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1

L 1065 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS L 1065 : 1983 は改正され,この規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 L 1065

:

1999

染色物の染料部属判定方法

Identification of dyestuff classes on dyed textiles

序文  この規格は,染色された繊維品の染料部属の判定方法を規定したもので,昭和 38 年に制定された。

今回の改正では,引用規格の改正に伴い,引用規格の名称を変更している。

1.

適用範囲  この規格は,染色された繊維品上の染料部属判定方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS K 8013

  亜鉛粉末(試薬)

JIS K 8019

  亜硝酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8085

  アンモニア水(試薬)

JIS K 8101

  エタノール (99.5) (試薬)

JIS K 8103

  ジエチルエーテル(試薬)

JIS K 8136

  塩化すず (II) 二水和物(試薬)

JIS K 8150

  塩化ナトリウム(試薬)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8264

  ぎ酸(試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8322

  クロロホルム(試薬)

JIS K 8355

  酢酸(試薬)

JIS K 8374

  酢酸鉛 (II) 三水和物(試薬)

JIS K 8461

  1, 4−ジオキサン(試薬)

JIS K 8500

  N, N−ジメチルホルムアミド(試薬)

JIS K 8533

  ビス[  (+)  −タルトラト]二アンチモン (III) 酸二カリウム三水和物(試薬)

JIS K 8541

  硝酸(試薬)

JIS K 8562

  硝酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8585

  ステアリン酸(試薬)

JIS K 8624

  炭酸ナトリウム十水和物(試薬)

JIS K 8629

  タンニン酸(試薬)

JIS K 8680

  トルエン(試薬)

JIS K 8699

  2−ナフトール(試薬)


2

L 1065 : 1999

JIS K 8731

  尿素(試薬)

JIS K 8737

  亜ジチオン酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8777

  ピリジン(試薬)

JIS K 8920

  よう素(試薬)

JIS K 8937

  リグロイン(試薬)

JIS K 8949

  硫化ナトリウム九水和物(試薬)

JIS K 9032

  レソルシノール(試薬)

JIS K 9501

  アジ化ナトリウム(試薬)

JIS L 0803

  染色堅ろう度試験用添付白布

JIS L 1030-1

  繊維製品の混用率試験方法−第 1 部:繊維鑑別

JIS P 3801

  ろ紙(化学分析用)

JIS R 1301

  化学分析用磁器るつぼ

JIS R 1302

  化学分析用磁器蒸発ざら

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

3.

要旨  この規格は,1 種類の繊維に 1 種類の染料部属が用いられた試験片を調製できる染色物につい

て適用するのが原則である。ただし,本判定方法を利用して一つの試験片に使用されている数種類の染料

部属をある程度推定することができる場合もある。

判定方法としては,JIS L 1030-1 によって,試料の繊維の種類を鑑別し,構成繊維別に規定してある判

定方法に基づいて,試験片から染料を抽出するか,又は脱色処理を行い,試験片の変退色,染料の抽出程

度などによって,又は抽出液による染色試験などによって,

試験片に使用されている染料部属を判定する。

4.

器具及び材料  器具及び材料は,次のとおりとする。

a)

試験管  JIS R 3503(化学分析用ガラス器具)

b)

ブンゼンバーナ

c)

ろ紙  JIS P 3801[ろ紙(化学分析用)

d)

ビーカー  JIS R 3503

e)

ピペット

f)

酢酸鉛紙

g)

時計皿

h)

蒸発皿  JIS R 1302(化学分析用磁器蒸発ざら)

i)

磁製るつぼ  JIS R 1301(化学分析用磁器るつぼ)

j)

顕微鏡

k)

分液漏斗  JIS R 3503

l)

水浴

m)

還流冷却器付フラスコ  JIS R 3503

n)

白綿布  JIS L 0803(染色堅ろう度試験用添付白布)

o)

白羊毛布  JIS L 0803

p)

白アセテート布  JIS L 0803


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L 1065 : 1999

5.

試薬  JIS のあるものについては 1 級又は特級を用いる。

a)

アンモニア水  JIS K 8085[アンモニア水(試薬)

b)

塩化ナトリウム  JIS K 8150[塩化ナトリウム(試薬)

c)

塩酸  JIS K 8180[塩酸(試薬)

d)

水酸化ナトリウム  JIS K 8576[水酸化ナトリウム(試薬)

e)

亜ジチオン酸ナトリウム  JIS K 8737[亜ジチオン酸ナトリウム(試薬)

f) N,

N

−ジメチルホルムアミド

  JIS K 8500[N, N−ジメチルホルムアミド(試薬)]

g)

ピリジン  JIS K 8777[ピリジン(試薬)

h)

炭酸ナトリウム十水和物  JIS K 8624[炭酸ナトリウム十水和物(試薬)

i)

硝酸ナトリウム  JIS K 8562[硝酸ナトリウム(試薬)

j)

硝酸  JIS K 8541[硝酸(試薬)

k)

ステアリン酸  JIS K 8585[ステアリン酸(試薬)

l)

尿素  JIS K 8731[尿素(試薬)

m)

酢酸 (99∼100%)  (氷酢酸)

  JIS K 8355[酢酸(試薬)]

n)

ジエチルエーテル  JIS K 8103[ジエチルエーテル(試薬)

o)

タンニン酸  JIS K 8629[タンニン酸(試薬)

p)

酒石酸アンチモニルカリウム(吐酒石)

  JIS K 8533〔ビス[  (+)  −タルトラト]二アンチモン (III)

酸二カリウム三水和物(試薬)

q)

硫化ナトリウム九水和物  JIS K 8949[硫化ナトリウム九水和物(試薬)

r)

酢酸鉛  JIS K 8374[酢酸鉛 (II) 三水和物(試薬)

s)

グリセリン  JIS K 8295[グリセリン(試薬)

t)

塩化すず  JIS K 8136[塩化すず (II) 二水和物(試薬)

u)

アジ化ナトリウム  JIS K 9501[アジ化ナトリウム(試薬)

v)

よう素  JIS K 8920[よう素(試薬)

w) 

次亜塩素酸ナトリウム

x)

亜鉛粉末  JIS K 8013[亜鉛粉末(試薬)

y)

エタノール (99.5) 

  JIS K 8101[エタノール (99.5) (試薬)]

z)

亜硝酸ナトリウム  JIS K 8019[亜硝酸ナトリウム(試薬)

aa)

β−ナフトール(2−ナフトール)    JIS K 8699[2−ナフトール(試薬)]

ab)  N

−メチル−2−ピロリドン

ac)

サリチル酸エチル

ad)

ふっ化クロム

ae)

トルエン  JIS K 8680[トルエン(試薬)

af)

陰イオン系分散剤

ag)

テトラヒドロフラン

ah)

リグロイン  JIS K 8937[リグロイン(試薬)

ai)

ぎ酸

  JIS K 8264[ぎ酸(試薬)]

aj)

レソルシノール  JIS K 9032[レソルシノール(試薬)

ak)

クロロホルム  JIS K 8322[クロロホルム(試薬)

al)

ジオキサン  JIS K 8461[1, 4−ジオキサン(試薬)


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L 1065 : 1999

6.

試験片の調製

6.1

試料から試験片を調製するには,できるだけ 1 種類の染料部属が使用されていると推定できる部分

から試験片を採取する。

なお,試料に数種類の色相を含むときは,その色相ごとに試験片を調製する。

6.2

試料が混用繊維品の場合には,繊維の鑑別を十分行い,構成繊維を確認した後,同種の繊維群に分

別し,試験片を調製することを原則とする。

6.3

試験片の質量は,原則として 0.05∼0.30g とする。また,染色試験に使用する白糸又は白布の質量は,

原則として 0.01∼0.05g とする。

6.4

樹脂加工又は樹脂後処理をしてあることが分かる場合は,次の処理を行う。

a)

ホルムアルデヒド−アミノ樹脂の場合  試料 100 倍量の 0.25%塩酸溶液の 70∼80℃で 15 分間処理し

た後,取り出して,温水 0.2%アンモニア水及び水で順次洗浄し,乾燥してから試験片を調整する。

b)

アクリル,スチロール,メタクリルなどの樹脂の場合  試料 50∼100 倍量のジオキサンを用いて,還

流冷却器付フラスコ内で 1 時間煮沸した後取り出して水洗,乾燥する。

c)

ジオキサン処理及び塩酸処理の両者を必要とする場合  ジオキサン処理を先に行う。

参考  この場合にはナフトール染料及び一部のバット染料は抽出される。

6.5

その他の加工,例えば防水加工などを施したもので,判定試験に支障があるものについては,あら

かじめ適当な処理を行ってから,試験片を調製する。

7.

