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M 8817-1984

(1) 

目次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  一般事項

1

2.1

  試料

1

2.2

  計量器

1

2.2.1

  はかり及び分銅

1

2.2.2

  量器

1

2.2.3

  温度計

1

2.3

  試薬及び水

1

2.4

  分析結果の表し方

1

2.4.1

  測定値のベース

1

2.4.2

  測定値及び報告値

1

2.5

  許容差

2

3.

  全硫黄の定量方法

2

4.

  硫酸塩硫黄の定量方法

2

4.1

  方法の区分

2

4.2

  要旨

2

4.3

  装置及び器具

2

4.4

  試薬

2

4.5

  試料はかり取り量

3

4.6

  操作

3

4.7

  計算

4

4.8

  分析回数

4

4.9

  許容差

4

4.10

  報告

4

5.

  黄鉄鉱硫黄の定量方法

4

5.1

  方法の区分

4

5.2

  酸化法

4

5.2.1

  要旨

5

5.2.2

  器具

5

5.2.3

  試薬

5

5.2.4

  試料はかり取り量

5

5.2.5

  操作

5

5.2.6

  計算

6

5.2.7

  分析回数

7

5.2.8

  許容差

7


M 8817-1984

目次

(2) 

ページ

5.2.9

  報告

7

5.3

  還元法

7

5.3.1

  要旨

7

5.3.2

  装置及び器具

7

5.3.3

  試薬

7

5.3.4

  試料はかり取り量

8

5.3.5

  操作

8

5.3.6

  計算

8

5.3.7

  分析回数

9

5.3.8

  許容差

9

5.3.9

  報告

9

6.

  有機硫黄算出方法

9

参考  硫酸塩硫黄の定量方法(滴定法)

11

1.

  要旨

11

2.

  器具

11

3.

  試薬

11

4.

  試料はかり取り量

12

5.

  操作

12

6.

  計算

13

7.

  分析回数

13

8.

  許容差

13

9.

  報告

13


日本工業規格

JIS

 M

8817

-1984

石炭類の形態別硫黄の定量方法

Methods for Determination of Forms of Sulfur in Coal

1.

適用範囲  この規格は,石炭類の形態別硫黄分析方法について規定する。この規格において形態別硫

黄分析とは,全硫黄,硫酸塩硫黄,黄鉄鉱硫黄を定量し,併せて有機硫黄を算出することをいう。

引用規格,対応国際規格及び関連規格:9 ページに示す。

2.

一般事項

2.1

試料  JIS M 8811(石炭類及びコークス類のサンプリング方法並びに全水分・湿分測定方法)の 4.6

に規定する気乾試料の調製方法により調製した気乾試料を用いる。

備考  気乾試料は密栓して保管すれば,少なくとも 7 日間ぐらいは水分がほとんど変化しないから,

各成分の分析の際に,毎回気乾試料水分を定量する必要はない。

2.2

計量器

2.2.1

はかり及び分銅  質量をはかる場合には,JIS M 8810(石炭類及びコークス類のサンプリング,分

析並びに測定方法の通則)の 2.1 に規定するはかり及び分銅を使用する。

2.2.2

量器  液体の体積をはかる場合には,JIS M 8810 の 2.2 に規定する化学用体積計を使用する。

2.2.3

温度計  温度をはかる場合には,JIS M 8810 の 2.3 に規定する温度計を使用する。

2.3

試薬及び水  各項目において,特に規定するもの以外は,JIS K 0050(化学分析方法通則)に規定す

るものを用いる。

2.4

分析結果の表し方

2.4.1

測定値のベース  ベースの表し方は,次による。

(1)

分析結果は,全硫黄,硫酸塩硫黄,黄鉄鉱硫黄及び有機硫黄の 4 成分を無水ベースによって表示する。

無水ベースに換算するための水分は,JIS M 8812(石炭類及びコークス類の工業分析方法)の 3.2.7

3.3.8

又は 3.4.8 の平均値(小数第 2 位)を用いる。

(2)

必要に応じて分析結果は,他のベースに換算して表示することもできる。この場合は換算したベース

の略号を付記しなければならない。換算方法及び略号は,JIS M 8810 の 7.に規定する分析結果及び測

定結果の表し方並びに JIS M 8810 の 8.に規定するベース換算方法による。

2.4.2

測定値及び報告値  表し方は,次による。

(1)

同一分析所において 2 回繰り返して行って得た個々の値を測定値という。これらの差が

表 の許容差

以内ならば,その平均値を求めて報告値とする。

(2)

測定値及び報告値は,JIS Z 8401(数値の丸め方)によって

表 に示すけたに丸める。


2

表 1  測定値及び報告値のけた数

分析項目

測定値

報告値

全硫黄

硫酸塩硫黄

小数第 2 位

小数第 1 位

黄鉄鉱硫黄

2.5

許容差  許容差は,表 のとおりとする。

表 2  許容差

分析項目

区分  %

異分析所間  %

(報  告  値)

 1.0

以下 0.07

全硫黄 1.1∼2.0 0.12

 2.1

以上 0.17

硫酸塩硫黄

− (0.03)

 0.5

以下 (0.10)

黄鉄鉱硫黄 0.6∼1.4 (0.15)

 1.5

以上

(測定値の 10%)

備考1.  同一分析所内許容差(測定値)は,各方

法の許容差の項に規定する。

2.

硫酸塩硫黄及び黄鉄鉱硫黄の異分析所間
の許容差は参考値とする。

参考  硫酸塩硫黄及び黄鉄鉱硫黄の異分析所間の

許容差は ISO 157 と一致している。

3.

