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M 8234

:2016

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1  適用範囲  

1

2  引用規格  

1

3  一般事項  

1

4  定量方法の区分  

1

5  塩化チタン(III)還元二クロム酸カリウム滴定法  

2

5.1  要旨  

2

5.2  試薬  

2

5.3  試料はかりとり量  

3

5.4  操作  

3

5.5  空試験  

5

5.6  計算  

5

5.7  許容差  

5

6  1,10-フェナントロリン吸光光度法 

5

6.1  要旨  

5

6.2  試薬  

5

6.3  試料はかりとり量  

6

6.4  操作  

6

6.5  空試験  

7

6.6  検量線の作成  

7

6.7  計算  

7

6.8  許容差  

7

7  原子吸光分析法  

8

7.1  要旨  

8

7.2  試薬  

8

7.3  試料はかりとり量  

8

7.4  操作  

8

7.5  空試験  

10

7.6  検量線の作成  

10

7.7  計算  

10

7.8  許容差  

11

8  ICP 発光分光分析法  

11

8.1  要旨  

11

8.2  試薬  

11

8.3  試料はかりとり量  

11


M 8234

:2016  目次

(2)

ページ

8.4  操作  

11

8.5  空試験  

12

8.6  検量線の作成  

12

8.7  計算  

13

8.8  許容差  

13

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

15


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まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本フェロアロイ

協会(JFA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS M 8234:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 M

8234

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マンガン鉱石−鉄定量方法

Manganese ores-Methods for determination of iron content

序文 

この規格は,1985 年に第 1 版として発行された ISO 7990,1988 年に第 1 版として発行された ISO 9292

及び 1990 年に第 1 版として発行された ISO 9681 を基とし,国内の実情に合わせるため,技術的内容を変

更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,マンガン鉱石中の鉄定量方法について規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 7990:1985,Manganese ores and concentrates−Determination of total iron content−Titrimetric

method after reduction and sulfosalicylic acid spectrophotometric method

ISO 9292:1988 , Manganese ores and concentrates − Determination of total iron content −

1,10-Phenanthroline spectrometric method

ISO 9681:1990,Manganese ores and concentrates−Determination of iron content−Flame atomic

absorption spectrometric method(全体評価:MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 8001  試薬試験方法通則 
JIS K 8401  塩化チタン(III)溶液(試薬) 
JIS M 8203  マンガン鉱石−化学分析方法−通則

一般事項 

定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8203 による。

定量方法の区分 

鉄の定量方法は,次のいずれかによる。


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a)  塩化チタン(III)還元二クロム酸カリウム滴定法  この方法は,鉄含有率 1 %(質量分率)以上 25 %

(質量分率)以下の試料に適用する。

b) 1,10-フェナントロリン吸光光度法  この方法は,鉄含有率 0.1 %(質量分率)以上 5.0 %(質量分率)

以下の試料に適用する。

c)  原子吸光分析法  この方法は,鉄含有率 0.2 %(質量分率)以上 5.0 %(質量分率)以下の試料に適用

する。

d) ICP 発光分光分析法  この方法は,鉄含有率 0.1 %(質量分率)以上 8.0 %(質量分率)以下の試料に

適用する。

塩化チタン(III)還元二クロム酸カリウム滴定法 

5.1 

要旨 

酸分解の場合は,試料を塩酸で分解し,残さ処理した後,塩酸溶液として有機物を過マンガン酸カリウ

ムで酸化する。アルカリ融解の場合は,試料を過酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムで融解し,水で抽出

した後,沈殿をこし分け,塩酸に溶解する。鉄(III)の大部分を塩化すず(II)で鉄(II)に還元した後,

インジゴカルミンを指示薬として塩化チタン(III)で完全に鉄(II)に還元し,過剰の塩化チタン(III)

を二クロム酸カリウムで酸化する。硫酸及びりん酸を共存させ,還元した鉄(II)をジフェニルアミンス

ルホン酸ナトリウムを指示薬として二クロム酸カリウム溶液で滴定する。

5.2 

試薬 

試薬は,次による。

5.2.1 

塩酸 

5.2.2 

塩酸(1112110150 

5.2.3 

ふっ化水素酸 

5.2.4 

硫酸(11 

5.2.5 

混酸(硫酸 3,りん酸 3,水 14 

5.2.6 

水酸化ナトリウム溶液(20 g/L 

5.2.7 

アンモニア水 

5.2.8 

融解合剤(炭酸ナトリウム 1,過酸化ナトリウム 2 

5.2.9 

過酸化水素(19160 

5.2.10  二硫酸カリウム 
5.2.11  
塩化チタン(III)溶液(約 20 g/L)  JIS K 8401 に規定する塩化チタン(III)溶液[濃度(TiCl

3

20 %(質量分率)以上]を塩酸(1+1)で 10 倍にうすめる。この溶液は,必要の都度調製する。 
5.2.12  塩化すず(II)溶液  塩酸 200 mL をビーカー(1 000 mL)に入れ,水浴上で加熱しながら塩化す

ず(II)二水和物(SnCl

2

・2H

2

O)100 g を少量ずつ加え溶解し,冷却した後,水で液量を 1 000 mL とする。

この溶液は,少量の粒状又は花弁状のすずを加え,褐色ガラス製瓶に入れて保存する。

5.2.13  過マンガン酸カリウム溶液(30 g/L 
5.2.14  
二クロム酸カリウム溶液(1 g/L 
5.2.15 0.016 

671/60mol/L 二クロム酸カリウム溶液(K

2

Cr

2

O

7

4.903 g/L)  調製及び計算方法は,JIS 

K 8001 の JA.6.4(滴定用溶液の調製,標定及び計算)v)(1/60 mol/L 二クロム酸カリウム溶液)  2)[二ク

ロム酸カリウム(容量分析用標準物質など)の場合]による。ただし,二クロム酸カリウムのはかりとり

量は,4.903 g とする。


3

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5.2.16  インジゴカルミン溶液(1 g/L)  インジゴカルミン 0.1 g を硫酸(1+4)100 mL に溶解する。 
5.2.17  ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液(2 g/L)  ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム
0.2 g を少量の水に溶解し,水で液量を 100 mL とする。この溶液は,褐色ガラス製瓶に入れて保存する。 
5.2.18  鉄標準液(Fe5.585 g/L)  鉄[純度 99.95 %(質量分率)以上]5.585 g をはかりとって三角フラ

