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M 8811 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条において準用する同法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人  石

炭利用総合センター (CCUJ) から工業標準原案を具して,日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS M 8811 :

1976

は改正され,サンプリング関係の規定はこの規格に置き換えられる。

今回の改正は,国際整合化の観点からの改正であるが,JIS M 8811 : 1976 の規定のうち全水分測定方法

に係る部分は,対応国際規格の体系に合わせて JIS M 8811 から分離し別規格  (JIS M 8820 : 2000)  として

制定することにした。また,JIS M 8811 : 1976 に規定していた湿分測定方法は,その必要性が薄れたため

削除した。


M 8811 : 2000

(1) 

目次

ページ

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  総則

4

4.1

  サンプリングの一般原則

4

4.2

  サンプリング方法の選択

5

4.3

  サンプリング設備

6

4.4

  試料の包装と表示

6

4.5

  サンプリング報告書

6

5.

  サンプリング方法の設計

7

5.1

  全般

7

5.2

  連続サンプリング及び断続サンプリング

7

5.3

  サンプリング方法の計画

8

5.4

  サンプリングの精度

9

5.5

  例

13

5.6

  試料の最小質量

15

5.7

  一次インクリメントの質量

16

5.8

  質量基準サンプリングにおける一次インクリメントの質量規制

17

5.9

  粒度分析

20

6.

  機械式サンプリング方法

20

6.1

  コンベヤ輸送中のサンプリング

20

6.1.1

  全般

21

6.1.2

  時間基準系統サンプリング

21

6.1.3

  質量基準系統サンプリング

22

6.1.4

  層別ランダムサンプリング

22

6.1.5

  スプーンサンプラによるサンプリング

23

6.1.6

  基準サンプリング

23

6.2

  静置ロットからのサンプリング

23

6.2.1

  全般

23

6.2.3

  ストックパイルからのサンプリング

25

6.2.4

  表面サンプリング

26

7.

  機械式サンプラの設計

26

7.1

  コンベヤ輸送に用いる機械式サンプラ

26

7.1.1

  安全

26

7.1.2

  設計者への情報提供

26


M 8811 : 2000

目次

(2) 

ページ

7.1.3

  基本要件

26

7.1.4

  サンプラの設置場所

27

7.1.5

  精度チェック実験への配慮

27

7.1.6

  偏りテストへの配慮

27

7.1.7

  機械式サンプラの設計基準

27

7.1.7.1

  機械式サンプラの基本要件

27

7.1.7.2

  カッタ形サンプラの設計

27

7.1.7.3

  クロスベルト形サンプラ

30

7.1.7.4

  スプーンサンプラ

33

7.1.8

  (参考)機械式サンプラの運転指針

34

7.1.9

  サンプリング設備の保守

34

7.2

  静置ロットで用いるサンプリング機器−機械式オーガー

35

7.3

  試料の取扱いと保管

35

7.4

  偏りの最小化

36

7.5

  検証

37

8.

  手動式サンプリング方法

37

8.1

  コンベヤ輸送中のサンプリング

37

8.2

  静置ロットからのサンプリング

40

9.

  試料調製

45

9.1

  試料調製精度

45

9.2

  試験試料の作り方

46

9.3

  縮分

48

9.4

  粉砕

62

9.5

  混合

62

9.6

  予備乾燥

62

9.7

  用途別試料調製

63

9.8

  保管試料

71

9.9

  試料調製設備の設計基準

71

9.9.1

  縮分機

71

9.9.2

  カッタ形縮分機(落下流縮分機)用カッタ

71

9.9.3

  粉砕機

72

9.9.4

  試料調製設備及び統合サンプリング設備

72

9.9.5

  偏りテストへの配慮

73

10.

  品位変動調査方法

73

10.1

  概要

73

10.2

  品位変動に関係する式

74

10.3

  品位変動(W の推定方法

75

10.3.1

  品位変動の推定

76

10.3.2

  品位変動の推定  方法 2(総合精度からの推定

76


M 8811 : 2000

目次

(3) 

ページ

10.3.3

  品位変動の推定  方法 3(交互サンプル法)

76

10.3.4

  (参考)バリオグラム法による品位変動の推定

85

10.4

  (参考)サブロット間品質変動(B の推定方法

90

11.

  精度チェックの方法

91

11.1

  全般

91

11.2

  精度に関係する式

92

11.3

  二重サンプリングによる既設サンプリング設備のチェック

94

11.4

  多重サンプリングによる精度の推定

98

11.5

  試料調製及び測定精度のチェック方法

99

11.6

  例

108

12.

  偏りテストの方法  111

12.1

  全般

111

12.2

  原則

111

12.3

  手順の概要

113

12.4

  テスト前の目視検査

113

12.5

  基準の方法

114

12.6

  テストする品質特性の選定

116

12.7

  テストする石炭又はコークスの選定

116

12.8

  偏りテストの実施

116

12.9

  統計解析と解釈

118

12.10

  テスト報告

127

12.11

  計算例

128


日本工業規格

JIS

 M

8811

:

2000

石炭類及びコークス類−

サンプリング及び試料調製方法

Coal and coke

−Sampling and sample preparation

序文  この規格は,1998 年に発行された ISO/DIS 13909-113909-8 を翻訳し,技術的内容を変更して作成

した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業規格として追加して

いる。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項又は原国際規格にはな

い事項である。

1.

適用範囲  この規格は,ロットの品質特性を決定するため,石炭類及びコークス類(以下,石炭・コ

ークスという。

)のサンプリング方法,試料調製方法,品位変動調査方法,精度チェック方法及び偏りテス

ト方法を規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO/DIS 13909-1 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 1 : General introduction

ISO/DIS 13909-2 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 2 : Coal−Sampling from

moving streams

ISO/DIS 13909-3 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 3 : Coal−Sampling from

stationary lots

ISO/DIS 13909-4 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 4 : Coal−Preparation of

test samples

ISO/DIS 13909-5 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 5 : Coke−Sampling from

moving streams

ISO/DIS 13909-6 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 6 : Coke−Preparation of

test samples

ISO/DIS 13909-7 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 7 : Methods for determining

the precision of sampling, sample preparation and testing

ISO/DIS 13909-8 : 1998, Hard coal and coke

−Mechanical sampling−Part 8 : Methods of testing for

bias

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 2151

  コークス類−試験方法


2

M 8811 : 2000

JIS M 8801

  石炭類−試験方法

JIS M 8810

  石炭類及びコークス類−サンプリング,分析並びに試験方法の通則

JIS M 8820

  石炭類及びコークス類−全水分測定方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8801-1

  試験用ふるい−第 1 部:金属製網ふるい

3.

定義  この規格では,次の定義を用いる。

3.1

精確さ (accuracy)   誤差の程度。真度と精度とを総合的に表したもの。

備考  真度 (trueness) とは,偏り (bias) の程度をいう。

3.2

予備乾燥 (air-drying)   試料の水分を,さらに粉砕や縮分を行う場所の雰囲気と平衡状態に近付け

るプロセス。

備考  予備乾燥は主に石炭に適用する。コークスの予備乾燥は一般に試料調製をしやすくするために

行う。

予備乾燥が全水分測定の一部となる場合,JIS M 8820 では二段階乾燥方法の予備乾燥を第 1

段階乾燥と呼んでいる。

3.3

偏り (bias)   一連の結果の平均値を,基準のサンプリング方法で得られる値より,常に高くするか

又は常に低くするような系統誤差。

3.4

変動係数  (coefficient of variation)    標準偏差を算術平均値で割った値。通常百分率で表す。

3.5

共用試料 (common sample)   2 種以上の試験試料を作るために採取する試料。

3.6

連続サンプリング (continuous sampling)   対象ロットが所定のサンプリング箇所を通過するとき,

すべてのサブロットから,同一採取間隔で行う試料採取。

3.7

カット (cut)   サンプリング装置(以下,サンプラという。)のカッタで採取するインクリメント。

備考  インクリメントは,カッタだけでなく,機械式オーガーやインクリメント縮分用スコップで採

ることもある。

3.8

カッタ (cutter)   流れを横切ることによってインクリメントを採取する,機械式サンプラの本体部

分。

3.9

縮分後インクリメント (divided increment)   質量を減らす目的でインクリメントを縮分して得ら

れる,インクリメントの部分。

備考  質量を減らす目的の縮分では,事前に粉砕することもあるし,事前に粉砕しないこともある。

ただし最大粒度が相対的に大きくて,インクリメントの質量が小さすぎ,9.3.2.4 の規定を満た

さない場合には,粉砕した後で縮分しなければならない。

3.10

二重サンプリング  (duplicate sampling, interleaved sampling)    多重サンプルが 2 個だけとなる,特

別な場合の多重サンプリング。

備考  二重サンプリングによって作る試料は,二重サンプル (duplicate sample) 又は交互サンプル

(interleaved sample)

と呼ぶ。

3.11

誤差 (error)   観測値から“真の”値を引いた差。

備考  誤差は系統誤差(偏り)及びランダム誤差に分けることができる。

3.12

定量縮分 (fixed mass division)   縮分する供試料の質量と無関係に,残試料の質量を事前に決めてい

る縮分方法。


3

M 8811 : 2000

3.13

定比縮分  (fixed ratio division)    縮分比,つまり(残試料質量)/(供試料質量),を事前に決めて

いる縮分方法。

3.14

一般分析用試験試料 (general analysis test sample)   ほとんどの化学成分及び幾つかの物理特性を

測定するのに用いる,JIS Z 8801-1 に規定された呼び寸法 212

µm を通過するように調製した試料。

3.15

インクリメント (increment)   サンプラの一動作で採取する,ロットの一部分。又はインクリメン

ト縮分方法によって採取する試料の一部分。

3.16

断続サンプリング (intermittent sampling)   対象ロットが所定のサンプリング箇所を通過するとき,

幾つかのサブロットだけから行う試料採取。

3.17

ロット (lot)   品質特性を決定しようとする,特定量の石炭・コークス。

3.18

手動式サンプリング (manual sampling)   人力によるインクリメントの採取。

3.19

質量基準サンプリング (mass-basis sampling)   石炭・コークスの流れから採取する各インクリメン

トの位置が流れの質量で測られ,

かつインクリメントの質量が一定であるような,

インクリメントの採取。

3.20

最大許容偏り (maximum tolerable bias)   その値の実際での影響を考慮した上で,許容できる最大

の偏り。

3.21

機械式サンプリング (mechanical sampling)  機械的手段によるインクリメントの採取。

3.22

機械式サンプリング設備 (mechanical sampling system)   機械式サンプラと機械式試料調製装置が

統合された設備。

3.23

水分用試料 (moisture sample)   全水分測定を目的として採取する試料。

備考  コークスの場合,この水分用試料は一般分析に使用してもよい。

3.24

最大粒度  (nominal top size)    試料のふるい上残留率が 5%以下となる,試験用ふるい−第 1 部:金

属製網ふるい(JIS Z 8801-1

付表 及び付表 参照)のふるい目(公称目開き)の大きさ。

備考  試料が全量通過する最小のふるい目の大きさである試料全量通過の粒度 (whole-through sieve

size)

と試料の最大粒度とは異なる。

3.25

オフライン試料調製 (off-line sample preparation)   手動式試料調製又は機械式サンプリング設備

に組み込まれていない機械装置による試料調製。

3.26

オンライン試料調製  (on-line sample preparation)    サンプリング設備に組み込まれた機械装置によ

る試料調製。

3.27

外れ値 (outlier)   同じ一連の観測値の中で他と違っていると思われ,かつサンプリング,試料調製

又は分析に間違いがあると疑いを受ける観測値。

3.28

物理試験用試料  (physical test sample)    特に物理特性,例えば物理強度指数又は粒度分布を測定す

るために採取する試料。

3.29

精度 (precision)   規定条件下の試験で得られる独立した試験結果の一致の程度。

備考  精度は一般には標準偏差

σで表す。この規格では標準偏差σの 2 倍を精度βという。

3.30

一次インクリメント (primary increment)   縮分及び/又は粉砕を行う前の,サンプリングの第一段

階で採取するインクリメント。

3.31

品位変動 (quality variation)   インクリメント間の品質特性のばらつきを標準偏差で表したもの。

3.32

ランダム誤差 (random error)   それ以前の試験結果の誤差とは統計的に独立している誤差。

備考  この定義は,一連のランダム誤差のどの二つをとっても相互に関係がなく,個々のランダム誤

差は,予測できないことを意味している。誤差を系統誤差とランダム誤差に分けると,ランダ

ム誤差の平均値は理論的にはゼロである。個々のランダム誤差は予測できないが,観測値の数


4

M 8811 : 2000

が増えるに従って,一連の観測値のランダム誤差の平均値はゼロに近付く。

3.33

問題となる偏り (relevant bias)   実際に問題となる偏り又は契約当事者間で合意した偏り。

3.34

多重サンプリング (replicate sampling)   間を開けて採取したインクリメントを,二つ以上の異なる

容器に順番に入れていき,ほぼ等量の二つ以上の試料を得るインクリメントの採取。

3.35

試料 (sample)   大きな質量を代表し,その品質特性を測定することになる,石炭・コークスのある

量。

備考  サブロット又は分割しないロットからのインクリメントをすべて集めた試料を大口試料 (gross

sample)

,サブロット又は分割しないロットからのインクリメントの一部を集めた試料を小口試

料 (partial sample) と呼ぶ。

3.36

縮分 (sample division)   代表性を維持している幾つかの部分に試料を分割する試料調製の工程。

3.37

試料調製 (sample preparation)   試料を分析又は試験に要求される状態にする工程。

備考  試料調製は,混合,粒子の粉砕,試料縮分及びときには予備乾燥を含む。また試料調製は複数

の段階に分けて行ってもよい。

3.38

試料の粉砕 (sample reduction)   試料の粒子径を破砕又は粉砕によって小さくする試料調製のプロ

セス。

3.39

粒度用試料  (size analysis sample)    特に粒度分析用に採取する試料。

3.40

面積基準サンプリング (space-basis sampling)   採取する各インクリメントの位置が面積間隔で測

られ,各インクリメントはロットの底まで採取する静置ロットからのインクリメント採取。

備考  インクリメント縮分方法(9.4.3.2 参照)は,面積基準サンプリング方法の典型的な例である。

3.41

標準偏差 (standard deviation)   分散の平方根。

3.42

層別ランダムサンプリング  (stratified random sampling)    質量基準サンプリング,時間基準サンプ

リング又は面積基準サンプリングの場合,質量基準,時間基準又は面積基準の各間隔内でランダムにイン

クリメントを 1 個採るインクリメントの採取。

3.43

サブロット (sub-lot)   試験結果が要求されるロットの一部。

3.44

系統サンプリング (systematic sampling)   事前の計画に従って行う,一定の質量,時間又は面積間

隔でのインクリメントの採取。

3.45

試験試料 (test sample)   特定の試験要求を満たすように調製された試料。

3.46

時間基準サンプリング (time-basis sampling)  石炭・コークスの流れから採取する各インクリメント

の位置がある一定の時間間隔で測られかつインクリメントの質量がインクリメント採取時の流量に比例す

るインクリメントの採取。

備考  ロットの平均品質特性を決定するとき,時間基準サンプリングを採用する場合は,大口試料か

ら試験試料を調製する(9.2.1 

備考参照)。

3.47

分散 (variance)   ばらつきの尺度。観測値平均からの偏差平方和を,観測数から一つ引いた数で割

ったもの。

4.

総則

4.1

サンプリングの一般原則  石炭・コークスの試料を採取し調製する目的は,分析すればそのロット

を代表する試験結果が得られる試験試料を提供することである。

サンプリングの第 1 段階

(一次サンプリングという。

)は,

対象ロット全体に均等に分布させた箇所から,

必要数の一次インクリメントと呼ぶ石炭・コークスの一部分を採取することである。採取した一次インク


5

M 8811 : 2000

リメントは,その後,合わせて一つの試料とする。採取したまま合わせることもあるが,試料をハンドリ

ング可能な質量に減らすため縮分した後,合わせることもある。この試料から,試料調製と呼ぶ一連のプ

ロセスによって,必要数及び必要タイプの試験試料を調製する。

サンプリングの基本要件は,対象ロットの石炭・コークスのすべての粒子がサンプリング装置に同じ確

率で近付きうることであり,すべての粒子が同じ確率で試料に入ることである。

結果の精度を要求精度に合わせるため,次のパラメータを考慮する。

a)

対象ロットの品位変動

σ

W

b)

対象ロットのサブロットの個数(=分析する試料個数)

c)

サブロットを構成するインクリメント個数

d)

最大粒度に応じた試料質量

要求されるサンプリング精度を達成するためのこれらパラメータを決定する方法は,10.及び関係する他

の箇条に記述している。

サンプリング手順を計画する場合は,試料採取時の偏りを防ぐことが重要である。

試料採取時の偏りは,

次の原因で発生する。

a)

不適切なインクリメントの採取箇所/時期

b)

不適切なインクリメントの設計及び抽出

c)

インクリメント抽出後の試料のロス/異物混入/変質

d)

粒子の偏析

偏りの測定方法は,12.に記述している。偏りを最小化する手順は,関係する他の箇条にも記述している。

上記 a)b)c)及び d)に起因する偏りを最小化するために,流れからの機械式サンプリング方法を推奨

する。流れからの機械式サンプリング方法が使用出来ない所に備えて,この規格では,他の方法,例えば

静置ロットからのサンプリング方法も記述している。

4.2

サンプリング方法の選択  サンプリングの基本要件(4.1 参照)に従うと,推奨する方法は,石炭・

コークスの流れからの機械式サンプリングである。代替方法である静置ロットからの機械式オーガーによ

るサンプリングもまた,ロットの底までのサンプリングを行う限り受け入れられる。すべてのサンプリン

グ方法は,問題となる偏り(3.33 参照)がないことを示さなければならない。

この規格では,手動式サンプリング方法もカバーしている。流れからの機械式サンプリング,また静置

ロットからの機械式オーガーによるサンプリングが実施できない場合には,手動式方法でサンプリングを

実施してよい。

石炭・コークスの機械式サンプリングは,次の 3 方法のいずれかで実施する。

a)

コンベア排出端(ヘッド部)から落下している流れからのインクリメント採取(

例  落ち口サンプラ)。

b)

運転中ベルト上の流れからのインクリメント採取(

例  クロスベルトサンプラ)。

c)

静置ロットからの底までのサンプリング(

例  機械式オーガー)

12.

に記述している停止ベルト基準方法は,他のいかなる方法よりも優れている。理由は,停止ベルト方

法は,

正しく行う限り,

インクリメント抽出の偏りが何も入ってこないことが保証されているからである。

停止ベルトサンプリングは,石炭・コークスのハンドリング設備の運転中断が不可避なので,日常サンプ

リングに使える実際的な方法ではない。しかし,12.に記述されているように,サンプリング設備特に一次

サンプラの偏りテストを実施するときはいつでも,停止ベルトサンプリング方法を基準の方法として採用

することを推奨する。

a)

及び b)の方法は,日常の機械式サンプリングの推奨方法である。


6

M 8811 : 2000

b)

の方法は,ベルトヘッド部のスペースが狭い場合,また高能力コンベヤベルトからのサンプリングで

一次インクリメントの質量を制限したい場合には有力な方法だろう。

機械式サンプリング方法である a)b)及び c)の方法は,6.に記述している。

手動式サンプリング方法は,8.に記述している。

4.3

サンプリング設備  個々のサンプリング装置は,一つに統合してサンプリング設備としてよい。

この規格の章立ての際に,一次サンプリングとそれに続く特定試験試料の調製との間に,線を引いた。

統合されたサンプリング設備にはたいがい試料調製が組み込まれているので,統合サンプリング設備は,

試料調製を扱う 9.で検討する。

統合サンプリング設備に一次サンプラが組み込まれている場合,この統合設備全体が広い意味の一次サ

ンプラとみなされる。

4.4

試料の包装と表示  試料は非吸湿性の気密容器に入れ,密封しなければならない。すべての試料は,

それだけで他と識別できるように,ラベルを付けなければならない。

ラベル又は添付文書には,次の情報を記載することが望ましい。

a)

石炭・コークスの種類,グレード,最大粒度及びロット名(船名等)

b)

サンプリング方法,準拠したサンプリング JIS とその箇条番号(

例  JIS M 8811 : 2000 の 6.1.3

c)

ロットの概略質量及びサブロット数

d)

サブロット試料が代表する概略質量

e)

試料番号,ロット番号及びサブロット番号

f)

サンプリングを行った場所,日付け及び時刻

g)

試料調製を行った場所,日付け及び時刻

h)

サンプリングの担当者名

i)

統合サンプリング設備で採取した試料の場合,その最終質量及び最大粒度

j)

試験試料の説明(

例  一般分析用試験試料,水分分析用試料等)

k)

天候又は結果に影響したかも知れないその他の条件

l)

その他の関連情報(

例  水分用試料の予備乾燥水分値%)

4.5

サンプリング報告書  最終のサンプリング報告書(又はサンプリング証明書)は,サンプリング,

試料調製及び試料の配布先についてのすべての関連情報を記載し,責任者の署名(又は捺印)の上,発行

しなければならない。この報告書では,対象ロットに対する要求精度及び採用した試料調製方法も同時に

記載しなければならない。

所定の方法から少しでも逸脱した場合には,その理由も報告書に記載しなければならない。またサンプ

リング中に何かの異常事態が観察されていれば,これも報告書に記載しなければならない。

サンプリング報告書は試料に添付しなければならない。試料に報告書を添付しない場合は,この後試料

を受け取って試料調製及び測定を行う人が報告書を入手できるようにしておかなければならない。

サンプリング報告書(又はサンプリング証明書)には,次の情報を記載することが望ましい。

a)

件名(

例  サンプリング,試料調製及び試料送付報告書)

b)

サンプリング依頼者の名前と所在地

c)

石炭・コークスの種類,グレード,最大粒度及びロット名(船名等)

d)

サンプリング方法,準拠したサンプリング JIS とその箇条番号(

例  JIS M 8811 : 2000 の 6.1.3

e)

ロットの概略質量及びサブロット数

f)

サブロット試料が代表する概略質量


7

M 8811 : 2000

g)

試料番号,ロット番号及びサブロット番号

h)

サンプリングを行った場所,日付け及び時刻

i)

試料調製を行った場所,日付け及び時刻

j)

サンプリング担当者名

k)

試料のタイプ及び用途(

例  共用試料,水分用試料他)

l)

統合サンプリング設備で採取した試料の場合,その最終質量及び最大粒度

m)

試験試料の個数及び説明(

例  一般分析用試験試料,水分分析用試料)

n)

試験試料の送付先及び審判・保管用試料の保管期限

o)

天候又は結果に影響したかも知れないその他の条件

p)

その他の関連情報(

例  水分用試料の予備乾燥水分値%,試料の封印)

5.

サンプリング方法の設計

5.1

全般  サンプリング方法設計の一般手順は,次のとおりとする。

a)

測定する品質特性及び試料のタイプを決定する。

b)

ロットを決定する。

c)

要求精度を決定する。

d)

連続サンプリングとするか断続サンプリングとするかを決定する(5.2 参照)

e)

インクリメントを合わせて試験試料とする方法及び試料調製方法を決定する(9.参照)

f)

石炭・コークスの品位変動

σ

w

5.4.2,もし,サブロット間変動

σ

B

が必要な場合は 5.4.3 参照)及び試

料調製・測定精度

β

PM

を決定又は想定する。品位変動

σ

w

の求め方は 10.に,試料調製・測定精度

β

PM

求め方は 11.に記述してある。

g)

要求精度(5.4.5 参照)を達成するためのサブロット数(連続サンプリングでは m,断続サンプリング

では u)及びサブロット当たりのインクリメント個数 を決定する。

h)

時間基準サンプリングとするか,質量基準サンプリングとするかを決定し(6.参照)

,サンプリング間

隔を,時間基準なら分単位で,質量基準ならトン単位で決定する。

i)

試料の最小質量を決めるために,対象ロットの最大粒度を確認する(5.6 参照)

備考  対象ロットの最大粒度は,ロットの詳細情報チェック又は目視観察によって取りあえず決めて

もよい。もし,必要ならば,予備テストを行って最大粒度を決めてもよい。

j)

インクリメントの最小平均質量を決定する(5.7 参照)

5.2

連続サンプリング及び断続サンプリング

5.2.1

連続サンプリング  連続サンプリングでは,すべてのサブロットからサンプリングを行い,同一採

取間隔(時間又は質量)をすべてのサブロットに適用する。連続サンプリングではサブロットの数だけの

測定結果が得られる。ロットの平均値は要求精度内に収まっていなければならない。もし,要求精度が実

際に達成されているかどうかをチェックする必要があれば,11.に述べた多重サンプリングの手順を用いて

達成精度をチェックできる。


8

M 8811 : 2000

5.2.2

断続サンプリング  もし,同一タイプの石炭・コークスを定期的にサンプリングしていれば,幾つ

かのサブロットだけからサンプリングして,残りのサブロットからはサンプリングしなくても満足できる

結果が得られるだろう。このようなサンプリングを断続サンプリングという。断続サンプリングでも,最

小インクリメント個数は,採取するどのサブロットでも同一でなければならない(5.4.5.3 参照)

。品質の時

系列変化による偏りがないことを検証しない限り,採取するサブロットは順番に選ばず,ランダムに選ば

なければならない。品質の時系列変化による偏りがないことの検証は,定期的に,かつ,テストするサブ

ロット間隔はランダムに変えて,実施しなければならない。

断続サンプリングでは,採取するサブロットの数だけの測定結果が得られる。採取しないサブロットが

あるので,サブロット間の品位変動

σ

B

データがないなら,これら測定結果の平均値の精度が要求精度内に

収まっているかどうか分からない。サブロット間の品質変動

σ

B

は 10.4 に記述された方法で求めることがで

きる。サブロット間の品質変動

σ

B

が大き過ぎる場合は要求精度を達成するには連続サンプリングを採用し

なければならないだろう。

断続サンプリングを採用する場合は,当事者間の事前合意が必すであり,サンプリング報告書にも断続

サンプリングで実施したことを記載しなければならない。

5.3

サンプリング方法の計画

5.3.1

サンプリングする石炭・コークスの決定  サンプリングの計画立案での最初の仕事は,サンプリン

グする石炭・コークスを決めることである。サンプリングは,技術評価,工程管理及び品質管理上並びに

シッパー及びバイヤー双方からのコマーシャルな理由によって必要となるだろう。ハンドリングのどの段

階での試料が要求されているかを正しく決め,サンプリング計画は,この採取箇所に応じてできるだけ具

体的に立案する。しかし実際には,望ましい箇所でのサンプリングが実施できないことがあるかも知れな

い。この場合には,より実施可能な代替法が必要となる。

5.3.2

ロットの分割  一つのロットはサブロットに分割しないでサンプリングしてもよい,若しくは一連

のサブロットに(例えば,長時間にわたる石炭・コークス輸送では船/貨車/トラック単位に,ある時間

内に生産される石炭・コークスではシフト単位に)分割してサンプリングしてもよい。

結果の精度を向上させる目的で,サブロットに分割することが必要となるかも知れない。

長時間にわたってサンプリングするロットでは,対象ロットを一連のサブロットに分割し,各サブロッ

トから試験試料を作る方が得策かもしれない。

5.3.3

サンプリングの基準  サンプリングは,時間基準,質量基準又は面積基準で実施してよい。時間基

準サンプリングでは,サンプリング間隔は分及び秒単位で設定し,インクリメントの質量はインクリメン

ト採取時の流量に比例させる。質量基準サンプリングではサンプリング間隔はトン単位で設定し,インク

リメント質量は流量に無関係に一定とする。面積基準サンプリングでは,サンプリング間隔は静置ロット

を碁盤目状に分割して m

2

又は cm

2

単位で設定し,インクリメントは底までサンプリングすることによって,

インクリメント質量はインクリメントの採取深さに比例させる。

5.3.4

結果の精度(達成精度)  あるロットへの要求精度は,測定する品質特性ごとに決めなければなら

ない。サブロットの個数及びサブロットごとの最小インクリメント個数は,5.4.5 の規定に従って決定しな

ければならない。一次インクリメントの平均質量は,5.4.7 の規定に従って決定しなければならない。

なんら情報が無い,分割しないロットでは,品位変動は最大(

σ

w

=2.24%灰分及び

σ

B

=2.24%灰分)と見

なす(5.4.2 及び 5.4.3 参照)

。達成されたサンプリング精度は,二重サンプリングの手順  (11.3)  又は多重

サンプリングの手順  (11.4)  を用いて測定してよい。

もし,要求精度の変更が必要になれば,サブロット個数 及びサブロットごとのインクリメント個数 n


9

M 8811 : 2000

は 5.4.5 に従って変更し,かつ,達成精度も再度チェックしなければならない。対象とするロットの品位変

動が大きくなったと考えられる場合は,品位変動だけでなく,サンプリング精度のチェックも行わなけれ

ばならない。5.4.5 で決めたインクリメント個数 は,サンプリング誤差が試料調製・測定誤差より相対的

に大きい(例えば,水分)ときの,サンプリングの達成精度に適用できる。しかし分析項目によっては,

測定誤差自体が大きいことがある。この場合には一つの試験試料から二つ以上の測定試料を作り,この平

均値を用いて,より正しいサンプリング精度を求める必要があるかもしれない。

5.3.5

結果の偏り  サンプリングでは,サンプリング及び試料調製の工程でまたこの後の分析するまでの

保管中に,測定する品質特性が変化しないようにすることが特に重要となる。このために,ある場合には,

一次インクリメントの最小質量にある条件を追加することが必要となるだろう(5.7 参照)

長時間にわたって水分測定用試料を採取する場合は,ロットを分割して試料の保管時間を短くすること

が必要となるだろう(5.4.5 参照)

新規のサンプリング方法を導入するときは,12.の方法に従って偏りをチェックしなければならない。

5.4

サンプリングの精度

5.4.1

精度と総合分散  サンプリング,試料調製及び測定は,どんな方法であっても誤差が生じる。どん

な品質特性であってもサンプリング,試料調製及び測定方法の実験結果は,真の値のまわりにばらつく。

真の値は正しく知ることができないから,

実験結果の精確さ,

すなわち実験結果の真の値との一致の程度,

を評価することは不可能である。しかし実験結果の精度,すなわち同一ロットで行った一連の実験結果同

士の一致の程度,を推定することは可能である。

サンプリング方法は,任意の達成精度が得られるように,原理的には,設計できる。

備考  対象ロットで要求する総合精度は事前に当事者間で合意することが望ましい。

精度の推定理論は,11.に記述している。

断続サンプリングの場合,11.の理論から次の式が導かれる。

u

m

u

-

1

1

2

2

PM

2

B

2

W

SPM

σ

σ

σ

β

+

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

n

 (5-1)

ここに,

β

SPM

推定した総合精度(信頼率 95%。絶対%表示)

σ

W

サブロット内の一次インクリメントの品位変動

n

サブロット当たりのインクリメント個数

m

ロットを構成するサブロットの総数

u

実際にサンプリングするサブロットの数

連続サンプリングの場合 mu

断続サンプリングの場合に が必要になる

σ

B

サブロット間の品質変動

σ

PM

サブロットごとの試料調製及び測定精度

連続サンプリングの場合,uであるから式(5-1)  は次式のように簡単になる。

m

1

2

2

PM

2

W

SPM

σ

σ

β

+

=

n

 (5-2)

今までサンプリングした実績がなく品質情報のない銘柄のサンプリング計画を立案するためには,品位

変動の大きさを仮に決めなければならない(5.4.2 及び 5.4.3 参照)

。このサンプリング計画に従って得られ

る実際の達成精度は,11.の方法で測定しなければならない。


10

M 8811 : 2000

5.4.2

一次インクリメントの分散と品位変動  一次インクリメントの品位変動

σ

w

は,石炭・コークスの

種類,最大粒度,予備処理の程度及び混合並びに測定しようとする品質特性の絶対値及び採取するインク

リメント質量によって決まる。

備考1.  一次インクリメントの分散 V

I

の平方根を一次インクリメントの品位変動

σ

W

という。

2.

原国際規格である ISO 13909 中では,一次インクリメント分散 V

I

が用いられているが,この

JIS

では原則として一次インクリメント分散 V

I

は品位変動

σ

W

に置き換えている。

断続サンプリングの場合,サンプリング精度

β

S

とサブロット内品位変動

σ

W

,ロットを構成

するサブロットの総数 m,実際にサンプリングするサブロット個数 u,サブロット当たりの

インクリメント個数 等の間には次の関係が成り立つ。

u

m

u

-

1

1

2

2

2

B

2

W

S

S

σ

σ

σ

β

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

=

n

 (5-3)

また連続サンプリングの場合には,(5-3)式で uとおいて次式となる。

mn

W

S

S

2

2

σ

σ

β

=

=

 (5-4)

一般分析用試料及び水分用試料に必要なインクリメント個数は,各品質特性の品位変動及び要求精度を

用いて品質特性ごとに決定する。共用試料が必要な場合のインクリメント個数は,まず品質特性ごとにイ

ンクリメント個数を計算し,大きい方を採用するものとする。

備考  多くの石炭では,灰分の品位変動は水分の品位変動より大きい。従って要求精度が同じであれ

ば,一般分析用試料に必要な一次インクリメント個数は,水分用試料及び共用試料に必要な一

次インクリメント個数を十分満たしているだろう。

コークスでは,一般に水分の品位変動は灰分の品位変動より大きい。従って要求精度が同じ

であれば,水分で計算した一次インクリメント個数は,灰分で計算したインクリメント個数よ

り大きい。しかしながら灰分の要求精度が水分の要求精度より高い場合は,それぞれの試料ご

とに計算した一次インクリメント個数を適用するものとする。

式(5-1)の総合精度の計算に必要な品位変動は次の方法のいずれかで求めることができる。

a)

10.

に規定する方法の一つを用いた対象とする石炭・コークスからの直接測定

b)

類似のハンドリング設備,類似のサンプリング設備,かつ,類似の石炭・コークスで測定した品位変

動からの推定。

上記二つの方法によっても品位変動が得られない場合は,次の値を用いてインクリメント個数を仮に決

めることができる。

a)

石炭

σ

w

=2.24%灰分 (V

I

=5)

b)

コークス  :

σ

w

=2.24%灰分 (V

I

=5)

このサンプリング計画に従って得られる実際の達成精度は,11.の方法で測定しなければならない。

5.4.3

サブロット間の分散 V

B

とサブロット間の品質変動

σ

B

  サブロット間の品質変動

σ

B

は,一次インク

リメントの品位変動

σ

W

と同じ要因によって決まる。ただし,通常は,

σ

B

<

σ

W

である。

備考  サブロット間の品質の分散 V

B

の平方根をサブロット間の品質変動

σ

B

という。

サブロット間の分散が従来の経験から分かっている場合は,この既知の値を採用してもよい。もし,条

件が整えば 10.4 に規定する方法でサブロット間の品質変動を決めてもよい。その他の場合,つまりサブロ

ット間の品質変動が未知の場合は次による。


11

M 8811 : 2000

a)

石炭

σ

B

=2.24%灰分  (V

B

=5)

b)

コークス  :

σ

B

=2.24%灰分  (V

B

=5)

5.4.4

試料調製・測定精度  式(5-1)を用いて総合精度を計算するときに必要となる試料調製・測定精度

σ

PM

は,次の方法のいずれかで求めることができる。

a)

11.

に規定する方法の一つを用いた対象とする石炭・コークスからの直接測定

b)

類似の試料調製方法,かつ,類似の石炭・コークスで測定した精度からの推定

備考  試料調製・測定分散 V

PM

の平方根を試料調製・測定精度

σ

PM

という。

上記二つの方法によっても品位変動が得られない場合は次の値を用いてインクリメント個数を仮に決め

ることができる。

a)

石炭

σ

PM

=0.45%灰分  (V

PM

=0.2)

b)

コークス  :

σ

PM

=0.45%灰分  (V

PM

=0.2)

この計画に従って得られる実際の試料調製及び測定精度

σ

PM

は,11.の方法でチェックしなければならな

い。

5.4.5

サブロットの数とサブロット当たりのインクリメント個数

5.4.5.1

全般  あるロットで特定のサンプリング精度を達成するためのインクリメント個数は,対象ロッ

トの質量に関係なく,対象とする石炭・コークスの品位変動の関数である。ロットはサブロットに分割し

ないでサンプリングし一つの大口試料を作ってもよい,又サブロットに分割してサブロットごとに大口試

料を作ってもよい。サブロットへの分割は要求精度を達成するために必要となる。必要なサブロット個数

は,5.4.5.2 又は 5.4.5.3 のどちらか適切な手順を用いて決定する。

ロットをサブロットに分割するもう一つの重要な理由は,試料の品質変化対策である。言い換えればイ

ンクリメント採取後の偏りを避けるため,特に試料保管中の水分ロスを最小限とするためである。ロット

の分割が必要となる(水分ロスを引き起こす)要因は次に示す。

a)

大口試料を作るのに要する時間

b)

雰囲気の温度及び湿度

c)

作成途中大口試料の気密容器による保持

d)

石炭・コークスの粒子径

水分ロスの疑いがあるときは,正規スタンバイ時間経過直後の試料を基準試料として,水分の偏りテス

トを実施することを推奨する。偏りが見つかった場合は,測定する試料数を増やす(すなわちサブロット

個数を増やす)ことによって試料の保持時間を短縮するとよい。

次の実用上の理由から,ロットをサブロットに分割してもよい。

a)

ロットからのサンプリングが長時間にわたるときの都合

b)

試料質量をハンドリング可能な範囲に抑えるため

サブロットの個数及びサブロット当たりのインクリメント個数は,5.4.5.2 又は 5.4.5.3 の適切な手順に従

って決定する。

備考  5.4.5.2 又は 5.4.5.3 の公式は,一般的に必要なインクリメント個数を多めに推定する。この理由

は,石炭・コークスの品質では系列相関が無いとの仮定に基づいているが,実際には必ず,あ

る程度の系列相関は常に存在することである。更に品位変動

σ

W

及び/又はサブロット間の品質

変動

σ

B

を測定するときには,数回の試料調製及び測定が必要となるので,計算に使う

σ

w

及び/

又は

σ

B

には試料調製・測定精度

σ

PM

が 2 回以上含まれている。

サンプリング計画は最悪のケースを想定して立案すべきであるから,実際の操業で実現される値より大


12

M 8811 : 2000

きめの

σ

W

及び/又は

σ

B

を採用する傾向にあるだろう。新しいサンプリング方法を導入したときは,11.