全硫黄の定量方法  全硫黄の定量は,エシュカ法又は燃焼容量法のいずれかの方法で行うものとし,

その方法は JIS M 8813(石炭類及びコークス類の元素分析方法)の 3.1 に規定するエシュカ法又は 3.2 

規定する燃焼容量法による。ただし燃焼容量法による場合は,すべて JIS M 8813 の 3.2.8 

備考に示す方

法による塩素量の補正を行うこととする。

4.

硫酸塩硫黄の定量方法

4.1

方法の区分  石炭中の硫酸塩硫黄の定量方法は,重量法による。

参考  滴定法による硫酸塩硫黄の定量方法は,参考として本体の後に記載する。

4.2

要旨  試料中の硫酸塩硫黄を塩酸で抽出し,アンモニアを加えて鉄の沈殿を除去した後、塩酸酸性

とし,塩化バリウムを滴加して,硫酸バリウムの沈殿を生成させ,重量法で定量する。

4.3

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

電気炉  800±25℃に調節でき,均熱帯の広いものが望ましい。

(2)

コールドフィンガー冷却器(付図 参照)

4.4

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸

(2)

塩酸 (2+3)    塩酸 420ml を水で 1に薄める。

(3)

塩酸 (1+23)    塩酸 42ml を水で 1に薄める。

(4)

臭素水  臭素の飽和水溶液

(5)

アンモニア水

(6)

洗浄水  塩化アンモニウム 10g を水 500ml に溶解し,メチルオレンジに対して弱アルカリ性となるま


3

でアンモニア水を滴加する。

(7)

標準硫酸塩溶液  硫酸カリウム 0.600 0g を水で溶解し,1に薄める。この溶液 10ml は硫酸バリウム

0.008 0g

に相当する。

(8) 8.5%

塩化バリウム溶液  塩化バリウム (BaCl

2

・2H

2

O) 100g

を水に溶かして 1としたものを,12 時間以

上放置後ろ過して使用する。

(9) 0.1%

メチルオレンジ溶液  メチルオレンジ 0.1g を水に溶かして 100ml とする。

(10) 2%

硝酸銀溶液  硝酸銀 2g を水に溶かして 100ml とし,褐色瓶に入れて保存する。

4.5

試料はかり取り量  試料は 0.2mm 以下に粉砕した気乾試料 5g を 0.1mg まではかり取る。

4.6

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

硫酸塩硫黄の抽出  試料をはかり取り,コニカルビーカー (300ml) に移す。塩酸 (2+3) 50ml を加え,

冷却器(

付図 参照)を取り付け,30 分間ホットプレート上で煮沸する。塩酸 (1+23)  で冷却器を洗

浄した後,ビーカー (500ml) にろ紙(5 種 A)を用いてろ過する。ろ紙上の残さは塩酸 (1+23)  で 6

回,全量 20ml で洗浄する。ろ液と洗液を合わせ,溶液中の硫酸塩硫黄を定量する。残さ炭は酸化法

による黄鉄鉱硫黄の定量用として保存する。酸化法による黄鉄鉱硫黄の定量に別個の試料を用いる場

合は,残さ炭を廃棄する。

(2)

鉄の除去  (1)の溶液に臭素水 1ml を加え,時計皿でふたをして 5 分間煮沸し,鉄の酸化を完全にする

とともに,過剰の臭素を追い出す。次に絶えず振り混ぜながら,わずかに過剰になるまで,アンモニ

ア水を徐々に加えて鉄を沈殿させ,更に 5ml 加える。ビーカーを時計皿でふたをして 1 分間煮沸後,

ろ紙(5 種 A)を用いて鉄の沈殿をろ過し,ろ液をビーカー (500ml) に集める。沈殿を 4∼5 回温洗浄

水で洗浄し,洗液はろ液に合わせて硫黄の定量用に,また沈殿は元のビーカーと共に,黄鉄鉱硫黄を

酸化法で定量する場合の黄鉄鉱に由来しない鉄の沈殿として保管する。しかし,硫酸塩硫黄定量後,

黄鉄鉱硫黄を還元法で定量する場合は,沈殿を廃棄する。

(3)

硫酸バリウム沈殿生成前の準備  鉄の沈殿除去後の溶液に 2∼3 滴のメチルオレンジ指示薬を加え,変

色するまで注意して塩酸を加え,更に塩酸 1ml を過剰に加える。溶液に水を加えて全容を 250ml とす

る。

(4)

硫酸バリウム沈殿の生成

(a)

標準硫酸塩溶液 10ml を加え,時計皿でふたをして煮沸するまで加熱した後,加熱を弱めて,わず

かに沸騰する程度にする。

(b)

熱溶液の中心に,塩化バリウム溶液 10ml をピペット(

1

)

から加える。その間ビーカー内容物は回転

させる。

(

1

) 10ml

ホールピペットを用いれば,10ml は約30秒で流下する。

(5)

硫酸バリウム沈殿の熟成  液温が沸点よりわずかに低くなる程度に(例えば温浴上で)30∼60 分間加

熱を継続する。又は室温で 12 時間以上静置する。

(6)

硫酸バリウム沈殿のろ過

(a)

ろ紙(5 種 C)を用いてろ過する(

2

)

(

2

)

ろ過に際して,水流ポンプなどで引いたりする場合は十分にろ紙の補強を行わないと,しばし

ば沈殿を損失する。

(b)

