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日本工業規格

JIS

 M

8211-

1995

鉄鉱石−化合水定量方法

Iron ores

−Method for determination of combined water content

1.

適用範囲  この規格は,鉄鉱石中の化合水定量方法について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS K 0113

  電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則

JIS M 8202

  鉄鉱石−分析方法通則

2.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 7335 : 1987 Iron ores

−Determination of combined water content−Karl Fischer titrimetric method

2.

用語の定義  この規格でいう化合水とは,鉄鉱石分析試料を 105℃から 950℃に加熱する間に発生する

水分を指す。

3.

一般事項  定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8202 の規定による。

4.

定量方法の区分  化合水の定量方法は,次による。

カールフィッシャー滴定法  この方法は,化合水含有率 0.05% (m/m)  以上 10% (m/m)  以下の試料に適用す

るもので,

附属書による。


2

M 8211-1995

附属書  カールフィッシャー滴定法

1.

要旨  試料を窒素気流中で 105℃に加熱して吸湿水を除去した後,引き続き 950℃に加熱し,遊離した

化合水をエチレングリコール・メタノールに吸収させ,

カールフィッシャー試薬溶液で電気的に滴定する。

2.

試薬  試薬は,次による。

(1)

窒素  酸素含有量が窒素ガス 1中に 10

µl 以下のもの。

(2)

エチレングリコール・メタノール混合溶液  エチレングリコール 100ml にメタノール 100ml を加えて

よく振り混ぜる。この溶液は,吸湿しないように保存し,使用の都度水分含有量を測定して,溶液 1ml

中に 0.3mg 以上の水分を含んでいないことを確かめる必要がある。この溶液の代わりに,無水エチレ

ングリコールも使用できる。

(3)

カールフイツシヤー試薬溶液  調製及び標定方法は,JIS K 0113 の 8.1.2(7)(カールフィッシャー試薬

溶液)による。

(4)

水−メタノール溶液  調製及び標定方法は,JIS K 0113 の 8.1.2(8)(水−メタノール溶液)による。

3.

装置及び器具  装置及び器具は,原則として次のものを用いる(附属書付図 1参照)。

なお,この方法に使用するカールフィッシャー試薬溶液は吸湿性が強いので,大気からの吸湿を防ぐ目

的で,装置と大気の連結部には,乾燥したシリカゲル,活性アルミナ又は塩化カルシウムなどの乾燥剤を

入れた乾燥管を取り付ける。

また,ガラス器具は,すべてすり合わせとし,ふっ素樹脂系又はシリコーン樹脂系のグリースで保護す

る。

(1)

ガス流量計 (a)   最高 500ml/min まではかれるもの。流量測定に U 字管形の差圧流量計を使用すると

き,マノメーターの液体は,非蒸発性の油でなければならない。

(2)

窒素ガス乾燥塔 (b)   加熱管 (c) に送入する窒素ガスを乾燥するもので,乾燥剤(

1

)

を充てんする,容

積が 250ml 以上であるもの。

(

1

)

乾燥剤には,酸化りん (V),過塩素酸マグネシウム又はこれと同等の乾燥能力のものを用いる。

(3)

加熱炉 (f

1

 (f

2

  加熱炉は,2 個で一組となり,加熱管 (c) が挿入できるもの。

附属書付図 は直

列に配置された方式であり,

附属書付図 は並列に配置され,加熱管 (c) が移動式となっている。こ

れらの炉の一つは 105±2℃に,他は 950±20℃に維持でき,しかもこれらの温度の均一帯は,それぞ

れにつき少なくとも試料ボート (d) 全域を含むものであり,炉中温度は,温度計で測定する。

(4)

加熱管 (c)

附属書付図 に示した加熱管 (c) は,両端が開放で,内径約 20∼30mm,長さ約 800∼

1000mm

の石英製の直管で,石英製の長い押し棒を内部に挿入できるようにする。

附属書付図 に示

した加熱管 (c) は,一端が閉じられた内径約 30mm,長さ約 350mm のもので,ガスの流れを外部に導

き出すため,内部に外径約 8mm の細管が取り付けられている。

(5)

試料ボート (d)   白金,石英又は不活性な磁器製で,はかり採った試料を広げた場合,1mm

2

当たり

1mg

を超えないような大きさのもの。このボートは,使用直前に 950℃で加熱して水分を除いた後デ

シケーター中で放冷して使用する。

(6)

吸収セル (h)   ガラス製の容器で,附属書付図 に示すもの。白金電極 (i),ビュレット及びガス導


3

M 8211-1995

入管の取付部は,吸湿しないようになっていなければならない。

(7)

白金電極 (i)

(8)

電気滴定装置  カールフィッシャー滴定に適切な装置で,終点を電気的に指示できるもの。

(9)

流量調節弁

(10)

マグネチックスターラー

(11)

ビュレット  容量が 25ml のもの。

4.