染色物の繊維別による染料部属の種類  この規格によって判定できる染料部属は繊維別に表 のとお

りとする。


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L 1065 : 1999

表 1

繊維の種類

染料部属

セルロ

ース

(

1

)

アセテ

ート

ナイロ

ビニロ

アクリ

ル及び

アクリ

ル系

ポリエ

ステル

ビニリ

デン

ポリ塩

化ビニ

プロミ

ックス

ポリク

ラール

直接染料

8.1.2

8.2.3

8.3.3

 8.5.6

8.6.1

(1.2)

直接染料

(金属後処

理又は含金属)

8.1.2

(1.2)

直接染料

(ジアゾ化

顕色)

8.1.2

(1.2)

酸性染料

 8.2.4

8.3.4

 8.5.8

 8.7.5

. 1 2

酸性媒染染料

 8.2.6

8.3.6

 8.5.9

 8.7.6

媒染染料

 8.2.10

8.3.6

1

:1 形金属錯塩酸

 8.2.7

8.3.7

 8.5.5

染料

1

:2 形金属錯塩酸

 8.2.7

8.3.7

 8.5.5

8.6.7

8.7.3

. 1 3

染料

塩基性染料

8.1.3

8.2.5

8.3.5

 8.5.7

 8.7.4

8.8.2

  

8.11.4

(1.3)

硫化染料

8.1.4

    

8.6.4

(1.4)

バット染料

8.1.5

8.2.9

8.3.9

 8.5.2

8.6.5

(1.5)

可溶性バット染料

8.1.5

8.2.9

8.3.9

 8.5.2

(1.5)

硫化バット染料

8.1.4

    

8.6.4

(1.4)

ナフトール染料

8.1.8

  

8.45

8.5.4

8.6.6

(1.6)

分散染料

. 2

8.5.3

8.6.2

8.7.2

8.8.3

8.9.1

8.10.1  8.11.5  8.12.1

顕色性分散染料

. 3

 8.6.3

 8.8.3

反応染料

8.1.9

8.2.8

8.3.8

(1.8)

酸化染料(アニリ
ン,ブラックなど)

8.1.6

鉱物染料

(カーキ染

め)

8.1.7

ピグメントレジン

カラー

8.1.10

(1.7)

  

8.4.4

 8.6.8

8.7.7

8.8.4

8.9.2

8.10.2  8.11.6  8.12.2

(

1

)

綿,麻,レーヨン,キュプラの総称

備考  表中の番号は,各部属染料の判定方法の記載箇所を示す。

なお,括弧内の番号は

附属書の箇条番号を示す。 

8.

判定方法

8.1

セルロースの場合

8.1.1

判定方法の順序  表 に示す順序で試験を行うか,又は附属書による。


6

L 1065 : 1999

表 2

水 5∼10ml に濃アンモニア水 0.5∼1.0ml を添加したアンモニア水溶液で煮沸

染料の抽出

あり

染料の抽出がないか,又はわずかのときは,新しい試験片で次の試験をする。

1%

塩酸溶液で煮沸した後 1%アンモニア水による煮沸

染料の抽出あ
り又は著し

染料の抽出がないか,又はわずかのときは,新しい試験片で次の試験をする。

水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム溶液で煮沸処理

変化するもの

復色しないもの

酸化によって復色するもの

ほとんど変化しないもの

抽出液によ
る染色試験

8.1.2 

直接染料

氷酢酸の煮
沸抽出液に

よる復色試
験及び染色
試験

8.1.3 

塩基性染料

抽出液による

染色試験

8.1.2 

直接染料の一

50%

ジ メ チ ル

ホルムアミド

室温処理

8.1.9 

反応染料の一

クロム又は銅の試験

8.1.2 a)

直接染料(金属後

処理又は含金属) 
ピリジン煮沸及び蛍光
試験

8.1.8 

ナフトール染料の一部
ジメチルホルムアミド

煮沸

8.1.2 b) 

直接染料(ジアゾ化顕

色)

8.1.9 

反応染料の一部

硫化ナトリウム九水和物
を使用し,染色と硫黄確認

8.1.4 

硫化染料又は硫化バット
染料

亜ジチオン酸ナトリウム
を使用し,染色

8.1.5 a) 

インダンスレンブルー以
外のバット染料又は可溶
性バット染料

呈色及び灰化試験

8.1.6 

酸化染料

ピリジン煮沸

8.1.9 

反応染料の一部

濃硝酸滴下呈色試験

8.1.5 b) 

インダンスレンブルー
灰化と鉱酸煮沸

8.1.7 

鉱物染料 
ピリジン煮沸及び蛍光
試験

8.1.8 

ナフトール染料の一部

8.1.9 

反応染料の一部

8.1.10 

ピグメントレジンカラ

8.1.2

直接染料の判定方法  試験片を試験管に採り,水 5∼10ml に濃アンモニア水 0.5∼1.0ml を加えた

液で煮沸し,十分に染料を抽出させる。

抽出処理した試験片を取り出し,抽出液に白綿布 10∼30mg と塩化ナトリウム 5∼50mg を加え 40∼80

秒間煮沸し,放冷して水洗する。白綿布がほとんど試験片と同じ色相に染まれば,試験片の染色に使用さ

れている染料は,直接染料であると判定する。

なお,a)の塩酸処理後の 1%アンモニア水抽出で著しく抽出された場合,その抽出液で上記のように白綿

布を染色したとき,白綿布がほとんど試験片と同じ色相に染まれば,試験片の染色に使用されている染料

は,直接染料であると判定する。

この試験で判定に困難な結果を示す場合は,a)又は b)によって判定する。

a)

直接染料(金属後処理又は含金属)の判定方法  試験片を 100 倍量の 1%塩酸溶液で 3 分間煮沸し,

十分水洗して試験管に採り,1%アンモニア水 5∼10ml で 2 分間煮沸する。

わずかに抽出されるか,又は抽出のないときは,新しい試験片を水 3∼6ml と 10%水酸化ナトリウ

ム溶液 1∼2ml を加えて煮沸し,更に,亜ジチオン酸ナトリウム 0.01∼0.03g を加えて 2∼5 秒間煮沸

し,試験片を取り出して水洗し,ろ紙上に置き空気にさらす。この亜ジチオン酸ナトリウム処理で変

色又は脱色し,水洗しても復色しないときは,次の 1)又は 2)の試験を行って,いずれかの存在が確認

されれば,試験片の染色に使用されている染料は,金属後処理又は含金属の直接染料であると判定す

る。


7

L 1065 : 1999

参考  ある種の直接染料は著しく抽出され,また反応染料の一部のものには染料の抽出されるものが

あるが,金属後処理とジアゾ化顕色の直接染料のそれぞれの一部のもの及びその他のものは抽

出がないか,又は抽出がわずかである。

この処理では一般の直接染料の大多数は著しく抽出される。ここではそれらの大部分のもの

は,既に本文の判定で除外されているので,残りのものを“ある種の……”として示した。

直接染料のフタロシアニン系(含銅)のものは,空気酸化によって復色する。

直接染料(金属後処理又は含金属,ジアゾ化顕色を含む。

)は,b)の N, N−ジメチルホルム

アミド煮沸処理又は 30%ピリジン溶液 5ml で室温処理したとき,いずれも速やかに染料が抽出

される。

1)

クロムの確認試験  0.1∼0.2g の試料を磁製るつぼに入れ完全に灰化した後,融剤(

2

)0.05

∼0.15g を加

えて溶融する。クロムが存在する場合には,溶融したものの色は,熱い間はだいだい黄色,冷却す

ると緑黄色となる。

(

2

)

同量の炭酸ナトリウム十水和物と硝酸ナトリウムを混合したもの。

2)

銅の確認試験  クロムが存在しないときは他の試料を灰化し,その灰を濃硝酸約 0.25∼0.50ml で溶

かした後,水 1∼2ml を加えて煮沸する。その溶液を試験管に移し,冷却してアンモニア水(比重

約 0.90)約 1∼2ml を加える。銅が存在するときは溶液は青色を呈する。

b)

