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M 7611 : 1996

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まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS M 7611-1985 は,改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,平成 2 年 6 月 1 日の第 399 回標準会議において議決された“日本工業規格における国

際単位系 (SI) の導入の方針”に基づく,SI 単位への移行,及び JIS Z 8301(規格票の様式)が平成 8 年 7

月 1 日に改正されたのに伴い,それとの整合化を図る必要性が生じたために改正を行うものである。


日本工業規格

JIS

 M

7611

 : 1996

一酸化炭素用自己救命器(CO マスク)

Self rescuer for carbon monoxide

1.

適用範囲  この規格は,炭鉱,鉱山などの坑内において,火災爆発などによって発生した一酸化炭素

(以下,CO マスクという。

)が存在している箇所を突破,脱出するときに着用する一酸化炭素用自己救命

器(以下,CO マスクという。

)について規定する。

備考  この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は従来単位によるものであって,参考

として併記したものである。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これら引用規格は,その最新版を適用する。

JIS C 1602

  熱電対

JIS K 8150

  塩化ナトリウム(試薬)

JIS K 8541

  硝酸(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

呼気抵抗ピーク値・吸気抵抗ピーク値  CO マスクを付けて呼吸したとき,又は CO マスクに呼吸模

擬装置を接続して作動させたときの呼吸抵抗は,

図 のように時間とともに変化する。この場合,A

n

点を呼気抵抗ピーク値,B

n

点を吸気抵抗ピーク値という。

図 1  呼吸抵抗の変化

b)

マウスピース  口唇と歯茎との間に挿入し,歯でくわえ,口で呼吸する CO マスクの部品。口片とも

いう。

c)

ノーズクリップ  マウスピースと併用するもので,鼻を挟み,鼻孔から吸気が入るのを止めるもの。


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鼻挟みともいう。

4.

種類  種類は,直結式口片形とする。

5.

性能

5.1

気密性  気密性は,次の各項の規定を満足しなければならない。

a)

マスク本体  マスク本体は,8.1.1 a)に規定する方法によって試験したとき,漏気が認められてはなら

ない。

b)

携帯容器  携帯容器は,8.1.1 b)に規定する方法によって試験したとき,漏気が認められてはならない。

5.2

通気抵抗  CO マスクを 8.1.2 に規定する方法によって試験したとき,その通気抵抗は,表 のとお

りでなければならない。

表 1  通気抵抗

単位 Pa {mmH

2

O}

測定時期

項目

除毒能力

試験開始時

除毒能力

試験中

吸気抵抗ピーク値

687 {70}

以下

932 {95}

以下

呼気抵抗ピーク値

245 {25}

以下

245 {25}

以下

5.3

ろ煙能力  CO マスクのろ煙能力は,8.1.3 に規定する方法によって試験したとき,ろ煙効率 60%以

上でなければならない。

5.4

除毒能力  CO マスクの除毒能力は,8.1.4 に規定する方法によって連続 90 分間試験したとき,標準

試験の場合及び条件付加試験の場合ともに,CO 透過濃度が 500ppm を超えることなく,かつ,CO 透過量

が 385ml を超えてはならない。

5.5

吸気温度  CO マスクを 8.1.5 に規定する方法によって連続 90 分間試験したとき,試験空気の CO 濃

度が 1.5 容量%の場合,吸気温度は 90  ℃を超えてはならない。

5.6

口唇接触部の温度  CO マスクを 8.1.6 に規定する方法によって試験したとき,口唇接触部の温度は,

70

℃を超えてはならない。

5.7

耐熱性  CO マスクを 8.1.7 に規定する方法によって試験したとき,マスク本体の気密性が 5.1 a)に適

合しなければならない。

5.8

耐寒性  CO マスクを 8.1.8 に規定する方法によって試験したとき,マスク本体の気密性が 5.1 a)に適

合しなければならない。

5.9

耐衝撃性  CO マスクを 8.1.9 に規定する方法によって試験したとき,マスク本体及び携帯容器の気

密性が 5.1 に適合しなければならない。

5.10

耐薬品性  CO マスクを 8.1.10 に規定する方法によって試験したとき,携帯容器に著しい腐食,き裂,

その他使用に支障のある異常があってはならない。

6.

構造

6.1

構造一般  構造の一般的事項は,次による。

a) CO

マスクは,吸収缶,熱交換器,排気弁,マウスピースからなるマスク本体と,それに付属するノ

ーズクリップ及びヘッドバンドを携帯容器に入れたものでなければならない。

b) CO

マスクは,取扱いが簡単で,暗闇の中,狭い場所など困難な条件下でも,迅速,有効,確実に着


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用できなければならない。

c)

マスク本体は,火災の時に発生する煙の中の粒子を捕集する高性能フィルタ及び比較的粗大な粒子に

よる目詰まりを防止するプレフィルタをもつものでなければならない。

d) CO

マスクが,腰ベルト装着式でない場合には,確実に携帯できる携帯用具をもつものでなければな

らない。

e) CO

マスクは,その携帯容器が変形し,マスク本体を携帯容器から取り出すことができない場合でも,

マスク本体が使用できるものでなければならない。

f) CO

マスクは,作業中容易に携帯でき,可能な限り携帯者の動作の妨げにならないもので,かつ,そ

の着用によって身体に異常圧迫,苦痛を伴わないものでなければならない。

g)