記述する方法を用いて実績の達成精度をチェックするとよい。この精度チェックは,5.4.5.2 又は 5.4.5.3 

手順に従ってサブロット個数を決定して要求精度を達成しようとするときに必要となるだろう。

5.4.5.2

連続サンプリング  実用上の理由からサブロット個数の最小数を決める(5.4.5.1 参照)。

要求精度を達成するサブロット当たりのインクリメント個数 は,

式(5-2)  を変形した次式から推定する。

2

PM

2

SPM

2

W

4

-

m

4

σ

β

σ

=

n

 (5-5)

n

の値が無限大又は負になった場合は,試料調製・測定精度が悪すぎてこのサブロット個数

m

では要求

精度が達成できないことを意味している。この場合,又は

n

が実行できない大きさである場合は,サブロ

ット個数

m

を次の方法で増やす。

a)

適切な質量に対応するサブロット個数を決め,式

(5-5)

によって再度

n

を計算する。それでも

n

が大き

い場合は,実際的な

n

が得られるまで繰り返す。

b)

サブロット当たりのサンプリングできる最大のインクリメント個数

n

max

を決め,次式から

m

を計算す

る。

2

SPM

max

2

PM

max

2

W

4

4

β

σ

σ

n

n

m

+

=

 (5-6)

もし,必要ならば,適切な数値に の値を増やし,を再計算する。

サブロット当たりのインクリメント個数 は,最終計算値が 10 未満の場合,10 とする。ただし,コー

クスのロットの大きさが 1 000t 未満の場合は,

表 5-1

による。

ロットをサブロットに分割しない場合,かつ,品位変動等の情報がなく式(5-5)による計算ができない場

合,そのロットからの最小インクリメント個数は

表 5-1

による。

表 5-1  分割しないロットから採取するインクリメントの最小必要個数

(石炭類)

以上

 1

 3

  5

 7

 10

 20

 30

 45   70  100

ロットの大きさ

(1 000t)

未満

 1

 3

 5

  7

 10

 20

 30

 45

 70  100

15%

未満

10

15

20

 25

 30

 40

 50

 65

 80   95  100

15%

以上

30

45

60

 75

 90

120

150

195

240  285  300


15%

以上の未洗炭 45

65

90

110

135

180

225

290

365

440

450

(コークス類)

以上

0.5 1

2 3 5 7.5

10

15

20

ロットの大きさ

(1 000t)

未満 0.5 1

2

3  5  7.5

10  15 20

インクリメントの最小個数

5  7  10

12 15 19 22  27 32 35

5.4.5.3

断続サンプリング

  まずサブロット個数 を決め,次にサンプリングが実行できる最小のサブロ

ット個数 を決める(

5.4.5.1

参照)

式(5-1)を変形した次式に従って,対象ロットの要求精度を達成するサブロット当たりのインクリメント

個数 を決定する。

2

PM

2

2

SPM

2

W

4

-

m

u

-

1

4

-

4

σ

σ

β

σ

B

m

n

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

 (5-7)


13

M 8811 : 2000

n

の値が無限大又は負になった場合は,試料調製・測定精度が悪すぎてこのサブロット個数では要求精

度が達成できないことを意味している。この場合,又は が実行できない大きさである場合は,サブロッ

ト個数を次の方法で増やす。

a)

実際にサンプリングするサブロット個数 を大きくして,再度 を計算する。それでも が大きい場

合は,実際に採取できる が得られるまで繰り返す。

b)

サブロット当たりのサンプリングできる最大のインクリメント個数 n

max

を決め,次式から を計算す

る。

2

B

2

SPM

2

PM

2

B

max

2

W

4

4

σ

β

σ

σ

σ

+

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

+

=

m

n

m

u

 (5-8)

もし,必要ならば,適切な数値に の値を増やし,を再計算する。

サブロット当たりのインクリメント個数 は,最終計算値が 10 未満の場合,10 とする。ただし,コー

クスのロットの大きさが 1 000t 未満の場合は,

表 5-1

による。

5.5

5.5.1

及び

5.5.2

は,流れからのサンプリングの例である。

5.5.1

連続サンプリング

5.5.1.1.

例 1

  1 列車 1 000t 積む貨車で運搬される石炭のロット 80 000t がある。要求精度は,

β

SPM

=0.25%

灰分とする。一次インクリメントの品位変動及び試料調製・測定精度は,次のとおり既知とする。

一次インクリメントの品位変動,

σ

w

:0.71

試料調製・測定精度,

σ

PM

:0.224 (

σ

PM

2

=0.5)

a)

サブロット個数 の仮決定

サブロットの最小個数 は事前に 4 個と決められていた。従って質量 20 000t の 4 個のサブロットに

分割する。

b)

サブロット当たりのインクリメント個数 は,式(5-5)から

40

224

.

0

4

25

.

0

4

71

.

0

4

2

2

2

=

×

×

×

=

n

この個数は実施可能であるから,サブロット個数

m

4

個,サブロット当たりのインクリメント個数

n

40

個となる。

5.5.1.2

例 2

100 000t

の石炭を

5 000t

/日(

8h

/シフト×

2

シフト/日)で運搬する。要求精度は,

β

SPM

0.25%

灰分とする。一次インクリメントの品位変動及び試料調製・測定精度は,次のとおりとする。

一次インクリメントの品位変動は未知,

5.4.2

から

σ

w

2.24

試料調製・測定精度は未知だが,想定して

σ

PM

0.447 (

σ

PM

2

0.2) 

a)

サブロット個数

m

の仮決定

試料を一晩保管すると偏りが発生するおそれがあるから,日ごとに大口試料を作ることとする。すな

わち,

m

20

とする。

b)

サブロット当たりのインクリメント個数は,式

(5-5)

から

45

447

.

0

4

25

.

0

20

24

.

2

4

2

2

2

=

×

×

×

=

n

もし,このインクリメント個数

n

が多すぎるならば,サブロット個数

m

40

,つまり所要シフト総数に

倍増し,以下としてもよい。


14

M 8811 : 2000

12

447

.

0

4

25

.

0

40

24

.

2

4

2

2

2

=

×

×

×

=

n

そうするとシフト当たり

12

個,

すなわち

40

分ごとに一回インクリメントを採取する妥当な数値となる。

5.5.1.3

例 3

  ロットの質量は

1

ホールド分

8 000t

とする。要求精度は,

β

SPM

0.71%

灰分とする。一次イ

ンクリメントの品位変動及び試料調製・測定精度

β

PM

は,次のとおり既知とする。

一次インクリメントの品位変動は既知

σ

w

2.24

試料調製・測定精度は既知

σ

PM

0.447

a)

サブロット個数

m

顧客の要望によって,大口試料は

2

以上作ることとする。

b)

サブロット当たりのインクリメント個数

n

は,式

(5-5)

から

7

.

66

3

.

0

20

447

.

0

4

5

.

0

2

24

.

2

4

2

2

2

=

=

×

×

×

=

n

値が負になったということは,試料調製・測定の精度が悪すぎるためこのサブロット個数では要求精度

を達成できないことを示している。

採取可能な最大のインクリメント個数を

50

個とすると式

(5-6)

から,

8

.

4

5

.

0

50

447

.

0

50

4

24

.

2

4

2

2

2

=

×

×

×

+

×

=

m

この値は実施可能であるから,サブロット個数

m

5

,サブロット当たりのインクリメント個数

n

50

とする。

5.5.2

断続サンプリング

5.5.2.1

例 1

1 000t

の石炭を貨車(

20t

/両×

50

両/列車)で運搬している。要求精度は,

β

SPM

0.71%

灰分とする。貨車から降ろした石炭は,サンプリング用のコンベヤに乗せる。

従来のサンプリングによって,次の数値は既知とする。

一次インクリメントの品位変動は既知

σ

w

2.24

サブロット間の品質変動

σ

B

1.0

試料調製・測定精度は既知

σ

PM

0.316 (

σ

PM

2

0.1)

サンプリングは,全車両とせず断続サンプリングと決められていた。サブロット当たりのインクリメン

ト個数

n

は最大で

20

個まで採取可能とする。採取対象となる最小の車両台数

u

(つまり実際に採取するサ

ブロット個数

u

)は,式

(5-8)

から,

36

.

16

0

.

1

4

5

.

0

50

316

.

0

0

.

1

20

24

.

2

50

4

2

2

2

2

2

=

×

+

×

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

+

×

=

u

従って,

50

車両中

17

車両を選び出して,サンプリング用コンベヤから採取する。

5.5.2.2

例 2

  上記

5.5.2.1

の例で要求精度を

β

SPM

0.71%

灰分の代わりに

β

SPM

0.45%

灰分とする。実際に

採取するサブロット個数

u

は以下となる。

0

.

45

0

.

1

4

2

.

0

50

316

.

0

0

.

1

20

24

.

2

50

4

2

2

2

2

2

=

×

+

×

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

+

+

×

=

u

車両総数は

50

であるから,この場合は連続サンプリングに変えると効率がよい。そうすればインクリメ

ント個数を減らすことができる。このインクリメント個数

n

は,式

(5-5)

から以下となる。


15

M 8811 : 2000

5

.

12

316

.

0

4

2

.

0

50

24

.

2

4

2

2

2

=

×

×

×

=

n

従って全

50

車両から各々

13

個のインクリメントを採取する。

5.6

試料の最小質量

  殆どの品質特性値の精度は,特に粒度及び粒度に関連する品質特性値の精度は,

採取する試料が対象ロット中の全粒子をいかに代表しているかに大きく影響される。

試料の最小質量は以下によって決まる。

a)

対象とする石炭・コークスの最大粒度

b)

測定する品質特性に対する要求精度

c)

粒子径と品質特性の関係

これらの関係は試料調製のすべての段階に当てはまる。この最小質量を確保してもそれだけでは要求精

度の保証とはならない。実績精度は,最小質量の他,試料中のインクリメント個数及び品位変動によって

も決まるからである。

石炭類に適用する試料の最小質量を

表 5-2

に示す。

表 5-2  石炭類に適用する一般分析用及び全水分用試料の最小質量

石炭の最大粒度

mm

一般分析用試料

及び共用試料

kg

全水分用試料

kg

300 15

000  000

200

400  100

150

 2 600

 500

125

 1 700

 350

 90

  750

 125

 75

  470

  95

 63

  300

  60

 53

  170

  35

 45

  125

  25

    37.5

      85

    17

    31.5

      55

    10

    22.4

      32

      7

16

   20

   4

 11.2

   13

     2.5

  9.5

   10

   2

 8

    6

     1.5

    5.6

        3

          1.2

4

            1.5

      1

    2.8

            0.6

          0.6

2

       0.25

1

            0.1

備考1.  この表の質量は実験によって得た値であり,不均質な石炭で縮分精度

σ

Di

=0.1%灰分を達成する質量である。

2.

共用試料からの全水分用試料調製方法は,9.に記述している。

コークスの最小質量を規定する

表 5-3

は,品質未知及び不均質なコークスに適用するガイドである。水

分用試料は通常

表 5-3

の質量以下に減らすことができるだろう。コークスでは粒度分析では,原則として

インクリメントごと,小口試料ごと又は大口試料を縮分することなく,そのまま全量を測定試料とする。


16

M 8811 : 2000

表 5-3  コークスに適用する試料の最小質量(ガイド)

最大粒度

mm

4

  5.6

8

 11.2

16

 22.4

 31.5

 45

 63   90   125

>125

最小質量

kg

1

2

4

8

15

30

60

125

250

500  1 000

2 000

石炭・コークスをいつも同じ条件で定常的にサンプリングする場合は,すべての要求される品質特性で

達成精度をチェックしなければならない(

11.

参照)

。精度チェックの結果に基づいて,試料の最小質量を

調整してもよい。しかしこの最小質量は,関連する分析規格に規定されている要求質量以下に減らしては

ならない。

同時に試料の最終用途,並びに要求されている試験試料の個数,質量及び粒度分布にも配慮しなければ

ならない。

5.7

一次インクリメントの質量

  コンベヤ乗継ぎ箇所に設置する機械式サンプラの場合,流れと直交す

る開口部をもつカッタで採取されるインクリメント質量

m

i

 (kg)

は,式

(5-9)

で計算できる。

P

h

t

i

S

W

C

m

6

.

3

10

3

/

×

=

 (5-9)

ここに,

  C

t/h

流量

 (t/h)

W

カッタの開口幅

 (mm)

S

p

カッタ速度

 (m/s)

7.1.7.2.2

参照)

クロスベルトサンプラの場合,採取されるインクリメント質量

m

i

 (kg)

は,式

(5-10)

で計算できる。

elt

h

t

i

B

W

C

m

6

.

3

10

3

/

×

=

 (5-10)

ここに,

  C

t/h

流量

 (t/h)

W

カッタの開口幅

 (mm)

B

elt

ベルト速度

 (m/s)

7.1.7.3

参照)

機械式オーガーによって静置ロットから採取される質量

m

i

 (kg)

は,式

(5-11)

で計算できる。

4

14

.

3

2

θ

a

a

i

L

d

m

=

 (5-11)

ここに,

d

a

オーガーの円筒の内径

 (m)

7.2

参照)

L

a

オーガーで穿孔する深さ

 (m)

ρ

石炭・コークスの嵩密度

 (kg/m

3

)

採取する一次インクリメントの最小平均質量

m

iav

 (kg)

は,次式

(5-12)

から計算する。

n

M

m

s

iav

=

 (5-12)

ここに,

M

s

試料の最小質量

 (kg)

表 5-2

又は

表 5-3

参照)

n

サブロット当たりのインクリメント個数(

5.4.5

参照)

殆どの機械式サンプリング設備では,採取される一次インクリメントの質量[式

(5-9)

(5-10)

及び

(5-11)

参照]は

表 5-2

に規定されている試料質量より遙かに大きくなる。従ってサンプリング設備によっては,

試料質量が過大となるのを避けるため,採取した試料をそのまま又は粉砕した後,縮分している。

カッタの設計が

7.1.7.2

及び

7.1.7.3

の要求事項を満たしていれば石炭・コークスの流れから採取するイン

クリメントには,採取時の流量がいくらであっても偏りはないだろう。流量が変動する場合,たとえ低流

量時に採取するインクリメントの質量が平均より小さくなっても,このインクリメントにはサンプリング

の偏りはないだろう。この規格では,

7.1.7.2

及び

7.1.7.3

の要求事項を満たす流れからの全断面機械式サン

プラに適用するインクリメントの絶対的最小質量は規定しない。


17

M 8811 : 2000

スプーンサンプラ

(7.1.7.4)

の場合,又は手動式方法

(8.)

でサンプリングする場合,一次インクリメントの

質量は一般的に小さくなる。

従って

7.1.7.2

及び

7.1.7.3

の要求事項を満たさない方法で採取するインクリメ

ントに対しては

表 5-4

の絶対的最小質量を規定する。

表 5-4  最大粒度とインクリメントの絶対的最小質量(平均質量)

最大粒度

(mm 以下)

1 4.75 9.5 16

19

31.5

37.5

45

75

90 125

>125

石炭類 0.01

0.05

0.1 0.16

0.2

0.3

0.5

1.2  3  5  9  11

平均質量

(kg)

コークス類 0.05 0.1  0.15

0.2  0.3

0.5

1.2

3

5

9  11

15

手動式停止ベルトサンプリングの場合,又は静置ロットからの手動式サンプリングの場合,採取する一

次インクリメントの最小平均質量

m

iav

 (kg)

は,式

(5-12)

から計算する。

ある環境下(例えば,真夏の昼間)では,インクリメント質量が設計仕様より小さいと品質特性の変化

(例えば,水分ロス)が発生する可能性があるので,品質変化を防ぐ事前対策が必要となるだろう。この

ような品質変化が避けられず,かつ,この変化が問題となる偏りを引き起こすと分かった場合は,偏りの

原因となる中間ホッパー又は縮分用可変速カッタ(質量基準サンプリング時)は使用してはならない。こ

の対案は,問題となる偏り(

3.33

参照)を引き起こす小質量インクリメントごとのオンライン試料調製を

しないで済むように,問題となる偏りを起こさないで調製できる質量となるまで,複数のインクリメント

を一時的にホッパーに貯めていく。しかしどんな理由があっても,一次サンプラの電源を切って,低流量

下での小質量インクリメントの採取を避けてはならない。

サンプリング計画を立案する事前段階で一次インクリメントの品位変動(

10.

参照)を測定する場合,採

取するインクリメント質量は対象とするサンプリング設備での予想質量に合わせる。サンプリング計画を

実行に移した後は,インクリメント質量を一定にキープしたまま,インクリメント個数を増減することに

よって,結果の精度を推定又は調整する(

11.

参照)

5.8

質量基準サンプリングにおける一次インクリメントの質量規制

5.8.1

全般

  質量基準サンプリングを用いる場合,次の要求事項が満たされなければならない。

a)

合わせ試料とする個々のインクリメント質量の変動係数は,

20%

以下とする。

b)

流量とインクリメント質量の間には,相関があってはならない。

上記要求事項が実現できているかを,次の手順に従ってチェックする。

少なくとも

20

個のインクリメントを,実操業で予想される流量変動をカバーしている範囲内から,採取

する。各インクリメントは合わせる前にひょう(秤)量してインクリメント質量

y

を記録する。同時に採

取時の流量

x

も記録する。このデータの例を

表 5-5

に示す。


18

M 8811 : 2000

表 5-5  質量基準サンプラのチェックデータ

イ ン ク リ メ
ント

No.

流量

t/h

x

x

2

インクリメント質量

kg

y

y

2

x

y

 1

1 060

 1

123

600

100 10

000

106

000

 2

1 050

 1

102

500

104 10

816

109

200

 3

 970

  940 900

 96

9 216

 93 120

 4

1 010

 1

020

100

105 11

025

106

050

 5

 950

  902 500

 94

 8 836

  8 930

 6

 860

  739 600

 86

 7 396

 73 960

 7

 720

  518 400

 68

 4 624

 48 960

 8

 840

  705 600

 75

 5 625

 63 000

 9

 890

  792 100

 82

 6 724

 72 980

10

970

  940 900

104 10

816

100

880

11 1

020

 1

040

400

103 10

609

105

060

12

960

  921 600

103 10

609

98

880

13

950

  902 500

 98

 9 604

 93 100

14

970

  940 900

101 10

201

97

970

15

910

  828 100

 83

 6 889

 75 530

16

880

  774 400

 92

 8 464

 80 960

17

920

  846 400

100 10

000

92

000

18

970

  940 900

 95

 9 025

 92 150

19

990

  980 100

 96

 9 216

 95 040

20 1

020

 1

040

400

 103

10 609

105 060

合計

18 910

Σx

 18

001

900

Σx

2

1 888

Σy

180 304

Σy

2

1 799 200

Σxy

5.8.2

インクリメント質量の変動係数

表 5-5

のデータを用いて,インクリメント質量の変動係数を式

(5-13)

(5-14)

(5-15)

及び

(5-16)

によって計算する。

平均値 は,式

(5-13)

から計算される。

n

y

y

å

=

 (5-13)

ここで,

Σ

y

å

=

n

i

i

y

1

,すなわちすべての観測値の合計

n

観測値の個数

(5-13)

から

4

.

94

20

888

1

=

=

y

kg

分散 は式

(5-14)

によって計算される。

( )

1

2

2

=

å

å

n

n

y

y

V

 (5-14)

ここに,

Σ

y

2

å

=

n

i

i

y

1

2

,すなわち観測値の平方和


19

M 8811 : 2000

(5-14)

から

31

.

109

19

20

888

1

304

180

2

=

÷

÷

÷

÷

ø

ö

ç

ç

ç

ç

è

æ

=

V

標準偏差

S

は式

(5-15)

によって計算される

V

s

=

 (5-15)

(5-15)

から

45

.

10

31

.

109

=

=

s

変動係数 V

co

は式(5-16)で計算され,平均値に対する標準偏差を%で表したもの。

y

s

V

co

100

×

=

 (5-16)

従って変動係数は,式(5-16)から

07

.

11

4

.

94

100

45

.

10

=

×

=

co

V

%

変動係数の計算結果 11%は 20%より小さいから,このサンプラは受け入れてよい。

5.8.3

インクリメント質量と流量の相関

  流量とインクリメント質量の相関係数を計算する。この相関係

数 は 2 組のデータ間の関係の尺度であり,式(5-17)から計算できる。

( )

( )

å

å

å

å

å

å å

=

n

y

y

n

x

x

n

y

x

y

x

r

2

2

2

2

 (5-17)

ここに,  と y

対データ集合の構成要素

Σxy: 対データの積の和

n

対データ組数

式(5-17)から

表 5-5

のデータの相関係数は,

÷

÷

ø

ö

ç

ç

è

æ

÷

÷

ø

ö

ç

ç

è

æ

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

=

20

888

1

304

180

20

910

18

900

001

18

20

888

1

910

18

799200

1

2

2

r

=0.884

統計量 t

c

は,式(5-18)によって計算される。

2

1

2

r

n

r

t

c

=

 (5-18)

(5-18)

から

023

.

8

884

.

0

1

2

20

884

.

0

2

=

=

c

t

統計値

t

c

は,

12.

表 12-5

で自由度

 (20

2)

t

値と較べる。もし,

t

c

t

分布表の自由度

  (n

2)

の値

より大きいならば,相関関係が存在する。このデータの

t

c

は,

t (18)

2.101

より大きいから,次の結論が


20

M 8811 : 2000

導かれる。

a)

流量とインクリメント質量の間に相関関係が存在すると言える。

b)

従ってこのサンプラは,質量基準サンプリング方法で使用する前に,手直し及び再テストをしなけれ

ばならない。

5.9

粒度分析

  この規格が適用範囲とする石炭は,粒度,粒度範囲及び粒度分布が大きく異なっている

だろう。更に,測定するパラメーター(特定のふるい網への残留率,平均粒径等)は,ケースバイケース

で異なるかもしれない。その上更に,試料の縮分を行うときは縮分誤差を考慮に入れなければならない,

その一方で縮分なしで粒度分析を行えば縮分誤差はゼロとなる。

特定の精度に対するインクリメント個数を計算する際にはこれらの要因を考慮した方がよい(

5.4.1

5.4.5

参照)

。品位変動等の情報が無い場合,インクリメント個数は試験試料当たり

25

個とすればよい。

必要な特定パラメーターの精度は

11.

に記載する手順でチェックし,インクリメント個数を調整しなけれ

ばならない。

粒度分布測定用の試料では,粒度分布の測定の偏りを減らすため,粉化を最小にすることが不可欠であ

る。粉化を防ぐためには,自由落下距離を最小にすることが必すである。粉化の程度を測定するには,

12.

に規定する方法で予備テストを行うとよい。

粒度用試料の最小質量は

表 5-6

に示す。

表 5-6

中の質量は最大粒度以上の石炭の粒度区分を測定する精

度に基づいている。他の粒度区分の縮分精度は含有率が同じなら,通常この精度よりよくなるだろう。

表 5-6  石炭類に適用する粒度用試料の最小質量

石炭の最大粒度

mm

縮分精度 1%のときの最
小質量

kg

縮分精度 2%のときの最
小質量

kg

300

54 000

13 500

200

16 000

  4 000

150

 6 750

 1 700

125

 4 000

 1 000

90

 1 500

  400

75

  950

  250

63

  500

  125

53

  280

   70

45

  200

   50

37.5

  130

   30

31.5

   65

   15

22.4

   25

    6

16

    8

    2

11.2

        3

          0.7

9.5

    2

     0.5

8

        1

            0.25

5.6

     0.5

      0.25

4

            0.25

            0.25

2.8

            0.25

            0.25

6.

機械式サンプリング方法

6.1

コンベヤ輸送中のサンプリング


21

M 8811 : 2000

6.1.1

全般

  サンプリングは時間基準又は質量基準での系統サンプリング,若しくは層別ランダムサンプ

リングで行うものとする。試料調製の手順は,採用するサンプリング方法によって異なる(

9.

参照)

流れから採取する個々のインクリメントは,流れの全断面を代表するものでなければならない。

備考1.

この規格では“

the full width and depth of the stream

”また“

the whole cross section of the stream

を“全流幅”と訳さず“流れの全断面”と訳している。

2.

サンプリングができるだけ効率よくできるように,ベルトへの荷載りは安定化させるのがよ

い。流れの全断面は,荷載りコントロール又は適切な装置(例えば,フィーダホッパ,掻き

板等)によって,適度に均一になるようにするとよい。

一次インクリメントの採取方法がどうであっても,インクリメントは採取装置一杯になったり又溢れた

りしてはならない。機械式サンプリング設備の場合一次インクリメント質量は,必要な最小質量より随分

多くなるだろう。このためインクリメントをハンドリング可能な質量に縮分する一次インクリメントの縮

分装置が必要になるかもしれない。

サンプリング箇所の上流にあるすべてのプロセスと運転方法は,荷乗り又は品質に周期変動を起こさな

いかどうか,かつ一次サンプラの運転とシンクロナイズしていないかを調査しなければならない。このよ

うな周期変動は,使用する運転方法又はフィーダ装置の周期性から起きるかもしれない。設備の運転周期

とサンプリング装置の運転周期間のシンクロナイズが排除できない場合は,決めた質量間隔内又は時間間

隔内で層別ランダムサンプリングを採用しなければならない。

備考

層別ランダムサンプリングが実際的でない場合,インクリメント個数を増やしてシンクロナイ

ズを回避してもよい。

6.1.2

時間基準系統サンプリング

6.1.2.1

一次インクリメントの採取方法

  機械式サンプリングでは,インクリメントの質量を石炭・コー

クス流量に比例させるために,カッタ速度は一定としなければならない(

7.1.7.2

参照)

一次インクリメントは,対象ロット又はサブロットの荷役全期間にわたって,事前に設定した等時間間

隔で採取しなければならない。もし予定したインクリメント個数の採取が荷役完了前に終わっても,荷役

が完了するまで等時間間隔のインクリメント採取を継続する。

6.1.2.2

サンプリング間隔

  時間基準サンプリングで一次インクリメントを採取する時間間隔⊿

t

(分)は

次の式で決める。

Gn

Q

t

60

Δ

 (6-1)

ここに,  Q:  対象ロット又はサブロットの質量 (t) 

G

:  ベルト上の最大流量 (t/h)

n

:  大口試料を構成する一次インクリメント個数

  =試験試料を構成する一次インクリメント個数(5.参照)

備考  偏りが入る可能性を最小限とするために,最初の採取間隔内ではランダムスタートとすること

を推奨する。

ただし,品質に傾向があることが分かっている場合は,最初の間隔内の中間スタートとする

ことを推奨する。

6.1.2.3

インクリメントの質量  石炭・コークス流の平均流量(質量合計/運転時間)に対応する一次イ

ンクリメントの質量は,式(5-12)で計算される最小のインクリメント平均質量より小さくてはいけない。

インクリメントの質量は,採取時の流量に比例していなければならない。


22

M 8811 : 2000

6.1.3

質量基準系統サンプリング

6.1.3.1

一次インクリメントの採取方法  機械式サンプリングのカッタは,定速であっても又は可変速で

あっても差し支えない。

一次インクリメントは,事前に設定した等質量間隔で採取しなければならない。この等質量間隔は,対

象ロット又はサブロットの荷役が終了するまで変更してはならない。

予定したインクリメント個数の採取が荷役完了前に終わった場合,荷役が完了するまで等質量間隔で追

加インクリメントの採取を継続しなければならない。

6.1.3.2

サンプリング間隔  インクリメントは,トン単位の均一質量で,対象ロット又はサブロットの質

量全体に割り付ける。

質量基準サンプリングで採取するインクリメント間の質量間隔⊿m (t)  は次式(6-2)によって決定する。

n

Q

m

=

Δ

 (6-2)

ここに,  Q:  対象ロット又はサブロットの質量 (t) 

n

:  大口試料を構成する一次インクリメント個数

  =試験試料を構成する一次インクリメント個数(5.参照)

インクリメント個数は少なくとも最小規定個数を確保するため,インクリメント間の質量間隔は,5.4.5

に規定するインクリメント個数から計算される質量間隔以下としなければならない。

備考  偏りが入る可能性を最小限とするために,最初の採取間隔内ではランダムスタートとすること

を推奨する。ただし,品質に傾向があることが分かっている場合は最初の間隔内の中間スター

トとすることを推奨する。

6.1.3.3

インクリメントの質量  大口試料を構成する(=試験試料を構成する)各インクリメントは,ほ

ぼ一定質量(すなわち質量の変動係数が 20%未満)でなければならない。かつインクリメント採取時の流

量と大口試料を構成するインクリメント質量の間に相関関係があってはならない。これらのインクリメン

ト質量条件に合致しているかどうかを決定する方法は,5.8.2 及び 5.8.3 に記述している。この二つの条件

は次のいずれかの手順によって達成されるだろう。

a)

可変速カッタを用いてほぼ一定質量の一次インクリメントを採取する。この場合カッタ速度は,イン

クリメント毎に採取時の流量に比例させ,かつ流れを横切る間は一定とする。

b)

定速カッタを用いて一次インクリメントを採取する。この場合,各インクリメントは引き続き行う縮

分において,もし必要なら,大口試料に合わせる前の実行可能な段階で,ほぼ一定質量とする。

備考  上記手順 a)は,カッタ形サンプラに適している。クロスベルト形サンプラには手順 b)しか適用

できない。

6.1.4

層別ランダムサンプリング

6.1.4.1

全般  石炭・コークスの周期的品質変動が,サンプリング中に起こるかもしれない。系統サンプ

リングの場合,時間基準であっても質量基準であっても,この周期変動サイクルとインクリメントの採取

サイクルとのシンクロナイズ(同期)を排除する万全の努力をしなければならない。シンクロナイズの排

除ができないときは,偏りが必ず入り込むだろう,そしてその偏りは受け入れられない大きさかもしれな

い。シンクロナイズを排除ができない状況下では,層別ランダムサンプリングを採用してよい。層別ラン

ダムサンプリングでは,系統サンプリングの各々の時間又は質量間隔内で,ランダムな時間又は質量経過

後インクリメントを採取する。

備考  層別ランダムサンプリングでは,引き続く時間又は質量間隔に属する二つのインクリメントが


23

M 8811 : 2000

非常に接近して採取されることがあり得る。従って一次インクリメント用ホッパーは,最大流

量下でのインクリメントを最低二つ貯められる十分な大きさとする必要がある。

6.1.4.2

時間基準層別ランダムサンプリング  サンプリング間隔は,6.1.2.2 に従って決定しなければなら

ない。インクリメント質量は,6.1.2.3 に従って決定しなければならない。

各々の時間間隔内で採取を開始する前に,ゼロとサンプリング間隔(秒又は分単位)の間の乱数を発生

させなければならない。各インクリメントはその乱数が示す時間経過後に採取しなければならない。各イ

ンクリメントの質量は採取時の流量に比例した大きさとしなければならない(6.1.2.3 参照)

6.1.4.3

質量基準層別ランダムサンプリング  サンプリング間隔は,6.1.3.2 に従って決定しなければなら

ない。インクリメント質量は,6.1.3.3 に従って決定しなければならない。

各々の質量間隔内で採取を開始する前に,ゼロとサンプリング間隔(トン単位)の間の乱数を発生させ

なければならない。各インクリメントはその乱数が示す質量経過後に採取しなければならない。各インク

リメントの質量は採取時の流量と無関係の大きさとしなければならない(6.1.3.3 参照)

6.1.5

スプーンサンプラによるサンプリング  品質が安定している粉炭又は粉コークスでは,カッタ形サ

ンプラの代わりに,設備費及び運転費がより安価なスプーンサンプラ(

図 7-3 参照)を採用する場合があ

る。一般にスプーンサンプラでは,流れからの全断面採取ができないことから,カッタ形サンプラに較べ

て代表性は劣る。

時間基準サンプリングでスプーンサンプラを運転する場合,インクリメントの採取方法及び間隔は 6.1.2

の規定に,最小質量は

表 5-4 の規定に従う。

質量基準サンプリングでスプーンサンプラを運転する場合,インクリメントの採取方法及び間隔は 6.1.3

の規定に,最小質量は

表 5-4 の規定に従う。

備考1.  インクリメントの採取質量が採取時の流量に関係なく一定となる形のスプーンサンプラ[例

えば,

7-1のカッタ形サンプラに類似した図7-3 b)の走行形]である場合は,時間基準サン

プリングよりも質量基準サンプリングが望ましい。

2.

インクリメントの採取質量が採取時の流量に比例して変動する形のスプーンサンプラである

場合は,質量基準サンプリングよりも時間基準サンプリングが望ましい。

層別ランダムサンプリングでスプーンサンプラを運転する場合,インクリメントの採取方法及び間隔は

6.1.4

の規定に,最小質量は

表 5-4 の規定に従う。

6.1.6

基準サンプリング  サンプリング設備の偏りテスト用の基準試料は,12.に記載される停止ベルト

サンプリングによって採取する。

6.2

静置ロットからのサンプリング

6.2.1

全般  静置ロットからのサンプリングは偏りが発生しやすいので望ましくない。種々の理由で静置

ロットからのサンプリングを行う場合には,サンプリング時の偏りを避けるため底までのサンプリングと

しなければならない。ロット表面からだけのサンプリングは,代表性がない方法であり,取引には推奨で

きない方法である。

6.2.2

貨車,はしけ及び船倉からのサンプリング

6.2.2.1

全般  6.2.2 に記述する方法は,底までのサンプリングが可能な貨車,トラック,底の浅いはしけ

及び船倉からのサンプリングに適用する。貨車の一台又は数台の車両,一そう又は数そうのはしけ若しく

は一つの船倉をサブロットとすることができる。

6.2.2.2

インクリメント個数及びサブロット個数


24

M 8811 : 2000

6.2.2.2.1

一般分析用試料及び水分用試料  対象ロットのサブロット個数及びサブロットごとのインクリ

メント個数は,5.4.5 に記述する方法で計算する。

6.2.2.2.2

共用試料  水分用試料を共用試料から抽出する場合,最初に採るインクリメント個数は,一般

分析用試料又は水分用試料に必要な個数のうちいずれか大きい個数とする。9.に従って水分用試料を抽出

後の一般分析用試料質量が不足すると予想されるときは,事前に各インクリメントの質量を増やすか,又

はインクリメント個数を増やす。

6.2.2.2.3

インクリメントの採取  機械式オーガーを用いてインクリメントを採取する。代表性のあるイ

ンクリメントを得るために,オーガーがロットの底まで穿孔でき,かつ,穿孔したカラム全長の石炭・コ

ークスを取り出すことを確実に行う。大きく,かつ堅い石炭・コークス又は石は,インクリメントを採取

するとき意図的に取り除いてはならない。湿っている石炭・コークスをサンプリング装置に付着させたま

ま残してはならない。

6.2.2.4

インクリメントの割付

6.2.2.4.1

貨物列車

6.2.2.4.1.1

サンプリングする貨車の選定  必要なインクリメント個数がサブロットを構成する貨車数よ

り少ないときには,必要インクリメント数の貨車から 1 貨車 1 個のインクリメントを採取する。必要なイ

ンクリメント個数がサブロットを構成する貨車数より多いときには,必要インクリメント総数を貨車総数

で割って,採取すべき 1 貨車当たりのインクリメント個数を決める。この割算で余りとなるインクリメン

ト個数の部分は,サブロットを構成する貨車全体に割り付ける。インクリメントを割り付ける貨車は,系

統的(例えば,3 両ごと)又はランダム(6.2.2.4.3 参照)に決めてよい。

6.2.2.4.1.2

貨車内でのインクリメント採取位置  貨車内のすべての箇所が正しく代表されるように,貨

車内でのインクリメント採取位置は,貨車ごとに変える。この方法には色々な方法があり,貨車の構造又

は大きさが違えば,インクリメント採取箇所を変えるのがよいだろう。

例えば,採取対象の貨車では石炭・コークスの表面を碁盤目(一辺が 1m,升目の数は貨車の大きさに

よって変わる。

)に分割できる。インクリメントが一個/貨車の場合,貨車ごとに系統的にサンプリングを

行うことができる。例えば,

図 6-1 で 1 貨車目は 1 番の升目,2 貨車目は 2 番の升目とする。系統的にサ

ンプリングをしない場合は,貨車ごとに採取箇所をランダムに決めなければならない(6.2.2.4.4 参照)

6.2.2.4.2

はしけ(バージ)  はしけ又ははしけのホールドは一般に貨車より大きいが,インクリメント

の割付法は基本的に貨車での割付法と同じである。

はしけ又ははしけのホールドからのインクリメントは,

6.2.2.3

及び 6.2.2.4.1.2 に記述されている手順で採取しなければならない。

6.2.2.4.3

船  6.2.2.4.1 及び 6.2.2.4.2 は貨車及びはしけのホールドから機械式オーガーを用いてサンプリ

ングする方法を記述している。これらの方法は,特に底まで採取できる採取条件(深さ)を備えており,

貨車サンプリングでは一般的な方法である。

大形はしけ及び大形船のホールドから石炭・コークスを直接サンプリングすることは,代表性のある底

までの試料採取が困難であるので,実施できない。船形が大きくなると更に採取困難となる。大形船の場

合は,港での積込み又は荷揚げ中に,港のハンドリング設備で流れから(6.1 に従って)石炭・コークスの

試料を採取するのが正規のサンプリングである。したがってこの規格では,このような大形船の船倉サン

プリングは除外している。

6.2.2.4.4

インクリメントのランダムな選択  サンプリング対象区画(貨車,はしけ,はしけのホールド

又はいずれかの一部)を明確に決め,番号を付ける。採取する升目は次の a)b)いずれかの方法で決める。

a)

採取するインクリメントごとに,対象区画の総数まで(

例  図 6-1 では 1∼18)の乱数を発生させる。


25

M 8811 : 2000

又は,

b)

一連の番号(

例  図 6-1 では 1∼18)を付けたディスク(一枚のディスクがその番号の対象区画に対

応する。

)を用意し,次の手順に移る。

①  貨車,はしけ又ははしけのホールドを選択する場合は,一連のディスクを袋に入れ,採取予定の総

数と同じ枚数のディスクを袋から取り出す。取り出したディスクは照合ボード上に置く。次に取り

出したディスクの番号に対応する貨車,はしけ又ははしけのホールドからサンプリングを行う。

②  コンテナ(貨車,はしけ又ははしけのホールド)のサンプリング対象区画を選択する場合は,まず

サンプリング現場に袋を二つと採取対象区画を示す図面を一枚用意する。

・最初のコンテナでの手順:

ディスクを 1 番目の袋に入れ,採取予定総数のディスクを袋から取り出す。

次に取り出したディスクの番号に対応する対象区画からサンプリングを行う。

使い終わったこれらのディスクを 2 番目の袋に入れる。

・2 番目のコンテナでの手順:

1

番目の袋から,採取予定総数のディスクを袋から取り出す。

次に取り出したディスクの番号に対応する対象区画からサンプリングを行う。

使い終わったこれらのディスクを 2 番目の袋に入れる。

・3 番目以降のコンテナでの手順

前記手順を繰り返す。ただし,1 番目の袋が空になったら,2 番目の袋のディスクを 1 番目の袋

に移して前記手順を繰り返す。

備考  この手順では,インクリメントのサンプリング対象区画が毎回必ず変わる。

1 6 7 12

13

18

2 5 8 11

14

17

3 4 9 10

15

16

図 6-1  コンテナ内のサンプリング対象区画の分割例

6.2.3

ストックパイルからのサンプリング  ストックパイルからのサンプリングは,パイル積付け時又は

パイル払出し時に,6.1 に記述されているコンベヤ輸送中の機械式方法で行う。コンベヤ輸送中の機械式サ

ンプリングが不可能の場合は,次の方法を採用する。

備考  ストックパイルからの直接サンプリングは,代表性のある試料採取の面で問題となることが多

い。

サンプリングするストックパイル表面は十分に転圧し,サンプリング実施者及び機械の重量を安全に支

えられるようにしなければならない。

5.4.5

に従ってサブロット個数を決定し,ロット質量をサブロット個数で割りサブロットの質量を計算す

る。機械式オーガー(

図 7-4 参照)を用いてインクリメントを採取する。代表性のあるインクリメントと

なるように,ストックパイルの底まで穿孔できるオーガーを用いて,パイル底までの石炭・コークスを確

実に採取する。次のいずれかの方法(パイルの底まで採取する系統サンプリング)で穿孔箇所を決めるこ

とによって,対象パイルのすべての粒子に,採取されるチャンスを等しく与える。

a)

ストックパイル表面を碁盤目状又は同心円状(

図 8-5 参照)に分割し,各升目から穿孔試料を採取す

る(面積基準サンプリング)

b)

まず測量によってストックパイルの体積を細かく調べる。次に等体積間隔でパイルの底までサンプリ

ングを順次行う(体積基準サンプリング)


26

M 8811 : 2000

備考  この規格に記載する空間基準サンプリング (space-basis sampling) は,上記 b)以外はすべて面積

基準サンプリングであることから,この規格では space-basis sampling は,面積基準サンプリン

グと表現している。

6.2.4

表面サンプリング  ストックパイル又はトラック等に積載した石炭・コークスからのサンプリング

は,積込み時又は荷おろし時に,流れから全断面サンプリングを行うのが正規の方法である。この方法が

不可能な場合には,底までの面積基準系統サンプリング(6.2.3 参照)を行う。

備考  品質チェックを必要とする石炭・コークスを定期的にトラック運搬するときは,サンプラを付

設したミニコンベヤを設置してサンプリングを行ってもよい。この場合,採取するトラックの

選択及びそのトラック中での採取タイミングは,6.2.2.4.4 の方法で決めてよい。

静置ロットで底までのサンプリングが不可能なときは,静置ロットを作った直後の表面サンプリングが

次善の方法となるかも知れない。しかしこの表面サンプリングは,一般的に代表性がないので,取引には

推奨できない(例外は,8.2.2.3.2 

備考 2.参照)。特に長時間を経過した静置ロットからの表面サンプリン

グは,代表性がなく,サンプリング,試料調製及び分析が無駄になるだけでなく,誤解を与える測定値を

生むことが多いので,ロットの平均品質を決定する目的には,推奨されない方法である。

備考  表面サンプリングが代表性に乏しい理由は,次のとおり。

a)

水分を多く含む石炭・コークスでは,パイル上部/表面と底部/内部で水分値が異なり,更

に時間の経過とともにこの水分値差は大きくなる。

b)

荷卸し時の粒度偏析によって,相対的に表面の粒子は細かく,底部の粒子は粗くなる。した

がって粒径によって品質特性が異なる石炭・コークスでは表面サンプリングを行うと粒度だ

けで無く品質特性の測定結果にも偏りが入る。

7.