スコ(300 mL)に移し入れ,フラスコの口に漏斗を置く。これに塩酸(1+1)75 mL を少量ずつ加え,加

熱して溶解する。冷却した後,過酸化水素 5 mL を少量ずつ加えて鉄を酸化する。沸騰するまで加熱し,

塩素及び過剰の過酸化水素を完全に除去するまで沸騰を続ける。常温まで冷却した後,1 000 mL の全量フ

ラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。 

この溶液 1.00 mL は,0.016 67(1/60)mol/L 二クロム酸カリウム標準溶液 1.00 mL に相当する。

5.3 

試料はかりとり量 

試料はかりとり量は,

表 に従って 0.1 mg の桁まではかる。ただし,バナジウム含有率 0.05 %(質量分

率)以上の試料は,5.4.1 b)  アルカリ融解による。

表 1−試料はかりとり量 

試料溶液の調製方法

試料はかりとり量

g

酸分解 1.00

アルカリ融解 0.50

5.4 

操作 

5.4.1 

試料溶液の調製 

試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。

a)  酸分解の場合 

1)  試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れる。 
2)  試料を水で湿し,塩酸 30 mL を加えて時計皿で覆い,穏やかに加熱して分解する

1)

3)  時計皿の下面を温水で洗って時計皿を取り除き,温水を加えて液量を約 50 mL にうすめる。 
4)  溶液は,ろ紙(5 種 B)を用いてろ過する。元のビーカーの内壁に付着した不溶解残さは,ポリス

マンでこすり落とした後,水でろ紙上に移す。

5)  不溶解残さ及びろ紙は,40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+50)で 5,6 回,次に温水で 3,4 回洗浄す

る。

6)   ろ液及び洗液は,ビーカー(500 mL)に集め,過マンガン酸カリウム溶液(30 g/L)で試料溶液が

紅紫色になるまで滴加した後,主液として保存する。

7)  不溶解残さは,ろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,乾燥した後,500∼600  ℃に加熱して,

ろ紙を灰化する。

8)  放冷した後,硫酸(1+1)3,4 滴を加えて残さを湿し,ふっ化水素酸約 5 mL を加え,穏やかに加

熱して二酸化けい素及び硫酸を揮散させる。

9)  放冷した後,白金るつぼに二硫酸カリウム 2 g を加え,蓋をして初めは徐々に加熱し,次第に温度

を高め,暗赤熱状に加熱して残さを融解する。

10)  放冷した後,この白金るつぼ及び蓋をそのままビーカー(300 mL)に入れ,温水約 100 mL 及び塩

酸 5 mL を加え穏やかに加熱して融成物を溶解し,白金るつぼ及び蓋を温水で洗って取り出す。


4

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11)  この溶液をかき混ぜながらアンモニア水を少量ずつ加えて微アルカリ性とし,加熱してしばらく沸

騰した後,熱源から降ろす。

12)  水酸化鉄などの沈殿が沈降するのを待って,ろ紙(5 種 A)を用いてこし分け,温水で 6∼8 回洗浄

する。このときのろ液及び洗液は捨てる。

13)  ろ紙上から 60  ℃以上に加熱した塩酸(1+2)約 10 mL を注いで沈殿を溶解し,初めは 40∼60  ℃

に加熱した塩酸(1+50)で数回,次に温水で洗液に酸が認められなくなるまで洗浄する。

14)  溶液及び洗液は,元のビーカーに受けてビーカーに付着した沈殿を溶解した後,6)  で保存した主液

に合わせる。

1)

  不溶解残さがない場合は,加熱分解した後,直ちに 5.4.2 の操作を行ってよい。

b)  アルカリ融解の場合 

1)  試料をはかりとってアルミナるつぼ又はジルコニウムるつぼ(30 mL)に移し入れ,融解合剤約 5 g

を加えてよく混合し,初めは低温部で加熱し,内容物が溶けてから次第に温度を高め,暗赤熱状態

として融解する。

2)  放冷した後,るつぼをビーカー(300 mL)に入れ,時計皿で覆い温水約 100 mL を加えて融成物を

溶解し,更に数分間沸騰した後,るつぼを洗って取り出して保存する。

3)  この溶液を冷却した後,時計皿の下面を洗って時計皿を取り除き,ろ紙(5 種 C)を用いて沈殿を

こし分け,水酸化ナトリウム溶液(20 g/L)で 2 回洗浄する。このときのろ液及び洗液は捨てる。

4)   ろ紙上の沈殿を射水して元のビーカーに洗い落とし,このビーカーを漏斗下に置き,ろ紙に付着し

た沈殿は 40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+1)約 20 mL を加え溶解し,過酸化水素(1+60)を滴加し

て完全に溶解する。

5)  このろ紙を初めは 40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+2)で 3 回,次に 40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+

