>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

M 7002 : 1996

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS M 7002-1984 は,改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,平成 2 年 6 月 1 日の第 399 回の標準会議において議決された

日本工業規格における

国際単位系 (SI) の導入の方針

に基づく,SI 単位への移行,及び JIS Z 8301(規格票の様式)が平成 8

年 7 月 1 日に改正されたのに伴い,それとの整合化を図る必要性が生じたために改正を行うものである。


日本工業規格

JIS

 M

7002

 : 1996

防爆用ベリリウム銅合金製工具類の

非着火性試験方法

Non-ignition testing methods for non-sparking berylium copper alloy tools

1.

適用範囲  この規格は,火花によって爆発を起こすおそれのある鉱山・工場その他の事業所,並びに

船舶・車両・航空機などで用いる防爆用ベリリウム銅合金製工具類の非着火性試験方法について規定する。

備考1.  この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は従来単位によるものであって,参

考として併記したものである。

2.

試験方法及び試験ガスは,防爆用ベリリウム銅合金製工具類の使用実態を考慮して選択する

ことが望ましい。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これら引用規格は,その最新版を適用する。

JIS B 0601

  表面粗さ−定義及び表示

JIS G 4051

  機械構造用炭素鋼鋼材

3.

試験方法の種類  試験方法の種類は,次の 3 種類とする。

a)

落錘式非着火性試験方法

b)

回転摩擦式非着火性試験方法

c)

高速衝撃式非着火性試験方法

4.

試験

4.1

落錘式非着火性試験方法  落錘式非着火性試験方法は,次による。

a)

試験装置  試験装置は,付図 に示すように容量約 0.5m

3

,鋼板厚さ 3mm 以上の爆発槽,試験用鋼板

を取り付けた傾斜鋼板支持台及び重錘落下装置から構成し,爆発槽には,ガスかくはん用ファン及び

セロファンを張った火炎一掃に必要な面積をもつ開口部を設ける。

b)

試験に用いる器具  試験に用いる器具は,次による。

1)

試験片  試験片は,付図 に示す形状及び寸法とする。

2)

重錘  重錘は,付図 に示す形状及び寸法の鋼材とし,質量は約 14kg とする。

3)

試験用鋼板  試験用鋼板の材質,標準寸法,硬さ及び表面あらさは,次のとおりとし,これを戸外

に 6 週間以上放置することによって,自然状態でさびの発生した鋼板とする。

3.1)

材質  材質は,JIS G 4051 に規定する S55C とする。

3.2)

標準寸法  標準寸法は,350×350×15mm とする。


2

M 7002 : 1996

3.3)

硬さ  硬さは,HRC20〜25 とする。

3.4)

表面粗さ  表面粗さは,JIS B 0601 に規定する 25S よりも粗いものとする。

c)

試験用ガス  試験用ガスは,メタン 6.5%−空気 93.5%又はプロパン 5.3%−空気 94.7%若しくは水素

21.0%

−空気 79.0%に濃度のものを使用するものとする。

d)

試験方法  試験方法は,付図 に示す爆発槽内の試験用ガスをかくはん用ファンでよくかくはんする。

次に

付図 に示すように試験片を重錘にボルトで結合し,これを重錘ガイドパイプを通して落下高さ

4m

から 45°に傾けた試験用鋼板上に自由落下により衝突させる。

これを同一試験片について 20 回行い,着火の有無を試験する。ただし,重錘の自由落下は,試験用

鋼板上の同一箇所を避けなければならない。

4.2

回転摩擦式非着火性試験

a)

試験装置  試験装置は,付図 に示すように容量約 0.5m

3

,鋼板厚さ 3mm 以上の爆発槽,回転円板を

取り付けた円板回転装置及び試験片押付装置から構成し,爆発槽には,ガスかくはん用ファン及びセ

ロファンをはった火炎一掃に必要な面積をもつ開口部を設ける。

b)

試験に用いる器具  試験に用いる器具は,次による。

1)

試験片  試験片は,直径約 10mm,長さ約 150mm の丸棒とし,先端に半径約 5mm の丸みをつける。

2)

円板回転装置  円板回転装置は,出力 2.2kW,回転速度 3 000rpm とする。

3)

回転円板  回転円板の材質,標準寸法,硬さ及び表面粗さは,次のとおりとし,これを戸外に 6 週

間以上放置することによって,自然状態で,さびの発生した円板とする。

3.1)

