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日本工業規格

JIS

 M

8125

-1997

粗銅地金中の銅定量方法

Method for determination of

copper in blister copper

1.

適用範囲  この規格は,粗銅地金中の銅定量方法について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0116

  発光分光分析通則

JIS K 0121

  原子吸光分析通則

JIS M 8102

  粗銅地金−サンプリング方法及び水分測定方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

一般事項  分析方法に共通な一般事項は,JIS K 0050JIS K 0116 及び JIS K 0121 による。

3.

分析用試料の採り方及び取扱い方

3.1

分析用試料の採り方  分析用試料の採り方は,次による。

分析用試料の採取及び調製方法は,JIS M 8102 の成分試験試料の採取及び調製方法による。

3.2

分析試料のはかり方  分析試料のはかり方は,次による。

(1)

分析試料は,各粒度別試料の重量比に応じてはかり採る。

(2)

分析試料のはかり採りには,化学はかりを用い,0.1mg のけたまで読み取る。

4.

分析値のまとめ方

4.1

分析回数  原則として同一分析所において 2 回の繰り返し分析を行う。

4.2

空試験  空試験は行わない。

4.3

分析値の表示  分析値は,質量百分率で表し,小数第 3 位まで算出し,JIS Z 8401 によって,小数

第 2 位に丸める。

5.

銅定量方法

5.1

定量方法  銅の定量方法は,銅電解重量法による。この方法は,銅含有率 98% (m/m)  以上の試料に

適用する。

5.2

銅電解重量法


2

M 8125-1997

5.2.1

要旨  試料を硝酸で分解し,銀を塩化銀として分離した後,白金電極を用いて電解し,陰極に銅を

析出させ,その質量をはかる。電解残液中の銅は,原子吸光法又は ICP 発光分光分析法によって定量し,

銅量を求め,電着量を補正する。

5.2.2

試薬  試薬は,次による。

(1)

塩酸 (1+3)

(2)

硝酸 (1+1)

(3)

硫酸 (1+1)

(4)

エタノール (99.5)

(5)

標準銅溶液(20

μg Cu/ml)  銅[99.9% (m/m)  以上]0.100g を硝酸 (1+1) 20ml で分解し,常温まで冷

却した後,1 000ml の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100

μg Cu/ml)  と

する。使用の都度,必要量だけ水で正確に 5 倍に薄めて標準銅溶液とする。

5.2.3

器具  器具は,次による。

(1)

分解ビーカー  原則として

図 のもの(

1

)

を用い,試料の分解に際しては,上部に密着できる空冷還流

冷却器形のふたを用いる。

(2)

電解ビーカー  原則として

図 のものを用いる。

(3)

円筒状白金陰極  原則として

図 のものを用いる。

(4)

らせん状白金陽極  原則として

図 のものを用いる。

(5)

半円形時計皿  原則として

図 のものを用いる。

(

1

)

1のものと比較して,銅液の損失がないことを確認してあれば,他の形式のビーカーを用いる

ことができる。

図 1  分解ビーカー

図 2  電解ビーカー


3

M 8125-1997

図 3  円筒状白金陰極

図 4  らせん状白金陽極

図 5  半円形時計皿

5.2.4

試料はかり採り量  試料はかり採り量は,10.0g とし,0.1mg のけたまではかる。

5.2.5

操作

(1)

準備操作  円筒状白金陰極  [5.2.3(3)]  を硝酸 (1+1) 中に浸して洗浄した後,水を用いて洗浄し,次い

でエタノール (99.5) を用いて洗浄する。約 100℃の空気浴中で乾燥した後,バーナーで赤熱するまで

加熱する。デシケータ中で常温まで冷却した後,その質量を 0.1mg のけたまではかる。

(2)

試料溶液の調製  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

(a)

試料をはかり採って,分解ビーカー  [5.2.3(1)]  に移し入れる。

(b)

ふたで覆い,硝酸 (1+1) 80ml を加えて穏やかに分解する。反応が静まれば,100℃近くまで徐々に

加熱し,試料を完全に分解するとともに,酸化窒素を追い出す(

2

)

(c)

ふたの内面及びビーカーの内壁を水で洗浄した後,ふたを取り除く(

3

)

(d)

水を加えて液量を約 300ml とし,かき混ぜながら塩酸 (1+3) 1ml を加えて,80∼90℃に約 1 時間加

温した後,一夜間放置する。

(e)

塩化銀などをろ紙(5 種 B)を用いてろ別した後,ろ紙及び沈殿を温水で十分に洗浄する。ろ液及

び洗液を 500ml の全量フラスコ(

4

)

に移し入れ,常温まで冷却した後,水で標線まで薄めよく混合す

る。

(f)

この溶液 50.0ml を電解ビーカー  [5.2.3(2)]  に分取(

5

)

し,硫酸 (1+1) 5ml を加え,加熱して硫酸の白

煙を十分に発生させた後(

6

)

,放冷する。


4

M 8125-1997

(g)

硝酸 (1+1) 10ml 及び水 20ml を加えて可溶性塩を溶解した後,水を加えて液量を 150ml とする。

(

2

)

加熱には温度調節の容易な水浴又は電気ホットプレートを用いるとよい。

(

3

)

試料中の銀量が 0.005%以下の場合は,(d)以降の銀の分離操作を省略することができる。銀の分

離操作を省略した場合は,常温まで冷却した後,水を用いて 500ml の全量フラスコ(

4

)

