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M 8229 : 1997

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS M 8229-1983 は改正され,この規格によって置き換えられる。

今回の改正では,国際規格との整合化を図るため,ISO 規格を翻訳して規定している。

JIS M 8229

には,次に示す附属書がある。

附属書(規定)  原子吸光法


日本工業規格

JIS

 M

8229

: 1997

鉄鉱石−鉛定量方法

Iron ores

−Method for determination of lead content

序文  この規格は附属書に 1987 年に発行された ISO 8753, Iron ores−Determination of lead and/or zinc

content

−Flame atomic absorption spectrometric method の鉛の部分を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を

変更することなく作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲  この規格は,鉄鉱石中の鉛定量方法について規定する。

2.

定量方法の区分  鉛定量方法は,次による。

原子吸光法[国際一致規格  (ISO 8753)]  この方法は,鉛含有率 0.001% (m/m)  以上 0.5% (m/m)  以下の試

料に適用するもので,附属書による。


2

M 8229 : 1997

附属書(規定)  原子吸光法

序文  この附属書は,1987 年第一版として発行された ISO 8753 (Iron ores−Determination of lead and/or zinc

content

−Flame atomic absorption spectrometric method)  の鉛の部分を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式

を変更することなく作成したものである。

なお,この附属書で下線(点線)を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲

この附属書は,鉄鉱石中の鉛をフレーム原子吸光法によって定量する方法について規定する。

この方法は,天然鉄鉱石,鉄鉱石の精鉱及び焼結鉱を含む塊成鉱の鉛含有率 0.001% (m/m) 以上 0.5%

(m/m)

以下の範囲のものに適用する。

参考  この方法は,硫化鉄焼鉱,スケール及びダスト又はこれらの粉粒状のものを加工した団鉱など

の鉄原料にも適用できる。

2.

引用規格

ISO 648 : 1977

  Laboratory glassware−One-mark pipettes

ISO 1042 : 1983

  Laboratory glassware−One-mark volumetric flasks

ISO 3081 : 1986

  Iron ores−Increment sampling−Manual method

ISO 3082 : 1987

  Iron ores−Increment sampling and sample preparation−Mechanical method

ISO 3083 : 1986

  Iron ores−Preparation of samples−Manual method

ISO 7764 : 1985

  Iron ores−Preparation of predried test samples for chemical analysis

3.

原理

試料を分解し,塩酸とふっ化水素酸による処理で二酸化けい素を除去する。硝酸で酸化する。

蒸発乾固した後,希釈してろ過する。残さを灰化して炭酸ナトリウムで融解する。冷却した融成物を塩

酸で溶解する。溶液を保存する。

ろ液中の鉄を 4-メチル-2-ペンタノンで抽出する。抽出された鉛を回収する。4-メチル-2-ペンタノンを硝

酸で分解する。蒸発乾固した後,保存溶液と塩酸で塩類を溶解する。

原子吸光光度計の空気・アセチレンバーナーのフレームに溶液を噴霧する。

鉛の吸光度を検量線溶液の吸光度と比較する。

4.

