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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 原理······························································································································· 3 

5 装置······························································································································· 3 

6 試料の採取及び調製 ·········································································································· 3 

6.1 試料の採取 ··················································································································· 3 

6.2 試験片の調製 ················································································································ 3 

6.3 坪量測定 ······················································································································ 4 

7 校正······························································································································· 4 

8 操作······························································································································· 4 

9 計算······························································································································· 5 

10 精度 ····························································································································· 5 

11 報告書 ·························································································································· 6 

附属書A(参考)ERIC測定の背景 ·························································································· 7 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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パルプ及び紙−赤外線反射率測定による 

有効残留インキ濃度(ERIC値)の試験方法 

Pulp and paper-Determination of the effective residual ink concentration 

(ERIC number) by infrared reflectance measurement 

序文 

この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 22754を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線及び側線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,赤外線反射率測定による有効残留インキ濃度(ERIC値)の試験方法について規定する。 

この規格は,残留インキが黒い全ての種類の脱インキした古紙パルプ及び同古紙パルプを使用した機械

すき紙に適用する。この試験方法は,シート状の材料で,950 nmの波長での不透明度が97 %未満のもの

にだけ適用する[1]。ERIC値は,インキの粒径分布に依存しており,この試験方法は,サブミクロンの大き

さの粒子に最も適している。測定値は,試験材料がインキ分布,地合及び坪量が均一である場合にだけ信

頼性が高く,反射率計でシートの異なる部分を測定しても非常に近い値を示す。 

注記1 ERIC値測定の技術的背景を,附属書Aに示す。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 22754:2008,Pulp and paper−Determination of the effective residual ink concentration (ERIC 

number) by infrared reflectance measurement(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS P 0001 紙・板紙及びパルプ用語 

JIS P 8110 紙及び板紙−平均品質を測定するためのサンプリング方法 

注記 対応国際規格:ISO 186,Paper and board−Sampling to determine average quality(IDT) 

JIS P 8124 紙及び板紙−坪量の測定方法 

注記 対応国際規格:ISO 536,Paper and board−Determination of grammage(MOD) 

JIS P 8152 紙,板紙及びパルプ−拡散反射率係数の測定方法 

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注記 対応国際規格:ISO 2469,Paper, board and pulps−Measurement of diffuse radiance factor(MOD) 

JIS P 8222 パルプ−試験用手すき紙の調製方法 

ISO 14487,Pulps−Standard water for physical testing 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS P 0001によるほか,次による。 

3.1 

拡散反射率係数,R(diffuse reflectance factor) 

拡散照明と0°受光の同一条件下において,完全拡散反射体によって反射した放射に対し,物体によっ

て反射した放射の比率。 

注記1 この比率は,通常百分率で表す。 

注記2 この規格では,この規格の規定に従って校正した装置を用い,拡散照射及び0°受光で測定

することを規定している。この規格で用いる反射率係数は全て拡散反射率係数をいう。 

3.2 

固有反射率係数,R∞(intrinsic reflectance factor) 

シート数を2倍にしても測定する反射率係数に変化がないほど不透明になる十分な厚さの1枚の又は複

数枚重ねた材料の反射率係数。 

注記 不透明性が十分でないシートの反射率は,背景に影響され,材料固有の数値ではない。 

3.3 

単一シート反射率係数,R0(single-sheet reflectance factor) 

光トラップを裏当てした単一シートの反射率係数。 

3.4 

950 nmの波長での反射率係数測定による光散乱係数,s950(light scattering coefficient at 950 nm by reflectance 

factor measurements) 

JIS P 8152で規定した幾何学的特性をもち,かつ,校正を行った装置を使用し,950 nmの波長で得た反

射率係数にクベルカ−ムンクの式を適用して算出した係数。坪量が考慮されている。 

注記1 単位は,平方メートル/キログラム(m2/kg)で表す。 

注記2 関係する式は,箇条9による。 

注記3 クベルカ−ムンクの式は,光学的に等方な散乱性物質を対象として,その光散乱吸収現象を

定量的に扱った式である。紙及びパルプの光学特性の測定に実用的によく利用される。 

3.5 

950 nmの波長での反射率係数測定による光吸収係数,k950(light absorption coefficient at 950 nm by reflectance 

factor measurements) 

