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日本工業規格

JIS

 M

7626-

1994

定置形可燃性ガス検知警報器

Stational type combustible gas alarm

1.

適用範囲  この規格は,鉱山,工場,船舶などにおいて可燃性ガスの存在を検知し,警報を発する定

置形可燃性ガス検知警報器(以下,警報器という。

)又は警報を発し,かつ,濃度を指示する警報器につい

て規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 0901

  炭鉱用電気機器の防爆構造

JIS C 0903

  一般用電気機器の防爆構造通則

JIS F 8004

  船用耐圧防爆電気器具通則

JIS F 8005

  船用本質安全防爆システム通則

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

最大指示値  当該測定レンジの有効指示範囲の最大値。

(2)

多点式  複数の検知部を配置してガスの存在を検知し,警報を発する方式又は警報を発し,かつ,濃

度を指示する方式。

(3)

多点切換式  複数箇所にガス導入管の採取口を配置し,各ガス導入管の管路を順次切り換えることに

よって 1 個の検知部で複数箇所のガスの存在を検知し,警報を発する方式,又は警報を発し,かつ,

濃度を指示する方式。

(4)

危険場所  警報器の構造及び使用について,特に考慮を必要とする濃度の爆発性ガスが存在し,又は

存在するおそれがある場所。

3.

性能

3.1

精度

3.1.1

指示精度  ガス濃度指示装置をもつ警報器は,6.2.1 に規定する試験を行ったとき,最大指示値の

±10%又は,指示値の±25%でなければならない。

3.1.2

警報精度  6.2.2 に規定する試験を行ったとき,警報設定値の±25%でなければならない。

3.2

安定性

3.2.1

指示安定性  6.3 に規定する試験を行ったとき,零及び指示値は,それぞれ最大指示値の±10%で

なければならない。

3.2.2

警報安定性  6.3 に規定する試験を行ったとき,警報濃度は,警報設定値の±20%でなければなら

ない。

3.3

傾斜による影響  6.4 に規定する試験を行ったとき,3.1.1 及び 3.1.2 の性能を満たすものでなければ

ならない。


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M 7626-1994

3.4

耐衝撃性  6.5 に規定する試験を行ったとき,破損・変形がなく,かつ,3.1.1 及び 3.1.2 の性能を満

たすものでなければならない。

3.5

温度変化による影響  6.6 に規定する試験を行ったとき,破損・変形・発せい(錆)などがなく,か

つ,3.1.1 及び 3.1.2 の性能を満たすものでなければならない。

3.6

検知の遅れ

3.6.1

指示の遅れ  6.7.1 に規定する試験を行ったとき,30 秒以内でなければならない。

3.6.2

警報の遅れ  6.7.2 に規定する試験を行ったとき,30 秒以内でなければならない。

3.7

電源電圧の変動による影響  6.8 に規定する試験を行ったとき,3.1.13.1.23.6.1 及び 3.6.2 の性能

を満たすものでなければならない。

4.

構造  警報器の構造は,次の各項に適合するものでなければならない。

(1)

取扱い,保守点検などが容易であること。

(2)

各部の構造は,十分な強度及び耐久性をもち,危険場所に設置する電気部品を含む部分は,JIS C 0901

JIS C 0903

JIS F 8004 又は JIS F 8005 に適合する防爆構造であること。

(3)

塗装及びめっきは仕上げが良好で,金属部分はさびにくい材料を用いるか,又は十分なさび止め処理

をすること。

(4)

警報器は,作動状態にあることを容易に識別できるものであること。

(5)

多点式及び多点切換式のものは,検知箇所が容易に識別できるものであること。

(6)

警報は,可視及び可聴のものであること。

(7)

ガス導入管などに使用する材料は,ガス吸着,その他検知に支障をきたさないものであること。

5.

機能  警報器の機能は,次による。

(1)

吸引式の検知部は,ガス導入管の直径及び長さが変わった場合においても,濃度指示値及び警報濃度

値が大きく変化してはならない。

(2)

多点切換式の検知部は,ガス吸引の速やかな切換えが可能な機構でなければならない。

(3)

多点式及び多点切換式のものは,ある検知箇所に対して警報を発しているときでも,他の検知箇所に

対して警報可能な機構でなければならない。

(4)

いったん警報を発した後は,ガス濃度に関係なくその状態を持続し,解除操作を行わなければ旧に復

帰しない警報機構でなければならない。

(5)

電源に電池を使用する警報器には,電池の有効性を確認する手段を備えていなければならない。

6.

