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日本工業規格

JIS

 K

9904

-1994

高純度試薬−過塩素酸

Highly purified perchloric acid

HClO

4

    FW : 100.46

1.

適用範囲  この規格は,高純度試薬として用いる過塩素酸について規定する。

備考  この規格の引用規格を,付表 に示す。

2.

共通事項  この規格に共通する事項は,JIS K 0050JIS K 8001 及び JIS K 8007 による。

3.

品質  品質は,4.によって試験し,表 に適合しなければならない。

表 1  品質

項目

規格値

濃度 60.0∼62.0%

塩素酸塩及び塩化物(Cl として)

3ppm

以下

りん酸塩 (PO

4

) 0.05ppm

以下

硫酸塩 (SO

4

) 1ppm

以下

リチウム (Li)

1ppb

以下

ナトリウム (Na)

0.05ppm

以下

カリウム (K)

0.01ppm

以下

銅 (Cu)

1ppb

以下

銀 (Ag)

1ppb

以下

金 (Au)

1ppb

以下

ベリリウム (Be)

1ppb

以下

マグネシウム (Mg)

0.01ppm

以下

カルシウム (Ca)

0.05ppm

以下

ストロンチウム (Sr)

1ppb

以下

バリウム (Ba)

1ppb

以下

亜鉛 (Zn)

1ppb

以下

カドミウム (Cd)

1ppb

以下

水銀 (Hg)

1ppb

以下

アルミニウム (Al)

0.01ppm

以下

ガリウム (Ga)

1ppb

以下

インジウム (In)

1ppb

以下

タリウム (Tl)

1ppb

以下

チタン (Ti)

0.01ppm

以下

ジルコニウム (Zr)

1ppb

以下

けい素 (Si)

0.05ppm

以下

すず (Sn)

1ppb

以下

鉛 (Pb)

1ppb

以下


2

K 9904-1994

項目

規格値

バナジウム (V)

1ppb

以下

ひ素 (As)

1ppb

以下

アンチモン (Sb)

1ppb

以下

ビスマス (Bi)

1ppb

以下

クロム (Cr)

0.01ppm

以下

モリブデン (Mo)

1ppb

以下

マンガン (Mn)

1ppb

以下

鉄 (Fe)

0.01ppm

以下

コバルト (Co)

1ppb

以下

ニッケル (Ni)

1ppb

以下

4.

試験方法

4.1

濃度

(1)

要旨  試料を水で薄め,指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え,1mol/水酸化ナトリウム溶

液で滴定して過塩素酸の濃度を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)  1mol/l

水酸化ナトリウム溶液  JIS K 8001 の 4.5(19.1)に規定するもの。

(b)

フェノールフタレイン溶液  JIS K 8001 の 4.4 に規定するもの。

(3)

器具  器具は,次のとおりとする。

(a)

共通すり合わせ三角フラスコ  呼び容量 200ml のもの。

(4)

操作  操作は,次のとおりとする。

(a)

あらかじめ質量の分っている三角フラスコに試料 3g をとり,その質量を 0.1mg のけたまではかる。

(b)

水 50ml 及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液 0.2ml を加え,1mol/水酸化ナトリウム溶液で

滴定する(終点は,液の色が無色から紅色に変わる点)

(5)

計算  濃度は,次の式によって計算し,JIS Z 8401 によって規格値のけたに丸める。

100

46

100

.

0

×

×

×

=

S

f

b

A

ここに,

A

濃度 (%)

b

1mo1/l

水酸化ナトリウム溶液の滴定量 (ml)

f

1mol/l

水酸化ナトリウム溶液のファクター

S

試料の質量 (g)

0.100 46

1mol/l

水酸化ナトリウム溶液 1ml の HClO

4

相当量 (g)

4.2

塩素酸塩及び塩化物(Cl として)

(1)

要旨  試料に亜硝酸ナトリウム溶液を加えて還元した後,硝酸銀溶液を加え生じる塩化銀の白濁を,

塩化物標準液を同様に操作して生じる白濁と比較して塩素酸塩及び塩化物の含有量を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

硝酸 (12)    JIS K 8001 の 4.1 に規定するもの。

(b)

亜硝酸ナトリウム溶液 (100g/l)    JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(c)

硝酸銀溶液 (20g/l)    JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(d)

アミド硫酸溶液 (100g/l)      JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(e)

