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M 8217-3:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 一般事項························································································································· 2 

4 要旨······························································································································· 2 

5 試薬······························································································································· 2 

6 装置,器具及び材料 ·········································································································· 3 

7 試料のはかりとり ············································································································· 3 

8 操作······························································································································· 3 

8.1 装置の調整 ··················································································································· 3 

8.2 定量操作 ······················································································································ 4 

9 空試験···························································································································· 4 

10 検量線の作成 ················································································································· 4 

11 計算 ····························································································································· 6 

12 許容差 ·························································································································· 6 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 7 

M 8217-3:2020  

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本鉄鋼連盟(JISF)から,産

業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済

産業大臣が制定した日本産業規格である。これによって,JIS M 8217:1994は廃止され,その一部を分割し

て制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS M 8217の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS M 8217-1 第1部:鉄抽出分離硫酸バリウム重量法 

JIS M 8217-2 第2部:熱分解−よう素酸カリウム滴定法 

JIS M 8217-3 第3部:高周波誘導加熱−赤外線吸収法 

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日本産業規格          JIS 

M 8217-3:2020 

鉄鉱石−硫黄定量方法− 

第3部:高周波誘導加熱−赤外線吸収法 

Iron ores-Determination of sulfur- 

Part 3: Infrared absorption method after heating in an induction furnace 

序文 

この規格は,2017年に第3版として発行されたISO 4689-3を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本産業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,鉄鉱石中の硫黄定量方法のうち,高周波誘導加熱−赤外線吸収法について規定する。 

この方法は,鉄鉱石中の硫黄含有率(質量分率)0.002 %以上0.10 %以下の定量に適用する。ただし,赤

外線吸収測定装置の集じん管部に加熱機構のある装置の場合は,鉄鉱石中の化合水含有率(質量分率)が

3.0 %以上,また加熱機構のない装置の場合は,鉄鉱石中の化合水含有率(質量分率)が1.0 %以上の試料

には適用できない。 

注記1 JIS M 8217の規格群の定量範囲を表1に示す。 

表1−JIS M 8217規格群の定量範囲 

規格番号 

定量範囲[質量分率(%)] 

JIS M 8217-1 

0.01 以上 

1.0 以下 

JIS M 8217-2 

0.002 以上 

1.0 以下 

JIS M 8217-3 

0.002 以上 

0.10 以下 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 4689-3:2017,Iron ores−Determination of sulfur content−Part 3: Combustion/infrared method

(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

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M 8217-3:2020  

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 1101 酸素 

JIS M 8202 鉄鉱石−分析方法通則 

JIS Z 2616 金属材料の硫黄定量方法通則 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

一般事項 

定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8202及びJIS Z 2616による。 

要旨 

試料を,助燃剤とともに高周波誘導加熱炉中で酸素を流しながら高温に加熱して,硫黄を二酸化硫黄に

変換させる。二酸化硫黄を,酸素気流で赤外線吸収検出器に導いてその赤外線吸収量を測定する。 

試薬 

試薬は,次による。 

5.1 

酸素 酸素は,JIS K 1101による。 

5.2 

酸化鉄(III)(Fe2O3) 純度の高い酸化鉄(III)で,硫黄含有率(質量分率)が,0.002 %以下のも

の。 

5.3 

不活性セラミックス(粘土焼結粒子) 使用する装置に適した粒径のもの。例えば,粒径0.5 mm〜

2 mmのもので,水酸化ナトリウムを浸透させたもの。 

5.4 

過塩素酸マグネシウム[Mg(ClO4)2] 使用する装置に適した粒径のもの。例えば,粒径0.5 mm〜2 

mmのもの。 

5.5 

助燃剤 JIS Z 2616の8.12(助燃剤)a)鉄,b)すず及びc)タングステンを組み合わせて用いる。 

5.6 

硫黄標準液(硫酸カリウム溶液) 

あらかじめ110 ℃で約2時間乾燥してデシケーター中で常温まで放冷した硫酸カリウム(質量分率

99.9 %以上)を,表2に記載した質量だけ,0.1 mgの桁まではかりとる。 

それぞれを8個のビーカー(100 mL)に移し入れて水で溶解する。 

これらを8個の各々の100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。 

表2−硫黄標準液の調製 

硫黄標準液の 

番号 

硫酸カリウムの質量 

硫黄の濃度 

mg/mL 

5.6.0(水) 