試薬

分析の際は,分析用保証試薬 (recognized analytical grade),蒸留水又はこれと同等の純度の水を使用する。

4.1

無水炭酸ナトリウム

4.2

4-

メチル-2-ペンタノン  高純度のもの

4.3

塩酸(密度 1.161.19g/ml

4.4

塩酸(密度 1.161.19g/ml)の希釈液 106

4.5

塩酸(密度 1.161.19g/ml)の希釈液 11

4.6

塩酸(密度 1.161.19g/ml)の希釈液 298


3

M 8229 : 1997

4.7

硝酸(密度 1.4g/ml

4.8

ふっ化水素酸 40% (m/m)  (密度 1.13g/ml

4.9

標準鉛溶液

4.9.1

標準鉛原液

高純度金属鉛(鉄を含まないこと。

)1.000g を硝酸(密度 1.4g/ml の希釈液 1+1)40ml に溶解する。冷

却した後,全量フラスコ中で 1 000ml に水で希釈して混合する。

この原液 1ml は鉛 1 000

µg を含有する。

参考  高純度金属鉛は,純度が 99.9% (m/m)  以上のものを使用する。

4.9.2

標準鉛溶液 A

標準鉛原液  (4.9.1) 10.0ml を分取して 100ml の全量フラスコに移し入れ,

水で標線まで薄めて混合する。

この標準溶液 1ml は鉛 100

µg を含有する。

4.9.3

標準鉛溶液 B

標準鉛溶液 A (4.9.2) 10.0ml を分取して 100ml の全量フラスコに移し入れ,

水で標線まで薄めて混合する。

この標準溶液 1ml は鉛 10

µg を含有する。

5.

装置

注  ピペット及びフラスコは,ISO 648 と ISO 1042 に規定されている 1 標線付きピペット及び 1 標線

付き容量フラスコでなければならない。

通常の分析用器具及び次のものを使用する。

5.1

ポリテトラフロロエチレン (PTFE) 製ビーカー  PTFE 製ふた付きの容量 250ml のもの。

5.2

原子吸光光度計  空気・アセチレンバーナーを備えているもの。この方法で使用する原子吸光光度

計は,次の装置基準を満足しなければならない。

a)

最小感度−検量線最高濃度(7.4.4 参照)の溶液の吸光度は,少なくとも 0.25。

b)

検量線の直線性−検量線の上部 20%範囲のこう配(吸光度の変化で表す。)と,同じやり方で算出し

た下部 20%範囲のこう配の比が,0.7 以上。

c)

最小安定性 (minimum stability) −検量線最高濃度溶液とゼロ検量線溶液をそれぞれ十分な回数の繰

り返し測定をして,得た標準偏差がそれぞれ最高濃度溶液の平均吸光度の 1.5%,0.5%以下。

参考  最小安定性の求め方

最高濃度の検量線溶液を 回噴霧し,

個々の吸光度の読み A

Ai

求めて,

平均値 A

A

を計算する。

最低濃度の検量線溶液(ゼロ検量線溶液を除く。

)を 回噴霧し,個々の吸光度の読み A

Bi

求めて,平均値 A

B

を計算する(は 10 回以上)

最高及び最低濃度の検量線溶液の各々の標準偏差 s

A

及び s

B

を次の式で計算する。

(

)

( )

1

1

2

2

2

A

A

A

n

n

Ai

Ai

n

A

A

s

i

Σ

Σ

Σ

(

)

( )

1

1

2

2

2

B

B

B

n

n

Bi

Bi

n

A

A

s

i

Σ

Σ

Σ

最高濃度及び最低濃度の検量線溶液の各々の最小安定性は s

A

×100/ A

A

及び s

B

×100/ A

A

の式

で求める。


4

M 8229 : 1997

1.  基準 a)b)及び c)の評価及び引き続き行われるすべての測定に対しては,チャート式記録装置

及び/又はデジタル表示装置の使用を推奨する。

2.

測定条件は装置ごとに変わる。次に示す測定条件は,数箇所の分析室で支障なく用いられた条

件であり,操作の指針として用いることができる。

鉛中空陰極ランプの電流,mA

  6

波長,nm 283.3

空気の流量,l/min

14

アセチレンの流量,l/min

  3

上に示したガス流量が適当でない装置においても,空気とアセチレンのガス流量の比率は操作の指針と

なる。

参考  装置基準については,JIS M 8202(鉄鉱石−分析方法通則)の解説に記載されている。

6.