直接染料(ジアゾ化顕色)の判定方法  a)の試験の結果,金属の存在が認められず,8.1.8 でナフトー

ル染料でないと判定されたものについて,試験片を試験管にとり,N, N−ジメチルホルムアミド 5ml

を加えて煮沸した場合,染料が抽出されたときは,この試験片の染色に使用されている染料はジアゾ

化顕色の直接染料であると判定する。

備考  小試験管中にステアリン酸と尿素との同量を注意しながら入れて溶けるまで加熱する。この中

に試験片からとった約 3cm の長さの糸 1 本を入れる。

参考  ジアゾ化顕色の直接染料が存在するときは,上層(ステアリン酸)よりも下層が強く着色する。

後処理の有無又は種類にかかわりなく,直接染料の場合はすべて下層が着色する。また,塩

基性染料及びナフトール染料の場合は上層が強く着色し,反応染料は上下層とも着色しない。

8.1.3

塩基性染料の判定方法  8.1.2 のアンモニア水抽出処理で抽出がないか,又はわずかであるときは,

次の a)及び b)の試験を行い,a)の試験で染料がエーテル層を離れて酢酸層中へ氷酢酸抽出液と同じ色相に

復色し,b)の試験でタンニン媒染綿布が媒染しない綿布よりも濃色に着色されたときは,試験片の染色に

使用されている染料は,塩基性染料であると判定する。

a)

新しい試験片を試験管に採り,氷酢酸 0.25∼0.5ml を加えて加熱した後,水 3∼5ml を加え,更に煮沸

して試験片を取り出す。

この抽出液に 10%水酸化ナトリウム溶液 5∼7ml を加えてアルカリ性とし,冷却した後,ジエチル

エーテル 3∼5ml を加え,試験管の口をおや指で押さえてよく振とうする。これを静置して 2 層に分

離させてから上部のエーテル層の部分だけをピペットで静かに抜き取って新しい試験管に移し,10%

酢酸溶液 2∼5 滴を加えて十分に振とうする。

b)

新しい試験片について,前記と同様に氷酢酸で処理した抽出液に,白綿布とタンニン媒染綿布(

3

)

を入

れて 5 分間煮沸して水洗する。

(

3

)

タンニン酸3∼5% (o. w. f)  浴比1:15,液温70℃中に白綿布を浸せきして30分間操作し,3時間

以上放冷した後,水分をとり除く。次に吐酒石(タンニン酸の

2

1

量)を浴比1:15として室温で

10

∼15分間浸せきして水洗し,乾燥したもの。


8

L 1065 : 1999

8.1.4

硫化染料及び硫化バット染料の判定方法  8.1.2 a)の塩酸処理後の 1%アンモニア水抽出で抽出がな

いか,又はわずかであり,水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理では変色するが,水洗後空気

酸化によって復色するものについて新しい試験片を試験管にとり,水 2∼3ml,10%炭酸ナトリウム溶液 1

∼2ml と硫化ナトリウム九水和物 0.2∼0.4g を加え,1∼2 分間煮沸して試験片を取り出し,次に塩化ナト

リウム 10∼20mg と白綿布の小片を入れ,1∼2 分間煮沸する。

白綿布を取り出して,ろ紙に載せ空気酸化させる。濃度は異なるが色相が試験片と同じに染色されたと

きは,次のいずれかの硫黄の確認試験を行ってその存在を確認すれば,試験片の染色に使用されている染

料は,硫化染料又は硫化バット染料であると判定する。

硫黄の確認試験

a

法  試験片を 5∼10%水酸化ナトリウム溶液中で煮沸した後,十分水洗する。その試験片を試験管に入

れ,還元液[8.1.5 b)のインダンスレンブルーの確認試験を参照]2∼3ml を加え,試験管の口をろ

紙で覆う。ろ紙の中央に酢酸鉛アルカリ溶液(

4

)

を 1 滴滴下する。ビーカーに沸騰水を入れ,その中

に試験管をつける。40∼80 秒後に,ろ紙上の酢酸鉛が暗褐色ないしは黒色を呈するときは硫黄の

存在を示す。

(

4

)

酢酸鉛のアルカリ溶液の調製法  10%酢酸鉛溶液に最初に生じた沈殿が消えるまで10%水酸化

ナトリウム溶液を加える。硫化染料試験中にろ紙上で液が乾燥してしまうのを防ぐため,20∼

25%

グリセリンを加えるとよい。

b

法  試験片を塩化第一すず,濃塩酸それぞれ 1 に対し水 5 の質量割合からなる還元液で煮沸し,その蒸

気に酢酸鉛紙を当てたとき,酢酸鉛紙が暗褐色ないしは黒色を呈するときは硫黄の存在を示す。

参考  試験片から採った約 3cm の長さの糸 1 本を時計皿に入れ,アジ化ナトリウム−よう素溶液[ア

ジ化ナトリウム (NaN

3

) 3g

を N/10 よう素溶液 100ml 中に溶解したもの]に浸せきし,数分後に

気泡(窒素の)が発生するときは硫黄の存在を示す。

8.1.5

バット染料及び可溶性バット染料の判定方法

a)

インダンスレンブルー以外のバット染料及び可溶性バット染料の判定方法  8.1.4 で硫化染料又は硫

化バット染料でないと判定されたときは,次の試験を行い判定する。

試験片を試験管に採り,水 2∼3ml と 10%水酸化ナトリウム溶液 0.5∼1.0ml を加えて煮沸した後亜

ジチオン酸ナトリウム 0.01∼0.02g を加え,更に 0.5∼1.0 分間煮沸する。その試験片を取り出し,次に

白綿布の小片と塩化ナトリウム 0.01∼0.02g を加え 40∼80 秒間煮沸する。室温にまで放冷した後,綿

布を取り出し,ろ紙上に置き空気酸化させる。原色に染色されたときは,試験片の染色に使用されて

いる染料は,インダンスレンブルー以外のバット染料又は可溶性バット染料であると判定する。

参考  可溶性バット染料は普通のバット染料の水溶性誘導体で,繊維に染色された状態ではバット染

料の場合とまったく同じである。したがって,この場合にはバット染料との区別は,ほとんど

困難である。

b)

インダンスレンブルーの判定方法  8.1.2  a)の塩酸処理後の 1%アンモニア水で抽出がないか,又はわ

ずかであり,かつ水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理を行っても変色しないか,変色し

てもごくわずかに変色(青色)の場合には,次の試験を行う。

試験片を数枚のろ紙上に置き 1∼2 滴の濃硝酸でぬらすと試験片は黄色又は緑色となり,ろ紙で吸い

取るとろ紙に吸い取られた色は,美しい黄色となる。これに還元液(

5

)

を数滴滴下した場合,元のイン

ダンスレンブルーの青色となるときは,試験片の染色に使用されている染料はインダンスレンブルー

であると判定する。


9

L 1065 : 1999

(

5

)

還元液は,同質量の塩化第一すず,濃塩酸及び水から作成する。

参考  水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理の場合に,インダンスレンブルーは水酸化ナ

トリウム処理だけでは抽出は全然ないか,又はごくわずかであるが,これに亜ジチオン酸ナト

リウムを加えると著しく抽出される。インダンスレンブルーの還元による変色が目立たないの

は,ロイコ化合物の色が酸化されたときの青色とほとんど違わないからである。

8.1.6

酸化染料(アニリンブラックなど)の判定方法  8.1.2 a)の塩酸処理後の 1%アンモニア水で抽出さ

れず,水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理では変色し,空気酸化によって復色又は原色に近

い色相を呈したときに,8.1.4 又は 8.1.5 の染色試験を行っても白綿布が染色されないときは,試験片を蒸

発皿に取り,濃硫酸 2∼3ml を加えて染料を抽出するのに十分な時間かき混ぜる。次に,水 25∼30ml を入

れた試験管中に抽出液を入れると淡緑色を呈し,この液をろ紙でろ過し,ろ紙を数回水で洗浄してろ紙の

端に 10%水酸化ナトリウム溶液 2∼3 滴を滴下したとき,スポットが赤紫色を呈し,かつ,新しい試験片

を灰化するとき,酸化クロム(緑色)

,酸化銅(青緑色)又は酸化鉄(褐色)の灰(

6

)

を生じるときは,試験

片の染色に使用されている染料は酸化染料であると判定する。

(

6

)

ジフェニルブラック系のものは,灰化しても金属による呈色はない。

参考1.  酸化染料は水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理で暗褐色を呈する。

2.

