うことが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2−ライフサイクル思考 

3.2.2 

天然資源の効率的な使用 

3.2.2.1 

原則 

製品規格を作成するとき,規格作成者は,天然資源の希少性を特に考慮するとともに,枯渇しないよう

に努力することが望ましい。 

3.2.2.2 

概説 

この原則は,製品のライフサイクルの全ての段階を通じて,資源の有効かつ効率的な使用を改善するこ

とを意味する。例えば,その他の材料の使用及び廃棄物から回収されたエネルギーの使用だけでなく,原

材料の選択及び使用,並びに水,エネルギー及び土地の利用が含まれる。 

資源の取得及び使用に関連する環境影響に加えて,再生不可能な資源,一般に鉱床及び化石燃料を枯渇

させることは,持続的ではない。資源の枯渇は,再生するよりも高い率で消費される再生可能な資源にも

当てはまる。 

人間の活動は,生物多様性及び生物種の維持率に影響を及ぼすことがあり,種の激減又は絶滅をもたら

すことがある。 

環境的に有益な場合,規格作成者は,使用済みの段階における処理に対する様々な工夫だけでなく,再

生可能な資源を推奨することが望ましい。 

エネルギーに関しても,幾つかの考慮すべき事項がある。これらの中には,選択したエネルギー源の変

換効率及びエネルギーの効率的な利用が含まれる。 

3.2.3 

汚染の予防 

3.2.3.1 

原則 

インプット

の例 

材料資源の

消費 

エネルギー

資源の消費 

土地の利用 

生産の段階 

使用済みの段階 

使用の段階 

取得の段階 

輸送 

エネルギー供給 

その他のサービス 

アウトプット

の例 

大気への 

排出 

廃棄物の 

生成 

水及び土地 

への放出 

騒音 

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規格作成者は,ライフサイクルの全ての段階において,汚染の予防の必要性を考慮することが望ましい。 

3.2.3.2 

概説 

製品規格の規定事項は,汚染の予防に役立つことができる。汚染の予防は,多くの形態をとることが可

能であり,製品のライフサイクルの全ての段階に組み込むことができる。例えば,製品規格に規定する,

有害,有毒又はその他の点で危険な物質及び材料は,代替が可能であり,かつ,実施できるのであれば,

常に,より危険性の低い物質及び材料に代替することが望ましい。 

汚染の予防は,階層的なアプローチの促進も含む。すなわち,その汚染の発生源での予防を推奨するこ

とから始まり,発生源の低減又は除去による廃棄物及び排出のない生産に至ること(環境配慮設計及び開

発,代替材料の使用,プロセス,製品又は技術の変更,並びにエネルギー及び材料の効率的な使用又は保

全を含む。)を意味する。 

さらに,汚染の予防のために,次の選択肢を考慮することが望ましい。 

− 内部での再使用又はリサイクル(プロセス内又は施設内での材料の再使用又はリサイクル) 

− 外部での再使用又はリサイクル(再使用又はリサイクルのための材料の施設外移転) 

− 再生及び処理(施設内外での,廃棄物の物流からのエネルギー回収又は環境影響を削減するための廃

棄物の排出及びリリース物の処理) 

3.2.4 

環境リスクの予防及び最小化 

3.2.4.1 

原則 

規格作成者は,発生事象及び事故がもたらす結果並びにその可能性を考慮して,環境リスクを削減する

必要性を検討することが望ましい。 

3.2.4.2 

概説 

この規格におけるリスクの意味は,一つの事象(発生事象又は事故)とそれがもたらす結果の可能性,

又は確率との組合せによって測ることができるものである。 

製品の製造,使用及び処分における環境への危険な影響の特定の結果を受けて,発生事象及び事故を予

防し,人の健康を含む環境にもたらす結果を最小にとどめるための率先的な取組みが望ましい。 

環境リスクの予防及び最小化は,計画し,又は期待したことからの起こり得る変化を特定すること,並

びに意志決定及び結果を改善するために,これらのリスクを管理することに関係する。リスクの予防及び

最小化のために組織が適用する原則及び手法は,製品規格の適用に関連するリスクを予防し,最小限にと

どめるための手段に関して重要なインプットを提供することができる。 

製品規格を開発するときは,他の環境側面と整合しつつ,環境リスクの予防及び最小化を取り扱うこと

が望ましい。 

これには,例えば,次の事項を含む。 

− 労働にかかわらない発生事象及び事故に関連する,人の健康へのリスクの低減 

− 製品の部品としての,又はその生産における促進剤若しくは触媒のいずれかとしての,有害な物質の

使用の削減又は回避 

− プロセスに関連する不可避なリスクの特定及び適切な管理 

− 使用時又は解体時の,有害な材料の管理されたリリース又は管理されないリリースの可能性 

3.2.5 

予防の原則 

3.2.5.1 

原則 

規格の規定事項を開発するとき,規格作成者は,予防の原則を考慮することが望ましい。 

3.2.5.2 

概説 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

環境又は人の健康に対する,重大な損傷又は回復不能な損傷の具体的な脅威が存在する場合,可能であ

るにもかかわらず,十分な科学的な確実性がないことを根拠に,規格の環境規定事項に取り入れることを

後回しにすることは望ましくない。 

本質的に,予防の原則は,科学的な確実性のない状況において,調査中の,又は調査の行われていない

疑わしい慣行を継続することよりも,その慣行又は物質に対する予防処置をとるためのよりどころを提供

する。 

予防的なアプローチは,どのようなレベルの危害ならば許容されるかを問うのではなく,次の事項を問

うものである。 

− 汚染はどの程度回避することができるか。 

− この製品又は活動の代替案は何であり,それらは,より安全か。 

− この製品又は活動は,そもそも必要なのか。 

予防原則は,リスクよりも,むしろ選択肢及び解決策に焦点を当てるものである。 

3.3 

アプローチ 

3.3.1 

製品設計 

3.3.1.1 

アプローチ 

製品設計は,製品のライフサイクルの全ての段階で起こり得る環境影響を回避するための最も効果的な

手段であるため,規格作成者は,製品設計の環境側面をできる限り考慮することが望ましい。 

3.3.1.2 

概説 

資源の節約及び汚染の予防に関する要素を考慮した製品設計には,幾つかのアプローチがある(3.2参照)。

これらは,様々な製品技術分野に適用されている。製品規格を開発するとき,規格作成者は,環境適合設

計(DFE)など,これらのアプローチを意識することが望ましい。 

注記 製品設計及び製品開発へ環境側面を取り入れることを,環境配慮設計(ECD),エコデザイン,

製品スチュワードシップの環境部分などと呼ぶこともある。 

考慮した製品設計には,次の事項を含む。 

− 材料の選択 

− 材料及びエネルギーの効率 

− 材料の再使用,リサイクル及び再生 

− 生産 

− 製品の使用及びメンテナンス 

− 使用済みの段階の処理 

製品設計プロセスへ環境側面を取り入れることに関する標準情報には,TR Q 0007がある。これは,規

格作成の手引として使用することができる。 

3.3.2 

製品の使用 

3.3.2.1 

アプローチ 

規格作成者は,意図しない使用及びその環境への影響だけでなく,製品メンテナンスのための潜在的な

要求事項及び使用における製品の用途を考慮することが望ましい。 

3.3.2.2 

概説 

機器の“使用の段階”での水の消費又はエネルギーの使用は,製品寿命の中で最も大きな環境影響を生

じることがある。水及びエネルギーを使用する機器にとっては,使用の段階の環境影響が圧倒的なものと

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なることが多い。製品の標準化の一部として,水又はエネルギーの使用効率に関する規定事項を設定する

ことは,これらの製品の環境影響を削減することができるが,しばしば,改善が偏ることがある。 

3.3.3 

製品環境情報のやり取り 

3.3.3.1 

アプローチ 

規格作成者は,規格の中で関連する環境情報が確実に伝達されるように寄与することが望ましい。 

3.3.3.2 

概説 

製品の意図した使用に関する顧客(個人又は業務とする者)へのコミュニケーションには,環境側面に

関する情報を含むことも多くなっている。JIS Q 14020,JIS Q 14021,JIS Q 14024及びJIS Q 14025は,

例えば,製品の環境宣言など,環境ラベルに関する原則,事例及び要求事項について提供している。製品

のメンテナンス及び修理並びに使用済みの段階での処分を含めた適切な使用に関する推奨事項は,このよ

うなコミュニケーションの一部として期待される典型例である。 

製品規格の作成に当たり,製品の環境関連の特徴に関するコミュニケーションについて認識すべき様々

な各国の規格及び国際規格がある。 

環境課題を系統的に取り扱うために製品規格において考慮すべき環境側面 

4.1 

一般的な考慮事項 

製品の環境側面が,製品規格の作成者によってどのように特定されることが望ましいかを決定するため

に,製品が,そのライフサイクルを通じて環境とどのように相互に作用しているかを理解する必要がある。

製品の環境側面の例には,次の事項が含まれる。 

− 大気への排出 

− 水及び土壌への放出 

− 原材料の使用 

− エネルギー及び水の消費 

− 土地の利用 

特定された製品の環境側面ごとに,製品の環境影響がある。環境側面は,因果関係によって影響に関係

付けられる。製品規格の規定事項によって,良い影響又は有害な影響の出る環境側面の例として,次の事

項が挙げられる。 

a) 気候変動(温室効果ガスの排出による。) 

b) 大気汚染(大気へのばいじん及び有毒ガスの非制御/未処理又は不慮の排出による。) 

c) 再生不可能な資源の枯渇(化石燃料及び鉱物の消費) 