JIS P 8152で規定した幾何学的特性をもち,かつ,校正を行った装置を使用し,950 nmの波長で得た反

射率係数にクベルカ−ムンクの式を適用して算出した係数。坪量が考慮されている。 

注記1 単位は,平方メートル/キログラム(m2/kg)で表す。 

注記2 関係する式は,箇条9による。 

3.6 

有効残留インキ濃度,ERIC値(effective residual ink concentration,ERIC number) 

インキ自体の光吸収係数とインキを含むパルプ又は紙の光吸収係数との比率。両方とも950 nmの波長

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で測定する。 

注記 ERIC値は,無次元値である。 

原理 

試験材料の固有反射率係数及び単一シート反射率係数を950 nmの波長で測定する。これらの測定値か

ら,クベルカ−ムンクの式によって,試験材料の光吸収係数を計算する。ERIC値をインキの光吸収係数

に対するこの試験材料の光吸収係数の比率として算出できる。 

装置 

5.1 

反射率計 JIS P 8152の附属書A(反射率係数測定装置)に記載の幾何学的特性,分光的特性及び測

光的特性をもち,950 nmの波長における反射率測定を可能にするフィルタ又は他のデバイスを搭載し,JIS 

P 8152の附属書B(校正要領)の規定に従って校正したもの。 

測定では,反射率計の有効波長は,950.0 nm±5.0 nmとする。分光的特性は,ピークの高さ50 %におけ

るバンドパス幅は,150 nmを超えないように,ピークの高さ10 %におけるバンドパス幅は,250 nmを超

えないようにする。 

5.2 

参照標準面 装置及び常用標準面を校正するために,JIS P 8152の規定に応じて,ISO/TC6認定試

験所が発行したもの。950 nmの波長における所定の反射率をもつ。 

参照標準面は,反射率計が参照装置と一致するように新しいものを使用する。 

注記 参照標準面を発行するISO/TC6認定試験所は,次の5機関である。 

a) フランスのCentre Technique du Papier 

b) フィンランドのFinnish Pulp & Paper Research Institute 

c) カナダのFPInnovations ‒ Paprican Division 

d) スウェーデンのInnventia AB Optical Calibration Laboratory 

e) アメリカのTechnidyne Corporation 

5.3 

常用標準面 オパールグラス製,セラミック製又は他の適切な材料の2枚の平板を,JIS P 8152で規

定した方法で清浄,校正したもの。 

常用標準面は,校正状態が保たれるよう,十分な頻度で校正する。 

注記 標準面を内蔵し,常用標準面の機能が組み込まれている装置もある。 

5.4 

光トラップ(black cavity) 950 nmの波長での反射率係数が1 %未満のもの。光トラップは,無じん

(塵)環境下に開口部を下向きにするか,又は保護用の蓋をして保管するのがよい。 

注記1 光トラップの状態が正常かどうかは,装置製造業者に確認させることができる。 

注記2 光トラップは,製造業者によっては黒色筒,ライトトラップ,黒体,ゼロボックス,ブラッ

クボックス,ゼロ校正ボックス,吸光筒,ゼロ合わせ用黒箱などともいう。 

試料の採取及び調製 

6.1 

試料の採取 

試料採取の操作は,この規格では規定しない。ロットを評価するための試験を行う場合は,JIS P 8110

によって,試料を選択するのがよい。それ以外の場合は,試料を代表するように試験材料を採取する。 

6.2 

試験片の調製 

6.2.1 

一般的事項 

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試験片の調製方法は,材料を機械すき紙として又はパルプとして入手したかによる。 

6.2.2 

機械すき紙 

機械すき紙として入手した材料では,試験片は,少なくとも63.5 mm×63.5 mmの寸法で断裁する。3.2

で定義した十分な不透明性をもつ試験片束を調製する。束の上側が識別できるように印を付ける。 

6.2.3 

パルプ 

JIS P 8222に記載した操作に従って,インキを含むパルプから,各シートの坪量が60 g/m2の手すき紙を

作製する。歩留向上剤は,使用しない。 

パルプのpHは,調整しない。ISO 14487で規定した標準水,又はそれ以上の品質の標準水を使用して手

すき紙を調製し,スラリー自体のpHのレベルを把握する。原質用容器からスラリーを排出する直前にpH

を測定し,記録する。 

これらの軽量の手すき紙は,機械すき紙と同様の(しかし,洗浄の程度がより高いので,同じではない。)