マスク本体着用時,マスク本体の金属部分が着用者のあごや口唇等に直接触れることがないよう,十

分な厚さのあるゴム材料などによって,当該部分が被覆されている構造でなければならない。

h)

マスク本体は,唾液の逆流によってその機能が損なわれないような構造のものでなければならない。

i) CO

マスクの質量は 1 200g 以下とする。ただし,携帯用具付きのものにあっては,その質量を除く。

マスク本体の質量は 650g 以下とする。ただし,ヘッドバンド及びノーズクリップは除く。

j) CO

マスクの高さは 16cm 以下,最大断面積は 100cm

2

以下でなければならない。

6.2

各部の構造

a)

吸収缶  吸収缶は,薬剤がち密に充てんされており,振動によって薬剤の隔たりが生じない構造でな

ければならない。

b)

熱交換器  熱交換器は,CO が薬剤と反応することによって生じる吸気中の熱を一時吸収し,呼気に

よって外部に放散する構造でなければならない。

c)

排気弁  排気弁は,微弱な呼吸に対しても確実,鋭敏に作動し,弁カバーによって外部からの損傷か

ら保護されていなければならない。

d)

マウスピース  マウスピースは,しなやかで味やにおいの少ない材料からなり,口唇と歯茎との間に

挿入するだ円形のもので,脱出の際の激動によっても口中から脱落せず,かつ,マウスピースの周囲

から漏気しないものでなければならない。

e)

ノーズクリップ  ノーズクリップは,ひも,弾性体などによってマスク本体に結合され,着用者がマ

ウスピース使用の際にノーズクリップを着用することに気が付くようになっていなければならない。

また,弾力性が適切であって,鼻孔から吸気が入ることなく,激動によって外れることなく,かつ,

着用中異常な苦痛を与えないものでなければならない。

f)

ヘッドバンド  ヘッドバンドは,マスク本体を着実に着用させることができるものでなければならな

い。また,しなやかで,頭部の大小にかかわらず使用できるものでなければならない。

g)

携帯容器  携帯容器は,外部を容易に清掃できるものであって,防湿能力が高く,かつ,携帯による

摩擦や衝撃などで容易に変形,破損しないものでなければならない。また,1 回でも開封したものは

開いたことが分かる構造でなければならない。

なお,使用する際,特別に大きな力を用いることなく,マスク本体を携帯容器から迅速,かつ,容

易に取り出せる構造でなければならない。

7.

材料

a)

マスク本体  マスク本体は,8.1.4 に規定する試験に際しての発熱に十分耐えるものでなければならな

い。また,吸気と接触する材料は,有害又は不快な蒸気ガスを発生しないものであって,多年にわた


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り,その特性が変質しにくい材料を用いなければならない。

b)

携帯容器及びその封かん部  携帯容器及びその封かん部は,十分な耐食性をもち,かつ,強じんな材

料を用いなければならない。

8.

試験

8.1

性能試験  性能試験は,次の 8.1.18.1.10 によって行う。

8.1.1

気密試験

a)

マスク本体は,マウスピース以外の開口部を閉そく具でふさぎ,マウスピースの呼吸口から空気を送

り込み,0.981kPa {100mmH

2

O}

の内圧にして漏気の有無を調べる。ただし,水中に沈めて検査する場

合は,1.47kPa {150mmH

2

O}

の内圧を保持しながら水中に入れ,水深 50mm 以内のところで漏気の有

無を調べる。

b)

携帯容器は,密封した状態で,容器内圧力が 13.3kPa {100mmHg}  以上になるようにして漏気の有無を

調べる。

8.1.2

通気抵抗試験  通気抵抗試験は,8.1.4 の試験中,付図 に示す通気抵抗測定位置と試験箱内との

圧力差を,精密微差圧計(記録計を含め,95%応答 0.4 秒以下)を用いて,連続的に測定する。

8.1.3

ろ煙能力試験  開封直後のマスク本体に,たばこの副流煙 50±20mg/m

3

を含有する常温・常湿の空

気を 32 l/min の流量で通して,入気側と吸気側との煙の散光度の比較によって,ろ煙効率を測定する。

8.1.4

除毒能力試験  除毒能力試験は,次によって行う。

a)

標準試験  15℃の恒温槽中に 3 時間以上放置した CO マスクを,付図 及び次に示す条件で試験を行

い,試験開始から排気中の CO 透過濃度及び CO 透過量を連続的に測定する。

1)

呼吸模擬装置運転条件

呼吸量 1.5l×20 回/min,呼気条件は,

表 による。

表 2  呼気条件

温度  ℃

相対湿度  %

試験前

37

±1 95 以上

試験後

37

±3 95 以上

試験前の温度は,

付図 に示す取付位置にある熱電対を用いて測定し,試験中の温度は,付図 1

及び

付図 に示す取付位置において測定する。

2)