50)で数回,最後に温水で洗液の酸がなくなるまで洗浄する。

6)  2)  で保存したるつぼをこのビーカー中に移して付着物を溶解した後,るつぼを温水で洗って取り出

す。この溶液を 2∼3 分間沸騰する。

5.4.2 

還元 

還元は,次の手順によって行う。

1)  5.4.1 で得た試料溶液を加熱濃縮して液量を約 100 mL とし,沸騰し始めるまで加熱し,熱いうちに

ビーカー内壁に付着している塩化物を少量の 60  ℃以上に加熱した塩酸(1+10)で洗い落とす。

2)  直ちに塩化すず(II)溶液(5.2.12)を滴加して振り混ぜ,僅かに黄色が残るようにする。もし,黄

色が消失した場合は,僅かに黄色が呈するまで過酸化水素(1+9)を滴加する。

3)  インジゴカルミン溶液(1 g/L)(5.2.16)4 滴を指示薬として加え,溶液が黄緑から一旦青に変わり,

その青が消失するまで試料溶液を振り混ぜながら塩化チタン(III)溶液(5.2.11)をピペットなどを

用いて滴加する。

4)  試料溶液の温度が 70  ℃以上を維持するように加熱しながら,二クロム酸カリウム溶液(1 g/L)を

うすい青が 5 秒間持続するまでピペットを用いて滴加した後,冷水で 20  ℃以下に冷却する。

5.4.3 

滴定 

5.4.2 で得た溶液に混酸 30 mL を加え,水で液量を約 200 mL とし,ジフェニルアミンスルホン酸ナトリ

ウム溶液(5.2.17)数滴を指示薬として加える。直ちに 0.016 67(1/60)mol/L 二クロム酸カリウム溶液(5.2.15

で滴定し,終点近くで溶液の緑が青緑に変わり,更に紫に変わる点を終点とし,0.016 67(1/60)mol/L 二

クロム酸カリウム溶液(5.2.15)の使用量(mL)を求める。


5

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5.5 

空試験 

5.3 の試料の代わりに鉄標準液(5.2.18)1.00 mL を用いて,5.4 に従って試料と同じ操作を,試料と併行

して行う。得られた 0.016 67(1/60)mol/L 二クロム酸カリウム溶液(5.2.15)の滴定量を空試験値(mL)

とする。ただし,アルカリ融解の場合は,鉄標準液(5.2.18)1.00 mL を乾固してから行う。得られた 0.016

67(1/60)mol/L 二クロム酸カリウム溶液(5.2.15)の滴定量から 1.00 mL を差し引いたものを空試験値(mL)

とする。

5.6 

計算 

試料中の鉄含有率は,次の式によって算出する。

(

)

100

585

005

.

0

2

1

×

×

×

=

m

f

V

V

Fe

ここに,

Fe

試料中の鉄含有率[%(質量分率)

V

1

試料について 5.4.3 で使用した 0.016 67(1/60)mol/L 二クロ
ム酸カリウム溶液の使用量(mL)

V

2

5.5 で得た空試験値(mL)

f

使用した 0.016 67(1/60)mol/L 二クロム酸カリウム溶液のフ
ァクター

m

試料はかりとり量(g)

5.7 

許容差 

許容差は,

表 による。

表 2−許容差 

単位  %(質量分率)

鉄含有率

室内再現許容差

室間再現許容差

2.16 以上  14.04 以下

0.010×(Fe)+0.38

0.016×(Fe)+0.080

注記 1  (Fe)は,鉄含有率[%(質量分率)]とする。 
注記 2  この表の中の鉄含有率は,JIS Z 8402-1-4-6 に従って行った許容差を求めるための

共同実験に用いた試料中の鉄含有率[%(質量分率)

]である。

6 1,10-フェナントロリン吸光光度法 
6.1 

要旨 

試料を塩酸で分解し,不溶解残さ処理した後,酢酸ナトリウムで pH を調節し,塩化ヒドロキシルアン

モニウムで鉄を還元して,1,10-フェナントロリンを反応させて生じた 1,10-フェナントロリン鉄錯体の吸光

度を測定する。

6.2 

試薬 

試薬は,次による。

6.2.1 

塩酸 

6.2.2 

塩酸(150 

6.2.3 

硫酸(11 

6.2.4 

ふっ化水素酸 

6.2.5 

二硫酸カリウム 

6.2.6 

硫酸水素カリウム 

6.2.7 

塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L


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6.2.8 

緩衝液  500 mL の水に酢酸ナトリウム三水和物 450 g を溶解し,酢酸 240 mL を加え,水で 1 000 mL

にして混合する。

6.2.9 1,10-フェナントロリン溶液(5 g/L)  100 mL のエタノール(95)に 1,10-フェナントロリン(C

12

H

8

N

2

H

2

O)5 g を溶解し,水で 1 000 mL にうすめる。1,10-フェナントロリン(C

12

H

8

N

2

・H

2

O)の代わりに,塩化

1,10-フェナントロリニウム一水和物(C

12

H

9

ClN

2

・H

2

O)を使用する場合は,1 000 mL の水に塩化 1,10-フェ

ナントロリニウム一水和物(C

12

H

9

ClN

2

・H

2

O)6 g を溶解し,水で 1 000 mL にうすめる。

6.2.10  鉄標準液 AFe0.5 mg/mL)  鉄[純度 99.95 %(質量分率)]0.500 0 g をはかりとって,ビーカ

ー(300 mL)に移し入れ,硫酸(1+4)100 mL を加え,時計皿で覆い,穏やかに加熱して完全に溶解す

る。溶液を冷却した後,過酸化水素(1+9)10 mL を滴加し,沸騰するまで穏やかに加熱して,過剰の過

酸化水素を分解する。常温まで冷却した後,1 000 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線ま

でうすめる。

6.2.11  鉄標準液 BFe50 μg/mL)  鉄標準液 A(Fe:0.5 mg/mL)50 mL を分取して 500 mL の全量フラ

スコに移し入れ,塩酸 25 mL を加え,常温まで冷却した後,水で標線までうすめる。

6.3 

試料はかりとり量 

試料はかりとり量は,

表 に従って 0.1 mg の桁まではかる。

表 3−試料はかりとり量 

鉄含有率

%(質量分率)

試料はかりとり量

g

0.1 以上  2.0 未満 1.00 
2.0 以上  5.0 以下 0.40

6.4 

操作 

6.4.1 

試料の分解 

試料の分解は,次の手順によって行う。

a)  はかりとった試料をビーカー(300 mL)に移し入れ,水で湿し,塩酸 30 mL を加える。時計皿で覆い

穏やかに加熱して試料を分解する。

b)  時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,温水約 50 mL を加える。不溶解残さを少量のろ紙パル

プを加えたろ紙(5 種 B)でろ過する。

c)  ろ紙を 40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+50)で 4,5 回洗浄する。ろ液及び洗液はビーカー(300 mL)

に集め,主液として保存する。

6.4.2 

不溶解残さの処理 

不溶解残さの処理は,次の手順によって行う。

a)  6.4.1 c)  で得たろ紙を不溶解残さと共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,ろ紙及び不溶解残さを加熱