5.6.1 

0.054 4 

0.10 

5.6.2 

0.108 7 

0.20 

5.6.3 

0.271 8 

0.50 

5.6.4 

0.543 5 

1.00 

5.6.5 

1.087 0 

2.00 

5.6.6 

1.902 3 

3.50 

5.6.7 

2.717 6 

5.00 

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5.7 

鉄鉱石認証標準物質 硫黄含有率(質量分率)の認証値が0.002 %〜0.100 %の範囲で,硫黄以外の

成分組成が分析試料と類似した認証標準物質。ただし,赤外線吸収測定装置の集じん管部に加熱機構のあ

る装置の場合は,鉄鉱石認証標準物質の化合水含有率(質量分率)が3.0 %未満,また加熱機構のない装

置の場合は,鉄鉱石認証標準物質の化合水含有率(質量分率)が1.0 %未満とする。 

5.8 

検量線校正用標準物質 硫黄含有率(質量分率)が使用する検量線範囲の上限に近い鉄鉱石標準物

質。検量線作成に用いた鉄鉱石認証標準物質をこれに充ててもよい。 

装置,器具及び材料 

高周波誘導加熱炉の燃焼装置及びそれに接続する発生した二酸化硫黄の赤外線吸収測定装置は,多数の

製造業者で商品化している。機器の操作については,製造業者の指示書に従う。 

6.1 

高周波誘導加熱炉 高周波誘導加熱炉は,JIS Z 2616の8.6(燃焼管及び加熱炉)b)(高周波誘導加

熱炉)による。 

6.2 

二酸化硫黄定量部 高周波誘導加熱炉に接続し,発生した二酸化硫黄を定量する装置は,JIS Z 2616

の9.5.2(装置の組立て)による。 

なお,集じん管部に加熱機構があるものが望ましい。 

6.3 

ピストン式ピペット 100 μLのもので,JIS K 0970に適合したもの。 

6.4 

すずカプセル 例えば,直径約6 mm,高さ約18 mm,質量約0.3 gで体積約0.4 mLのもので,硫黄

含有率(質量分率)が0.002 %以下のもの。 

6.5 

磁器燃焼るつぼ(以下,るつぼという。) JIS Z 2616の8.10(高周波磁器燃焼るつぼ)による。 

るつぼは,あらかじめ電気炉に入れて空気中又は酸素中で,使用するるつぼに適した条件(例えば,

1 000 ℃以上で2時間以上)で強熱する。一度に多数強熱した場合は,放冷した後,若干の余熱をもつ状態

から使用直前までグリースなどを塗らないデシケーター中に保存する。 

試料のはかりとり 

試料はかりとり量は,0.50 gとし,1 mgの桁まではかりとる。 

操作 

警告1 加熱分析に関する危険は,多くはるつぼ又は磁器燃焼ボートの事前強熱及び分析の際の火傷

である。全ての場合,燃焼るつぼはさみなどを使用する。使用済みのるつぼは,高温になっ

ているが,その高温に耐え,かつ,外部に熱の影響を及ぼさない適切な容器に入れて,放冷

する。 

警告2 酸素ボンベの操作については,適切な安全対策をとらなければならない。加熱過程から排出

される酸素は,閉鎖された室の中で酸素濃度が高くなり,火事の危険が増すので,装置から

外気に効果的に放散させる。 

8.1 

装置の調整 

不活性セラミックス(粘土焼結粒子)(5.3)及び過塩素酸マグネシウム(5.4)のそれぞれを詰めた管を

用いて供給する酸素(5.1)を精製し,待機中は,酸素を流さない。ダスト捕集器として,石英ガラスウー

ルフィルター又はステンレス鋼網を設ける。必要であれば,これらを清掃又は交換する。炉室,受台及び

フィルタートラップは,付着した酸化物を取り除くため,頻繁に清掃しなければならない。 

装置を長時間使用しなかった後は,主電源を入れたときに,装置の各部が安定化するまで装置製造業者

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が推奨する時間だけ待機する。 

炉室を清掃した後,及び/又はフィルターを交換した後,又は装置を長期間使用しなかった後は,分析

を始める前に分析試料と同種類の数個の試料を燃焼させて装置を安定化させる。 

装置に酸素を流してゼロ合わせを行う。 

使用する装置が硫黄含有率の直読方式の場合は,次のように各検量線範囲に対して装置の読み値を調整

する。 

検量線シリーズの最大硫黄含有率に近い硫黄含有率の鉄鉱石認証標準物質(5.7)を選んで,8.2の手順

に従って操作する。 

得られた読み値を認証値に合わせる。 

この調整は,箇条10に規定する検量線の作成の前に行わなければならない。 

8.2 

定量操作 

定量操作は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかりとってるつぼ(6.5)に入れて,助燃剤(5.5)の鉄0.50 g,すず0.3 g〜0.5 g及びタング