試験箱への通気条件

温度・相対湿度  試験箱前で 25±2℃,95%以上

通気量  100±5l/min

CO

濃度  0.25 容量%及び 1.5 容量%

3)

試験箱  内容積が 25±3でほぼ立方形であること。また,呼吸模擬装置を停止した状態で試験箱へ

100

±5 l/min で通気したとき,試験箱内外の圧力差は 5 Pa {0.5 mmH

2

O}

以下であること。

4)

吸気側配管の容積  呼吸模擬装置を除き,1 000 ml 以下であること。

b)

条件付加試験  次に示す前処理をした CO マスクからマスク本体を取り出し,a)の標準試験を行う。

1) CO

マスクを振動試験器にかけて転動(堅木箱を使用し,毎分 60 回転の転動)5 分間,衝動(落差

100mm

,毎分 60 回の衝動)5 分間の振動を与える。

2)

1)

を行った後,40℃の恒温槽中に 24 時間静置した後,取り出し,室温になるまで放置する。

3)

2)

を行った後,−10℃の冷凍恒温槽中に 24 時間静置した後,取り出し,室温になるまで放置する。


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8.1.5

吸気温度試験  8.1.4 a)の試験中,付図 に示す取付位置にある JIS C 1602 に規定する測温接点露

出型熱電対(K 線径 0.2mm)を用いて,吸気温度を連続的に測定する。

8.1.6

口唇接触部の温度試験  8.1.4 a)における CO 濃度 1.5 容量%の場合の試験後,CO マスクを直ちに

試験装置から取り出し,表面温度計を用いて測定する。

8.1.7

耐熱性試験  CO マスクを 70±2℃の恒温槽中に吊るし,6 時間加熱後取り出し,マスク本体の気

密性を 8.1.1 a)に規定する方法で試験をする。

8.1.8

耐寒性試験  CO マスクを−20±2℃冷凍恒温槽中に吊るし,3 時間放置した後取り出し,マスク本

体の気密性を 8.1.1 a)に規定する方法で試験をする。

8.1.9

耐衝撃性試験  コンクリート床上に厚さ 45∼50mm の松又は杉の板を置き,CO マスクを 1.0m の

高さから 3 回落とした後,マスク本体及び携帯容器の気密性を 8.1.1 に規定する方法で試験をする。

8.1.10

耐薬品性試験  CO マスクを表 の各試験液(液温 22±2℃)中に 1 時間浸した後,取り出し,温

度 22±3  ℃,相対湿度 90%以上の空気中に吊るし,24 時間放置後,携帯容器の腐食,き裂,その他使用

に支障のある異常の有無を調べる。

表 3  試験液の種類及び濃度

試験液の種類

試験液の濃度  (質量%)

塩化ナトリウム水溶液 5

硫酸 1

硝酸 1

水酸化ナトリウム水溶液 1

備考  試験液に用いる薬品の種類は,次の規格の特級のも

のを用いる。

JIS K 8150JIS K 8541JIS K 8576JIS K 8951

8.2

構造試験  CO マスクは,6.の規定に適合するかどうかを調べる。

9.

検査

9.1

性能検査  性能検査は,抜取りによるものとし,8.1 に規定する方法で試験したとき 5.の規定に適合

しなければならない。

9.2

構造検査  構造検査は,抜取りによるものとし,6.の規定に適合しなければならない。

10.

表示

10.1

携帯容器  携帯容器には,その外面に次の事項を表示しなければならない。

a)

製造業者名又はその略号

b)

製造年月又はその略号

c)

製造番号又はその略号

d)

製品符号

e)

有効期限

f)

質量(携帯容器を含む全質量)

g)

携帯容器を開封してあるものは無効である。

10.2

マスク本体  マスク本体には,次の事項を表示しなければならない。

a)

製品符号

b)

製造番号又はその略号


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11.

使用説明書  次の各事項を記載した使用説明書を添付しなければならない。

a) CO

マスクの使用方法(

付図 参照)

b)

使用上の注意事項

1)

使用直前に開封しなければならない。それ以前に開封したものは無効である。

2)

マウスピース及びノーズクリップを着装し,口で呼吸しなければならない。

3)

衝撃,落下等粗雑な取扱いは避けなければならない。

4)

高濃度の CO に遭遇した場合には吸気が熱くなるが,絶対にマスクを外してはならない。

5)

プレフィルタの目詰まりのため吸気抵抗が異常に高くなったときは,プレフィルタを取り除かなけ

ればならない。

6)

酸素欠乏の場所では使用できない。

7)

避難・脱出専用であるから,通常の作業や救助用には使用してはならない。

付図 1  測定用コネクタ部 


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付図 2  CO マスク性能試験装置(一例) 


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付図 3  測定用コネクタ内の熱電対取付位置


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付図 4  CO マスク使用法(一例) 


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参考図 1  CO マスク及び附属品(一例)