製品規格の作成者は,環境課題を十分に考慮するために,考慮中の製品に関係する環境側面の理解を深

めることが望ましい。推奨されるアプローチに関する手引は,箇条5に規定する。 

製品の環境影響は,使用及び消費されるインプット,採用するプロセス,並びに製品のライフサイクル

の全ての段階で生成されるアウトプットに関係する。これらの環境影響に対しては,箇条3に規定する基

本原則及びアプローチの適用が良い方向に作用し得る。 

ここに概説した全ての製品の環境側面は,サービスにも適用される。サービスによっては,ライフサイ

クル思考の適用に工夫が必要なものがある。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2 

インプット 

4.2.1 

一般 

インプットには,天然資源(鉱物,水,ガス,石油,石炭,木材など),工業環境から得られるもの(リ

サイクル材,共製品,中間製品,エネルギーなど)又は土地の利用から得られる資源の使用が含まれる。

実務的な理由から,これらの様々な資源は,“材料”,“水”,“エネルギー”及び“土地の利用”に大きく分

類することができる。 

4.2.2 

材料 

材料のインプットは,原材料の採取から最終処分に至るまでのライフサイクルの全ての段階において,

重要な役割を果たす。材料は,多様な環境影響を発生させる。その影響には,資源の枯渇,有害な土地の

利用,及び有害な材料の人又は環境への暴露が含まれる。材料のインプットは,廃棄物の発生,大気への

排出並びに土壌及び水への放出の原因となる。 

4.2.3 

水 

水不足,特に地表又は地下水源からの淡水の不足は,世界の多くの地域で重大な問題である。妥当な場

合,製品のライフサイクルの異なる段階で,水の効率的な利用を考慮する必要がある。さらに,必要な場

所で水を利用するためには,それを輸送するためのエネルギーを使用しなければならない。 

海洋,湖沼及び河川では,自然生息地及び生物多様性の保護も重要である。水質汚濁,河川の直線化及

び沿岸地域の改造は,天然水域に生息する動植物を壊滅させることがある。 

注記 硝酸及びりんによる汚染(例えば,内陸国での肥料の過剰投与が原因)は,水域の富栄養化を

招くおそれがあり,影響を受ける地域の生物を,絶滅の危機にさらすことがある。 

4.2.4 

エネルギー 

エネルギーのインプットは,製品のライフサイクルのほとんどの段階で必要となる。エネルギー源には,

通常,化石燃料,原子力燃料,廃棄物の熱回収,水力発電,地熱,バイオマス,太陽及び風力エネルギー

が含まれる。どのエネルギー源も,特有の環境影響をもつ。 

4.2.5 

土地 

土地の利用は,生物多様性の減少を招き,土壌の品質に影響を与え,再生には長時間を要することがあ

る。たとえ,損なわれた地域に新たに植物を植える努力を払っても,自然のバランス及び生態系の流れを

取り戻すには長期間を要するか,又は正常なレベルに戻らないこともある。 

4.3 

アウトプット 

4.3.1 

一般 

製品のライフサイクルで発生するアウトプットは,一般に,中間製品及び共製品,大気への排出,水及

び土壌への放出,廃棄物並びにその他のリリースが含まれる。 

4.3.2 

大気への排出 

大気への排出には,大気に排出されるガス,蒸気又は粒状物質が含まれる。排出物(粉じん及び有毒物

質,腐食性物質,可燃性物質,爆発物,酸性物質又はにおい物質)は,動植物及び人間に有害な影響を与

えることがある。また,酸性雨は,価値のある建築物及び考古学的遺跡に損害を及ぼすことがある。こう

したものは,気候変動,成層圏のオゾン層の減少,光化学スモッグの形成など,その他の環境影響の原因

となることもある。大気への排出には,管理されていない排出源からの排出だけでなく管理された排出源

からの排出,未処理の排出だけでなく処理後の排出,及び事故による排出だけでなく正常な操業による排

出が含まれる。 

注記1 管理されていない排出には,漏れ,蒸発又は事故で発生するものがあり得る。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 気候変動の原因は,温室効果ガスである。気候変動に最も影響を及ぼす温室効果ガスは,二

酸化炭素,メタン,亜酸化窒素,六ふっ化硫黄,ハイドロフルオロカーボン(HFCs)及びペ

ルフルオカーボン(PFCs)である。 

4.3.3 

水への放出 

水への放出には,排水溝,下水道又は水路のいずれかへの物質の放出が含まれる。栄養素,及び有毒物

質,病原物質,腐食性物質,放射性物質,難分解性又は蓄積性物質の放出は,水界生態系に対する様々な

汚染作用及び水質の悪化を含め,環境に対する有害な影響を引き起こすことがある。水への放出には,管

理されていない放出だけでなく管理された放出,未処理の放出だけでなく処理後の放出,及び事故による

放出だけでなく正常な操業による放出が含まれる。 

注記 水への管理されていない放出には,漏れ又は事故で発生する放出があり得る。 

4.3.4 

土壌への放出 

土壌の使用だけでなく,全ての土壌への放出及び土壌への処分は,その起こり得る環境影響に関して考

慮されることが望ましい。この放出物には,危険物質だけでなく,その濃度及び用法によっては,無害な

物質が含まれる。その起こり得る影響は,土壌及び地下水の品質に関連して,考慮する必要がある。 

土壌への放出には,管理されていない放出源からの放出だけでなく管理された放出源からの放出,未処

理の放出だけでなく処理後の放出,及び事故による放出だけでなく正常な操業による放出が含まれる。 

注記 土壌への管理されていない放出には,漏れ又は事故で発生する放出があり得る。 

4.3.5 

廃棄物 

廃棄材料及び廃棄製品は,大きく次のように分類することができる。 

− 最終処分に送られるもの,例えば,エネルギー回収又は埋め立てを行わない焼却 

− 使用後に回収され,リサイクルを含む再生に適したもの 

− 生産工程内で発生し,更なる加工又は回収前の使用を受けないもの 

地域又は国の法令は,廃棄製品及び廃棄材料のその後の処理に関係してくることもある。 

4.3.6 

中間物及び副産物 

その他のアウトプットについて考慮することが望ましい。例えば,廃棄物(高熱量廃棄物)から回収さ

れたエネルギー,リサイクル材,副産物,リサイクルされた水などである。 

4.3.7 

その他のリリース 

その他のリリースとしては,騒音,振動,放射及び熱が含まれる。 

4.4 

その他の関係する課題 

4.4.1 

事故又は非意図的使用による環境へのリスク 

製品のライフサイクルで発生する環境影響には,爆発,衝突,容器の落下及びその他の発生事象に起因

し得る多くの種類がある。 

環境影響は,製品を使用説明書又はその意図した使用に従わないで使用したときなど,故意又は不慮の

誤使用によっても発生することがあり,それは例えば,次のような事項である。 

− 土壌及び水域の汚染原因になったかもしれない推奨された量を超えた農薬の散布 

− 輸送車両の事故による化学薬品の漏れに関するリスク 

− 冷蔵庫,エアコンなどの誤使用によるエネルギーの損失 

4.4.2 

顧客への情報 

信頼性があり,理解しやすく,比較可能で,正しい情報によって,製品の著しい環境側面を顧客に知ら

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

せることができる。適切な場合には,規格の中でこの情報を要求することが望ましい。例えば,危険物質

の分類及び成分/リリース量,エネルギー効率などの中でどのような情報が必要であるかなどである。ま

た,適切な場合には,この情報の書式に関する法令の要求事項を考慮する必要がある。 

情報は,購入前に容易に利用可能なことが望ましい。 

注記 JIS Q 14021,JIS Q 14024及びJIS Q 14025は,環境ラベル及び環境宣言に関する要求事項を含

んでいる。規格の中で消費者向けの情報を取り上げた箇条で,これらの規格を参照することも

できる。 

系統的なアプローチによる製品の環境側面の特定 

5.1 

一般 

規格作成者は,ライフサイクル思考に基づいて,関係する製品の環境側面を系統的に評価する手順を確

立することが望ましい。 

この作業を行う上で役立つツールの一つが,環境チェックリストであり,これは,環境情報の利用可能

性,製品及び環境の専門知識並びにライフサイクル思考のアプローチの適用に基づいたものである。 

完成されたチェックリストは,関係する環境側面を含む製品のライフサイクルの段階を特定することが

できる。また,チェックリストを完成させれば,製品規格に含まれる規定事項がどのライフサイクルの段

階に対するものであるかを識別することが可能になる。 

チェックリストは,制定された規格を改正することが望ましいか否か,特に,環境課題が規格の改正の

理由になるかどうかをチェックするために使用することもできる。 

5.2 

製品の環境側面及び環境影響を特定するためのデータ収集 

製品のライフサイクルに関係する環境側面及び環境影響,並びに製品規格が環境側面及び環境影響にど

のように影響し得るかを特定することは複雑であり,環境課題の専門家との協議を必要とする場合もある。

製品の環境側面及び環境影響を特定し,かつ,評価するときは,可能な限り既存の環境情報を使用するこ

とが望ましい。 

有用な情報源は,次のとおりである(優先順)。 

a) 関係する技術分野別のガイド(附属書A参照) 