沈殿は傾斜法によって洗う。すなわち,熟成の終わった沈殿は静置し,上澄み液ができたら,静か

に液分だけをビーカーからろ紙上に流しだす。そしてまた,ビーカーを静置し,上澄み液だけを流

し出す。この操作を繰り返す。


4

(c)

ビーカーに残った沈殿は,温水を少量加えてかき混ぜた後静置し,再び上澄み液を傾斜してろ過す

る。この操作を数回繰り返した後,初めて沈殿をろ紙上に移す。

(d)

ろ紙上に移すには,温水少量を加え,ときどき混ぜながら沈殿と液分とを共に流し出す。

(e)

ビーカーの内壁に温水を吹き付けて沈殿をできるだけ洗い落とし,ろ紙の底に向かって流下させる。

なお,水でぬらしたゴム帽付ガラス棒でビーカーの内壁やかくはん棒に付いた沈殿をこすり落と

してろ過するとよい。

(f)

上の(c)(e)の操作に使う温水は,250ml を超えてはいけない。洗液 20ml が硫酸銀溶液によって乳

白色を呈しなくなるまで洗浄する(

3

)

(

3

)

温水250ml 以内で塩素イオンのなくなるように効果的な洗浄を行わなければならない。傾斜法

もその一方法であるが,例えば漏斗中に洗液が入っているのに,その上に新しい洗液を注ぐの

は,洗浄効果が悪い。

(7)

沈殿の強熱

(a)

あらかじめ強熱して恒量にしてあるるつぼに,ぬれたろ紙を移す。

(b) 800

±25℃に保ってあるよく換気する電気炉の前部の低温の位置(

4

)

に,ごくわずかにふたをずらして

るつぼを入れ,ろ紙が炭化したらふたを取り,次第に炉の中心の方へるつぼを移動させてゆき,800

±25℃で 15 分間加熱する。

(

4

)

急激に燃えて硫酸バリウムが損失するのを防ぐため,最初はなるべく低温部に挿入する。なお,

適当な耐火板があれば,るつぼを載せて一緒に電気炉内に入れるとよい。

(8)

硫酸バリウムのひょう量  恒量になった硫酸バリウムは,デシケーター中で放冷し,質量をはかる。

(9)

空試験  試料を使わずに(1)(8)と全く同様の操作を 2 回以上行う。その平均値をもって空試験値とす

る。

4.7

計算  硫酸塩硫黄含有率は,次の式によって算出する。

74

.

13

(%)

2

1

×

=

m

m

m

硫酸塩硫黄

ここに,

m

試料はかり取り量 (g)

m

1

本定量で求めた硫酸バリウムの質量 (g)

m

2

空試験で求めた硫酸バリウムの質量 (g)

4.8

分析回数

  この操作は同一分析所において 2 回繰り返して行う。2 回の結果の差が許容差を超える場

合は,

JIS M 8810

9.

に規定する許容差適用方法による。

4.9

許容差

  重量法による硫酸塩硫黄の許容差は,

表 3

のとおりとする。

表 3  重量法による硫酸塩硫黄の許容差

成    分

同一分析所内  %

(測定値)

硫酸塩硫黄 0.22

4.10

報告

  2 回の結果の差が許容差以内ならば,

その 2 回の平均値を求め,

小数第 1 位に丸めて報告する。

5.

黄鉄鉱硫黄の定量方法

5.1

方法の区分

  石炭中の黄鉄鉱硫黄の定量方法は,酸化法か,還元法のいずれかによる。酸化法は黄

鉄鉱の状態で結合している鉄量を塩化第一すずで還元し,重クロム酸カリウム滴定法で求める。還元法は

黄鉄鉱の硫黄を硫化水素とし,酢酸カドミウムに吸収させた後,よう素滴定法で求める。

5.2

酸化法


5

5.2.1

要旨

  試料中の黄鉄鉱硫黄を硝酸で抽出し,アンモニア水を加えて鉄などの水酸化物を分離する。

沈殿を塩酸に溶解し,塩化第一すずで還元し,過剰の第一すずを塩化第二水銀で酸化し,酸濃度を調節し,

ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを指示薬として重クロム酸カリウム標準溶液を用いて滴定し,こ

の鉄と結合している硫黄量を計算によって間接的に求める。

5.2.2

器具

  器具は,コールドフィンガー冷却器とする(

付図 1

参照)

5.2.3

試薬

  試薬は,次による。

(1)

硝酸 (1+7)

  硝酸 125ml を水で 1に薄める。

(2)

過酸化水素水 (30%)

(3)

アンモニア水

(4)

混酸  硫酸 150ml を水約 500ml 中に入れながらよくかき混ぜ,りん酸 150ml を加え,水で全量を 1l

とする。

(5)

洗浄水  塩化アンモニウム 10g を水 500ml に溶解し,メチルオレンジに対して弱アルカリ性となるま

でアンモニア水を滴加する。

(6)

塩化第一すず溶液  塩酸 200ml をビーカー (1l)  に入れ,水溶上で加熱しながら塩化第一すず (SnCl

2

2H

2

O) 100g

を少量ずつ加えて溶解し,冷却後水で薄めて 1とする。この溶液には少量の粒状すずを加

え,褐色瓶に入れて保存する。

(7)

塩化第二水銀溶液(飽和,約 5

V

W

%

(8)

 N/30

重クロム酸カリウム標準溶液 (1.635g K

2

Cr

2

O

7

/l)

  結晶重クロム酸カリウム(容量分析用標準試

薬)1.635g を正しくビーカー (300ml) にはかり取り,水約 100ml に溶解し,1のメスフラスコに移し

水で標線まで薄める。この場合は標準試薬に表示されている純度をそのまま N/30 に対する力価として

用い,標定は行わない。

(9)

