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Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 一般······························································································································· 3 

5 製品情報シート又は標準物質認証書の内容 ············································································ 3 

5.1 一般 ···························································································································· 3 

5.2 RM文書に要求される情報 ······························································································· 4 

5.3 認証書に要求される情報 ································································································· 6 

5.4 その他の有用な情報 ······································································································· 7 

6 ラベル···························································································································· 8 

参考文献 ····························································································································· 9 

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。 

これによって,JIS Q 0031:2002は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本工業規格          JIS 

Q 0031:2018 

(ISO Guide 31:2015) 

標準物質−認証書,ラベル及び附属文書の内容 

Reference materials- 

Contents of certificates, labels and accompanying documentation 

序文 

この規格は,2015年に第3版として発行されたISO Guide 31を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

ISOの標準物質委員会(ISO/REMCO)は,このISO Guide 31の第1版及び第2版を,それぞれ1981

年及び2000年に出版した。第2版の発行以降,生産される標準物質の数及び種類並びにその利用は,大幅

に増加した。特に,法的要求事項,環境及び臨床用途の関心の高まりのために,分析技術によって得られ

る結果の信頼性に対する要求が高くなった。その結果,品質管理目的のために使用する様々な種類の標準

物質,並びに測定方法の妥当性確認,新しい測定手順又は試験所のパフォーマンスの評価及び機器の校正

に使用する認証標準物質に対する必要性が生じた。 

JIS Q 0030の標準物質の定義によると,物質の均質性及び安定性に関する情報が要求されている。さら

に,全ての認証値は,記載される信頼水準における付随する不確かさ,及びこれらの値の計量計測トレー

サビリティに関する記載を伴うことが,認証標準物質にとって必須である。したがって,認証されたもの

であれ,又はされていないものであれ,標準物質に添えられる情報の内容及び書式についての手引が必要

である。 

JIS Q 0031の第1版では,ラベル上に記載する情報,認証書及び認証報告書の間の相違を論考し,認証

書の簡潔な要約的性質を強調した。第2版は,認証標準物質の認証書に要求される内容に焦点を当てた。

第3版では,“製品情報シート”及び“標準物質認証書”の概念を導入し,これらのRM文書に含めるこ

とが望ましい情報について記載している。この規格では,RM文書は,標準物質に添付される“製品情報

シート”又は“認証書”のいずれかである。 

適用範囲 

この規格は,標準物質生産者が標準物質に添付する,明瞭で簡潔な文書の作成を支援することを意図し

ている。この規格は,製品情報シート及び認証書の作成のときに考慮する必須事項,推奨事項及び他の分

類の情報を列挙し,説明する。標準物質の使用者及び他の利害関係者が,標準物質又は認証標準物質の適

切さを確認するときに,この情報を使用することができる。 

この規格はまた,標準物質の容器に貼付するラベルの最小限の要求事項を含む。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO Guide 31:2015,Reference materials−Contents of certificates, labels and accompanying 

documentation(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Q 0030 標準物質に関連して用いられる用語及び定義 

注記 対応国際規格:ISO Guide 30,Reference materials−Selected terms and definitions 

JIS Q 17034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 0030によるほか,次による。 

3.1 

標準物質,RM(reference material) 

一つ以上の規定特性について,十分均質かつ安定であり,測定プロセスでの使用目的に適するよう作製

された物質。 

注記1 “標準物質”は,総称的な用語である。 

注記2 特性には,定量的なもの又は定性的なもの,例えば,物質(substance)又は種の同定がある。 

注記3 使用目的には,測定系の校正,測定手順の評価,他の物質(materials)への値の付与,及び

精度管理(quality control)を含んでいる。 

注記4 ISO/IEC Guide 99:2007では,類似した定義をしている(5.13参照)が,“測定(measurement)”

という用語を,定量値に適用するよう限定している。しかしながら,ISO/IEC Guide 99:2007

の5.13の注記3では,特に名義的性質(nominal properties)と呼ばれる,定性的な性質の概

念も含むとしている。 

(ISO Guide 30:2015の2.1.1 [2]) 