ステン1 gで順に覆う。硫黄標準液による検量線を用いて分析する場合は,すずカプセル(6.4)1個

をピンセットなどで潰し,小さく折り畳んでるつぼに入れて,カプセルをるつぼの底の方へ軽く押さ

えつけた後にはかりとった試料,助燃剤の鉄0.50 g及びタングステン1 gで順に覆う。 

b) a)のるつぼ及び内容物を受台に載せ,燃焼位置まで上昇させて燃焼管を閉じる。炉の操作は,製造業

者の指示書に従う。 

c) 加熱及び測定のサイクルが終了した後,るつぼを取り除いて読み値を記録する。 

d) るつぼを燃焼管外に取り出して,試料の分解状態が完全であるかどうかを調べる。分解不完全な場合

は,分析をやり直す。 

空試験 

空試験を次の手順で行う。空試験は,複数回行うのが望ましい。ただし,空試験値が安定している場合

は,空試験は,1回だけでよい。 

検量線の校正時には,空試験を行う。ただし,空試験値が安定している場合は,省略して直近に行った

空試験値で代用してもよい。空試験値は,硫黄量として0.01 mgを超えてはならない。また,複数回行っ

た空試験値間の差が,硫黄量として0.003 mgを超えてはならない。 

空試験値又は複数回行った空試験値間の差が異常に高い場合には,汚染の原因を調査して排除しなけれ

ばならない1)。 

注1) るつぼを酸素気流中で,1 350 ℃で約20分間強熱すると,空試験値又は複数回行った空試験値

間の差が下がる場合がある。 

試料を用いないで,8.2のa)〜d)の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行う。 

空試験の読み値を求めて,それらを検量線(箇条10)を用いて硫黄の質量(mg)に変換する。 

空試験値(m0)は,測定した空試験値の平均値とする。 

10 

検量線の作成 

10.1 

硫黄標準液による検量線の作成 

10.1.1 

検量線作成用試料(カプセル)の調製 

100 μLのピストン式ピペット(6.3)を用いて,水(ゼロメンバー)及び硫黄標準液(5.6)を表3に示

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すように分取して,8個の別々のすずカプセル(6.4)の中に移し入れる。完全に乾燥するまで90 ℃で徐々

に蒸発し,デシケーター中で常温まで放冷する。 

表3−検量線作成用試料 

硫黄標準液の

番号 

硫黄添加量 

mg 

酸化鉄0.5 g中の 

硫黄含有率換算値 

質量分率(%) 

5.6.0 

0.000 0 

5.6.1 

0.01 

0.002 0 

5.6.2 

0.02 

0.004 0 

5.6.3 

0.05 

0.010 0 

5.6.4 

0.10 

0.020 0 

5.6.5 

0.20 

0.040 0 

5.6.6 

0.35 

0.070 0 

5.6.7 

0.50 

0.100 0 

10.1.2 

測定 

10.1.1で調製した検量線作成用試料(カプセル)をピンセットなどで潰し,小さく折り畳んでるつぼ(6.5)

に入れ,カプセルをるつぼの底の方へ軽く押さえつけた後に,酸化鉄(III)(5.2)0.5 gを加えて,助燃剤

の鉄0.50 g及びタングステン1 gで順に覆う。 

るつぼ及び内容物を8.2のb)及びc)の手順に従って操作し,各検量線作成用試料の読み値を求める。 

10.1.3 

検量線の作成 

各検量線作成用試料の硫黄の質量(mg)に対して,10.1.2で求めた各検量線作成用試料の読み値からゼ

ロメンバー(硫黄添加量がゼロの検量線作成用試料:表3の5.6.0)の読み値を差し引いた値をプロットし

て,検量線を作成する。 

10.2 

鉄鉱石認証標準物質を用いる検量線の作成 

10.2.1 

検量線作成用試料の選定 

検量線を作成したい硫黄含有率範囲に対して,その上下限近傍の含有率を含み,かつ,硫黄含有率が段

階的に変化するように,鉄鉱石認証標準物質(5.7)を少なくとも4,5個選定する。 

注記 検量線作成用試料の選定数は,1桁の含有率範囲で2,3個とする場合が多い。 

10.2.2 

測定 

8.2の操作を,試料の代わりに10.2.1で選んだ鉄鉱石認証標準物質(5.7)を用いて行う。また,空試験

(箇条9)も同時に行う。 

10.2.3 

検量線の作成 

各検量線作成用試料の硫黄含有率とはかりとり量から求めた硫黄の量(mg)及び空試験の硫黄量0(mg)