 N/30

硫酸第一鉄アンモニウム標準溶液  硫酸第一鉄アンモニウム [Fe (NH

4

)

2

 (SO

4

)

2

・6H

2

O] 13g

をは

かり取り,硫酸 (1+1) 30ml 及び水約 700ml を加え,かき混ぜて溶解し,更に水を加えて全量を 1

する。

(10)

ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液 (0.2

V

W

%)

  褐色瓶に入れて保存する。この試薬は,ジ

フェニルアミンスルホン酸バリウムを用いてもよい。

5.2.4

試料はかり取り量

  試料は,0.2mm 以下に粉砕した気乾試料約 1g を 0.1mg まではかり取る。又は

硫酸塩硫黄の定量に用いた塩酸抽出残さ炭を使用する。

5.2.5

操作

  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

黄鉄鉱硫黄の抽出

  試料をはかり取り,又は塩酸抽出残さ炭をコニカルビーカー (300ml) に移す。硝

酸 (1+7) 50ml を加え,冷却器(

付図 1

参照)を取り付け,30 分間ホットプレート上で煮沸する。硝

酸 (1+7)  で冷却器を洗浄した後,ビーカー (500ml) にろ紙(5 種 A)を用いてろ過する。ろ紙上の

残さは硝酸 (1+7)  で 6 回全量 20ml を使用して洗浄後廃棄し,ろ液と洗液を合わせ,黄鉄鉱硫黄を測

定するための鉄の定量に用いる。

(2)

鉄の分離

  石炭の分解によって生成した着色物質を破壊するために,過酸化水素水 2ml を加え 5 分間

煮沸する

(

5

)

。煮沸後熱源から降ろし,たえず振り混ぜながらアンモニア水を滴加し,わずかに過剰に

加えて鉄を沈殿させ,更に過剰に 5ml 加える。加熱し 2∼3 分間煮沸した後熱源から降ろし,沈殿の

沈降するのを待ってろ紙(5 種 A)を用いてろ過し,温洗浄水で 4∼5 回洗浄する。

(

5

)

亜れき青炭及び褐炭類を硝酸で煮沸すると,石炭化度の低い石炭ほど有機物が多く溶液に溶解

し,過酸化水素の添加だけでは分解しない。この場合は溶液を蒸発乾固し,濃硫酸2ml を加え


6

て硫酸の白煙が生じるまで加熱し,有機物を分解する。

(3)

鉄の定量

(a)

ろ紙を漏斗に付けたまま沈殿の大部分をもとのビーカーに洗い落とし,ビーカーを漏斗下に受け,

ろ紙上から熱塩酸 (1+3) 30ml を注ぎ,残留する水酸化物を溶解し,次に温塩酸 (1+9)  で 4 又は 5

回,最後に温水で酸の消失するまで洗浄する。ろ紙は捨てる。ビーカーを加熱し,水酸化物を溶解

した後,必要ならば溶液を約 100ml まで濃縮する。

(b)

上記の溶液に塩酸 10ml を加え,約 80℃以上に加熱し,塩化第一すず溶液を滴加しながら振り混ぜ,

黄色が薄れてきたら注意して 1 滴加えるごとによく振り混ぜ,黄色が消失した後過剰に 1 滴だけ加

え,ビーカー内壁を水で洗浄し,流水中で室温以下となるまで冷却する。

(c)

これに塩化第二水銀溶液 10ml を一度に加え,すぐに振り混ぜた後,3∼5 分間放置する。これに混

酸 30ml を加え水で約 300ml に薄め,指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液 2

∼3 滴を加え,これを N/30 重クロム酸カリウム標準溶液を用いて滴定し,紫色になった点を終点と

する。

(4)

空試験は,次のように行う

(

6

)

(2)

までの操作は試料と同様に操作する。これに塩酸 10ml を加え,約 80℃以上に加熱し,塩化第一

すず溶液を 1 滴加え,ビーカー内壁を水で洗浄して流水中で室温以下となるまで冷却する。これに塩

化第二水銀溶液 10ml を加えてすぐ振り混ぜ,3∼5 分間放置する。これに混酸 30ml 及び N/30 硫酸第

一鉄アンモニウム溶液 10ml を正しく加え,水で約 30ml に薄め,指示薬としてジフェニルアミンスル

ホン酸ナトリウム溶液 2 又は 3 滴を加え,

これを N/30 重クロム酸カリウム標準溶液を用いて滴定する。

別のビーカー (500ml) に混酸 30ml と N/30 硫酸第一鉄アンモニウム溶液 10ml を正しく取り,水で

300ml

に薄め滴定する。

空試験溶液に消費された N/30 重クロム酸カリウム標準溶液の液量から N/30 硫酸第一鉄アンモニウ

ム溶液だけに消費された N/30 重クロム酸カリウム標準溶液の消費量を差し引いて空試験値とする。

(

6

)

空試験溶液中の鉄量が微量のときは,重クロム酸カリウムを過剰に添加してもジフェニルアミ

ンスルホン酸による発色が速やかに起こらないので,過大の空試験値になりやすい。第一鉄イ

オンを共存させると発色が速やかになる。

(5)

黄鉄鉱に由来しない鉄の定量

  硫酸塩硫黄の定量における塩酸抽出残さ炭を用いずに,別個の試料を

はかり取って,黄鉄鉱硫黄を酸化法で定量する場合には,黄鉄鉱に由来しない硫黄を補正する必要が

あり,黄鉄鉱に由来しない鉄は,

4.6(2)