機械式サンプラの設計

7.1

コンベヤ輸送に用いる機械式サンプラ

7.1.1

安全  サンプリング設備の設計及び設置に当たってはまず,オペレータの安全を十分に配慮しなけ

ればならない。サンプリング設備の設置予定場所に適用されるすべての安全基準を遵守しなければならな

い。

7.1.2

設計者への情報提供  サンプリング設備の設計者に次の関連情報を提示することが不可欠である。

a)

石炭・コークスハンドリング設備の設計及び運転

b)

サンプリング方法の設計(5.参照)

c)

サンプリング方法(6.参照)

d)

試料調製方法(9.参照)

7.1.3

基本要件  サンプリング設備の設計・建設では,サンプリングのための十分なスペース及び条件を

確保することが不可欠である(7.1.8 参照)

。サンプリング設備の要件については,基本設計の段階から考

慮しなければならない。設置後に改造・手直しを行う場合は,サンプリング設備全体としての性能及び信

頼性を損なってはならない。設計者は,運転中に必要となるチェック事項にも留意しなければならない。

また多重サンプリング及び停止ベルトサンプリング用の設備も,設計段階から入れておかなければならな

い。

サンプリング設備は,点検,完全な清掃,修理又はチェック実験(例えば,偏りテスト)が,各々の装

置で容易にできるように設計しなければならない。

備考  質量基準サンプリング設備の場合は,ひょう量装置の故障時に質量基準から時間基準サンプリ


27

M 8811 : 2000

ングに変換できるようにしておくことを推奨する。

7.1.4

サンプラの設置場所  サンプラの設置場所は,次の条件に従って選定しなければならない。

a)

サンプリング設備は,

ロットの品質測定が必要なとき,

対象ロットの全体が通過する箇所に設置する。

b)

流量変動によるインクリメント質量の変動に計画しているサンプリング設備が追随できない場合は,

サンプリング設備の上流に流れ及び採取量を均一にする設備(例えば,調整ゲートを備えたサージホ

ッパー)を設置することを検討しなければならない。

7.1.5

精度チェック実験への配慮  サンプリング設備は,11.に規定する精度チェック方法のいずれかを

実施できるようにしなければならない。

7.1.6

偏りテストへの配慮  サンプリング設備は 12.に規定する,停止ベルトサンプリング方法による偏

りテストができるようにしなければならない。

7.1.7

機械式サンプラの設計基準

7.1.7.1

機械式サンプラの基本要件  機械式サンプラの設計及び建設のときの基本要件は,次のとおりで

ある。

a)

機械式サンプラは,問題となる偏り(3.33)がないインクリメントを採取できること。

b)

機械式サンプラは,仕様範囲内のすべての想定される条件下で,a)の性能を維持していること。かつ,

清掃又は保守のためのサンプリング中断を必要としないこと。

上記要件を満たすために機械式サンプラは,次のように設計しなければならない。

a)

サンプラは,十分に頑強であって,想定される最悪の条件に耐えること。

b)

サンプラは,十分な容積をもち,採取するインクリメントをロス又はこぼれがなく完全に保持でき又

は通過させること。

c)

サンプラは,自浄式かつ非付着性であること及び保守の必要性を最小とするように運転できること。

d)

試料のいかなる異物混入(例えば,停止位置にあるカッタへの異物混入又はサンプリングをしている

銘柄変更時の異物混入)をも避けること。

e)

粒度測定用のサンプリングでは,試料を構成する粒子の粉化を最小限とすること。

f)

いかなる水分,化学的又は物理的性状の変化,若しくはいかなる石炭・コークスの微粉のロス(例え

ば,装置内への過度の空気流によるロス)も避けること。

7.1.7.2

カッタ形サンプラの設計

7.1.7.2.1

全般  サンプルカッタを設計するときには,カッタ速度,カッタの開度及びカッタが流れとな

す角度は重要な設計基準となる。カッタが流れとなす角度及びカッタ速度が一緒になって流れに対すカッ

タの有効開度が決まることから,これらの基準は同時に考慮しなければならない。

カッタ形サンプラの例は,

図 7-1 に示す。


28

M 8811 : 2000

図 7-1  カッタ形サンプラの例


29

M 8811 : 2000

図 7-1  カッタ形サンプラの例(続き)

備考  この規格に規定する要件を満たしている図 7-1 以外の一次サンプラは,問題となる偏り(3.33

参照)がないことを証明できれば,受け入れてよい。

コンベヤ乗り継ぎ部でのサンプリングを意図しているカッタは,次の要件を満たすように設計しなけれ

ばならない。

a)

カッタは,流れの全断面から試料を採取すること。

b)

カッタの先行する端面と後行する端面は,同一平面又は同一円筒面を動くこと。

備考  この平面及び円筒面は,流れの平均軌跡に直角であることが望ましい。

c)

カッタの走行速度は,流れの中では一定とすること,すなわち走行速度は流れのどの位置でも,事前

に設定した速度の±5%を超えては変動させないこと。

d)

カッタ開口部は,流れのどの部分も等しい時間だけ開口部にさらされるように設計すること。

e)

カッタの開口部の幅は,サンプリングする石炭・コークスの最大粒度の 3 倍以上とすること。一次サ

ンプラの開口幅は,30mm 以上とすること。開口部にテーパーがついているとき[例えば,

図 7-1 d)

に示すスイングアーム形の場合]では,一番細くなった部分にこの要件を適用する。その他の形のカ

ッタについては,7.1.7.2.2 参照。

f)

カッタの有効能力は,石炭・コークス流の予想最大流量に基づいて決めること。予想最大流量下であ

ってもカッタは,

採取するインクリメントをロス又はこぼすことなく完全に保持又は通過させること,

かつ採取した石炭・コークスでカッタ開口部を少しでも詰まらせ又は狭くしないこと。


30

M 8811 : 2000

7.1.7.2.2

カッタ速度  サンプルカッタを設計するときには,カッタ開口部の幅及びカッタ速度は重要な

検討項目となる。流れの速度,カッタ幅及びカッタ速度の三つの要素でカッタの有効開度,すなわち流れ

が障害なしにカッタ開口部に入り込む流れでの幅,が決まる。

コンベヤ乗り継ぎ部でのカッタ形サンプラに関しては,鉱石での実験(フランスの Pierre M Gy 著

Sampling of Particulate Materials

参照)によって,次のことが知られている。

a)

粒度分布の幅が非常に狭く,低流量かつ不均一な鉱石流からのサンプリングでは,カッタ速度が 0.6m/s

を超えるとき,及び/又はカッタの開口幅 が最大粒度 の 3 倍未満のとき,問題となる偏りが入り

込むだろう。

b)

カッタの開口幅 と最大粒度 の比が大きいと大きい粒子が選択的にはじき飛ばされる傾向が小さく

なることから,この比 W/は偏りのないインクリメントを採取するカッタ能力に極めて大きく影響す

る。

最近の商業用サンプリング設備では,粒度分布の幅が広くかつ相対的に高流量の石炭流から試料を採取

する大容量のカッタを備えている。このような条件下でも,W/が 3 以上であればカッタ速度が 1.5m/s ま

でであれば,問題となる偏りがないことが示されている。

備考  粒径による品質差が相対的に小さい石炭・コークスでは,W/が 3 以上であれば,カッタ速度

が 1.5m/s 以上でも,問題となる偏り(3.33 参照)は無いことが多い。

カッタの速度と開口幅に関係なく,カッタは問題となる偏りがないことを示さなければならない。

7.1.7.3

クロスベルト形サンプラ

7.1.7.3.1

運転  クロスベルト形サンプラの運転原理は,図 7-2 に示す。この図 7-2 では,異なる二つの例

を図解している。両ケースともカッタはベルトの中心線に平行な軸の周りに回転する。回転運動でカッタ

がベルトの全幅を横断するとき,カッタ側板の先行端面はインクリメントに切りを入れ,後行端面はイン

クリメントを後押しする。

両形のサンプラは,ベルト上の石炭・コークスに対するカッタの相対的動きについて見るとかなり違っ

ている。

図 7-2 a)に示すサンプラでは,カッタの回転軸を留める軸受けは,空間に固定されている。図 7-2 

b)

に示すサンプラの場合では,カッタの回転軸を留める軸受けは,トロリー又はそりに乗っており,サン

プリング操作中はベルト速度と同じ速度でベルトと平行に進行方向に動く。

この動きによって,カッタの石炭に対する相対速度は,ベルト速度が変わっても何も影響を受けなくな

る。

しかしこのような理想的なサンプリング条件は,

精巧でやや扱い難いという犠牲を払って達成される。

図 7-2 a)には,直角掻取り形(傾斜カット形)サンプラのカッタ速度,ベルト速度及び石炭に対するカ

ッタの相対速度の関係をベクトル線図で示している。この図からカッタ速度がベルト速度と較べて大きけ

れば大きい程,サンプリング条件がよくなることが分かる。さらに,カッタ速度が大きければ大きい程,

すき(鋤)として機能するカッタが石炭・コークス流を阻害する時間が短くなる。


31

M 8811 : 2000

図 7-2  クロスベルトサンプラの例


32

M 8811 : 2000

図 7-2  クロスベルト形サンプラの例(続き)

これらの理由及びベルト上の流れの密度はコンベヤ乗り継ぎ部での密度に較べて大きいとの理由で,カ

ッタ形サンプラと同じ速度基準を掻取り形サンプラに厳しく適用するのは望ましくない。

カッタの速度と開口幅に関係なく,カッタは問題となる偏り(3.33 参照)がないことを示さなければな

らない。

7.1.7.3.2

クロスベルト形サンプラの設計  クロスベルト形サンプラは,次の基準に従って設計しなけれ

ばならない。

a)

カッタは,コンベヤの中心線に直交する平面内で試料を採取すること。

b)

カッタは直角形又は傾斜形であっても,流れの全断面から試料を採取すること。

c)

カッタ速度は流れの中では一定とすること,流れのどの位置でも事前に設定した速度の±5%を超えて

は変動させないこと。

d)

カッタ開口部は,流れのどの部分であっても等しい採取時間となる形状とすること。

e)

カッタの有効開口幅は,サンプリングする石炭・コークスの最大粒度の 3 倍以上とすること。どの形

のカッタでも最小開口幅は,30mm とすること。


33

M 8811 : 2000

f)

カッタは十分な能力をもち,予想最大流量下で採取するインクリメントを保持できること。

g)

粉はベルトの底に集まる傾向があるので,選択的な採取を避けるため,ベルトの湾曲はカッタ側板の

動きと合った円弧とすること。ベルトと側板及び/又は後板との隙間は,直接接触及び接触によるベ

ルト損傷がない安全上の最小限とすること。更に後板には,石炭・コークス層の底を掃きとるための

刷毛及び/又は弾力性のあるスカートを付けること。

h)

ベルト上の全断面から石炭・コークスを完全に採取できるように,カッタに付けた可動すき,刷毛又

はスカートは定期的に調整し,ベルト表面との隙間を最小限にキープすること。

7.1.7.4

スプーンサンプラ

7.1.7.4.1

全般  スプーンサンプラは,カッタ形サンプラに較べ装置が単純で小さく,かつ設置費用及び

運転費用が小さいので,主に操業管理用の一次サンプラとして用いられることがある(

図 7-3 参照)。

スプーンサンプラは,カッタ形サンプラと異なり,流れの全断面を採取できない。したがって粒径によ

る品質差が大きく粒度範囲が大きい石炭・コークスでは,スプーンサンプラは偏りが入り込むため一般に

は,取引用サンプラとしては推奨されない。しかし粒径による品質差が小さい粉炭又は粉コークスのロッ

トでは,スプーンサンプラで採取しても,問題となる偏り(3.33 参照)はない場合が多い。スプーンサン

プラを取引に用いる場合は,問題となる偏りが無いことを,事前に示さなければならない。

参考  ばら積み非鉄金属浮選精鉱のサンプリング方法 JIS M 8083 : 1984 に記載されているパイプ式サ

ンプラは,水分を含む微粉精鉱に適用されるもので,スプーンサンプラとは異なる。パイプ式

サンプラは,オーガー(

図 7-4)からスクリューを除いた円筒状のもの。

7.1.7.4.2

スプーンサンプラの設計  スプーンサンプラは,次の基準に従って設計しなければならない。

a)

スプーンの有効開口幅は,サンプリングする石炭・コークスの最大粒度の 3 倍以上とすること。最小

開口幅は,30mm とすること。

b)

スプーンは,予想最大流量に耐える十分な能力をもち,予想最大流量下で採取するインクリメントを

保持できること。

図 7-3  スプーンサンプラの例


34

M 8811 : 2000

備考  図 7-3 a)に示すスプーンサンプラは,スプーンの回転速度を一定とすることが多い。この場合,

採取されるインクリメントの質量は,流量変動に応じて変動する(6.1.5 

備考 2.参照)ことが

多い。

図 7-3 b)に示すスプーンサンプラでは,スプーンの容量にもよるが,採取されるインクリメ

ントの質量は,流量の大小によらず一定となる(6.1.5 

備考 1.参照)。

7.1.8

(参考)機械式サンプラの運転指針

7.1.8.1

サンプリング設備の設計・建設に使った情報(5.6.及び 7.参照)は,現場に保管し,すべての

権利ある関係者がすぐ利用できるようにしておくとよい。

7.1.8.2

一次サンプラの能力,カッタの開度寸法(7.1.7.2.1 及び 7.1.7.3.2 参照)

,カッタ速度(7.1.7.2.2 

照)及び採取間隔(6.1.2.2 又は 6.1.3.2 参照)は,チェックした方がよい。

機械式サンプリング設備の試運転を開始するとき又は主要部分の変更が完了するときは,

5.8

の手順が完

了した後,サンプリング設備全体での精度チェック(11.参照)及び偏りテスト(12.参照)を実施するとよ

い。

設備の点検及び保守は各シフトの始めに日々行い,設計仕様及び操業諸元の範囲内で安心して運転でき

るようにするとよい。

試料に影響を与える可能性がある石炭・コークスの付着,詰まり,偏流又は疑わしい変化はできるだけ

速やかに報告し,運転前の正規の状態に戻すとよい。

ある特定銘柄のサンプリングが完了したら,設備は完全に清掃し,次に違う銘柄のサンプリングがすぐ

できるようにしておくとよい。

故障,詰まり等の詳細を記した点検記録帳は,適切な場所に保管するとよい。サブロットごとに,大口

試料の質量及びサブロット質量の記録を保管するとよい。

機械式サンプリング設備には,次を付帯するとよい。

a)

責任者以外はソフトに触れないための,鍵をかけられる操作卓

b)

採取しているインクリメントの頻度及び個数を表示する記録計

c)

サンプリング設備の運転/停止状態を示す遠隔表示

ハンドリング設備に荷を流す前に,これらの機能が作動しているかどうか日々チェックするとよい。

7.1.9

サンプリング設備の保守  サンプリング設備は,点検完全な清掃,修理又はチェック実験が隅々の

装置まで容易にできるようにしなければならない。安全基準に基づいて,これらの装置を設計しなければ

ならない。点検及び保守は,運転の信頼性を保証するため,メーカーが推奨する頻度で行わなければなら

ない。

すべての機械設備は磨耗する。この磨耗によって,最初は偏りが無かった設備が,時の経過とともに偏

りを発生させる可能性がある。したがって機械式サンプリング設備は計画的な保守を行わなければならな

い。かつ頻繁に点検を行って各装置が磨耗を受けていないこと又は壊れていないことを確認しなければな

らない。

点検を行う人には点検チェックリストを提供しなければならない。このチェックリストには,少なくと

も次の項目をいれなければならない。

a)

インクリメントの採取状況

b)

流量を安定させる設備を設置した場合は,荷流れの安定状況,又は採取する流れの状況

c)

試料への異物混入となりかねない機械式サンプリング設備周辺の過度の落炭・落コークス

d)

サンプリング設備のすべての物理的な変更又はサンプラのすぐ上流での設備変更


35

M 8811 : 2000

e)

クロスベルト形サンプラでは,カッタの刷毛及び/又は弾力性のあるスカートの磨耗状況

f)

スプーンサンプラでは,試料への異物混入となりかねないスプーンの開口部及び内部への石炭・コー

クスの付着状況

7.2

静置ロットで用いるサンプリング機器−機械式オーガー  商用に使用できる静置ロットからの機械

式サンプラの形は数少ない。数少ない中の一つが機械式オーガーである。機械式オーガー(

図 7-4 参照)

は,鋼製の円筒及びその円筒内にあるアルキメデスのらせんスクリューから構成されている。スクリュー

は円筒内で回転し静置ロットの底から垂直にコアを採る。このクスリューのピッチ及び円筒内のギャップ

(中心軸の外面と円筒の内面との距離)は,石炭の最大粒度の 3 倍以上でなければならない。

図 7-4  機械式オーガースクリューの例

ある特別のアルキメデスのらせんスクリューでは,オーガーの底から数巻きしか羽根がない設計となっ

ている。この結果できた空間には,オーガーを動かしたとき,石炭が円柱状に満たされていく。

すべての静置ロット用機械式サンプラは,12.に従って停止ベルトサンプリングで採取した試料と比較す

ることによって,問題となる偏り(3.33 参照)がないことをチェックしなければならない。

7.3

試料の取扱いと保管  採取したインクリメント又は縮分したインクリメントは,ハンドリング中の

水分ロスを最小限とするため,できるだけ素早く試料容器に入れ,かつ適切な注意をする。試料容器は,

サンプリングが完了したら即座に密封する。

インクリメント又は縮分したインクリメントは,採取したサブロットが異なれば,別の容器又は一連の

容器に入れなければならない。二重サンプルを採取する場合は,組となる各試料は別の容器又はセットと

なっている容器に入れなければならない。

共用試料又は水分用試料を採取する場合は,試料調製する場所まで持ち運ぶときの水分ロス又は変質を

なくすため,試料容器は水及び蒸気を通さずかつ十分な物理的強度をもったものとしなければならない。

一般分析用試料を採取する場合は,

試料容器は不透水性である必要はないが,

異物混入及び試料ロスは,


36

M 8811 : 2000

何も発生しないようにしなければならない。

物理試験用試料を採取する場合は,試料容器は完全不透水性である必要はないが,異物混入及び試料ロ

スは何も発生しないようにしなければならない。物理試験用試料は,どの段階であっても,かつ,いかな

る状況でも試料粒子が割れ及び/又は粉化しないように注意してハンドリングするとよい。

水分用試料及び共用試料を保管する場合は,必ず冷えて乾いた所に保管しなければならない。水分は,

試料採取後できるだけ速やかに測定しなければならない。

各試料容器中の試料は,十分かつ永久的に,素性が分かるようにしておかなければならない。

備考  この目的のために試料容器ごとに防水性のラベルを二つ付けることを推奨する。ラベルには防

水性インクで十分に素性が分かる情報を記入し,一方のラベルは容器の外に貼り,他方のラベ

ルは容器の中に入れるとよい。容器内にビニール袋を入れて使う場合は,容器内に入れるラベ

ルはビニール袋の内側に入れるとよい。

ラベル又は添付文書には,次の情報を記載することが望ましい。

a)

石炭・コークスの種類,グレード,最大粒度及びロット名(船名等)

b)

サンプリング方法,準拠したサンプリング JIS とその箇条番号(例  JIS M 8811 : 2000 の 6.1.3

c)

ロットの概略質量及びサブロット数

d)

サブロット試料が代表する概略質量

e)

試料番号

f)

サンプリングを行った場所,日付け及び時刻

g)

試料調製を行った場所,日付け及び時刻

h)

サンプリングの担当者名

i)

統合サンプリング設備で採取した試料の場合,その最終質量及び最大粒度

j)

試験試料の説明(

例  一般分析用試験試料,水分分析用試料等)

k)

天候又は結果に影響したかも知れないその他の条件

l)

その他の関連情報(

例  水分用試料の予備乾燥水分値%)

審判分析用試料は,必要とされる期間,無くならないように,品質変化が最小限となるように,かつい

つでも出せるように保管しなければならない。

7.4

偏りの最小化

7.4.1

偏りの原因  試料の測定結果は幾つかの理由で,偏りがあるかも知れない。サンプリング設備の設

計及び運転に起因する偏りの原因及び偏りを最小化する手段を次に記述する。

a)

不適切な設計  サンプリング設備は,すべての装置をきっちりシールして水分ロスを最小限とするよ

うに設計しなければならない,かつ,一次インクリメントを採取してからこの設備での最終試料を調

製し終わるまでの時間を最小限とするように設計しなければならない。

サンプリング設備を設計するときの要件は,7.1.7 に記述している。

b)

不適切な運転  サンプリング設備の運転諸元(例えば,カッタ速度及び走行頻度)の点検・計測結果

は,記録文書に残し,サンプリング計画及び設備仕様に合致しているかの検証ができるようにしなけ

ればならない。

c)

周期性  装置への流れに周期性がある場合,すなわちベルト上の周期的な負荷変動又は採取する石

炭・コークスの品質特性が周期的に変動する現象がある場合,この周期にシンクロナイズ(同期)し

てインクリメントを採取すれば,サンプリングのどの段階であっても,問題となる偏り(3.33 参照)

が発生する可能性が高い。


37

M 8811 : 2000

周期性に起因する偏りを避けるには,層別ランダムサンプリング方法を採用しなければならない。

備考  サンプラへの流れに周期性がある場合は,これを解消することをまず検討するとよい。また層

別ランダムサンプリングが実際的でない場合は,インクリメント個数を増やしてシンクロナイ

ズを避けてもよい。

サンプリングのどの段階であっても,系統サンプリングでランダムスタートとしないことによる偏

りを避けるには,最初のインクリメントの採取タイミングを石炭・コークスの流れと無関係に決めな

ければならない。

d)

不適切な保守  サンプリング設備の各装置の保守は,使用時間単位で計画及び記録しなければならな

い。磨耗し及び/又は調整を要する項目の保守には特別の注意を払わなければならない。例えば,シ

ールが磨耗すれば,試料ロス又は試料の乾燥を引き起こすだろう。粉砕機の構成部分が磨耗すれば,

粉砕産物の粒度が不適切になり,この不適切な産物が次の段階に送られることになる。

e)

時間基準又は質量基準の規定に従わないサンプリング  サンプリング設備の運転では,次のインクリ

メントの質量基準を遵守するようにしなければならない。

・時間基準サンプリングでは,インクリメントの質量は流量と比例させる。

・質量基準サンプリングでは,インクリメントの質量は流量と関係なく一定とする。

f)

不適切な清掃  機械式サンプリング設備は,対象ロットが完了するごとに清掃しなければならない。

したがって設備の各装置内へのアプローチも不可欠となる。完全に清掃できたか分からない場合は,

一つ以上のインクリメントをサンプリング設備に通すが試料とはしない

“共洗い運転”

を行うとよい。

7.4.2

精度と偏りのチェック  サンプリング精度は,11.に記述する方法を用いてチェックしなければな

らない。その際もし必要ならば,要求精度を達成するために,インクリメント個数及び/又はサブロット

個数の調整を行わなければならない。この目的のためにサンプリング方案は,インクリメントを個別に処

理し,かつ順番に二つ以上の最終試料に合わせていくことで多重サンプルを得ることができるように計画

しなければならない。複数のインクリメントを,既に合わせている小口試料から二重サンプルを作ること

は許されない。

機械式サンプラは,同一ロットから採取した次の二つの試料の分析値を比較することで,偏りをチェッ

クしなければならない(12.参照)

a)

設備試料:サンプリング設備で採取した試料

b)

基準試料:停止ベルトサンプリングで採取し,その後オフラインで試料調製した試料

この偏りテストは,粉砕試料で水分を測定する場合に,特に重要である。

備考1.  すべてのサンプリング設備は,定期的(例えば,毎年)に,偏りをチェックすることを推奨

する。

2.

サンプリング設備に試料調製設備が付加されている場合は,その試料調製設備も偏りをチェ

ックすることを推奨する。

7.5

検証  サンプリング設備は,据付け工事前及び使用前に,規定の設計となっているかを検証しなけ

ればならない(7.1.7 及び 7.1.7.3 参照)

。サンプリング設備は,設備設置後 12.に従って偏りテストを行い,

適切な設計となっているかを検証しなければならない。

8.

手動式サンプリング方法

8.1

コンベヤ輸送中のサンプリング


38

M 8811 : 2000

8.1.1

全般  サンプリングは,時間基準又は質量基準での系統サンプリング,若しくは層別ランダムサン

プリングで行うものとする。

流れから採取する個々のインクリメントは,流れの全断面を代表するものでなければならない。

サンプリング箇所の上流にあるすべてのプロセスと運転方法は,荷乗り又は品質に周期変動を起こさな

いかどうか,かつ一次サンプラの運転とシンクロナイズ(同期)していないかを調査しなければならない。

このような設備の運転周期とサンプリング装置の運転周期間のシンクロナイズは排除しなければならない。

8.1.2

時間基準系統サンプリング

8.1.2.1

一次インクリメントの採り方  一次インクリメントは,対象ロット又はサブロットの荷役全期間

にわたって,事前に設定した等時間間隔で採取しなければならない。もし予定したインクリメント個数の

採取が荷役完了前に終わっても,荷役が完了するまで等時間間隔のインクリメント採取を継続する。

8.1.2.2

サンプリング間隔  時間基準サンプリングで一次インクリメントを採取する時間間隔⊿T(分)

は式(6-1)で決める。

8.1.2.3

インクリメントの質量  インクリメントの質量は,採取時の流量に比例していなければならない。

同時に,ロットの平均流量に対応する一次インクリメントの質量は,式(5-12)で計算される最小のインクリ

メント平均質量より小さくてはならない。ただし,どの場合でもインクリメントの平均質量は,

表 5-4 

質量を絶対的下限値とする。

備考  停止ベルトサンプリングでは,ベルトの定位置で流れの全断面から,ベルトの長手方向に最大

粒度の 3 倍以上の長さにわたって採取(

図 8-1 参照)しなければならない。この場合,採取長

を流量に関わらず一定とすれば,インクリメントの質量は採取時の流量に比例する。

図 8-1  停止ベルトサンプリングでの採取長

8.1.3

質量基準系統サンプリング

8.1.3.1

一次インクリメントの採取方法  一次インクリメントは,事前に設定した等質量間隔で採取しな

ければならない。

この質量間隔は,

対象ロット又はサブロットの荷役が終了するまで変更してはならない。

予定したインクリメント個数の採取が荷役完了前に終わった場合,荷役が完了するまで等質量間隔で追

加インクリメントの採取を継続しなければならない。

8.1.3.2

サンプリング間隔  インクリメントは,トン単位の均一質量で,対象ロット又はサブロットの質

量全体に割り付ける。

質量基準サンプリングで採取するインクリメント間の質量間隔⊿m (t)  は式(6-2)によって決定する。

インクリメント個数は,少なくとも最小規定個数を確保するため,インクリメント間の質量間隔は,5.4.5

に規定するインクリメント個数から計算される質量間隔以下としなければならない。


39

M 8811 : 2000

8.1.3.3

インクリメントの質量  大口試料を構成する(=試験試料を構成する)各インクリメントは,ほ

ぼ一定質量(すなわち質量の変動係数が 20%未満)でなければならない。かつインクリメント採取時の流

量と大口試料を構成するインクリメント質量の間に相関関係があってはならない。これらの条件は,停止

ベルトサンプリングの場合,採取長を変更することで対応する。

ロットの平均流量に対応する一次インクリメントの質量は,

式(5-12)で計算される最小のインクリメント

平均質量より小さくてはならない。ただし,どの場合でもインクリメントの平均質量は,

表 5-4 の質量を

絶対的下限値とする。

8.1.4

停止ベルトサンプリング  インクリメントごとに試料を分析する場合には,採取長(図 8-1 参照)

は,時間基準又は質量基準に関わらず一定としても差し支えない。インクリメントを大口試料に合わせる

場合は,時間基準であれば採取長は一定とし,質量基準であれば,インクリメント質量がほぼ一定質量と

なるように採取長を調整する。

停止ベルト法でのインクリメント採取は,サンプリング枠(

図 12-1 参照)又はこれと同等の装置で行う。

ベルト上の定位置で,ベルト上の石炭・コークスの全断面から,ベルト長手方向に最大粒度の 3 倍以上の

長さを採取しなければならない(

図 8-1 参照)。

備考  もし停止ベルトインクリメントを一次サンプラのトラブルで採取せざるを得なくなったときは,

停止ベルトインクリメントを採る所と一次インクリメントを採る所の条件が同じになるように

することが重要である。

サンプリング枠(又はこれと同等の用具)は事前に決めた箇所の停止ベルト上に,両端の間仕切板が,

ベルトの全幅にわたってベルトと接触するように置く。二つの間仕切板の内側にある粒子は,すべて試料

容器に掃き採らなければならない。

間仕切板を差し込むとき,左側の間仕切板に当たった粒子は試料容器に入れ,右側の間仕切板に当たっ

た粒子は試料容器に入れない。又は右側の間仕切板に当たった粒子を試料容器に入れ,左側の間仕切板に

当たった粒子を試料容器に入れない。最初に使ったルールは,対象ロット又はサブロットからのサンプリ

ングが終わるまで変えてはならない。

備考  すべてのインクリメントは,採取直後にひょう量することを推奨する。

8.1.5

ベルト落ち口からのサンプリング  ベルト落ち口からのサンプリングは,機械式サンプラが使用で

きない場合,機械式サンプラの代替法になるかもしれない。

まずサンプリングする人の安全を考慮する。安全が確保できない限り,この手動式サンプリングを実施

してはならない。手動式サンプリングは,流量が 250t/h 以上及び最大粒度が 50mm 以上の場合は,実施し

てはならない。

使用するサンプラ(例えば,

図 8-2 のスコップ)は,流れの全断面に安全にアプローチできるものとす

る。

サンプリングスコップ(

図 8-2 参照)は,次の条件を満たすものとする:

a)

開口部の幅は,最大粒度の 3 倍以上,かつ 30mm 以上であること。

b)

開口部の長さ は,流れの幅より大きいこと。

c)

採取するインクリメント全量が十分入る容量であること。


40

M 8811 : 2000

図 8-2  手動式サンプリング用スコップ例

石炭・コークスは,流れの落ち口から,上記条件を満たすサンプリング用スコップで採取する。スコッ

プは流れの全断面内を一定の速度[

図 7-1 a)又は b)と同様]で動かす。流れを横切るとき,採取した試料

をスコップから溢れさせてはならない。各インクリメントは,スコップを完全に一回流れを横切らせるこ

とによって採取する。

備考  流れの片側だけから流れにアプローチできないときは,最初にスコップの開口部を下向きにし

て流れを向こう側に横切らせ,次に開口部を上向きに手前にスコップを引いてもよい。流れを

横切らせるときは,スコップのハンドルを両手でしっかり持つ必要があるだろう。

8.2

静置ロットからのサンプリング

8.2.1

全般  静置ロットからのサンプリングは,偏りが発生しやすいので望ましくない。種々の理由で静

置ロットからのサンプリングを行う場合には,サンプリング時の偏りを避けるため底までのサンプリング

としなければならない。ロット表面からだけのサンプリングは,代表性がない方法であり取引には推奨で

きない方法である。

8.2.2

トラック及びはしけからのサンプリング

8.2.2.1

全般  8.2.2 に記述する方法は,底までのサンプリングが可能なトラック,底の浅いはしけ等から

のサンプリングに適用する。トラックの一台又は一そうのはしけをサブロットとすることができる。

8.2.2.2

インクリメント個数及びサブロット個数

8.2.2.2.1

一般分析用試料及び水分用試料  対象ロットのサブロット個数及びサブロットごとのインクリ

メント個数は,5.4.5 に記述する方法で計算する。

8.2.2.2.2

共用試料  水分用試料を共用試料から抽出する場合,最初に採るインクリメント個数は,一般

分析用試料又は水分用試料に必要な個数のうちいずれか大きい個数とする。9.に従って水分用試料を抽出

後の一般分析用試料質量が不足すると予想されるときは,事前に各インクリメントの質量を増やすか又は

インクリメント個数を増やす。

8.2.2.3

インクリメントの質量及び採取

8.2.2.3.1

インクリメントの質量  インクリメントの質量は,式(5-12)で計算される最小のインクリメント

平均質量より小さくてはならない。ただし,どの場合でもインクリメントの平均質量は,

表 5-4 の質量を

絶対的下限値とする。


41

M 8811 : 2000

8.2.2.3.2

インクリメントの採取  手動式オーガーを用いてインクリメントを採取する。代表性のあるイ

ンクリメントを得るために,オーガーがロットの底まで穿孔でき,かつ穿孔したカラム全長の石炭・コー

クスを取り出すことを確実に行う。大きくかつ堅い石炭・コークス又は石は,インクリメントを採取する

とき,意図的に取り除いてはならない。湿っている石炭・コークスをサンプリング装置に付着したまま残

してはならない。

備考1.  粉炭・粉コークスの静置ロットでかつパイルの深さが浅い場合(例えば,30cm 以下),イン

クリメント採取用ショベル(

8-3参照)を用いてインクリメントを採取できる。しかしイン

クリメント採取用ショベルを用いて,静置ロットからインクリメントを採取することは一般

には推奨されない。理由は,ショベルを用いる手動式サンプリングでは,静置ロットの深さ

が浅い粉炭・粉コークスの場合を除いて,上部と底部が同じ面積となるカラムの採取が困難

になること,また塊炭・塊コークスには手動のショベルで太刀打ちできないことである。

2.

一般にトラック及び荷役用具から直接行う表面サンプリングは,推奨されない。特に 20mm

以上の粉塊混合物は,積み降ろし時の粒度偏析によって,採取試料に偏りが入りやすい。た

だし湿った 20mm 以下の石炭・コークスの場合,荷役中に現れた新しい面からインクリメン

トを採取すれば,上記の偏りが少ないことが経験的に分かっている。したがって,問題とな

る偏り(3.33 参照)が無いことを事前に確認している粉炭・粉コークスは,トラック及び荷

役用具内から,荷役中に露出した新しい面から,インクリメント採取用ショベル(

図 8-3 

照)を用いてインクリメントを採取してもよい。

3.

湿っている微粉の石炭・コークスでは,パイプ式サンプラ(7.1.7.4.1 

参考)を用いると底

までのインクリメント採取が容易に行えることが多い。ただしパイプ式サンプラを用いる場

合は,問題となる偏り(3.33 参照)がないことを事前に確認することを推奨する。

4.