試料はかり採り量  試料はかり採り量は,附属書表 による(

2

)

(

2

)

化合水含有率が2.0% (m/m)  以上の試料は,JIS M 82024.2(2)の(2.1)(乾燥法による場合)又は

(2.2)

(吸湿水補正法による場合)を適用する。

附属書表 1  試料はかり採り量

化合水含有率

% (m/m)

試料はかり採り量

g

0.05

以上   2.0 未満 1.0

2.0

以上   5.0 未満 0.5

5.0

以上  10  以下 0.2

5.

操作

5.1

装置の準備  加熱炉 (f

1

)

中の加熱管 (c) を 105±2℃に,加熱炉 (f

2

)

中の加熱管 (c) を 950±20℃

に加熱し,装置全体(

附属書付図 又は附属書付図 2)を気密に連結した後,窒素  [2.(1)]  を 200ml/min の

流量で通す。次に,加熱管 (c) の出口を閉じて気密性を検査する。再び,加熱管 (c) の出口を吸収セル (h)

の入口に接続した後,必要ならば窒素を 200ml/min に再調節する。この状態で窒素を 10 分間通す。

吸収セル (h) の栓を外し,エチレングリコール・メタノール混合溶液  [2.(2)] 40ml を加え,再び栓を確

実に閉じ,マグネチックスターラーと電気滴定装置を作動させる。回転子のスピードを一定になるように

調節して溶液を十分に混合する。窒素を 200ml/min の流量で通し,滴定が終了するまで流し続ける。

5.2

滴定  滴定は,次のいずれかによる。ただし,滴定の際の温度は,カールフィッシャー試薬溶液の

温度と同じ温度である必要がある。

(1)

直接滴定法

(a)

吸収液の脱水  カールフィッシャー試薬溶液  [2.(3)]  を吸収セル (h) 中にゆっくりと滴下させる。

あらかじめ滴定終点での電流値(30∼40

µA)を選定しておき(

3

)

,その値が 30 秒間以上のある一定

時間(30∼60 秒間)持続した点を終点とする。

10

分間この状態を保持した後,再びカールフィッシャー試薬溶液  [2.(3)]  を滴下させて先に定め

た電流値に戻し,30 秒間その値が持続するまで続ける。この操作を繰り返して,その間の滴定量が

水の増加量に換算して 0.15mg 未満になるまで行う。

(

3

)

吸収セル (h) に浸した2個の白金電極 (i) 間には,10∼100mV の電圧を加えておく。装置によ

っては,事前に設定されている場合がある。

(b)

吸湿水の除去  試料(

2

)

をはかり採って試料ボート (d) に移し入れて平に広げる。加熱管 (c) の入口

側の栓を外して加熱管 (c) 内の入口に試料ボート (d) を置き,直ちに気密に栓をした後,試料ボー

ト (d) を加熱炉 (f

1

)

の均一加熱帯の中央に移して,試料中の吸湿水分,及び加熱管内の雰囲気中の

水分を追い出し,吸収セル (h) 中に導く。30 分後,(a)に従って操作する。


4

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(c)

化合水の抽出と測定  試料ボート (d) を附属書付図 のように加熱炉 (f

2

)

の均一加熱帯の中央に

移すか,又は

附属書付図 のように加熱炉 (f

1

)

を加熱炉 (f

2

)

に置き換えて,試料を 950±20℃に

15

分間加熱して発生した水分を窒素  [2.(1)]  で吸収セル (h) に導く。引き続き加熱管冷却部を適切

な加熱器を用いて約 100℃に加熱し,凝縮した水分を完全に吸収セル (h) に導く。以下,(a)に従っ

てカールフィッシャー試薬溶液  [2.(3)]  で滴定する。

(2)

逆滴定法

(a)

吸収液の脱水  (1)(a)による。

(b)

吸湿水の除去  (1)(b)による。

(c)