サンプリング及び試料

6.1

分析用試料 (laboratory sample)

分析には,ISO 3081 又は ISO 3082 に従って採取され,ISO 3082 又は ISO 3083 に従って調製された粒度

−100

µm の分析用試料を用いる。化合水又は酸化しやすい化合物の含有率が著しく高い鉱石の場合には,

粒度−160

µm の試料を用いる。

注  化合水及び酸化しやすい化合物の著しく高い含有率についてのガイドラインは,ISO 7764 に記載

されている。

参考  化合水及び酸化しやすい化合物の含有率については JIS M 8202 に記載されている。

6.2

事前乾燥試験試料  (predried test samples)  の調製

分析用試料を十分に混合し,容器の全量を代表するように数インクリメントで分析試料を採取する。分

析試料を ISO 7764 に従って 105±2℃で乾燥する(これを事前乾燥試料という。

7.

操作

7.1

分析回数

分析は,事前乾燥試料 1 個について,

附属書 に従って少なくとも独立に 2 回の分析を行う。

注  “独立に”という表現は,2 度目又は続いて行った分析結果が以前の結果によって影響を受けな

いことを意味する。特にこの方法では,この条件は操作の繰り返しが同一人が異なった時間に,

又は異なった人によって,いずれの場合も適切な再校正を含めて行われなければならないことを

意味する。

7.2

空試験及びチェック試験

一連の定量ごとに,1 回の空試験と,同一種類の鉄鉱石認証標準物質の 1 個を,1 分析試料(1 個又は数

個)と併行して同一条件で分析しなければならない。認証標準物質の事前乾燥試料は,6.2 に従って調製し

なければならない。

注  認証標準物質は分析試料と同一種類で,両者の性質が分析操作に重大な変更を必要としない程度

によく類似したものであるべきである。

参考  空試験は,はかり採り試料と同量の純酸化鉄[鉛含有率 0.000 1% (m/m)  以下のもの]をはかり

採って加えなければならない。

同時に数試料を分析する場合,操作が同じで同一の試薬瓶からの試薬を使用するのであれば,1 個の空


5

M 8229 : 1997

試験値で代表することができる。

同時に同一種類の鉱石の数試料を分析する場合は,1 個の認証標準物質の分析値を使用することができ

る。

7.3

はかり採り試料 (test portion)

6.2

に従って得られた事前乾燥試料から数インクリメントを採って,

約 2g を 0.000 2g のけたまではかる。

注  はかり採り試料は,水分の再吸収を避けるため迅速にはかり採るべきである。

7.4

定量

7.4.1

試料の分解

はかり採り試料  (7.3)  を 250ml の PTFE 製ビーカー  (5.1)  に移す。水数 ml で湿し,塩酸  (4.3) 40ml とふ

っ化水素酸  (4.8) 10ml を加え,PTFE 製のふたで覆う。100℃の熱板で加熱し,次に 200℃で加熱する。蒸

発乾固する。硝酸  (4.7) 5ml を加え,溶液が約 1ml になるまで加熱蒸発する。塩酸  (4.3) 10ml を加え,塩類

を溶解した後,再び蒸発乾固する。

塩類を塩酸  (4.3) 5ml で溶解する。水 10ml を加え,ち密なろ紙を用いて 250ml のビーカーにろ過する。

ビーカーに付着している粒子はすべてゴム帽付きガラス棒でこすりおとし,ろ紙に鉄イオンの色が認めら

れなくなるまで塩酸  (4.6)  で洗い,更に熱水でろ紙を 3 回洗浄する。残さ,ろ液及び洗液を保存する。

参考  “ち密なろ紙”には,5 種 C が相当する。

7.4.2

残さ処理

残さとろ紙を白金るつぼに入れ,低温でろ紙を乾燥して炭化し,次に 550℃のマッフル炉中で灰化する。

無水炭酸ナトリウム  (4.1) 0.5g を加え,ブンゼンバーナー(約 900∼1 000℃)上で透明な融成物ができる

まで融解する。冷却した融成物を塩酸  (4.5) 5ml で溶解した後,加熱して二酸化炭素を追い出し,溶液を保

存する。

7.4.3

ろ液及び洗液の処理

ろ液及び洗液  (7.4.1)  をほとんど乾固するまで蒸発する。塩類を塩酸  (4.4) 20ml で溶解し,200ml の分液

漏斗に移す。塩酸  (4.4) 20ml でビーカーを洗い,この洗液を主液に合わせる。4-メチル-2-ペンタノン  (4.2)