光学的性質を示す。調製後,それぞれの手すき紙の地合が良好であるか目視で検査する。地合が悪い手す

き紙は,破棄する。それぞれのパルプ試料ごとに少なくとも4枚の手すき紙を準備する。 

JIS P 8222で規定したように,手すき紙を乾燥する。試験片は,少なくとも63.5 mm×63.5 mmの寸法に

断裁する。3.2で定義した十分な不透明性をもつ試験片束を調製する。束の上側が識別できるように印を付

ける。 

950 nmの波長でシートの不透明度を検査する。8.2及び8.3に従って測定したR0のR∞に対する比率とし

て定義される不透明度が97.0 %を超えている場合には,低坪量の手すき紙を新たに調製する。 

1束が10枚以上の試験片を,表が上に向くように重ねる。試験片の枚数は,2倍にしても反射率係数が

変化しない枚数とする。試験片束の上下に紙又は板紙を当て,汚れ,光及び熱から保護する。 

試料の種類及び表裏の区別がつくように,一番上の試験片の隅に印を付ける。 

注記1 不透明度が100 %に近づくと,R0及びR∞の値は,ほとんど同じになってしまい,光散乱係数

及び光吸収係数の計算値の信頼性が低下する。 

注記2 手すき紙の表・裏は,抄紙時にワイヤー面に接する面を裏,その反対面を表という。 

6.3 

坪量測定 

JIS P 8124によってシートの坪量を測定する。 

校正 

950 nmの波長での反射率測定のために適切なフィルタ又は分光的に同等な方法を選択する。参照標準面

(5.2)又は常用標準面(5.3)を使用し,取扱説明書に従って装置を校正する。 

操作 

8.1 

950 nmの波長のフィルタ位置又は分光的に同等な条件を選択する。 

8.2 

装置の開口部に試験片束を置く。束の固有反射率係数(R∞)を読み取り,記録する。測定面が汚れ

ないように,試験片は,隅又は縁をもって扱う。 

8.3 

束の一番上の試験片だけを取り出し,その試験片を光トラップで裏当てして装置の測定箇所に置く。

単一シート反射率係数(R0)を読み取り,記録する。 

注記 8.2及び8.3には,ERIC値を決定するために必要な二つの異なる測定を記載している。しかし,

二つの測定を必ずこの順序で行うことを意味するものではない。 

8.4 

試験片束の一番上の試験片を一番下に移し,4組の測定値を得るまで8.2及び8.3の操作を繰り返す。

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験材料がパルプである場合には,4組の測定値を4枚の異なる試験用手すき紙から得る。 

この細分箇条では,R∞とR0の測定を交互に行うように記載しているが,この測定の順序は,必須ではな

い。場合によっては,R0の4枚の測定値は,R∞の4枚の測定値の前又は後に行ってもよい。 

8.5 

試験片束の上下を逆にし,シートの反対の面でも,4組の測定値を得るまで8.2及び8.4の操作を繰

り返す。 

計算 

9.1 

9.2〜9.4に従って,値は,二つの面について別々に計算する。 

注記 計算は,それぞれの面についてR∞及びR0の平均値を用いて行うことができるが,この場合に

は,標準偏差は,計算できない。 

9.2 

試験片の950 nmの波長での光散乱係数(s950)は,式(1)による。 

(

)

(

)

0

0

2

950

1

ln

1

000

1

R

R

R

R

R

R

R

g

s

×

×

=

 ············································· (1) 

ここに, 

g: 平方メートル当たりのグラム数(g/m2)で表した坪量 

R0: 単一シート反射率係数(小数で表す。) 

R∞: 固有反射率係数(小数で表す。) 

9.3 

試験片の950 nmの波長での光吸収係数(k950)は,式(2)による。 

(

)

=

R

R

s

k

2

1

2

950

950

 ······································································ (2) 