b) ライフサイクルアセスメント(LCA)調査:JIS Q 14040及びJIS Q 14044に準拠したLCAを適用す

ることが望ましい。 

注記 LCAは,次のような方法で製品に付随する環境側面及び起こり得る環境影響を評価するため

の手法である。 

− 関係するシステムのインプット及びアウトプットのインベントリの集計 

− そのインプット及びアウトプットに関係する起こり得る環境影響の評価 

− 調査目的を基準にした,インベントリ及び影響評価の段階の結果の正しい解釈 

c) 環境影響若しくは環境リスクの調査,技術データ報告書,公表されている環境分析若しくは調査,又

は製品に関連する有毒物質のリスト:関係する監視データ 

d) 製品仕様,製品開発データ,材料/化学安全データシート(SDS),又はエネルギー収支及び物質収支

のデータ:製品の環境宣言 

e) 環境及びその他の関連する法令の要求事項 

f) 

特定の環境に関する行動規範,国及び国際機関の方針,指針並びに実施計画 

g) 緊急事態及び事故の報告書 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

環境チェックリスト 

環境チェックリスト(表1参照)を完成させ,適宜更新し,規格の全ての開発の段階を通じて原案に添

付することが望ましい。表1にあるチェックリストの表は,特に製品規格に適している。サービス業のよ

うな場合又は地域若しくは業種に特有な問題に適応するために,他のツール及び別の形式のチェックリス

トがより適切であることもある。例えば,サービスを提供する典型的な手順をより反映するために,ライ

フサイクルの段階を修正することもある。一方,一つの製品が,全てのライフサイクルを含む一連の規格

によって記述されている場合は,各々の規格に対してではなく,一連の全ての規格に対してチェックリス

トを作成することがより適切である。 

環境チェックリストの目的は,規格提案が,関係する製品の環境側面を含んでいるかどうか,かつ,そ

うであるならば,原案の中でどのようにそれらが扱われているかを説明することである。規格は,環境チ

ェックリストを添付せずに制定又は改正される。 

チェックリストには,次の情報を記載することが望ましい。 

− 規格番号 

− 規格の名称 

− 専門委員会(TC)/分科委員会(SC)/作業グループ(WG)の番号 

− 作業項目番号(番号がある場合) 

− 環境チェックリストの版 

− 環境チェックリストの最終修正期日 

原案作成委員会の委員の参加を促し,収集したデータを踏まえて,次のようにチェックリストの表を完

成することが望ましい(5.2参照)。 

a) 製品に関係するそれぞれの環境側面を特定する。 

b) 各欄に,著しい製品の環境側面がある場合は“○”を,又は著しい製品の環境側面がない場合若しく

はその欄が該当しない場合は“×”を記入する。 

c) 各欄が“○”の場合は,規格で,この製品の環境側面を取り扱うことができるかどうかを明らかにす

る。このような欄には,三つのアスタリスク(***)を記入する。 

d) 製品の環境側面を取り扱う規格の箇条の番号を,該当する欄に記入する。 

e) 別個の欄(コメント)を使用して,追加情報を記載する。各環境側面(○が記入されている欄)の簡

単な説明,及びそれをどのように取り扱うか(又はなぜ取り扱わないのか)を,ここに示すことがで

きる。 

f) 

製品のライフサイクルにおける様々な環境側面を評価するときは,環境負荷を一つのライフサイクル

の段階から別のライフサイクルの段階に,又は一つの媒質体から別の媒質体に転化しないほうがよい

ということを明記することが望ましい。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−環境チェックリスト 

規格番号: 

規格の名称: 

専門委員会(TC)/分科委員会(SC)/作業グループ(WG)の番号: 

作業項目番号(番号がある場合): 

環境チェックリストの版: 

環境チェックリストの最終修正期日: 

環境課題 

ライフサイクルの段階 

取得の段階 

生産の段階 

使用の段階 

使用済みの段階 

全ての

段階 

原材料
及びエ
ネルギ
ー 

事前製
造した
材料及
び部品 

生産 

包装 

使用 

メンテ
ナンス
及び修
理 

関連製
品の追
加使用 

再使用/
材料・エ
ネルギー
の回収 

エネル
ギー回
収のな
い焼却 

最終処
分 

輸送 

インプット 

材料 

水 

エネルギー  

土地 

アウトプット 

大気への排
出 

水域への放
出 

土壌への放
出 

廃棄物 

騒音,振動,
放射,熱 

その他の関係する側面 

事故又は非
意図的使用
による環境
へのリスク 

顧客情報 

コメント: 

注記1 包装の段階は,製造された製品の一次包装を指す。ライフサイクルのいずれかの段階又は全ての段階で発生

する輸送のための二次又は三次の包装は,輸送段階に含まれる。 

注記2 輸送は,全ての段階の一部として取り扱うことも(チェックリスト参照),独立した副段階として取り扱う

こともできる。製品の輸送及び包装に関連する特別な問題に対応するように,新しい欄を設けることも,及
び/又は,コメントを加えることもできる。 

5.4 

環境チェックリストと原案作成の手引との関係 

環境チェックリストを用いて,製品の著しい環境側面を特定した場合,これらの側面ごとに環境規定事

項を作成することができる。箇条6に,表2を用いてチェックリストに対応した,具体的な手引を記載す

る(表2参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−ライフサイクルの様々な段階に関する原案作成の手引 

ライフサイクルの段階 

取得の段階 

生産の段階 

使用の段階 

使用済みの段階 

全ての

段階 

原材料及
びエネル
ギー 

事前製造
した材料
及び部品 

生産 

包装 

使用 

メンテ
ナンス
及び修
理 

関連製
品の追
加使用 

再使用/
材料及び
エネルギ
ーの回収 

エネル
ギー回
収のな
い焼却 

埋め立
て 

輸送 

箇条 

6.2 

6.2 

6.3 

6.3 

6.4.2 

6.4.3 

6.4.4 

6.5 

6.5 

6.5 

6.6 

製品規格に環境規定事項を取り入れるための手引 

6.1 

一般 

規格では,環境規定事項が目的及びその他の基準に整合している限りにおいて,製品のライフサイクル

の様々な段階における起こり得る環境に対する有害な影響を,ライフサイクル思考に基づいて最小限にす

ることに役立つことが望ましい。 

表3〜表10に,環境規定事項においてライフサイクル思考に基づき反映されることが望ましいライフサ

イクルのそれぞれの段階における推奨事項の例を示す。これらの表には,可能な選択肢の例及び制約も含

まれている。関係する環境影響の性質及び規格の適用範囲に応じて,規格作成者は,このような環境規定

事項を要求事項,推奨事項又は記載事項として規格に含める必要があるかどうかを決定することが望まし

い。 

ライフサイクルのいずれかの,又は全ての段階に関連する,既存の規格における規定事項の例を,附属

書Bに記載する。 

6.2 

取得 

表3は,エネルギーを含む原材料の選択及び取得,並びに事前製造した材料及び部品の取得に関連する

環境規定事項に反映させることが望ましい推奨事項を,様々な制約及び判断に迷うような事情への配慮と

合わせて示すものである。 

表3−原材料,並びに事前製造した材料及び部品の取得 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

できる限り少量の材料を使用する。 

特別な判断が必要になるのは,資源が豊富な材料Aを大量に
使用するか,資源が極めて限定されている材料Bを少量使用
するかを比較する場合である。 

回収又はリサイクルが容易な材料を使用する。 

特別な判断が必要になるのは,包装材料に関して,焼却又は
埋め立てによって処分する軽量の柔軟な包装にするか,段ボ
ール又はスチールのようなリサイクルが容易な,重く硬い容
器の包装にするかを比較する場合である。 

