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P 8224 : 2002

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,紙パルプ技術協会  (JAPAN TAPPI)/財団法

人日本規格協会  (JSA)  から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,ISO 14453 : 1997, Pulps−Determination of acetone-soluble matter を基礎として用いた。

JIS P 8224

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表


日本工業規格

JIS

 P 8224

: 2002

パルプ−アセトン可溶分試験方法

Pulps

−Determination of acetone-soluble matter

序文  この規格は,1997 年に第 1 版として発行された ISO 14453, Pulps−Determination of acetone-soluble

matter

を翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,パルプのアセトン可溶分を測定する方法について規定する。この規格は,す

べてのパルプに適用するが,古紙パルプを含むパルプには適用しない。

この方法の測定下限は,約 0.05%とする。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 14453 : 1997, Pulps

−Determination of acetone-soluble matter (MOD)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS P 0001

  紙・板紙及びパルプ用語

JIS P 8201

  製紙用パルプの試料採取方法

備考  ISO 7213 : 1981, Pulps−Sampling for testing からの引用事項は,この規格の該当事項と同等で

ある。

JIS P 8203

  パルプ−絶乾率の試験方法

備考  ISO 638 : 1978, Pulps−Determination of dry matter content からの引用事項は,この規格の該当

事項と同等である。

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001 によるほか,次による。

3.1

アセトン可溶分 (acetone-soluble matter)    パルプ試料から,この規格に規定する方法によって,ア

セトンで抽出される物質の量。

4.

原理  試料をソックスレー抽出装置によって,アセトンで抽出する。


2

P 8224 : 2002

5.

試薬  試薬は,次による。

5.1

アセトン (CH

3

COCH

3

)

  JIS K 8034 に規定するもの。

警告  アセトンは引火性があるので,直火を避けなければならない。ガス加熱器を用いてはならない。

引火性液体取扱い上の注意事項に従う。

6.

器具  器具は,次による。

6.1

ソックスレー抽出装置  300mL から 500mL の擦り合わせフラスコ,ソックスレー抽出器及び冷却管

をもつもの。

6.2

円筒ろ紙  あらかじめアセトンで抽出したもの。

6.3

ガラス繊維  あらかじめアセトンで抽出したもの。

6.4

加熱器  恒温水槽又は同等の機能をもつもの。

6.5

ひょう量皿  アルミニウム又は他の軽量素材製のもの。この皿は,8.に規定する乾燥処理過程で,質

量の増減がないことを確認しなければならない。

6.6

ガラスろ過器  JIS R 3503 に規定する G2 又は G3 のもの。

7.

試料の採取及び準備  試料の採取及び準備は,次による。

試料の採取操作は,個別の状況による。市販パルプのロット又は積荷から試料を採取する場合は,JIS P 

8201

に規定する方法によって行う。

試料を取り扱う場合,常に保護手袋を着用する。試料は,吸脱湿を避けるため,ポリエチレンの袋又は

アルミホイル中に保管する。

試料がウェットパルプの場合は,40℃以下で乾燥する。

試料がパルプシートの場合は,抽出器に入る程度の短冊状に切断する。試料がフラッシュドライパルプ

の場合は,15mm 以下の適切な幅に引き裂く。

8.

操作  操作は,次による。

a)

試料を,天びん周囲の雰囲気の平衡水分に到達するまで放置する。2 個の試料それぞれ約 10g を 1mg

の精度でひょう量する。これとは別に,JIS P 8203 の方法に従い絶乾率を求め,各試料の絶乾質量を

算出する。

b)

各試料について,c)から k)の操作を行う。

c)

抽出器  (6.1)  の排出管に小さな塊状のガラス繊維  (6.3)  を詰める。

d)