試験

6.1

試験条件  試験は電源を入れて約 1 時間後に行うものとし,試験環境は,温度 20±5℃,相対湿度

65

±10%,気圧 1 013±50hPa とする。

6.2

精度試験

6.2.1

指示精度試験  検知部に最大指示値の 20%,50%,80%付近の濃度の試験ガスを導入し指示が安定

した後の最終指示値とそれぞれの試験ガス濃度との差を調べる。

6.2.2

警報精度試験  検知部に試験ガスを導入し,濃度を徐々に上げて,警報を発したときのガス濃度を

調べる。


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M 7626-1994

6.3

安定性試験  検知部に試験ガスを導入し指示値及び警報設定値を調整した後,そのままの状態で約 2

時間以上放置した後に 6.2.1 及び 6.2.2 の試験を行う。

6.4

傾斜による影響試験  検知部に試験ガスを導入し指示値及び警報設定値を調整した後,そのままの

状態で約 2 時間以上放置した後に警報器を前後,左右にそれぞれ約 30 度傾斜させた状態で 6.2.1 及び 6.2.2

の試験を行う。

6.5

耐衝撃性試験  コンクリートの床上に厚さ約 30mm の杉板又は松板を置き,検知部に試験ガスを導

入し指示値及び警報設定値を調整した後,そのままの状態で警報器の下面を左右交互に高さ約 100mm に

持ち上げて板上に落下させ,6.2.1 及び 6.2.2 の試験を行う。

6.6

温度試験  検知部に試験ガスを導入し指示値及び警報設定値を調整した後,そのままの状態で−10

±3℃及び 40±3℃の恒温槽内に 3 時間以上放置し,

それぞれの温度において 6.2.1 及び 6.2.2 の試験を行う。

6.7

検知の遅れ試験

6.7.1

指示の遅れ試験  検知部に最大指示値の 50%付近の濃度の試験ガスを導入し,指示が安定した後の

最終指示値を確認し,大気を約 5 分間導入する。次に,再度同じ試験ガスを導入し,指示値が前の最終指

示値の 60%の値となるまでの時間を調べる。

6.7.2

警報の遅れ試験  6.2.2 の警報精度試験で警報を発した際の試験ガス濃度の 1.6 倍の濃度の試験ガ

スを検知部に導入し,警報を発するまでの時間を調べる。

6.8

電源電圧変動試験  警報器の電源電圧を定格の±10%変動させ,6.2.16.2.26.7.1 及び 6.7.2 の試験

を行う。

7.

検査

7.1

形式検査  形式検査は,警報器の新しい設計,改造又は製造条件の変更を行った都度,最初の製品

ロットからランダムに 1 台以上抜き取って 6.に規定する試験を行い,3.4.及び 5.の規定を満足しなければ

ならない。

7.2

製品検査  製品検査は,警報器の各製品ごとに 6.2 の精度試験及び 6.7 の検知の遅れ試験を行い,3.1

及び 3.6 に規定する性能を満足しなければならない。

なお,6.2.1 の指示精度試験については,試験ガス濃度を最大指示値の 50%付近に限ることができる。

また,6.2.2 の警報精度試験については電気的模擬信号を用いた試験に置き換えることができる。

8.

表示  警報器には,次の事項を表示しなければならない。

(1)

名称又は品名

(2)

検知対象ガス名

(3)

製造年月又はその略号

(4)

製造業者名又はその略号

(5)

電源電圧

9.

取扱い上の注意事項  警報器には,取扱説明書を添付し,次の事項を記載しなければならない。

(1)

検知対象ガス名及びその検知範囲

(2)

操作方法

(3)

保守点検方法

(4)

電源電圧及び使用温度の範囲


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(5)

その他

JIS M 7626

(定置形可燃性ガス検知警報器)原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

房  村  信  雄

早稲田大学

揖  斐  敏  夫

通商産業省立地公害局

波田野  純  一

通商産業省立地公害局

○  服  部  幹  雄

工業技術院標準部

北  原  良  哉

資源環境技術総合研究所

酒  井  高  明

財団法人石炭技術研究所

苫米地  富  治

日本石炭協会

涌  井  直  正

鉱業労働災害防止協会

木  下      弘

日本鉱業協会

狩  野  祐  忠

建設業労働災害防止協会

○  中  島  義  男

理研計器株式会社

○  毛  利  泰  規

光明理化学工業株式会社

○  松  波      登

株式会社東科精機

○  百  瀬      孝

株式会社三工社

○  肥  山  智  彦

産業用ガス検知警報器工業会

○  三  上  圭  二

社団法人日本保安用品協会

備考  ○印を付けた委員は,小委員を兼ねる。