品質チェックを必要とする石炭・コークスを定期的にトラック運搬するときは,トラック内

から採取するかわりに,カッタ形サンプラ(

図 7-1)を付設したミニコンベヤを設置してイ

ンクリメントを採取するとよい。この場合,採取するトラック及びそのサンプラでの採取タ

イミングは,8.2.2.4.3 の方法で決めるとよい。

図 8-3  インクリメント採取用ショベル


42

M 8811 : 2000

表 8-1  インクリメント採取用ショベルの大きさと試料の最大粒度

ショベル

番号

最大 
粒度

ショベルの寸法

mm

 mm

a

b

c

d

e

f

g

材料の

厚さ

mm

a/c

b/c

容量約

ml

大体の

質量

g

*

125 125

300

120

300

250

120

適宜 適宜

2 1.0

0.40

10

000

7

000

100

90

250

110

250

220

100

適宜 適宜

2 1.0

0.44

7

000

5

000

 75

 75

200

100  200  170

 80

適宜 適宜

2 1.0

0.50

4

000

3

000

 50

 45

150

 75  150  130

 65

適宜 適宜

2 1.0

0.50

1

700

1

200 

 40

  37.5

110

 65  110   95

 50

適宜 適宜

2

1.0

0.59

  790

 500

 30

  31.5

 90

 50   90   80

 40

適宜 適宜

2

1.0

0.56

  400

 300

 20

19

 80

 45   80   70

 35

適宜 適宜

2

1.0

0.56

  300

 200

 15

16

 70

 40   70   60

 30

適宜 適宜

2

1.0

0.57

  200

 150

 10

  9.5

 60

 35   60   50

 25

適宜 適宜

1

1.0

0.58

  125

 100

  5

   4.75   50

 30   50   40

 20

適宜 適宜

1

1.0

0.60

   75

  50

  3

  2.8

 40

 25   40   30

 15

適宜 適宜

  0.5

1.0

0.63

   40

  30

  1

 1

 30

 15   30   25

 12

適宜 適宜

  0.5

1.0

0.50

   15

  10

*

この質量は見掛比重約 0.7 の場合の質量である。

備考  ショベルは表 8-1 の寸法より一番下げても,ほとんど偏りは入らない。例えば,最大粒度 19mm

の石炭に 15 号を用いても大体よい。

8.2.2.4

インクリメントの割付

8.2.2.4.1

トラック

8.2.2.4.1.1

サンプリングするトラックの選定  必要なインクリメント個数がサブロットを構成するトラ

ック数より少ないときには,必要インクリメント数のトラックからトラック 1 台当たり 1 個のインクリメ

ントを採取する。必要なインクリメント個数がサブロットを構成するトラック数より多いときには,必要

インクリメント総数をトラック総数で割って,採取すべきトラック 1 台当たりのインクリメント個数を決

める。この割算で余りとなるインクリメント個数の部分は,サブロットを構成するトラック全体に割り付

ける。インクリメントを割り付けるトラックは,系統的(例えば,3 台ごと)又はランダム(8.2.2.4.3 参照)

に決めてよい。

備考  第一段として,インクリメントを割り付けるトラックを系統的又はランダムに選び,次に第二

段として,選んだトラックの中からインクリメントを系統的又はランダムに採取するサンプリ

ングを,二段サンプリング (two-stage sampling) と呼ぶ。5.に記述した断続サンプリングは,二

段サンプリングと見なすこともできる。したがってトラックの抽出台数及びインクリメント個

数を計算で求める場合は,式(5-7)及び式(5-8)  を参照するとよい。また 5.に記述した連続サンプ

リングは,層別サンプリング(二段サンプリングの特別な場合)と見なすこともできる。した

がってすべてのトラックからインクリメントを採取する場合,トラック 1 台当たりのインクリ

メント個数は,式(5-5)を参照して決めるとよい。

8.2.2.4.1.2

トラック内でのインクリメント採取位置  トラック内のすべての箇所が正しく代表されるよ

うに,

トラック内でのインクリメント採取位置はトラックごとに変える。

この方法には色々な方法があり,

トラックの構造又は大きさが違えばインクリメント採取箇所を変えるのがよいだろう。

例えば,採取対象のトラックでは石炭・コークスの表面を碁盤目(一辺が 1m,升目の数はトラックの

大きさによって変わる。

)に分割できる。インクリメントが一個/トラックのとき,採取対象トラック全体

で系統的にサンプリングを行うことができる。例えば,

図 8-4 で最初のトラックは 1 番の升目,次のトラ

ックは 2 番の升目とする。採取対象トラックごとに,例えば,

図 8-4 に示す全升目から面積基準で系統的


43

M 8811 : 2000

に採取箇所を決めてもよい。系統的にサンプリングをしない場合は,トラックごとに採取箇所をランダム

に決めなければならない(8.2.2.4.3 参照)

備考  トラックの荷台から石炭・コークスをダンプし,作った小山から,ダンプ直後に,インクリメ

ント採取する場合は,8.2.3 の方法で採取位置を決める。

8.2.2.4.2

はしけ(バージ)  はしけ又ははしけのホールドは,一般にトラックより大きいが,インクリ

メントの割付法は,基本的にトラックでの割付法と同じである。はしけ又ははしけのホールドからのイン

クリメントは,8.2.2.3 及び 8.2.2.4.1.2 に記述されている手順で採取しなければならない。

備考  はしけで荷役した石炭・コークスをグラブ,バケット又はもっこなどの荷役用具を用い荷役す

る際,二段サンプリングの 1 段目として何番目かの荷役用具を系統サンプリング方法によって

決め,2 段目のサンプリングは荷役用具内から,荷役中に,行うことがある(8.2.2.3.2 

備考

2.

参照)

。2 段目のサンプリングとなる荷役用具内からのインクリメント採取では 8.2.3 に記述す

る方法に準じて採取位置を決める。

大形はしけ及び大形船のホールドから石炭・コークスを直接サンプリングすることは,代表性のある底

までの試料採取が困難であるので,実施できない。大形船の場合は,港での積込み又は荷揚げ中に,港の

ハンドリング設備で流れから(6.1 に従って)石炭・コークスの試料を採取するのが正規のサンプリングで

ある。したがってこの規格では,このような大形船の船倉サンプリングは除外している。

8.2.2.4.3

インクリメントのランダムな選択  サンプリング対象区画(トラック,はしけ,はしけのホー

ルド又はいずれかの一部)を明確に決め,番号を付ける。採取する升目は次の a)b)いずれかの方法で決

める。

a)

採取するインクリメントごとに,対象区画の総数まで(

例  図 8-4 では 1∼12)の乱数を発生させる。

又は,

b)

一連の番号(

例  図 8-4 では 1∼12)を付けたディスク(一枚のディスクがその番号の対象区画に対

応する。

)を用意し,次の手順に移る。

①  トラック,はしけ又ははしけのホールドを選択する場合は,一連のディスクを袋に入れ,採取予定

の総数と同じ枚数のディスクを袋から取り出す。取り出したディスクは照合ボード上に置く。次に

取り出したディスクの番号に対応するトラック,はしけ又ははしけのホールドからサンプリングを

行う。

②  コンテナ(トラック,はしけ又ははしけのホールド)のサンプリング対象区画を選択する場合は,

まずサンプリング現場に袋を二つと採取対象区画を示す図面を一枚用意する。

・最初のコンテナでの手順:

ディスクを 1 番目の袋に入れ,採取予定総数のディスクを袋から取り出す。

次に取り出したディスクの番号に対応する対象区画からサンプリングを行う。

使い終わったこれらのディスクを 2 番目の袋に入れる。

・2 番目のコンテナでの手順:

1

番目の袋から,採取予定総数のディスクを袋から取り出す。

次に取り出したディスクの番号に対応する対象区画からサンプリングを行う。

使い終わったこれらのディスクを 2 番目の袋に入れる。

・3 番目以降のコンテナでの手順:

前記手順を繰り返す。ただし,1 番目の袋が空になったら,1 番目の袋のディスクを 1 番目の袋

に移して前記手順を繰り返す。


44

M 8811 : 2000

備考  この手順では,インクリメントのサンプリング対象区画が毎回必ず変わる。

1 2 3 4

5 6 7 8

9 10 11 12

図 8-4  コンテナ内のサンプリング対象区画の分割例

8.2.3

ストックパイルからのサンプリング  ストックパイルからのサンプリングは,パイル積付け時又は

パイル払出し時に,6.1 に記述されているコンベヤ輸送中の機械式方法で行う。コンベヤ輸送中の機械式サ

ンプリングが不可能の場合は,次の方法を採用する。

備考  ストックパイルからの直接サンプリングは,一般に代表性のある試料採取の面で問題となるこ

とが多い。ただし,作った直後の小山(例えば,高さが 30cm 以下)から,インクリメント採

取用ショベル(

図 8-3 参照)を用いて,手動でサンプリングする場合,底までの採取が可能で

あるので,代表性のある試料が得られるだろう。作った直後の小山(例えば,高さが 3m 以下)

が,湿っている粉炭・粉コークスの場合は,8.2.2.3.2 

備考 2.参照。

5.4.5

に従ってサブロット個数を決定し,ロット質量をサブロット個数で割りサブロットの質量を計算す

る。

手動式オーガー,

インクリメントスコップ又はこれに代わる器具を用いてインクリメントを採取する。

代表性のあるインクリメントとなるように,ストックパイルの底まで穿孔できるオーガー又はこれに代わ

る器具を用いて,パイル底までの石炭・コークスを確実に系統的に採取する。穿孔又は採取箇所は,次の

いずれかの方法で決め,対象パイルのすべての粒子に採取されるチャンスを等しく与える。

a)

ストックパイル表面を,例えば,碁盤目状(

図 8-4 参照)又は同心円状(図 8-5 参照)に分割し,等

しい面積の各升目から底までの穿孔試料を採取する(面積基準サンプリング)

備考  面積基準サンプリングで採取したインクリメントを合わせるとき,各インクリメントは,縮分

をしないで又は定比縮分を行った後,インクリメントを合わせなければならない。

図 8-5  小さな円形パイルからのインクリメント採取箇所(面積基準の例)

b)

まず測量によってストックパイルの体積を細かく調べる。次に等体積間隔でパイルの底までのサンプ

リングを順次行う(体積基準サンプリング)

備考  体積基準サンプリングで採取したインクリメントを合わせるとき,各インクリメントは,ほぼ

一定質量に定量縮分を行った後,インクリメントを合わせなければならない。


45

M 8811 : 2000

参考  この規格に記載する空間基準系統サンプリング (space-basis-systematic sampling) は,上記 b)

外はすべて面積基準サンプリングであることからこの規格では,space-basis sampling は,面積

基準サンプリングと表現している。

備考  底までのサンプリングであっても,採取区画を系統的に決めていない(例えば,図 8-5 の小山

で外側のドーナツ部分からだけ 18 個採取する)方法は,一般的に代表性のある試料が採取でき

ないので,採用してはならない。

8.2.4

表面サンプリング  ストックパイル又トラック等に積載した石炭・コークスからのサンプリングは,

積込み時又は積卸し時に,流れから全断面サンプリングを行うのが正規の方法である。この方法が不可能

な場合には,底までの面積基準系統サンプリング(8.2.3 参照)を行う。

備考  品質チェックを必要とする石炭・コークスを定期的にトラック運搬するときは,トラック内か

ら採取するかわりに,カッタ形サンプラ(

図 7-1)を付設したミニコンベヤを設置してインク

リメントを採取するとよい。この場合,採取するトラック及びそのサンプラでの採取タイミン

グは,8.2.2.4.3 の方法で決めるとよい。

静置ロットで底までのサンプリングが不可能なときは,静置ロットを作った直後の表面サンプリングが

次善の方法となるかもしれない。しかしこの表面サンプリングは,一般的に代表性がないので取引には推

奨できない(例外は,8.2.2.3.2 

備考 2.参照)。特に長時間を経過した静置ロットからの表面サンプリング

は,代表性がなく,サンプリング,試料調製及び分析が無駄になるだけでなく,誤解を与える測定値を生

むことが多いので,ロットの平均品質を決定する目的には推奨できない方法である。

備考  表面サンプリングが代表性に乏しい理由は,次のとおり。

a)

水分を多く含む石炭・コークスでは,パイル上部/表面と底部/内部で水分値が異なり,更

に時間の経過とともにこの水分値差は大きくなる。

b)

荷卸し時の粒度偏析によって,相対的に表面の粒子は細かく,底部の粒子は粗くなる。した

がって粒径によって品質特性が異なる石炭・コークスでは表面サンプリングを行うと粒度だ

けでなく品質特性の測定結果にも偏りが入る。

9.

試料調製

9.1

試料調製精度  精度チェック実験方法(11.)に記載した式から,連続サンプリングを行った対象ロッ

トについて得た結果の総合精度

β

SPM

は,信頼率 95%で絶対値表示すれば,次式となる。

m

n

PM

W

SPM

2

2

1

2

σ

σ

β

+

=

 (9-1)

ここに,

n

サブロット当たりのインクリメント個数

m

サブロットの個数(大口試料の個数)

σ

W

一次インクリメントの品位変動

σ

PM

標準偏差で表した試料調製及び測定精度

この規格で規定する手順は,次の精度レベルが得られるように設計されている。

石炭の場合,灰分及び水分双方について,

σ

PM

≦0.447 (

σ

PM

2

≦0.2)

機械式縮分器を用いれば更によい精度が期待できる。

コークスの場合,水分について,

σ

PM

≦0.224 (

σ

PM

2

≦0.05)

他の化学成分では,更によい精度が期待できるだろう。


46

M 8811 : 2000

しかし試料調製方法によっては,実施上の制約から試料調製及び測定精度を上記の値のようには低くで

きないかもしれない。このような場合は,試料調製方法を見直すかサブロットの数を増やすかして,要求

総合精度を達成することが必要になるだろう。

試料調製及び測定の様々な段階で発生する誤差は,誤差が精度

β

PM

で表現されてはいるが,11.に記載さ

れている方法でチェックして差し支えない。

9.2

試験試料の作り方

9.2.1

全般  インクリメントからの試験試料の作り方の例は,図 9-1 に示す。

個々のインクリメントは,通常合わせて,一つの試験試料とする。一つの試験試料は,サブロット全体

のインクリメントを合わせて作ってもよいし,サブロットの各部分のインクリメントを合わせて作っても

よい。ある状況下では,例えば,粒度分析や偏りテストの場合,一つのインクリメントを調製して試験試

料とする。

インクリメントを合わせる手順(9.3 参照)は,一次インクリメントの採取を時間基準サンプリングで行

った場合(9.3.1)と質量基準サンプリングで行った場合(9.3.2)で,異なる。


47

M 8811 : 2000

図 9-1  試験試料の合わせ方の例

試験試料はまた,他の試験試料を合わせて調製してもよい[

図 9-1 b)又は 9.3.2 参照]。

備考  ロットの平均品質を決定する目的の一次インクリメントサンプリングで,時間基準サンプリン

グを採用する場合は大口試料から試験試料を調製する。

小口試料ごと又はインクリメントごとに試験試料を調製する場合は,各インクリメントが代

表するロットの質量を明確に把握しなければならない。逆に各インクリメントが代表するロッ

トの質量を明確に把握できないならば,小口試料ごと又はインクリメントごとに試験試料を調

製せず,ロットを分割しないで全部のインクリメントを合わせた大口試料から試験試料を調製


48

M 8811 : 2000

しなければならない。

時間基準サンプリングが質量基準サンプリングとみなせる場合には,サブロットごと又はイ

ンクリメントごとに試験試料を調製してもよい。

9.2.2

インクリメントの合わせ方

9.2.2.1

時間基準サンプリングの試料  一次インクリメントの質量は,インクリメント採取時の流量に比

例しなければならない。一次インクリメントを縮分しない場合は,各インクリメントは,直接合わせて試

験試料としてもよい。一次インクリメントを縮分する場合,各インクリメントは,適当な段階で定比縮分

3.13 参照)を行った後,合わせて試験試料とする(9.3 参照)

9.2.2.2

質量基準サンプリングの試料  もし一次インクリメントの質量が“ほぼ一定量”(備考参照)で

あれば,各インクリメントは直接合わせて試験試料としてもよい。又は各インクリメントを適当な段階で

定比縮分(3.13 参照)を行った後,合わせて試験試料としてもよい(9.3 参照)

備考  “ほぼ一定量”は,インクリメント質量の変動係数が 20%未満,かつ,インクリメント採取時

の流量とインクリメント質量の間に有意な相関がないとき,達成される(5.8 参照)

もし一次インクリメントの質量が“ほぼ一定量”でないときは,個々のインクリメントを定量縮分(3.12

参照)した後でなければインクリメントを合わせてはならない(9.3 参照)

9.2.3

小口試料の合わせ方  小口試料を合わせるときは,対象サブロットの品質特性値の加重平均値を得

るため,個々の小口試料の質量はそれが代表するサブロットの各部分の質量に比例していなければならな

い。小口試料を合わせる前の縮分は,定比縮分(3.13 参照)でなければならない(9.3 参照)

9.3

縮分

9.3.1

全般  縮分はオンライン機械式若しくはオフラインの機械式又は手動式方法で行うことができる。

人による誤差を最小にするため,可能なときはいつでも,手動式方法よりも機械式方法を採用することを

推奨する。縮分機の例を

図 9-2 に示す。

機械式縮分機は,比較的少量のカットを多数採ることによって,石炭・コークスの一部分を抽出するよ

うに設計されている。縮分機を一回通すことで得られる縮分後最小質量が所要質量より多いときには,縮

分後の試料を同じ縮分機に再度通すか又は違う縮分機に通すかする必要がある。

目で見て濡れている石炭・コークスは,縮分機をうまく通り抜けないかも知れない,また縮分機の表面

に付着するかもしれない。この様な場合は,縮分前に 9.6 に規定されている予備乾燥が必要となるだろう。

機械式方法では試料の変質(例えば,水分ロスや粉化)が予想されるときは,手動式方法を用いるのが

普通である。手動式方法は,縮分しようとする石炭・コークスの質量が大きいときは特に,手動式方法自

体で偏りを引き起こすかもしれない。

備考  縮分は,原則として,石炭類については最大粒度が 53mm 以下の試料で行い,コークス類につ

いては最大粒度が 31.5mm 以下の試料で行うとよい。ただし,コークス類については,粒度別

比例縮分法によって縮分する場合には,破砕しなくてもよい。


49

M 8811 : 2000

図 9-2  縮分機の例


50

M 8811 : 2000

図 9-2  縮分機の例(続き)


51

M 8811 : 2000

図 9-2  縮分機の例(続き)


52

M 8811 : 2000

図 9-2  縮分機の例(続き)


53

M 8811 : 2000

図 9-2  縮分機の例(続き)

9.3.2

機械式方法

9.3.2.1

全般  機械式縮分は,個々のインクリメントごとに又は小口試料ごとに行ってよい,その際必要

ならば縮分前に適切な最大粒度に粉砕していてもよい。

9.3.2.3

で説明するカット間の間隔の条件に応じて,

縮分の方法は定量縮分(3.12 参照)か定比縮分(3.13 参照)かを決めるものとする。

図 9-3 に縮分手順の

例を示す。

備考  ここに記述した定比縮分の手順は,実施が最も簡単な手順である。これ以外の定比縮分の手順

も,縮分後の質量が縮分前の質量と比例するならば,使って差し支えない。例えば,縮分機へ

の供給流量を縮分しようとする石炭・コークスの質量と比例するようにできれば,カットの数

は一定にできるだろう。

9.3.2.2

カットの質量  カットの質量は,その縮分の間は一定でなければならない。カットの質量を一定

にするためには,供給する石炭・コークスの流れは均一でなければならないし,かつ,カッタの開度も一

定でなければならない。縮分機への供給方法は,縮分によるどんな偏析も最少化するように設計しなけれ

ばならない。

カッタの開口幅は,

縮分しようとする石炭・コークスの最大粒度の少なくとも 3 倍はなければならない。


54

M 8811 : 2000

9.3.2.3

カット間の間隔  偏りを最少化するために,縮分する質量ごとの最初のカットは,最初の縮分間

隔内でランダムに行わなければならない。二次及び三次の縮分機では,当該カッタの運転周期は,先行カ

ッタの運転周期の整数倍(又は整数分の 1)にしてはならない。

定量縮分(3.12 参照)では,縮分後の試料質量を“ほぼ一定質量”とするため,カットの採取間隔は縮

分しようとする石炭・コークスの質量に比倒しなければならない。

定比縮分では,縮分後の試料質量を縮分前の試料と比例させるため,カットの採取間隔は,縮分しよう

とする石炭・コークスの質量変化と関係なく,一定にしなければならない。

9.3.2.4

個々のインクリメントの縮分

9.3.2.4.1

カットの数  インクリメントを縮分する場合のカット数は,次の手順で決めるものとする。

a)

定量縮分(3.12 参照)の場合,カットの最小数はどの段階の縮分であっても 4 個とする。

同一サブロット内であれば各インクリメントのカット数は,すべて同じものとする。

b)

定比縮分(3.13 参照)の場合,平均質量のインクリメントからの最小カット数は,どの段階であって

も 4 個とする。

縮分したインクリメントを引き続き縮分する場合,先行した縮分のそれぞれのカットから 1 個以上のカ

ットを採るものとする。

図 9-3 には,インクリメントごとの縮分例及び縮分した試料をさらに縮分する例を示す。

9.3.2.4.2

縮分後インクリメントの最小質量  縮分後インクリメントの最小質量については,サブロット

全体の縮分後インクリメントを合わせた質量が,どの段階の縮分であっても,

表 9-1 に規定されている試

験目的及び最大粒度に対応する質量以上でなければならない。もしインクリメントの質量が小さ過ぎ,こ

の規定を満たさないならば,さらに粉砕した後で縮分しなければならない。

9.3.2.5

試料の縮分

9.3.2.5.1

カットの数  すべてのインクリメントを合わせた大口試料又はすべての縮分後インクリメント

を合わせた大口試料は,20 個以上のカット数で,縮分しなければならない。小口試料は,12 個以上のカッ

ト数で,縮分しなければならない。

備考  もし試料調製の過程で試料を完全に混合でき,要求精度を達成できることが立証できれば,大

口試料でのカット数を 20 個より減らしてもよい。質量が小さ過ぎる場合は,機械式の代わりに

手動式方法で縮分するのが望ましい。

9.3.2.5.2

縮分後試料の最小質量  縮分後試料の最小質量は,試料調製のどの段階であっても縮分したイ

ンクリメントを合わせた質量が,試験目的及び最大粒度に対応する

表 9-1 に示す質量以上となるようにし

なければならない。もしインクリメント質量が小さ過ぎて,

表 9-1 の規定を満たさないと予想される場合,

縮分したインクリメントは,次の縮分をする前に粉砕しなければならない。


55

M 8811 : 2000

図 9-3  インクリメント及び試料を縮分する手順例


56

M 8811 : 2000

表 9-1  縮分後試料の最小質量

a)

石炭類

粒度分析用試料

kg

要求する縮分精度

石炭の最大粒度

mm

一般分析用及び

共用試料

kg

全水分用試料

kg

±1%

±2%

300

15 000

3 000

54 000

13 500

200

  5 400

1 100

16 000

  4 000

150

 2 600

  500

 6 750

 1 700

125

 1 700

  350

 4 000

 1 000

 90

  750

  125

 1 500

   400

 75

  470

   95

  850

   210

 63

  300

   60

  500

   125

 53

  170

   35

  250

    65

 45

  125

   25

  200

    50

    37.5

   85

   17

  110

    30

    31.5

      55

      10

      65

        15

    22.4

      32

        7

      25

          6

  16

      20

        4

        8

          2

    11.2

      13

          2.5

        3

            0.7

   9.5

   10

     2.0

    2

      0.5

    8

        6

          1.5

        1

              0.25

   5.6

    3

     1.2

     0.5

       0.25

    4

          1.5

          1.0

            0.25

              0.25

   2.8

     0.6

          0.6

            0.25

              0.25

    2

            0.25

  1

     0.1

   <0.5

      0.06

備考  2 番目の列の数値は一回の縮分精度

σ

Di

=0.1%灰分に基づいている。この表の数値は一般にオフラインの縮分

用である。しかしオンラインで縮分する場合は,最大粒度が 16mm 以下の試料では,この表の数値を採用す
ると試料の質量が小さ過ぎ,試料の完全さを十分には維持できなくなるかもしれない。

b)

コークス類(ガイド)

最大粒度

mm

4 5.6  8 11.2

16

22.4

31.5

45

63

90

125

>125

最小質量

kg

1

2

4

8

15

30

60

125

250

500

1 000

2 000

備考1.  石炭の粒度分析では,原則として,インクリメントごと,小口試料ごと又は大口試料を縮分

することなく,そのまま全量を測定試料とする(JIS M 8801参照)

なお,インクリメントごと又は小口試料ごとに粒度分析する場合,一次インクリメントの

サンプリングは質量基準で行う(9.2.1 

備考参照)。

粒度用試料では,縮分した試料を測定試料とする場合に限り,

表 9-1 a)の最小質量を適用

するとよい。

2.

コークスの水分用試料の場合,オフラインの試料調製で一度に粉砕する試料の質量は 70kg

以下とする。

3.

表 9-1 b)に示した質量は,品質が未知又は不均質のコークスに適用する最小質量のガイドで

ある。水分用試料は通常

表 9-1 b)に示した質量以下に減らすことができるだろう。コークス

の粒度分析では,原則として,インクリメントごと,小口試料ごと又は大口試料を縮分する


57

M 8811 : 2000

ことなく,そのまま全量を測定試料とする(JIS K 2151 参照)

なお,インクリメントごと又は小口試料ごとに粒度分析する場合,一次インクリメントの

サンプリングは質量基準で行う(9.2.1 

備考参照)。

参考  注意事項であるが,それぞれのケースで総合の縮分精度  (

σ

D

)

は各縮分段階の縮分の分散

σ

Di

2

の和によって決まる,つまり

σ

D

2

σ

D1

2

σ

D2

2

σ

D3

2

…となっている。縮分後試料の最小質量 M

s

は,その要求精度に応じ,次式から計算しても差し支えない。

2

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

DR

DO

O

S

M

M

σ

σ

 (9-2)

ここに,

M

0

表 9-1 に記載された所与の最大粒度における縮分後の最小
質量

σ

D0

表 9-1 に記載された所与の縮分段階における精度

σ

DR

所与の縮分段階における要求精度

9.3.3

手動式縮分方法

9.3.3.1

リッフル法(分器法)  リッフル(図 9-4 参照)は,試料を 1 回通すことで試料を 2 分する縮

分器である。2 分された一方は試料としてキープし,他の半分は廃棄するのが普通である。リッフルは,

通常ポータブルであり,縮分するときは,石炭・コークスの試料が長手方向に均等にばらまけるように,

手動でフィードすることが多い。隣り合ったスロット(溝)に入った粒子は,各々反対側の試料受け器に

入るようになっている。

スロットの幅は,石炭・コークスの最大粒度の 3 倍以上でなければならない。リッフルは,偶数のスロ

ットをもつものとし,スロット数は片側で最少で 8 個,9 個以上が望ましい。石炭・コークスが載る面は,

水平に対し 60 度以上の傾斜をつけるものとする。試料受け器は,リッフルの出口にぴったり合い,微粉が

飛散しない構造でなければならない。リッフルの内面は,平滑であって,さびの生じたものを使ってはな

らない。

備考  要求精度を満たすことを,確認している場合は,表 9-2 に示す号数のリッフルを用いてもよい。

表 9-2  粒度とリッフルの大きさ

最大粒度

リッフルの種類

スロット(溝)の幅

mm

16 mm

を超え 19

mm

以下

50

号 50

9.5 mm

を超え 16

mm

以下

30

号 30

4.75 mm

を超え 9.5 mm 以下

20

号 20

2.8 mm

を超え 4.75  mm 以下

10

号 10

2.8

mm

以下

  6

6

石炭・コークスは,すべてのスロットに均等にばらまくようにしながら,同時に,リッフルに絶え間な

く落ちるようにしなければならない。石炭・コークスは,リッフルの一方向側だけに偏らないよう,自由

に落下させなければならない。フィードするに当たっては,スロットが絶対に詰まらないようフィード量

を加減しなければならない。密閉式のリッフルが望ましい。

粉塵及び水分のロスを最小にするよう注意しなければならない。この目的のため受け器は,リッフル本

体にぴったり密着したものとし,かつ,乾いた試料及び水分用試料に備えて密閉形のリッフルを使用しな

ければならない。

縮分の一段階で 2 回以上試料を通過させる必要があるときは,残す試料は両側の受け器から交互に採る

ものとする。


58

M 8811 : 2000

図 9-4  リッフルの例

9.3.3.2

インクリメント縮分方法  この手順は図 9-5 に示しているが,次のとおり:

滑らかで吸湿性がなく,かつ汚れていないミキシングプレートの上で,試料を完全に混合し,その後一

様な厚さの長方形状に広げる。試料の厚さは最大で,石炭・コークスの最大粒度の 3 倍とする。

備考1.  湿った石炭・コークスでは,完全に混合することは,水分ロスを引き起こすだろうから,避

けたほうが望ましい。

2.

インクリメント縮分方法は,粒度用試料の縮分には用いないほうがよい。

石炭・コークスの試料質量が大きくて,広げた小山が 2m×2.5m より大きくなるときは,等質量の二つ

以上の小山を作り,各小山から別々に試料を採らなければならない。

広げた試料に,最低 4×5 に等分するような,碁盤目状の印をつける。一つのインクリメントは一つの升

目からランダムに採る。採るときは,試料層の底まで当て板(

図 9-5 参照)を突き刺し,次にスコップを

当て板に当たるまで差し込んでインクリメントを採る。各升目から採ったインクリメントを合わせて縮分

試料とする。

各インクリメントは,等しい質量とする。それぞれの最大粒度で要求されるインクリメントの最小質量

は,

表 9-1 の縮分後最小質量を広げた小山の升目の数で割ったものである。この質量は適切な大きさのイ

ンクリメントスコップを使用することで決まる。

備考  インクリメント縮分を行う場合の試料の粒度と縮分用スコップ,試料の厚さの例は表 9-3 に示

す。


59

M 8811 : 2000

表 9-3  試料粒度とインクリメント縮分用スコップの大きさ例

最大粒度

インクリメント 
縮分用スコップ

広げた試料の厚さ

mm

19mm

以下 20R

35

∼45

16mm

以下 15R

30

∼40

9.5mm

以下 10R

25

∼35

4.75mm

以下

5R

20

∼30

2.8mm

以下

3R

15

∼30

1mm

以下

1R

10

∼15

250

µm 以下

   0.25R

 5

∼10

インクリメントスコップは,底が平らで,かつ採り口の幅は最大粒度の 3 倍以上なければならない。ス

コップ側壁の高さは広げた小山の高さより高くし,かつスコップの奥行きは,採取するインクリメントの

所要質量が入る,十分な長さとしなければならない。

備考1.  水分ロスを防ぐには,上記手順を素早く行うことが不可欠である。

2.

スコップでインクリメントを採るときは,当て板を使用するのが望ましい。当て板は,広げ

た小山に垂直に突っ込み,試料層の底まで届かせる。次にスコップを広げた石炭・コークス

の下に差込み,垂直に立てた当て板にスコップの開放端が触るまでスコップを前に動かす。

ミキシングプレート上の全粒子を採るようにし,かつ粒子が一粒も落ちないようにしながら,

スコップと当て板を一緒に持ち上げる。


60

M 8811 : 2000

図 9-5  インクリメント縮分方法 (Flatted heap method)

インクリメント縮分用スコップの例を

図 9-6 及び表 9-4 に示す。

図 9-6  インクリメント縮分用スコップ


61

M 8811 : 2000

表 9-4  インクリメント縮分用スコップの大きさと試料の最大粒度

スコップの寸法  mm

スコップ

番号

最大 
粒度

mm

a

b

c

d

f

g

材料の

厚さ

mm

a/c

b/c

容量約

ml

大体の

質量

g

*

 50R

45

150  75  150  130

適宜 適宜

2

1.0

0.50

1 700

1 200

  40R

  37.5

110

65

110   95

適宜 適宜

2

1.0

0.59

 790

 500

  30R

  31.5

 90

50

 90   80

適宜 適宜

2

1.0

0.56

 400

 300

  20R

19

 80

45

 80   70

適宜 適宜

2

1.0

0.56

 300

 200

  15R

16

 70

40

 70   60

適宜 適宜

2

1.0

0.57

 200

 150

  10R

   9.5

 60

35

 60   50

適宜 適宜

1

1.0

0.58

 125

 100

5R

    4.75   50

30

 50   40

適宜 適宜

1

1.0

0.60

  75

  50

3R

   2.8

 40

25

 40   30

適宜 適宜

  0.5

1.0

0.63

  40

  30

1R

  1

 30

15

 30   25

適宜 適宜

  0.5

1.0

0.50

  15

  10

 0.25R

    0.25   15

10

 15   12

適宜 適宜

  0.5

1.0

0.67

   2

   2

*

この質量は見掛比重約 0.7 の場合の質量である。

備考  スコップは表 9-4 の寸法より一番下げても,ほとんど偏りは入らない。例えば,最大粒度 19mm

の石炭に 15 号を用いても大体よい。

9.3.3.3

かまぼこ縮分方法(帯状混合分割法)  かまぼこ縮分方法の手順は,図 9-7 に示しているが,次

のとおりである。

石炭・コークスの試料をミキシングプレート上で,長さが幅の 10 倍以上の帯状に成形する。プレートの

表面は滑らかで,吸湿性がなくかつ汚れていないものとする。かまぼこをつくるときは,かまぼこの両側

から,端から端まで石炭・コークスをランダムにばらまき,長手方向に均等にする。エンドプレートは,

長手方向での粒度偏析を防ぐために使う。

インクリメントは,かまぼこの全断面部分から採らなければならない。各断面の幅は石炭・コークスの

最大粒度の 3 倍以上とする。

図 9-7  かまぼこ縮分方法  (Strip-mixing and splitting method)

備考  必要なら特別なインクリメント採取枠を作ってもよい。


62

M 8811 : 2000

正規には 20 個のインクリメントが必要である。ただし,同じ品質の石炭・コークスを同じ条件下で定期

的に調製し,かつ,要求精度が達成できる(11.参照)ことが事前に分かっている場合,インクリメント個

数を 10 個までは減らしてもよい。

備考  かまぼこを作るときに長手方向の混合を効果的に行えば,インクリメント縮分と同じ精度が,

より少ないインクリメント個数で達成できるかもしれない。

9.4

粉砕

9.4.1

全般  粒子を粉砕するときは,機械式の粉砕機を使用しなければならない。しかし最初の粉砕機に

供給可能な最大の粒度とする場合に限り,大塊を手動で砕いてもよい。

試験試料は,当該試験方法に規定された粒子径まで粉砕しなければならない。

備考  粉砕機ごとに定期的にその産物をふるって最大粒度を測定することによって,粉砕機の開度設

定をチェックするのが望ましい。

9.4.2

粉砕機  産物の粒子径は,粉砕機の粉砕速度及び設計によって決まる。粉砕機は,産物に要求され

る粒子径が極端な開度設定をしないで得られるように設計しなければならない。粉砕機での試料ロス及び

残留は,次の試料の異物混入になる可能性があるので,最小限にしなければならない。試料の加熱及び空

気流の影響は,特に試料が全水分,発熱量及びコークス化性の測定に使われる場合,最小限にしなければ

ならない。

粉砕機では,試料の部分的な加熱を避けるため,金属面同士の接触がないようにしなければならない。

完全密閉の高速(20Hz 以上)ボールミルは使用してはならない。産物の粒子径は,石炭・コークスの硬さ

に影響される。しかし,その影響は粉砕速度による。

試験によっては特別な産物粒度分布が要求される。そのときは,要求される粒度分布を確保できる形式

の粉砕機を選択しなければならない。

9.5

混合  試料又はインクリメントが試料調製設備を流れている間は,混合操作はできない。したがっ

て混合操作はオフラインでの試料調製に限定される。

理屈では,縮分前に試料を完全に混合すれば,試料調製誤差が減る。しかし実際には,それを達成する

のは容易でない。ある手動式混合方法は,例えば,円すい形の小山作りを繰り返す方法は,偏析を大きく

して逆効果を招く。また混合は水分ロスを起こすかも知れない。

採用できる一つの方法は,リッフル(9.3.3.1)又はコンテナ形の縮分機[

図 9-2 c)]に試料を 3 回通し,通

すごとに分けた試料を合わせる方法である。試料調製の過程で機械式縮分機を使う場合は,要求精度を満

たすための追加混合プロセスは普通不要である。

備考  試験試料調製の最終段階では,機械式混合が有効になるかもしれない。

9.6

予備乾燥

9.6.1

全般  試料を薄く広げ,石炭・コークスの水分を大気雰囲気で平衡させる。

広げる石炭・コークス層の厚さは,最大粒度 の 1.5 倍か,また単位負荷 1g/cm

2

のいずれか大きい方を

超えてはならない(

表 9-5 参照)。

表 9-5  予備乾燥時の粒度と広げる試料の最大厚さ(例)

最大粒度 d

mm

<5.6

 8

  11.2

16

  22.4

  31.5

45

45

<

コークス

15 15 15 20 30 45 65

1.5

×d

試料の最大厚さ

mm

石炭  10 10 15 20 30 45 65

1.5

×d


63

M 8811 : 2000

9.6.2

石炭の予備乾燥  大気温度が 40℃までの雰囲気で石炭水分を平衡させる推奨時間を表 9-6 に示す。

普通は

表 9-6 の推奨時間で十分であるが,特に酸化しやすい石炭では酸化によって質量が増えることがあ

るので,予備乾燥時間を延長し過ぎないよう注意する。

表 9-6  予備乾燥の推奨乾燥時間(石炭)

予備乾燥温度

推奨乾燥時間

時間

20 24

以下

30

6

以下

40

4

以下

石炭試料が酸化を受けやすい場合又は試料を次の試験に用いる場合は,乾燥温度は 40℃を超えてはなら

ない。

a)

発熱量

b)

コークス化性

c)

るつぼ膨張指数

d)

全水分測定の一部としての予備乾燥

雰囲気以上の温度で乾燥するときは,適切な換気装置のあるキャビネット又はオーブンを使用しなけれ

ばならない。昇温させて乾燥した場合は試料を冷まし,水分が雰囲気温度で平衡になった後で,ひょう量

しなければならない。必要な空冷時間は乾燥温度による。例えば,石炭試料を 40℃で乾燥した場合は,普

通 3 時間で十分である。

9.6.3

コークスの予備乾燥  試料全量を風袋込みで,JIS M 8810 に規定されたはかりで測定する。試料

を鋼板上に薄く広げ,

よく換気された暖かい室内に 12 時間以上かつコークス又は鋼板が目で見てぬれてい

なくなるまで放置する。この間に試料容器を乾燥させ,ひょう量する。予備乾燥が完了した試料は元の試

料容器に戻し,ひょう量して質量ロスを%で算出する。

備考  コークスの予備乾燥温度は 40℃を超えてもよい(150℃以下)。

9.7

用途別試料調製

9.7.1

試験試料のタイプ  調製する試験試料のタイプは,次のとおり。

a)

全水分測定用試料

b)

一般分析用試料(全水分測定には使用しない試料)

工業分析他に用いる一般分析用試料は,気乾試料(9.7.3.4 参照)とする。

c)

全水分及び一般分析用の共用試料

工業分析他に用いる一般分析用試料は,気乾試料(9.7.3.4 参照)とする。

d)

粒度用試料

e)

その他試験用試料,例えば,HGI 測定用試料

試料調製の方法は,試料を採取した実際の目的及び方法で異なってくる。

9.7.2

全水分用試料の調製

9.7.2.1

全般  全水分用の試験試料は,JIS M 8820 の要求に合致するように調製しなければならない。

水分値測定の試験試料を調製するとき大きい問題となるのは,不注意による水分ロスが原因となる偏り

である。この水分ロスの程度を左右する要因には,次のものがある。

a)

試料容器の密閉の有効性

b)

もとの試料の水分値レベル


64

M 8811 : 2000

c)

ラボの雰囲気

d)

石炭・コークスの種類

e)

採用する試料調製方法

試験試料の調製には事前に予備乾燥を行う場合もあるし予備乾燥を行わない場合もあるだろうが,推奨

する手順は,未粉砕試料を縮分するときは

表 9-1 の値より小さい質量にしないこと,かつ予備乾燥するこ

とである。そしてその後試料を粉砕し,所要の試験試料に縮分する。

事前の予備乾燥は,

その後行う粉砕/縮分段階での水分ロスを最小限にする目的で行うのが普通だろう。

予備乾燥前の粉砕/縮分が許されるのは,

粉砕/縮分による有意な水分の偏りが起きない場合だけである。

もし石炭・コークスが濡れていて試料容器から水分がしみ出てくる程であれば,試料及び試料容器全体

を水が出なくなるまで予備乾燥し,かつこの乾燥減量を記録しなければならない。コークスでは,水分値

が 15%以上と予想される場合も予備乾燥を行う。

未粉砕試料の質量が大き過ぎ予備乾燥が実施不可の場合は,予備乾燥前に粉砕/縮分するものとする。

この粉砕は,ハンドリングできる質量に縮分可能な最小限のものでなければならない。これらの手順で偏

りがないことは,12.に記述する方法でチェックしなければならない。

試料の粒子径が大き過ぎ

表 9-1 の質量では予備乾燥が実施不可の場合は,予備乾燥前に粉砕/縮分する

ものとする。この粉砕は,ハンドリングできる質量に縮分可能な最小限のものでなければならない。この

試料調製手順は,有意な偏りがないかを,粉砕なしで予備乾燥する手順を基準方法として,12.に記述する

方法でチェックしなければならない。

試料調製の途中で予備乾燥を行う場合,JIS M 8810 に規定されたはかりを用い,予備乾燥における乾燥

減量 B

moi

 (%)

は,JIS Z 8401 によって小数第 2 位に丸め,記録しておき,全水分計算時に使用しなければ

ならない。

予備乾燥(JIS M 8820 では,第 1 段階乾燥と呼ぶ。

)した試料の水分を,JIS M 8820 に従って測定する

とき,この試料の全水分 m

moi

 (%)

は,次式で与えられる。

÷÷ø

ö

ççè

æ −

+

=

100

1

moi

moi

moi

moi

B

C

B

m

 (9-3)

ここに,  B

moi

予備乾燥における乾燥減量(第 1 段階乾燥減量)

C

moi

JIS M 8820

に従って測定した第 2 段階乾燥減量

石炭の水分用試料調製方法(JIS M 8820 の 5. 