ここに, 

R∞: 固有反射率係数(小数で表す。) 

9.4 

試験片のERIC値の計算は,式(3)による。 

=

ink

sheet

6

10

ERIC

k

k

 ······································································ (3) 

ここに, ksheet: 950 nmの波長で測定された,インキを含むパルプ又は紙の光

吸収係数 

kink: 950 nmの波長で測定された,インキ自体の光吸収係数 

黒インキは,約10 000 m2/kgの光吸収係数をもつことが示されており,kink値が不明の場合には,10 000 

m2/kgを光吸収係数の既定値として使用する[2]。既定値を使用しない場合には,使用したkink値を報告する。 

ERIC値は,無次元値として小数点第1位まで算出する。 

試験材料の一方の面と他方の面とのERIC値の差が25以上である場合には,それぞれの面のERIC値及

び二つの平均値のERIC値を報告する。 

10 精度 

表1に示した繰返し精度及び再現性は,2003年に3種類の印刷用紙を用いて,7か所の試験所で実施し

た試験所間試験に基づく。精度の値は,試験ごとに10回の測定,並びに材料及び試験所ごとに,一つの結

果から得た。 

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表1−繰返し精度及び再現性 

材料 

平均 

繰返し精度 

再現性 

71.4 

0.9 

1.1 

8.9 

12.4 

134.7 

4.0 

3.0 

8.5 

6.4 

258.5 

6.5 

2.2 

13.1 

5.1 

平均 

2.1 

8.0 

繰返し精度及び再現性は,類似した材料を同様の試験条件下で試験した場合に予想される最大の差を示

す(95 %信頼区間)。これらの数値は,他の材料では有効でない。 

11 報告書 

報告書には,次の条項を記載する。 

a) この規格の名称又は規格番号 

b) 試験年月日及び試験場所 

c) 試料の種類及び名称 

d) 試料がパルプの場合は,試験用手すき紙を作製したときのpH(6.2.3参照) 

e) 使用したkinkの数値(9.4参照) 

f) 

ERIC値の平均及び標準偏差,必要に応じて,両面の値を別々に報告する(9.4参照) 

g) 規定から逸脱した事項又は測定結果に影響を及ぼすと思われる事項 

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附属書A 

(参考) 

ERIC測定の背景 

クベルカ−ムンクによって光吸収係数と定義された関数は,インキ自体及びインキを含む古紙パルプ配

合紙の反射率測定によって決定される。 

紙に含まれているインキが,典型的な10 000 m2/kgのオーダの光吸収係数をもち,シート中の残留イン

キが1 m2/kgだけシートの光吸収係数を増大させた場合,残留インキの有効濃度は,1/10 000又は100 ppm

(100 万分の1)と計算される。ERIC値は,絶対値というよりはむしろ相対値であるので,“有効濃度”

の用語が使われる[2]。この方法で測定される光吸収係数は,インキの種類,インキの粒子径及びインキが

分散しているか,凝集しているかに強く依存する。 

細かい粒子で分散したインキは,同じ量で凝集したインキより,光を吸収する表面積がより大きい。古

紙パルプ配合紙の白色度の視覚的評価は,少数の凝集したインキ粒子よりも,細かく多くの分散したイン

キ粒子によってより大きな影響を受ける。このような理由によって,ERIC法は,他の方法(例えば,可

視粒子の画像解析)よりも視覚的評価とよい相関がある。 

赤外線領域での光学的測定による残留インキの評価は,インキ粒子がサブミクロンの場合には,画像解

析法での測定よりも正確で,はるかに時間がかからない[3]。画像解析装置は,主に5 μm以上のインキ粒子

に応答するが,一方,ERIC法は,10 μmよりも小さな粒子で感度が良好となる。これは,インキの粒子が

小さくなることによって起こるインキ粒子数の指数関数的な増加による。 

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参考文献 

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JORDAN, B. and OʼNEILL, M. “The Kubelka-Munk Absorption Coefficients of Several Carbon Blacks and 

Water-Based Printing Inks,” Journal of Pulp and Paper Science, 20 (12): 371 (December 1994) 

[3] 