して乾燥させた後,500∼600  ℃に加熱してろ紙を灰化する。

b)  るつぼを放冷し,水数滴を滴加して湿らせ,硫酸(1+1)3,4 滴,ふっ化水素酸 5∼6 mL を加えて乾

固するまで加熱する。

c)  るつぼを放冷し,残さに二硫酸カリウム又は硫酸水素カリウム 2 g を加え,融成物が透明になるまで,

600∼650  ℃に加熱して融解する。

d)  放冷した後,るつぼを 6.4.1 c)  で保存した主液中に浸し,加熱して融成物を溶解した後,るつぼを水


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で洗浄して取り出す。溶液を常温まで冷却し,250 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標

線までうすめる。この溶液を試料溶液とする。

6.4.3 

吸光度測定のための溶液処理 

吸光度測定のための溶液処理は,次の手順によって行う。

a)  鉄含有率 0.8 %(質量分率)未満の試料の場合には,6.4.2 d)  で得た試料溶液 10 mL を分取し,鉄含有

率 0.8 %(質量分率)以上の試料の場合には,6.4.2 d)  で得た試料溶液 5 mL を分取する。分取した溶

液を 100 mL の全量フラスコに移し入れ,水 50 mL を加える。

b)  塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)5 mL を加え,振り混ぜ,5 分間放置する。緩衝液(6.2.8

10 mL 及び 1,10-フェナントロリン溶液(5 g/L)(6.2.9)10 mL を加える。

c)  溶液を振り混ぜ,室温で 1 時間又は 30  ℃で 15 分間放置する。常温まで冷却した後,水で標線までう

すめる。この溶液を測定溶液とする。

6.4.4 

吸光光度測定 

6.4.3 c)  で得た測定溶液の吸光度を,光路長 10 mm のセルを用いて,水を対照として最大吸光度(波長

510 nm 付近)に合わせた分光光度計を用いて測定する。

6.5 

空試験 

試料を入れないで試薬だけを用いて 6.4 に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行う。この溶液を

空試験液とする。

6.6 

検量線の作成 

検量線の作成は,次の手順によって行う。

a)  6 個の 100 mL の全量フラスコにそれぞれ鉄標準液 B(Fe:50 μg/mL)

6.2.11)を,0.0,1.0,2.0,4.0,

6.0 及び 8.0 mL 分取する。これらは鉄として 0.0,0.05,0.10,0.20,0.30 及び 0.40 mg に相当する。

b)  それぞれの全量フラスコに水 50 mL を加え,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)5 mL を

加え,振り混ぜ,5 分間放置する。

c)  緩衝液(6.2.8)10 mL 及び 1,10-フェナントロリン溶液(5 g/L)(6.2.9)10 mL を加える。振り混ぜ,

室温で 1 時間又は 30  ℃で 15 分間放置する。水で標線までうすめる。6.4.4 に従って吸光光度測定を行

う。

d)  得た吸光度と鉄標準液として加えた鉄量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移

動して検量線とする。

6.7 

計算 

6.4.4 及び 6.5 で得た吸光度と,6.6 で作成した検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄含有率を次の式によ

って算出する。

100

250

3

2

1

×

×

=

V

m

A

A

Fe

ここに,

Fe

試料中の鉄含有率[%(質量分率)

A

1

測定溶液中の鉄検出量(g)

A

2

空試験液中の鉄検出量(g)

V

3

試料溶液の分取量(mL)

m

試料はかりとり量(g)

6.8 

許容差 

許容差は規定しない。


8

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原子吸光分析法 

7.1 

要旨 

試料を塩酸及びふっ化水素酸,又は塩酸で分解し,不溶解残さをろ過する。不溶解残さを融解合剤で処

理して,主液に合わせる。水で一定量にうすめ,試料溶液をアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,原子

吸光光度計を用いて鉄の吸光度を測定する。

7.2 

試薬 

試薬は,次による。

7.2.1 

塩酸 

7.2.2 

塩酸(150 

7.2.3 

硝酸 

7.2.4 

過塩素酸 

7.2.5 

過酸化水素 

7.2.6 

ふっ化水素酸 

7.2.7 

マンガン  純度 99.9 %(質量分率)以上で鉄含有率 0.005 %(質量分率)以下のもの。

7.2.8 

融解合剤(炭酸ナトリウム 3,四ほう酸ナトリウム 1 

7.2.9 

バックグラウンド溶液  マンガン[純度 99.9 %(質量分率)以上で鉄含有率 0.005 %(質量分率)

以下のもの]5 g を硝酸(1+1)40 mL で分解する。過塩素酸 30 mL を加える。過塩素酸の白煙が発生す

るまで加熱する。溶液を放冷し,水約 50 mL を加えて塩類を溶解する。融解合剤 10 g を加え,更に塩酸

30 mL を加え溶解した後,溶液を常温まで冷却し,500 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標

線までうすめる。

7.2.10  鉄標準液 AFe1 mg/mL)  鉄[純度 99.95 %(質量分率)]1.000 g をはかりとってビーカー(300 
mL)に移し,硝酸 10 mL を加えて加熱分解する。過塩素酸 10 mL を加え,白煙が発生するまで加熱した

後,溶液を放冷する。水約 50 mL を加えて塩類を溶解した後,溶液を 1 000 mL の全量フラスコに水を用

いて移し入れ,水で標線までうすめる。

7.2.11  鉄標準液 BFe0.1 mg/mL)  鉄標準液 A(Fe:1 mg/mL)(7.2.10)を正確に水を用いて 10 倍に

うすめる。この溶液は,使用の都度調製する。

7.3 

試料はかりとり量 

試料はかりとり量は,1.00 g とし,0.1 mg の桁まではかる。

7.4 

操作 

7.4.1 

試料の分解 

試料の分解は,次のいずれかによって行う。

a)  塩酸及びふっ化水素酸で分解する場合 

1)  はかりとった試料をポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFE という。)製ビーカー(300 mL)に