リサイクル材料又は再使用材を使用する。 

基準として,製品中のリサイクル材の比率よりも,製品寿命
リサイクル比率を優先させることが望ましい。 
化学組成など,リサイクル材料の品質の知識が欠けているな
ら,そうした材料の使用を制限することがある。 

再生資源を使用し,再生不能原材料の使用を最小限
にとどめる。 

この基準は,再生資源が持続的に管理され,再生する速度が
枯渇する速度よりも早い場合にだけ有効である(4.1も参照)。 

再使用可能な製品の利点を確認する。 

特別な選択が必要になるのは,再使用製品が,新品の製品よ
りも大量のエネルギーを消費する場合である。 

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表3−原材料,並びに事前製造した材料及び部品の取得(続き) 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

有害物質の使用を,有毒性,発がん性,変異原性,生殖
毒性に特に注意しながら,不可避の機能だけに限定す
る。 

特別な選択が必要になるのは,少量の有害物質がリサイ
クル材料の中に混入している場合である。このようなケ
ースでは,混入した有害物質の生体への影響を検討する
必要がある。 

耐久性及び寿命を最適化するために原材料を選択する。 制約及び判断に迷うような事情はない。 

メンテナンス,再使用又はリサイクルが容易となるよう
に,標準化された要素,及び部品を使用する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

材料の種類を最小限にとどめる。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

同一製品又は別製品の部品を再使用する。 

特別な選択が必要になるのは,再使用部品が,新しい部
品と比べて,よりエネルギーを消費するか,他の環境影
響を増加させる場合である。 

原材料の取得に関するエネルギーの使用量及び温室効
果ガスの排出量を最小限にとどめる。 

例えば,使用時のエネルギー消費量が著しい環境側面に
なるかもしれない自動車及び車両において,鋼材を使用
するかアルミニウムを使用するかで判断に迷う場合が
ある。 

使用する材料又は物質よりも,(環境)パフォーマンス
基準を規定する。 

これには通常,生産者による包括的な仕様及び更なる製
品試験が必要となる。 
技術的なパフォーマンス及び環境パフォーマンスの基
準は,互いに矛盾し得る。 

6.3 

生産 

表4及び表5は,製品の製造及び包装において,環境規定事項に反映させることが望ましい推奨事項を,

様々な制約及び判断に迷うような事情への配慮と合わせて示すものである。 

表4−製造 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

生産中のエネルギーの使用量及びそれに伴う温室効果
ガスの排出量を最小限にとどめる。 

特別な配慮が必要となるのは,パフォーマンスの低い製
品を出荷する低エネルギー工程にするか,使用時の環境
パフォーマンスが良好な製品を出荷する高エネルギー
工程にするかを選択する場合である。 

生産又は製造機器の選択を検討するとき,低エネルギー
ポンプ,廃棄物熱回収など,環境影響を最小限にする機
器を,徐々に優遇する。 

たとえ新しい機器の環境影響が低くても,既存の機器の
寿命が長いという理由で,簡単に交換することができな
い場合もある。 

生産の段階で,汚染の低減を可能にする副資材を規定す
る。 

このような規定は,廃棄物を副資材として使用すること
を妨げる場合もある(例えば,鉄鋼業又はセメント産
業)。 

汚染の少ない表面処理を規定する。例えば,溶剤による
コーティングよりも,水性コーティングを優先する。 

特別な選択が必要になるのは,水性コーティングの性能
が,溶剤によるコーティングよりも劣っている場合であ
る。 
水性コーティングにすれば,より多くのエネルギーが必
要となることがある。 

環境影響を最小限にとどめる製品試験について言及し,
それを使用する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表5−包装 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

適切な種類の包装材料を使用して,損害,損失及び損傷
を最小限にとどめる。 

これは,より多くの原材料及びエネルギーが必要とな
り,リサイクルが難しい包装材料が必要になることがあ
る。 

包装材を再使用又はリサイクルする。 

特別な選択が必要となるのは,使用済みの包装材料の再
使用又はリサイクルのための回収により多くの労力が
必要となる場合,又はリサイクルのために多くのエネル
ギー又は化石燃料を使用することになる場合である。 

6.4 

製品の使用 

6.4.1 

一般 

ライフサイクルのこの段階は,最もエネルギーを消費する段階となることがある。規格作成者は,製品

の使用を管理することはできないが,環境規定事項を通じて,使用の段階の製品の環境影響を大きく左右

することができる。この規定事項には,次の事項が含まれる。 

− 通常の使用時の,環境に対する有害な影響を最小限にとどめる規定事項(6.4.2参照) 

− 製品寿命を長くすることに寄与し,メンテナンス及び修理中の環境に対する有害な影響を最小限にと

どめる規定事項(6.4.3参照) 

− 関連製品の追加使用に関する規定事項(6.4.4参照) 

6.4.2 

通常の使用 

表6は,通常の使用に関して,環境規定事項に反映させることが望ましい推奨事項を,様々な制約及び

判断に迷うような事情への配慮と合わせて示すものである。 

表6−通常の使用 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

待機機能の廃止,(スイッチによって)電源を切るため
のオプション又は待機時のエネルギー消費量の低減 

選択は,機能性及び緊急課題に基づくことが望ましい。 

エネルギー効率が最適となるように使用するための,製
品に付ける情報表示 

開示する情報量が,過多にならないように配慮すること
が望ましい。 

全体的なエネルギー使用量及び使用時の温室効果ガス
排出量を最小限にとどめる。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

製品の起動時間を最小化する。 

選択は,ウォームアップ機能などの機能に基づくことが
望ましい。 

熱損失を減らすための断熱性を改善する。 

断熱材が生産時に環境影響をもつ場合,その量を最適化
する必要がある。 

車両及び可動機械部品用などに,軽量部品を使用する。 判断に迷うような事情には,軽金属生産時のエネルギー

消費量,並びにプラスチック及び複合材料をめぐるリサ
イクルの問題がある。 

使用段階の水の使用を最小限にとどめる。これは全体的
な水の消費量を低減するか,水を再使用することによっ
て達成することができる。取扱説明書に,水量に関する
標準的な分類を示すことが望ましい。 

判断に迷うような事情には,化学薬品又はエネルギーの
追加使用によってだけ,節水が達成できる場合がある。 

使用時の,製品によって発生する廃棄物の量を,最小限
にとどめる。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表6−通常の使用(続き) 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

考えられる全てのリリースの場面(大気への排出,屋内
の空気への排出,土壌及び水への放出)を踏まえて,有
害物質が放置されないことを確実にする。 

機能性を損なうことなく有害物の使用を最小限にとど
め,製品の使用及び処分に関して適切な手引を提供す
る。 

使用時の,製品から発生する騒音レベルを低くする。製
品又は取扱説明書に騒音に関する標準的なレベルを示
すことが望ましい。 

防音材の層の厚さ及び防音材の環境影響に関して配慮
することが望ましい。 

使用説明に関する手引を示す。例えば,製品の取扱説明
書に,非意図的使用のリスク及び環境に対する有害な影
響を最小限にとどめるための助言を提供することが望
ましい。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

6.4.3 

製品の耐久性,メンテナンス及び修理 

表7は,製品の耐久性,メンテナンス及び修理に関して,環境規定事項に反映させることが望ましい推

奨事項を,様々な制約及び判断に迷うような事情への配慮と合わせて示すものである。 

表7−製品の耐久性,メンテナンス及び修理 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

予測可能な製品の平均寿命を改善する。 

これは,Cr(VI)など,有害な材料を使用する表面処理
によってしか達成できないことがある。 

耐食性を改善する。 

このためには,更に表面処理が必要となることがある。 

洗浄が簡単になるように,及び/又は汚れにくくなるよ
うに,製品を設計する。 

このためには,更に表面処理が必要となることがある。 

交換が容易な部品を使用する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

洗浄,修理及びメンテナンス作業時の汚染を最小限にと
どめる。 

この推奨事項は,洗浄,修理又はメンテナンス時に関連
製品の追加使用が必要となる作業に適用する。 

例えば,修理のときに接続及び分離が簡単にできる接続
方法を規定する。 

この推奨事項は,修理作業によって寿命が大幅に伸びる
製品に適用する。 

修理及び交換の対象となる部品を簡単に取り外せるこ
とを確実にする。 

このためには,製品のサイズを大きくすることが必要と
なることがある。すなわち,原材料の取得及び生産の段
階で環境影響が大きくなる。 

標準化された工具をメンテナンスのために利用できる
ことを確実にする。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