50ml

を加え,1 分間激しく振り混ぜる。放置して二層に分離したら,下層の水溶液を 250ml のビーカーに

流出させる。有機相を塩酸  (4.4) 10ml で抽出することによって洗浄し,洗液は先のビーカーに移す。

この溶液を穏やかに加熱し,溶液中のほとんど全部の 4-メチル-2-ペンタノンを揮散させた後,硝酸  (4.7)

5ml

を加え,蒸発乾固する。塩類は塩酸  (4.5) 15ml で溶解した後,7.4.2 で保存した溶液に合わせる。

溶液を 50ml の全量フラスコに移し,水で標線まで薄めて混合する。吸光度測定のため,この溶液中の

鉛の含有率に応じて希釈しないか又は規定されたように希釈する(

附属書表 参照)。希釈する場合は適当

量を分液して 250ml のビーカーに移し,

附属書表 に示す量の無水炭酸ナトリウム  (4.1)  と塩酸  (4.5)  を

加えた後,加熱して二酸化炭素を追い出す。冷却した後,100ml の全量フラスコに移し,水で標線まで薄

めて混合する(

附属書表 の注を参照)(この溶液を最終試料溶液という。)。

参考  “附属書表 の注は,附属書表 の注*の誤り。

空試験溶液の相当量を 250ml のビーカーに移し,試料溶液に用いたのと同じ量の無水炭酸ナトリウム

(4.1)

と塩酸  (4.5)  を加えた後,加熱して二酸化炭素を追い出す。冷却した後,100ml の全量フラスコに移

し,水で標線まで薄めて混合する(この溶液を希釈空試験溶液という。

参考  この節は,試料溶液を希釈する(附属書表 参照)場合にだけ適用する。

附属書表 1  試料溶液の希釈指針

*

元素  試料中予想含有率 分取量 無水炭酸ナトリウム 塩酸  (4.5)


6

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% (m/m)

ml

(4.1)

添加量

g

添加量

ml

0.001

w

Pb

≦0.05

0.0

  <w

Pb

≦0.2 20

0.8

32

0.2

  <w

Pb

≦0.25

10 0.9  36

0.25

w

Pb

≦0.5

5

0.95

38

*

表に示した希釈に従えば鉛の濃度が検量線溶液  (7.4.4)  の
濃度範囲に入る。高感度の装置では,試料溶液を少量分取
することが好ましい。1ml 又は 2ml の分取については,希