移し入れ,少量の水で湿した後,PTFE 製時計皿で覆う。

2)  時計皿を少しずらして,塩酸 10 mL 及びふっ化水素酸 5∼7 mL を加え,沸騰しないように穏やかに

加熱して分解する。

3)  放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,過塩素酸 10 mL を加え,ビーカーの内

壁を水で洗浄する。過塩素酸の白煙が発生するまで加熱した後,溶液を放冷する。

4)  ビーカーの内壁を水及び塩酸 5 mL で洗浄し,再び過塩素酸の白煙が発生するまで加熱する。 
5)  放冷した後,温水 20 mL 及び過酸化水素 2,3 滴を加え,PTFE 製時計皿で覆い,沸騰して塩類を溶


9

M 8234

:2016

解する。

6)  放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,ろ紙(5 種 B)を用いて不溶解残さを

ろ過する。40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+50)でろ紙を洗浄した後,温水で 7,8 回洗浄する。ろ液

及び洗液は主液として保存する。

7)  不溶解残さはろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,乾燥した後,500∼600  ℃に加熱してろ

紙を灰化する。

8)  放冷した後,これに融解合剤約 1 g を加え,950∼1 050  ℃に加熱して融解する。 
9)  放冷した後,白金るつぼをビーカー(300 mL)に移し,温水約 50 mL 及び塩酸 3 mL を加えて,融

成物を溶解し,白金るつぼを水で洗って取り出す。この溶液を 6)  で保存した主液に合わせる。

b)  塩酸で分解する場合 

1)  はかりとった試料をビーカー(300 mL)に移し入れ,少量の水で湿した後,時計皿で覆う。時計皿

を少しずらして,塩酸 10 mL を加え,沸騰しないよう穏やかに加熱して分解する。

2)  放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,硝酸 1 mL 及び過塩素酸 10 mL を加え,

ビーカーの内壁を水で洗浄する。過塩素酸の白煙が発生するまで加熱する。

3)  放冷した後,ビーカーの内壁を水及び塩酸 5 mL で洗浄し,再び過塩素酸の白煙が発生するまで加

熱する。

4)  放冷した後,温水 20 mL 及び過酸化水素 2,3 滴を加え,時計皿で覆い,沸騰して塩類を溶解する。

5)  放冷した後,ろ紙(5 種 B)を用いて不溶解残さをろ過する。40∼60  ℃に加熱した塩酸(1+50)

でろ紙を洗浄した後,温水で 7,8 回洗浄する。ろ液及び洗液は主液として保存する。

6)  不溶解残さはろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,乾燥した後,500∼600  ℃に加熱してろ

紙を灰化する。

7)  放冷した後,これに融解合剤約 1 g を加え,950∼1 050  ℃に加熱して融解する。 
8)  放冷した後,白金るつぼをビーカー(300 mL)に移し,温水約 50 mL 及び塩酸 3 mL を加えて,融

成物を溶解し,白金るつぼを水で洗って取り出す。この溶液を 5)  で保存した主液に合わせる。

7.4.2 

測定溶液の調製 

7.4.1 の a)  又は b)  で得た試料溶液を常温まで冷却して 250 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,

水で標線までうすめる。試料中の鉄含有率が 2.0 %(質量分率)以上の場合は,これを吸光度測定に用い,

2.0 %(質量分率)未満の場合は,試料溶液 25 mL を 250 mL の全量フラスコに分取し,水で標線までうす

めた溶液を吸光度測定に用いる。

7.4.3 

吸光度測定 

7.4.2 で得た測定溶液の一部を原子吸光光度計のアセチレン・空気フレーム中に噴霧して,表 の分析線

における吸光度を測定する。

表 4−分析線 

鉄含有率

%(質量分率)

分析線

nm

0.2 以上  2.0 未満

248.3

2.0 以上  5.0 以下

344.1


10

M 8234

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7.5 

空試験 

7.3 の試料の代わりにマンガン(7.2.7)0.5 g を用いて,7.4 の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併

行して行う。この溶液を空試験液とする。

7.6 

検量線の作成 

検量線は,次の手順によって行う。

a)  5∼7 個の 250 mL の全量フラスコを準備し,それぞれにバックグラウンド溶液(7.2.9)を表 に従っ

て加える。これらに鉄標準液を

表 に従って段階的に正確に加え,水で標線までうすめる。

表 5−バックグラウンド溶液添加量 

鉄含有率

%(質量分率)

バックグラウンド溶液

mL

0.2 以上  2.0 未満

5

2.0 以上  5.0 以下

50

表 6−鉄標準液添加量 

鉄含有率

%(質量分率)

鉄標準液

mL

mg

0.2 以上  2.0 未満

B(7.2.11)0∼25

0∼2.5

2.0 以上  5.0 以下

A(7.2.10)0∼50

0∼50

b)  以下 7.4.3 に従って操作し,試料と併行してその吸光度を測定する。得た吸光度と鉄標準液として加え

た鉄量との関係線を作成して検量線とする。

7.7 

計算 

計算は,次のいずれかによる。

a)  鉄含有率が 0.2 %(質量分率)以上 2.0 %(質量分率)未満の場合 

7.4.3 及び 7.5 で得た吸光度と,7.6 で作成した検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄含有率を次の式によ

って算出する。

100

250

25

4

3

×

×

=

m

A

A

Fe

ここに,

Fe

鉄含有率[%(質量分率)

A

3

測定溶液中の鉄検出量(g)

A

4

空試験液中の鉄検出量(g)

m

試料はかりとり量(g)

b)  鉄含有率が 2.0 %(質量分率)以上 5.0 %(質量分率)以下の場合 

7.4.3 及び 7.5 で得た吸光度と,7.6 で作成した検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄含有率を次の式によ

って算出する。

100

6

5

×

=

m

A

A

Fe

ここに,

Fe

鉄含有率[%(質量分率)

A

5

測定溶液中の鉄検出量(g)

A

6

空試験液中の鉄検出量(g)

m

試料はかりとり量(g)


11

M 8234

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7.8 

許容差 

許容差は,

表 による。

表 7−許容差 

単位  %(質量分率)