で分離した鉄の沈殿を

(3)(a)

及び

(b)

と同様の操作によって定量

する。

5.2.6

計算

(1)

塩酸抽出残さ炭について測定を行っ場合,黄鉄鉱硫黄含有率は,次の式によって算出する。

黄鉄鉱硫黄 (%) =  (V

1

V

2

N

×6.412/m

ここに,

V

1

5.2.5(3)

における重クロム酸カリウム標準溶液消費量 (ml)

V

2

5.2.5(4)

により求めた空試験値液量 (ml)

N

:  小数点以下 4 けたで表示した重クロム酸カリウム標準溶液

の規定度

m

:  硫酸塩硫黄の定量の際の試料はかり取り量 (g)

(2)

別個の試料について測定を行った場合,黄鉄鉱硫黄含有率は,次の式によって算出する。

412

.

6

(%)

2

4

3

1

2

1

×

×

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

N

m

V

V

m

V

V

黄鉄鉱硫黄


7

ここに,

V

1

5.2.5(3)

における重クロム酸カリウム標準溶液消費量 (ml)

V

2

5.2.5(4)

により求めた空試験値液量 (ml)

V

3

5.2.5(5)

における重クロム酸カリウム標準溶液消費量 (ml)

V

4

5.2.5(5)

の場合の操作における空試験値液量 (ml)

N

小数点以下 4 けたで表示した重クロム酸カリウム標準溶液
の規定度

m

1

硝酸で抽出される試料のはかり取り量 (g)

m

2

塩酸で抽出される試料のはかり取り量 (g)

5.2.7

分析回数  この操作は同一分析所において 2 回繰り返して行う。2 回の結果の差が許容差を超える

場合は,JIS M 8810 の 9.に規定する許容差適用方法による。

5.2.8

許容差  酸化法による黄鉄鉱硫黄の許容差は,表 のとおりとする。

表 4  酸化法による黄鉄鉱硫黄の許容差

黄鉄鉱硫黄  %

同一分析所内  %

(測定値)

0.5

以下 0.05

0.6

∼1.4 0.07

1.5

以上

測定値の 5%

5.2.9

報告  2 回の結果の差が許容差以内ならば,その 2 回の平均値を求め,小数第 1 位に丸めて報告す

る。

5.3

還元法

5.3.1

要旨  石炭を微粉砕して,黄鉄鉱の粒子を単体分離し,発生機の水素と反応させて,硫黄を還元し

て硫化水素とし,酢酸カドミウム溶液に吸収させる。これによう素溶液を加えて,過剰のよう素をチオ硫

酸ナトリウム溶液で逆滴定する。

5.3.2

装置及び器具  装置は,次のものから成る(付図 参照)。

(1)

反応フラスコ  容量 100ml の丸底フラスコ。共通すり合わせテーパーは 24/30 のもの。

(2)

ガス導入管  下端に反応フラスコを取り付けるための共通すり合わせテーパー 24/30 をもつ太いガ

ラス管で,上端に滴加漏斗が封じ込めてあり(滴加漏斗の下端は,取り付けた反応フラスコの底部よ

り約 5mm 程度まで到達する。

,また,ガス抜き管が付いている。

(3)

水銀安全トラップ

(4)

洗浄瓶  塩酸ガス吸収用で 80∼100ml の蒸留水を入れた内容積 200ml 程度のもの。

(5)

吸収瓶  硫化水素吸収用で 80∼100ml の酢酸カドミウム溶液を入れた内容積 200ml 程度のもの 2 本。

(6)

炭酸ガスボンベ及び減圧弁。

5.3.3

試薬  試薬は,次による。

(1)

金属クロム(粉末)

(2)

金属亜鉛(粒状 3∼4mm)

(3)

エタノール (95%

V

V

)  

(4)

塩酸

(5)

塩酸 (1+0.9)    塩酸 525ml を水で 1に薄める。

(6)

 4.3%

酢酸カドミウム溶液  酢酸カドミウム溶液 [(CH

3

-COO)

2

Cd

・2H

2

O] 50g

を水に溶解し,

氷酢酸 10ml

を加え,水で 1に薄める。

(7)

 N/10

チオ硫酸ナトリウム溶液  チオ硫酸ナトリウム(5 水塩)約 26g 及び炭酸ナトリウム(無水)0.2g

をとり,炭酸を含まない水に溶かして約 1とし,これにイソアミルアルコール約 10ml を加え,よく


8

振り混ぜて 2 日間放置する。

標定  N/10 よう素酸カリウム溶液(標定用)25ml をピペットを用いて共栓付三角フラスコ (300ml)

にとり,よう化カリウム 2g 及び硫酸 (1+5) 5ml を加え,直ちに栓をして静かに振り混ぜ,暗所に 5

分間放置した後水 100ml を加え,遊離したよう素をこの溶液で滴定する。液の黄色が薄くなってから

指示薬としてでんぷん溶液 3ml を加え,よう素でんぷんの青が消えるまで滴定を続ける。

別に同一条件で空試験を行って補正した ml 数  (x)  から次式によってファクター  ()  を算出する。

x

f

25

=

(8)

 N/10

よう素酸カリウム溶液(標定用)  よう素酸カリウム(標準試薬)を 120∼140℃で 2 時間乾燥し,

硫酸デシケーター中で放冷したのち,よう素酸カリウム 100%に対し,0.891 7g を正しくはかり,水に

溶かしてメスフラスコ 250ml に入れ,水を標線まで加える。

(9)