有効塩素 4g/l の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸せきした後,1%塩酸溶液に浸せきする。酸化

染料で染色された試験片は,約 3 分間で褐色に変わる。

3. 16%

塩酸中で約 30 秒間煮沸し,冷却後これに少量の亜鉛粉末を添加しても,硫化水素ガスは

発生しない。

8.1.7

鉱物染料(カーキ染め)の判定方法  試験片の色調がカーキ色であって,かつ,8.1.2 a)の塩酸処理

後の 1%アンモニア水で抽出されず,水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理で変色しないか,

又は変色してもごくわずかの場合には,鉱物染料が使用されていると予想されるので,次の a)及び b)の試

験を行い,a)の試験で灰の量が多く,かつ,灰分中にクロムが確認(

7

)

され,b)の試験で脱色される場合に

は,試験片の染色に使用されている染料は鉱物染料であると判定する。

a)

試験片を灰化して,その量の多少及び灰分中にクロムが存在するかどうかを調べる。

b)

試験片を鉱酸で煮沸し,脱色の有無を調べる。

(

7

)  8.1.2 a) 1)

参照。

備考  鉱物染料(カーキ染め)染色物は,次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素 4g/l)で処理しても,又

は 40%ピリジン,N, N−ジメチルホルムアミドなどの溶液で煮沸しても変色しない。

8.1.8

ナフトール染料の判定方法  8.1.2 a)の塩酸処理後の 1%アンモニア水で抽出するときは,染料の抽

出がないか,又はわずかであるが,水酸化ナトリウム−亜ジチオン酸ナトリウム処理で変色又は脱色し,

酸化しても原色に復さないもので,かつ,金属の存在が認められなかった場合には,次の a)及び b)の試験

を行い,a)の試験で染料が抽出され,b)の試験で綿布が黄色に染まり,かつ,蛍光を発すれば,試験片の

染色に使用されている染料はナフトール染料であると判定する。

a)

試験片を試験管に取り,ピリジン 5ml を加えて煮沸し,染料が抽出されるかどうかを調べる。

b)

試験片を試験管に入れ,10%水酸化ナトリウム溶液 2ml とエチルアルコール 5ml を加えて煮沸し,水

5ml

と亜ジチオン酸ナトリウムとを加えて煮沸し,還元する。冷却後ろ過し,ろ液に白綿布と塩化ナ

トリウム 20∼30mg とを加えて 1∼2 分間煮沸し,放冷後綿布を取り出す。綿布が紫外線照射で蛍光を

発するかどうかを調べる。


10

L 1065 : 1999

参考  極めて緩やかに還元されるものや,ほとんど変色又は脱色しないものもある。

染料の抽出が不十分の場合もある。

いわゆるラピッドゲン染料の場合は蛍光を発しない。

備考  ナフトール染料は,ジメチルホルムアミド煮沸でも抽出される。

8.1.9

反応染料の判定方法  次の場合は,それぞれの試験片の染色に使用されている染料は反応染料であ

ると判定する。

a)

8.1.2 a)

の塩酸処理後の 1%アンモニア水で抽出されるが,N, N−ジメチルホルムアミドと水との混合

液 (1:1) 5ml に室温で 3∼4 分間振とう処理しても,染料の抽出がないか,又はわずかのもの。

b)  8.1.8

及び 8.1.2 b)によって,ナフトール染料又は直接染料(ジアゾ化顕色)でないと判定されたもの。

c)

8.1.4

の硫化染料及び硫化バット染料又は 8.1.5 のバット染料及び可溶性バット染料でないと判定され

たもので,8.1.8 a)のピリジンによる煮沸処理をしても,染料の抽出がほとんどないもの。

備考1.  有効塩素約4g/の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸せきした後,1%塩酸液に浸せきする。一部

のものを除き,反応染料で染色された試験片は,速やかに脱色又は変色する。

2.

反応染料は,8.1.2b)

(備考)のステアリン酸−尿素試験で,上層,下層とも着色しない。

3.

試験片を 10∼20%水酸化ナトリウム溶液で煮沸し,更に,亜ジチオン酸ナトリウム 0.05∼

0.10g

を加えて,染料が十分に脱色されるまで還元処理を繰り返す。次に,脱色した試験片を

亜硝酸ナトリウム 0.03g,水 10ml,濃塩酸 0.1ml 中で 15 分間,室温処理した後,希塩酸水で

洗浄してジアゾ化させ,直ちに

β−

ナフトール 0.01g,水酸化ナトリウム 0.01g,水 10ml 中で

15

分間室温処理し,水洗する。反応染料のアゾ系のもので染色された試験片の大部分のもの

は,朱色に発色する。

8.1.10

ピグメントレジンカラーの判定方法  8.1.2 a)の塩酸処理後の 1%アンモニア水で抽出されず,水酸

化ナトリウム-亜ジチオン酸ナトリウム処理でも変色しないが,8.1.2  b)の N, N−ジメチルホルムアミド煮

沸処理又は 8.1.8 a)のピリジンによる煮沸処理で,いずれの場合も染料が抽出され,かつ,上記の各種染料

部属に属さないときは,試験片の染色に使用されている染料は,ピグメントレジンカラーと判定してよい。

そのほか,ピグメントレジンカラーで染色されたものは

a)

石けん液を含ませ,もみ洗いすれば白っぽくなることが多い。

b)  N

−メチル−2−ピロリドンで試験片をぬらして白綿布で摩擦すると,大多数のものは白綿布を汚染す

る。

c)

有効塩素約 4g/の次亜塩素酸ナトリウム溶液の滴下試験では変化はみられない。

なお,判定試験方法は,次による。

1)

樹脂接着剤の有無を調べる。

2)

顕微鏡で横断面によって内部浸透度及び染料の粒子の大きさなどを観察する。この場合,サリチル

酸エチルのような光学用溶剤を用いるのがよい。

8.2

絹の場合

8.2.1

判定方法の順序  判定は,次の順序によって行う。

a)

まず,3.

要旨に基づいて,試験片が絹繊維品であることを鑑別した後,染料部属の判定試験を行う。

b)

次に,試験片がいずれの染料部属のものによって染色されているかを推定するために,あらかじめ抽

出処理などの予備試験を行う。

c)

前記予備試験によって,あらかじめ試験片の染料部属を予想し,それらの染料部属に従って試験片に

使用されている染料部属を判定する。


11

L 1065 : 1999

8.2.2

予備試験方法  試験片 3 片を採取し,それぞれ次の試験を行う。

a)

連続抽出試験  試験片を I−A 処理液を入れた試験管中で煮沸した後,取り出してろ紙で余分の液を

除く。次に,この処理試験片を使用し,別の試験管に入れた I−B,I−C 及び I−D 処理液について,

同様の操作を連続的に行う。

この場合の各処理液の容量は 5∼8ml,各抽出処理時間は 4∼5 分とする。

なお,I−C 処理液による抽出後,試験片は十分に水洗し,できるだけ酢酸分を残存しないようにし,

次の処理に移ることとする。

I

−A  処理液:水

I

−B  処理液:エチルアルコール

I

−C  処理液:氷酢酸

I

−D  処理液:濃アンモニア水

b)

単独アンモニア水による抽出試験  新しい試験片とアンモニア水(濃アンモニア水 1ml に水 5ml を加

えた割合のもの)5∼8ml を試験管に入れ,4∼5 分間煮沸する。

c)