3.2 

認証標準物質,CRM(certified reference material) 

一つ以上の規定特性について,計量学的に妥当な手順によって値付けされ,規定特性の値及びそれに付

随する不確かさ,並びに計量計測トレーサビリティを記載した認証書が付いている標準物質。 

注記1 値の概念には,同定又は序列(sequence)などの名義的性質又は定性的な属性(attributes)が

含まれる。このような属性に対する不確かさは,確率又は信頼水準として表してもよい。 

注記2 標準物質の生産及び認証のための計量学的に妥当な手順は,特に,JIS Q 17034及びJIS Q 

0035に記載がある。 

注記3 ISO/IEC Guide 99:2007にも,類似する定義(5.14)がある。 

(ISO Guide 30:2015の2.1.2を修正−注記3を削除) 

3.3 

製品情報シート(product information sheet) 

認証標準物質以外の標準物質を使用するために不可欠な全ての情報を含む文書。 

(ISO Guide 30:2015の2.3.4) 

3.4 

標準物質認証書,認証書(reference material certificate) 

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

認証標準物質の使用に関する不可欠の情報を含み,記載する特性値の有効性及び計量計測トレーサビリ

ティを確実にするために必要な手順が実施されていることを確認する文書。 

(ISO Guide 30:2015の2.3.2を修正−注記1を削除) 

3.5 

RM文書(RM document) 

あらゆる標準物質を使用するために不可欠な全ての情報を含む文書。 

注記 RM文書は,製品情報シート及び認証書の両方を意味する。 

3.6 

標準物質生産者(reference material producer) 

生産する標準物質のプロジェクトの計画及びマネジメント,特性値及び付随する不確かさの付与及び決

定,特性値の承認,標準物質認証書又はその他の記載事項の発行に全責任をもつ機関(組織若しくは会社,

又は公共若しくは民間)。 

(ISO Guide 30:2015の2.3.5) 

