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P 8221-2 : 1998

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

JIS P 8221-2

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)  PFI ミル

附属書 B(規定)  PFI ミルの保守

JIS P 8221

は,次に示す部編成となっている。

第 1 部:ビーター法

第 2 部:PFI ミル法


日本工業規格

JIS

 P 8221-2

: 1998

パルプ−こう解方法−

第 2 部:PFI ミル法

Pulps

−Laboratory beating−Part 2 : PFI mill method

序文  この規格は,1979 年に第 1 版として発行された ISO 5264-2,Pulps−Laboratory beating−Part 2 : PFI

mill method

を基に,対応国際規格に規定されていない規定項目(定義,二つの装置,二つの対象試料)を

追加した以外は,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,パルプの物性試験のための,PFI ミルによるパルプのこう解方法について規

定する。

備考1.  この方法は,原則としてすべての種類のパルプに適用できるが,実際にはリンターパルプの

ような極めて長い繊維のパルプでは満足な結果は得られない。

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 5264-2 : 1979

  Pulps−Laboratory beating−Part 2 : PFI mill method

3. 

この規格の中で{  }をつけて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS P 0001

  紙・板紙及びパルプ用語

JIS P 8121

  パルプのろ水度試験方法

JIS P 8201

  製紙用パルプの試料採取方法

備考 ISO 

7213 

: 1981, Pulps

−Sampling for testing が,この規格と対応している。

JIS P 8203

  パルプ−絶乾率の試験方法

備考 ISO 

638 

: 1978, Pulps

−Determination of dry matter content が,この規格と対応している。 

JIS P 8220

  パルプ−離解方法

備考 ISO 

5263 

: 1995, Pulps

−Laboratory wet disintegration が,この規格と対応している。

ISO 4119

  Pulps−Determination of stock concentration

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001 によるほか,次による。

a)

ベールパルプ  シート状のパルプを荷造り機で圧縮して縛ったパルプの包み。

b)

ラップパルプ  ウェットマシンですいて,折り畳んだパルプ。


2

P 8221-2 : 1998

4.

原理  規定濃度のパルプの適切量を,バーの付いたロールと平たんなハウジングの間でこう解する。

ロール及びハウジングは,同じ方向に異なる周速で回転する。

5.

装置  装置は,次による。

5.1

PFI

ミル  附属書 に規定した装置。

5.2

標準離解機  JIS P 8220 に規定されているもの。

5.3

パルプ濃縮装置  離解したパルプを,繊維が流失しないように濃縮できる装置(吸引フラスコに取

り付けたブフナ漏斗など)

5.4

ろ水度試験器  JIS P 8121 に規定されているもの。

5.5

天びん  測定誤差 0.2g 以内の精度でひょう量できるもの。

5.6

水  蒸留水,イオン交換水又はそれに類する水。

6.

試料  試料の採取は,次による。

a)

製紙用のベールパルプ又はラップパルプの場合には,試料の採取は,JIS P 8201 に従って行い,他の

形態のパルプの場合にも,できるだけそのロットを代表するようにして,適切量のパルプを採取する。

b)

シートパルプの場合には,JIS P 8203 に従って絶乾率を測定し,スラッシュパルプの場合には,ISO 

4119

に従って紙料濃度を測定する。

c)

絶乾パルプ量で 30±0.5g を採取する。シートパルプの場合には,パルプをカッターなどで切断しない

で,ちぎって採取する。また,切断された部分を避けて採取する。

d)

ドライパルプは,0.5の水に少なくとも 4 時間以上浸せき(漬)後,25mm×25mm 程度の大きさにち

ぎる。予備離解時のこう解の影響を最小限にするために,浸せきによってパルプを完全に膨潤させて

おく。

なお,ウェットパルプは,浸せきしないで離解してもよい。

7.

操作  操作は,次による。

7.1

離解  離解は,JIS P 8220 に従って次のように行う。

a)

試料を離解機に移す。20±5℃の水を加えて全体積を 2 000±25ml とする。

参考  結果的にパルプ濃度は約 1.5%となる。

b)

回転計を 0 にセットし,モータのスイッチを入れて離解を開始すると同時に回転計をスタートする。

c)

試料濃度が 20%以上のパルプの場合は,プロペラを 30 000 回転分離解し,20%未満の場合には,10 000

回転分離解する。

d)

プロペラが止まってから,パルプの離解状態を確認し,不十分な場合には更に離解する。

7.2

濃縮

a)

離解後,パルプ懸濁液をパルプ濃縮装置で約 20%の濃度まで濃縮する。繊維の流失を避けるために,

ろ液を繊維マットの上から再度ろ過する。必要であれば,これを数回繰り返す。

b)