灰化などによる金属反応試験  この試験方法は,セルロースの場合 8.1.2 a)に準じて行う。

8.2.3

直接染料の判定方法  8.2.2 a)及び b)による試験の結果,I-C 抽出液を除き,ほとんどの抽出液が着

色される場合は,直接染料又は酸性染料と推定する。この場合には,試験管に入れた 8.2.2 b)の抽出液を煮

沸して,アンモニアを蒸発,除去した後,水を加えて全容をほぼ最初の液容とする。この溶液に塩化ナト

リウム 0.03g を添加し,更に,白綿布を入れ,1∼2 分間煮沸染色する。もし,白綿布が試験片と同程度に

近い濃度に染着するときは,試験片の染色に使用されている染料は直接染料と判定する。

参考  この場合,酸性染料であれば一般に白綿布を全然汚染しないか,多少汚染する程度であり,直

接染料の場合と染着程度が違うことが,両者を判定する一つの指針となる。

8.2.4

酸性染料の判定方法  予備試験の結果,8.2.3 の場合と同様に,直接染料又は酸性染料と推定され

た場合には,試験管に入れた 8.2.2 b)の抽出液を 10%酢酸液で中和し,更に,その数滴を過剰に加えて酸性

にした後,白綿布を入れて 1∼2 分間煮沸染色し,洗浄する。白綿布が十分に染着されないときは,試験片

の染色に使用されている染料は酸性染料と判定する。

備考  この試験の判定は,直接染料及び金属錯塩酸性染料の判定試験(8.2.3 及び 8.2.7 参照)を併行

して行い,それらの結果を比較検討して行う。

8.2.5

塩基性染料の判定方法  予備試験の結果,I-B 及び I-C の両抽出液が特に著しく着色し,I-A 抽出液

にも,ときに着色が認められるときは,塩基性染料が使用されていると推定する。この場合には,次の方

法のいずれかを行い判定する。

第 法  試験管に入れた I−B 抽出液又は新しい試験片について I−B 抽出を行った抽出液を煮沸して,エ

チルアルコール分をほとんど蒸発させ,これに水 5ml を加えて再び煮沸しエチルアルコール分を

除去する。この抽出液を使用し,セルロースの場合  (8.1.3)  に準じて塩基性染料の判定を行う。

第 法  試験管に入れた I−C 抽出液,又は新しい試験片について I−C 抽出を行った抽出液について,セ

ルロースの場合  (8.1.3)  に準じて,塩基性染料の判定を行う。

備考  酸性染料のトリフェニルメタン系のものは,塩基性染料と同様に,酢酸層が元のエチルアルコ

ール抽出液と同じ色相に復色する。


12

L 1065 : 1999

8.2.6

酸性媒染染料の判定方法  8.2.2 a)による試験の結果,I−A 及び I−B 抽出液がまったく着色しない

か,又はほとんど着色しない程度であるが,I−C 又は I−D 抽出液では,ときに着色が認められ,かつ,

試験片についてクロムの反応が検出されるときには,酸性媒染染料であることが推定される。この場合に

は次の試験を行い,a)及び b)の結果がでるときは,酸性媒染染料と判定する。

a)

8.2.2 b)

の試験による抽出の程度は,多くの場合わずかであり,この抽出液に少量の水を加えた浴で白

綿布を煮沸しても染着されない。

b)  8.2.2 c)

の試験によって,クロム(

8

)

が著しく検出され,そのクロム量は,クロムを含有する金属錯塩酸

性染料の場合と比較すると,一般的には極めて多量である。

(

8

)

セルロースの場合  [8.1.2 a) 1)]  参照。

8.2.7

1

形及び 1形の金属錯塩酸性染料の判定方法  8.2.2 a)の I−A,I−B 及び I−C 抽出液の着色

がほとんどないか,又は I−B 及び I−C 抽出液に,ときに着色が認められたとき,1:1 形及び 1:2 形の

金属錯塩酸性染料の存在が推定される。この場合には次の判定試験を行い,a)で白綿布が十分に染着され

ず,b)で灰中にクロム,コバルト又はマンガンのいずれか一つが確認されるときは,試験片の染色に使用

されている染料は 1:1 形又は 1:2 形の金属錯塩酸性染料と判定する。

a)

8.2.2 b)

の抽出液のアンモニアを煮沸除去した後,8.2.4 の酸性染料の場合と同様の操作を行う。

b)  8.2.2 c)

によって金属の確認を行う。

参考  コバルト又はマンガンは,1:2 形の金属錯塩酸性染料のものに含有する。

8.2.8

反応染料の判定方法  8.2.2  a)及び b)による試験の結果では,各抽出液はほとんど各場合とも着色

しないか又は溶出速度は緩やかであり,この試験の結果と,染色物の鮮明な色相などの諸点から,反応染

料であることが推定される場合には,次の抽出試験を行い,a)b)及び c)のいずれの試験でも染料は溶出

しないか,又は溶出速度は緩やかであるときは試験片の染色に使用されている染料は反応染料と判定する。

a)

新しい試験片を試験管に入れ,これに N, N−ジメチルホルムアミドと水との混合液 (1:1) 5∼8ml を

加え,3∼4 分間煮沸する。

b)  a)

から取り出した試験片を N, N−ジメチルホルムアミド溶液 5∼8ml で 3∼4 分間煮沸する。

c)

b)

から取り出した試験片を酢酸溶液(氷酢酸と水とを同容混合した割合のもの)5∼8ml で 3∼4 分間

煮沸する。

参考  他部属染料染色物の場合には必ずいずれかの試験で速やかに溶出する。

8.2.9

バット染料及び可溶性バット染料の判定方法  8.7.2  a)及び b)による試験の結果では各抽出液の着

色はほとんどないが,あってもこの抽出処理液によって判定試験を行うことのできる程度ではない場合が

多いので,したがって,この試験によってバット染料又は可溶性バット染料が推定されるときは,新しい

試験片を採取し,次のような判定試験を行う。

試験片を試験管に入れ,10%水酸化ナトリウム溶液 2.5ml を加えて煮沸し,試験片を溶解する。これに

亜ジチオン酸ナトリウム 0.025∼0.050g を加え,更に白綿布と塩化ナトリウム 0.025∼0.050g を加えて,試

験管を 1∼2 分間煮沸する程度にまで加熱した後,室温まで冷却する。綿布を取り出し,ろ紙上に 1∼2 分

間放置し,更に,酢酸及び硝酸ナトリウムを含有する酸化溶液に浸せきする。白綿布が染色されるときは,

試験片の染色に使用されている染料は,バット染料又は可溶性バット染料であると判定する。

なお,極めて淡色の試料の場合には,1 回の処理液による白綿布の染色程度は少ないから,この場合に

は新しい試験片を使用して同一綿布を何回も新しい処理液で繰り返し処理した後,その着色程度によって

判定する。

参考  バット染料及び可溶性バット染料染色の場合には,重クロム酸カリウムを使用する場合がある


13

L 1065 : 1999

が,クロムの存在は必ずしも上記染料判定の決め手とはならない。

8.2.10

媒染染料(ログウッド黒)の判定方法  前記各種の判定試験で,それらの染料の存在が認められず,

試料の色相が黒系統であって,かつ,予備試験の結果,I-B,I-D 抽出液の着色が認められないが,I-A 抽

出液が褐色,I-C 抽出液が黄色に着色する場合には,一応ログウッド黒染めと推定する。この場合には,

更に次の試験によって a)b)又は c)の結果がでるときは,ログウッド黒であると判定する。

試験管に新しい試験片と希塩酸 5∼8ml を入れ,4∼5 分間煮沸すると,液は赤色ないし赤褐色を呈する。

更にこの液について次のいずれかの試験を行う。

a)

塩化第一すず溶液少量を添加すると,いちご色に変わる。

b)

アンモニア水で中和すると,液は紫色に変わり黒色の沈殿が認められる。

c)