材質  材質は,JIS G 4051 に規定する S15C とする。

3.2)

標準寸法  標準寸法は,

φ

250

×10mm とする。

3.3)

硬さ  硬さは,HRC10〜15 とする。

3.4)

表面粗さ  表面粗さは,JIS B 0601 に規定する 25S よりも粗いものとする。

4)

試験片押付装置  試験片押付装置は,エアシリンダ又は油圧シリンダとする。

c)

試験用ガス  試験用ガスは,4.1c)に規定するガスとする。

d)

試験方法  試験方法は,付図 に示す爆発槽内の試験用ガスをガスかくはん用ファンでよくかくはん

する。次に爆発槽の側面に設けた試験片押付装置に取り付けた試験片をエア(又は油圧)シリンダに

よって回転円板の表面に押し付ける。試験片と回転円板との相対摩擦速度 20m/s,押付力 490N {50kgf}

の条件下における摩擦着火試験を同一試験片において 5 回行い,摩擦時間 1 分間における着火の有無

を試験する。

4.3

高速衝撃式非着火性試験

a)

試験装置  試験装置は,付図 に示す容量に約 0.5m

3

,鋼板厚さ 3mm 以上の爆発槽,試験用鋼板を取

り付けた傾斜鋼板支持台及び試験ペレット発射装置から構成し,爆発槽にはガスかくはん用ファン及

びセロハンをはった火炎一掃に必要な面積をもつ開口部を設ける。

b)

試験に用いる器具  試験に用いる器具は,次による。

1)

試験片  試験片は,付図 に示す形状及び寸法のペレットとする。

2)

試験ペレット発射装置  試験ペレット発射装置は,口径呼び 22 のプランジャポンプ式エアライフル

銃とする。

3)

試験用鋼板  試験用鋼板は,4.1b)3)に規定するガスとする。

c)

試験用ガス  試験用ガスは,4.1c)に規定するガスとする。

d)

試験方法  試験方法は,付図 に示す爆発槽内の試験用ガスをガスかくはん用ファンでよくかくはん


3

M 7002 : 1996

する。

次に,試験ペレットを試験ペレット発射装置に装てんし,銃口から 1m の距離にある 30°傾けた試

験用鋼板に対して,爆発槽側面の試験ペレット通過用窓を通して,初速 200m/s で試験ペレットを発射

する。これを,同一試験材で作った試験ペレット 10 個について行い,着火の有無を試験する。

付図 1  落錘式非着火性試験装置例 


4

M 7002 : 1996

単位 mm

L

l

1

l

2

l

3

l

4

φ

D

φ

d

1

φ

d

2

φ

d

3

d

4

r

標準寸法 280  30  50

16

3  100

60

25

30

M16  5

付図 2  重錘及び試験片 


5

M 7002 : 1996

付図 3  回転摩擦式非着火性試験装置例 

番号

名称

1

爆発槽

2

試験ペレット通過用窓

3

傾斜鋼板支持台

4

試験用鋼板

5

ガスかくはん用ファン

6

エアライフル銃

7

銃身支持台

8

試験用鋼板送り用ハンドル

9

試験用ガス

付図 4  高速衝撃式非着火性試験装置例

付図 5  試験ペレット


6

M 7002 : 1996

JIS M 7002

  防爆用ベリリウム銅合金製工具の非着火性試験方法改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

房  村  信  雄

早稲田大学理工学部

安  藤  勝  良

通商産業省立地公害局

松  下      弘

通商産業省立地公害局

卯  木      稔

工業技術院標準部

加  藤  真  蔵

工業技術院公害資源研究所

小  俣  和  夫

労働省労働基準局

内  藤  道  夫

労働省産業安全研究所

川  崎  正  士

消防庁消防研究所

小  松  宏  次

鉱業労働災害防止協会

大  橋  脩  作

日本石炭協会

佐久間  光  史

日本国有鉄道職員局

石  村  秀  一

東京ガス株式会社

高  岡  三  郎

石油さく井機製作株式会社

志  賀  四  郎

社団法人日本保安用品協会

佐  野  和四郎

高圧ガス保安協会

炭  谷  不二男

労働安全コンサルタント

西  田  精  利

日本碍子株式会社