 N/10

よう素溶液  よう素約 13g をよう化カリウム 40g を含む水約 250ml の溶液で溶解し,水で約 1l

に薄め,塩酸 3 滴を加え,褐色瓶に入れて暗所に保存する。この溶液 25ml を N/10 チオ硫酸ナトリウ

ム溶液で標定する(指示薬:でんぷん溶液,ただし,溶液が微黄色になってから加える。

(10)

でんぷん溶液  でんぷん(可溶性)1g を水約 10ml と混ぜ,ついで熱水 100ml 中によくかき混ぜなが

ら加え,約 1 分間煮沸した後冷却静置し,その上澄み液を用いる。この溶液は使用の都度調製する。

5.3.4

試料はかり取り量  試料は 0.02mm 以下に粉砕(

7

)

した気乾試料 0.5g を 0.1mg まではかり取る。

(

7

)

乳鉢,自動乳鉢,粉砕用振動ミルなどいずれの方法で破砕を行ってもよいが,この分析法は黄

鉄鉱を濃塩酸で分解すると同時に発生機の水素による接触的な還元で硫化水素を生成させる反

応であるので,規定の粒度以下に試料を粉砕することが,重要である。乳鉢,自動乳鉢の場合,

試料に少量のエタノール (5ml) を加えて,注意深く粉砕することにより,規定粒度の石炭試料

を調製することができる。

5.3.5

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

黄鉄鉱硫黄の還元  試料をはかり取り,反応フラスコ (100ml) に移す。エタノール 3∼5ml,金属亜

鉛 15g,金属クロム 0.1g を加え,振り混ぜてのり状になるまで混合する。装置に反応フラスコを取り

付け,炭酸ガスボンベに接続した滴加漏斗に,3ml のエタノールと 70ml の塩酸を入れる。滴加漏斗の

栓を開き,フラスコに約 5ml の酸を加えて 1∼2 分間栓を閉じ,2 価のクロムイオンを形成させた後,

再び栓を開いて,引き続いて残りの酸を 10 分間かけて加える。酸を入れ終わったら滴加漏斗の栓を閉

じる。

(2)

硫化水素の吸収  水素の発生が終わったら滴加漏斗の栓を開いて,15∼20 分間炭酸ガスを流し,すべ

ての硫化水素をカドミウム溶液の入った吸収瓶中に追い出す。

(3)

滴定  硫化カドミウムの黄色い沈殿を含む吸収瓶に(

8

)

,十分過剰になるように一定量のよう素溶液を

加え,更に塩酸 (1+0.9) 20ml を加え,沈殿が溶解するまでかくはんする。吸収瓶の内容物をコニカル

ビーカー又は三角フラスコに移し,水で吸収瓶を洗浄し,その洗液も合わせる。黄褐色の溶液中の過

剰のよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。液の黄色が薄くなってから,指示薬としてでんぷ

ん溶液 3ml を加え,よう素でんぷんの青が消えるまで滴定を続ける。

(

8

)

酢酸カドミウム溶液を入れた2本目の吸収瓶は,多量の硫化水素が発生した場合,1本目の吸収

瓶だけでは吸収しきれない可能性があるために必要である。2本目の吸収瓶の溶液中に濁りがあ

る時は,これを1本目の吸収瓶の溶液に合わせる。

5.3.6

計算  黄鉄鉱硫黄含有率は,次の式によって算出する。


9

黄鉄鉱硫黄 (%) =  (V

1

N

1

V

2

N

2

)

×1.6/m

ここに,

V

1

:  よう素溶液の添加量 (ml)

V

2

:  チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量 (ml)

N

1

:  小数点以下 4 けたで表示したよう素溶液の規定度

N

2

:  小数点以下 4 けたで表示したチオ硫酸ナトリウム溶液の規

定度

m

:  試料のはかり取り量 (g)

5.3.7

分析回数  この操作は同一分析所において 2 回繰り返して行う。2 回の結果の差が許容差を超える

場合は,JIS M 8810 の 9.に規定する許容差適用方法による。

5.3.8

許容差  還元法による黄鉄鉱硫黄の許容差は,表 のとおりとする。

表 5  還元法による黄鉄鉱硫黄の許容差

黄鉄鉱硫黄  %

同一分析所内  %

(測定値)

0.5

以下 0.05

0.6

∼1.4 0.07

1.5

以上

測定値の 5%

5.3.9

報告  2 回の結果の差が許容差以内ならば,その 2 回の平均値を求め,小数第 1 位に丸めて報告す

る。

6.

有機硫黄算出方法  有機硫黄含有率は,次の式によって算出する。

有機硫黄 (%) =全硫黄 (%) −[硫酸塩硫黄 (%) +黄鉄鉱硫黄 (%)]

引用規格:

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS M 8810

  石炭類及びコークス類のサンプリング,分析並びに測定方法の通則

JIS M 8811

  石炭類及びコークス類のサンプリング方法並びに全水分・湿分測定方法

JIS M 8812

  石炭類及びコークス類の工業分析方法

JIS M 8813

  石炭類及びコークス類の元素分析方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

対応国際規格:

ISO 157

  Hard coal−Determination of forms of sulphur

関連規格:JIS K 0102  工場排水試験方法

JIS K 8006

  試薬の含量試験中滴定に関する基本事項

JIS M 8815

  石炭灰及びコークス灰の分析方法

JIS P 3801

  ろ紙(化学分析用)

ASTM D 2492

  Standard test method for forms of sulfur in coal


10

付図 1  コールドフィンガー冷却器

付図 2  還元法による黄鉄鉱硫黄の定量装置


11

参考  硫酸塩硫黄の定量方法(滴定法)

1.