ふっ化クロムを添加すると沈殿を生ずる。

8.3

毛の場合

8.3.1

判定方法の順序  3.要旨に基づいて試験片が毛繊維品であることを鑑別した後,次の予備試験を行

い,使用染料部属を推定する。次に規定の方法に基づいて判定試験を行い,試験片に使用されている染料

部属を判定する。

8.3.2

予備試験方法  予備試験の方法は,絹の場合(8.2.2)と同様にして行う。

参考  予備試験における抽出液の着色程度は,絹の場合に比較して一般に少ない。

8.3.3

直接染料の判定方法  絹の場合(8.2.3)に準じて試験を行い判定する。

8.3.4

酸性染料の判定方法  絹の場合(8.2.4)に準じて試験を行い判定する。

8.3.5

塩基性染料の判定方法  絹の場合(8.2.5)及びセルロースの場合(8.1.3)に準じて試験を行い判定する。

8.3.6

酸性媒染染料及び媒染染料の判定方法  絹の酸性媒染染料の場合(8.2.6)に準じて試験を行い判定

する。

参考  媒染染料の場合はクロム媒染によるものが大部分であり,この場合においては酸性媒染染料と

の区別は難しい。

8.3.7

1

形及び 1形の金属錯塩酸性染料の判定方法  絹の場合(8.2.7)に準じて試験を行い判定する。

8.3.8

反応染料の判定方法  絹の場合(8.2.8)に準じて試験を行い判定する。

8.3.9

バット染料及び可溶性バット染料の判定方法  絹の場合(8.2.9)に準じて試験を行い判定する。

参考  一般に毛には可溶性バット染料によって染色することが多く,バット染料によることは,極め

て少ない。

8.4

アセテートの場合

8.4.1

判定方法の順序と要約  分散染料,顕色性分散染料,ピグメントレジンカラー及びナフトール染料

間の染料部属の判定方法の順序は任意でよい。

N

−メチル−2−ピロリドンによる染料抽出方法は,次のとおりとする(

表 参照)。

試験片 (0.1∼0.3g)  を試験管に採り,これに 25%N−メチル−2−ピロリドン溶液 5ml を加えて,沸騰水

の入っているビーカー中に挿入し,10∼20 分間加熱後試験管を取り出し,抽出液 (A) と抽出処理した試

験片とを分ける。

A

抽出液を分液漏斗に採り,これにトルエン 3∼5ml と水 20∼25ml とを添加し,よく振とう放置後,水

層 (B) とトルエン層 (C) とに分ける。

C

トルエン層を分液漏斗に採り,水で洗浄後,トルエン層 (D) を得る。D トルエン層を乾燥ろ紙でこし

分けて得たトルエン溶液を水浴上で蒸発乾固して蒸発残さ (F) を得る。


14

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表 3  アセテートの場合の抽出方法

分散染料の判定方法は F 蒸発残さが,顕色性分散染料には B 水層と F 蒸発残さが,ピグメントレジンカ

ラーには B 水層と C トルエン層とが用いられる。

8.4.2

分散染料の判定方法  8.4.1 の F 蒸発残さを試験管に採り,分散剤で水に分散させ,白アセテート

布を染色する。アセテート布が試験片の色相とほとんど同じ色相に染色されたときは,試験片に使用され

ている染料は分散染料であると判定する。

8.4.3

顕色性分散染料の判定方法  次の場合には顕色性分散染料と判定する。

a)

A

抽出液は着色しないか,又は試験片とは異なった色に着色している。その着色は試験片の色に関係

なく褐色である。

b)  B

水層と C トルエン層ともに着色する。それらの着色の程度は試験片の種類によってまちまちである

が,色相は淡褐色を呈する。

参考  顕色性分散染料の実証は,いかなる繊維をも染色できないという消極的な方法による以外には

ない。

8.4.4

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)に準じて試験を行い判定する。

参考  B 水層がミルク状に混濁するが,C トルエン層は着色又は着色しない。

8.4.5

ナフトール染料の判定方法  セルロースの場合(8.1.8)に準じて試験を行い判定する。

8.5

ナイロンの場合

8.5.1

判定方法の順序と要約  ナイロンの場合の判定方法はナイロン試薬を用いて染料を抽出し,次いで

表 及び表 のように処理して染料部属を判定する。

染料の抽出及びその処理は,次のとおりとする。

試験片 0.2∼0.3g を試験管にとり,これにナイロン試薬(

9

)10

∼12ml を加えて,この試験管を沸騰水の入

ったビーカー中に挿入し,染料が十分に抽出されるまで水浴の煮沸を続ける。染料が十分に抽出されたら

試験管を取り出し,デカントして抽出液 (A) と抽出処理した試験片とを分ける。A 抽出液を分液漏斗に採

り,これに 5∼10 倍容のトルエンを加えて,振とうする。これに更に A 抽出液の 0.2 倍容の水を加えて再

び振とうし,静置後水層 (B) とトルエン層 (C) とに分ける。C トルエン層を分液漏斗に採り,水に 20∼

25ml

で 5∼6 回洗浄し

[水層 (D) ]

過剰の N−メチル−2−ピロリドンを除いた後乾燥ろ紙でこし分ける。

このようにして得られたトルエン層 (E) を蒸発皿に採り,水浴又は蒸気浴上でトルエンを蒸発させる。得

た残さ (F) を,バット染料,分散染料,ナフトール染料及びある種の 1:2 形金属錯塩酸性染料の判定に


15

L 1065 : 1999

用いる。

表 4

B

水層に含まれる直接染料,塩基性染料,酸性染料,酸性媒染染料,1:1 形及び 1:2 形の金属錯塩酸

性染料の判定試験に用いる染料溶液は,

表 のように処理して作る。

表 5

すなわち A 抽出液を分液漏斗に採り,これにテトラヒドロフラン 16ml とリグロイン 20ml とを加えて振

とうする。液が混濁し,二つの層に分離しそうになるまでリグロイン 1ml ずつを加え,その都度振とう,

静置する。液が二つの層に分離するようになったときに,これに液が再び均一になるまでテトラヒドロフ

ランを極めて少量ずつ添加,振とう,静置する。この均一な相にリグロインを少量ずつ添加,振とう,静

置を繰り返して,下層の着色層が 1∼3ml になるようにする。着色層がこの容量でないときはリグロイン

とテトラヒドロフランの割合を変えて,1∼3ml になるように調節しなければならない。

このようにして得られた下層の着色水層 (G) の約

2

1

を試験管に採り,

これに水 3∼5ml を加えて煮沸し,


16

L 1065 : 1999

試験管の口に点火して,リグロインとテトラヒドロフランを蒸発させる。火が消え,水蒸気だけが蒸発す

るようになるまで煮沸を続ける。このようにして得た着色水溶液 (I) を,直接染料,塩基性染料,酸性染

料,酸性媒染染料,1:1 形及び 1:2 形の金属錯塩酸性染料の判定に用いる。

(

9

)

ナイロン試薬は,N−メチル−2−ピロリドン92部に85%ぎ酸8部を混合して作る。

8.5.2

バット染料及び可溶性バット染料の判定方法  F 残さを 5%水酸化ナトリウム溶液 3∼6ml に溶解し,

これに亜ジチオン酸ナトリウム 0.005∼0.015g を添加する。

この染浴に白綿布の小片を入れて染色したとき

白綿布によく染着したときには,試験片の染色に使用されている染料はバット染料又は可溶性バット染料

と判定する。

参考  A 抽出液中にブリリアントインジゴが存在する場合には,特別の注意が必要である。この染料

はナイロン試薬での加熱に敏感で,加熱時間が長くなると染料が破壊されるため,抽出にあた

っては厳密な注意が必要で,染料が十分抽出されると,直ちに試験管をビーカーから取り出さ

なければならない。

8.5.3

分散染料の判定方法  F 残さ(分散染料の有無を見たいときは E トルエン層の蒸発は容積が 0.5∼

1.0ml

になったときに止める。

)に陰イオン系分散剤の 10%溶液 1 滴と水 5∼7ml とを加える。この染浴に

白アセテート布の小片を入れて染色したときによく染色されれば,試験片の染色に使用されている染料は

分散染料であると判定する。

8.5.4

ナフトール染料の判定方法  F 残さをエチルアルコール 5ml と 10%水酸化ナトリウム溶液 1ml とで

試験管に入れ,これに水 3∼5ml を添加し,煮沸してエチルアルコールを除去する。次いで亜ジチオン酸

ナトリウム 0.01∼0.02g を加え,染料が変色又は脱色されるまで煮沸を続ける。必要があれば亜ジチオン酸

ナトリウム及び水酸化ナトリウム溶液を追加する。染料が変色又は脱色されたならば,これに白綿布 0.005

∼0.010g と塩化ナトリウム 0.01∼0.02g とを加え,1∼2 分間煮沸した後室温まで放冷する。綿布が黄色に

染色され,その乾燥綿布が紫外線下で黄色蛍光を発するときは,試験片の染色に使用されている染料はナ

フトール染料と判定する。

参考  ラピドゲン染料の場合は蛍光を発しない。

8.5.5

1

形及び 1形の金属錯塩酸性染料の判定方法  8.1.2 a)によって試験片を灰化したとき,灰分

中にクロム,コバルト又はマンガンを含み,かつ F 残さ又は I 着色水溶液で白羊毛布を煮沸した場合,試

験片と同じ色相に染着したときは,試験片の染色に使用されている染料は 1:1 形又は 1:2 形の金属錯塩

酸性染料と判定する。

備考1.  1:1形の金属錯塩酸性染料は,ナイロン試薬処理によって染料が抽出されることが少ない。

2.

1

:2 形の金属錯塩酸性染料は,C トルエン層と B 水層との両層に存在する場合もあるし,ま

た,いずれか一方の層にだけ存在する場合もある。

3.