に対して,10.2.2で得た各検量線作成用試料の読み値及び空試験の読み値をプロットして関係線を作成し,

その関係線について原点を通るように平行移動して検量線を作成する。 

10.2.4 

検量線の校正 

検量線校正用標準物質(5.8)について,10.2.2の操作を検量線作成用試料と併行に行い,箇条11によっ

て検量線校正用標準物質の基準含有率SC0を求める。検量線に経時変化が認められた場合は,集じん管部

への水分の吸着及び脱水管の水分吸収能力が低下していないことを確認する。必要があれば8.1によって

装置の調整を行う。検量線校正用標準物質及び空試験の測定を行い,箇条11に従って検量線校正用標準物

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質の未補正含有率SCを求め,検量線の校正係数αを次の式によって求める。 

C

0

C

S

S

=

α

検量線を,検量線の勾配係数にαを乗じて校正する。校正操作後に測定した試料の硫黄量は,校正され

た検量線を用いて求める。 

注記 検量線の校正の計算は,通常は,装置に組み込まれていて自動計算される。 

11 

計算 

はかりとった試料の読み値を,作成された検量線(10.1.3及び10.2.3)又は校正された検量線(10.2.4)

を用いて硫黄量m1(mg)に変換する。 

試料中の硫黄含有率[質量分率(%)]を次の式によって算出する。 

(

)

(

)

m

m

m

m

m

m

S

10

100

10

0

1

3

0

1

=

×

×

=

ここに, 

S: 試料中の硫黄含有率[質量分率(%)] 

m1: はかりとった試料中の硫黄量(mg) 

m0: 空試験値(mg) 

m: はかりとった試料(箇条7)の量(g) 

12 

許容差 

許容差は,表4による。 

表4−許容差 

単位 質量分率(%) 

硫黄含有率 

室内再現許容差 

Rd 

室間許容差a) 

0.002以上 0.10以下 

f(n)×0.004 6×(S)0.595 5 

f(n)×0.010 6×(S)0.539 4 

許容差計算式中のf(n)の値は,JIS Z 8402-6の表1(許容範囲の係数)による。nの値は,室内再現許容差の場

合は同一分析室内における分析回数,室間許容差の場合は分析に関与した分析室数である。また,(S)は,許容差
を求める硫黄定量値の平均値[質量分率(%)]である。 
注a) この規格における室間許容差は,各分析室においてJIS M 8202の6.5(分析値の採択)によって求めた分

析値を用いて判定する。 

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M 8217-3:2020  

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS M 8217-3:2020 鉄鉱石−硫黄定量方法−第3部:高周波誘導加熱−赤外線吸
収法 

ISO 4689-3:2017,Iron ores−Determination of sulfur content−Part 3: Combustion/ 
infrared method 

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 適用範囲を規定 

0.002 %〜0.10 % 

適用範囲を規定 
0.002 %〜0.25 % 

変更 

JISは,独自の共同実験によって適
用範囲を決定した。 

定量上限を拡大する要求もなく,
JISとISO規格との共同実験結果
を比較して,許容差の良好な国内
実験の適用範囲に狭めた。 

2 引用規格  

3 一般事項 鉄鉱石の定量方法

及び硫黄定量方法
に共通の一般事項
を規定 

用語及び定義の箇条を
設定 

追加 

ISO規格は,全ての規格に箇条を設
けた。JISは,定量方法に共通な一
般事項を規定した。 

JISは,鉄鉱石及び硫黄の定量に
共通の事項をJIS M 8202及びJIS 
Z 2616に規定している。技術的差
異については各欄に記す。 

4 要旨 

分析法概要を記載 

原理を記載 

一致 

5 試薬 

使用する試薬を規
定 

使用する試薬を規定 

変更 

JISは,使用する装置に適したもの
に一部規定を変更した。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 