二段階乾燥方法)の例を図 9-8 に示す。

コークスの全水分測定用試料(0.6kg/測定試料)の調製方法例を,

図 9-11 に示す。

最大粒度が 22.4mm 以下の中塊・粉コークスの縮分は,9.7.2.4 の方法によって行う。


65

M 8811 : 2000

図 9-8  水分用試料(二段階乾燥方法:第 段階乾燥用の試験試料までの)調製方法の例

9.7.2.2

試料の保管  不適切な試料容器の使用及びハンドリング中の水分蒸発による水分ロスを最小限

にする予防策を講じなければならない。すべての水分用試料は,試料調製の前及び調製途中(これには試

料調製が数段階かかる場合はそのすべての問も含む)は,密閉容器にいれて,覆いの付いた冷所に保管し

なければならない。

備考1.  保管時間が長過ぎて水分の偏りを引き起こす場合は,サブロット個数(大口試料個数)を増

やすか又は小口試料を作成して保管時間を短縮し,この偏りを解消することが望ましい(5.3

5.4

及び5.5参照)

2.

水分用試料を保管する場合は,保管前にひょう量し,保管中の水分ロスを測定できるように

しておくことを推奨する。

9.7.2.3

試料の粉砕  試料を粉砕する場合は,感知できる加熱がないようにし,かつ粉砕機中の空気流を

最小限にすることによって,粉砕中の水分ロスを最小限にしなければならない。その粉砕で有意な偏りが

発生しないことが証明できない場合は,粉砕前に予備乾燥しなければならない。

9.7.2.4

試料の縮分  予備乾燥をしていない試料又はインクリメントを縮分する場合は,水分ロスを最小

限にする注意をしなければならない。この目的のため,すべての縮分はできる限り迅速に行わなければな

らない,かつ空気の流入が限られている機械式縮分機を使わなければならない。

備考  縮分機を通せないほど湿っていて,かつ全量の予備乾燥が不可能な石炭・コークスについては,

インクリメント縮分方法(9.3.3.2)又はかまぼこ縮分方法(9.3.3.3)を用いて縮分してもよい。

9.7.3

一般分析用試料の試料調製


66

M 8811 : 2000

9.7.3.1

全般  一般分析用試料の試料調製の目的は,試験用ふるい−第 1 部:金属製網ふるい JIS Z 8801-1

の規定に合致している呼び寸法 212

µm のふるいを通過する試験試料を調製することである。試験試料の質

量は,試験する分析にもよるが,60g∼300g の間にある。

試料調製は通常 2 ないし 3 段階で実施する,各段階には,予備乾燥(必要な場合)

,気乾操作,粉砕,混

合(必要な場合)及び縮分が含まれる。

9.7.3.2

予備乾燥  一般分析用試料調製での予備乾燥は,試料が調製装置を支障なく通過できるように実

施するものである。試料調製中の水分ロスは,問題となるほど重要ではなく,したがって質量ロスを測定

する必要はない。

予備乾燥は,試料の品質特性に影響しない限り,調製のどの段階で行ってもよい。例えば,その試料を

発熱量測定,コークス化性又はるつぼ膨張指数測定に用いる予定であれば,乾燥温度は 40℃以下でなけれ

ばならない。もし試料調製の最初の段階で予備乾燥が不要であれば,試料調製手順は簡略化できる。

9.7.3.3

粉砕と縮分  最大粒度 2.8mm までのインクリメントの粉砕及び/又は縮分は,9.3 及び 9.4 に従

って,合わせて試料とする前に行う。

備考  もし石炭・コークスが湿っている場合は,シュート,縮分機,粉砕機,フィーダー等が詰まる

との理由で,2.8mm までの粉砕はできないかもしれない。

次の工程へ回す試料質量を最小限にするため及び縮分誤差を最小化するため,可能ならば調製の第一段

階で最大粒度 2.8mm で粉砕しなければならない。

備考  装置へフィードできる最大粒度への破砕には,スタンプ(分断機)又は棍棒を使用する必要が

あるかもしれない。

石炭・コークスの最初の最大粒度が大き過ぎる場合,また石炭・コークスが湿り過ぎている場合は,中

間の破砕段階が必要になるかもしれない。この中間段階の破砕を行った場合は,2 段階目の粉砕で最大粒

度 2.8mm まで粉砕しなければならない。

試料の縮分は,

表 9-1 に規定されている最大粒度に対応する質量に相応しい縮分機で行わなければなら

ない。

上記で粉砕及び/又は縮分された試料はその後,さらに一段階又は二段階で当該試験試料に必要な最大

粒度及び質量に,粉砕及び縮分する。

縮分には機械式又は手動式方法を用いてもよいが,機械式方法を推奨する。機械式縮分方法では,−

212

µm60g∼300g の石炭・コークスの縮分に適した機械が必要である。

手動式縮分方法では,

インクリメント縮分方法を用い,

異なる升目からインクリメントを 20 個以上採り,

60g

∼300g としなければならない。

粉砕及び/又は縮分方法の例を

図 9-9 に示す。


67

M 8811 : 2000

凡例

図 9-8 と同様

図 9-9  一般分析用試料調製の例

9.7.3.4

気乾試料の調製方法  9.7.3.3 によって調製した試料を室温において薄層に広げて,分析室の雰囲

気におおむね平衡させて気乾試料を調製する。ただし,酸化しやすい石炭の場合は,雰囲気に平衡させる

時間を,最小限にとどめなければならない。

備考1.  暴露時間は多くの場合1時間で十分である。しかし,平衡に達していないおそれのある場合は,

1

時間ごとに質量をはかり,質量変化が0.2%未満になるまで暴露を続けるのがよい。

2.

予備乾燥が十分行われた高温乾留コークスについては,この操作を省略することができる。

3.

気乾操作は,−212

µm に粉砕した直後(図 9-9)に行っても,また 60g∼300g をはかり採っ

た後(

図 9-10)に行ってもよい。

4.

気乾試料は密せんして保存すれば,1 週間ぐらいは水分がほとんど変化しない。


68

M 8811 : 2000

9.7.4

共用試料

9.7.4.1

全般  ある状況下では,水分及び一般分析用の共用試料を調製するほうがさらに好都合となる。

水分試料は,9.7.4.2 に従って,機械式縮分機を用いて抽出することが望ましい。

もしも,共用試料が目で見て濡れておりその全量を予備乾燥することができない場合は,9.7.4.3 に従っ

て,手動式縮分方法を用いることとする。

共用試料から水分用試料及び一般分析用試料を別々に調製する手順例を

図 9-10 に示す。たまには一つの

共用試料から水分用及び一般分析用試料の両方を調製することがあるかもしれない。

両試料を抽出すれば,共用試料は二つの部分に分けられる。すなわち,一方は水分用試料の調製用,他

方は一般分析用試料の調製用となる。両方とも

表 9-1 に規定された最小質量の要求を満足しなければなら

ず,更に両試料はそれぞれ 9.7.2 及び 9.7.3 に従って調製しなければならない。特に一般分析用で,気乾試

料が必要な場合は,9.7.3.4 に従って気乾操作を行う。

9.7.4.2

機械式縮分による水分用試料の抽出  水分用試料の抽出は 9.7.2.3 の要求を満たす調製手順の都

合のよい段階で行ってよい。抽出の前には,不注意による水分ロスを避けるため 9.7.2 に従って調製しなけ

ればならない。もし抽出前の試料調製に予備乾燥が入っている場合は,予備乾燥中の水分ロスをひょう量

し,全水分計算時に使用しなければならない。

9.7.4.3

手動式縮分による水分用試料の抽出  水分用試料は,インクリメント縮分法(9.3.3.2)又はかまぼ

こ縮分方法(9.3.3.3)によって抽出しなければならない。

水分測定における偏りのリスクを減らすため,予備乾燥前に更に調製をすることは避ける。予備乾燥後

更に調製を続けるときは,9.7.2 の規定に従って調製しなければならない。水分用試料を抽出した残試料は

一般分析用試料となり,9.7.3 の規定に従って調製する。

9.7.5

粒度用試料  粒度用試料は原則として縮分しない(JIS M 8801 及び,JIS K 2151 参照)。粒度用試

料の質量が

表 9-1 中の最大粒度に対応する質量の 2 倍より大きい場合は,縮分規定(9.3)が満たされるなら

ば,粒度用試料は

表 9-1 の質量までは縮分してもよい。縮分中は粉化を避けるように予防策を講じなけれ

ばならない。

備考  石炭・コークスの最大粒度が縮分機のカッタの 1/3 より大きい場合,この特大部分の石炭・コ

ークスはふるって取り除いてよいが,この特大部分は粒度測定の対象とする。特大部分を除い

た部分は

表 9-1 中の最大粒度に対応する質量までは縮分してもよい。縮分した試料は粒度分析

を行う。この結果と特大部分の結果を一緒にするが,その際それぞれの結果は最初の試料中に

占めていた割合によって重みをつける。


69

M 8811 : 2000

図 9-10  水分及び一般分析用共用試験試料の調製例


70

M 8811 : 2000

図 9-11  コークスの試験試料調製例

9.7.6

その他の試験用試料  その他の試験用試料は,当該試験試料の最大粒度及び質量がその当該方法に

規定されていない場合を除いて,9.7.3 又は 9.7.4 の規定に従って調製しなければならない。


71

M 8811 : 2000

9.8

保管試料  問題発生時の審判分析用若しくは試験結果紛失又は無効時の予備用として保管試料を採

取する場合,保管試料は通常の試験試料と同時かつ同一調製手順で採取しなければならない。

備考  保管試料はできるだけ小さく縮分することを推奨するが,保管できる最大の質量より小さくは

しないほうがよい。

表 9-1 の質量に対応する最大粒度以下には粉砕しないほうがよい。

9.9

試料調製設備の設計基準

9.9.1

縮分機  縮分装置は,以下でなければならない。

a)

試料の全量をロス又はこぼすことなく完全に保持又は通過する十分な容量をもつ。

b)

問題となる偏り(3.33 参照)を発生しない。例えば;選択的な採取(又は選択的な排除)による,粒

子径による又は水分ロスによる問題となる偏りを発生しない。

備考  水分ロスを避けるためには,状況によって完全密閉型縮分機が必要となるだろう。

c)

石炭・コークスの偏析を最小限にするフィード方法を採用する。

d)

縮分のどの段階でも制御された均一な流れをフィードする。

e)

オンラインの機械式縮分機の場合は,先行する縮分装置とカット周期をシンクロナイズさせない。

備考  偏りを最小限にするために,最初の採取間隔内でのカットはランダムスタートできる装置とす

ることが望ましい。

9.9.2

カッタ形縮分機(落下流縮分機)用カッタ

9.9.2.1

全般  石炭・コークスの落下流の縮分を目的とするカッタは,9.9.1 の規定に加えて,次の要求を

満たすように設計しなければならない。

a)

カッタは流れの全断面を採らなければならない。

b)

前と後のカッティングエッジは,場合に応じて同一平面上又は同一円筒表面上を動かなければならな

い。かつ,この平面又は円筒表面は流れの平均飛跡に直角でなければならない。

c)

カッタは,石炭・コークスの流れを均一な速度で横切らなければならない,言い換えればカッタ速度

の事前設定速度からのズレは,流れのどの位置であっても 5%未満でなければならない。

d)

カッタ開口部の設計は,流れのすべての部分が同一時間開口部分にさらされるようにしなければなら

ない。

e)

カッタ開口部の幅は,石炭・コークスの最大粒度の 3 倍以上なければならない。カッタ開口部にテー

パがついている場合,例えば,スイングアーム形サンプラの場合,一番狭くなっている端部にこの最

小幅の規定を適用しなければならない。

f)

カッタの有効容量は,石炭・コークスの最大流量時のインクリメント全量をロス又はこぼれがなく,

かつカッタのどの部分にも詰まらせ又は制約を与えないで,保持又は通過できるように設計しなけれ

ばならない。

9.9.2.2

カッタ速度  カッタの開口幅及びカッタ速度は,サンプルカッタ設計時の最重要検討項目である。

カッタの開口幅及びカッタ速度は,石炭・コークス流れの速度と一緒になって,カッタの有効幅を決定す

る。有効幅とは石炭・コークスが障害なく流れ込む開口部分の幅である。

落下流形カッタに対しては,鉱石での実験結果(P. Gy の文献,Sampling of Particulate Materials)がある。

それによると,粒度分布範囲が比較的狭い,低負荷の不均質な鉱石流からのベルトサンプリングでは,カ

ッタ速度が 0.6m/s 超又はカッタの開口幅が最大粒度の 3 倍未満のときは,問題となる偏り(3.33 参照)を

引き起こす可能性がある。

石炭・コークスの最大粒度に対するカッタの有効幅の比は,偏りのないインクリメントを採るカッタの

能力に決定的に影響する。なぜならこの比が大きければ大きい程,大きい粒子が選択的に排除される傾向


72

M 8811 : 2000

が小さくなるからである。

この根拠によって,開口幅 のカッタは,が石炭・コークスの最大粒度 の 3 倍に等しいとき,カッ

タ速度は 0.6m/s を超えてはならない。

開口幅 が最大粒度 の 3 倍を超えているカッタでは,カッタの最大速度 V

c

は,下記の式に従って増や

すことができる。

÷

ø

ö

ç

è

æ +

=

d

w

V

c

3

1

3

.

0

 (9-4)

ただし,V

c

は 1.5m/s 以下とする。

カッタ速度と開口幅に関係なく,そのカッタには問題となる偏り(3.33 参照)がないことを示さなけれ

ばならない。

9.9.3

粉砕機

9.9.3.1

全般  粉砕機は,供給される石炭・コークスを次の段階の縮分に適した粒度に粉砕できなければ

ならない。9.9.3.2 にコークスに用いる粉砕機の例を示す。

9.9.3.2

粉砕機の例

9.9.3.2.1

ジョークラッシャー  マンガン鋼又は鋳鉄製の交換可能な鋸歯のジョーをもっており,予想さ

れる最大粒径のコークス及び湿ったコークスが粉砕でき,かつ 50kg/5 分の粉砕速度で−16mm に粉砕でき

るクラッシャー。

9.9.3.2.2

ダブルロールクラッシャー  直径 200mm の二つのクロム鋼製円筒から構成され,150rpm で回

転する。円筒間の隙間及び加える圧力は調整できる。クラッシャーは相対湿度 80%未満の雰囲気に保管す

る。長期間使用すると円筒は中央部から磨耗するだろう,両端をくっつけたときの円筒中央部の隙間が

1.5mm

を超えたら円筒を再研磨する。

9.9.3.2.3

回転ミル  リングミル及びボールミル等の回転ミルは,摩擦力よりむしろ圧縮力又は衝撃力に

よってコークスを粉砕する。これらの回転ミルは,コークスと接触する面が対磨耗性(例えば,タングス

テンカーバイド製)であることを条件に,最終段階−212

µm への粉砕に使用することができる。回転ミル

による粉砕産物の灰分は,ダブルロールクラッシャーによる粉砕産物の灰分と較べることによって,12.

に記述している方法で偏りをテストしなければならない。

9.9.4

試料調製設備及び統合サンプリング設備

9.9.4.1

全般  理想をいえば,機械式試料調製設備[又は機械式統合サンプリング設備(4.3 参照)]は石

炭・コークスハンドリング設備と同時に設計しなければならない。その時であればハンドリング設備に合

う設備を設計できるし,試料調製設備(又は統合サンプリング設備)の最適運転条件を確保できる。

しかし試料調製設備(又は統合サンプリング設備)を既存のハンドリング設備に追加設置するとき,サ

ンプリング及び試料調製設備の偏りの原因となるエンジニアリング上の都合はどんな条件でも許されない。

試料調製設備(又は統合サンプリング設備)の設計は,次を考慮しなければならない。

a)

ハンドリングする石炭・コークスの種類

b)

測定する品質特性

c)

予想されるインクリメントの最大個数,最大質量及び最大頻度(9.4 参照)

9.9.4.2

設計基準  試料調製設備(又は統合サンプリング設備)は,次の様に設計及びエンジニアリング

を行わなければならない。

a)

設備は,問題となる偏りがない試料調製ができ,かつ精度の要求事項を満たす(11.及び 12.参照)

b)

設備は,関係ある契約スペックで想定されるすべてのサンプリング条件下で,清掃又は保守のための


73

M 8811 : 2000

中断を必要とせず,a)の能力を維持できる。

c)

設計及び工事の最初の段階から運転の安全性に十分配慮する,かつ設備を設置する場所に適用される

すべての安全規則を尊重する。

d)

設備は,十分に頑強で,過酷な運転条件に耐える。

e)

設備は,縮分機,シュート,ホッパ,フィーダ,粉砕機及びその他の装置を含むが全体として,自浄

式かつ詰まりがなく,保守の必要性を最小限とするような運転ができる。

f)

試料の異物混入,例えば,前にハンドリングした試料の異物混入,はすべて避けられる。

g)

粒度用試料を採取する場合,試料粒子の粉化は最小限となる。

h)

水分値,化学的又は物理的特性の変化,並びに微粉石炭・コークスのロス(例えば,装置中の過度の

気流による微粉ロス)は,すべて最小限となる。

9.9.4.3

変則運転  機械設備は異常状態でも十分な運転のフレキシビリティが確保できるように設計し

なければならない。例えば,設備の一部が故障や詰まりで運転不能になったとき,これ以外の設備は(も

し必要ならば,適当なオフラインの試料調製を行うことで)何も問題なく運転できるように設計しなけれ

ばならない。

9.9.4.4

精度チェック実験への配慮  試料調製設備(又は統合サンプリング設備)は,調製したインクリ

メントを交互に合わせて二重サンプリング試料とする,又は調製したインクリメントを順番に合わせて多

重サンプリング試料とすることができなければならない。

備考  品位変動未知の石炭・コークスのサンプリングを行う場合は,多重サンプリング試料を調製で

きることが望ましい。

二重サンプリング及び多重サンプリング方法を用いて品位変動及び精度をチェックする手順は,10.及び

11.

に記述している。

9.9.5

偏りテストへの配慮  12.に従った偏りテストを行うため,基準試料のサンプリングができるよう

に配慮しなければならない。

設備の一部分や装置の機能テストが容易にできるように,設備内石炭・コークスの流れから正しいサン

プリングができる十分なアクセスを確保しなければならない(12.参照)

10.

品位変動調査方法

10.1

概要  系統サンプリングでは,インクリメント個数を決めるために対象ロットの品位変動の大きさ

を知る必要がある。この規格でいう品位変動とは,一次インクリメント間の品質特性のばらつきを標準偏

σ

W

で表したものである。この 10.では品位変動の調査方法のうち,直接測定法,総合精度からの逆推定

法及び交互サンプル法(鉄鉱石で採用されている方法)を規定している。バリオグラムによる方法は,参

考法として記載している。

測定結果を要求精度内に収めるため,サンプリング計画を立案するときは,特定の石炭・コークス及び

サンプリング諸元を要求精度と結びつける関係式が必要となる。その際考慮しなければならない主要なフ

ァクターは,次のとおり。

①  一次インクリメントの品位変動

σ

W

②  試料調製・測定の分散

σ

PM

2

③  一次インクリメントの個数 及びサブロットの個数 m

④  一次インクリメント及び大口試料の質量

これら関係式は,連続サンプリングの場合は 11.2.2,断続サンプリングの場合は 11.2.3 に記載している。


74

M 8811 : 2000

これら関係式で使用する一次インクリメントの品位変動の求め方は,10.3 に記載している。

この規格で扱う式は,次の二つを前提としている。

前提 1:石炭・コークスの品質特性は,サンプリング対象ロット内では全くランダムにばらついてい

る。

前提 2:測定値は正規分布に従う。

石炭・コークスのある品質特性については,測定値は正規分布に従うという前提 2 は,厳密には正しく

ないが,ここで採用している統計的方法は非正規性に対しても大きい影響を受けないので,測定値が正規

分布から外れていてもこの規格で扱う精度の式の有効性は実質的に問題ない。厳密にいうと,信頼区間は

平均値の周りにいつでも対称とはならない。しかしこの規格の精度式による誤差は,実際上有意となるこ

とはない。

サンプリング設備の設計・設置が完了すれば,通常ベースのサンプリングで達成される総合精度

β

SPM

チェックすることが望ましい。総合精度

β

SPM

の推定は,一次インクリメントの品位変動

σ

W

,一次インクリ

メントの個数 n,サブロットの個数 m11.2 参照)及び試料調製・測定誤差

σ

PM

2

から求めることができる。

備考  一次インクリメントの品位変動

σ

W

は製品である石炭・コークスの品質ばらつきの関数である。

したがって n及び

σ

PM

2

が同じであっても,製品品質のばらつきが異なれば,総合精度

β

SPM

は違った値となる。

時系列での品質傾向変化の程度及び採用する品位変動調査方法によっては,総合精度は過大に(実際の

精度より悪い方へ)推定される。更に

β

S

及び

σ

PM

2

の推定結果に意味をもたせるために多数の二重インクリ

メントを調製及び測定することが必要となる。

備考1.  既存設備で得られた

σ

W

で表した品質のばらつきは,絶対的なものではない。したがってサン

プリング設計者は,異なる状況でこの

σ

W

を使用するときは十分注意する必要がある。

σ

W

推定は石炭・コークスの銘柄ごと,またサンプリング設備ごとに実験によって求めることが

望ましい。

2.

一次インクリメントの品位変動

σ

w

を求めるサンプリング計画では必ず,サンプリングを同一

の設備又は異なる設備で行うにせよ,テスト時の運転条件を実際にサンプリングするときの

条件にできるだけ合わせなければならない。

10.2

品位変動に関係する式

10.2.1

全般  精度とは,規定条件下で繰り返した測定結果の一致程度の基準であり,採用する測定方法の

特性を示すものである。ある方法のランダム誤差が小さければ小さいほどその方法は精度が高いことにな

る。一般的な精度の指標

β

は標準偏差

σの 2 倍であり,この規格では精度の指標として

β

を用いている。

もし石炭・コークスのサブロットから多くの多重サンプル 個を採り,個を別々に試料調製及び測定す

るなら,一個の測定結果の推定精度

β

SPM

は次式(10-1)  で与えられる。

2

2

2

SPM

SPM

SPM

σ

σ

β

=

=

 (10-1)

ここに,

σ

SPM

試料から推定した総合の標準偏差

σ

SPM

2

試料から推定した総合の分散

式(10-1)は,一次インクリメントの分散  (≒

σ

w

2

n

σ

S

2

)

,一次インクリメントの個数及び試料調製・測定

誤差の関数である。

備考  一次インクリメントの分散は,より正確には,サンプル抽出の分散及びロット内品位変動の分

散  (

σ

W

2

)

から構成されている。ロット内品位変動の分散はサンプリングの総合分散の最大の要


75

M 8811 : 2000

因であることが多い。この規格では,サンプル抽出の分散は一次インクリメント分散

σ

W

2

と分

けて測定することはないと見なし,一次インクリメント分散  (≒

σ

W

2

)

は,品位変動

σ

W

と呼び

変えていることが多い。

一回のサンプリングでは,上記の関係は次式(10-2)で表せる。

2

2

2

PM

W

SPM

n

σ

σ

σ

+

=

 (10-2)

ここに,

σ

W

一次インクリメントの品位変動

σ

PM

2

試料調製・測定の分散

n

一次インクリメントの個数

10.2.2

連続サンプリング  ロットの全体品位が大口試料の算術平均値である場合,つまりロットを一連の

等質量サブロットに分け各サブロットから試験試料を採る場合,式(10-2)は次式となる。

m

mn

PM

W

SPM

2

2

2

σ

σ

σ

+

=

 (10-3)

ここに,  m:  ロットの平均品位を求めるのに使ったサブロット(=測定結

果)の個数

一連の多重サンプルの一つが一個の大口試料であるから,式(10-1)及び(10-3)を組み合わせて次式が得ら

れる。

m

mn

PM

W

SPM

2

2

2

σ

σ

β

+

=

 (10-4)

品位変動が既知又は推定できる対象ロットのサンプリング方法が決まれば,式(10-4)から,達成されるサ

ンプリングの総合精度

β

SPM

を推定できる。また要求精度及び品位変動が分かっているロットのサンプリン

グを立案する人は,式(10-4)から,サンプリング,試料調製及び測定の総合コストを考慮したインクリメン

ト個数 及び大口試料個数(=サブロット個数)の最適組み合わせを決定することが可能である。最適

サンプリング方法を立案するときは,式(10-4)を変形した次の 2 式が,更に使いやすい。

2

2

2

4

4

PM

SPM

W

m

n

σ

σ

σ

=

 (10-5)

2

2

2

4

SPM

PM

W

n

n

m

β

σ

σ

+

=

 (10-6)

備考  流れから得られる石炭・コークスの測定結果は,系列相関(自己相関)を示すことが多い。換

言すれば,流れの中で極めて接近した石炭・コークスは同じ組成を,流れで離れた石炭・コー

クスは異なる組成を示す傾向がある。系列相関があるときは品位変動

σ

W

及び試料調製・測定の

分散

σ

PM

2

に基づいて推定した精度は実際の達成精度より悪く(数値が大きく)なる。品位変動

を求めるバリオグラム法(10.3.4)においては,系列相関の影響が考慮されている。

10.3

品位変動

σ

W

の推定方法


76

M 8811 : 2000

10.3.1

品位変動の推定  方法 1(直接法)  品位変動

σ

W

の直接推定は,総合精度

β

SPM

及び試料調製・測

定精度

β

PM

を推定できる完全枝分かれ実験方法と一緒に行うことで完全なものとなる。品位変動

σ

W

は推定

した総合分散

σ

SPM

2

から試料調製・測定の分散

σ

PM

2

を引くことで推定できる。最初の縮分段階で二重サンプ

ル(3.10 参照)が採れるように一次インクリメントは系統的に採取し,かつ交互に二つに分けて調製しな

ければならない。対の試料は通常操業と同じ方法で,各々を調製しかつ目的とする品質特性を測定する。

各対試料について二つの平均値及びその差を計算する。

備考  一次インクリメントの採取個数は少なくとも 50 個とし,採取する全インクリメントはロット全

体から又は同じ銘柄の複数のロット全体に系統的に割り付けることを推奨する。

直接法での推定手順は,次のとおり。

a)

試料調製・測定の分散

σ

PM

2

を計算する。

p

PM

n

d

2

2

2

å

=

σ

 (10-7)

ここに,

d

:  対試料の測定値差

n

P

:  対試料の組数

b)

品位変動を計算する。

( )

2

1

2

2

2

2

2

PM

p

p

W

n

n

X

X

σ

σ

=

å

å

 (10-8)

ここに,  X:  対試料の測定値の平均

品位変動

σ

W

を推定する代替法は,次のとおり。

2

2

2

2

2

PM

W

h

D

σ

σ

=

å

 (10-9)

ここに,  D:  連続する二つのインクリメントの測定値差 

h

:  連続する二つのインクリメントの組数

この代替法は,系列相関(10.2.2 

備考参照)があるとき品位変動

σ

W

を過大に推定することはない。し

かしこの方法は,

一次インクリメントの採取間隔が通常サンプリングの一次インクリメント採取間隔より,

大きいか等しい場合に限って使用することができる。

系列相関がある場合,最も厳密な方法は 10.3.4 に記述しているバリオグラムを用いる方法である。バリ

オグラム法は系列相関及び一次インクリメントの採取間隔を考慮しているため,バリオグラム法を採用す

ればこの二つの要因による品位変動

σ

W

及び一次インクリメント個数 の過大評価は避けられる。

10.3.2

品位変動の推定  方法 2(総合精度からの推定法)  品位変動

σ

W

は,二重サンプリング法(11.3)又

は多重サンプリング法(11.4)で求めた総合精度の推定値を,式(10-4)を変形した次式(10-10)に代入すること

で計算することができる。

2

2

2

4

PM

SPM

W

n

mn

σ

β

σ

=

 (10-10)

必要なら,この

σ

W

を用いてサンプリング方法を見直すことができる。

10.3.3

品位変動の推定  方法 3(交互サンプル法)

10.3.3.1

全般  この箇条には,銘柄ごと及びサンプリング設備ごとに行う品位変動調査方法の内,交互サ

ンプル法を記述している。


77

M 8811 : 2000

備考  品位変動は,次のような要因によって変化する。

a)

採掘する炭層

b)

採炭及び選炭方法

c)

コークスの生産及び処理方法

d)

石炭・コークスの在庫及び払出し方法

e)

石炭・コークスの船積み及び荷揚げ方法

f)

ロットの質量

交互サンプル法は,系統サンプリング(5.及び 6.参照)で採取するインクリメントを交互に二つの試験

試料に合わせて作った交互サンプル(3.10 参照)を分析する方法である。

交互サンプル法は,バリオグラム法(10.3.4)より作業の手間が少なくて済む。しかし品位変動の推定(す

なわちサンプリング精度の推定)については,交互サンプル法よりバリオグラム法の方がよりよく推定で

きる。

10.3.3.2

調査方法のタイプ

10.3.3.2.1

タイプ 1−調査ロット数=n:ロットの分割無し  ロットが頻繁に受渡しされるとき,品位変動

は次のようにほぼ等質量の多数のロットから測定してもよい。

a)

それぞれのロットを別々に取り扱う。

b)

図 10-1 a)及び例 に示すように,それぞれのロットごとに対の交互サンプルを作る。

10.3.3.2.2

タイプ 2−調査ロット数=1(例  ロットを 10 に分割)  大きいロットが頻繁に受渡しされる

とき,品位変動は次のように一つのロットから測定してもよい。

a)

対象ロットを 10 以上のほぼ等質量のサブロットに分割する。

b)

図 10-1 b)及び例 に示すように,採取したインクリメントからそれぞれのサブロットごとに対の交互

サンプルを作る。

10.3.3.2.3

タイプ 3−調査ロット数=34(例  ロットを 12 に分割)  小さいロットが頻繁に受渡しさ

れるとき,品位変動は次のようにほぼ等質量の数ロットから推定してもよい。

a)

全対象ロットを 10 以上のサブロットに分割する。

b)

図 10-1 c)及び例 に示すように,採取したインクリメントからそれぞれのサブロットごとに対の交互

サンプルを作る。

図 10-1 a)  タイプ の調査方法(ロット:ロットの分割無し)


78

M 8811 : 2000

図 10-1 b)  タイプ の調査方法(ロット:例,10 個のサブロット分割)

図 10-1 c)  タイプ の調査方法(数ロット:例,個のロットを 12 分割)

10.3.3.3

インクリメント個数及び交互サンプルの合わせ方

10.3.3.3.1

インクリメントの個数  一つ又は幾つかのロットから採取するインクリメント個数は,通常サ

ンプリング時の個数であっても差し支えない。しかしより代表性のある品位変動の値を推定する場合又は

通常サンプリング時のサンプリング精度も同時に測定する場合は,インクリメント個数を通常時の 2 倍と

すればよい。

調査タイプごとのインクリメント個数の決め方は,次のとおり。

a)

タイプ 1  インクリメント個数 は 5.の規定に従って決める。対の交互サンプルはそれぞれのロット

ごとに作る[

図 10-1 a)参照]。

b)

タイプ 2  インクリメント個数 は 5.の規定に従って決める。対の交互サンプルは 10 組上とする[

10-1 b)

参照]

c)

タイプ 3  各ロットから採取するインクリメント個数 は 5.の規定に従って決める。各ロットは幾つ

かのサブロットに分割する。対の交互サンプルはサブロットごとに作る[

図 10-1 c)参照]。

10.3.3.3.2

交互サンプルの作り方  交互サンプル(3.10 参照)は,次の手順に従って調製する。

a)

それぞれのロット又はサブロットから採取するインクリメントは,採取する順に連番を付ける。

b)

それぞれのロット又はサブロットごとに(

図 10-2 参照),奇数番号のインクリメントを合わせた試料

(交互サンプル A

i

)と偶数番号のインクリメントを合わせた試料(交互サンプル B

i

)から対の交互サ

ンプルを調製する。

c)

調製する交互サンプルの組数は,各タイプとも とする。


79

M 8811 : 2000

備考  この例では,タイプ 2 の調査方法で 1 ロットを 10 個のサブロットに分割している。交互サンプ

ル A

i

及び B

i

  (i

=1,2,…,10)  は,それぞれ 5 個のインクリメントから構成され,それぞれ調

製される。

図 10-2  タイプ の調査方法で交互サンプルを作る模式図

10.3.3.4

試験試料の調製及び測定  交互サンプル(A

i

び B

i

)から,別々の試験試料を調製する。

必要に応じて灰分,水分又は粒度の測定を行う。

10.3.3.5

最小調査回数  品位変動は測定回数が少ないと精確には推定できないので,次の最小調査回数を

推奨する。

a)

タイプ 2 及びタイプ 3 のときは,5 回以上。

b)

タイプ 1 のときは,10 回以上。

10.3.3.6

品位変動

σ

W

の計算

10.3.3.6.1

データシート  各試験試料の灰分,水分又は粒度測定で得られる実験データは,適切な様式に

記録する(

例 1参照)。

10.3.3.6.2

計算  式(10-14)からロット内又はサブロット内の品位変動を推定する。

対測定値の範囲 R

i

は式(10-11)で与えられる。

i

i

i

B

A

R

=

 (10-11)

ここに,

A

i

:  交互サンプル A

i

から調製した試験試料の品質特性測定値(例え

ば,灰分%)

B

i

:  交互サンプル B

i

から調製した試験試料の品質特性測定値(例え

ば,灰分%)

i

:  サブロットを示す添字

範囲 R

i

の平均値 は次式(10-12)  で与えられる。

å

=

i

R

n

R

9

1

 (10-12)

ここに,

n

9

:  範囲 R

i

の個数。サブロットの総個数と同じ。


80

M 8811 : 2000

ロット又はサブロットごとの対測定値の平均値

i

x

は次式(10-13)で与えられる。

(

)

i

i

i

B

A

x

+

=

2

1

 (10-13)

ロット又はサブロット内の品位変動

σ

W

は,次式(10-14)で与えられる。

2

10

d

R

n

W

=

σ

 (10-14)

ここに,  n

10

:  各交互サンプル A

i

又は B

i

を構成するインクリメント個数

d

2

:  範囲から標準偏差を推定する係数。データ 2 個の場合は 1/d

2

=0.8862

備考1.  タイプ3の場合,番目のロットの品質特性の平均値

i

x

は,式(10-15)から与えられる。

å

=

ji

j

x

n

x

11

1

 (10-15)

ここに,

x

ji

:  番目のロットを構成する各サブロットの対測定値

n

11

:  ロットを構成するサブロットの個数

2.