1

:2 形の金属錯塩酸性染料には,コバルト又はマンガンも含有するものがある。

8.5.6

直接染料の判定方法  I 着色水溶液を使用し,セルロースの場合(8.1.2)に準じて試験を行い判定す

る。

8.5.7

塩基性染料の判定方法  I 着色水溶液を使用し,セルロースの場合(8.1.3)に準じて試験を行い判定

する。

8.5.8

酸性染料の判定方法  I 着色水溶液を試験管に採り,これに 10%酢酸 3∼4 滴と白羊毛布 0.005∼

0.010g

とを加え,煮沸後室温まで放冷する。白羊毛布が染料を吸尽し,試験片と同じ色相に染色されたと

きは,試験片の染色に使用されている染料は酸性染料と判定する。


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8.5.9

酸性媒染染料の判定方法  8.1.2 a)によって試験片を灰化したとき,灰分中にクロムを含有しており,

かつ,I 着色水溶液で白羊毛布を染色すると,試験片と異なった色相に染色される。また,ナイロン試薬

処理によって染料が抽出されることが少なく,かつ,その液の色は試験片の色と異なった色相である。こ

のような場合には,試験片に使用されている染料は酸性媒染染料であると判定する。

8.6

ビニロンの場合

8.6.1

直接染料の判定方法  セルロースの場合(8.1.2)に準じて試験を行い判定する。

8.6.2

分散染料の判定方法  アセテートの場合(8.4.2)に準じて試験を行い判定する。

8.6.3

顕色性分散染料の判定方法  アセテートの場合(8.4.3)に準じて試験を行い判定する。

8.6.4

硫化染料及び硫化バット染料の判定方法  セルロースの場合(8.1.4)に準じて試験を行い判定する。

8.6.5

バット染料の判定方法  セルロースの場合(8.1.5)に準じて試験を行い判定する。

8.6.6

ナフトール染料の判定方法  セルロースの場合(8.1.8)に準じて試験を行い判定する。

8.6.7

1

形金属錯塩酸性染料の判定方法  ナイロンの場合(8.5.5)に準じて試験を行い判定する。

8.6.8

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)に準じて試験を行い判定する。

8.7

アクリル及びアクリル系の場合

8.7.1

判定方法の順序と要約  アクリル及びアクリル系の場合の判定方法は,40%N−メチル−2−ピロリ

ドン溶液を用いて染料を抽出し,次いで

表 のように処理し,分散染料とある種の 1:2 形金属錯塩酸性染

料は F 蒸発残さを,塩基性染料と酸性染料と 1:2 形金属錯塩酸性染料は,ともに B 水層を用いてそれぞ

れの染料部属を判定する。

試験片 (0.2∼0.3g)  を試験管に採り,これに 40%N−メチル−2−ピロリドン溶液 2ml を加え,この試験

管を沸騰水の入ったビーカー中に挿入し,10∼20 分間染料が十分に抽出されるまで水浴の沸騰を続ける。

染料が十分に抽出されたら試験管を取り出し,デカントして抽出液 (A) と抽出処理した試験片とに分ける。

A

抽出液を分液漏斗に採り,これにトルエン 10ml を注加し,振とうする。更に水 1ml を添加して再び

振とうし,静置して水層 (B) とトルエン層 (C) とに分ける。

C

トルエン層を分液漏斗に採り,水で数回洗浄して水層 (D) とトルエン層 (E) とに分ける。E トルエン

層を蒸発皿に採り,水浴上でトルエンを揮発させて残さ (F) を得る。


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表 6

8.7.2

分散染料の判定方法  F 蒸発残さを陰イオン系分散剤の 10%水溶液 1 滴をもって水に分散させる。

この染浴に白アセテート布と白羊毛布との小片を入れて加熱染色したとき両方の布によく染着(ただし,

一般にはアセテート布の方が濃く染色される。

)したときには,試験片の染色に使用されている染料は分散

染料と判定する。

8.7.3

1

形金属錯塩酸性染料の判定方法  試験片を灰化したときに,その灰分中にクロム,コバルト

又はマンガンが存在し,かつ,F 蒸発残さ又は B 水層を用いて 8.7.2 の染色試験に準じて白アセテート布と

白羊毛布とを染色した場合羊毛だけに染着したときには,試験片の染色に使用されている染料は 1:2 形金

属錯塩酸性染料と判定する。

8.7.4

塩基性染料の判定方法  B 水層を使用し,セルロースの場合(8.1.3)に準じて試験を行い判定する。

8.7.5

酸性染料の判定方法  試験片を灰化したとき,その灰分中に金属を含有せず,かつ,8.7.4 の染色

試験で塩基性染料が認められなければ,試験片の染色に使用されている染料は酸性染料と判定する。

8.7.6

酸性媒染染料の判定方法  試験片を灰化したとき,その灰分中に多量のクロムを含有し,この場合

の判別は,クロムの確認試験(

10

)

によってクロムが著しく検出されれば,試験片の染色に使用されている染

料は酸性媒染染料と判定する。

(

10

)

セルロースの場合[8.1.2 a) 1)]参照。

参考  1:2 形金属錯塩酸性染料もクロムを含有するが,酸性媒染染料の場合と比較してその含有量は

常に少ない。

8.7.7

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)に準じて試験を行い判定する。

8.8

ポリエステルの場合

8.8.1

判定方法の順序  塩基性染料,分散染料,ピグメントレジンカラーの判定方法の順序は任意でよい。

ただし,試験片にカチオン可染ポリエステルが使用されていることがあらかじめ判明しているときは,塩

基性染料の判定方法から始めた方がよい。


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8.8.2

塩基性染料の判定方法  試験片を試験管に採り,氷酢酸 0.25∼0.50ml を加えて加熱した後,水 3∼

5ml

を加え,振とうしてから試験片を取り出し,以下セルロースの場合(8.1.3)の a)に準じて試験を行い判

定する。

8.8.3

分散染料及び顕色性分散染料の判定方法  レゾルシノール 1.5∼2.0g を試験管に採り,その上に試

験片を落とす。ブンゼンバーナ上で注意して加熱し,レゾルシノールを溶融する。

レゾルシノールが溶けて液状になったとき,ときどき加熱しながら試験管を振とうし,試験片を完全に

レゾルシノールに溶かし,室温にまで放冷する。この場合溶融したレゾルシノールが試験管の底で固化す

ることがなく,内部のガラス壁に広がって固化するよう注意する。次いでエチルエーテル 10∼15ml を注

加して抽出を行う。抽出液をろ紙で試験管にろ過する。

この場合ろ過残さが白色ないしは極めて淡い色を呈するときは,分散染料の存在を示す。また残さが暗

色を呈するときは,顕色性分散染料の存在を示す。

なお,両染料を正確に判定するには次の試験を行う。

上記エーテル抽出液のろ液からエーテルを揮発させる。試験管に水 20∼25ml を注加してレゾルシノー

ルを溶融し,次いで染料を抽出するためにクロロホルム 3∼5ml を注加する。試験管を振とうし,液を分

液漏斗に移し,なお水を加える。着色した底部のクロロホルム層を別の試験管に分ちとる。これに陰イオ

ン系分散剤の 10%水溶液 1,2 滴と,水 0.5∼1.0ml を加える。水浴上で試験管を加熱してクロロホルムを

揮発させ,更に水 3∼6ml を加える。煮沸して染料を分散させ,白アセテート布を投入する。アセテート

布が染色されるときは,試験片の染色に使用されている染料は分散染料と判定する。

参考  この場合,顕色性分散染料はアセテート布をわずかに汚染するだけである。

8.8.4

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)の a)c)及び 1) 2)に準じて試験を

行い判定する。

参考  ピグメントレジンカラーで染色された試験片は,8.8.2 の氷酢酸加熱処理で,抽出液が乳濁し,

また,わずかに着色する。

8.9

ビニリデンの場合

8.9.1

分散染料の判定方法  ポリエステルの場合(8.8.3)に準じて試験を行い判定する。

8.9.2

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)に準じて試験を行い判定する。

8.10

ポリ塩化ビニルの場合

8.10.1

分散染料の判定方法  ポリエステルの場合(8.8.3)に準じて試験を行い判定する。

8.10.2

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)に準じて試験を行い判定する。

8.11

プロミックスの場合

8.11.1

判定方法の順序と要約  プロミックスの場合の判定方法は,アクリル及びアクリル系の場合

(8.7.1)