化合物の抽出と測定  (1)(c)によって試料中の化合水を抽出して吸収セル (h) 中に導き,これにカー

ルフィッシャー試薬溶液  [2.(3)]  を必要量より数 ml 過剰に加え,加えた量を正しく読み取る。その

過剰量を水−メタノール溶液  [2.(4)]  で逆滴定する。滴定要領は(1)(a)に示した操作に準じる。ただ

し,電流指示計の作動状態は,直接滴定法の場合と反対となる。

(3)

電量滴定法

(a)

吸収液の脱水  吸収セル (h) によう素発生極液(

4

)

を約 100ml 入れ,対極が挿入されているセルに対

極液(

4

)

を 5∼10ml 入れる。次に,電解電流を終点(

5

)

まで流す。電解電流を絶って 10 分間保持した

後,再び電解電流を終点(

5

)

まで流す。その間の電解に要した電気量を水の増加量に換算して,0.15mg

未満になるまでこの操作を繰り返す。

(

4

)

よう素発生極液及び対極液の一例を

附属書表2に示す。

なお,よう素発生極液として

附属書表 中の組成のものを用いる場合は,水を加えて遊離よ

う素と反応させ,水 1mol とよう素 1mol が定量的に反応することを確認しておく。

附属書表 2  よう素発生極液及び対極液の組成

試薬

極液

対極液

よう化水素又はよう化カリウ
ムのよう素相当量

g

12.6

二酸化硫黄

g

35.0 0.35

ピリジン

ml

200 0.75

メタノール

ml

300

  3

(5)

滴定の終点は,次のいずれかによる。

(a)

定電圧分極電流法の場合は,吸収セル (h) に浸した 2 個の白金電極 (i) の間に 10∼100mV

の電圧を加えて,(1)(a)と同様に滴定終点検出器に 10∼20

µA の電流値が持続して検出された

ときを終点とする。

(b)

定電流分極電圧法の場合は,吸収セル (h) に浸した 2 個の白金電極 (i) の間に 1∼10

µA の電

流を流して電圧を測定し,

300

∼500mV から 10∼50mV に急激に変化したときを終点とする。

(b)

吸湿水の除去  (1)(b)に従って操作して試料中の吸湿水分,及び加熱管内の雰囲気中の水分を追い出

し,吸収セル (h) 中に導く。30 分間経過した後に,電解電流を終点(

5

)

になるまで流して電解に要し

た電気量から水の増加分を求め,その量が 0.15mg 以下になるまで,この操作を繰り返す。

(c)

化合水の抽出と測定  (1)(c)に従って試料中の化合水を抽出して吸収セル (h) に導き,電解電流を終


5

M 8211-1995

(

5

)

まで流して必要とした電気量を読み取る。

6.

空試験  試料ボートに試料を入れないで,5.1 及び 5.2 の手順に従って試料と同じ操作を行う。この空

試験値は,1.0mgH

2

O/h

以下でなければならない。

7.

計算  5.2 及び 6.で得た滴定量又は電気量から,試料中の化合水含有率を,次のいずれかの式によって

算出する。

(1)

直接滴定法の場合

(

)

100

000

1

1

2

1

×

×

×

=

m

F

V

V

C

w

ここに,

C

W

試料中の化合水含有率

 [% (m/m)]

V

1

5.2(1)(c)

の滴定におけるカールフィッシャー試薬溶液の使用

 (ml)

V

2

空試験液の滴定におけるカールフィッシャー試薬溶液の使用

 (ml)

F

1

カールフィッシャー試薬溶液

1ml

に相当する水の量

 (mg)

m

試料はかり採り量

 (g)

(2)

逆滴定法の場合

(

)

(

)

100

000

1

2

4

3

1

2

1

×

×

×

×

=

m

F

V

V

F

v

V

C

w

ここに,

C

W

(1)

に同じ

 [% (m/m)]

V

1

5.2(2)(c)

の滴定におけるカールフィッシャー試薬溶液の添加

 (ml)

V

2

空試験液の滴定におけるカールフィッシャー試薬溶液の添加

 (ml)

F

1

(1)

に同じ

V

3

5.2(2)(c)

の滴定における水−メタノール溶液の使用量

 (ml)

V

4

空試験液の滴定における水−メタノール溶液の使用量

 (ml)

F

2

水−メタノール溶液

1ml

に相当する水の量

 (mg)

m

(1)

に同じ

(3)

電量滴定法

(

)

100

000

1

72

.