釈誤差を避けるためにあらかじめ希釈しておく。空試験溶
液についても同様に取り扱う。

7.4.4

鉛検量線溶液の調製

6

個の 250ml のビーカーの各々に無水炭酸ナトリウム  (4.1) 1.0g を入れる。塩酸  (4.3) 20ml と標準鉛溶液

A

又は B を

附属書表 に従って加える。加熱して二酸化炭素を追い出す。冷却した後,100ml の全量フラ

スコに移し,水で標線まで薄めて混合する。

注  適用できる鉛の濃度範囲は原子吸光光度計によって異なる。5.2 で示す最小基準に注意すべきであ

る。高感度の装置では標準溶液の分取量を減じて使用することができる。

7.4.5

原子吸光光度計の調整

鉛の波長 (283.3nm) に合わせ,吸光度が最小になるようにセットする。バーナーを合わせ,装置の取扱

書に従って,適正なフレームを点火する。バーナーを 2 分間予備加熱した後,最高濃度検量線溶液(7.4.4

参照)を噴霧しながら吸光度が最大になるように燃料とバーナーを調節し,5.2 に定める装置基準を確認す

る。

水と検量線溶液を噴霧して吸光度の読取り値が変動していないことを確認した後,水に対する読み値を

吸光度ゼロに合わせる。

7.4.6

吸光度の測定

希釈空試験溶液とゼロ検量線溶液から始めて,最終試験溶液が一連の測定の適切な時点で噴霧できるよ

うに,検量線溶液及び最終試料溶液を吸光度が増加していくような順序で噴霧する。安定した応答が得ら

れたら,その読取り値を記録し,各溶液の噴霧の間には水を噴霧する。

測定は,少なくとも 2 回以上繰り返す。必要ならば,各溶液の読取り値の平均を吸光度に変換する。ゼ

ロ検量線溶液の吸光度を差し引いて,各検量線溶液の真 (net) の吸光度を求める。同様に,希釈空試験溶

液の吸光度を差し引いて,最終試料溶液の真 (net) の吸光度を求める。

鉛の濃度

µg/ml に対して,検量線溶液の真 (net) の吸光度をプロットして,検量線を作成する。

検量線を用いて最終試料溶液の真 (net) の吸光度を ml 当たりの鉛の

µg に変換する。


7

M 8229 : 1997

附属書表 2  検量線溶液

溶液番号

標準溶液 A (4.9.2)

ml

標準溶液 B (4.9.3)

ml

濃度

µg/ml

0

 0

 0

 0

1

 0

20

 2

2

 5

 0

 5

3 10

0

10

4 15

0

15

5 20

0

20

8.

結果の表示

8.1

鉛含有率の計算

鉛含有率(質量百分率)w

Pb

は,次の式を用いて小数点以下 5 けたまで計算する。

10000

1

Pb

×

m

V

w

ρ

 (1)

ここに,

ρ

:  最終試料溶液中の鉛の濃度  (

µg/ml)

V

:  最終試料溶液の量 (ml)

m

1

:  希釈率を計算に入れた最終試料溶液中の試料の質量 (g)

50

1

1

V

m

m

×

ここに,

m

:  はかり採り試料の質量 (g)

V

1

7.4.3

に従って分取した量 (ml) (

表 1

参照)

希釈なしの場合は,V

1

=50

8.2

結果の一般的処理

8.2.1

精度及び許容差

この分析方法の精度は,次の回帰式で表される

1)

r

=0.033 2X+0.000 4 (2)

P

=0.058 7X+0.002 8 (3)

σ

r

=0.011 7X+0.000 1  (4)

σ

L

=0.019 0X+0.001 0  (5)

ここに,

X

分析試料の鉛含有率を質量百分率で表したもの

−  室内計算式[式

(2)

及び式

(4)

の場合]

:2 回の

分析値の算術平均

−  室間計算式[式

(3)

及び式

(5)

の場合]

:2 か所

の分析室の最終結果  (

8.2.3

)

の算術平均

r

室内の許容差

P

室間の許容差

σ

r

室内の標準偏差

σ

L

室間の標準偏差

1)

  追加の情報は,

附属書 B

及び

附属書 C

に記されている。


8

M 8229 : 1997

参考

  P

は に,

σ

L

σ

R

に改正されている  (

ISO 5725

 : 1994)

8.2.2

分析値の採択

認証標準物質で求めた結果において,この分析結果と標準物質の認証値との間に統計的に有意差が認め

られてはならない。真度及び精度ともにこの方法に相当する分析方法を用いて,少なくとも 10 か所の分析

室で分析した標準物質に対しては,有意差の検定には次の式を用いる。

n

N

n

s

s

A

A

2

r

2

L

C

WC

2

WC

2

LC

C

2

σ

σ

 (6)

ここに,

A

c

認証値

A

認証標準物質を分析して得られた結果又はその平均値

s

Lc

認証値を決定した分析室の室間標準偏差

s

Wc

認証値を決定した分析室の室内標準偏差

n

Wc

認証値を決定した分析室の分析回数の平均

N

c

認証値を決定した分析室の数

n

認証標準物質の分析回数(ほとんどの場合 n=1)