予備品の確保を確実にする。 

この推奨事項は,寿命が短い部品又は頻繁に故障する部
品を内蔵した組立製品に適用する。 

製品のアップグレード又は改善を可能とする。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

メンテナンス及びサービスの間隔を含めた,修理及びメ
ンテナンスに関する手引書を提供する。 

この推奨事項は,修理作業によって寿命が大幅に伸びる
製品に適用する。 

メンテナンス及び表面処理の必要性を最小限にとどめ
る。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

6.4.4 

関連製品の追加の使用 

表8は,関連製品の追加使用に関して,環境規定事項に反映させることが望ましい推奨事項を,様々な

制約及び判断に迷うような事情への配慮と合わせて示すものである。 

注記 関連製品の追加使用の例としては,食器洗浄機の洗剤又はコーヒーメーカ用のフィルターバッ

グがある。 

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19 

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表8−関連製品の追加の使用 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

関連製品の仕様 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

関連製品の追加使用を最小限にとどめるという説明書
を同こん(梱)する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

水の使用量を最小限にとどめるように推奨し,該当する
場合には,リサイクルを推進する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

関連製品を,再使用又はリサイクル可能で,詰め替え可
能で,生分解性のあるものにする。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

環境に関する便益があるものでない限り,使い捨て部品
の使用は最小限にとどめる。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

関連製品として,標準化された部品及び製品(例えば,
電源,コネクタ)を使用する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

6.5 

使用済みの段階 

製品の使用済みの段階において,製品は,おそらく,解体及び更なるプロセスを経て,再使用/回収さ

れるか,又は(必要なときは処理してから)処分されるかのいずれかである。ライフサイクルのこの段階

において,環境に関する最良の選択肢は,様々な要素に左右される。それらの要素には,その地域で利用

可能な廃棄物管理のインフラストラクチャ,廃棄物の物流の性質・重要性及び生分解性,更に重要な製品

に対して最初に選択した設計上の選択肢が含まれる。この製品の使用済みの段階に焦点を当てることで,

全てのライフサイクルの視点に立った製品の環境最適化が,決して阻害されないようにすることが望まし

い 

表9は,製品の使用済みの段階に関する運用に関して,環境規定事項に反映させることが望ましい推奨

事項を,様々な制約及び判断に迷うような事情への配慮と合わせて示すものである。 

表9−使用済みの段階 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

異なる部品を分別しやすいように,それらに印を付け
る。 

この推奨事項は,通常,解体される大形部品にだけ適用
できる。 

製品の中で,リサイクルも再使用もできない材料は,簡
単に取り外せるように配置する。 

事前に解体作業を行わずに,製品を破砕し,分別する場
合は不必要である。 

分離できない複合材料は,使用しないようにする。 

一方で,複合材料は,軽量化など,ライフサイクル全体
の環境最適化に貢献することができる。 

分解の時間及び手順を最小限にする。 

この推奨事項は,解体することが通常である製品にだけ
当てはまる。 

高い回収率を確保する。 

この推奨事項は,大量生産される非大形の製品(缶,電
池,その他)にだけ当てはまる。 

使用する材料の種類を最少にする。 

分別法を検討する必要がある(磁石,電磁界を使った分
別,その他)。 

再使用又はリサイクルの妨げとなるような部品,組成,
添加材及び表面処理を避ける。 

この推奨事項は,製品の環境パフォーマンスに著しく貢
献することがある。 

再使用がしやすいように標準化された要素及び部品を
使用する。 

この推奨事項は,主に予備品として使用頻度の高い部品
に適用する。 

有害及び貴重な物質又は材料の,解体又は分別が,容易
にできることを確実にする。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

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20 

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表9−使用済みの段階(続き) 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

機能的に不可欠でない限り,難分解性有害物質の使用を
避ける。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

エンドユーザを対象にして,有害廃棄物と有害でない廃
棄物とを区別しつつ,使用済み段階の作業が適切なもの
となるように,説明書及び/又はラベルを提供する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

包装材を再使用又はリサイクルする。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

6.6 

輸送 

製品規格には,物流に関わる一連の組織のための規定事項をほとんど記載することができないが,製品

の設計は,ライフサイクルのどの段階でも輸送の環境影響に著しい影響を及ぼす。製品の設計は,原材料

及びエネルギーの使用量の節減に貢献することができる。すなわち,製造業者から流通業者・小売業者・

ユーザ及び製品の最終処分に従事する現場に至る,製造に関わる一連の異なる現場間の輸送距離を考慮し

ながら,その効率的な流通を確実にすることができる。 

こん包及び流通の環境側面を左右する様々な要素を,表10に示す。 

表10−輸送 

規格における規定事項の推奨事項 

選択肢及び制約事情の例 

輸送時のエネルギーを節減する製品を設計する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

例えば,メンテナンス及び修理,追加使用する関連製品
の取得又は使用済みの段階の処理・処分,並びに再使用,
リサイクル,再生などのための,輸送の必要性を節減す
る。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

適切な輸送形態を選ぶ(道路/鉄道/水路/空路)。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

適切な輸送用こん包を用いて,損失及び損傷を最小限に
とどめる。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

効率が最大となるこん包を用いる(重量,容積,荷重・
輸送単位,再使用,再生可能性)。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

輸送される原材料,事前製造した材料,及び部品を節減
する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

製品,こん包及び輸送単位ごとに,適切な表示を確実に
する。 

制約及び判断に迷うような事情はない。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

技術分野別の環境ガイドの開発 

A.1 一般 

技術分野によっては,この規格よりも更に踏み込んだ技術分野別の環境ガイドを開発することが有用な

場合もある。そのようなガイドは,当該技術分野の環境課題に焦点を絞ることができ,規格作成者に,更

に詳細な情報を提供できるであろう。例えば,それぞれの技術分野の規格の中で,どのように環境課題が

取り扱われているかについての技術分野別の事例を使うことによってなどである。 

注記 技術分野別のガイドは,日本工業規格ではプラスチックに関するものが,既に存在している(参

考文献参照)。 

通常,技術分野別のガイドは,その技術分野の環境及び技術の知識をもつ専門家グループが,その技術

分野の消費者団体,非政府組織(NGO)又はその他のグループとともに作成している。 

技術分野別のガイドは,独立した文書として適用することが望ましい。しかしながら,それらは,この

規格の原則,アプローチ及び推奨事項の趣旨と一致していることが望ましい。さらに,この規格に示す構

成を維持し,その技術分野別の手引に加えて,このガイドに該当する内容を取り入れると役に立つ。 

次の,技術分野別のガイドの開発に関する個々の推奨事項は,技術分野別のガイドの有用性を高めるこ

とを目的として,この規格との整合性が得られるように,この規格の本体と同一の構成をとっている。 

A.2 序文,適用範囲,引用規格及び定義に関する推奨事項 

技術分野別のガイドの序文では,次のような記述が適切であることもある。 

“このガイドは,技術分野別の規格の環境課題を評価するためのものである。このガイドの目的は,必

ずしも環境課題の専門家ではない標準化に従事する人々に有用なツールを提供することにある。この技術

分野別の環境ガイドは,その技術分野別の原案作成委員会が,それらの規格に関して起こり得る環境課題

を考慮するためのツールとして使用することができる。” 

