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L 1061:2004  

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人繊維評価

技術協議会(JTETC)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS L 1061:1987は改正され,この規格に置き換えられる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない 

L 1061:2004  

(2) 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 試料又は試験片の採取及び準備 ·························································································· 1 

5. 試験条件 ························································································································ 1 

6. 試験の種類 ····················································································································· 1 

7. 試験方法 ························································································································ 2 

7.1 A法(屈曲反復法) ······································································································· 2 

7.2  B法 ··························································································································· 2 

8. 試験報告書 ····················································································································· 5 

日本産業規格          JIS 

L 1061:2004 

織物及び編物のバギング試験方法 

Testing methods for bagging of woven and knitted fabrics 

1. 適用範囲 この規格は, 織物及び編物のバギング試験方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7721  引張・圧縮試験機−力計測系の校正・検証方法 

JIS L 0105  繊維製品の物理試験方法通則 

JIS L 0208  繊維用語−試験部門    

JIS L 1018  ニット生地試験方法 

JIS L 1096  一般織物試験方法 

JIS Z 8401  数値の丸め方            

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 0105及びJIS L 0208によるほか,次による。 

a) バギング 織物又は編物の特定部分に力が加わり,繊維又は糸が伸長して,その部分が突出し,膨れ

た状態で固定される現象。例えば,衣服のひじ部又はひざ部が着用中の手足の屈伸運動によって膨れ

た状態で固定される現象。ひじ抜け又はひざ抜けともいう。 

4. 試料又は試験片の採取及び準備 JIS L 0105の5.3(1)又は(2)によって試料を採取する。ただし,試料

が製品の場合は,表生地から無作為に採取する。また,試験に用いる試験片は,試験前にJIS L 0105の4.3(1)

によって標準状態にしておく。 

5. 試験条件 JIS L 0105の4.1及び4.2によって標準状態の試験場所で試験を行う。試験場所が標準状態

に保てない場合は,できる限り標準状態に近い場所で試験を行い,試験時の温度及び湿度を試験報告書に

記載する。 

6. 試験の種類 試験は,次の2種類とし,これらの中から適切な方法を選んで行う。 

a) A法(屈曲反復法)この方法は,主に形態安定性のある織物及び編物に適用する。 

b) B法 B法は,次のいずれかによる。 

1) B−1法(定荷重法)この方法は,主に織物に適用する。 

2) B−2法(定伸長法)この方法は,主に編物に適用する。 

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7. 試験方法  

7.1 

A法(屈曲反復法) A法は,次による。 

a) 

装置 装置は,次による。 

1) 屈曲反復形試験機 図1,図2及び図3に示すような構造とし,次の条件を備えているもの。 

円筒 

外径 30 mm 

長さ 試験片を固定する部分が160 mm 

表面 めっき仕上げのもの 

屈曲部の曲率半径 15 mm 

屈曲したときの脚角度 140°又は130°に調整できるもの 

止め具 幅 15 mmで試験片を固定できるもの 

図1 屈曲反復形試験機の一例 

図2 円筒 

        図3 止め具 

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b) 操作 4.の試料から,織物にあってはたて糸方向及びよこ糸方向に,また,編物にあってはウェール

方向及びコース方向に,大きさ160×120 mmの試験片をそれぞれ3枚採取し,厚さa (mm) (1)を測定

する。この試験片を図4に示すように表側を外面にして, 円筒状にポリエステル縫糸で試験片の端か

ら10 mmの位置を本縫いする。 

次に,円筒状に縫った試験片を屈曲反復形試験機の円筒に装着し,図3の止め具を用いてその両端

を固定した後,織物にあっては140°の脚角度で,また,編物にあっては130°の脚角度で毎分100

回の速さで連続して1000回屈曲反復する操作を行う。 

操作後,速やかに試験片を屈曲反復形試験機から取り外し,試験片の縫い目に沿って切断し,平ら

な台に試験片の表側を上にして形態を崩さないように注意して広げ,30分間放置する。放置後,図5

に示すような測定方法によって凸部の最高位の高さb (mm) を測定し, 次の式によって膨れ高さを求

める。 

試験結果は,たて方向及びよこ方向別にそれぞれ膨れ高さの3回の平均値を JIS Z 8401によって小

数点以下1けたに丸めて表す。 

膨れ高さ (mm)=b−a 

ここに, 

a : 試験片の試験前の厚さ (mm)  

b : 試験片の凸部の最高位の高さ (mm)  