式(10-14)  から得られる品位変動

σ

W

は,サンプリング,試料調製及び測定精度を一緒に測定

した総合の精度の尺度である。

より精確な品位変動

σ

W

の値が要求され,かつ試料調製精度

σ

P

及び測定精度

σ

M

の値が既知

の場合には,ロット内又はサブロット内の品位変動

σ

W

は式(10-16)を用いて計算する。

ú

ú
û

ù

ê

ê
ë

é

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

=

2

2

2

2

10

M

P

W

d

R

n

σ

σ

σ

 (10-16)

10.3.3.7

結果の表示

10.3.3.7.1

タイプ 及びタイプ 3  10.3.3.5 に従えばタイプ 2 及びタイプ 3 の方法では,一連の

σ

Wi

は 5

以上)の推定値が得られる。この場合,ある特定銘柄の特定サンプリング設備における品位変動

σ

W

は次式

(10-17)

で計算する。

å

=

2

12

1

Wi

W

n

σ

σ

 (10-17)

ここに,  n

12

σ

Wi

の個数。

10.3.3.7.2

タイプ 1  タイプ 1 の場合式(10-14)又は式(10-16)で得られた品位変動

σ

W

は,ある特定銘柄の特

定サンプリング設備における品位変動の推定値して報告する。

10.3.3.8


81

M 8811 : 2000

10.3.3.8.1

例 1  タイプ の調査方法(13 個のロット)


82

M 8811 : 2000


83

M 8811 : 2000


84

M 8811 : 2000


85

M 8811 : 2000

10.3.4

(参考)バリオグラム法による品位変動の推定

序文  この 10.3.4(参考)は,一次インクリメントの品位変動調査法の一つであるが,規定の一部ではな

い。

10.3.4.1

概要  10.3.1 及び 10.3.2 に記述した品位変動の推定方法は,インクリメント間の自己相関を考慮

していないので,要求精度を達成するのに必要な一次インクリメント個数を過大に計算することになるだ

ろう。バリオグラム法は要求精度を達成するのに必要な一次インクリメント個数を計算する代替法として

使用してよい。

バリオグラム法はサンプリングの数学モデルに基づいている。

備考  このサンプリングモデルは,P. Gy 著“Sampling of Particulate Materials−Theory and Practice (1982),

Elsevier, Amsterdam

”に記載されているもの。

10.3.4.2

バリオグラムとは  バリオグラムはインクリメントの品質の差の平方の平均値(=分散)を縦軸

に,インクリメントの採取間隔(=ラグ)を横軸にプロットしたものである。隣接するインクリメント間

の差をラグと呼ぶ。つまり一個置きのインクリメント間のラグは 2 となる。これを

参考図 に示す。

参考図 1  ラグが である分散 V

e

 (t

の計算方法の図解

ラグは,時間基準サンプリングでは時間間隔を,質量基準サンプリングでは質量間隔を示す。このデー

タは 個のインクリメントをサブロットから採取し,個のインクリメントをそれぞれ測定することで得

られる。

少なくとも 30 個のインクリメントを採取する。

インクリメントの採取間隔は 6.の式(6-1)他で計算される

間隔の半分,又は通常サンプリングする間隔の半分とする。

ラグ のときの分散 V

e

 (t)

は,次式から計算できる。

( )

(

)

å

=

=

+

=

k

N

i

i

k

i

k

i

e

N

X

X

t

V

1

2

2

(参考−1)

ここに,

X

i

i

番目のインクリメントの測定値

X

i

k

i

番目のインクリメントの測定値

N

k

ラグが であるインクリメント組数

分散 V

e

 (t)

は,最初の 10 ラグ分を計算するとよい。バリオグラムの重要な特徴は,

参考図 に示す。縦

軸の切片 は,分散のランダム成分である。分散の他の成分は,時間成分であり,ラグの増加とともに大

きくなり,影響範囲の最後で最大となる。


86

M 8811 : 2000

参考図 2  バリオグラムの特徴

式(参考−18)を用いて得られる実験バリオグラムには,サンプリング分散だけでなく試料調製・測定

の分散

σ

PM

2

も含んでいる。この影響が切片 A の大きさに影響する。したがってサンプリング分散を求める

ためには,補正(10.3.4.3 参照)をしなければならない。

10.3.4.3

バリオグラムの当てはめ  経験によると,実際のバリオグラムは,ラグの範囲が k=1 から k=5

の場合,次式の直線でほぼ問題なく近似できる。

V

e

 (t)

A

e

B

v

t

(参考−2)

ここに,

A

e

:  実験バリオグラムのランダム成分(切片)

B

v

:  バリオグラムの傾き

t

:  質量基準の場合は km(⊿は,インクリメントを採取する質

量間隔)

:  時間基準の場合は kt(⊿は,インクリメントを採取する時

間間隔)

上式の A

e

及び B

v

は,実験バリオグラムの最初の k

lin

点に回帰直線を当てはめることで推定される。k

lin

点の個数は直線部分をカバーするように決める。この個数は,普通 5 から 10 である。A

e

及び B

v

を求める

手順は,次のとおり。

まず,

y

V

e

 (t)

x

km

ここに,

m:インクリメントを採取する質量間隔

k

:ラグ 

備考  時間基準の場合は,xkとする。

直線回帰の理論から以下の公式が得られる。

( )

å å

å å å

=

2

2

x

x

k

y

x

xy

k

B

lin

lin

v

(参考−3)


87

M 8811 : 2000

lin

v

e

k

x

B

y

A

å

å

=

(参考−4)

式(参考−4)によって得られた

A

e

から試料調製・測定の分散

σ

PM

2

を引くと

Y

切片

A

c

が求められる。

A

c

σ

PM

2

を除いたサンプリングの分散

σ

s

2

だけの数値である。

A

c

A

e

σ

PM

2

(参考−5)

10.3.4.4

品位変動の計算

A

c

及び

B

が決まるとサンプリングの分散

σ

s

2

が次の様に計算できる。

系統サンプリングの場合は,

2

2

6n

Q

B

n

A

v

c

S

+

=

σ

(参考−

6

層別ランダムサンプリングの場合は,

2

2

3n

Q

B

n

A

v

c

S

+

=

σ

>

(参考−

7

ここに,

Q

サブロットの質量

n

サブロットから採取する一次インクリメントの個数

備考

時間基準サンプリングの場合,

Q

T

(全体のサンプリング時間)と置き換える。

サンプリング分散

σ

S

2

が決まると一次インクリメントの品位変動

σ

W

は,次の様に計算する。

n

S

W

σ

σ =

(参考−

8

系統サンプリングの場合,式(参考−

8

)を式(参考−

6

)に代入した次式で

σ

W

を計算してもよい。

n

Q

B

A

v

c

W

6

+

=

σ

(参考−

9

層別ランダムサンプリングの場合,式(参考−

8

)を式(参考−

7

)に代入した次式で

σ

W

を計算してもよ

い。

n

Q

B

A

v

c

W

3

+

=

σ

(参考−

10

10.3.4.5

一次インクリメント個数の計算  所要のサンプリング精度

σ

s

を達成するために必要な一次イン

クリメント個数

n

は,式(参考−

6

)及び式(参考−

7

)を変形して解くことができる。変形した公式は次

のとおり。

系統サンプリングの場合

2

2

2

2

3

2

S

S

v

c

c

Q

B

A

A

n

σ

σ

+

+

=

(参考−

11

層別ランダムサンプリングの場合

2

2

2

2

3

4

S

S

v

c

c

Q

B

A

A

n

σ

σ

+

+

=

(参考−

12

10.3.4.6

総合精度の計算  サブロットの一次インクリメントをすべて合わせて大口試料としたときは,サ

ンプリング,試料調製及び測定の総合精度

β

SPM

は,次のように計算できる。


88

M 8811 : 2000

系統サンプリングの場合は,

2

2

6

2

PM

v

c

SPM

n

Q

B

n

A

σ

β

+

+

=

(参考−

13

層別ランダムサンプリングの場合は,

2

2

3

2

PM

v

c

SPM

n

Q

B

n

A

σ

β

+

+

=

(参考−

14

10.3.4.7

品位変動及び総合精度の計算例  参考表 は,

0.25

分間隔で一次インクリメントを採取し,イン

クリメントごとに灰分を分析したデータである。試料調製・測定の分散

σ

PM

2

は,別にテストを行い

σ

PM

2

0.1

と判明している。

参考表 1  15 秒間隔で採取したインクリメントごとの灰分値

インクリメント

No.

灰分

% (m/m)

インクリメント

No.

灰分

% (m/m)

1 14.6 16 15.5

2 13.8 17 14.6

3 14.7 18 14.9

4 16.1 19 15.3

5 15.6 20 15.4

6 15.6 21 15.4

7 15.8 22 15.4

8 15.3 23 16.0

9 15.8 24 15.5

10 15.4 25 15.5

11 15.9 26 15.4

12 16.1 27 15.4

13 15.3 28 14.7

14 16.0 29 15.2

15 15.2 30 14.9

データが集まったら,実験バリオグラムの点は式(参考−

1

)を用いて計算できる。

ラグ

1 (k

1)

のとき,分散

V

e

 (1)

は以下となる。

( ) (

) (

)

(

)

( )

29

2

2

.

15

9

.

14

8

.

13

7

.

14

6

.

14

8

.

13

1

2

2

2

+

+

=

Λ

e

V

1557

.

0

58

0306

.

9

=

=

ラグ

2 (k

2)

のとき,分散

V

e

 (2)

は以下となる。

( ) (

) (

)

(

)

( )

28

2

7

.

14

9

.

14

8

.

13

1

.

16

6

.

14

7

.

14

2

2

2

2

+

+

=

Λ

e

V

1841

.

0

56

3096

.

10

=

=

バリオグラムの最初の

10

点を,表にしたものが

参考表 2,プロットしたものが参考図 である。


89

M 8811 : 2000

参考表 2  参考表 のデータから求めた実験バリオグラムの点

ラグ,k

単位

ラグ,x

実験バリオグラム

V

e

 (t) (y)

 1

0.25

0.155 7

 2

0.50

0.184 1

 3

0.75

0.234 6

 4

1.00

0.245 0

 5

1.25

0.258 0

 6

1.50

0.296 5

 7

1.75

0.247 0

 8

2.00

0.261 1

 9

2.25

0.279 8

10 2.50

0.2

3

参考図 3  参考表 のデータの実験バリオグラム

バリオグラムの最初の

5

点を直線に当てはめる。

Σy

1.077 4

Σx

3.750 0

Σxy

0.874 43

Σx

2

3.437 5

ここで,式(参考−

3

)から

B

v

(

)

(

)

(

) ( )

2

75

.

3

5

437

.

3

5

4

077

.

1

75

.

3

43

874

.

0

5

0.106 2

更に,式(参考−

4

)から

A

e

( )

5

75

.

3

2

106

.

0

4

077

.

1

0.135 8

式(参考−

5

)から

A

c

0.135 8

0.01

0.125 8

上記で求めた

A

c

及び

B

v

の値を用いて,サンプリング分散及び品位変動を計算できる。系統サンプリン

グを想定し,サブロットから

1

分間隔(

Q/n

1

となる)でインクリメントを

30

個採取するとする。この

場合,サンプリング分散

σ

S

2

は,次のようになる。


90

M 8811 : 2000

( )

( )

3

2

2

10

21

.

4

30

6

1

2

106

.

0

30

8

125

.

0

×

=

+

=

=

S

S

V

σ

よって品位変動

σ

W

は,

σ

W

n

S

σ

30

00421

.

0

×

0.36

備考

品位変動は,式(参考−

9

)から以下のように計算してもよい。

σ

W

n

T

B

A

v

c

6

+

30

6

30

15

.

0

2

106

.

0

8

125

.

0

×

×

×

+

180

5

.

7

2

106

.

0

8

125

.

0

×

+

5

128

.

0

0.36

総合分散は,以下となる。

σ

SPM

2

σ

S

2

σ

PM

2

0.004 2

0.01

0.014 2

したがって対象とするサブロットの測定結果の総合精度は,次のとおり。

β

SPM

2

2

SPM

σ

2

×

0142

.

0

0.24%

10.4

(参考)サブロット間品質変動

σ

B

の推定方法

10.4.1

全般  断続サンプリング(5.2 参照)又は静置ロットからのサンプリング(6.2 及び 8.2 参照)では,

最適インクリメント個数を計算で決定する場合,サブロット間の品質変動(例えば,トラック運搬するト

ラック間の品質変動)の情報が事前に必要となる。

備考

実際にサンプリングするサブロット個数を減らすため,サブロットは,

σ

B

<

σ

W

となるように決

めるのが普通である。

10.4.2

サブロット間品質変動の推定方法 1(簡易法−1)  次の手順に従って推定する。

a)

ランダムに

10

個以上のサブロットを選ぶ。

b)

選んだ各サブロットから

4

個以上のインクリメントを採取する。

c)

サブロットごとにインクリメントを合わせ試験試料を調製する。

d)

試験試料について,必要な品質特性

x

i

i

10

以上)を測定する。

e)

測定値

x

i

から標準偏差(3.41 参照)を求め,これをサブロット間品質変動

σ

B

とする。

備考

 10

個以上のロットについて,上記 a)e)を繰り返すことが望ましい。

10.4.3

サブロット間品質変動の推定方法 2(簡易法−2)  次の手順に従って推定する。

f)

ランダムに

10

個以上のサブロットを選ぶ。

g)

選んだ各サブロットから

4

個以上のインクリメントを採取する。

h)

インクリメントごとに試験試料を調製する。


91

M 8811 : 2000

i)

試験試料について,必要な品質特性

x

ij

を推定する。

j)

サブロットごとに測定値

x

ij

j

4

以上)から標準偏差(3.41 参照)

σ

Wi

を推定する。この

σ

Wi

は,

i

目のサブロット内品位変動である。

このロットの品位変動

σ

W

は,

σ

W

(

)

サブロット個数

å

Wi

2

σ

から算出する。

備考1.

σ

W

i

は,

σ

Wi

=(範囲)/

d

2

から推定してもよい。

2.

品位変動

σ

W

は,全データ

x

ij

から直接,標準偏差(3.41 参照)

σ

W

を推定してもよい。ただし,

この場合,一般的に大きめの

σ

W

が得られる。

k)

サブロットごとの平均値

i

x

から標準偏差を推定し

σ

BW

とする。

l)

このロットのサブロット間品質変動

σ

B

は,

σ

B

W

BW

2

2

σ

σ

から算出する。

備考1.

 10

個以上のロットについて,上記 a)l

)を繰り返すことが望ましい。

2.

品位変動

σ

W

が既知の場合は,i

)及び j)の手順を省略できる,かつ,h)の手順を簡略化し,

サブロットごとに試験試料を調製してよい。

10.4.4

サブロット間品質変動の推定方法 3(正攻法)  ISO 3084

 : 1986

に規定されている方法

JIS M 8100

 :

1992

附属書 の方法)を用いて,品位変動及びサブロット間品質変動を同時に推定する。

11.

精度チェックの方法

11.1

全般  この箇条では,二重サンプリングによるサンプリング精度の測定方法を記述している。また

試料調製・測定精度のチェック方法についても記述している。

精度の測定が必要となるのは,次の二つのケースが考えられる。最初のケースは,既設サンプリング設

備の実力精度を推定し,

この実力精度が要求精度から外れていれば,

精度向上の手直しを行う場合である。

2

番目のケースは,特定ロットでの達成精度を,特別なサンプリング計画に従った実験結果から推定する

場合である。

この規格で扱う式は,次の二つを前提としている。

前提

1

:石炭・コークスの品質特性は,サンプリング対象ロット内では,全くランダムにばらついて

いる。

前提

2

:測定値は,正規分布に従う。

石炭・コークスのある品質特性については,測定値は正規分布に従うという前提

2

は,厳密には正しく

ないが,ここで採用している統計的方法は非正規性に対しても大きい影響を受けないので,測定値が正規

分布から外れていてもこの規格で扱う精度の式の有効性は実質的に問題ない。厳密にいうと,信頼区間は

平均値のまわりにいつでも対称とはならない。しかしこの規格の精度式による誤差が,実際上有意となる

ことはほとんどない。

測定結果を要求精度内に収めるためにサンプリング計画を立案するときは,特定の石炭・コークス及び

サンプリング諸元を要求精度と結びつける関係式が必要となる。その際考慮しなければならない主要なフ

ァクターは,次のとおり。

一次インクリメントの品位変動

σ

W

試料調製・測定の分散

σ

PM

2


92

M 8811 : 2000

一次インクリメントの個数

n

及びサブロットの個数

m

一次インクリメント及び大口試料の質量

これら関係式は,連続サンプリングの場合は 11.2.2,断続サンプリングの場合は 11.2.3 に記載している。

これら関係式で使用する一次インクリメントの品位変動の求め方は,10.3 に記載している。

サンプリング設備の設計・設置が完了すれば,通常ベースのサンプリングで達成される総合精度

β

SPM

チェックすることが望ましい。総合精度

β

SPM

の推定は,一次インクリメントの品位変動

σ

W

,一次インクリ

メントの個数

n

,サブロットの個数

m

11.2 参照)及び試料調製・測定の分散

σ

PM

2

から求めることができ

る。

備考

一次インクリメントの品位変動

σ

W

は製品である石炭・コークスの品質のばらつきの関数である。

したがって,たとえ

n

m

及び

σ

PM

2

が同じであっても,製品品質のばらつきが異なれば,総合

精度

β

SPM

は違った値となる。

時系列での品質傾向変化の程度及び採用する品位変動調査方法によっては,総合精度は過大に(実際の

精度より悪い方へ)推定される。更に

β

S

及び

σ

PM

2

の推定結果に意味をもたせるため多数の二重インクリメ

ントを調製及び測定することが必要となる。

実績精度の推定は,サンプリング設備の多くの部分から試料を採取し,かつこれらの結果を比較するこ

とで行う。実績精度を推定する方法は幾つかあるが,以下によって方法が異なる。

a)

精度チェックテストの目的

b)

使用できるサンプリング手順及び装置によって決まるテスト実施上の制約。

サンプリング設備が既にある場合,このテストの目的はこの設備でのサンプリング方法が要求精度を実

際に達成しているかをチェックすることである(11.3 参照)

。もし要求精度を達成していないなら,設備を

手直しすること及びテストを要求精度に合うまで繰り返すことが必要になるかもしれない。

このためには,

通常の方法とは異なるが通常方法の精度を測定できる特別なチェック方法を開発しなければならないだろ

う。

通常のサンプリング方法に対して最も厳密なテスト方法は,複数のサブロットを二重サンプリングする

方法である。しかし既存サンプリング設備では,個々の装置の能力及び通常方法でのインクリメント採取

間隔が十分で無く,追加のインクリメント採取ができないことが多い。このような場合は,連続するサブ

ロットを対として,各対から二重サンプルを採ることができる。

特定のロットをサンプリングし,その実績精度を知るニーズが出てくるかもしれない(11.4 参照)

。この

場合でも,特別なチェック方法を開発しなければならないだろう。

しかしこの場合は,

要求されているのは対象サンプリング方法がその対象ロットで達成した精度である。

特定ロットでの実績精度を測定するには,多重サンプリングがベストの方法である。

試料調製・測定精度をチェックする詳細方法は,11.5 に記述している。ここでの結果は,11.2 で使用す

る式のデータとしてもよい。

11.2

精度に関係する式

11.2.1

全般  精度とは,規定条件下で繰り返した測定結果の一致程度の尺度であり,採用する測定方法の

特性を示すものである。ある方法のランダム誤差が小さければ小さいほどその方法は精度が高いことにな

る。一般的な精度の指標

β

は試料から推定した母標準偏差

σの

2

倍であり,この規格では精度の指標として

β

(又は

σ)を用いている。

もし石炭・コークスのサブロットから多くの多重サンプル

j

個を採り,

j

個を別々に試料調製及び測定す

るなら,

1

個の測定結果の推定精度

β

SPM

は次式

(11-1)

で与えられる。


93

M 8811 : 2000

β

SPM

2

σ

SPM

2

2

SPM

σ

 (11-1)

ここに,

σ

SPM

試料から推定した総合の標準偏差

σ

SPM

2

試料から推定した総合の分散

(11-1)

σ

SPM

2

は,一次インクリメントの分散(品位変動)

,インクリメント個数及び試料調製及び測

定の誤差の関数である。

備考

一次インクリメントの分散は,より正確には,サンプル抽出の分散及びロット内品位変動の分

散から構成されている。ロット内品位変動の分散はサンプリングの総合分散の最大の要因であ

ることが多い。この規格では,サンプル抽出の分散は一次インクリメント分散と分けて測定す

ることはないと見なし,特別の事情が無い限り一次インクリメント分散は,品位変動と呼び換

えている。

一回のサンプリングでは,上記の関係は次式

(11-2)

で表せる。

2

2

2

PM

W

SPM

n

σ

σ

σ

+

=

 (11-2)

ここに,

σ

W

品位変動

σ

PM

2

試料調製及び測定の分散

n

一次インクリメントの個数

11.2.2

連続サンプリング  ロットの全体品位が大口試料の算術平均値である場合,つまりロットを一連の

サブロットに分け各サブロットから試験試料を採る場合,式

(11-2)

は次式となる。

m

mn

PM

W

SPM

2

2

2

σ

σ

σ

+

=

 (11-3)

ここに,

m

ロットの平均品位を求めるのに使ったサブロット(=測定結
果)の個数

一連の多重サンプルの一つが

1

個の大口試料であるから,式

(11-1)

及び

(11-3)

を組み合わせて次式が得ら

れる。

m

mn

PM

W

SPM

2

2

2

σ

σ

β

+

=

 (11-4)

品位変動が既知又は推定できる対象ロットのサンプリング方法が決まれば,式

(11-4)

から,達成されるサ

ンプリングの総合精度

β

SPM

を推定できる。また要求精度及び品位変動が分かっているロットのサンプリン

グを立案する人は式

(11-4)

から,サンプリング,試料調製及び測定の総合コストを考慮したインクリメント

個数

n

及び大口試料個数(=サブロット個数)

m

の最適組合せを決定することが可能である。最適サンプ

リング方法を立案するときは,式

(11-4)

を変形した次の

2

式が更に使いやすい。

2

2

2

4

4

PM

SPM

W

m

n

σ

β

σ

=

 (11-5)

(

)

2

2

2

4

SPM

PM

W

n

n

m

β

σ

σ

+

=

 (11-6)

備考

流れから得られる石炭・コークスの測定結果は,系列相関(自己相関)を示すことが多い。換

言すれば,流れの中で極めて接近した石炭・コークスは同じ組成を,流れで離れた石炭・コー

クスは異なる組成を示す傾向がある。系列相関があるときは品位変動

σ

W

及び試料調製・測定の


94

M 8811 : 2000

分散

σ

PM

2

に基づいて推定した精度は実際の達成精度より悪く(数値が大きく)なる。品位変動

を求める 10.3.4 のバリオグラム法においては系列相関の影響が考慮されている。

11.2.3

断続サンプリング  品位変動

σ

W

の値は同一ロットであればすべてのサブロットで一定と仮定して

いるが,実際はサブロット間の平均品位は異なっているだろう。すべてのサブロットをサンプリングしテ

ストするならば,この影響は出てこない。しかし一部のサブロットをサンプリングしテストする断続サン

プリングでは,サブロット間分散の補正項を式

(11-3)

に取り込んだ次式

(11-7)

を用いる。

u

m

u

u

un

B

PM

W

SPM

2

2

2

2

1

σ

σ

σ

σ

÷

ø

ö

ç

è

æ −

+

+

=

 (11-7)

ここに,

m

対象ロットのサブロット総個数

u

サンプリングするサブロット(=測定結果)の総個数

σ

B

2

サブロット間の分散

(1-u/m)

の項は,

u/m

が大きくなれば

σ

B

2

の影響が小さくなり,

u

m

となれば

σ

B

2

の影響が無くなるとい

う事実を補正するものである。

(11-1)

及び式

(11-7)

から,式

(11-4)

に対応する断続サンプリングの式を導くことができる。更にこの式を

変形すれば,式

(11-5)

及び式

(11-6)

に対応する式が得られる。

11.3

二重サンプリングによる既設サンプリング設備のチェック

11.3.1

全般  11.3 で記述するすべての精度チェック方法では,次の記号及び定義を適用する。

n

0

:通常サンプリングでのサブロット当たりのインクリメント個数

m

0

:通常サンプリングでのサブロットの個数

β

0

:通常サンプリングでの総合の要求精度

β

W

:許容できる最悪(数値が最も大きい)の総合精度

精度チェックテストにおける試料調製は,どの場合でも,通常採用している試料調製方法で行わなけれ

ばならない。

11.3.2

二重サンプリングの方法  各サブロットから通常の

2

倍(

2n

0

個)のインクリメントを採取し,各

n

0

個のインクリメントからなる二重サンプル(

図 11-1 参照)とする。このプロセスは何度も繰り返し,必

要ならば複数の同一銘柄のロットから,少なくとも

10

組の二重サンプルを作る。


95

M 8811 : 2000

図 11-1  二重サンプリングの計画例

測定する品質特性を決める,例えば,石炭では灰分,コークスなら回転強度とする。次に測定した品質

特性の二重サンプル内での標準偏差

s

を次式

(11-8)

を用いて計算する。

p

n

d

s

2

2

å

=

 (11-8)

ここに,

d

各組の二重サンプルの測定値差

n

P

二重サンプルの組数

典型的な石炭灰分の例を

表 11-1 に示す。


96

M 8811 : 2000

表 11-1  二重サンプリングの測定結果

灰分

%

  ドライベース

測定値,%

測定値差

組 No.

A

B

A

Bd

d

2

 1

11.1

10.5

  0.6

0.36

 2

12.4

11.9

  0.5

0.25

 3

12.2

12.5

−0.3 0.09

 4

10.6

10.3

  0.3

0.09

 5

11.6

12.5

−0.9 0.81

 6

11.8

12.0

−0.2 0.04

 7

11.8

12.2

−0.4 0.16

 8

10.8

10.0

  0.8

0.64

 9

 7.9

 8.2

−0.3 0.09

10

10.8

10.3

  0.5

0.25

合計 0.6 2.78

この例では二重サンプルの組数は

10

である。

したがって灰分の分散

s

2

p

n

d

s

2

2

2

å

=

20

78

.

2

0.139 0

よって標準偏差

s

1390

.

0

=

s

0.373

以上から,サブロットの測定結果の精度は,

β

SPM

2s

2

×

0.373

0.75%

このロットが

m

個のサブロットからなるとすると,このロット全体の平均灰分の精度は

m

s

2

である,仮

に,

m

10

とすると

β

SPM

10

373

.

0

2

×

=0.24%

上記総合精度

β

SPM

の値は,標準偏差の点推定値を用いて計算したものであり,最も良い推定値となって

いる。

もし

95%

の信頼率で区間推定した標準偏差を用いる場合は,精度は上限値と下限値の区間にある。この

上下限値の計算には,精度の点推定値及び自由度による係数(

表 11-2 参照)を使う。

表 11-2  精度の区間推定に用いる係数

f

:観測値の個数

5 6 7 8 9 10

15

20

25

50

下限値 0.62

0.64

0.66

0.68

0.69

0.70

0.74

0.77 0.78 0.84

上限値 2.45

2.20

2.04

1.92

1.83

1.75

1.55

1.44 1.38 1.24

備考

表 11-2 中の係数は,

n

組の観測値の差の平方根から求めた

s

2

の推定値から導いている。このケ

ースでは制約は何もないから,

s

2

の推定では

d

2

の場合と同じく自由度は

n

である。この表中の


97

M 8811 : 2000

値は次の関係式から導かれている。

025

.

0

,

2

2

n

s

n

χ

<

s

2

<

975

.

0

,

2

2

n

s

n

χ

表中の係数は

2

/

χ

n

の値であり,この値に

s

を掛ければ信頼限界が得られる。

10

個のサブロットからなる上記ロットの例では,次となる。

上側信頼限界=

1.75 (0.235 9)

0.41%

下側信頼限界=

0.70 (0.235 9)

0.17%

係数

1.75

及び

0.7

は,

表 11-2 

f

n

p

10

として求めている。

真の精度は

0.17%

から

0.41%

の間にある(信頼率

95%

11.3.3

連続する二つのロット又はサブロットからの二重サンプリング方法  操業上の理由からそれぞれ

の通常サブロット(通常のサンプリング用に決めた大きさのサブロット)から

2n

0

個のインクリメントを

採取できない場合は,すべてのインクリメントを分けて保管できるという条件付きで,次の手順によって

精度を測定する。

それぞれのサブロットから

n

0

個のインクリメントを採取し,

図 11-2 に示すように,インクリメントを

合わせ二重サンプルを調製する。この手順は,もし必要なら,同じ銘柄の石炭・コークスで少なくとも

10

組の二重サンプルを得るまで幾つかのロットにまたがって,繰り返す。この場合,11.3.2 の手順に従って

得られた精度

β

n0

はインクリメント個数が,

n

0

/2

個のときの値となる。したがって

n

0

個のインクリメント数

からなるサブロットの精度

β

は得られた精度

β

n0

を 2 で割ることによって求めなければならない。

図 11-2  連続するサブロットからの二重サンプリング例


98

M 8811 : 2000

11.3.4

再テスト  もし要求精度

β

0

が,11.3.2 で求めた対象ロットの上側限界値より上側にあるならば,こ

の要求精度は達成されているといえる。しかし,11.3.2 で求めた信頼区間が広すぎてこの内側に,

β

0

及び

許容できる最悪の精度

β

W

がともに入ってしまう場合は,データ数が不足しているので再度テストを行い,

追加データを採取しなければならない。追加するデータは元のデータと一緒にし,新旧全部の二重サンプ

ルについて計算する。

備考

データを追加すると,

表 11-2 の自由度

f

が大きくなるから,信頼区間が狭まる。

データを追加する手順は,

β

W

β

の信頼区間の上側にくるまで,又は

β

0

β

の信頼区間の外側にくるまで

繰り返す。後者の場合は,調整が必要になるかもしれない。

備考

テストで求めた精度

β

が要求精度

β

0

と異なる場合には,サンプリング方法の見直し及び再テス

トにかかるコストが無意味となる可能性もあるので,サンプリング設備を手直しする前及びサ

ンプリング方法を変更する前に,価値(効果/費用)分析を行うことが望ましい。

サンプリング方法の変更を行う前には,11.5 の手順に従う試料調製及び測定精度

β

PM

のチェックを行わ

なければならない。この

β

PM

事前チェックを行えば,11.2.2 の式に基づいて,サンプリング方法又は試料調

製方法を変更すべきかどうか決めることができる。

もし新規サンプリング方法を立案することにした場合,最初にやることは一次インクリメントの品位変

σ

W

の計算である。この計算は,式

(11-4)

n

n

0

に置き換えて変形した次式

(11-9)

を使って行うことが

できる。

2

0

2

0

4

PM

SPM

W

n

mn

σ

β

σ

=

 (11-9)

ここに,

β

SPM

チェックテストで得られた実績精度(注:これは

β

0

ではな

い。

σ

PM

2

元から分かっている値又は 11.5 の方法で推定した値

品位変動

σ

W

が計算できると,今度は,石炭又はコークスに応じて,かつ流れからか又は静置ロットから

かに応じて,5.から 7.に記載された手順に従って新しいサンプリング方法を立案する。

新しいサンプリング方法を実施し始めたら精度チェックを新たに行う。新しい精度チェックは,以前の

結果を捨てて,満足できる精度が得られるまで続ける。

満足できる結果が確認された後は,ロットごとの精度チェックは不要である。しかし定期的なチェック

を行うことが望ましい。例えば,

5

個のサブロットにつき

1

回,11.3.2 に従うときは連続する

10

個のサブ

ロットにつき

1

回,また 11.3.3 に従うときは同じく連続する

10

組のサブロットにつき

1

回,精度チェック

を行う。

10

組のデータが集まったら,対になっていない半端なデータは無視して,11.3.2 に記述してある方法で

10

組のデータを解析する。

11.4

多重サンプリングによる精度の推定

11.4.1

方法と計算  測定する品質特性,例えば,灰分(無水ベース),を決める。次に石炭又はコークス

に応じてかつ流れからか又は静置ロットからかに応じて,5.から 8.に記載された手順に従って要求精度を

満たすサンプリング方法を立案する。

サブロットごとに大口試料を作る代わりに,

ロットの全インクリメント

nm

個から多重サンプルを作る。

多重サンプルの個数

j

は,サンプリングを行うサブロットの個数

m

より大きく,かつ

10

より大きくなけれ

ばならない。

多重サンプルが

10

個の場合,試料容器に

A

B

C

D

...J

とラベルを付ける。インクリメントは採取


99

M 8811 : 2000

する順に

A

B

C

D

E

F

G

H

I

J

A

B

C

D

...

の容器に入れる。

石炭での計算例を

表 11-3 に示す。

表 11-3  一つのロットからのサンプリング結果

灰分

%

(無水ベース)

多重サンプル No.

測定結果%

(測定結果)

2

A

 15.3

 234.09

B

 17.1

 292.41

C

 16.5

 272.25

D

 17.2

 295.84

E

 15.8

 249.64

F

 16.4

 268.96

G

 15.7

 246.49

H

 16.3

 265.69

I

 18.0

 324.00

J

 16.7

 278.89

合計 165.0

2

728.26

多重サンプルの個数

j

10

平均値は

165.0/10

16.5%

多重サンプルから推定した標準偏差

s

s

9

10

165

26

.

2728

2

0.800

このロットの実績精度は以下のとおり推定される。

j

S

SPM

2

=

β

10

800

.

0

2

×

0.506%

真の精度

β

SPM

は,

表 11-2 から,

0.35%

から

0.89%

の間にある(信頼率

95%

備考

11.4.1

に記載している精度

β

SPM

には,試料調製及び測定精度が含まれている。

11.4.2

実績精度による通常のサンプリング方法の立案  11.4.1 の方法で求めた結果に基づいて通常のサン

プリング方法を立案する場合は,

(10-9)

式に

n

及び

j

m

の代わり)の値を代入して品位変動

σ

W

を推定する

ことができる。品位変動が決まると,今度は 5.から 7.に記載された適切な手順に従って,通常のサンプリ

ング方法を立案できる。

11.5

試料調製及び測定精度のチェック方法

11.5.1

全般  この規格に規定する試料調製及び測定精度

β

PM

のチェック方法は,試料調製及び測定の様々

な段階で発生するランダム誤差を推定することを意図している。

このランダム誤差は,分散の形で表現される。試料調製過程でコンタミ及びロスによる偏りが入ってい

ないかどうかを確かめるためには,偏りテストが別に必要である(12.参照)

9.

に記載しているように,石炭の一般分析用試料の調製は,一般的に少なくとも二つの段階で行われる。

各段階とも粉砕及び縮分を含み,縮分した試料は保管し残りは廃棄される。すべての誤差は,縮分の過程,

212

µ

m1g

のはかり採りの過程及び測定の過程で発生する。最も重要な誤差の要因は,縮分前の粒度分布


100

M 8811 : 2000

及び縮分後の質量である。

コークスの試料調製は一般に石炭より少ない段階で行われる。しかし石炭と同じ精度チェックの原理が

適用される。

ここ以降の 11.5 では,便宜上石炭の灰分だけを取り上げている。灰分の精度で問題ないならば,水分及

び発熱量を除く工業分析及び元素分析の精度も普通は問題がない。水分及び発熱量は精度をチェックする

ほうがよい。もし必要ならばすべての品質特性をチェックしてもよい。

記載している方法のチェック対象は,総合の試料調製・測定精度

β

PM

及び各段階での精度である。

ここに記載している方法は,もともとは手動式試料調製のチェック用に開発されたものである。もし試

料調製が一次サンプリングと試料調製設備を統合した設備内で行われるならば,個々の装置の精度を測定

することは実際的でないだろう。人為的に,例えば,廃棄流を設備に再度給炭して個々の装置の精度を測

定できるかもしれないが,このときは通常運転を何も代表していない。したがって試料調製段階が一次サ

ンプリングと統合されている場合は,一次サンプリング及び試料調製段階が一つになっているとしてみな

し,サンプリング・試料調製精度

β

SP

とみなして測定してよい。

11.5.2

試料調製及び測定精度の目標

11.5.2.1

全般  11.5.3 に記述している方法に従って推定した総合の試料調製・測定精度

β

PM

は,事前に決め

ている目標値

β

PM

と較べて評価する。普通この目標値

β

PM

は,試料調製の責任者によって決定される。

個々の縮分精度(9.3.2.5.2 

参考参照)は直接推定する。個々の縮分精度

β

Di

の推定値は,目標の縮分精

β

Di

又は総合精度

β

PM

と比較して,評価してよい。

備考

大雑把にいうと,縮分の分散は測定の分散の

2

倍である。例えば,縮分

2

段階及び測定の計

3

段階からなる試料調製及び測定では,総合の試料調製・測定の分散

β

PM

2

2

2

1

に分けて目

標値としてよい。

最終段階である測定の精度は,当該分析規格及び次式

(11-10)

から決定できる。

83

.

2

2r

M

=

β

 (11-10)

ここに,

β

M

測定精度(測定試料抽出の精度を含む。

)の目標値

r

当該分析方法の併行許容差

全水分の縮分精度の値は,灰分の縮分精度の値に較べ,遙かに大きいだろう。理由は偏りを避けるため

にハンドリングを最小限としていることである。全水分は縮分精度が悪くても,総合精度

β

SPM

が達成され

ていれば,受け入れてよい。

11.5.2.2

オフラインの試料調製  9.に規定している試料調製方法は,その縮分質量基準を守れば,石炭灰

分の試料調製・分析精度

β

PM

0.89% (

2

.

0

2

)

以下を達成できる。多くの石炭では,特に機械式縮分機を使

えば規定の最小カット数より遙かに多いカットを採れるため,

0.89%

より大幅に小さい精度が達成される

だろう。コークスについても同様である。

備考

同一設備で似た石炭を調製する場合には,経験に照らして,可能であるなら更に厳しい目標

β

PM

を設定することが望ましい。

試料調製精度を向上できれば,調製及び測定する試料個数を減らすことができる。

備考

各段階の目標縮分精度

β

Di

は,最悪でも,石炭の灰分で

0.57% (

08

.

0

2

)

とすべきである。


101

M 8811 : 2000

11.5.2.3

オンラインの試料調製  試料調製と一次サンプリングが統合されている設備で試料調製の一部

を実施しているところでは,この試料調製精度

β

D1

は一次サンプリングの精度

β

S

と区別できなくなってい

る。このような場合残りの目標精度

β

D2M

は,試料調製全体をオフラインで行うときの目標精度

β

PM

より小

さくなければならない。

備考

現実的な目標精度

β

PM

は,経験によって決めることが望ましい。最悪の目標精度

β

PM

としては,

11.5.2.2

β

Di

の値(石炭灰分で

0.57%

)を採用すべきである。

11.5.3

全体のチェック手順  まず最初に,試料調製及び測定精度

β

PM

が目標精度

β

PM

11.5.2 参照)を超

えていないかをチェックする。このチェック方法は,推定した実績精度と目標精度

β

PM

の差が統計的に有

意かどうかを検定するものである。

この全体チェックは,一段目の縮分段階で二重サンプルを採ることから始める。採取した二重サンプル

は,最後まで別々に調製して二つの試験試料とする(

図 11-3 参照)。この二つの試験試料から試料調製・

測定精度

β

PM

を偏り無く推定できる。このようにして合計

10

組の二重サンプルを得る。

図 11-3  試料調製精度テスト用の試験試料調製手順


102

M 8811 : 2000

10

組の差

d

の絶対値

|d|

の平均値を

y

とする。

y

は以下の範囲になければならない。

2

7

.

0

PM

β

y

2

75

.