該当する場合,さらに,その技術分野及びその技術分野の環境グループに関する情報を本文に示すこと

が望ましい。 

適用範囲,引用規格及び定義は,この規格と一致させることが望ましい。技術分野別の引用規格,定義

などを本文に加えることができる。 

A.3 基本原則及びアプローチに関する推奨事項 

基本原則及びアプローチも,技術分野別の環境ガイドに適用する。規格作成者のために,原則及びアプ

ローチとそれらとの関連性に関する手引を追加してもよい。さらに,その技術分野に関する推奨事項の具

体化,又は更なる推奨事項を追加することに関する考慮事項を示すことができる。 

A.4 環境側面に関する推奨事項 

A.4.1 一般 

主な環境課題を特定するためには,技術分野別のガイドに,その技術分野の主要な環境側面について,

意図をより明確にしつつ正確に記述することが不可欠である。この意味では,当該技術分野の事例を用い

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ることを推奨する。 

この箇条では,製品規格のどの規定事項が,製品の環境影響を最も大きく左右するかを具体的に示すこ

とが望ましい。事例は,しばしば役に立つことがある。 

A.4.2 インプット 

A.4.2.1 材料 

材料の使用が著しい場合,又はその技術分野で一般に環境への懸念がある物質を使用する場合,技術分

野別のガイドには,このことを注意深く記述することが望ましい。さらに,リサイクル材を使用する余地

がある場合は,そのことを考慮することが望ましい。 

A.4.2.2 水 

その技術分野の製品が,ライフサイクルのいずれかの段階又は全ての段階で著しく水を消費する場合は,

技術分野別のガイドで,その課題,及び対処策を取り上げることが望ましい。 

A.4.2.3 エネルギー 

エネルギーは,しばしば規格で取り扱うことができる著しい環境側面である。例えば,その技術分野の

製品が,使用時に著しく電気を消費する場合は,技術分野別のガイドで,その課題,及び対処策を取り上

げることが望ましい。一つの例は,エネルギー要求量の分類を定め,製品間で簡単に比較できるようにす

ることである。 

A.4.2.4 土地の利用 

製品のライフサイクルのいずれかの段階又は全ての段階で,著しい土地の利用がある場合は,常に土地

修復方法の最良事例を念頭に置いて,技術分野別のガイドでその課題,及び対処策を取り上げることが望

ましい。 

A.4.3 アウトプット 

A.4.3.1 大気への排出並びに土壌及び水への放出 

特に,製品使用時に何らかの排出又は放出がある場合は,技術分野別のガイドでその課題を取り上げる

ことが望ましい。技術分野別のガイドは,製品からの排出及び放出を,最小限にとどめる方法について例

を示すことができる。様々な排出及び放出レベルの分類を定め,製品間で簡単に比較できるようにする方

法もある。 

A.4.3.2 廃棄物 

ある技術分野の製品のライフサイクルで,大量の廃棄物が発生する場合は,廃棄物を最小化するか,又

は,リサイクルする方法の例を,技術分野別の指針に示すことが望ましい。例えば,材料のリサイクル・

エネルギー回収を行う可能性(使用済みの製品を簡単に分解できるようにするための規定事項を定める必

要性を含めて),及びリサイクル,エネルギー回収,最終処分時の起こり得る環境リスクなどである。  

A.4.3.3 その他のリリース 

上記に加えて,技術分野によっては,騒音,放射など,その他のリリースが関係してくることがあり,

その場合は,このようなリリースを取り上げることが望ましい。 

A.5 図に関する推奨事項 

技術分野別のガイドでは,図を用いて,例えば,その技術分野の製品のライフサイクル,その環境側面

及びそれらの相互関係を,目で見て分かるようにすることが望ましい。環境チェックリスト(5.3参照)は,

製品及び/又は製品規格の環境側面の概要を提供する方法の一例である。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.6 系統的なアプローチによる製品の環境側面の特定に関する推奨事項 

環境チェックリストは,系統的に環境課題を取り扱うための一つの有用なツールであり,そのため,技

術分野別の環境ガイドでも,環境チェックリストの使用を推奨することが望ましい。関係する段階を細分

化したり,環境側面を追加できるなど,その技術分野別の課題に対応するように環境チェックリストを修

正してもよい。完成したチェックリストの例を,技術分野別のガイドで示してもよい。 

しかしながら,技術分野,サービス又は製品グループによっては,チェックリストが適切ではないこと

があり,別のツール又はアプローチが既に存在しているという場合もある。そのような場合は,代替ツー

ルを技術分野別のガイドで紹介し,かつ,詳しく説明すればよい。 

また,技術分野別の別個の情報源については,技術分野別のガイドに明確に記載することが望ましい。 

技術分野別のガイドの開発の際に,環境側面及び環境影響の正確な特定及び評価を行うために,環境課

題の専門家の意見を求めることも有効である。 

A.7 製品規格に環境規定事項を含めるための指針に関する推奨事項 

技術分野別のガイドでは,環境規定事項を規格に盛り込むための当該技術分野の推奨事項,制約事情及

び例を含めるように配慮することが望ましい。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

規格に環境規定事項を導入した例 

B.1 取得の段階に関連する例 

B.1.1 プラスチックパイプへの再生材の使用 

B.1.1.1 課題の説明 

プラスチックパイプの場合,リサイクルプラスチックなどの再生材の使用は,制限されていることが多

い。CEN/TS 14541には,一定の条件下で使用可能なポリエチレン(以下,PEという。),ポリプロピレン

(以下,PPという。)及び無添加ポリ塩化ビニル(以下,PVC-Uという。)の再生材に関する,明確かつ

分野横断的な要求事項が記載されている。このように,これらの材料は,使用が排除されているわけでは

ないが,極めて明確な要求事項を満たす必要がある。 

B.1.1.2 (常圧用)プラスチックパイプ用再生PVC-U,PP及びPE材の使用(CEN/TS 14541:2007)の例 

4.2 合意された仕様に基づく,外部で再生可能及びリサイクル可能な材料 

次の条件を全て満たしていれば,合意された仕様に基づき,適度の量及び時間間隔で入手可能,外部

由来の再加工可能かつリサイクル可能な材料を,パイプの生産用の未使用材料若しくは内部で再加工可

能な材料,又はその二つの材料の混合物に追加してもよい。 

− 外部由来の再加工可能又はリサイクル可能な材料の供給業者と製品製造業者との間で,各材料の仕

様について合意が得られていなければならない。仕様には,少なくともPVC-U,PP及びPEに関し

て,表1,表2及び表3に示す特性を取り上げなければならない。その他の特性は,PVCに関して

はEN 15346に,PPに関してはEN 15345に,及びPEに関してはEN 15344に規定されている。 

PVC-U,PP及びPEに関して表1,表2及び表3に示す試験方法によって判定するとき,これらの

特性の実際値は,合意した値に適合しなければならない。 

− 各配送は,当事者間で合意したように,材料供給業者又は製品製造業者のいずれかが作成した合意

済みの仕様書に適合していることを明示した,EN 10204:2004の3.1に準拠した証明書で取り扱われ

なければならない。 

注記 外部由来の再加工可能又はリサイクル可能な材料の供給業者の品質計画書は,ISO 

9001:2000に適合していることが望ましい。 

− 追加使用する予定の,外部由来の再加工可能かつリサイクル可能な材料の最大量は,製品製造業者

が指定しなければならない。 

− 量産の度に実際に追加使用される,外部由来の再加工可能かつリサイクル可能な材料の量は,製品

製造業者が記録しなければならない。 

− 完成品の材料特性は,関係する製品規格に規定されている要求事項に適合しなければならない。 

− 型式試験は,合意済みの仕様書に規定された,外部由来の再加工可能かつリサイクル可能な材料の

各種類を,最大量使用した完成品で実施しなければならない。型式試験に合格した場合は,外部由

来の材料又はリサイクル可能な材料をより少量含む部品は,適合しているものと認められなければ

ならない。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.1.2 取得の段階における使用済みの段階への考慮事項 

B.1.2.1 課題の説明 

規格に関するライフサイクル思考の良い例は,材料を規定するとき(取得の段階)に使用済みの段階を

考慮することである。マルチスポーツ用具に関するEN 15312では,環境課題に関する要求事項も記載し

た材料の一般要求事項に関する細分箇条で,この課題を取り扱っている。 

B.1.2.2 フリーアクセスのマルチスポーツ用具1)(EN 15312:2007)の例 

注1) フリーアクセスのマルチスポーツ用具とは,公的な場所に置かれた,子供たちなどが自由に使

用できるスポーツ設備のことである。 

4.1 材料 

用具の材料又は物質を選ぶときは,あらゆる環境有毒危険物の可能性を考慮して,その材料又は物質

の最終処分について考慮することが望ましい。表面コーティングの中に有毒危険物が含まれる可能性に

ついては,特に留意することが望ましい。 

B.2 生産の段階に関連する例 

B.2.1 製品試験の環境影響の削減 

B.2.1.1 課題の説明 

多くの製品規格は,製品が市場に導入される前に,一定の方法で製品の試験を行うように要求している。

このような試験の中でも,特に破壊試験は,例えば,排出の発生のような,著しい環境影響をもつ。規格

は,このような影響の削減に役立つことができる。 

B.2.1.2 医療目的のための消毒(EN 14180:2003)の例 

附属書A 試験方法 

注記1 次の試験方法が示すように,試験を同時に実施すれば,試験及び試験機器の処分の総数が

削減される。その結果,環境負荷を削減することができる(附属書Fも参照)。 

B.2.1.3 消火器の消火能力に関する試験(IRAM 3543:2005)の例 

4 一般 

警告−これらの試験は,ある程度のリスクと,健康及び環境に害を及ぼすことがある物質を伴う。

使用した製品及び発生した廃棄物の埋め立てを考慮に入れて,従業員及び環境を保護するた

めに,予防措置がなされなければならない。 

4.6 試験場 

注記 環境汚染を防ぐために,試験の間は,ガス捕集器及び洗浄システムをもつことが推奨される。 

B.2.2 包装材料の環境影響 

B.2.2.1 課題の説明 

多くの製品規格は,製品に一定の種類の(一次)包装を用いることを求めた要求事項を含んでいる。し

かしながら,規格では,処分など,一次包装の環境側面も取り上げることが望ましい。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.2.2 障害のある人々のための補助技術(ISO 16201:2006)の例 