一般 

この文書では,“標準物質認証書”は,認証標準物質に添付する文書に使用し,“製品情報シート”は,

他の種類の標準物質に添付する文書に使用する。RM文書は,標準物質認証書及び製品情報シートの両方

の概念を含む。 

この規格の次の各箇条に示す製品情報シート,認証書及びラベルの仕様は,JIS Q 17034の技術条項で記

載されているものを含む。 

RM文書には,標準物質の適切な使用に不可欠な情報,例えば,容器の望ましい開封方法に関する詳細

情報について,測定のために採取しなければならない最小試料量(該当する場合),物質の安定性に基づく

有効期間,物質の望ましい保管方法などを含まなければならない。認証書は,更なる情報が求められる。

認証書には,認証標準物質の正しい使用に不可欠な全ての情報を含めなければならない。認証標準物質の

生産には認証書の発行が必須であるが,認証標準物質以外の標準物質については,標準物質生産者は製品

情報シートを発行してもよい。 

結論として,標準物質生産者は,製品情報シート又は認証書の作成に十分な注意を払うことが望ましい。

追加情報を,個別の報告書又は他の文書で提供してもよい。 

標準物質の個々のユニットのラベル上に提供される情報は,物質の固有識別を提供するものでなければ

ならず,また,適切な製品情報シート又は認証書の識別を可能にするものでなければならない。適用可能

な限り,関連の法律又は指令に従った安全衛生情報を含めなければならない。 

製品情報シート又は標準物質認証書の内容 

5.1 

一般 

RM文書,すなわち,製品情報シート又は認証書の作成に当たって考慮する情報の分類は,次による。

分類が必要であるとみなされる場合は,それぞれの分類の下に,例とともに説明を示す。これらの分類は,

標準物質の広い範囲にわたって必要な情報を網羅するように意図したものであり,国際単位系(SI)で表

される物理的特性,化学的組成又は同位体比の定量値,他の国際単位で表される慣習的又は生物学的特性

値,化学的又は生物学的種を同定するための特性などに対して認証されたものが含まれている。 

この規格の一部を,自らの要求事項に含めることを望む機関を支援するために,RM文書に含めなけれ

background image

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

ばならない必須事項に関する要約を示す。その他の詳細は任意であり,その標準物質の有用性を上げるな

らば,例えば,天然の原料から調製した物質の由来などを提供してもよい。 

この箇条は,RM文書に含まれる情報に関連する。分類の順序又は表題は,標準物質生産者の選好に合

わせて変更してもよい。RM文書に要求される情報を,5.2に列挙する。次に,認証書だけに要求される不

可欠の情報を,5.3に規定する。最後に,RM文書に追加することが有用な情報を,5.4に示す。要求事項

の要約を,表1に示す。 

表1−製品情報シート又は認証書の内容 

内容 

製品情報シート 

認証書 

細分箇条 

文書の表題 

必須 

必須 

5.2.1 

標準物質の固有の識別子 

必須 

必須 

5.2.2 

標準物質の名称 

必須 

必須 

5.2.3 

標準物質生産者の名称及び詳細な連絡先 

必須 

必須 

5.2.4 

使用目的 

必須 

必須 

5.2.5 

最小試料量 

適用可能な限り,必須 適用可能な限り,必須 

5.2.6 

有効期間 

必須 

必須 

5.2.7 

コミュータビリティ(相互互換性) 