試料を抽出装置  (6.1)  に入れる。試料の損失を防ぐため,円筒ろ紙  (6.2)  を用いるか,多孔質の磁製

円板又はガラス繊維  (6.3)  の塊を試料の上に載せる。試料が排出管の頂部よりも上になっていないこ

とを確認する。試料が細片状パルプ又はフラッシュドライパルプの場合は,必ず円筒ろ紙  (6.2)  を使

用する。

e)

サイフォン開始時に少なくとも 50mL のアセトンがフラスコに残るよう,十分な量のアセトン  (5.1)

を加える。抽出装置を組み立てる。

f)

アセトンを沸騰させ,抽出器が少なくとも 16 回空になるまで抽出を行う。抽出時間は,3 時間以上と

し,4 時間を超えないことが望ましい。

備考  アセトンが過熱し,突沸する傾向にある場合は,フラスコにガラスビーズ又は沸騰石 (boiling

chips)

を入れることが望ましい。


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g)

アセトンをできるだけ回収するため,抽出器が空になる直前に抽出を停止する。

h)

アセトン抽出液に,繊維又はその他の目に見える不溶物がないかを確認する。必要であれば,ガラス

ろ過器でアセトン抽出液をろ過する。

i)

あらかじめひょう量したひょう量皿  (6.5)  にアセトン抽出液を移す。フラスコ内を少量のアセトン

(5.1)

で洗い,この洗浄液もひょう量皿に移す。

注意事項  乾燥機中での爆発事故を防止するため,40℃を超えない温度でアセトンを完全に蒸発させ

ること。

j)

アセトン抽出物を乾燥機で 105±2℃で 2 時間乾燥する。

k)

ひょう量皿をデシケータ中で室温まで冷却した後,0.1mg の精度でひょう量し,アセトン抽出物の乾

燥質量を算出する。

9.

空試験  空試験値が,試験結果と比較して無視し得る程度(1mg 未満)であることを定期的に確認す

る。試料を入れないこと以外は全く同一の操作を行う。

この測定方法では,通常は有意な空試験値は認められないはずであり,有意な空試験値を得た場合は,

その原因を調査する。

参考  例えば,用いたアセトン中の不純物が原因の可能性がある。

10.

計算  計算は,次による。

100

1

2

×

=

m

m

x

ここに,

x

:  アセトン可溶分 (%)

m

1

:  試料の絶乾質量 (g)

m

2

:  アセトン抽出物の乾燥質量 (g)

11.

試験結果の表し方  個々の抽出試験について算出したアセトン可溶分 (%) の平均値を計算し,JIS Z 

8401

に規定する方法によって丸めの幅 0.01 に丸める。平均値が 0.05%未満の場合は,結果を“0.05%未満”

と報告する。

12.

精度(参考)  各国の 17 研究機関で,それぞれ 4 種類の試料を測定した。各研究機関には,この規格

の方法に忠実に従い,各試料について二つの測定値を報告するよう依頼した。結果は,次のとおりである。

12.1

繰返し精度  各試料について,2 回の測定値のばらつきは,各平均値の 3%から 5%の間であった。

12.2

再現性  報告結果(2 回の平均値)の平均値及び変動係数を,表 に示す。


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表 1

単位 %

パルプ

平均値

変動係数

さらし機械パルプ 0.68  9.9

カバ BKP (TCF)

0.18

8.5

マツ BKP (ECF)

0.15

9.9

広葉樹 SP 0.24

9.7

TCF

: 分 子 状 塩 素 及 び 塩 素 化 合 物 を 用 い な い 漂 白 法  (totally

chlorine free)

ECF

:分子状塩素を用いない漂白法  (elemental chlorine free)

13.