4 一般要求事項 

4.2 製造業者が提供する情報 

4.2.3 表示 

製品,包装及び取扱説明書では,適切な場合,環境制御システム及び/又はシステム中の個別装置の

安全な使用に基づいて,少なくとも表示に次の事項を記載しなければならない。 

g) 環境に負荷がかからないようにして,包装材を処分する方法に関する手引 

B.2.3 リサイクル材料における有害物質 

B.2.3.1 課題の説明 

リサイクル材料の使用は,比較的,国内建設分野において広範囲に渡っているので,リサイクル材料に

おける有害物質を原因とする環境影響を,考慮することが望ましい。 

B.2.3.2 JIS A 5731:2002(再生プラスチック製宅地内用雨水ます及びふた)の例 

7.1 再生プラスチック 

再生プラスチックは,組成物及び付着物に,人体及び環境に有害な影響を及ぼすものを有害量含んで

いないことが,その前歴などから明らかなものを使用する。これ以外の再生プラスチックを使用する場

合は,それらが使用時に人体及び環境に有害な影響を与えないことを試験によって確認する。試験の項

目及び方法は,受渡当事者間の協定による。 

7.2 副資材 

増量材,補強材,添加剤などの副資材は,製品の品質及び環境に有害な影響を与えるものを有害量含

んではならない。 

B.2.4 リサイクル性の向上 

B.2.4.1 課題の説明 

機器のリサイクル性を高めるために,製品設計又は初期の生産段階において,リサイクル性を適切に考

慮することが不可欠である。これが,製品のリサイクル性を評価する方法を調和させ,かつ,社会におけ

る使用済みの段階の現状を反映することにつながる。さらに,生産の初期段階において設計者に適切な評

価が利用できるようになる。 

B.2.4.2 JIS C 9911:2007(電気・電子機器の資源再利用指標などの算定及び表示の方法)の例 

1 適用範囲 

この規格は,電気・電子機器(以下,“機器”という。)の設計・製造段階における資源の有効利用の

取組みの成果を評価するため,機器及び部品の設計・製造段階において,資源が再利用される割合を設

計段階で示す指標の算定及び表示方法について規定する。 

B.3 使用段階に関連する例 

B.3.1 化学研究所内の環境予防措置 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.3.1.1 課題の説明 

人間が消費する水の処理に用いる化学物質に関する欧州規格は,その物質の分析法に関する要求事項も

含んでいる。これらの規格の中には,化学研究所内の環境,衛生及び安全予防措置に関する情報を示す附

属書(参考)を含んでいるものもある。環境影響のある化学物質に関わる試験方法を含むその他の規格に

も,同様の推奨事項を含めることが望ましい。 

B.3.1.2 人間が消費することを意図した水の処理のために使用される化学物質(EN 15039:2006)の例 

附属書C 化学研究所内の環境,衛生及び安全予防措置 

次のリストは,全てを網羅したものではないが,この文書に掲げる分析方法の利用者は,このリスト

を安全で適切な手法の指針として使用するとよい。利用者は,次のようにすることが望ましい。 

− 欧州指令,国内法化された欧州法,国内法,規制及び行政規定事項が適用されているかどうかを調

査する。 

− 製品安全データシート及びその他の推奨事項のような,具体的な詳細について製造業者・供給業者

の助言を求める。 

− 可燃性材料,有毒及び/又は発がん性のある物質に注意し,輸送,注入,希釈及び漏えい(洩)の

処理全般に気を配る。 

− 安全かつ環境面で問題のない方法で,化学物質を保管し,取り扱い,処分する。化学物質には,試

験用の化学物質,試料,未使用溶媒及び廃棄された試薬が含まれる。 

B.3.2 メンテナンス及び修理 

B.3.2.1 課題の説明 

一般的に,製品の耐用年数は,製品を定期的に保守することによって延長することができる。急速な技

術革新のサイクルにさらされない製品の場合は,特に,製品の耐用年数の延長は,主として環境影響の削

減につながる。したがって,修理及びメンテナンスが簡単にできれば,製品の環境影響を削減することが

できる。 

さらに,メンテナンス及び修理に関連するプロセス又は製品には,著しい環境影響がある。規格は,こ

の特定のライフサイクルの段階の規定事項を含めることによっても,このことを取り扱うことができる。 

B.3.2.2 障害のある人々のための補助技術(ISO 16201:2006)の例 

4 一般要求事項 

4.2 製造業者が提供する情報 

4.2.1 一般 

少なくとも,次の情報を,明確かつ理解しやすいように,環境制御システム又はそのようなシステム

中の装置が販売されている国の公用語で示さなければならない。 

j) 

部品の交換性に関する詳細な情報 

4.2.2 使用説明書 

使用説明書は,少なくとも次の情報を含んでいなければならない。 

d) 必要なメンテナンス及び校正の性質並びに頻度の詳細 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.3.2.3 使用中の電気絶縁用鉱物油のメンテナンス(IRAM 2400:2003)の例 

13 衛生及び環境保護対策 

注記 油の交換又は処理においては,絶縁用鉱物油を含んでいる変圧器又は装備の使用者及び所有

者は,法的に有効な廃棄方法を順守するために,あらかじめPCB(ポリ塩化ビフェニル)の

含有量を測定することが望ましい。 

B.3.3 関連製品の追加使用に関連する環境影響の削減 

B.3.3.1 課題の説明 

多くの場合,ある種の製品の使用は,水などの関連製品の追加使用も必要となる。このような関連製品

の追加使用に固有の環境影響を別にすれば,主要な側面は常に,使用する関連製品の追加使用量である。

特に,この側面は,規格に使用者向けの推奨事項を含めることによって削減することができる。他方で,

製品自体の別の環境側面を削減するために関連製品の追加使用が必要になることがある。 

B.3.3.2 医療目的の消毒(EN 14180:2003)の例 

4.2 設計及び構造 

4.2.3 排出システム 

4.2.3.1 殺菌装置には,空気,水及び殺菌剤を除去するための真空吸引システムを備えていなければな

らない。 

注記 真空吸引システムは,大部分が水によって動作する。資源の使用及びホルムアルデヒドを環

境に無害な濃度にまで希釈することの間には,バランスがあることから,このようなシステ

ムでは水の使用を最適化することに注意を払うことが望ましい(附属書Fも参照)。 

B.4 製品の使用済み段階に関連する例 

B.4.1 適切な使用済み段階の選択肢 

B.4.1.1 課題の説明 

様々な素材のリサイクルプラスチックに関する欧州規格シリーズ(EN 15342,EN 15343,EN 15344,

EN 15345,EN 15346及びEN 15347)は,どの使用済みの段階の選択肢を決めるかの場合の,ライフサイ

クル思考の重要性を指摘した序文を含んでいる。 

B.4.1.2 再生プラスチックに関する一連の規格(EN 15342:2007,EN 15343:2007,EN 15344:2007,EN 

15345:2007,EN 15346:2007及びEN 15347:2007)の例 

序文 

プラスチック廃棄物のリサイクルは,大気,水域及び土壌への有害な物質排出並びにその人間の健康

への影響を最小限にとどめながら,資源(未使用原材料,水,エネルギー)を節減するための材料再生

工程である。リサイクルの環境影響は,リサイクルシステムのライフサイクル(廃棄物の発生点から最

終残留物の処分に至るまで)全体で評価しなければならない。リサイクルが,利用可能な廃棄物を処理

するための環境に最善な選択肢となることを確実にするためには,次に示す幾つかの前提条件を満たす

ことが望ましい。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 検討しているリサイクルの仕組みが,これに代わる再生の選択肢と比較して環境影響が低くなるこ

とが望ましい。 

− 持続可能な工業リサイクルの安定操業のための,既存の販路又は販路候補が特定されることが望ま

しい。 

− リサイクル可能なプラスチック廃棄物の中で,利用可能なリサイクル技術及び特定された販路の

(変化する)ニーズに合理的に合致している部分を,可能であれば社会にとって最小のコストで搬

送するような回収及び分別の仕組みを適切に設計することが望ましい。 

B.4.2 廃棄物の処分に関する要求事項 

B.4.2.1 課題の説明 

製品のライフサイクルの全体を網羅するように,製品規格は,処分に関する推奨事項も含んでいること

が望ましい。これらの推奨事項には,一般に,製品をどのように,又はだれが処分するかを含めることが

望ましい。 

B.4.2.2 電気技術用途の未利用シリコン絶縁液の仕様(IEC 60836:2005)の例 

4.2 安全,衛生,環境(HSE)に関する要求事項 

4.2.2 処分 

地域の規制を順守しなければならない。資格のある請負業者によるリサイクルが,推奨される手段で

ある。廃液は焼却してもよい。流出物は,吸着媒体を用いて除去することが望ましい。 

B.4.3 リサイクルを促進するための,使用者への協力依頼 

B.4.3.1 課題の説明 

電池のリサイクルを促進する上で,最も重大な要因は,使用の段階における適切な取扱いを通じた使用

者の参加である。このことは,使用者のマニュアル又はラベルに明確に記述するべき製造業者への要求事

項につながる。 

B.4.3.2 JIS C 8705:2006(密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池)の例 