に移し入

れ,水で標線まで薄め,よく混合した後,(f)以降の操作を行う。

(

4

)  JIS K 0050

の 9.3.2(全量フラスコ)によって検定した全量フラスコを用いる。

(

5

)  JIS K 0050

の 9.3.1(全量ピペット)又は 9.3.3(ビュレット)によって検定した全量ピペット又

はビュレットを用いる。

(

6

)

セレンを 0.01% (m/m)  以上含有する試料の場合には,硫酸 (1+1) 5ml を追加し,蒸発乾固する。

(3)

電解  電解は,次の手順によって行う。

(a)  (1)

で質量をはかった円筒状白金陰極  [5.2.3(3)]  とらせん状白金陽極  [5.2.3(4)]  とを(2)(g)で得た溶

液中に挿入し,2 個の半円形時計皿  [5.2.3(5)]  で覆う。

(b)

液温を 20∼30℃(

7

)

として 0.3∼0.4A の電流を通じ,約 15 時間電解する。

(c)

電解液が無色となれば,半円形時計皿の下面,ビーカーの内壁及び電極の液面に露出した部分を水

洗し,その洗浄水によって電解液面を約 5mm 上昇させ,さらに約 1 時間電解を続ける。

(d)

新しく液中に入った陰極の柄に,もはや銅の析出が認められなくなれば(

8

)

半円形時計皿を取り除き,

電流を通じたまま水洗しながら両極を徐々に引き上げる。次に陰極を,新たに水を満たした別のビ

ーカー中に手早く浸して接続部から取り外す。電解を終えた電解液は,電解残液として保存する。

(e)

新たに水を満たしたビーカー2 個を用意しておき,陰極を順次浸して手早く上下して水洗する。次

にエタノールを満たしたビーカー2 個を用意しておき,これに陰極を順次浸して上下して水分を除

く。

(

7

)

液温が20℃以下のときは,適当な加熱装置を付ける。

(

8

)

新しく液中に入った陰極の柄に銅が析出したときは,(c)の手順を繰り返す。

(4)

乾燥とひょう量  (3)(e)で得た銅析出白金陰極を約 80℃の空気浴中で 2∼3 分間乾燥し,デシケータ中

で約 30 分間放冷する。銅電着前の白金陰極 [5.2.3(3)]  の質量をはかるときに用いた化学はかりを使用

して,銅析出白金陰極の質量を 0.1mg のけたまではかる。

(5)

電解残液中の銅の定量  電解残液中の銅の定量は,次のいずれかによる。

(a)

原子吸光法による場合  (3)(d)で得た電解残液を水を用いて 200ml の全量フラスコに移し入れ,水で

標線まで薄める。この溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気−アセチ

レンフレーム中に噴霧し,波長 324.8nm における吸光度を測定し,検量線から銅量を求める。

検量線の作成:標準銅溶液  [5.2.2(5)] 0∼25.0ml(銅として 0∼500

μg)を段階的に数個の 200ml 全

量フラスコにはかり採り,硝酸 (1+1) 10ml 及び硫酸 (1+1) 2ml を加え,水で標線まで薄め,試料と

並行して操作し,得た吸光度と銅量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動

して検量線とする。

(b)  ICP

発光分光分析法による場合  (3)(d)で得た電解残液を水を用いて 200ml の全量フラスコに移し

入れ,水で標線まで薄める。この溶液の一部を,ICP 発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴

霧し,波長 324.754nm における発光強度を測定し,検量線から銅量を求める(

9

)

検量線の作成:標準銅溶液  [5.2.2(5)] 0∼25.0ml(銅として 0∼500

μg)を,段階的に数個の 200ml

全量フラスコにはかり採り,硝酸 (1+1) 10ml 及び硫酸 (1+1) 2ml を加え,水で標線まで薄め,試料

と並行して操作し,得た発光強度と銅量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行


5

M 8125-1997

移動して検量線とする。

(

9

)

精確さを確認してあれば,他の波長を用いて測定してもよい。高次のスペクトル線が使用可能

な装置では高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグランド補正機構が付いている

装置では,バックグランド補正機構を用いてもよい。

5.2.6

計算  試料中の銅含有率を,次の式によって算出する。

100

)

(

1

2

×

×

+

=

B

m

A

m

m

C

u

ここに,  Cu:  試料中の銅含有率 [% (m/m)] 

m

1

:  5.2.5(1)で得た円筒状白金陰極の質量 (g)

m

2

:  5.2.5(4)で得た銅析出白金陰極の質量 (g)

A

:  5.2.5(5)で得た電解残液中の銅検出量 (g)

m

:  試料はかり採り量 (g)

B

:  試料溶液の分取比

JIS M 8125

(粗銅地金中の銅定量方法)原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

奥  谷  忠  雄

日本大学理工学部

増  田  聰  博

通商産業省資源エネルギー庁鉱業課

高  木  譲  一

通商産業省工業技術院標準部材料規格課

加  藤  金  夫

大蔵省造幣局東京支局試験課

藤  貫      正

社団法人日本分析化学会

束  原      巌

古河電気工業株式会社

永  井      巌

住友金属鉱山株式会社

尾  上      喬

同和鉱業株式会社

丹  野  一  雄

東邦亜鉛株式会社

中  村      靖

株式会社ジャパンエナジー

渡  部  武  雄

三井金属鉱業株式会社

佐  山  恭  正

三菱マテリアル株式会社

稲  垣  勝  彦

日本鉱業協会

(関係者)

村  井  幸  男

株式会社ジャパンエナジー

細  矢  一  仁

同和鉱業株式会社

松  岡  俊  和

三井金属鉱業株式会社

備考  ○印は,分科会委員を兼務。