濃縮パルプを全体が 300±5g になるように水で希釈する。

参考  採取パルプは絶乾で 30g であるから,結果的にパルプ濃度は約 10%となる。

7.3

こう解

a)

こう解条件は,次のとおりとする。

1)

こう解圧:バーの長さ 1mm 当たり 3.33±0.10N {3.4±0.1kgf/cm} (

1

)


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P 8221-2 : 1998

2)

ロールの回転速度:24.3±0.5s

1

 {1 460

±30rpm}

3)

周速差:6.0±0.2m/s

(

1

)

非常にこう解しやすいパルプ(広葉樹サルファイトパルプのように)の場合には,バーの長さ

1mm

当たり1.77N の低いこう解圧でもよい。ただし,その旨を試験報告に記載する。

b) PFI

ミルのロール,ハウジング及びパルプ懸濁液の温度を 20±5℃に調節する。7.2 に従って調製した

パルプ懸濁液をハウジングに入れる。このとき,内壁面にできるだけ均一に分布させ,ハウジングの

底にパルプが残っていないことを確認する。ロールをハウジングに入れ,ハウジングのふたを定位置

にはめる。

c)

ハウジングを回転させると,パルプは跳ね飛ばされてハウジングの壁にへばりつく。それからロール

を回転させる。ロール及びハウジングが規定の速度に達したら,約 4 秒間で必要なこう解圧に達する

ように徐々に加圧していき,全荷重が掛かったと同時に回転計をスタートさせる。

d)

ロールが必要な回転数に達したら,こう解圧を解放する。モータのスイッチを切り,ロール及びハウ

ジングを止める。ふたをとり,ロールを取り外す。

e)

パルプを容量 2以上のメスシリンダに移す。水でこう解機を洗い,洗い水をメスシリンダに加える。

試料を水で 2 000±25ml に希釈し,標準離解機でプロペラ 10 000 回転分の離解をする。

f)

こう解が終了したら,PFI ミルを完全に洗浄する。必要であれば,ピッチ溶剤を用いる。

g)

ろ水性試験を行う場合には,5.4 に規定したろ水度試験器を用いてこう解後数分以内に行う。

8.

報告  報告には,必要に応じて次の事項を記録する。

a)

規格名称又は規格番号

b)

試料の種類及び名称

c)

試験年月日及び試験場所

d)

離解回転数

e)

こう解時間又はこう解回転数

f)

ろ水性試験結果

g)

観察された異常現象

h)

この規格及び関連規格にない操作で結果に影響したと考えられる操作

i)

その他必要とする事項


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P 8221-2 : 1998

附属書 A(規定)  PFI ミル

1.

適用範囲  この附属書は,実験室こう解に用いる PFI ミルについて規定する。

2.

装置  PFI ミルは,附属書 図 に示すように,ロール,ふた付きのハウジング及びこう解圧を調節

する装置から成り,材質はステンレス鋼製(例えば,SUS316)とする。ロール及びハウジングは,垂直軸

で回転する。

備考 PFI ミルの保守は,附属書 による。

参考  当初製造された PFI ミルは,青銅製であったが,ステンレス鋼製でも同じ結果が得られる。

a)

ロールは,長さ 50mm,幅 5mm のバーを 33 本備えており,そのバーは,ロール軸に平行で放射状に

等間隔に並んでいるものとする。バーも含めたロールの直径は 200mm,バーの間の溝の深さは 30mm

とする。

b)

ロールは,約 1kW のモータによって,24.3±0.5s

-1

 {1 460

±30rpm}  (無加圧時)の回転速度が得られ

るもので,ロールの回転数を表示する回転計を備えているものとする。

c)

ハウジングは,内径 250mm,深さ 52mm とし,約 400W のモータで駆動する。無加圧時のロールの回

転速度 24.3±0.5s

-1

との周速差を 6.0±0.2m/s とするために,

ハウジングの回転速度を 11.8±0.2s

1

 {710

±10rpm}  とする。

d)

てこでロールをハウジングの壁に押しつけることによって,こう解圧を加える。

e)

この PFI ミルには,研磨及び調節のときにロールとハウジングとの距離を調節するための距離調節ね

じが備えられていること。

f)

再現性のあるこう解を確保するには,次の条件が満たされていなければならない。

1)

ロール及びハウジングが正しい速度で回る。

2)

ベルトが滑らないこと。

参考  加圧すると,通常,ロールの回転数は 0.3∼0.6s

-1

減速し,ハウジングの回転速度はわずかに上

がる。

3)

荷重がすべてこう解圧として伝わるように,すべての部品が自由に動くこと。

4)