σ

L

及び

σ

r

8.2.1

に定義してあるとおり。

もし,式(6)の左辺が右辺より小さいか又は等しければ,差|A

c

A|は統計的に有意ではなく,逆の場合は

統計的に有意である。

差が有意であるときは,試料の分析と同時に認証標準試料の分析を繰り返す。もし,差が再び有意であ

るならば同じ種類で別の認証標準物質を用いて同じ操作を繰り返さなければならない。

分析試料の二つの分析値の範囲が 8.2.1 の式(2)に従って計算された の限界を超えるときは,

附属書 A

のフローシートに従って,更にもう一度同じ種類の認証標準物質と共に分析試料の分析を行わなければな

らない。

分析試料の結果の採択の可否は,いつの場合も認証標準物質の結果の採択の可否に従わなければならな

い。

注  認証標準物質の情報が不十分なときには,次の手順を用いる。

a)

室間標準偏差を推定するのに十分なデータがあれば,s

2
Wc

/n

Wc

を削除して,s

Lc

を室平均値の標

準偏差とみなす。

b)

もし,認証標準物質の認証が 1 分析室だけで行われている場合,又は室間の分析結果がない

場合には,この認証標準物質はこの規格には適用しないのがよい。その使用が避けられない

場合は,次の式を用いる。

n

A

A

2

r

2

L

C

2

2

σ

σ

 (7)

8.2.3

最終結果の計算

最終結果は,

分析試料の採択し得る値の算術平均か,

又は

附属書 に規定した手順によって求めた値で,

小数点以下 5 けたまで計算した採択し得る分析値の算術平均は,次のようにして小数点以下 3 けたに丸め

なければならない。

a)

小数点以下 4 けた目の数値が 5 より小さいときにはそれを切り捨て,小数点以下 3 けた目の数値はそ

のままとする。

b)

小数点以下 4 けた目の数値が 5 で,小数点以下 5 けた目に 0 以外の数値があるとき,又は小数点以下

4

けた目の数値が 5 より大きいときには,小数点以下 3 けた目の数値を一つだけ増加させる。


9

M 8229 : 1997

c)

小数点以下 4 けた目の数値が 5 で,小数点以下 5 けた目が 0 のときは,小数点以下 4 けた目の 5 を切

り捨て,小数点以下 3 けた目の数値が 0,2,4,6 又は 8 であれば,小数点以下 3 けた目の数値はその

ままとし,1,3,5,7 又は 9 であれば小数点以下 3 けた目の数値は切り上げて数を一つだけ増加させ

る。

8.3

酸化物換算係数

w

PbO

 (%)

=1.077 2×w

Pb

 (%)

9.

試験結果の報告

試験結果の報告には,次の情報を記載する。

a)

この附属書の引用

b)

試料の識別に必要な詳細事項

c)

分析結果

d)

試験結果の参照番号

e)

定量時に気がついた特記事項及びこの附属書に規定がない操作で,分析試料又は認証標準物質の分析

結果に影響を与えているおそれのある操作


10

M 8229 : 1997

附属書 A(規定)  分析値の採択手順のフローシート

参考1.  偶数個に対するメジアンは,数値を大きさの順に並べたときの中央2個の平均値。

2. 1.2r

で検定せずに,直ちに X

3

X

4

を実施してもよい(破線部)

3.

最終行の は, X

~

の誤り。


11

M 8229 : 1997

附属書 B(参考)  精度及び許容差回帰式の典拠

附属書(規定)の 8.2.1 の回帰式は,9 か国の 22 分析室で 5 種類の鉄鉱石試料を用い,1981 年/82 年に

実施した国際共同分析実験の結果から求めたものである。

精度データは,

附属書 図 に図示してある。

分析試料には,次のものを使用した。

試料

鉛含有率

[% (m/m)]

Sishen iron ore (76-16)

0.001 5

Robe River (76-21)

0.001 4

Stollberg (79-1)

0.097 5

Whyalla Ore (79-13)

0.006 6

Purpur Ore (80-1)

0.319 5

1.  この国際共同分析実験及び統計的解析の結果報告書(文書 ISO/TC 102/SC 2N702E 及び2N740E

は,ISO/TC 102/SC 2事務局又は ISO/TC 102事務局で入手できる。

2.