鉄含有率

室内再現許容差

室間再現許容差

2.11 以上  3.11 以下

0.010×(Fe)+0.038

0.016×(Fe)+0.080

注記 1  (Fe)は,鉄含有率[%(質量分率)]とする。 
注記 2  この表の中の鉄含有率は,JIS Z 8402-1-4-6 に従って行った許容差を求めるための

共同実験に用いた試料中の鉄含有率[%(質量分率)

]である。

8 ICP 発光分光分析法 
8.1 

要旨 

試料を塩酸,硝酸及びふっ化水素酸で分解し,過塩素酸を加え,過塩素酸の白煙を発生させた後,ろ過

し,ろ液及び洗液は主液として保存する。不溶解残さはろ紙と共に強熱し,炭酸ナトリウム及びほう酸,

又は二硫酸ナトリウムで融解して主液と合わせる。この溶液を ICP 発光分光分析装置のアルゴンプラズマ

中に噴霧し,鉄の発光強度を測定する。

8.2 

試薬 

試薬は,次による。

8.2.1 

塩酸 

8.2.2 

塩酸(11150 

8.2.3 

硝酸 

8.2.4 

過塩素酸 

8.2.5 

ふっ化水素酸 

8.2.6 

過酸化水素 

8.2.7 

亜硫酸水素ナトリウム(100 g/L 

8.2.8 

二硫酸ナトリウム 

8.2.9 

融解合剤(炭酸ナトリウム 2,ほう酸 1

8.2.10  マンガン溶液(Mn25 mg/mL)  マンガン[鉄含有率 0.005 %(質量分率)以下]6.25 g をはか

りとってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,時計皿を少しずらして塩酸(1+1)80 mL 及び

硝酸 10 mL を少量ずつ加え,加熱してマンガンを分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗

って時計皿を取り除き,250 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。

8.2.11  鉄標準液 AFe2.5 mg/mL)  鉄[純度 99.95 %(質量分率)]2.500 g をはかりとってビーカー(300 
mL)に移し入れ,硝酸(1+2)30 mL を加えて加熱して分解し,沸騰して窒素酸化物を除いた後,常温ま

で冷却し,溶液を 1 000 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。

8.2.12  鉄標準液 BFe250 μg/mL)  鉄標準液 A(8.2.11)を 50 mL 分取して 500 mL の全量フラスコに

移し入れ,水で標線までうすめる。この溶液は,使用の都度調製する。

8.3 

試料はかりとり量 

試料はかりとり量は,0.50 g とし,0.1 mg の桁まではかる。

8.4 

操作 

8.4.1 

試料の分解 


12

M 8234

:2016

試料の分解は,次の手順によって行う。

a)  試料をはかりとって PTFE 製ビーカー(200 mL)に移し入れ,少量の水で湿した後,PTFE 製の時計

皿で覆う。

b)  時計皿を少しずらして塩酸(1+1)20 mL,硝酸 5 mL を加えて,加熱する。反応が治まったら,ふっ

化水素酸 10 mL を加え,引き続き加熱して分解する。

c)  放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。過塩素酸 15 mL を加え,加熱して過塩素

酸の濃厚な白煙を約 10 分間発生させた後,放冷する。

d)  塩酸 15 mL 及び水 10〜15 mL を加え,かき混ぜながら,マンガン酸化物が溶けるまで亜硫酸水素ナト

リウム溶液(100 g/L)又は過酸化水素を滴加し,PTFE 製の時計皿で覆い,加熱して亜硫酸又は過酸

化水素を分解する。

e)  放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,ろ紙(5 種 B)を用いてビーカー(300 mL)

にろ過する。PTFE 製のビーカーに付着している不溶解残さは,ポリスマンを用いてこすり落とし,

水でろ紙上に移し入れる。ろ紙及び不溶解残さを塩酸(1+50)で 4,5 回,次いで温水でろ紙の黄色

が消えるまで洗浄する。ろ液及び洗液は,主液として保存する。

8.4.2 

不溶解残さの処理 

不溶解残さの処理は,次の手順によって行う。

a)  8.4.1 e)  で得た不溶解残さをろ紙と共に白金るつぼ(30 番)に移し入れ,乾燥した後,500∼600  ℃に

加熱してろ紙を灰化する。放冷した後,融解合剤(炭酸ナトリウム 2,ほう酸 1)2.0 g 又は二硫酸ナ

トリウム 2.0 g を加え,白金製の蓋をする。融解合剤を用いた場合は,初めは徐々に加熱して融解し,

続いて約 1 000  ℃で約 5 分間加熱する。二硫酸ナトリウムを用いた場合は,徐々に加熱して暗赤熱状

に加熱して,不溶解残さを融解する。

b)  放冷した後,白金るつぼ及び蓋を 8.4.1 e)  で保存した主液中に入れ,加熱して融解物を溶解する。白

金るつぼ及び蓋を少量の水で洗って取り出す。

c)  常温まで冷却した後,250 mL の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。

なお,沈殿が生成した場合は,乾燥したろ紙(5 種 A)を用いて必要な分だけろ過して使用する。

8.4.3 

測定溶液の調製 

測定溶液の調製は,次のいずれかによる。

a)  試料中の鉄含有率が 0.1 %(質量分率)以上 1.0 %(質量分率)未満の場合  8.4.2 c)  で得た溶液を 25

mL 分取して 100 mL の全量フラスコに移し入れ,水で標線までうすめ,測定溶液とする。

b)  試料中の鉄含有率が 1.0 %(質量分率)以上 8.0 %(質量分率)以下の場合  8.4.2 c)  で得た溶液を 5 mL

分取して 100 mL の全量フラスコに移し入れ,水で標線までうすめ,測定溶液とする。

8.4.4 

発光強度の測定 

8.4.3 の a)  及び b)  で得た溶液の一部を ICP 発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長