11. 取扱い上の注意事項 

i) 

使用後の電池を再生資源として有効利用することを促進するための協力要請を明示する。 

B.5 ライフサイクルの全ての段階に関連する例 

B.5.1 環境課題をまとめた分野横断的な一つの箇条 

B.5.1.1 課題の説明 

規格の中には,全ての環境関連規定事項又は推奨事項を,分野横断的な一つの箇条又は附属書にまとめ

ているものがある。太陽熱装置の太陽集熱器に関するEN 12975-1は,環境保護を扱った附属書B(参考)

を収録している。ここには,製品のライフサイクルのそれぞれ異なる段階に応じた,熱伝導流体,断熱材

及び集熱器材料のリサイクルに関する規定事項が盛り込まれている。 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.5.1.2 太陽熱システム(EN 12975-1:2006)の例 

附属書B 環境保護 

B.1 熱伝導流体 

使用する熱伝導流体は,有毒でなく,人間の皮膚又は目を重篤な刺激性がなく,水質汚染を引き起こ

すことがないものであることが望ましく,かつ,完全な生分解性のものであることが望ましい。 

B.2 断熱材 

集熱器の断熱には,クロロフルオロカーボン類(CFC)を用いて製造され,又は含んでいる材料を使

用しないことが望ましい。さらに,断熱材は,箇条6に規定するよどみ点の温度において,有毒で,人

間の皮膚又は目に対する重篤な刺激性をもつガスが放出されるような部品を含まないことが望ましい。 

B.3 集熱器材料のリサイクル 

太陽集熱器は,主にエネルギーの節減及び汚染の削減のために使用する。したがって,集熱器の設計

では,使用する材料のリサイクルの可能性を考慮することが望ましい。リサイクルされない材料は,使

用を控えるか,又は使用しても最小限にとどめることが望ましい。 

注記 有毒物質の分類及び識別に関する情報は,例えば,指令67/548/EEC(危険物質の分類,包装,

表示)及び76/769/EEC(危険物質の使用制限)並びに修正指令に記載されている。 

B.5.2 規格の環境側面を系統的に評価するためのチェックリストの適用 

B.5.2.1 課題の説明 

EN 12975-1と同様の分野横断的な箇条は,最大呼気流量計に関するISO 23747に含まれている。規格に

は,製品の環境側面の一般的な説明に続いて,環境チェックリストが含まれ,ライフサイクルの段階別に

該当する環境側面に加えて,規格のどこでその環境側面を取り扱っているかを示している。 

B.5.2.2 麻酔及び呼吸機器(ISO 23747:2007)の例 

1 適用範囲 

ISO 23747:2007を適用する製品を計画し,設計する際には,製品のライフサイクルの環境影響を考慮

することが望ましい。環境側面に関しては,ISO 23747:2007の附属書Eで取り扱う。 

ISO 23747:2007の附属書E 環境側面 

最大呼気流量計によって生じる環境影響は,主として次の事象に限定される。 

− ユーザによる,使用説明書及び定常手順に従った定期検査及び調整を含む,操作時の局所的な環境

への影響 

− ユーザによる,使用説明書及び定常手順に従った定期検査及び調整を含む,操作時の消耗品の使用,

清掃及び廃棄処分 

− 使用済み段階での解体 

環境負荷の削減の重要性を強調するために,このISO 23747:2007は,最大呼気流量計の寿命が尽きる

までの,様々な段階に発生する環境影響を低減するための要求事項又は推奨事項について述べている。 

表E.1は,最大呼気流量計のライフサイクルと環境上の配慮項目との対応関係を示している。 

[表E.1:環境チェックリスト] 

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Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS A 5731:2002 再生プラスチック製宅地内用雨水ます及びふた 

[2] JIS C 8705:2006 密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池 

[3] JIS C 9911:2007 電気・電子機器の資源再利用指標などの算定及び表示の方法 

[4] JIS Q 9001:2000 品質マネジメントシステム−要求事項 

[5] JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引 

[6] JIS Q 14020:1999 環境ラベル及び宣言−一般原則 

[7] JIS Q 14021:2000 環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプII環境ラベル表示) 

[8] JIS Q 14024:2000 環境ラベル及び宣言−タイプI環境ラベル表示−原則及び手続 

[9] JIS Q 14025:2008 環境ラベル及び宣言−タイプIII環境宣言−原則及び手順 

[10] JIS Q 14040:2010 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み 

[11] JIS Q 14044:2010 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−要求事項及び指針 

[12] JIS Z 7001:2007 プラスチック−環境側面−規格への一般導入指針 

[13] JIS Z 8002:2006 標準化及び関連活動−一般的な用語 

[14] TR Q 0007:2008 環境適合設計 

[15] JIS Q 14050:2012,環境マネジメント−用語 

[16] ISO 16201:2006,Technical aids for persons with disability−Environmental control systems for daily living 

[17] ISO 23747:2007,Anaesthetic and respiratory equipment−Peak expiratory flow meters for the assessment of 

pulmonary function in spontaneously breathing humans 

[18] IEC 60836:2005,Specifications for unused silicone insulating liquids for electrotechnical purposes 

[19] IEC Guide 109:2003,Environmental aspects−Inclusion in electrotechnical product standards 

[20] IEC Guide 114:2005,Environmentally conscious design−Integrating environmental aspects into design and 

development of electrotechnical products 

[21] CEN/TS 14541:2007,Plastics pipes and fittings for non-pressure applications−Utilisation of nonvirgin 

PVC-U, PP and PE materials 

[22] CEN Guide 4:2004,Guide for the inclusion of environmental aspects in product standards 

[23] DIN Report 108:2003,Guide for the inclusion of environmental aspects in product standardization and 

development 

[24] EN 10204:2004,Metallic products−Types of inspection documents 

[25] EN 12975-1:2006,Thermal solar systems and components−Solar collectors−Part 1: General requirements 

[26] EN 14180:2003,Sterilizers for medical purposes−Low temperature steam and formaldehyde sterilizers−

Requirements and testing 

[27] EN 14717:2005,Welding and allied processes−Environmental check list 

[28] EN 15039:2006,Chemicals used for treatment of water intended for human consumption−Antiscalants for 

membranes−Polycarboxilic acids and salts 

[29] EN 15312:2007,Free access multi-sports equipment−Requirements, including safety, and test methods 

[30] EN 15342:2007,Plastics−Recycled plastics−Characterization of polystyrene (PS) recyclates 

[31] EN 15343:2007,Plastics−Recycled plastics−Plastics recycling traceability and assessment of conformity 

32 

Q 0064:2014 (ISO Guide 64:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

and recycled content 

[32] EN 15344:2007,Plastics−Recycled plastics−Characterization of polyethylene (PE) recyclates 

[33] EN 15345:2007,Plastics−Recycled plastics−Plastics recyclate characterization of (PP) recyclates 

[34] EN 15346:2007,Plastics−Recycled plastics−Characterization of poly (vinyl chloride) (PVC) recyclates 

[35] EN 15347:2007,Plastics−Recycled plastics−Characterization of plastics wastes 

[36] EN 15530:2008,Aluminium and aluminium alloys−Environmental aspects of aluminium products−General 

guidelines for their inclusion in standards 

[37] IRAM 2400:2003,Mineral electrical insulating oils−Guide for supervision maintenance of oil in electrical 

equipment and in service 

[38] IRAM 3543:2005,Manual and Wheeled Fire Extinguishers−Qualification and test of the extinction potential 

on Class B Fires 

[39] Council Directive 67/548/EEC of 27 June 1967 on the approximation of laws, regulations and administrative 

provisions relating to the classification, packaging and labelling of dangerous substances 

[40] Council Directive 76/769/EEC of 27 July 1976 on the approximation of the laws, regulations and 

administrative provisions of the Member States relating to restrictions on the marketing and use of certain 

dangerous substances and preparations 

[41] NEAS Guide for Integration of Environmental Aspects in Standards 

[42] The CEN Environmental Helpdesk (CEN/EHD): http://www.cen.eu/sh/ehd 

[43] UNEP-SETAC Life-cycle Initiative and Life-cycle management programme;  

http://www.uneptie.org/pc/sustain/lcinitiative