5.1 酸素の品質を規
定 

− 

− 

追加 

JISは,JIS K 1101に規定する酸素
の品質を規定した。 

日本独自の規定で改正提案しな
い。 

5.2 酸化鉄(III)中
の硫黄含有率を規
定 

5.3 

酸化鉄(III)中の硫黄含
有率を規定 

変更 

JISは,酸化鉄(III)中の硫黄含有
率(質量分率)を適用下限以下と規
定した。 

JISは,分析実態に合わせた規定
としている。技術的差異はない。 

5.3 不活性セラミッ
クスを規定 

5.6 

不活性セラミックスを
規定 

変更 

JISは,使用する装置に適した粒径
のものを用いる規定とし,粒径の範
囲は,推奨事項とした。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 

 
 
 

2

M

 8

2

1

7

-3

2

0

2

0

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(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

5 試薬 
(続き) 

5.4 過塩素酸マグネ
シウムを規定 

5.2 

過塩素酸マグネシウム
を規定 

変更 

JISは,使用する装置に適した粒径
のものを用いる規定とし,粒径の範
囲は,推奨事項とした。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 

5.5 助燃剤を規定 

5.1 
5.4 
5.5 

分解助剤を規定 

追加 

JISは,JIS Z 2616を引用し,使用
する装置及び試料に適したものを
用いることとした。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 

5.6 硫黄標準液の調
製において,硫酸カ
リウムの乾燥温度
及び質量を規定 

5.8 

硫黄標準液の調製にお
いて,硫酸カリウムの乾
燥温度及び質量を規定 

変更 

JISは,乾燥時間を2時間に延長し
た。 
 
JISは,原子量を変動範囲で示され
た元素は,原子量表(日本化学会原
子量専門委員会)の2010年版を,
それ以外の元素は,原子量表の2017
年版を用いて再計算した。 
 
下限域の硫黄標準液を追加した。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 
 
JISは,最新の原子量表で再計算
したもので,技術的差異はない。 
 
 
 
 
JISは,分析実態に合わせた規定
としている。他の改正検討が生じ
た時点で,改正提案を行う。 

5.7 鉄鉱石認証標準
物質を規定 

− 

− 

追加 

JISは,認証標準物質による検量線
の作成を認めたため,認証標準物質
中の硫黄含有率及び化合水含有率
を規定した。 

日本独自の規定で改正提案しな
い。 

5.8 検量線校正用標
準物質を規定 

− 

− 

追加 

JISは,認証標準物質による検量線
の作成を認めたため,検量線校正用
標準物質を規定した。 

日本独自の規定で改正提案しな
い。 

6 装置,器
具及び材料 

装置,器具及び材料
を規定 

装置,器具及び材料を規
定 

一致 

高周波誘導加熱炉
を規定 

6.4 

高周波誘導加熱炉を規
定 

変更 

JISは,JIS Z 2616を引用している。 JISは,引用しているJIS Z 2616

に規定しているので,技術的差異
はない。 

2

M

 8

2

1

7

-3

2

0

2

0

background image

M 8217-3:2020  

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6 装置,器
具及び材料 
(続き) 

− 

6.10 

赤外線吸収検出器 

削除 

JISは,赤外線吸収検出器を削除し,
JIS Z 2616を引用している。 

JISは,引用しているJIS Z 2616
に規定しているので,技術的差異
はない。 

6.3 ピストン式ピペ
ットを規定 

6.11 

マイクロピペットを規
定 

変更 

JISは,JIS K 0970に適合したピス
トン式ピペットを用いるとした。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 