CARRE, B., GALLAND, G. and SAINT AMAND, F.J. “Control of Detachment and Removal of Ink by Image 

Analysis,” Centre Technique de IʼIndustrie des Papiers (CTP), Grenoble, France, doc. # 1670, (9 March 1994) 

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CARRE, B., GALLAND, G., VERNAC, Y. and SUTY, H. “The Effect of Hydrogen Peroxide Bleaching on Ink 

Detachment during Pulping and Kneading,” TAPPI Recycling Symposium, February 1995, New Orleans, LA, 

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[10] GALLAND, G., VERNAC, Y. and CARRE, B. “The Advantages of Combining Neutral and Alkaline Deinking, 

Part II: Comparison of Deinking of Offset and Flexo Printed Paper”, Pulp and Paper Canada, 98.6 (1997) 

[11] GALLAND, G., VERNAC, Y. and CARRE, B. “The Advantages of Combining Neutral and Alkaline Deinking, 

Part II: Comparison of Various Processes for Deinking Mixtures Containing Waterbased Printed Paper in the 

CPT Pilot Plant”, Pulp and Paper Canada, 98.7 (1997) 

[12] HAYNES, R.D. “Evaluation of Deinking Chemicals Based on Ink Removal and Water Quality Using Lock 

Cycle Testing”, TAPPI Recycling Symposium, April 1997, Chicago, IL, UAS 

[13] HAYNES, R.D. “Pulper Chemistry: The Key to Improved Deinking in North America”, TAPPI Recycling 

Symposium, March 1998, New Orleans, LA, USA 

[14] HAYNES, R.D. “The Impact of Pulper Chemistry on Contaminant Removal and Water quality”, TAPPI 

Recycling Symposium, March 1999, Atlanta, GA, USA 

[15] HAYNES, R.D. “The Impact of the Summer Effect on Ink Detachment and Removal”, TAPPI Recycling 

Symposium, March 1999, Atlanta, GA, USA 

[16] HAYNES, R.D. “Measuring Ink Content: From Pulper to Deinked Pulp”, TAPPI Recycling Symposium, 

March 2000, Washington D.C., USA 

[17] POPSON, S.J., D.D., CRAWFORD, T.C., POPSON, M.T. and CRAWFORD, P.M. “Measurement and Control 

of the Optical Properties of Paper”, Ninth Edition, Technidyne Corporation, New Albany, IN, USA 

[18] SAFADI, T. and FABRIS, I. “Innovative Testing Club ERIC 950 Evaluation,” PIRA Reference M456, April 

1995, PIRA International, Leatherhead, Surrey, UK 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS P 8254:2013 パルプ及び紙−赤外線反射率測定による有効残留インキ濃度
(ERIC値)の試験方法 

ISO 22754:2008 Pulp and paper−Determination of the effective residual ink 
concentration (ERIC number) by infrared reflectance measurement 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 注記1 

− 

− 

追加 

ERIC値測定の背景を附属書Aに記載して
いることを注記として追加した。  

技術的な差異はない。 

3 用語及び
定義 

3.4 

3.4 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISには,“クベルカ−ムンクの式”の説明
を注記として追加した。 

“クベルカ−ムンクの式”を分かりやすく
解説したもので,実質的な差異はない。 

5 装置 

5.2 参照標準面 

5.2 

JISとほぼ同じ 

追加 

ISO/TC6の認定試験所は,一般に知られて
いないので,機関名を追加した。 

技術的な差異はない。 
国内事情による。 

6 試料の採
取及び調製 

6.2.3 パルプ 

6.2.3 

JISとほぼ同じ 

変更 

手すき紙の調製方法として,引用されてい
るISO 3688を,我が国で一般的な手すき
紙の調製方法として用いられているJIS P 
8222に変更した。 

技術的な差異はない。 
国内事情による。 

削除 

注記では,ISO 3688で規定しているブフナ
ー漏斗による試料調製方法は適さないと
記載している。上記変更によって,この記
載は不要となったため,削除した。 

追加 

この方法は不透明度97 %以上のシートに
は適用できない。 
その理由を注記に記載した。 

次回の定期見直しの際,追加を提案する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 22754:2008,MOD 

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2

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1

3

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

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