要旨  試料中の硫酸塩硫黄を塩酸で抽出し,陽イオン交換樹脂を用いて,溶液中の陽イオンを除去し

た後,クロム酸バリウムの一定量を加えて,硫酸イオンとクロム酸イオンを置換し,これによう化カリウ

ムを加えて,遊離するよう素を酢酸ナトリウム緩衝液の存在下で,チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。

2.

器具  器具は,次のとおりとする。

(1)

コールドフィンガー冷却器  (本体付図 参照)

(2)

陽イオン交換器  (参考付図参照)

ガラスのカラムは,長さ 200±20mm,内径 20∼25mm で 35±5g の強酸性陽イオン交換樹脂を含む

もの。直線流速は 40mm/分に調節する。

3.

試薬  試薬は,次による。

(1)

分析用強酸性陽イオン交換樹脂  粒度 0.5∼1.5mm

(2)

塩酸

(3)

塩酸 (2+3)    塩酸 420ml を水で 1に薄める。

(4)

塩酸 (2+23)    塩酸 42ml を水で 1に薄める。

(5)

過酸化水素水  30%

(6)

 8%

水酸化ナトリウム溶液  水酸化ナトリウム 80g を水 1に溶解する。

(7)

 3%

クロム酸バリウム溶液  精製したクロム酸バリウム(

1

)

3.0g

に水 10ml と 60%過塩素酸 10ml を加え,

加熱して完全に溶解した後,水で 100ml に薄め,ろ紙(5 種 C)を用いてろ過して,ポリエチレンの

瓶に保存する。使用前一晩放置する。

(

1

)

クロム酸バリウムの精製  クロム酸カリウム8g を水約800ml に溶かし,70∼80℃に温める。こ

れに塩化バリウム(2水塩)10g を約100ml に溶かして温めた溶液を,上澄み液の黄色がほとん

どなくなるまで徐々に滴加してクロム酸バリウムの沈殿を作る。この沈殿を温水約500ml で2∼

3

回傾斜法により洗浄したのち,更にこの沈殿を冷水で2∼3回遠心分離し洗浄する。次に,これ

に塩酸 (1+5) 100ml を加え,

温めて溶かし

(不溶性物質があればろ過する。

水を加えて約700ml

とし,70∼80℃に温め,アンモニア水 (1+6) (約110ml)をブロムチモールブルーの変色点(母

液の一部で試験)まで徐々に加えてクロム酸バリウムを再沈殿させる。この沈殿を前と同様に

操作してよく洗浄する。これを105∼110℃で約1時間乾燥してから,めのう乳鉢で解砕し,広口

試薬瓶に入れて保存する。

(8)

 13.6%

酢酸ナトリウム溶液  無水酢酸ナトリウム 136g 又は酢酸ナトリウム 3 水塩 225g を水で溶解し,

1l

に薄める。

(9)

 9%

酢酸ナトリウム溶液  無水酢酸ナトリウム 9g 又は酢酸ナトリウム 3 水塩 15g を水で溶解し,1

薄める。

(10)

アンモニア溶液 (1+1)    この溶液は炭酸塩を除くために酸化カルシウム上に保存する。

(11)

標準硫酸塩溶液  硫酸カリウム 0.600 0g を水で溶解し,1に薄める。この溶液 10ml は N/10 チオ硫酸

ナトリウム溶液 1.033ml に相当する。


12

(12)

よう化カリウム

(13)

 N/10

チオ硫酸ナトリウム溶液  チオ硫酸ナトリウム(5 水温)約 26g 及び炭酸ナトリウム(無水)0.2g

をとり,炭酸を含まない水に溶かして約 1とし,これにイソアミルアルコール約 10ml を加え,よく

振り混ぜて 2 日間放置する。

標定  N/10 よう素酸カリウム溶液(標定用)25ml をピペットを用いて共栓付三角フラスコ (300ml)

にとり,よう化カリウム 2g 及び硫酸 (1+5)  を加え,直ちに栓をして静かに振り混ぜ,暗所に 5 分間

放置した後水 100ml を加え,遊離したよう素をこの溶液で滴定する。液の黄色が薄くなってから指示

薬としてでんぷん溶液 3ml を加え,よう素でんぷんの青が消えるまで滴定を続ける。

別に同一条件で空試験を行って補正した ml 数  (x)  から,

次式によってファクター  (f)  を算出する。

x

f

25

=

(14)

 N/10

よう素酸カリウム溶液(標定用)  よう素酸カリウム(標準試薬)を 120∼140℃で 2 時間乾燥し,

硫酸デシケーター中で放冷したのち,KI0

3

100%

に対し 0.891 7g を正しくはかり,水に溶かしてメスフ

ラスコ 250ml に入れ,水を標線まで加える。

(15)

メチルレッド−メチレンブルー混合指示薬溶液  次の 2 溶液を使用前に等量ずつ混合する。この混合

液は必ず褐色瓶に入れて保存し,1 週間以上経過したものは使用してはならない。

(a)

 0.125g

のメチルレッドを 100ml のエチルアルコール (95%

V

V

)

に溶解する。褐色瓶に保存する。

(b)

 0.083g

のメチレンブルーを 100ml のエチルアルコール (95%

V

V

)

に溶解する。褐色瓶に保存する。

(16)

フェノールレッド指示薬溶液  0.1g のフェノールレッドを 20ml のエチルアルコール (95%

V

V

)

に溶解

し,水で 100ml に薄める。

(17)

でんぷん溶液  でんぷん(溶性)1g を水約 100ml と混ぜ,ついで熱水 100ml 中によくかき混ぜながら

加え,約 1 分間煮沸したのち冷却静置し,その上澄み液を用いる。この溶液は使用の都度調製する。

4.