適用可能な限り,必須 適用可能な限り,必須 

5.2.8 

保管情報 

必須 

必須 

5.2.9 

取扱い及び使用に対する指示 

必須 

必須 

5.2.10 

ページ番号及びページ総数 

必須 

必須 

5.2.11 

文書の版 

必須 

必須 

5.2.12 

物質の説明 

推奨 

必須 

5.3.1 

対象の特性,特性値及び付随する不確かさ 

任意 

必須 

5.3.2 

計量計測トレーサビリティ 

任意 

必須 

5.3.3 

方法に依存する測定対象量の測定方法 

推奨 

適用可能な限り,必須 

5.3.4 

標準物質生産者の承認責任者の氏名及び役職 

任意 

必須 

5.3.5 

方法に依存しない測定対象量の測定方法 

推奨 

推奨 

5.4.1 

安全衛生情報 

推奨 

推奨 

5.4.2 

請負業者 

任意 

任意 

5.4.3 

参考値 

任意 

任意 

5.4.4 

法的通知 

任意 

任意 

5.4.5 

認証報告書への言及 

任意 

任意 

5.4.6 

5.2 

RM文書に要求される情報 

RM文書は,5.2.1〜5.2.12の情報を含まなければならない。 

5.2.1 

文書の表題 

文書の表題を記載しなければならない。“製品情報シート”,“標準物質認証書”などの,明確な表題があ

ることが望ましい。 

注記1 文書の表題には,“証明書(certificate)”又は“分析証明書”がよく用いられている。認証標

準物質を使用する者は,文書の表題に“証明書”の語が示されていたとしても,文書の中に

この規格の必須事項の記載があり,認証標準物質の要求事項を満たしているかどうかを確認

することが適切な慣行である。 

注記2 製品情報シートに使用する他の用語の例には,物質情報シート,分析報告書,使用者への報

告書,情報リーフレットなどがある。また,標準物質認証書の例には,分析認証書,認証書

などがある。 

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5.2.2 

標準物質の固有の識別子 

各標準物質及びその関連RM文書は,同一の又は別の生産者が発行する他の標準物質から一意に区別可

能な,固有の識別子をもたなければならない。 

一例として,製品コードとバッチ番号との固有の組合せがある。コード番号は,標準物質を他の標準物

質から区別することを容易にする。例えば,NMIJ CRM 7305,ERM-AC110,NIST SRM 41などである。さ

らに,バッチ番号は,試験所が同時期に使用する二つ以上のバッチの物質を所持している場合に生じる可

能性がある混乱を防止するのに役立つ。生産者によっては,物質の英数字コードの中にバッチ番号を組み

入れている(例 NMIJ CRM 7305-a)。 

5.2.3 

標準物質の名称 

標準物質の名称を,記載しなければならない。 

名称は,できる限り標準物質の種類を,他の類似した物質と識別できるように,十分詳細に記載するこ

とが望ましい。したがって,岩石,鉱物の名称の後に,例えば,“せん長岩(Pharaborwa産)”又は“かす

み石せん長岩(Nepheline syenite)”のように,産地又は成分的特性を付け加えると,地質学的な物質とし

て個別化される。 

天然のマトリックスの中の汚染物質の微量分析に対しては,マトリックスの性質を記載することが重要

である。幾つかの類似した標準物質が入手可能である場合は,汚染の水準を記載することもあり得る。例

えば,“全粉乳中のアフラトキシン(中間レベル)”などである。冶金関係の試料には,例えば,“6Al-4V

チタン合金”のように,重要な元素の組成濃度を示すことが適切である。 

5.2.4 

標準物質生産者の名称及び詳細な連絡先 

標準物質生産者の名称及び詳細な連絡先を,記載しなければならない。詳細な連絡先の例として,住所,

電話番号,FAX番号,e-mailアドレス及びウェブサイトがある。 

5.2.5 

使用目的 

標準物質の主要な使用目的を,記載しなければならない。提供される特性が,特定の分析又は測定手順

から独立している場合,この記載事項は,他の目的への使用を制限するものではない。RM文書は,各標

準物質が使用者の要求事項(例えば,マトリックスの種類,測定対象量,数量レベルなど)を満たすか満

たさないかを判定できるように,使用者に十分な情報を提供しなければならない。 

適切でない物質,又は十分に値付けされていない物質に,目的外の使われ方が想定される場合,RM文

書に,制限を説明する記載を含めてもよい。 

例1 認証標準物質以外の標準物質の使用目的の例を次に示す。 

− 所定の期間にわたる試験所内の測定プロセスの管理の実証 

− 機器性能の確認 

− 繰返し性及び再現性の試験。長期間にわたる繰返し使用,機器,オペレータなど,測定プ

ロセス又は試験所の長期の再現性又は堅ろう(牢)性の見積り 

− 物質が本質的に安定である場合,二つ以上の試験所(例えば,提供者及び使用者)の測定

結果の同等性の確認 

− オペレータによる変動の確認 

− 環境条件(例えば,温度,湿度)の変化による影響の調査 

例2 認証標準物質の使用目的の例を,次に示す。 

− (国際的)測定目盛の定点の実現 

− 機器又は測定系の校正 

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

− 異なる物質間での特性値の移し替え 

− 分析法,特に真度に関する妥当性確認 

− 抽出など,マトリックス分離作業の回収率の決定 

5.2.6 

最小試料量 

適用可能な限り,使用される標準物質の最小試料量を,標準物質の均質性又は安定性,値付け,試験所

間での共同試験による値付けなどの他の方法に基づいて規定しなければならない。これには,特性値及び

付随する不確かさは,最小試料量が順守された場合だけ保証されるという記載を伴うことが望ましい。 

適切な場合は,均質性を記載することが望ましい。対象の特性に関する標準物質の均質性を確定し,そ

れが目的にかなったものであることを確実にするために,標準物質には均質性の評価が要求される。RM

文書は,標準物質の代表的サブサンプルが使用されたことを確実にするための手順を規定することもある。 

5.2.7 

有効期間 

有効期間(又は有効期限)を記載しなければならない。物質の目的適合性は,有効期間(又は有効期限)

を超えて保証することはできない。 

5.2.8 

コミュータビリティ(相互互換性) 