10

2

1

×

×

×

×

=

m

Q

Q

C

w

κ

ここに,

C

W

(1)

に同じ

 [% (mm)]

Q

1

5.2(3)(c)

で求めた電気量(クーロン)

Q

2

空試験液の滴定に要した電気量(クーロン)

k

装置の特性などによって生じた補正係数(

6

)

m

(1)

に同じ

(

6

)

電解液,電解方式及び電解隔膜によって電流効率が正しく

100%

にならないときに用いられる補

正係数である。

8.

許容差  許容差は,附属書表 による。


6

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附属書表 3  許容差

単位

% (m/m)

室内許容差

室間許容差

D (n) 

[0.005 3×(化合水含有率)+0.012] (n)  [0.017 1×(化合水含有率)+0.030]

備考  n=2 のとき,D (n)  =2.8 
参考  この許容差は,化合水含有率 0.05% (m/m)  以上 7.62% (m/m)  以下の試料を用い

て求めたものである。

附属書付図 1  鉄鉱石中の化合水定量装置の一例

加熱部詳細図 


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附属書付図 2  鉄鉱石中の化合水定量装置の一例

(並列移動型炉) 

全体配置図 

加熱部詳細図 


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附属書付図 3  吸収セル (h) の一例 

電量滴定装置の構成(例)

滴定部

滴定槽

検出器

滴定剤添加装置

発生電極

対極

制御部

表示・記録部


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M 8211-1995

社団法人日本鉄鋼協会  共同研究会鉄鋼分析部会化学分析分科会鉄鉱石分析方法

JIS

改正

WG

  構成表

氏名

所属

鉄鋼分析部会

(部会長)

佐  伯  正  夫

新日本製鐵株式会社

化学分析分科会

(主査)

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社

鉄鉱石 JIS 改正 WG

(リーダー)

岩  田  英  夫

日本鋼管株式会社

(直属幹事)

石  橋  耀  一

日本鋼管株式会社

(委員)

岡  野  輝  雄

川崎製鉄株式会社

杉  原  孝  志

川鉄テクノリサーチ株式会社

中  川      孝

川鉄テクノリサーチ株式会社

秋  窪  英  敏

合同製鐵株式会社

金  築  宏  治

株式会社神戸製鋼所

河  村  恒  夫

株式会社コベルコ科研

稲  本      勇

新日本製鐵株式会社

大  水      勝

新日本製鐵株式会社

笠  井  茂  夫

新日本製鐵株式会社

鈴  木  興  三

新日本製鐵株式会社

鈴  木  節  雄

新日本製鐵株式会社

土  屋  武  久

新日本製鐵株式会社

蔵  保  浩  文

住友金属工業株式会社

中  里  福  和

住友金属工業株式会社(化合水担当)

西  野  和  美

住友金属工業株式会社

平  松  茂  人

住友金属工業株式会社

菅  野      清

株式会社中山製鋼所

西  田      宏

日新製鋼株式会社

小  倉  正  之

日本鋼管株式会社

船  曳  佳  弘

日本鋼管株式会社

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会

増  喜  浩  二

社団法人日本鉄鋼協会


10

M 8211-1995

社団法人日本鉄鋼連盟  鉄鉱石分析標準化推進委員会原案検討小委員会  構成表

氏名

所属

鉄鉱石分析標準化推進委員会

(委員長) 松  村  泰  治

川鉄テクノリサーチ株式会社

原案検討小委員会

(委員長) 松  村  泰  治

川鉄テクノリサーチ株式会社

(委員)

小  嶋      誠

工業技術院標準部材料規格課

藤  本  京  子

川崎製鉄株式会社

滝  沢  佳  郎

川鉄テクノリサーチ株式会社

岡  山  和  生

合同製鐵株式会社

金  築  宏  治

株式会社神戸製鋼所

今  北      毅

株式会社コベルコ科研

西  埜      誠

株式会社島津製作所

笠  井  茂  夫

新日本製鐵株式会社

秦      浩一郎

新日本製鐵株式会社

鈴  木  節  雄

新日本製鐵株式会社

西  野  和  美

住友金属工業株式会社

松  本  義  朗

住友金属工業株式会社

原  田  幹  雄

株式会社中山製鋼所

藤  田  昇  平

日新製鋼株式会社

林      三  男

社団法人日本海事検定協会

石  橋  耀  一

日本鋼管株式会社

小  倉  正  之

日本鋼管株式会社

河  野  久  征

理学電機工業株式会社

大  槻      孝

社団法人日本鉄鋼協会

脊  戸  雄  功

社団法人日本鉄鋼連盟