1

PM

β

10

組の二重サンプルの結果が

2

回続けて上の範囲に入るならば,試料調製手順は問題なしとして受け入

れてよい。

y

<

0.7

β

PM

/2

の場合,精度は良好である。精度はよい方が望ましいから手順の見直しは不要である。

1.75

β

PM

/2

<

y

の場合,精度は悪すぎる。試料調製の各段階で残した縮分後質量が少な過ぎたと推定され

る。したがって今度は 11.5.4 の規定によって,各段階での精度をチェックすることが望ましい。各段階の

精度をチェックすれば必要となる手順の改善を行うことができるだろう。

11.5.4

段階ごとのチェック

11.5.4.1

全般  普通次の二つの手順を用いる。

a)

手順

1

11.5.4.2 参照)

;サンプリング費用に較べ分析費用が安い場合。

b)

手順

2

11.5.4.3 参照)

;相対的に分析費用が高い場合,精確さは若干劣る。

二つの手順を状況に応じて使い分けると,

2

段階以上の縮分を含む試料調製方法を正しくチェックでき

る。

例えば,試料縮分を含む

3

段階試料調製・測定方法の精度は次のように分けられる。

a)

  Xkg

から

Ykg

採取するときの縮分精度

β

D1

2

σ

D1

b)

  Ykg

から

60g

採取するときの縮分精度

β

D2

2

σ

D2

c)

測定精度

β

M

2

σ

M

なお

β

M

には−

212

µ

m

に微粉砕した石炭試料から

1g

をはかり採る精度も含んでいる。

この試料調製方法の総合精度

β

PM

は,次式

(11-11)

で与えられる。

β

PM

M

D

D

2

2

2

1

2

β

β

β

+

+

 (11-11)

もし試料調製方法の中間段階で二重サンプルを採取すれば,この二つの試料から得られる総合精度は採

取した段階以降の精度の合計となる。例えば,仮に

3

段階試料調製・測定方法があり

2

段階目で二重サン

プルを採取すれば,この二つの試料から得られる総合精度

β

PM

は,以下となる。

β

PM

M

D

2

2

2

β

β

+

β

P

を装置ごとの精度に分けるには,各段階で二重サンプルを採取し,

β

PM

を計算し,かつ測定段階から

工程の逆の向きに個々の段階の精度を計算していく必要がある。

新規の装置を導入するとき,また新しい手順の導入を検討するときは,上記と同じ手順を用いてよい。

結果の解釈時,特に各縮分段階の精度を推定するときには,細心の注意が要求される。

11.5.4.2

手順 1

11.5.4.2.1

方法  最初の縮分で,それぞれの質量が

Ykg

である二つの試料

A

及び

B

図 11-4 参照)を 11.5.5

の規定に従って採取し,残試料は廃棄する。試料

B

は,正規の手順で処理し,一般分析用試験試料を調製

する。

試料

A

からは 11.5.5 の規定に従って

2

回目の縮分で

60g

の試料

2

個を採取し,共に一般分析用試験試料

とする。


103

M 8811 : 2000

図 11-4  試料調製方法の詳細精度チェック−手順 での測定試料調製

合計

3

個(

A

から

2

個,試料

B

から

1

個)の試験試料には,便宜上

A

1

A

2

及び

B

とラベルを付ける。

各試験試料から各々

2

個の測定試料を採り,特性(例えば,灰分)の測定を行う。

少なくとも

10

個の大口試料を上記の様に処理し,

10

組×

6

個/組のデータを得る。

11.5.4.2.2

各段階での精度の計算  試料調製の各段階で採取した二重サンプルの分散(

1

段階目の分散を

σ

z

2

2

段階目の分散を

σ

y

2

3

段階目の分散を

σ

x

2

とする)は,一般式

(11-12)

から計算できる。

p

n

d

2

2

2

å

=

σ

 (11-12)

ここに,

d

二重サンプルの測定値差

n

p

二重サンプルの組数

10

組の二重サンプル各々について

6

個の測定値がある。

6

個の測定値を記号

 (1)

から

 (6)

で表す。

a)

試験試料ごとに,二重サンプルの測定値差

X

を計算する。

次に

X

の分散

σ

X

2

を計算する。

60

2

2

å

=

X

X

σ


104

M 8811 : 2000

b)

試料

A

について試料

A

1

と試料

A

2

の測定値差

Y

を計算する。

( ) ( ) ( ) ( )

2

4

3

2

2

1

+

+

=

Y

Y

の分散

σ

Y

2

を計算する。

20

2

2

å

=

Y

Y

σ

c)

A

B

の差

Z

を計算する。

( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

2

6

5

4

4

3

2

1

+

+

+

+

=

Z

Z

の分散

σ

z

2

を計算する。

20

2

2

å

=

Z

Z

σ

11.5.4.2.3

各段階までの累積分散の計算

3

段階目である測定段階の分散

σ

M

2

から計算を開始する。

1

段階

目の分散

σ

1

2

及び

2

段階目の分散

σ

2

2

の計算では,次を考慮する。

二重サンプルの結果は,二個以上の測定値の平均値であること。

後の段階の分散は,前の段階の分散に含まれていること。

a)

  3

段階目

測定誤差以外は入り込んでいないから,

σ

M

2

σ

X

2

b)

  2

段階目

較べている結果は

2

個の測定値の平均値であるから,

Y

には

3

段階目の分散成分

σ

M

2

1/2

が含まれ

ている。

σ

Y

2

σ

2

2

2

1

σ

M

2

したがって,

c)

1

段階目

試料

A

について:

σ

2

2

σ

Y

2

2

1

σ

X

2

A

の結果は

4

個の測定値の平均値であるから,

X

には

3

段階目の分散成分

σ

M

2

1/4

が含まれている。

2

段階目では二つの試験試料があるから

X

には

2

段階目の分散成分

σ

2

2

1/2

が含まれている。

よって試料

A

の分散は,

σ

1

2

2

1

σ

2

2

4

1

σ

M

2

試料

B

について:

B

の結果は

2

個の測定値の平均値であるから,

X

には

3

段階目の分散成分

σ

M

2

1/2

が含まれている。

2

段階目では一つの試験試料があるから

X

には

2

段階目の分散成分

σ

2

2

が含まれている。

よって試料

B

の分散は,

σ

1

2

σ

2

2

2

1

σ

M

2


105

M 8811 : 2000

二つの試料

A

及び

B

の分散を,

 (A

B) /2

として平均すると,以下となる。

2

2

1

4

1

2

1

2

2

2

2

1

2

2

2

2

1

2

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

+

+

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

+

=

M

M

Z

σ

σ

σ

σ

σ

σ

σ

2

2

1

2

2

2

2

1

4

3

8

3

4

3

Y

M

σ

σ

σ

σ

σ

+

=

+

+

=

2

2

2

1

4

3

Y

Z

σ

σ

σ

=

この式から,

備考

個数が限られた測定結果に基づいて分散を推定しているから,

σ

1

2

又は

σ

2

2

は負になることもあ

り得る。負になった場合は,この分散はゼロと見なしてそれ以降の計算を行う。

11.5.4.3

手順 2

11.5.4.3.1

方法  この 11.5.4.3 に記述する手順

2

は,11.5.4.2 の手順

1

より精確さは劣るが分析回数は少な

くなるので,分析費用がサンプリング費用に対して相対的に高い場合に採用できる。この手順

2

図 11-5

に示す。この手順

2

は 11.5.4.2.1 と似ている。違っているのは試料

A

1

だけを

2

回分析するところだけであ

る。

10

個の試料を調製して

10

組×

4

個/組のデータを得る。

凡例は,

図 11-3 参照

図 11-5  試料調製方法の精度チェック−手順 での測定試料調製

11.5.4.3.2

各段階で発生する精度の計算  各段階の分散を以下計算する。

a)

二重分析の差を

 (1)

 (2)

で計算する。この差を

X

として

X

の分散を計算する。

20

2

2

å

=

X

X

σ


106

M 8811 : 2000

b)

試料

A

について試料

A

1

A

2

の差

Y

を計算する。

( ) ( ) ( )

3

2

2

1

+

=

Y

Y

の分散

σ

Y

2

を計算する。

20

2

2

å

=

Y

Y

σ

c)

試料

A

と試料

B

の測定値差

Z

を計算する。

( ) ( ) ( )

( )

4

2

3

2

2

1

+

+

=

Z

Z

の分散

σ

Z

2

を計算する。

20

2

2

å

=

Z

Z

σ

11.5.4.3.3

各段階までの累積精度の計算  累積の分散を次のように計算する。

a)

  3

段階目

σ

M

2

σ

X

2

b)

  2

段階目

A

1

の結果は

2

個の測定値の平均値であるから,

3

段階目の分散成分

σ

M

2

1/2

が含まれている。

A

2

1

個の測定値の結果であるから,分散成分

σ

M

2

が含まれている。

この二つを合わせると,

2

2

2

4

3

2

2

1

M

M

M

σ

σ

σ

=

+

よって,

σ

Y

2

σ

2

2

4

3

σ

M

2

a)

から,

σ

M

2

σ

X

2

であるから

σ

2

2

σ

Y

2

-

4

3

σ

M

2

c)

1

段階目

試料

A

について:

試料

A

の結果は

2

個の試料

A

1

A

2

の平均値であるから,

2

段階目の分散成分及び

3

段階目の分散成

分は,次となる。

2

2

2

2

2

2

8

3

2

1

2

4

3

M

M

σ

σ

σ

σ

+

=

+

試料 B について:

B

の結果は 1 個の測定値であるから,2 段階目の分散成分及び 3 段階目の分散成分は,次となる。

σ

2

2

σ

M

2

二つの試料 A 及び B の分散を, (A+B) /2 として平均すると,次となる。


107

M 8811 : 2000

(

)

2

8

3

2

1

2

2

2

2

2

2

2

1

2

M

M

Z

σ

σ

σ

σ

σ

σ

+

+

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

+

=

2

2

2

2

1

16

11

4

3

M

σ

σ

σ

+

+

2

2

2

1

8

1

4

3

X

Y

σ

σ

σ

+

+

この式から,

2

2

2

2

1

8

1

4

3

X

Y

Z

σ

σ

σ

σ

=

11.5.4.4

結果の解釈  11.5.4.2 又は 11.5.4.3 の手順で推定した精度

β

PM

 (

=2

σ

PM

)

を,事前に決めた目標精度

11.5.2 参照)と較べる。

この種の精度は,テスト回数が少なくかつ相当の誤差マージンを含んでいるので,精確に評価するのは

難しい。もしどれかの段階の精度が特に悪いならば,その段階の誤差が大きいので誤差を減らす手段を講

じる必要がある。しかし精度がよい場合は,

“手順を緩和してもよいほど満足できる結果である。

”とは考

えない方がよい。

11.5.4.2

又は 11.5.4.3 の手順で得た数値をよくチェックして,悪すぎる精度がないかそして注意すべき精

度がないかを決める。一般的には

σ

1

σ

2

及び

σ

M

の測定結果を較べて,特に大きい数値がないかをチェック

する。

分析精度が大き過ぎる場合は,測定装置,特に混合手順,はかり及び必要なら温度制御の精確さを入念

にチェックしなければならない。同時に採用した測定手順を正規の仕様に照らして十分にチェックしなけ

ればならない。

試料調製段階の精度が大きすぎる場合は,対象段階の調製手順が 9.の規定に合致しているかを入念にチ

ェックしなければならない。特に粉砕後の試料は粒度測定を行わなければならない。

上記の調査でも原因不明の場合は,次の代替手順の少なくとも一方を採用して精度を向上させなければ

ならない:

a)

試料を粉砕して,粒径を小さくする

b)

次の段階に回す質量を増やす

その後,11.5.3 に規定している全体テストを再度実施し,手順全体として満足できるようになったかを

確認する。全体テストで満足できる結果が得られなかった場合は 11.5.4 の段階ごとのテストを繰り返す。

このテストのサイクルは,必要なら 10 組の差の平均値

y

が 2 回続けて,0.7

β

PM

/2

y

≦1.75

β

PM

/2

となる

まで繰り返す。

備考  11.5.4 の段階ごとのテストは複雑であるので,手順見直し直後には実施しないのが望ましい。

更に上に記載した誤差マージンがあるので,特定の段階での小さい精度改善を有意な改善とし

て検出するのは難しい。したがって連続する 10 組の試料が満足できるものかをチェックして,

全体手順をテストするのがよい。

11.5.5

各段階で二つの試料を得る手順

11.5.5.1

二分器(リッフル)を用いる手順  通常行っているリッフルでの混合を実施し,いつもの方法で

試料 A を採取する。

残試料をすべて集めて,上記の全体手順を繰り返し 2 番目の試料 B を得る。最初に試料を 2 分し,2 分


108

M 8811 : 2000

した一方から試料 A を他の半分から試料 B をとる方法は許されない。

11.5.5.2

機械式縮分機を用いる手順  次のどちらかを用いる。

a)

必要質量の 2 個の試料を得るため容器 2 個が使えるように縮分機を調整する。残試料は廃棄する。

c)

縮分機が 1 回に 1 個の試料しか採れない設計の場合は,まず必要質量の試料を 1 個採る。この後残試

料すべてを縮分機にかけ,同質量の 2 個目の試料を採る。

11.6

例  ある技術者が,試料調製設備の精度を灰分含有率 12%の石炭について要求精度 1%としてチェッ

クすることになった。

この精度を達成するには一つの大口試料に付き 15 個のインクリメントが必要である

ことが分かっていた。目標とする総合の試料調製・測定精度

β

PM

は 0.89% (=2× 2 )  と決定されていた

11.5.2.2 参照)

11.5.3

の記述に従ってサンプリングは通常の方法で行い,10 組の試料を連続して調製し,10 組の測定結

果を得た。この様にして得られた 10 組の二重サンプルは,それぞれ灰分が測定された。

表 11-4 の 2 列及び 3 列目が測定値である。

備考  表 11-4∼表 11-8 の数値はすべて,灰分%(無水ベース)である。

各組の測定値差及びこの平均値を計算した。

表 11-4 の 4 列目にこの数値を示す。

表 11-4  総合の試料調製・測定精度テスト

組  No.

試料 A

試料 B

差の絶対値

 1

12.9

12.5

0.4

 2

12.0

12.6

0.6

 3

12.8

12.7

0.2

 4

14.1

13.8

0.3

 5

13.9

14.4

0.4

 6

12.6

12.8

0.2

 7

12.8

12.7

0.1

 8

12.2

12.5

0.3

 9

13.9

13.6

0.4

10 13.2 13.7 0.5

計 3.4

平均 0.34

差の絶対値の平均値は 0.34%となった。0.34%は,目標値 0.78% (=1.75

β

PM

/2)

は超えていないが,試料

調製・測定精度

β

PM

 (

=2

σ

PM

≒2× /

d

2

=0.60)  は良くない。

11.5.4.2

の手順に従って各段階の精度をチェックした。この結果を

表 11-5 に示す。

表 11-5  段階に分けた試料調製・測定精度テスト

試料 A

1

試料 A

2

試料 B

組  No.

 (1)

 (2)

 (3)

 (4)

 (5)

 (6)

1 13.4 13.3 13.0 13.3 12.6 12.5

2 13.2 13.3 13.2 13.2 12.6 12.7

3 12.7 12.6 12.7 12.6 12.9 13.0

4 14.4 14.2 14.4 14.3 14.1 14.0

5 14.7 15.1 15.0 14.9 14.3 14.3

6 12.8 12.6 12.8 12.8 12.6 12.7

7 12.2 12.2 12.2 12.2 12.4 12.5

8 13.0 13.0 13.3 13.2 12.9 12.7

9 11.6 11.6 11.8 11.6 11.6 11.6

10 15.8 15.8 15.4 15.4 15.4 15.4


109

M 8811 : 2000

二重サンプル内の測定値差

X

及び B は,

表 11-6 に示す。これから

Σ

X

2

を計算した[11.5.4.2.2 a)参照]

同様に試料 A

1

と試料 A

2

との測定値差

Y

11.5.4.2.2 b)参照]及び

Σ

Y

2

を,

表 11-7 に示す。試料 A と試料 B

との測定値差

Z

11.5.4.2.2 c)参照]及び

Σ

Z

2

を,

表 11-8 に示す。

σ

X

2

σ

Y

2

,及び

σ

Z

2

,の計算値は,次のとおり。

σ

X

2

60

2

å

X

=0.009 0

σ

Y

2

20

2

å

Y

=0.014 5

σ

Z

2

20

2

å

Z

=0.080 0

σ

M

2

σ

2

2

及び

σ

1

2

11.5.4.2 参照)は,以下と推定される。

σ

M

2

σ

X

2

=0.009=0.01(小数第 2 位に丸めた)

σ

2

2

σ

Y

2

-0.50

σ

X

2

=0.010 0=0.01(小数第 2 位に丸めた)

σ

1

2

σ

Z

2

-0.75

σ

Y

2

=0.069 1=0.07(小数第 2 位に丸めた)

各々分散

σ

2

を標準偏差

σに換算すると,

σ

M

=0.1(小数第 1 位に丸めた)

σ

2

=0.1(小数第 1 位に丸めた)

σ

1

2

=0.3(小数第 1 位に丸めた)

これで

σ

1

2

が最大であることが明らかとなり,最初の試料縮分段階の調査が必要となった。

備考  最初の試料縮分段階の改善結果は,11.5.3 に記述された全体チェックによって評価された。


110

M 8811 : 2000

表 11-6  二重サンプル内での測定値差 の計算

試料 A

1

試料 A

2

試料 B

組  No.

(1)

− (2)

(3)

− (4)

(5)

− (6)

 1

0.1

−0.3 0.1

 2

−0.1 0.0

−0.1

 3

0.1

0.1

−0.1

4 0.2 0.1 0.1

 5

−0.4 0.1 0.0

 6

0.2

0.0

−0.1

 7

0.0

0.0

−0.1

8 0.0 0.1 0.2

9 0.0 0.2 0.0

10 0.0 0.0 0.0

ΣX

2

 0.54

表 11-7  試料 A

1

と試料 A

2

の測定値差 の計算

組  No.

試料 A

1

試料 A

2

( ) ( )

2

2

1

+

( ) ( )

2

4

3

+

試料 A

1

と試料

A

2

の測定値差

Y

 1

13.35

13.15

0.20

 2

13.25

13.2

0.05

 3

12.65

12.65

0.00

 4

14.30

14.35

−0.05

 5

14.90

14.95

−0.05

 6

12.70

12.8

−0.10

 7

12.20

12.2

0.00

 8

13.00

13.25

−0.25

 9

11.60

11.7

−0.10

10 15.80

15.4  0.40

ΣY

2

 0.29

表 11-8  試料 と試料 の測定値差 の計算

組 No.

試料 A

試料 B

( ) ( ) ( ) ( )

4

4

3

2

1

+

+

+

( ) ( )

2

6

5

+

試料 A と試料

B

の測定値差

Z

1 13.25

12.55

0.70

2 13.23

12.65

0.58

3 12.65

12.95

−0.30

4 14.33

14.05

0.27

5 14.93

14.30

0.63

6 12.75

12.65

0.10

7 12.20

12.45

−0.25

8 13.13

12.80

0.32

9 11.65

11.60

0.05

10 15.60

15.40

0.20

ΣZ

2

 1.60


111

M 8811 : 2000

12.

偏りテストの方法

12.1

全般  偏りテストは,テストする現場の条件によって,その手順を変えざるをえない。したがって

どんな現場でも使える偏りテストの方法を規定するのは不可能である。しかしながら偏りテストである限

り遵守すべき基本原則は,規定することができる。

この箇条ではこの規格に従って採取調製した石炭・コークスの試験試料の偏りをテストする基本原則及

び手順を記述する。ここでは単一変数の統計手法(例えば,灰分のデータだけで解析する方法)だけを扱

っている。ただし多変数の統計手法(例えば,灰分及び水分のデータを一緒にして解析する方法)は,

“偏

りがないにもかかわらず偏りがある”と誤った結論を下す確率が単一変数の統計手法の場合より相当大き

くなることは注意しておく。幾つかの品質特性(例えば,灰分及び水分)を測定する場合は,どの特性値

で偏りテストを行うかを事前に決めておかなければならない。

12.2

原則

12.2.1

全般  偏りテストは,いつも一つの目的で実施するとは限らない。偏りテストの目的は,次が想定

される。

a)

契約の要求事項(保証値又は購入/受入れスペック)を満たしているかの評価

b)

診断

c)

a)

及び b)の両方。

テストする品質特性は複数の場合もある。この規格ではサンプリング設備の挙動をテストするのに一つ

の品質特性について単一変数の統計量を用いる。この規格の手順は,水分及び灰分(無水ベース)で行う

ことができる。

どんなサンプリング,試料調製及び分析方法も測定のランダム誤差をゼロにすることは不可能である。

したがってどんな統計手法であっても“偏りがない”と証明することはできない。しかし“ある大きさ以

上の偏りはないように思われる”と証明することはできる。

サンプリング設備の偏りテストは,本質的に同一の石炭・コークスから一連の対試料を採取することが

ベースとなる。各対試料の一方はテストするサンプリング設備(又は装置)で採取,他方は基準の方法で

採取する。各対試料ごとに測定値差を求める。このようにして得られる一連の測定値差を統計解析する。

この統計解析の手順では有意差検定の感度,例えば,検出できる最小偏りが最大許容偏り

B

W

以下であ

るかどうかという感度が要求される。したがって最大許容偏り

B

W

は,テスト前に決定しなければならな

い。その値が実際にどう影響するかを考慮して許容できる最大の偏りを

B

W

として選択する。

備考  最大許容偏り

B

W

は,最大許容精度の 1/2 を目安としてもよい(

表 12-1 参照)。

表 12-1  最大許容偏り B

W

の目安:石炭の灰分(無水ベース  %)での例

工程

一次サンプリング

試料調製

縮分を含む
各調製段階

試料調製

&

測定

総合

最大許容精度

β

W

 1.0

0.8 0.4 0.9 1.4

最大許容偏り B

W

 0.5

0.4 0.2 0.5 0.7

この統計解析の感度は,比較する対試料個数及び一連の測定値差の分散の大きさに左右される。

この統計解析では,次の三つを前提としている。

a)

変数は,正規分布する。

b)

測定の誤差は,独立である。

c)

データは,統計的に均一である。

上記三つの理想的前提がいかによく実現されているかが,統計解析の有効性を支配する。


112

M 8811 : 2000

試料の粉砕,縮分及び試験室での分析を含む偏りテストの実施に当たっては,上記 3 前提からの逸脱で

統計解析が無効にならないようにしなければならない。

統計的検定の結果によって判断を下すときは,第一種の誤り(あわて者の誤り)又は第二種の誤り(う

っかり者の誤り)を犯す危険が常に存在する。帰無仮説が正しいとき帰無仮説を棄却するならば,つまり

“偏りが実際は存在しないとき偏りがある”と宣言するならば,第一種の誤りをしたことになる。一方帰

無仮説が正しくないとき帰無仮説を受け入れるならば,つまり“偏りが実際にあるとき偏りがない”と宣

言するならば,第二種の誤りをしたことになる。

第一種の誤り又は第二種の誤りを犯したかどうかは,どんな場合でも,知ることができないが,第一種

の誤りを犯す確率

α

及び第二種の誤りを犯す確率

β

は,求めることができる。 (1-

β

)

は,帰無仮説が成り立

っていないときに,そのことを正しく検出する確率であって,検出力と呼ぶ。

偏りテストでは,第一種の誤りを犯す確率

α

は,任意に小さくできる,また第二種の誤りを犯す確率

β

任意に小さくできる。しかし

α

β

は,観測個数を増やさない限り,一方を小さくすれば,他方が大きくな

る関係にある。

この規格では,一般的な有意水準である,

α

=0.05 又は

α

=0.01 を採用している。

最大許容偏りを

B

W

とする偏りテストの対試料の数は,サンプリング設備全体のテストでは適切でも,

サブ設備(設備の一部分)のテストには少な過ぎるかもしれない。このような場合,もし対象部分の性能

が決定的に重要ならば,別個のテストを実施しなければならない。一次サンプラ以外の部分では,普通こ

のようなテストは正規操業への支障を最小限にして,かつサンプリング設備全体のテストより安いコスト

で実施できる(4.2 及び 4.3 参照)

要求される対試料の数を得るのが実際的でないときは,対試料のデータの分散を減らす手だてが必要と

なる。対試料のデータのばらつきを小さくする方法及び/又は試料調製・測定の誤差を減らす方法を検討

する必要がある。このような方法が不可能な場合は,インクリメントを採取する上での問題点並びにサン

プリング・試料調製及び測定の相対コスト及び誤差を考慮してインクリメント採取個数を増やす(大きい

サブロットからサンプリングする)ことを検討しなければならない。

インクリメントを合わせた試料を比較するときは,基準試料及びテストする設備からの試料は,同じベ

ースで合わせなければならない。つまり時間基準の設備であれば個々のインクリメントの質量は流量に比

例しなければならないし,

質量基準の設備であれば個々のインクリメント質量は一定でなければならない。

12.2.2

対試料の選択

12.2.2.1

対試料の合わせ方  各対試料を構成する設備試料及び/又は基準試料は一つ以上のインクリメ

ントを合わせて作ることができる。二つの方法で採取したインクリメントは,インクリメントどうし比較

してもよいし,小口試料どうし比較してもよい。偏りテスト方案は,テストするサンプリング設備全体(又

はサブ設備)に偏りがないなら,対試料の測定値差の期待値がゼロとなるようにしなければならない。

12.2.2.2

インクリメントどうしの対試料  インクリメントどうしを対試料とする実験では,設備試料は

個々の一次インクリメントをサンプリング設備で調製し,基準試料は停止ベルトで採取するインクリメン

トを調製して作る。

対試料内の差

d

i

 (

A

i

R

efi

)

の分散は,石炭・コークスが非常に均質でない限り,サンプリング設備全体

(又はサブ設備)で採取する設備値

A

i

の分散より,また基準値

R

efi

の分散より小さいのが普通である。し

たがって二つの方法で採るインクリメントはできるだけ流れの近傍(オーバーラップさせないで)から採

取することによって,

d

i

の分散を最小化しテストの感度を向上させる。


113

M 8811 : 2000

12.2.2.3

小口試料どうしの対試料  サンプリング設備から一個のインクリメントを取り出すのは実際的

でない場合が多い。サンプリング設備から採ったインクリメントは合わせて小口試料とし,同じ時間内に

基準法で採ったインクリメントを合わせた小口試料と比較することができる。この場合,設備試料と基準

試料は同数のインクリメントである必要はないし,

また同程度の質量である必要もない。

極端ではあるが,

停止ベルト法で採る一個のインクリメントを基準試料として使用することもできる。

12.2.3

サンプリングする位置  設備全体の偏りテストをするときは,基準試料は一次の石炭・コークスの

流れから停止ベルト基準法(12.5 参照)を用いて採取しなければならない。設備試料には,対象設備の最

終試料を用いなければならない。

統合サンプリング設備では,各装置はシリーズに配列されており,各装置の成績は先行する装置の成績

に影響される。全体の偏りに対する各装置又はサブ設備,例えば,粉砕機や縮分機の影響を理解するため

には,

設備全体だけでなく個々の装置又はサブ設備も診断を目的として偏りテストを行うことが望ましい。

統計的手法の原則は,設備全体の場合も各装置の場合も同じである。

一次サンプラの偏りテストでは,一次サンプラで採った試料と停止ベルト基準法で採った試料を対とす

る差

d

i

を解析しなければならない。

備考  高能力のハンドリング設備では,一次サンプラ(また各装置も同様であるが)のテストでは,

短時間に大量のインクリメントを採取・調製することが要求される。したがってこのようなテ

ストの場合,テストが本当に必要かどうか,事前に十分検討する必要がある。

一次サンプラのテストは除くが,個々の装置(又はサブ設備)のテストでは,装置へのフィード流と装

置からの産物流の差を比較する。

備考  ケースによってはフィード流の品質は間接にしか分からないことがある。例えば,縮分試料と

廃棄流試料の結果からフィード流の品質を計算するときは縮分比を用いて加重平均を出す。

粉砕機の場合はすべて,粉砕前後の試料の品質差を用いる。

サブ設備及び縮分機の場合は,次の方法のうちいずれかの一つで得られる対試料を分析する。

a)

フィード流及び産物流から対試料を採る

b)

産物流及び棄却流から対試料を採る

c)

産物流及び棄却流をともに全量採る

方法 a)又は b)を用いるときには,偏りのない試料を採るように十分注意しなければならない。方法 a)

を用いるときには,フィード流の乱れを最小限にするよう注意しなければならない。フィード流を乱すと

偏りが発生又は正規の運転条件が阻害される可能性がある。

12.3

手順の概要  偏りテストの手順は,次のとおり。

a)

テスト前の目視検査を実施する

b)

基準の方法を決める(12.5 参照)

c)

テストする品質特性を決める

d)

テストする石炭又はコークスを決める

e)

最大許容偏り

B

W

を決める

f)

各対試料を構成するインクリメント個数を決める

g)

対試料を採る

h)

  12.9

及び 12.10 に従って解析を行う

12.4

テスト前の目視検査  このサンプリング規格の実施に関連して,最初に入手すべき情報は,テスト

するサンプリング設備の仕様及び図面である。


114

M 8811 : 2000

テストするサンプリング設備を隅々まで点検し,各装置の仕様をチェックしなければならない。

テストを実施する関係者は,

実際の測定及び観察によってサンプリング設備を検証しなければならない。

サンプリング設備の運転状況は石炭・コークスを処理しているとき及び無負荷運転時の両方で観察しなけ

ればならない。

備考  負荷運転及び無負荷運転の両方で行う設備全体及び各装置の事前目視検査は,偏析した,不均

質かつ塊を含む粉塊混合物のサンプリング経験がある者が行うのが望ましい。事前目視検査で

は,ロット全体の正規の運転状況をチェックすることを推奨する。

もし設備(又は各装置)の性能をあるがままに測定する必要がないならば,想定される偏りの原因をす

べて修正した後,偏りテストを実施する。あるがままの性能をテストする場合は,事前の目視点検の記録

が,要求されるテスト条件の記録文書となる。

12.5

基準の方法

12.5.1

サンプリング設備全体  サンプリング設備全体の偏りをテストするときは,本質的に偏りのない方

法を基準法として採用することが要求される。望ましい方法は停止ベルト法である。停止ベルト法とは,

ある一定間隔でベルトを停止させ,コンベヤベルト上の石炭・コークスの全断面を採取してインクリメン

トとする方法である。この停止ベルト法は,正しく行えば,採取したインクリメントは基準のインクリメ

ントと見なすことができる。

備考1.  もし停止ベルト法でのインクリメント採取が不可能ならば,他の基準法を採用してもよい。

このような場合には,停止ベルト法に較べて明らかに偏りがある方法は採用してはならない。

このような方法を採用すればテスト結果の有効性と権威を失墜させることになる。

2.

停止ベルト法でのインクリメント採取は,通常の操業に何らかの支障を与える。したがって

テストの実施計画では通常操業との調整を行って通常操業への支障を最小限にする必要があ

る。当該のハンドリング設備が,石炭・コークスの荷揚げを他のラインに切り替えることが

できないならば,1 日に数時間しか正規の運転には使えなくなるかも知れないし,偏りテス

トだけを目的とする運転はできないかもしれない。ラインの切り替えができないと現場での

テスト時間は長くなり,テストする設備へ石炭・コークスを供給する特別な調整が要求され

る。

停止ベルト法でのインクリメント採取は,サンプリング枠(

図 12-1 参照)又はこれと同等の装置で行う。

ベルト上の定位置(次のパラグラブの

備考参照)で,ベルト上の石炭・コークスの全断面から,ベルト長

手方向に最大粒度の 3 倍以上の長さを採取しなければならない(

図 8-1 参照)。

一次インクリメント及び停止ベルトインクリメントの両方とも石炭・コークスの乱されていない流れか

ら採取するため,停止ベルトインクリメントは一次サンプラの前の位置でかつサンプラでインクリメント

を採った直後に採取しなければならない。


115

M 8811 : 2000

図 12-1  サンプリング枠

備考  もし停止ベルトインクリメントを一次サンプラの後の位置で採取せざるを得なくなったときは,

停止ベルトインクリメントを採る箇所と一次インクリメントを採る箇所の条件が同じになるよ

うにすることが重要である。

サンプリング枠(又はこれと同等の用具)は,事前に決めた箇所の停止ベルト上に,両端の間仕切板が

ベルトの全幅にわたってベルトと接触するように置く。二つの間仕切板の内側にある粒子はすべて試料容

器に掃き採らなければならない。

間仕切板を差し込むとき,左側の間仕切板に当たった粒子は試料容器に入れ,右側の間仕切板に当たっ

た粒子は試料容器に入れない。反対に右側の間仕切板に当たった粒子を試料容器に入れ,左側の間仕切板

に当たった粒子を試料容器に入れなくてもよい。最初に使ったルールは,テストが終わるまで変えてはな

らない。

インクリメント及び試料を調製する過程で偏りが入り込むリスクを最小限にするよう注意する。すべて

の縮分装置及び手順をチェックしてテストする品質特性で偏りが入り込まないようにする。

備考1.  すべてのインクリメント/試料は,採取直後に,また粉砕の前後及び縮分の前後でも,秤量

することを推奨する。

2.

予期しない質量ロスを最小限とする細心の注意が必要である。

測定した質量ロスは,すべて報告しなければならない。

12.5.2

一次サンプラ  一次サンプラの偏りテストは,12.5.1 に記述された停止ベルト法を基準法としてだ

け行うことができる。

12.5.3

サブ設備及び装置  サブ設備及び装置は日常の連続運転中に,偏りがないことが事前に確認されて

いるサンプラを使って,フィード,産物及び棄却流を採取することによって,偏りテストを行うのが普通

である。

最終段階では流れの全体を集める

(換言すれば流れの一部を採取するのではない)

縮分機の場合,

フィードの品質は,縮分後試料及び対応する棄却流試料の測定結果と縮分比を使って計算で求める。

備考  もし通常の運転状態での偏りテストが実施できないときは,次のサンプリング方法のうち,適

切な方法で偏りテストを別に実施してもよい。

a)

フィード及び産物流から同時にサンプリングして対試料を得る。この方法を採用するときに

は偏りのない試料を採取することに最大限の注意を払うべきである。

b)

一次インクリメントの採取ごとに,フィード流の全体及び産物流の全体を交互に採取する。


116

M 8811 : 2000

12.6

テストする品質特性の選定  偏りテストは灰分,水分又はその他の要求される品質で実施すること

ができる。しかし一般的には灰分及び水分のテストで十分である。無水ベースの灰分での偏りは,最も普

通には,粒度分布の偏りに起因する。水分の偏りは,多くの要因が原因となり得る,例えば,粒度分布の

偏り,粉砕機に関連する水分ロス,サンプリング設備内での過度の換気,狭すぎる装置間間隔,設備内で

の過度の滞留時間又はこれらの組み合わせが要因となる。

コークスでは,粒度分布を直接テストすることがよく必要となる,この場合は以下の点に留意するとよ

い。

a)

インクリメントを採取する過程での粉化又はサンプリング箇所間での粉化が発生するだろう。このた

め粒度の偏りをゼロにするのは実際上達成できない。

b)

他の品質(例えば,灰分)の偏りは,粒度分布の偏りとは複雑かつ異なる関係を示す。このためこれ

らの品質を,粒度の偏りテスト結果から,意味があるように解釈するのは,無理ではないかも知れな

いが,難しい。

備考  上記理由によって,粒度以外の品質は,直接その品質を比較することを推奨する。

12.7

テストする石炭又はコークスの選定

12.7.1

石炭  2 銘柄以上の石炭をサンプリング設備で採取している場合は,偏りを検出できると予想され

る石炭をテスト用に選ぶ。例えば,一次サンプラ及び縮分機での灰分の偏りは,一般には大きい粒子が除

かれることで発生する(12.6 参照)

。もし大きい粒子の灰分がロットの平均灰分と同じ石炭を選定すれば,

設備で大きい粒子が除去されていても偏りは検出されないだろう。このテストの後もし大きい粒子の灰分

が平均灰分と異なる石炭をこの設備でサンプリングすれば,この結果には偏りがあるだろう。この例から

分かるように,採取しようとしている石炭では,次のことを調査する。

a)

灰分と粒度の間に関係があるかどうか。

b)

想定できる最大の偏り(例えば,粒度分布でトップの 10%が除去されたときの偏り)と比較した最大

許容偏り

B

W

12.2 参照)

偏りテストは,同一銘柄の石炭で実施することを推奨する。テストの途中で銘柄を変更せざるを得ない

ときは(12.9.5 参照)

,新旧のデータを一緒にした偏りテストが統計的に有効かどうかをチェックしなけれ

ばならない(12.9.6 参照)

12.7.2

コークス  水分値の偏りテストを実施するコークスを選定する時は,石炭と同様の規定(12.7.1)を

適用する。

12.8

偏りテストの実施

12.8.1

詳細テスト手順の確定

12.8.1.1

全般  偏りテストは,一次サンプラだけ,個々の装置又はサブ設備,若しくはサンプリング設備

全体を含んでもよい。テスト方案は目的によって異なる。テスト方案の作成者は,計画の第一段階でテス

トの目的を明確にするべきである。

サンプリング設備全体の偏りテストは,メインの流れから採った基準試料とオンライン設備の最終段階

で採った試料を比較することで実施する。通常運転の停止を最小限にする観点から,小口試料どうしで対

試料を作る方法(12.2.2.3 参照)を推奨する。しかしインクリメントどうしで対試料を作る方法(12.2.2.2

参照)も,この方法自体で発生する偏りを避ける注意をするならば,受け入れられる。

偏りは,ハードに起因するか,設備の運転ロジックに起因するか,又は両方に起因する。インクリメン

トどうしで対試料を作る方法であっても,通常運転条件での運転ロジックに基づくサンプリング設備の運

転によって,通常運転の条件は最適にシミュレートされる。


117

M 8811 : 2000

停止ベルトでインクリメントを採取するときは,コンベアの電源を切って安全にする。このテストを行

うときは,サンプリング設備を一斉停止してはならない。偏りテストの運転モードでは,一斉停止を避け,

かつタイマーを入れ順序起動するようにしなければならない。

石炭・コークスのハンドリング設備は負荷をかけた状態で停止と起動を繰り返すようには設計されてい

ないことが多い。インクリメントを採取しようとするベルトへのフィードを止めてベルトへの負荷を減ら

し再起動するように調整すれば,インクリメントどうしの対試料採取であっても停止ベルト法で対応でき

る。つまり調整を行えばフィードを止める前の状態がまだ残っている流れからインクリメントが採取でき

る。

12.8.1.2

サンプリング設備全体のテスト  メインの流れから採った基準試料とオンライン設備の最終段

階で採った試料を比較することでサンプリング設備全体の偏りテストを実施する。

対試料の状態は異なる。

基準試料は,精度と偏りに関して問題がない基準に従って調製及び分析を行う。設備試料は,通常運転で

いつも用いている方法で調製及び分析を行う。

12.8.1.3

サブ設備又は装置のテスト  統合されたサンプリング設備では,各装置はシリーズに配列されて

おり,各装置の成績は先行する装置の成績に影響される。全体の偏りに対する各装置又はサブ設備,例え

ば,粉砕機又は縮分機の影響を理解するためには,設備全体だけでなく個々の装置又はサブ設備も診断を

目的として偏りテストを行うことが望ましい。統計的手法の原則は,設備全体の場合も各装置の場合も同

じである。

12.8.2

テスト試料の採取  従来の経験によって,最小必要組数を超える十分な対試料を採取することは,

可能であることが多い。1 回のテストで必要数の対試料を採取できれば,採取条件の変更又は銘柄変更に

伴ってデータが不均一になるリスクは避けられ,かつ新旧両データを一緒にできなくなるリスクも避けら

れる。

偏りテストを担当する人の役割分担を検討するときは,

特別の注意が必要となる。

この段階の計画では,

詳細な作業方案を作成し,一様かつ安定した試料採取,計量及び調製ができるようにする。この方案には

以下も含める。

a)

関係施設の準備

b)

サンプリング,調製及び包装に必要な器具・用具の準備

c)

採取・計量した場所から調製を行う施設及び分析するラボまでの試料送付の準備

石炭・コークスのハンドリング設備及びサンプリング機械周辺で作業する人に対しては,特別な安全上

の注意が必要である。

流れの分割ゲート(バイパスシュート)又は可逆式ベルトフィーダを付加,あるいは流れを一次的に中

断すれば,サンプリング設備内でのインクリメント採取が容易になる。

対試料を採るテスト方案の出来不出来は,品位変動の対試料内での影響を最小限にすること,言い換え

れば基準試料と設備試料をいかに近付けて採れるかにかかっている。差

d

i

の分散が

A

i

(また

R

efi

)の分散

より小さくなれば,対試料を採るテスト方案は上出来である。

試料調製及び測定の処理がばらつくことによる偏りを避けるために,対試料を調製するときには(異な

る手順で調製する場合でも)同時に調製し,対試料を測定するときには同じバッチで測定する。すべての

試料を間違えないよう十分注意する。

テストしている設備

(又はサブ設備)

を構成する粉砕機の産物及びフィードの最大粒度をチェックする。

この最大粒度の情報は報告書に含める。最大粒度のチェックを目的とする試料は,偏りテスト用に採取す

る対試料と区別しなければならない。


118

M 8811 : 2000

12.8.3

記録の実施  基準試料及び設備試料は各々その質量を記録する。ハンドリング設備にひょう量機が

付いているなら採取時の流量も記録する,流量の記録チャートがあれば,そのチャート紙も保管する。

備考1.  流量と偏りの関係もチェックすることを推奨する。すべての試料は質量ロスをチェックする

ため試料調製の各段階で調製前後の質量をひょう量し,この記録を残すことも推奨する。

2.