コミュータビリティ(相互互換性)の情報が要求される場合,標準物質生産者は,使用者が,物質が特

定の使用に関して,それ以上の必要条件なしに適切なものであるかどうかを,又は使用する前に使用者に

よる追加的な必要条件が要求されるかどうかを判定するための,十分な情報を提供しなければならない。 

注記 標準物質のコミュータビリティ(相互互換性)評価に関する要求事項の詳細な手引は,

ISO/REMCO方針説明書(2014)[5]に示されている。 

5.2.9 

保管情報 

RM文書の有効性を維持するための標準物質の保管(例えば,温度,露光)の条件を,記載しなければ

ならない。 

5.2.10 取扱い及び使用に対する指示 

標準物質の取扱い及び使用に対する指示を,記載しなければならない。 

例 標準物質の取扱い及び使用に対する指示の例を,次に示す。 

− 使用する前の容器の内容物の均質化を確実にするための適切な指示 

− 容器の開封方法を規定した指示 

− 物質の乾燥及び/又は乾燥質量補正のための正確な条件 

− 必要な場合,更なる微粉化のための指示 

− 溶液を調製するための固体標準物質の再構成の適切な指示 

− 使用時の特性値の計算のための適切な数式。例えば,放射性物質など,本質的に不安定なも

のである物質の場合 

5.2.11 ページ番号 

RM文書は,ページ番号及びページ総数を含まなければならない。 

5.2.12 文書の版 

RM文書の版は,例えば,固有の版番号又は文書の承認日によって,明瞭に記載しなければならない。 

5.3 

認証書に要求される情報 

認証書は,5.2に規定する必須事項に加えて,5.3.1〜5.3.5の情報を含まなければならない。 

5.3.1 

物質の説明 

認証書には,物質の名称を更に詳細に説明する一般的説明を記載しなければならない。 

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

化学組成について認証された物質の場合,マトリックスの主な特性,特に干渉物質の有無が,適切な分

析方法の選択において著しく重要なことがある。 

例 マトリックス情報を含めるのが望ましい例を,次に示す。 

− 個々の構成成分から作製された合金 

− 天然物から得た岩石又は水 

− 動物又は植物由来の製品 

− 分析物は,添加したものか又は天然に存在するものか 

適切な場合は,物質の物理的説明,例えば,試料量,粒径,金属製シリンダ又はディスクの寸法,物質

が供給される容器の性質などを示してもよい。エタノールの水溶液に加えられた塩化水銀(II)などの,

防腐剤の存在も記載しなければならない。他の形態及び試料量でも同一の物質が入手できる場合,この情

報を含めてもよい。 

5.3.2 

対象の特性,特性値及び付随する不確かさ 

認証書には,対象の特性,その特性値及び付随する不確かさの明確な記載を含めなければならない。認

証値は,認証値として明瞭に指示し,認証書において提供されることがあるその他の値から区別しなけれ

ばならない。 

特性値の付随する不確かさは,測定における不確かさの表現のガイド(ISO/IEC Guide 98-3)[6]に従っ

て報告することが望ましい。 

注記 特定の法律(例えば,多くの薬局方分析規格)で取り扱われる一部の場合では,付与値の不確

かさは,それらを使用する方法固有の分析の規定された限界に関して無視できるものとみなさ

れるため,記載しない。 

5.3.3 

計量計測トレーサビリティ 

認証書には,計量計測トレーサビリティの記載を含めなければならない。これには,認証値がトレーサ

ブルである測定目盛に関する情報を含んでいなければならず,また,物質の値付けに使用した測定手順の

原理を列記することが望ましい。 

したがって,認証書に記載しなければならない計量計測トレーサビリティの情報は,要約すると次のよ

うになる。 

− 測定対象量の明確な仕様 

− 特性値がトレーサブルな測定目盛 

5.3.4 

方法に依存する測定対象量の測定方法 

測定対象量の定義が測定方法に依存する場合,使用した方法に関する情報は不可欠である。そのような

場合,認証書は,使用した方法の全詳細又はその方法が完全に規定されている出版物の引用を示さなけれ

ばならない。 

注記 同一の原則は,定性的特性の場合にも適用する。 

5.3.5 

標準物質生産者の承認責任者の氏名及び役職 

認証書には,標準物質生産者を代表し,認証書の内容に対する責任を負う人(責任者)の氏名及び役職

を記載しなければならない。 

注記 責任者の氏名は,責任をもつ組織の名称とすることも可能である。 

5.4 

その他の有用な情報 

5.4.1〜5.4.6に規定するその他の有用な情報を,RM文書に加えてもよい。 

Q 0031:2018 (ISO Guide 31:2015) 