統計的解析は ISO 5725 で規定している原則に従って行った。

参考  ISO 5725 : 1986 は,次の改訂版が発行済みである。

ISO 5725-1

 : 1994

Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 1:

General principles and definitions

ISO 5725-2

 : 1994

Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 2:

Basic method for the determination of repeatability and reproducibility of a

standard measurement method

ISO 5725-3

 : 1994    Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 3:

Intermediate measures of the precision of a standard measurement method

ISO 5725-4 

: 1994

Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 4:

Basic methods for the determination of the trueness of a standard measurement

method

ISO 5725-6

 : 1994

Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results

−Part 6:

Use in practice of accuracy values


12

M 8229 : 1997

附属書 C(参考)  国際共同分析実験で得られた精度データ 

注  図は,附属書(規定)の 8.2.1 の式をグラフ表示したものである。

附属書 図 1  鉛含有率 X [% (m/m) ]  に対する精度の最小二乗法による回帰線


13

M 8229 : 1997

鉄鉱石 JIS 改正 WG 原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(鉄鋼分析部会部会長)

佐  伯  正  夫

新日本製鐵株式会社

(化学分析分科会主査)

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社

(鉄鉱石 JIS 改正 WG リーダー)

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社

(直属幹事)

石  橋  耀  一

日本鋼管株式会社

(委員)

岡  野  輝  雄

川崎製鉄株式会社

杉  原  孝  志

川鉄テクノリサーチ株式会社

中  川      孝

川鉄テクノリサーチ株式会社

秋  窪  英  敏

合同製鐵株式会社

金  築  宏  治

株式会社神戸製鋼所

河  村  恒  夫

株式会社コベルコ科研

稲  本      勇

新日本製鐵株式会社

大  水      勝

新日本製鐵株式会社

笠  井  茂  夫

新日本製鐵株式会社

鈴  木  興  三

新日本製鐵株式会社

鈴  木  節  雄

新日本製鐵株式会社(鉛担当)

土  屋  武  久

新日本製鐵株式会社

蔵  保  浩  文

住友金属工業株式会社

中  里  福  和

住友金属工業株式会社

西  野  和  美

住友金属工業株式会社

平  松  茂  人

住友金属工業株式会社

菅  野      清

株式会社中山製鋼所

西  田      宏

日新製鋼株式会社

小  倉  正  之

日本鋼管株式会社

船  曵  佳  弘

日本鋼管株式会社

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会

増  喜  浩  二

社団法人日本鉄鋼協会


14

M 8229 : 1997

社団法人日本鉄鋼連盟  原料標準委員会 JM2 分科会

氏名

所属

(原料標準委員会委員長)

安  達  良  英

新日本製鐵株式会社

(JM2 分科会主査)

松  村  泰  治

川鉄テクノリサーチ株式会社

(委員)

中  林  賢  司

通商産業省工業技術院

藤  本  京  子

川崎製鉄株式会社

滝  沢  佳  郎

川鉄テクノリサーチ株式会社

岡  山  和  生

合同製鐵株式会社

金  築  宏  治

株式会社神戸製鋼所

今  北      毅

株式会社コベルコ科研

西  埜      誠

株式会社島津製作所

笠  井  茂  夫

新日本製鐵株式会社

菊  池  統  一

新日本製鐵株式会社

鈴  木  節  雄

新日本製鐵株式会社

松  本  義  朗

住友金属工業株式会社

西  野  和  美

住友金属テクノロジー株式会社

原  田  幹  雄

株式会社中山製鋼所

槌  尾  武  久

日新製鋼株式会社

林      三  男

社団法人日本海事検定協会

石  橋  耀  一

日本鋼管株式会社

吉  岡      豊

日本鋼管株式会社

河  野  久  征

理学電機工業株式会社

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼連盟

脊  戸  雄  功

社団法人日本鉄鋼連盟