テスト時の詳細な作業記録は保管したほうがよい。作業記録には,以下を記録する。

a)

各試料の採取開始時刻及び完了時刻

b)

テスト方案からのずれ,また異常事態及び遅れ

c)

b)

の理由

12.9

統計解析と解釈

12.9.1

手順の概要  手順の概要は以下のとおり。

a)

最初の必要組数

n

p

を決める[12.9.4 a)参照]

b)

n

p

組の対試料を採る。

c)

外れ値をチェックする,必要なら

n

p

を変更する(12.9.3 参照)

d)

差の独立性を検定する(12.9.6 参照)

。独立でないならテストをやり直す。

e)

差の標準偏差 s

d

を計算する(12.9.2 参照)

f)

e)

で求めた s

d

を使って試料の g 統計値[式(12-5)  参照]を計算し,新たに組数

n

p

0

を決める。

g)

もし

n

p

n

p

0

なら j)に進む。

h)

追加すべき対試料

n

p

0

-

n

p

個を採る。

i)

新旧両データの均一性の検定を行う(12.9.5 参照)

問題なければ新旧両データを一緒にし d)に戻る。

j)

明らかな偏りがないかどうかをチェックする(12.9.7.1 参照)

B

w

より大きい偏り (|

µ

|

>

B

w

)

があれば,テストは完了。

k)

仮説:真の偏りは|

µ|<

B

w

である,を検定する(12.9.7.2 参照)

l)

仮説 (|

µ

|

<

B

w

)

が棄却されなければ,

“最大許容偏り

B

w

に近い偏りが存在し,

現実に重大な偏りがある”

としてテストは完了する(12.9.7.3 参照)

m)

仮説 (|

µ

|

<

B

w

)

が棄却されれば,帰無仮説  (

µ

=0)  を検定する。

n)

帰無仮説  (

µ

=0)  が棄却されれば,

“統計的に有意な偏りが存在する”ことになるが,このことを認識

した上で,

“その設備は,偏りはない”ものとして受け入れてよいだろう。

o)

帰無仮説  (

µ

=0)  が棄却されなければ,

“統計的に有意な偏りが存在する証拠はない。偏りをテストし

た設備は,偏りなし”として受け入れてよい。

12.9.2

基礎統計量

12.9.2.1

全般  最初の対試料の測定結果が得られたら,以下の統計的手順を実施する。

サンプリング設備又は装置(設備法)から得た試料の測定値を

A

i

,基準法から得た試料の測定値を

R

efi

ここで

i

=1,2,…

n

i

は整数,対試料の合計を

n

とする。

各対試料の結果から,二つの方法の差  (

d

i

A

i

R

efi

)

を計算する。基準法

R

efi

の平均値,差

d

i

の平均値,

差の標準偏差 s

d

を,次の一般式(12-1),(12-2)及び(12-3)で

X

i

d

i

に置き換えて計算する。


119

M 8811 : 2000

12.9.2.2

平均  平均値

X

は式(12-1)から計算する。

P

n

i

i

n

X

X

P

å

=

=

=

1

 (12-1)

ここに,  n

p

:  観測値の個数

12.9.2.3

分散  分散

σ

2

 (

V)  は,式(12-2)から計算する。

( )

( )

1

2

2

=

å

å

n

n

X

X

V

 (12-2)

ここに,  ΣX

2

å

=

=

n

i

i

i

X

1

2

つまり観測値の平方和である。

12.9.2.4

標準偏差  標準偏差 は分散の平方根である。

s

= 

差の標準偏差 s

d

は式(12-3)から計算する。

n

d

s

i

d

2

2

å

=

 (12-3)

12.9.3

外れ値

12.9.3.1

全般  外れ値は,次に起因する。

a)

データが本来もっているランダム変数の極端な発現

b)

計算又は記録ミス

c)

所定の手順からの顕著な逸脱

グラブによる解析,また統計的外れ値判定(12.9.3.2 参照)の助けも借りるだろうが,データを目視チェ

ックして疑いがあれば,テスト関係書類のチェックを更に行わなければならない。

計算結果にミスがあれば,訂正する。所定の手順からの逸脱があった場合,また現場の条件が異常であ

った証拠がある場合は,そのデータが他のデータと一致していても一致していなくてもそのデータは捨て

る。

他のデータと大きく違っていてもその差の理由が分からない場合は,そのデータは残す。

所定の手順からの逸脱があったことが分かれば,そのデータが他のデータと一致していても一致してい

なくても,統計的外れ値判定に頼ることなく,その部分のデータは捨てる。

統計的外れ値判定の基準は,測定値を捨てる根拠としては十分なものではない。統計的外れ値判定の結

果外れ値と認められた場合は,その原因を,もし可能ならば,突き止めるべく調査する。もしその外れ値

の原因は所定手順からの大きい逸脱であるという直接の物的証拠があれば,そのデータは捨てる。データ

を捨てるときは,それを正当化する直接の物的証拠及び捨てるデータはテスト報告書に記載しなければな

らない。

所定手順からの逸脱の証拠は,他のデータと調和しないデータだけであることが多々ある。テスト担当

者が所定手順からの大きい逸脱を見つけられないときは,その調和しないデータは,データ解析でその値

をどこまで使ったかも一緒に,テスト報告書に記載しなければならない。


120

M 8811 : 2000

12.9.3.2

外れ値を見つける統計手順  疑わしい外れ値を判定するには,次の手順を使う。この手順は,コ

クランの最大分散判定基準に基づいている。統計量であるコクランの判定基準 は,式(12-4)を用いて計

算する。

å

=

=

=

P

n

i

i

i

d

d

C

1

2

2

max

 (12-4)

ここに,  d

max

一連の差の中で,絶対値が最大の差

n

p

一連の対試料個数

n

=20 から n=40 信頼率 99%におけるコクランの判定基準の値を,

表 12-2 に示す。計算した の値が表

12-2

の値より大きいならば,d

max

は,統計学上の外れ値である。統計学上の外れ値が見つかれば,その原

因を,もし可能ならば,突き止めるべく調査する。もしその外れ値の原因は所定手順からの大きい逸脱で

あるという直接の物的証拠があれば,そのデータは捨てる。データを捨てるときは,それを正当化する直

接の物的証拠及び捨てるデータはテスト報告書に記載しなければならない。

所定手順からの逸脱の証拠は,他のデータと調和しないデータだけであることが多々ある。テスト担当

者が所定手順からの大きい逸脱を見つけられないときは,その調和しないデータは,データ解析でその値

をどこまで使ったかも一緒に,テスト報告書に記載しなければならない。

表 12-2  コクランの最大分散検定の判定基準値

n

1) 

 99%

信頼レベル

N 99%

信頼レベル

20 0.480 31 0.355

21 0.465 32 0.347

22 0.450 33 0.339

23 0.437 34 0.332

24 0.425 35 0.325

25 0.413 36 0.318

26 0.402 37 0.312

27 0.391 38 0.306

28 0.382 39 0.300

29 0.372 40 0.294

30 0.363

1)

n

は差の個数。この表の出所は Annex A of ISO 5725-2, Precision of

test methods

‐Determination of repeatability and reproducibility for a

standard test method by inter-laboratory tests.  

12.9.4

必要組数の計算  第二種の誤りを犯す危険を最小限にするため,次の手順を用いる。

備考  次の手順は,単一変数の偏りテストに適用する。二つ以上の変数をテストするなら第一種/第

二種の誤りを犯す危険が大きくなるだろう。

a)

式(12-5)から 統計量を計算し,かつ,

表 12-3 から最小の必要データ個数を読みとり,第二種の誤り

を犯す危険が 5%となる対試料の必要個数を推定する。

d

w

s

B

g

=

 (12-5)

ここに,  B

w

:  テスト前に決めた最大許容偏り(12.2.1 参照)

s

d

:  差の標準偏差

テストデータの s

d

は,テストが完了するまでは分からないから,それまでは s

d

の代わりの値を用いる。


121

M 8811 : 2000

s

d

について何ら情報がないときは,少なくとも 20 個の対試料を採る。追加データを採る再テストを行い,

かつ,新旧データを一緒にする問題,均一性の検定(12.9.5 参照)の手間を避けるため,テストで予想さ

れる値より大きい s

d

値を使うことによって,式(12-5)で使う の値を安全側にする。最初のテストでは,

できるだけ多くの組数を採取する。

表 12-3  必要データの最小個数を推定するための 

注 次の表は,信頼率が 95%,データ個数が n

p

0

のときの 値を示す。

n

p

0

 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

10

>1.295 1.218 1.154 1.099 1.051 1.009 0.971 0.938 0.907 0.880

20  0.855 0.832 0.810 0.790 0.772 0.755 0.739 0.724 0.710 0.696

30  0.684 0.672 0.660 0.649 0.639 0.629 0.620 0.611 0.602 0.594

40  0.586 0.579 0.571 0.564 0.558 0.551 0.545 0.539 0.533 0.527

50  0.521 0.516 0.511 0.506 0.501 0.496 0.491 0.487 0.483 0.478

60  0.474 0.470 0.466 0.463 0.459 0.455 0.451 0.448 0.445 0.441

70  0.438 0.435 0.432 0.429 0.426 0.423 0.420 0.417 0.414 0.411

80  0.409 0.406 0.404 0.401 0.399 0.396 0.394 0.392 0.389 0.387

90  0.385 0.383 0.380 0.378 0.376 0.374 0.372 0.370 0.368 0.366

備考  表 12-3 の値の根拠は,次の式である。

(

)

2

2

2

0

w

d

P

B

t

t

s

n

β

α

+

=

この式から,次の式が導かれる

(

)

0

P

n

t

t

g

β

α

+

=

ここに,

t

α

:  信頼率 95%で自由度  (n

p

0

−1)  の 検定を両側で行うときの値

t

β

:  信頼率 95%で自由度  (n

p

0

−1)  の 検定を片側で行うときの値

n

p

0

:  必要な対試料個数

上記の関係式を用いて,第二種の誤りの危険が 5%になる対試料の最小個数を計算する。この方法では,

有効な偏りテストに必要となる最低個数よりはるかに小さい,

観測データが 5 個までの非対象 (non-central)

t

分布の値まで計算できる。

b)

最初のテストが完了すると,テストデータから求めた s

d

を使って 統計量を計算し,新しい n

p

0

値を

決める。

c)

もし n

p

n

p

0

ならば,第二種の誤りの危険が 5%以下となる条件が満たされており,十分な対試料個数

が確保されていることになる。後は 12.9.6 の規定に従って解析を続ける。

d)

もし n

p

n

p

0

ならば,対試料の個数を追加する必要がある。追加の対試料データを得る。その追加デー

タの平均値,差の分散及び標準偏差を計算し,かつ外れ値をチェックする。12.9.5 に規定された均一

性の解析を行い,均一性に問題がなければ,新旧両データを一緒にして 12.9.3 の外れ値検定を行い,

必要組数のチェックは c)から再度行う。

備考  追加の対試料採取を避けるため,予想される最小必要個数を超える個数を最初に採取する。又

は必要個数  (n

p

0

n

p

)

が 10 個未満であっても,少なくとも 10 個余分に対試料を採ることを推

奨する。10 個余分に採っておけば,再度採取せざるを得なくなる危険は減る。


122

M 8811 : 2000

12.9.5

均一性の検定

12.9.5.1

全般  追加して採ったデータ(以後,新データと呼ぶ。)と旧データとの統計的均一性検定を行

う。

12.9.5.2

分散が等しいとみなせるかどうかの検定(等分散の検定)  式(12-6)を使って新旧両データの分

散比を計算する。

S

L

c

V

V

F

=

 (12-6)

ここに,  V

L

:  新旧両データの分散のうち,大きい方の分散

V

S

:  小さい方の分散である

F

c

の値は

表 12-4 の と較べる。表 12-4 の縦軸側の値は,V

L

に対応する自由度 n

L

−1 の数字,横軸側の

値は,V

S

に対応する自由度 n

S

−1 の数字である。

もし F

c

<F

表 12-4 の値)ならば,新旧両データは分散が等しい母集団から採取したものとみなしてよ

い。もし F

c

>ならば,均一性の検定結果は,

“等分散とは言えない。

”となる(12.9.5.4 参照)

表 12-4  信頼率 95%における 

V

1

/V

2

9  10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

9  3.179 3.137 3.102

3.073 3.048 3.025

3.006

2.989

2.974

2.960

2.948 2.936 2.926 2.917

10  3.020 2.978 2.943

2.913 2.887 2.865

2.845

2.828

2.812

2.798

2.785 2.774 2.764 2.754

11  2.896 2.854 2.818

2.787 2.761 2.739

2.719

2.701

2.685

2.671

2.658 2.646 2.636 2.626

12  2.796 2.753 2.717

2.687 2.660 2.637

2.617

2.599

2.583

2.568

2.555 2.544 2.533 2.523

13  2.714 2.671 2.635

2.604 2.577 2.554

2.533

2.515

2.499

2.484

2.471 2.459 2.448 2.438

14  2.646 2.602 2.565

2.534 2.507 2.484

2.463

2.445

2.428

2.413

2.400 2.388 2.377 2.367

15  2.588 2.544 2.507

2.475 2.448 2.424

2.403

2.385

2.368

2.353

2.340 2.327 2.316 2.306

16  2.538 2.494 2.456

2.425 2.397 2.373

2.352

2.333

2.317

2.302

2.288 2.275 2.264 2.254

17  2.494 2.450 2.413

2.381 2.353 2.329

2.308

2.289

2.272

2.257

2.243 2.230 2.219 2.208

18  2.456 2.412 2.374

2.342 2.314 2.290

2.269

2.250

2.233

2.217

2.203 2.191 2.179 2.168

19  2.423 2.378 2.340

2.308 2.280 2.256

2.234

2.215

2.198

2.182

2.168 2.155 2.144 2.133

20  2.393 2.348 2.310

2.278 2.250 2.225

2.203

2.184

2.167

2.151

2.137 2.124 2.112 2.102

21  2.366 2.321 2.283

2.250 2.222 2.197

2.176

2.156

2.139

2.123

2.109 2.096 2.084 2.073

22  2.342 2.297 2.259

2.226 2.198 2.173

2.151

2.131

2.114

2.096

2.084 2.071 2.059 2.048

23  2.320 2.275 2.236

2.204 2.175 2.150

2.128

2.109

2.091

2.075

2.061 2.048 2.036 2.025

24  2.300 2.255 2.216

2.183 2.155 2.130

2.108

2.088

2.070

2.054

2.040 2.027 2.015 2.003

25  2.282 2.236 2.198

2.165 2.136 2.111

2.089

2.069

2.051

2.035

2.021 2.007 1.995 1.984

26  2.265 2.220 2.181

2.148 2.119 2.094

2.072

2.052

2.034

2.018

2.003 1.990 1.987 1.966

27  2.250 2.204 2.166

2.132 2.103 2.078

2.056

2.036

2.018

2.002

1.987 1.974 1.961 1.950

28  2.236 2.190 2.151

2.118 2.089 2.064

2.041

2.021

2.003

1.987

1.972 1.959 1.946 1.935

29  2.223 2.177 2.138

2.104 2.075 2.050

2.027

2.007

1.989

1.973

1.958 1.945 1.932 1.921

30  2.211 2.165 2.126

2.092 2.063 2.037

2.015

1.995

1.976

1.960

1.945 1.932 1.919 1.908

35  2.161 2.114 2.075

2.041 2.012 1.986

1.963

1.942

1.924

1.907

1.892 1.878 1.866 1.854

40  2.124 2.077 2.038

2.003 1.974 1.948

1.924

1904

1.885

1.868

1.853 1.839 1.826 1.814

45  2.096 2.049 2.009

1.974 1.945 1.918

1.895

1.874

1.855

1.838

1.823 1.808 1.795 1.783

50  2.073 2.026 1.986

1.952 1.921 1.895

1.871

1.850

1.831

1.814

1.798 1.784 1.771 1.768

55  2.055 2.008 1.968

1.933 1.903 1.876

1.852

1.831

1.812

1.795

1.779 1.764 1.751 1.739

60  2.040 1.993 1.952

1.917 1.887 1.860

1.836

1.815

1.796

1.778

1.763 1.748 1.735 1.722


123

M 8811 : 2000

表 12-4  信頼率 95%における 値(続き)

V

1

/V

2

23 24 25 26 27 28 29 30 35 40 45 50 55 60

9  2.908 2.900 2.893

2.886 2.880 2.874

2.869

2.864

2.842

2.826

2.813 2.803 2.784 2.787

10  2.745 2.737 2.730

2.723 2.716 2.710

2.705

2.700

2.678

2.661

2.648 2.637 2.628 2.621

11  2.617 2.609 2.601

2.594 2.588 2.582

2.576

2.570

2.548

2.531

2.517 2.507 2.498 2.490

12  2.514 2.505 2.498

2.490 2.484 2.478

2.472

2.466

2.443

2.426

2.412 2.401 2.392 2.384

13  2.429 2.420 2.412

2.405 2.398 2.392

2.386

2.380

2.357

2.339

2.325 2.314 2.304 2.297

14  2.357 2.349 2.341

2.333 2.326 2.320

2.314

2.306

2.284

2.266

2.252 2.240 2.231 2.223

15  2.296 2.288 2.280

2.272 2.265 2.259

2.253

2.247

2.223

2.204

2.190 2.178 2.168 2.160

16  2.244 2.235 2.227

2.220 2.212 2.206

2.200

2.194

2.169

2.151

2.136 2.124 2.114 2.106

17  2.199 2.190 2.181

2.174 2.167 2.160

2.154

2.148

2.123

2.104

2.089 2.077 2.067 2.058

18  2.159 2.150 2.141

2.133 2.126 2.119

2.113

2.107

2.082

2.063

2.048 2.035 2.025 2.017

19  2.123 2.114 2.160

2.098 2.090 2.048

2.077

2.071

2.046

2.026

2.011 1.999 1.988 1.980

20  2.092 2.082 2.074

2.066 2.059 2.052

2.045

2.039

2.013

1.994

1.978 1.966 1.955 1.946

21  2.063 2.054 2.045

2.037 2.030 2.023

2.016

2.010

1.984

1.964

1.949 1.936 1.925 1.916

22  2.038 2.028 2.020

2.011 2.004 1.997

1.990

1.984

1.958

1.938

1.922 1.909 1.898 1.889

23  2.014 2.005 1.996

1.988 1.980 1.973

1.967

1.960

1.934

1.914

1.898 1.885 1.874 1.865

24  1.993 1.984 1.975

1.967 1.959 1.952

1.945

1.939

1.912

1.892

1.876 1.862 1.852 1.842

25  1.974 1.964 1.955

1.947 1.939 1.932

1.925

1.919

1.892

1.872

1.855 1.842 1.831 1.822

26  1.956 1.946 1.937

1.929 1.921 1.914

1.907

1.901

1.874

1.853

1.837 1.823 1.812 1.803

27  1.940 1.930 1.921

1.913 1.905 1.897

1.891

1.884

1.857

1.836

1.819 1.806 1.795 1.785

28  1.924 1.915 1.906

1.897 1.889 1.882

1.875

1.869

1.841

1.820

1.803 1.790 1.778 1.769

29  1.910 1.901 1.891

1.883 1.875 1.868

1.861

1.854

1.827

1.805

1.789 1.775 1.763 1.754

30  1.897 1.887 1.878

1.870 1.862 1.854

1.847

1.841

1.813

1.792

1.775 1.761 1.749 1.740

35  1.843 1.833 1.824

1.815 1.807 1.799

1.792

1.768

1.757

1.735

1.717 1.703 1.691 1.681

40  1.803 1.793 1.783

1.775 1.766 1.759

1.751

1.744

1.715

1.683

1.675 1.680 1.648 1.637

45  1.772 1.762 1.752

1.743 1.735 1.727

1.720

1.713

1.683

1.660

1.641 1.626 1.614 1.603

50  1.748 1.737 1.727

1.718 1.710 1.702

1.694

1.687

1.657

1.634

1.615 1.599 1.587 1.576

55  1.727 1.717 1.707

1.698 1.689 1.681

1.674

1.666

1.636

1.612

1.593 1.577 1.564 1.553

60  1.711 1.700 1.690

1.681 1.672 1.664

1.656

1.649

1.618

1.594

1.575 1.559 1.546 1.534

12.9.5.3

平均値が同じかどうかの検定(等平均の検定)  式(12-7)を用いて,新旧両データを一緒にした

標準偏差を計算する。

(

)

(

)

(

)

2

1

1

2

1

2

2

2

2

1

1

+

+

=

n

n

s

n

s

n

s

x

 (12-7)

ここに,

n

1

:  旧データの対試料個数

n

2

:  新データの対試料個数

s

1

:  旧データの標準偏差

s

2

:  新データの標準偏差

式(12-8)  を用いて,検定用の統計量 t

m

,を計算する。

2

1

2

1

1

1

n

n

s

x

x

t

x

m

+

=

 (12-8)


124

M 8811 : 2000

ここに,

1

x

:  旧データの平均値

2

:  新データの平均値

x

s

:  新旧一緒にしたデータの標準偏差[式(12-7)  参照]

表 12-5 から,自由度  (n

1

n

2

−2)  に対応する両側検定の値 t

α

を読みとる。

もし t

m

<t

α

であるならば,新旧両データは平均値が同じ母集団から採ったものと見なしてよい。もし t

m

>t

α

ならば,新旧両データは平均値が同じ母集団から採ったものとは見なせないことになる(12.9.5.4 参照)

12.9.5.4

新旧両データの結合  もし上記の等分散及び等平均の検定で統計的均一性(新旧両データに有意

な統計的差がないこと)が証明されたら,新旧両データは一緒にしてよい。一緒にしたデータの解析を,

12.9.2

から再度行う。

反対に,もし上記の検定のどちらか一方が有意になったら,新データは旧データとは異質なものという

ことで重大な問題である。この場合新旧両データとも捨て,かつ統計的均一性が得られなかった原因を突

き止める。原因が分かって,かつ改善したと思われれば,全く新規にテストを開始する。

表 12-5  信頼率 95%,両側及び片側のスチューデントの 

自由度

両側,t

α

片側,t

β

自由度

両側,t

α

片側,t

β

5 2.571

2.015 31 2.040

1.695

6 2.447

1.943 32 2.037

1.694

7 2.365

1.895 33 2.035

1.692

8 2.306

1.860 34 2.033

1.691

9 2.262

1.833 35 2.031

1.690

10 2.228

1.812 36 2.029

1.688

11  2.201 1.796  37  2.027 1.687

12 2.179

1.782 38 2.025

1.686

13 2.160

1.771 39 2.023

1.685

14 2.145

1.761 40 2.021

1.684

15 2.131

1.753 41 2.020

1.683

16 2.120

1.746 42 2.019

1.682

17 2.110

1.740 43 2.017

1.681

18 2.101

1.734 44 2.016

1.680

19 2.093

1.729 45 2.015

1.679

20 2.086

1.725 46 2.013

1.679

21 2.080

1.721 47 2.012

1.678

22 2.074

1.717 48 2.011

1.678

23 2.069

1.714 49 2.010

1.677

24 2.064

1.711 50 2.009

1.676

25 2.060

1.708 55 2.005

1.673

26 2.056

1.706 60 2.000

1.671

27 2.052

1.703 70 1.995

1.667

28 2.048

1.701 80 1.990

1.664

29 2.045

1.699 90 1.987

1.662

30  2.042 1.697  100  1.984 1.660

12.9.6

差の独立性の検定  この JIS の手順を用いてサンプリング設備の偏りを正しく推論するためには,

対試料の差 d

i

は独立でなければならない。次に記述する独立性の検定は,

“中央値の上下に連なる予想さ

れる連の数”に基づく,ランダムさの検定である(12.11.2.5 参照)

。連とは,中央値より上に連なるか又は

下に連なる一続きの数である。この独立性検定は,外れ値を除去した後に行う。

対試料の差 d

i

 (

i

=1,2,…)  から,次の手順で,連の数 r

en

を決定する。


125

M 8811 : 2000

a)

それぞれの差 d

i

から中央値を引く

b)

引いた値が正ならば+の印を,負ならば−の印を付ける。ゼロなら無視する。

c)

+と−の印が入れ替わった回数を数える。

d)

+−++−+−−+0++の例では連の数 r

en

は 7 となる。

連の数の計算例は

附属書 に示す。

正負の印の個数を n

Sm

及び n

La

(ただし n

Sm

n

La

)とする。

上の d)の例では,−の個数が n

Sm

で n

Sm

=4,n

La

=7 となる。

+と−の個数が等しい場合は n

Sm

n

La

となる。

表 12-6 から,n

Sm

及び n

La

に対応する,下限値 l

0

及び上限値 u

p

を求める。

もし r

en

<l

0

又は u

p

<r

en

ならば,独立性の検定結果は,有意である。偏りテストの報告書には,独立性がな

いと推定される理由及び次のコメントを入れなければならない。

“一連の基準値と設備値の差は,

独立では

ないという根拠がある。


126

M 8811 : 2000

表 12-6  独立性検定に用いる連の数の下限値及び上限値の表

n

Sm

n

La

l

0

下限値

u

p

上限値

n

Sm

n

La

l

0

下限値

u

p

上限値

3 5

3

− 10

14 9

16

3 6

3

− 10

15 9

17

3 7

3

− 11

11 8

16

4 4

3

7

11

12

9

16

4

5 3

8 11

13 9

17

4

6 4

8 11

14 9

17

4

7 4

8 11

15

10

18

4 8

4

− 11

16 10

18

5

5 4

8 11

17

10

18

5 6

4

9

12

18

9

17

5 7

4

9

12

13

10

17

5

8

4 10

12

14

10 18

5

9

5 10

12

15

10 18

6 6

4

10

12

16

11

19

6 7

5

10

12

17

11

19

6 8

5

11

12

18

11

20

6 9

5

11

13

13

10

18

6 10

6

11

13 14

10

19

7 7

5

11

13

15

11

19

7 8

5

12

13

16

11

20

7 9

6

12

13

17

11

20

7

10

6 12

13

18

12 20

7

11 6

13 13

19

12

21

7 12

7

13

14 14

11

19

8 8

6

12

14

15

11

20

8

9

6 13

14

16

12 20

8

10

7 13

14

17

12 21

8

11 7

14 14

18

12

21

8

12

7 14

14

19

13 22

9

9

7 13

14

20

13 22

9

10

7 14

15

15

12 20

9

11 7

14 15

16

12

21

9

12

8 15

15

17

12 21

9

13

8 15

15

18

13 22

9

14

8 16

15

19

13 22

10

10

7 15

15

20

13 23

10

11

8 15

16

16

12 22

10

12

8 16

16

17

13 22

10

13

9 16

16

18

13 23

16

19 14

23  18

18 14

24

16

20 14

24  18

19 15

24

17

17 13

23  18

20 15

25

17

18 14

23  19

19 15

25

17

19 14

24  19

20 15

26

17

20 14

24  20

20 16

26


127

M 8811 : 2000

12.9.7

偏りの最終評価

12.9.7.1

明らかな偏り  偏りテストの実験計画では,対データ差 d

i

の平均値 の期待値は,ゼロである。

もし <−B

w

又は B

w

< であれば,偏りがあるのは明らかであり,これ以上の統計解析は不要である。

12.9.7.2

最大許容偏り との差の検定  −B

w

≦ B

w

の場合は,統計量 t

nz

を計算し,下の式で,

d

と B

w

との差を検定する。

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

P

d

w

nz

n

s

d

B

t

 (12-9)

ここに,

B

w

最大許容偏り

d

差 d

i

の平均値

s

d

差 d

i

標準偏差

n

p

差 d

i

の個数

t

nz

表 12-5 の片側検定の 値  (t

β

)

,自由度  (n

1)

と比べる。

もし t

nz

t

β

ならば,偏りは B

w

より有意に小さいとはいえない。したがってこのテストでは偏りなしを検

証できなかったことになるので,この設備は実操業で使用する前に,手直しする必要がある。

もし t

nz

t

β

ならば,偏りは B

w

より小さい  (−B

w

<B

w

)

といえる。この場合は,引き続いて,ゼロ検定

(12.9.7.3)

を行う。

12.9.7.3

ゼロ検定  もし 12.9.7.2 の検定の結果,−B

w

<B

w

となった場合は,統計量 t

z

を計算し,下記式

d

とゼロとの差を検定する。

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

P

d

z

n

s

d

t

 (12-10)

ここに,

d

差 d

i

の平均値

s

d

差 d

i

の標準偏差

n

p

差 d

i

の個数

t

z

表 12-5 の両側検定の 値  (t

α

)

,自由度  (n−1)  と較べる。

もし t

z

t

α

ならば,B

w

より大きい偏りがないことは検証できたことにはなるが,偏りはゼロではないの

で,報告書はテスト結果に警告を加えたものとすることが望ましい。

もし t

z

<t

α

ならば,偏りはゼロと見なしてよいので,テストを行った設備又は装置は,偏りなしとして受

け入れてよい。これ以上の統計解析は不要である。

12.10

テスト報告  報告書の形式及び内容の詳細は,テスト目的によって異なる。設備,装置又は手順の

絶対的偏りについての性能を証明するために,この JIS に規定する方法を採用する場合,報告書には次の

事項を含むものとする。

a)

テスト目的の記述

b)

知見の要約

c)

サンプリング設備の説明及び仕様

d)

テスト目的が現行の性能チェックでない場合,事前の改善内容及びテスト前の目視検査の知見

e)

テストした石炭・コークスの特徴:事前処理の内容,粒度及び品質特性

f)

テスト条件:最大許容偏り B

w

,流量 t/h 他


128

M 8811 : 2000

g)

テストを実施するとき採用した手順の詳細

h)

測定結果の一覧表

i)

通常操業とのずれ,またテスト計画とのずれ,あるいはテスト結果に影響を与えたと思われるテスト

中ハプニングがもしあったらその詳細

j)

追加測定組数のチェック結果

k)

データの統計解析及び解釈結果

備考  報告書には,現場でのテスト記録,解析結果及び質量データをすべて添付することが望ましい。

12.11 

計算例

12.11.1

データ  計算例 1 及び計算例 2 で使うデータは,表 12-7 に示す。このデータは石炭試料の灰分の

分析値である。最大許容偏りは,灰分について 0.2%としている。

表 12-7  元データ−灰分%,無水ベース

i

設備値

A

i

基準値

R

efi

差  (A

i

-

R

efi

)

d

i

i

設備値

A

i

基準値

R

efi

差  (A

i

-

R

efi

)

d

i

1 9.55  9.63

−0.08 11

8.51 8.76

−0.25

2 8.99 8.99

0.00 12

8.80 8.69

0.11

3 8.74 8.62

0.12 13

8.69 8.60

0.09

4 9.08  9.12

−0.04 14

8.81 8.67

0.14

5 9.83 9.14

0.69 15

8.60 8.70

−0.10

6 9.70 9.57

0.13 16

9.23 8.97

0.26

7 8.71  8.83

−0.12 17

8.56 8.52

0.04

8 8.50 8.29

0.21 18

8.35 8.23

0.12

9 8.83 8.60

0.23 19

9.01 9.09

−0.08

10 8.29 8.15

0.14 20

9.13 9.14

−0.01

12.11.2

計算例 1

12.11.2.1

基礎統計量

n

=20 対

パラメータ

設備値,

'

差,d

平均値

x

8.895 50

0.080 0

分散 s

x

2

− 0.037 9

標準偏差 s

x

− 0.194 8

12.11.2.2

グラフによる解析  グラブによる解析は,要求事項ではないが,外れ値,傾向,統計的管理状態

及び偏りを見つけるのに役に立つ。グラフによる解析例を,12.11.2.2.1 から 12.11.2.2.4 に示す。

12.11.2.2.1

基準値対設備値  両軸とも同じ目盛りの平面に,基準値 R

efi

を縦軸,設備値 A

i

を横軸にとり,

対データをプロットする。グラフには,ベースの基準線 R

efi

A

i

を描く。±3s

d

の線を追加してもよい。追

加した例が,

図 12-2 である。

プロットした点は,ベースの基準線の周りに集まるのがよい。±3

σの線からはみ出た点は,外れ値かも

しれない。もしプロットした点がベースの基準線から傾向的に離れていれば,他の設備上の問題があるか

もしれない。データが広範にばらつくのは,相関が弱いことを示している。


129

M 8811 : 2000

図 12-2  基準値と設備値の散布図

12.11.2.2.2

差対基準値  基準値 R

efi

を横軸にとって,差 d

i

を縦軸にプロットする。図には差の平均値の水

平線 d= を描く。±3s

d

の線を加えてもよい(

図 12-3 参照)。点は,基準の線 d= の周りに集まるのが

よい。線 d= から 3s

d

以上離れた点は,外れ値かもしれない。データに傾向があれば,大きい問題がある。

図 12-3  差対基準値


130

M 8811 : 2000

12.11.2.2.3

差の系列推移  組データの系列番号  (i=1,2,…,n)  を横軸にして,差 d

i

を縦軸にプロットす

る。基準線 d= を描く。±3s

d

の線を加えてもよい(

図 12-4 参照)。線 d= から 3s

d

以上離れた点は,外

れ値かもしれない。データに傾向があれば,設備,テスト手順又はテストしている石炭・コークスの品質

が時間の経過に従って変化した可能性を示している。

図 12-4  差対系列番号

12.11.2.2.4

流量対差  一次インクリメントを採取したときには,ベルト上の石炭・コークスの流量を横軸

にして,差 d

i

を縦軸にプロットする。ベルトコンベヤ設備にひょう量機が付いていないとき(例えば,時

間基準で行う設備の場合)は,流量はインクリメントの質量からおおよそ計算できる。もしデータが水平

でない線の周りに集まる傾向があれば,流量による偏りがある可能性を示している。したがってこの場合

は,原因及び流量と偏りの関係を調査する。

12.11.2.3

外れ値(12.9.3.2 参照)  以下,

Σd

i

2

及び を計算する。

Σd

i

2

=0.848 8

次に,

å

=

=

=

n

i

i

i

d

d

C

1

2

max

2

5

番目の点について,

( )

561

.

0

8

848

.

0

69

.

0

2

=

=

C

表 12-2 から,n=20 のときの判定値 は,0.480 である。これは,外れ値であることを示しているので,

テスト中の記録及び情報をチェックして,サンプリング,試料ハンドリング又は分析中に問題又は異常が


131

M 8811 : 2000

なかったか調べる。

この普通でない値の原因が分からない限り,

統計的には外れ値と見なされるこの値は,

データから除いてはならない。

この例では,設備値又は基準値に問題があったと仮定する。したがって 5 番目の点のデータを削除し,

再度解析する。

12.11.2.4

データの表  見直したデータの一覧表が,表 12-8 である。

表 12-8  外れ値を除いたデータ−灰分%,無水ベース

組番号

設備値:A

i

基準値:R

efi

差:dAR

ef

1 9.55 9.63

−0.08

2  8.99 8.99 0.00

3  8.74 8.62 0.12

4 9.08 9.12

−0.04

5  9.70 9.57 0.13

6 8.71 8.83

−0.12

7  8.50 8.29 0.21

8  8.83 8.60 0.23

9  8.29 8.15 0.14

10 8.51 8.76

−0.25

11  8.80 8.69 0.11

12  8.69 8.60 0.09

13  8.81 8.67 0.14

14 8.60 8.70

−0.10

15  9.23 8.97 0.26

16  8.56 8.52 0.04

17  8.35 8.23 0.12

18 9.01 9.09

−0.08

19 9.13 9.14

−0.0l

合計 168.08  167.17

0.91

平均

8.846 32

8.798 42

0.047 89

分散 s

d

2

    0.0

28

標準偏差 s

d

0.1

22

12.11.2.5

差の独立性検定  差 d

i

独立性検定は,中央値より上又は下にある連の数に基づいている。中央値

を決定するには,

表 12-9 に示すように差 d

i

を昇順に並べる。

外れ値(12.11.2.3 参照)を除いた差 d

i

の独立性検定を行う。組数が奇数の場合は真ん中の値が中央値で

ある。この例では,データ組数は 19 個よって中央値は 0.09(

表 12-9 参照)となる。

次に,連の数を

表 12-10 に示すように,次のとおり計算する。

a)

それぞれの差 d

i

から中央値 (0.09) を引く

b)

各差  (d

i

−0.09)  の正負に従って+又は−の記号を付ける

c)

正負の記号が変わるごとにカウントを増やして合計の連数 r

en

を確認する。

d)

d

i

−0.09=0 の場合は,この差  (d

i

−0.09)  を無視して連数を数える。

表 12-10 では,合計の連数 r

en

は 13 となる。

+の記号及び−の記号の数は共に 9 個である。つまり n

Sm

=9,n

La

=9 である。

表 12-6 から n

Sm

=9,n

La

=9 のときは,下限値 l

0

及び上限値 u

p

は,それぞれ 7 及び 13 となる。連数 13

は下限値 7 と上限値 13 の間にある。差 d

i

が独立でないとする証拠がないので,一連の差 d

i

は独立である

として受け入れる。


132

M 8811 : 2000

表 12-9  中央値決定用にソートしたデータ

組番号

差 d

i

10

−0.25

6

−0.12

14

−0.10

 1

−0.08

18

−0.08

 4

−0.04

19

−0.01

 2

0.00

16 0.04

12 0.09

←中央値

11 0.11

17 0.12

 3

0.12

 5

0.13

 9

0.14

13 0.14

 7

0.21

 8

0.23

15 0.26

表 12-10  独立性検定用のデータ

組番号

差 d

i

d

i

−中央値

符号

連数の計算

1

−0.08

−0.17

− 1

2 0.00

−0.09

− 1

3 0.12

0.03

+ 2

4

−0.04

−0.13

− 3

5 0.13

0.04

+ 4

6

−0.12

−0.21

− 5

7 0.21

0.12

+ 6

8 0.23

0.14

+ 6

9 0.14

0.05

+ 6

10

−0.25

−0.34

− 7

11 0.11

0.02

+ 8

12 0.09

0.00   8

13 0.14

0.05

+ 8

14

−0.10

−0.19

− 9

15 0.26

0.17

+ 10

16 0.04

−0.05

− 11

17 0.12

0.03

+ 12

18

−0.08

−0.17

− 13

19

−0.01

−0.10

− 13

12.11.2.6

基礎統計量

n

p

=19

パラメータ

設備値,A

i

差,d

i

平均

x

8.846 32

0.047 89

分散 s

x

2

− 0.018

28


133

M 8811 : 2000

標準偏差 s

x

− 0.135

22

12.11.2.7

要求される対試料の数(12.9.4 参照)

1

479

.

1

22

135

.

0

2

.

0

=

=

=

x

s

B

g

表 12-3 から,g>1.295 の数値を読むと n

p

0

=10

n

s

  (

=19)  >n

p

0

  (

=10)  であるから,十分なデータが採られていることになる。統計解析を続け,偏りの

最終評価  (12.11.2.8)  を決定する。

12.11.2.8

偏りの最終評価(12.9.4 参照)

B

w

≦ ≦+B

w

であるから,

d

<B

w

の の検定に移る。

(

)

(

)

9

.

4

19

/

22

135

.

0

/

89

047

.

0

2

.

0

=

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

P

d

w

nz

n

s

d

B

t

t

β

=1.734,

表 12-5 から(片側検定,自由度 18)。

t

nz

t

β

,よって偏りは,B

w

より有意に小さいといえる。

B

w

< <+B

w

であることが分かったから, =0 の 検定に移る。

もし t

nz

t

β

ならば,このテストでは偏りなしを証明できなかったことになるので,この設備は実操業で

使用する前に,手直しする必要がある。

544

.

1

19

22

135

.

0

89

047

.

0

=

=

=

n

s

d

t

d

z

t

α

2.101

表 12-5 から(両側検定,自由度

18

t

z

t

α

よって,偏りはゼロと見なしてよい。

対象設備は,テスト時の操業条件では,偏りなしとして受け入れてよい。

12.11.3