注(1) 試験片の厚さは,JIS L 1018の8.5又はJIS L 1096の8.5に規定する方法によって求める。ただ

し,測定結果は,JIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸める。 

備考1. バギングのたて方向とは,たて糸方向又はウェール方向,バギングのよこ方向とは,よこ糸 

方向又はコース方向を長辺とした試験片の試験結果をいう。 

2. 脚角度を変えて試験を行った場合は,その角度を試験報告書に記載する。 

     

図4 試験片の作製 

図5 測定方法の一例 

7.2 

B法  

7.2.1 

B−1法(定荷重法) B−1法は,次による。 

a) 装置及び器具 装置及び器具は,次による。 

1) 自記記録装置付定速伸長形引張試験機 JIS B 7721の規定に適合するもの。 

2) 押棒及び試験片把持具 押棒及び試験片把持具は,図6に示すような金属製のもので,自記記録装

置付定速伸長形引張試験機に取り付けられるものとし,次の条件を備えているもの。 

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押棒 

先端に曲率半径25 mmの半球をもつもの 

長さ約80 mm 

試験片把持具 

内径80 mm 

深さ約80 mm 

リング 

内径80 mm 

図6 押棒及び試験片把持具 

b) 操作 4.の試料から大きさ約100×100 mmの試験片を3枚採取し,自記記録装置付定速伸長形引張試

験機に取り付けた図6の試験片把持具に, 試験片の裏側を上にして,しわ及びたるみがないように固

定する。 

次に,ロードセルを介してクロスヘッドに取り付けた押棒先端及び試験片が接触する位置をクロス

ヘッドの試験開始位置とした後,毎分20 mmの下降速度で試験片に0.20 Nの初荷重を加え,更に押

棒を同速度で147.1 Nの荷重が加わるまで下降させた後,そのまま5分間保持する。 

次に,押棒を下降速度と同じ速度で上昇させて荷重を取り除き,5分間放置する。放置後,試験片

に初荷重を加え,図7のような荷重−伸長曲線を描き,この曲線から残留変形値 (mm) を求める。 

試験結果は,残留変形値の3回の平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1 けたに丸めて表す。 

図 7 荷重−伸長曲線 

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7.2.2 

B−2法(定伸長法) B−2法は,次による。 

a) 装置及び器具 装置及び器具は,7.2.1と同様のものを用いる。 

b) 操作 4.の試料から大きさ約100×100 mmの試験片を3枚採取し,自記記録装置付定速伸長形引張試

験機に取り付けた図6の試験片把持具に,試験片の裏側を上にして,しわ及びたるみがないように固

定する。 

次に,上部のつかみに取り付けた押棒を用い, 毎分20 mmの下降速度で試験片に0.20 Nの初荷重

を加え,更に押棒を同速度で試験片が10 %伸長(2)するまで下降させた後,そのまま1分間保持する。 

次に,押棒を下降速度と同じ速度で上昇させて荷重を取り除き,3分間放置する。この操作を5回

繰り返した後,試験片に初荷重を加え,図8のような荷重−伸長曲線を描き,この曲線から残留変形

値 (mm) を求める。 

試験結果は,残留変形値の3回の平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1けたに丸めて表す。 

注(2) 10 %伸長とは,加圧前の試験片の有効面積が10 %大きくなる状態をいう。この場合,押し込

み距離は約18 mmとなる。 

図8 荷重−伸長曲線 

8. 試験報告書 試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) 試験の種類 

b) 試験の結果 

c) 試験条件 

例1. A法 たて方向5.6 mm, よこ方向4.6 mm 

例2. A法 たて方向5.2 mm, よこ方向7.5 mm, 脚角度110 ° 

例3. B−1法 4.5 mm, 温度15 ℃, 湿度50 % 

例4. B−2法 3.0 mm