試料はかり取り量  試料は,0.2mm 以下に粉砕した気乾試料 5g を 0.1mg まではかり取る。

5.

操作  定量操作は,次の手順によって行う。

(1)

硫酸塩硫黄の抽出  試料をはかり取り,コニカルビーカー (300ml) に移す。塩酸 (2+3) 50ml を加え,

冷却器(本体

付図 参照)を取り付け,30 分間ホットプレート上で煮沸する。塩酸 (1+23)  で冷却器

を洗浄した後,ビーカー (500ml) にろ紙(5 種 A)を用いてろ過する。ろ紙上の残さは塩酸 (1+23)  で

6

回,全量 20ml で洗浄する。ろ液と洗液を合わせ,溶液中の硫酸塩硫黄を定量する。残さ炭は酸化法

による黄鉄鉱硫黄の定量用として保存する。酸化法による黄鉄鉱硫黄の定量に別個の試料を用いる場

合は,残さ炭を廃棄する。

(2)

陽イオンの除去  (1)の溶液に過酸化水素水 1 滴を加え,蒸発乾固する。残さを塩酸で湿らし,30ml

の水を加えて煮沸し,冷却後,陽イオン交換器でろ過する。ろ過速度は 40mm/分に調節し,ろ過後

イオン交換器は,60∼70ml の水で洗浄し,ろ液と洗液は合わせる。

(3)

硫酸イオンとクロム酸イオンの置換  陽イオン除去後の溶液に,標準硫酸溶液 10ml をピペットで加

えた後煮沸し,熱溶液に混合指示薬溶液又はフェノールレッド指示薬溶液を 2 又は 3 滴加え,アルカ

リ性となるまで水酸化ナトリウム溶液を滴加する。次に熱溶液をかくはんしながら,クロム酸バリウ

ム溶液 10ml をピペットから加え,2∼3 分間煮沸後 13.6%酢酸ナトリウム溶液 10ml を加える。更に 2

∼3 分間煮沸し,明らかにアルカリ性になるまで,注意してアンモニア水 (1+1)  を加える。なお,過


13

剰のアンモニアがなくなるまで煮沸した後,20 分間冷却する。ビーカー (500ml) にろ紙(5 種 C)を

用いてろ過する。ろ紙上の残さは 1 回につき 10ml の 9%酢酸ナトリウム溶液を用いて 2 回洗浄する。

(4)

滴定  ろ液と洗液を合わせ,これに,よう化カリウム 1∼2g を加えて溶解した後,塩酸 5ml を加える。

5

分間静置後遊離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。液の黄色が薄くなってから,指

示薬としてでんぷん溶液 3ml を加え,よう素でんぷんの青が消えるまで滴定を続ける。

(5)

空試験  試料を使わずに,(1)(4)と全く同様の操作を 2 回以上行う。その平均値をもって空試験値と

する。

6.

計算  硫酸塩硫黄含有率は,次の式によって算出する。

硫酸塩硫黄 (%) =  (V

1

V

2

N

×1.069/m

ここに,

V

1

:  (4)におけるチオ硫酸ナトリウム溶液消費量 (ml)

V

2

:  (5)により求めた空試験値液量 (ml)

N

:  小数点以下 4 けたで表示したチオ硫酸ナトリウム溶液の規定度

m

:  試料のはかり取り量 (g)

7.

分析回数  この操作は,同一分析所において 2 回繰り返して行う。2 回の結果の差が許容差を超える

場合は,JIS M 8810 の 9.に規定する許容差適用方法による。

8.

許容差  滴定法による硫酸塩硫黄の許容差は,参考表のとおりとする。

参考表  滴定法による硫酸塩硫黄の許容差 

成分

同一分析所内  %

(測定値)

硫酸塩硫黄 0.02

9.

報告  2 回の結果の差が許容差以内ならば,その 2 回の平均値を求め,小数第 1 位に丸めて報告する。


14

参考付図  陽イオン交換器の一例

資源エネルギー部会  石炭・コークス及びその分析試験方法専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

木  村  英  雄

工業技術院公害資源研究所資源第 1 部

安  藤  勝  良

資源エネルギー庁石炭部

井  上  外志雄

東京大学工学部

大  沢  祥  拡

財団法人石炭技術研究所第二研究部

高  田  勝  行

社団法人燃料協会

野  口  順  路

財団法人日本科学技術連盟

卯  木      稔

工業技術院標準部

佐々木  象二郎

大阪ガス株式会社総合研究所

大  橋  脩  作

日本石炭協会技術部

石  原  武  彦

三菱化成工業株式会社第一事業本部炭素事業部

松  野  昌  平

東京ガス株式会社技術研究所

小  島      武

三菱鉱業セメント株式会社大宮研究所

西  田  清  二

関西熱化学株式会社研究所

角  南  好  彦

住友金属工業株式会社中央技術研究所

宮  津      隆

日本鋼管株式会社技術研究所

青  木  茂  雄

川崎製鐵株式会社技術管理部

平  本  克  房

新日本製鐵株式会社資源調査部

宮  間  宣  幸

社団法人日本鉄鋼連盟原料部

五十嵐  喜八郎

電源開発株式会社火力部

(事務局)

時  山  聖  司

工業技術院標準部材料規格課

宮  崎  正  治

工業技術院標準部材料規格課