238.20 nm,239.56 nm,259.94 nm などにおける鉄の発光強度を測定する。 
8.5 

空試験 

PTFE 製のビーカー(200 mL)に,試料に含まれるマンガン量と同量になるようマンガン溶液(Mn:25

mg/mL)(8.2.10)をとり,PTFE 製の時計皿で覆う。以下,8.4.1 の b)e)  及び 8.4.28.4.4 の手順に従っ

て試料と同じ操作を,試料と併行して行う。この溶液を空試験液とする。

8.6 

検量線の作成 

検量線の作成は,次の手順によって行う。


13

M 8234

:2016

a)  試料中の鉄含有率が 0.1 %(質量分率)以上 1.0 %(質量分率)未満の場合 

1)  数個の PTFE 製ビーカー(200 mL)を準備し,それぞれに試料に含まれるマンガン量と同量になる

ようマンガン溶液(Mn:25 mg/mL)

8.2.10)をとる。

2)  鉄標準液 B(Fe:250 μg/mL)(8.2.12)0∼20 mL を段階的に正確に加え,PTFE 製の時計皿で覆う。 
3)  以下 8.4.1 b)8.4.3 a)  の手順に従って,試料と同じ操作を行う。これらの溶液中の鉄量は,0∼500 μg

に相当する。

4)  この溶液の一部を ICP 発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,試料と同じ波長を用いて

鉄の発光強度を測定溶液と併行して測定し,その発光強度と鉄量との関係を作成して検量線とする。

b)  試料中の鉄含有率が 1.0 %(質量分率)以上 8.0 %(質量分率)以下の場合 

1)  a) 1)  の手順に従って行う。 
2)  鉄標準液 A(Fe:2.5 mg/mL)(8.2.11)0∼16 mL を段階的に正確に加え,PTFE 製の時計皿で覆う。

3)  以下 8.4.1 b)8.4.2 及び 8.4.3 b)  の手順に従って,試料と同じ操作を行う。これらの溶液中の鉄量

は,0∼800 μg に相当する。

4)  a) 4)  の手順に従って行う。

8.7 

計算 

8.7.1 

鉄含有率の算出 

鉄含有率の算出は,次のいずれかによる。

a)  試料中の鉄含有率が 0.1 %(質量分率)以上 1.0 %(質量分率)未満の場合  8.4.4 及び 8.5 で得た発

光強度と 8.6 a)  で作成した検量線とから,鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出す

る。

100

250

25

8

7

×

×

m

A

A

Fe

ここに,

Fe

試料中の鉄含有率[%(質量分率)

A

7

測定溶液中の鉄検出量(g)

A

8

空試験液中の鉄検出量(g)

m

試料はかりとり量(g)

b)  試料中の鉄含有率が 1.0 %(質量分率)以上 8.0 %(質量分率)以下の場合  8.4.4 及び 8.5 で得た発

光強度と 8.6 b)  で作成した検量線とから,鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出す

る。

100

250

5

10

9

×

×

m

A

A

Fe

ここに,

Fe

試料中の鉄含有率[%(質量分率)

A

9

測定溶液中の鉄検出量(g)

A

10

空試験液中の鉄検出量(g)

m

試料はかりとり量(g)

8.8 

許容差 

許容差は規定しない。


14

M 8234

:2016

参考文献  JIS Z 8402-1  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定

JIS Z 8402-2  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 2 部:標準測定方法の併行

精度及び再現精度を求めるための基本的方法

JIS Z 8402-3  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 3 部:標準測定方法の中間

精度

JIS Z 8402-4  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 4 部:標準測定方法の真度

を求めるための基本的方法

JIS Z 8402-6  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の

実用的な使い方


15

M 8234

:2016

附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS M 8234:2016  マンガン鉱石−鉄定量方法

ISO 7990:1985,Manganese ores and concentrates−Determination of total iron content
−Titrimetric method after reduction and sulfosalicylic acid spectrophotometric method 
ISO 9292:1988,Manganese ores and concentrates−Determination of total iron content
−1,10-Phenanthroline spectrometric method 
ISO 9681:1990,Manganese ores and concentrates−Determination of iron content−
Flame atomic absorption spectrometric method

(I)JIS の規定

(II)