6.4 すずカプセルを
規定 

6.7 

すずカプセルを規定 

追加 

JISは,硫黄含有率(質量分率)を
適用範囲の下限値の規定と一致さ
せ,0.002 %以下とした。 

ISO規格品とJIS規格品との違い
による。技術的差異はない。 

6.5 磁器燃焼るつぼ
を規定 

6.6 

磁器燃焼るつぼを規定 

追加 

JISは,JIS Z 2616を引用し,使用
するるつぼに適した条件で事前に
空焼きする規定とし,その温度及び
時間は推奨事項とした。 

JISは,分析実態に合わせた規定
としている。他の改正検討が生じ
た時点で,改正提案を行う。 

− 

試料の採取・調製を規定 削除 

JISは,個別の分析法規格でサンプ
リングを規定しない。 

JISは,試料の採取・調製を規定
したJIS M 8202を一般事項とし
て引用しているので,技術的差異
はない。 

7 試料のは
かりとり 

試料のはかりとり
量を規定 

8.2 

試料のはかりとり量を
規定 

変更 

JISは,熱的分析方法においては,
1 mgの桁までの読取りでよいと
し,装置付帯のはかりによるはかり
とりを認めた。 

日本独自の規定で改正提案しな
い。 

8 操作 

安全上の指示を規
定 

− 

− 

追加 

JISは,加熱分析法に関する危険及
び酸素ガスの操作について,警告を
記載している。 

他の改正検討が生じた時点で,改
正提案を行う。 

8.1 装置の調整を規
定 

8.4 

一般的な操作上の指示
を規定 

追加 

JISは,装置の調整方法を詳細に記
載している。 

ISO 13902:1997,Steel and iron−
Determination of high sulfur content
−Infrared absorption method after 
combustion in an induction furnace
の7.1(Apparatus conditioning)に
規定されている。この規格の改正
検討が生じた時点で,ISO規格へ
の追加提案を行う。 

2

M

 8

2

1

7

-3

2

0

2

0

background image

10 

M 8217-3:2020  

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

8 操作 
(続き) 

8.2 定量操作を規定 

8.4 

定量操作を規定 

追加 

JISは,硫黄標準液による検量線を
用いて定量する場合は,すずカプセ
ルをピンセットなどで潰し,小さく
折り畳むこととした。 

改正検討が生じた時点で,ISO規
格の改正提案を行う。 

9 空試験 

空試験を規定 

8.3 

空試験及びチェック分
析を規定 

削除 
 
追加 

JISは,チェック分析の項を削除し
た。 
JISは,空試験値を規定し,規定を
満足する場合には,鉄を入れない空
試験も認めている。また,空試験の
回数の規定も緩めている。 

チェック分析は,JIS M 8202に規
定している。技術的差異はない。 
JISは,操作性から空試験の回数
を緩めているが,空試験値を規定
しており,ISO規格と技術的差異
はない。 

10 検量線
の作成 

10.1 硫黄標準液に
よる検量線の作成
を規定 

8.5 

検量線の作成を規定 

追加 

JISは,下限域の検量線作成用試料
を追加した。 
JISは,硫黄標準液による検量線を
用いて定量する場合は,すずカプセ
ルをピンセットなどで潰し,小さく
折り畳むこととした。 

日本独自の規定で改正提案しな
い。 

10.2 鉄鉱石認証標
準物質を用いる検
量線の作成を規定 

− 

− 

追加 

JISは,鉄鉱石認証標準物質を用い
た検量線の作成を追加したので,検
量線の校正を規定した。 

JISは,分析室の実態に合わせた
規定としている。 

11 計算 

硫黄含有率の算出
手順を規定 

9.1 

硫黄含有率の算出手順
を規定 

一致 

12 許容差 

室内再現許容差及
び室間許容差を規
定 

9.2 
9.2.1 

結果の一般的処理 
室内再現許容差,室間許
容差及び室間標準偏差
を規定 

変更 

JISは,国内共同実験の結果から,
独自に許容差を規定し,一般式に拡
大した。 

JISとISO規格との作成方針の違
いによるもので本質的な技術的差
異はない。 

− 

9.2.2 

分析値の決定方法を規
定 

削除 

JISは,ISO規格の規定を全て削除
した。 

JISの分析値の決定方法は,JIS M 
8202に規定しているため,削除し
た。技術的差異は小さい。 

− 

9.2.3 

室内分析精度を規定 

削除 

同上 

JISの分析値の決定方法は,JIS M 
8202に規定しているため,削除し
た。技術的差異は小さい。 

2

M

 8

2

1

7

-3

2

0

2

0

background image

11 

M 8217-3:2020  

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

− 

9.2.4 

真度のチェック方法を
規定 

削除 

同上 

真度のチェック方法は,JIS M 
8202に規定しているため,削除し
た。技術的差異はない。 

− 

9.2.5 

最終結果の計算方法を
規定 

削除 

同上 

最終結果の計算方法は,JIS M 
8202に規定しているため,削除し
た。技術的差異はない。 

− 

10 

試験報告記載事項を規
定 

削除 

同上 

試験報告記載事項は,JIS M 8202
に規定しているため,削除した。
技術的差異はない。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 4689-3:2017,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 一致 ················ 技術的差異がない。 
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

M

 8

2

1

7

-3

2

0

2

0