5.4.1 

方法に依存しない測定対象量の測定方法 

測定対象量が使用する測定方法によって定義されない場合は,次の詳細を含めることが有用なこともあ

る。 

− 特性評価のための測定方法/技術 

− 特性評価のためのアプローチ(例えば,単一方法,複数方法など) 

− 適用可能な限り,試料の取扱い/変質に使用した方法 

5.4.2 

安全衛生情報 

適切な場合,RM文書に,安全衛生情報を含めることが望ましい。安全データシートは輸出及び/又は

輸入プロセスの間に取り去られることが多いため,安全データシート[7]の存在に対する参照を記載するこ

とも望ましい。 

5.4.3 

請負業者 

標準物質が外部委託に基づいて生産される場合は,請負業者の名称及び寄与を列挙してもよい。 

標準物質の特性の特定に複数の試験所又は独立した分析者が関与している場合は,それらの名称を使用

した方法とともに列挙してもよい。 

5.4.4 

参考値 

標準物質生産者は,参考値を含めてもよい。 

例 RM文書に含める可能性がある参考値の例を,次に示す。 

− 複雑なマトリックスにおける,認証特性値の基準を満たさない分析物の概算濃度 

− 複数の試験所又は分析者の結果が特性値の付与のために使用された場合は,各試験所又は分

析者の個々の結果 

5.4.5 

法的通知 

法的通知を含めてもよい。 

5.4.6 

認証報告書への言及 

標準物質の多くの使用者は,RM文書に含まれる情報以外の情報を要求することはない。ただし,標準

物質の追加情報は,生産又は認証報告書の形式で,求めに応じて又はその他の方法で,利害関係者にアク

セス可能なようにしてもよい。 

ラベル 

標準物質のラベルは,個々の標準物質ユニットの製品容器にしっかりと貼付しなければならない。ラベ

ルは,有効期間内は,指定された保管条件下及び取扱い条件下で,読みやすく,損なわれないようにデザ

インしなければならない。標準物質ユニットのラベル上に提供される情報は,明確で簡潔なものでなけれ

ばならない。ラベル及び/又は容器の表示は,通常は固有の製品識別子の使用によって,適切なRM文書

の識別を可能にしなければならない。スペースに余裕があるならば,標準物質の名称及び生産者を含める

ことが望ましい。 

RM文書中の情報が検討されることなく物質が使用されることを防止するために,ラベル上には(認証)

特性値も,又は参考値も含めないことが望ましい。 

適切な場合は,例えば,絵表示,注意喚起語を表示するなど,ラベルは,安全衛生及び環境規則に関連

する要求事項に適合しなければならない[7]。物質が輸送に対して危険なもの,又は使用に対して有害なも

のと分類される場合,ラベルには該当する規則に従った必須事項を含めなければならない。安全データシ

ートはラベル以上に多くの情報を含み,作業環境における有害化学薬品の管理のための参照元となる。 

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参考文献 

[1] ISO/IEC Guide 99:2007,International vocabulary of metrology−Basic and general concepts and associated 

terms (VIM) 

[2] JIS Q 0030 標準物質に関連して用いられる用語及び定義 

注記 対応国際規格:ISO Guide 30:2015,Reference materials−Selected terms and definitions 

[3] ISO Guide 34:2009,General requirements for the competence of reference material producers 

[4] JIS Q 0035 標準物質−認証のための一般的及び統計的な原則 

注記 対応国際規格:ISO Guide 35:2006,Reference materials−General and statistical principles for 

certification 

[5] ISO/REMCO position paper, Information on Commutability of Reference Materials, ISO Committee on 

Reference Material, July 2014. Available from: 

http://isotc.iso.org/livelink/livelink/fetch/%E2%80%908854933/8854951/8854960/279217/Commutability̲ 

document̲final.pdf?nodeid=16787892& 

[6] ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in 

measurement (GUM:1995) 

[7] The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS), United Nations