国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異

の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

4  定量方法
の区分

塩化チタン(III)還元
二クロム酸カリウム滴

定法,1,10-フェナント

ロリン吸光光度法,原
子吸光分析法及び ICP

発光分光分析法の 4 方

法を規定

ISO 7990

1

還元後滴定法,スルホ
サ ル チ ル 酸 吸 光 光 度

法,1,10-フェナントロ

リン吸光光度法及び原
子吸光分析法の 4 方法

を規定

削除 
追加

JIS は,スルホサルチル酸吸光光
度法を削除し,最近広く使用さ

れている ICP 発光分光分析法を

追加した。

スルホサルチル酸吸光光度法は,日
本国内で使用されておらず,また操

作が煩雑で精度も良くないため,
JIS として採用しない。ISO に削除
を要請する。

1,10- フ ェ ナ ン ト ロ リ
ン吸光光度法の適用範

囲の上限を 5.0 %(質

量分率)と規定

ISO 9292

1

1,10- フ ェ ナ ン ト ロ リ
ン吸光光度法の適用範

囲の上限を 15 %(質量

分率)と規定

変更

ISO 規格は,適用範囲の上限を
15 %(質量分率)としているが,
8.1 にあるように 5 %(質量分率)
の誤りである。

誤り修正の ISO への提案を検討す
る。

原子吸光分析法の適用
範囲の上限を 5.0 %

(質

量分率)と規定

ISO 9681

1

原子吸光分析法の適用
範囲の上限を 10.0 %

(質量分率)と規定

変更

JIS で は , 適 用 範 囲 の 上 限 を
5.0 %(質量分率)に変更した。

実験の結果,高含有率領域で良好な
精度が得られなかった。ISO への提

案を検討する。

5.2  試薬

JIS のある試薬は,JIS
を引用

ISO 7990

4

変更

JIS を引用した。

塩化すずによる還元の

試薬を規定

削除

有害な塩化水銀を用いる塩化す

ず に よ る 還 元 の 試 薬 を 削 除 し

た。

ISO への提案を検討する。

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:2016

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

5.3  試料 は
かりとり量

酸分解の場合 1.00 g,

ア ル カ リ 融 解 の 場 合
0.50 g

ISO 7990

7.1

鉄含有率 1.0∼10.0 %

(質量分率)の場合 1.0 
g , 鉄 含 有 率 10.0 ∼
25.0 %(質量分率)の
場合 0.5 g

変更

JIS は,ISO 規格(酸分解の場合)
の試料はかりとり量を 1.00 g と
し,アルカリ融解の場合を追加

して,0.50 g とした。また,バナ

ジウム含有率の高い試料は,ア
ルカリ融解の場合を選択するよ

う規定した。

アルカリ融解の場合の ISO への提

案を検討する。

5.4.1  試 料
溶液の調製

酸分解による場合及び

アルカリ融解の場合を
規定

7.3

試料の酸の分解性によ

って,酸分解を 2 種類
規定

追加

JIS は,酸に難溶解性の試料に適
用できるアルカリ融解法を追加
した。

5.4.2  還元

鉄の還元に塩化チタン

(III)及び指示薬とし

てインジゴカルミンを
使用

7.4

バナジウム含有率に従

って,鉄の還元方法を
2 種類規定 
鉄の還元に塩化水銀を

使用

変更

JIS は,有害な塩化水銀を塩化チ
タン(III)に変更した。また,

バナジウムの高い試料は,アル
カリ融解の場合を選択するよう

に規定した。

塩化チタン(III)による還元方法の
ISO への提案を検討する。

5.4.3  滴定

0.016 67(1/60)mol/L
二クロム酸カリウム溶
液で滴定

7.5

鉄含有率 5 %(質量分

率)以上 0.016 67(1/60)
mol/L 二クロム酸カリ
ウム溶液

鉄含有率 5 %(質量分
率 ) 未 満

0.008 33

(1/120) mol/L 二クロ

ム酸カリウム溶液

変更

JIS は,二クロム酸カリウム溶液
濃度を 1 種類とした。

ISO への提案を検討する。

5.6  計算

二クロム酸カリウム溶
液の使用量から,鉄含

有率を算出

8.1

二クロム酸カリウム溶
液の鉄相当量から算出

変更

JIS は,定数を使用して二クロム
酸カリウム溶液の使用量から,

鉄含有率を算出した。

5.7  許容差

室内及び室間再現許容

差を回帰式で規定

8.2

2 回分析及び 3 回分析
の併行許容差を規定

変更

JIS は,実用的な室内及び室間再
現許容差を回帰式で記載した。

ISO への提案を検討する。

6.7  計算

鉄含有率に従って分取
する量を記載

ISO 9292

9.1

試料溶液中の鉄検出量
から算出

変更

JIS は,分取量を計算式に記載し
た。

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M 8234

:2016

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

6.8  許容差

許容差は規定しない。  ISO 9292

9.2

2 回分析及び 3 回分析
の併行許容差を規定

削除

JIS は,許容差は規定しない。

JIS の定量方法を ISO に提案し,改
めてその方法による許容差を規定
することを提案する。

7.2  試薬

鉄標準液 A の鉄濃度 1 
g/L

ISO 9681

4

鉄標準液 A の鉄濃度 4 
g/L

変更

JIS は,国内の装置の性能に合わ
せて,濃度を変更した。

1 種類のバックグラウ
ンド溶液を規定

カルシウム含有率によ
って,2 種類のバック

グラウンド溶液を規定

削除

国内のマンガン鉱石のカルシウ
ム含有率が低いため,1 種類とし

た。

7.4.2  測 定
溶液の調製

鉄含有率 2.0 %(質量

分率)未満 10 倍希釈,
2.0 %(質量分率)以上
は希釈せず

7.3.3

鉄含有率 0.2∼1 %(質

量分率)4 倍希釈,1∼
5 %(質量分率)10 倍
希釈,2.5∼10 %(質量

分率)希釈せず

変更

JIS は,鉄含有率範囲の変更に伴
い,希釈方法を変更した。

含有率範囲は,鉄の高含有率範囲で

良好な精度が得られないので,上限
を 5 %(質量分率)以下とする旨の
ISO への提案を検討する。

7.4.3  吸 光
度測定

鉄含有率 2.0 %(質量
分率)未満は波長 248.3 
nm,2.0 %(質量分率)
以上は波長 344.1 nm

7.5

鉄含有率 0.2∼5 %(質
量分率)は波長 248.3 
nm,鉄含有率 2.5 %(質
量 分 率 ) 以 上 は 波 長
344.06 nm,2.5∼5 %
(質量分率)はいずれ

の波長でもよい

変更

JIS は,鉄含有率範囲の上限が異
なるため,波長も異なる。

7.6  検量 線
の作成

検量線溶液の定容容積
250 mL 
検量線鉄濃度範囲,鉄

含有率 2.0 %(質量分
率)未満 0∼10 μg/mL,

鉄含有率 2.0 %(質量

分 率 ) 以 上 , 0 ∼ 200 
μg/mL

7.4

検量線溶液の定容容積
100 mL 
検量線鉄濃度範囲,鉄

含有率 5 %(質量分率)
以下 0∼10  μg/mL,鉄

含有率 2.5 %(質量分

率)以上,0∼500 μg/mL

変更

JIS は,計算を容易にするため,
検量線溶液の定容容積を試料溶

液と合わせて 250 mL とした。さ

らに,鉄含有率範囲の上限の変
更に伴い,検量線濃度範囲を変

更した。

含有率範囲は,鉄の高含有率範囲で
良好な精度が得られないので,上限

を 5 %(質量分率)以下とする旨の
ISO への提案を検討する。

7.7  計算

鉄含有率によって,2

種の計算式を規定

8.1

希釈率が 3 種あるが,

計算式は 1 種を規定

変更

JIS は,計算を容易にするために
変更した。

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(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

7.8  許容差

室内及び室間再現許容

差を回帰式で規定

ISO 9681

8.2

2 回分析及び 3 回分析
の併行許容差を規定

変更

JIS は,実用的な室内及び室間再
現許容差を回帰式で記載した。

ISO への提案を検討する。

8 ICP 発光
分光分析法

追加

日本国内で使用されているため追
加した。ISO に追加の提案をする。

JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 7990:1985,ISO 9292:1988,ISO 9681:1990,MOD)

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

−  削除  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

−  追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更  国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

− MOD

国際規格を修正している。

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