に準じて試験を行い,

表 のように処理し,酸性染料,1:2 形金属錯塩酸性染料及び塩基性染料は

B

水層を,分散染料は F 蒸発残さを用いてそれぞれの染料部属を判定する。

8.11.2

酸性染料の判定方法  B 水層を試験管に採り,ナイロンの場合(8.5.8)に準じて試験を行い判定する。

8.11.3  1

形金属錯塩酸性染料の判定方法  8.1.2 a)によって試験片を灰化したとき,その灰分中にクロ

ム又はコバルトのいずれかを含み,かつ,B 水層を使用して,ナイロンの場合(8.5.5)に準じて試験を行い

判定する。

8.11.4

塩基性染料の判定方法  B 水層を使用し,セルロースの場合(8.1.3)に準じて試験を行い判定する。

参考  酸性染料のトリフェニルメタン系のものは,塩基性染料と同様,抽出液と同じ色相に酢酸層が

復色するが,8.11.2 の試験で十分に羊毛布を染色する。


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8.11.5

分散染料の判定方法  F 蒸発残さを使用し,アクリル及びアクリル系の場合(8.7.2)に準じて試験を

行い判定する。

参考  顕色性分散染料のものは,試験片とは異なった色相で,アセテート布をわずかに汚染する。

8.11.6

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)の a)c)及び 1) 2)に準じて試験を行

い判定する。

参考  ピグメントレジンカラーで染色された試験片は,40%N−メチル−2−ピロリドン溶液でわずか

に抽出されるものがあり,水層はミルク状に混濁する。

8.12

ポリクラールの場合

8.12.1

分散染料の判定方法  アクリル及びアクリル系の場合(8.7.1)及び(8.7.2)に準じて試験を行い判定す

る。

参考  顕色性分散染料のものは試験片とは異なった色相で,アセテート布をわずかに汚染する。

8.12.2

ピグメントレジンカラーの判定方法  セルロースの場合(8.1.10)の a)c)及び 1) 2)に準じて試験を

行い判定する。

参考  ピグメントレジンカラーで染色された試験片は,40%N−メチル−2−ピロリドン溶液でわずか

に抽出されるものがあり,水層はミルク状に混濁するが,トルエン層にはほとんど着色しない。


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附属書(規定) 

1.

セルロースの場合(別法)

1.1

判定方法の順序  附属書表に示す順序で,あらかじめ抽出処理などの予備試験を行って染料部属の

グループを推定し,次に,それらの染料部属のグループごとに判定試験を行い判定する。

なお,予備試験は,次に示す方法によって行う。

A

処理液:50%N,N−ジメチルホルムアミド溶液

A'

処理液:30%ピリジン溶液

B

処理液:ピリジン

a)

試験片を A 処理液 5ml を入れた試験管中で,よく振とうしながら室温で処理したとき,2∼3 分以内

に抽出液が着色される場合は,直接染料又は塩基性染料と推定する。

なお,上記の試験で抽出程度の判断がつかない場合は,新しい試験片を A'処理液 5ml を入れた試験

管中に室温で処理したとき,

直接染料又は塩基性染料の場合は,

いずれも速やかに抽出液を着色する。

b)

上記 a)の試験で抽出液に着色がないか,又はわずかの場合は,新しい試験片を B 処理液 5ml を入れた

試験管中で煮沸処理したとき,抽出液が着色される場合は,硫化染料,硫化バット染料,バット染料,

可溶性バット染料,ナフトール染料又はピグメントレジンカラーと推定する。

c)

a)

及び b)の両試験で,いずれの抽出液にも着色がないか又はわずかの場合は,反応染料と推定する。

参考  硫化染料の一部のものに,ピリジンの煮沸処理でほとんど抽出されないものがある。

附属書表

50%N, N

−ジメチルホルムアミド溶液 5ml で室温処理又は 30%ピリジン溶液 5ml で室温処理

予備試験

染料の抽出あり

染料の抽出がないか,又はわずかであるとき,新しい試験片でピリジンによる煮沸

染料の抽出があるとき,新しい試験片で水酸化ナトリウム−亜ジ
チオン酸ナトリウムによる煮沸処理

染料の抽出がないか
又はわずかのもの

変化するもの

ほとんど変化のないもの

復色しないもの  酸化によって復色する

もの



3%

アンモニア水の煮沸

処理による染料の抽出
試験及び抽出液による

染色試験。 
塩酸処理後の 1%アンモ
ニア水煮沸処理による

染料の抽出試験及び抽
出液による染色試験 
金属の確認

1.2 

直接染料 
氷酢酸の煮沸抽出液に

よる復色試験及び染色
試験

1.3 

塩基性染料

ピリジン煮沸及
び蛍光試験

1.6 

ナフトール染料
の一部

硫化ナトリウムを使用
し,染色と硫黄確認

1.4 

硫化染料又は硫化バッ
ト染料

亜ジチオン酸ナトリウ
ムを使用し,染色

1.5 a) 

インダンスレンブルー
以外のバット染料又は
可溶性バット染料

濃硝酸滴下呈色試験

1.5 b) 

インダンスレンブルー 
バットブルー 
ピリジン煮沸及び蛍光

試験

1.6 

ナフトール染料の一部

1.7 

ピグメントレジンカラ

1.8 

反応染料

1.2

直接染料の判定方法  1.1 a)の試験の結果,直接染料又は塩基性染料と推定したものについて,本体

の 8.1.28.1.2 a)又は 8.1.2 b)によって判定する。

1.3

塩基性染料の判定方法  1.1 a)の試験の結果,直接染料又は塩基性染料と推定したものについて,本

体の 8.1.3 の試験を行い判定する。


22

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1.4

硫化染料及び硫化バット染料の判定方法  1.1 b)の試験の結果,硫化染料,硫化バット染料,バット

染料,可溶性バット染料,ナフトール染料又はピグメントレジンカラーと推定したものについて,本体の

8.1.4

によって判定する。

1.5

バット染料及び可溶性バット染料の判定方法  1.1 b)の試験の結果,硫化染料,硫化バット染料,バ

ット染料,可溶性バット染料,ナフトール染料又はピグメントレジンカラーと推定したものについて,次

の a)及び b)によって判定する。

a)

インダンスレンブルー以外のバット染料及び可溶性バット染料の判定方法は,本体の 8.1.5 a)によって

判定する。

b)

インダンスレンブルーの判定方法は,本体の 8.1.5 b)によって判定する。

1.6

ナフトール染料の判定方法  1.1 a)の試験の結果,硫化染料,硫化バット染料,バット染料,可溶性

バット染料,ナフトール染料又はピグメントレジンカラーと推定したものについて,本体の 8.1.8 によって

判定する。

1.7

ピグメントレジンカラーの判定方法  1.1 b)の試験の結果,硫化染料,硫化バット染料,バット染料,

可溶性バット染料,ナフトール染料又はピグメントレジンカラーと推定したものについて,本体の 8.1.10

によって判定する。

1.8

反応染料の判定方法  1.1 c)の試験の結果,反応染料と推定したものについて,本体の 8.1.9 によっ

て判定する。

染色物の染料部属判定方法原案作成委員会  構成表(昭和 58 年 10 月 1 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

岩  片  武  史

通商産業省横浜繊維製品検査所

菅  原  淳  夫

財団法人日本規格協会

山  本  繁  文

工業技術院標準部

山  田  昌一郎

通商産業省生活産業局

鈴  木  音次郎

通商産業省金沢繊維製品検査所

田  中  郁  衛

化成品工業協会

安  田      功

三菱化成工業株式会社

杉  本  忠  昭

日本化薬株式会社

山  田  国  雄

住友化学株式会社

藤  井  志  朗

三井東圧化学株式会社

今  込      博

保土谷化学工業株式会社

斉  藤  昇  栄

財団法人日本染色検査協会

近  藤  一  夫

杉野女子大学

古  屋  匡  蔵

工業技術院繊維高分子材料研究所

山  形  昭  衛

東京都立繊維工業試験場

志  茂  昌  幸

財団法人日本染色協会

越  川  寿  一

杉野女子大学

中  沢  正  隆

財団法人日本化学繊維検査協会

小  野  正  義

財団法人日本紡績検査協会

安  田      穣

財団法人毛製品検査協会

平  林  秀  人

財団法人麻製品検査協会

別  能  恒  夫

日本化学繊維協会

安  部  一  男

財団法人綿スフ織物検査協会