報告  報告には,次の事項を記録する。

a)

試験規格名称又は規格番号。

b)

試験年月日及び試験場所。

c)

試料の種類及び名称。

d)

アセトン可溶分 (%)。

e)

測定結果に影響を及ぼしたと考えられる,この規格に規定していない操作又は任意に行った操作。


 

5

P

 822

4 : 2

002

附属書(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表

JIS P 8224 : 2002

  パルプ−アセトン可溶分試験方法

ISO 14453 : 1997

  パルプ−アセトン可溶分試験方法

(I)  JIS

の規定 (III)  国際規格の規定 (IV)  JIS と国際規格との技術的差異の項

目ごとの評価及びその内容

表示箇所:本体 
表示方法:点線の下線

(V)

  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

項目番号

内容

(II)

  国 際 規 格

番号

項目番号 内容

項目ごとの
評価

技術的差異の内容

1.

  適用範囲

ISO 14453 1

IDT

2.

  引用規格

JIS K 8034

2

− MOD/追加

追加 4 規格は ISO に提案

JIS P 0001

− MOD/追加

JIS P 8201

ISO 7213 IDT

JIS P 8203

ISO 638 IDT

JIS R 3503

− MOD/追加

JIS Z 8401

− MOD/追加

3.

  定義

3

 IDT

4.

  原理

4

 IDT

5.

  試薬

5

 IDT

6.

  器具

ガラスろ過器を追加

6

MOD

/追加 技術的差異はない。

7.

  試料の採取

及び準備

7

 IDT

8.

  操作

8

 IDT

9.

  空試験

9

 IDT

10.

  計算

10

 IDT


 

6

P

 822

4 : 2

002

(I)  JIS

の規定 (III)  国際規格の規定 (IV)  JIS と国際規格との技術的差異の項

目ごとの評価及びその内容

表示箇所:本体 
表示方法:点線の下線

(V)

  JIS と国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

項目番号

内容

(II)

  国 際 規 格

番号

項目番号 内容

項目ごとの
評価

技術的差異の内容

11.

  試 験 結 果

の表し方

JIS Z 8401

を引用

10

MOD

/追加 数値の丸め方について,引用

JIS

を記載

ISO

に提案

12.

  精 度 ( 参

考)

11

 IDT

13.

  報告

12

 IDT

附属書(参考)

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

− IDT………………技術的差異がない。 
− MOD/追加………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

− MOD……………国際規格を修正している。


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P 8224 : 2002

JIS P 8224

(パルプ−アセトン可溶分試験方法)原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

尾  鍋  史  彦

東京大学

(副委員長)

飯  田  清  昭

紙パルプ技術協会

(委員)

川  口  幸  男

経済産業省製造産業局

辻  井  義  信

経済産業省産業技術環境局

橋  本      進

財団法人日本規格協会

岡  山  隆  之

東京農工大学

堀      定  男

日本製紙連合会

吉  田  芳  夫

王子製紙株式会社

古  市      浩

中越パルプ工業株式会社

加  納      直

日本製紙株式会社

川  岸  秀  治

日本板紙株式会社

内  海  正  雄

三菱製紙株式会社

若  松      操

レンゴー株式会社

鈴  鴨      繁

全国クラフト紙袋工業組合(王子製袋株式会社)

青  木  康  彦

十條セントラル株式会社

石  井  健  三

大日本印刷株式会社

細  村  弘  義

富士ゼロックス株式会社

熊  谷      健

熊谷理機工業株式会社

水  谷      壽

株式会社東洋精機製作所

大  石  哲  久

紙パルプ技術協会

*

(関係者)

江  前  敏  晴

東京大学

紙パルプ試験規格委員会第 1 小委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

吉  田  芳  夫

王子製紙株式会社

(委員)

武  藤  直  一

財務省印刷局研究所

品  川  俊  一

経済産業省物質工学工業技術研究所

大  町  伸  一

紀州製紙株式会社

倉  澤  克  彦

高崎三興株式会社(∼2000 年 8 月)

宮  本  健太郎

高崎三興株式会社(2000 年 9 月∼)

佐  野      昭

東海パルプ株式会社

佐  藤      勤

北越製紙株式会社

(*印は,事務局兼務を示す。)