こう解中に,距離調節ねじには触れないこと。

5)

ロール及びハウジングに汚れがないこと。

6)

ときどき,参照用パルプを,カナダ標準ろ水度 200CSF 又はショッパーろ水度 50°SR 程度までこう

解して,標準ろ水度の±5%以内に入っていることを確認する。

なお,参照用パルプは,十分に長い期間保存しておいたもので,それ以上変化の余地のないもの

を用いる。参照用パルプは,こう解試験を行うパルプと同種類のものが望ましい。


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P 8221-2 : 1998

附属書 図 1  PFI ミルの概略図


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P 8221-2 : 1998

附属書 B(規定)  PFI ミルの保守

通常の条件下では,こう解機の効率は,一定であることが望ましい。こう解面が,傷ついていると,参

照用パルプで異常な結果が得られるので,こう解面を次の要領で研磨及び調整しなければならない。

a)

ハウジングを駆動するモータの回転方向を逆にする。

b)

距離調整ねじでロールとハウジングの間隔を約 0.5mm にセットする。

c) 50ml

の水で希釈した 50ml の水溶性切削油に懸濁させた大きさ 90

µm 以下の炭化けい素粉末 15g をハ

ウジングに入れる。

d)

ロールをハウジングに入れて,きちんとふたをする。ハウジング及びロールを回転させて荷重を加え

る。ロールとハウジングの間隔を,距離調節ねじで研磨の音が聞こえてくるまで狭める。その音がほ

とんど聞こえなくなるまで PFI ミルを回転させる。さらに半目盛り(約 0.03mm)を超えない程度に間

隔を狭める。以上の研磨を傷がなくなるまで繰り返す。

e)

こう解部分及びふたを石けん及び水で洗浄する。炭化けい素粉末が残っていないことを確認する。

f)

この粗研磨の後,45

µm 以下の炭化けい素粉末を用いて,c)及び d)と同様に精密研磨を行う。

g)

e)

と同様に洗浄する。

h)

バーの後端にできた粗い角をやすりで削る。

i)

ロールを洗浄してやすりくずを取り除く。

j)

ハウジングの駆動モータの回転方向を戻す。45

µm 以下の炭化けい素粉末で研磨後,こう解面が粗く

なり過ぎた場合は,45

µm 以下の炭化けい素粉末約 15g を混ぜたパルプをこう解することによってこ

う解面を必要なレベルまで研磨する。このとき,ロールとハウジングの間隔は,繊維マットの厚さを

わずかに超えるように調節ねじで調節する。

参考  例えば,さらし針葉樹サルファイトパルプを用いる場合は,2mm の間隔が適切である。

k)

ハウジング及びロールを,きれいに洗浄する。

l)

調節ねじを,解放する。

m)

こう解面の安定化のために,ロールの回転数で 50 000∼100 000 回に相当する時間,こう解することが

望ましい。


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P 8221-2 : 1998

JIS

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

尾  鍋  史  彦

東京大学

(副委員長)

飯  田  清  昭

紙パルプ技術協会

(委員)

生  田  章  一

通商産業省生活産業局

宮  崎  正  浩

工業技術院標準部

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

岡  山  隆  之

東京農工大学

堀      定  男

日本製紙連合会

吉  田  芳  夫

王子製紙株式会社

内  藤      勉

日本製紙株式会社

高  柳  充  夫

王子製紙株式会社

原      啓  志

三島製紙株式会社

外  山  孝  治

三菱製紙株式会社

佐久間  雅  義

北越製紙株式会社

大豆生田    章

大日本印刷株式会社

細  村  弘  義

富士ゼロックス株式会社

熊  谷      健

熊谷理機工業株式会社

水  谷      壽

株式会社東洋精機製作所

内  田      久

*

十條リサーチ株式会社

大  石  哲  久

*

紙パルプ技術協会

紙パルプ試験規格委員会第 3 分科会  構成表

氏名

所属

(第 3 分科会長)

高  柳  充  夫

王子製紙株式会社

(委員)

品  川  俊  一

通商産業省物質工学工業技術研究所

長  田  高  穂

王子製紙株式会社

茂  木  一  真

株式会社巴川製紙所(平成 9 年 3 月 31 日まで)

上  山  雅  文

株式会社巴川製紙所(平成 9 年 4 月 1 日から)

田  口  秀  敏

日本板紙株式会社

折  坂      滋

大昭和製紙株式会社

安  田      強

日本製紙株式会社

船  江  晴  芳

三菱製紙株式会社

JIS

原案作成委員会の○印の委員

(*印は,事務局兼務を示す。)