塩化物標準液 (0.01mgCl/ml)   JIS K 8001 の 4.3(1)に規定するもの。

(3)

器具  器具は,次のとおりとする。


3

K 9904-1994

(a)

共通すり合わせ平底試験管  JIS K 8001 の 5.1(2)(b)に規定するもの。

(b)

ビーカー  呼び容量 100ml のもの。

(4)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 2g をビーカーにはかりとり,水 10ml を加えた後に硝酸 (1+2) 5ml を加える。

(b)

別に,4 個のビーカーに塩化物標準液  (0.01mgCl/ml) 0, 0.4, 0.6, 0.8ml をとり,水 10ml を加えた後に

硝酸 (1+2) 5ml を加える。

(c)

それぞれの溶液に亜硝酸ナトリウム溶液 (100g/ml) 1ml を加えよくかきまぜた後,アミド硫酸溶液

(100g/l) 3ml

を少量ずつ加えよくかき混ぜ,少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し入れ,水を

30ml

の標線まで加える。

(d)

それぞれの溶液に硝酸銀溶液 (20g/l) 1ml を加え,よく振り混ぜてから 15 分間暗所に放置した後,

その背後に黒い紙を置き,試料側の白濁と標準側の白濁とを,共通すり合わせ平底試験管の前面か

ら目視によって比較し,塩化物イオンの質量 (mg) を求める。

(5)

計算  塩素酸塩及び塩化物の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。

000

1

2

×

=

A

C

ここに,  C:  塩素酸塩及び塩化物の含有率 (ppm) 

A

:  比濁によって塩化物イオンとして求めた塩素酸塩及び塩化物

の含有量 (mg)

2

:  試料の質量 (g)

4.3

りん酸塩 (PO

4

)

(1)

要旨  試料を蒸発乾固し蒸発残留物を希硫酸に溶かした後,七モリブデン酸六アンモニウム溶液及び

塩化すず(II)溶液を加え,生じるモリブデン青の吸光度を測定してりん酸塩の含有量を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

硫酸 (15)    JIS K 8001 の 4.1 に規定するもの。

(b)

七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)  JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(c)

塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)  JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(d)

りん酸塩標準液 (0.01mgPO

4

/ml) 

  JIS K 8001 の 4.3(1)に規定するもの。

(3)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

光度計  分光光度計

(b)

平底蒸発皿  JIS R 1302 に規定する呼び容量 200ml のもの。

(c)

加熱板  電熱ホットプレートなど。

(d)

全量フラスコ  JIS R 3505 に規定する呼び容量 25ml のもの。

(e)

吸収セル  光路長 10mm のもの。

(4)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 120g を平底蒸発皿に 1g のけたまではかりとり,加熱板上で蒸発乾固する。

(b)

硫酸 (1+5) 2.5ml を加えて蒸発残留物を溶かし,水約 10ml を用いて全量フラスコ 25ml に移し入れ

る。

(c)

別に,4 個の全量フラスコ 25ml に,りん酸塩標準液 (0.01mgPO

4

/ml) 0, 0.4, 0.6, 0.8ml

をとり,硫酸 (1

+5) 2.5m1 及び水 10ml をそれぞれ加える。


4

K 9904-1994

(d)

  (b)

及び(c)の溶液それぞれに,七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)1ml を加えてよ

く振り混ぜ,約 3 分間対置した後,塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)2ml を加え,水を標線まで加

えて約 20 分間放置する。

(e)

それぞれの溶液の一部を吸収セルにとり,水を対照として波長 700nm 付近における吸光度を測定す

る。

(f)

試料を加えないで(a)(e)の操作を行い,吸光度を測定し,(e)で得た吸光度から差し引いて,試料に

ついての吸光度を求める。

(g)

りん酸塩標準液 0.2, 0.4ml 及び 0.6ml のものの吸光度から,りん酸塩標準液 (0.01mgPO

4

/ml) 0ml

ものの吸光度を差し引いた後,りん酸塩の質量 (mg) と吸光度との関係線を作成し,検量線とする。

(5)

計算  りん酸塩の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。

000

1

120

×

=

A

C

ここに,

C

りん酸塩の含有率 (ppm)

A

検量線から求めたりん酸塩の含有量 (mg)

120

試料の質量 (g)

4.4

硫酸塩 (SO

4

)

(1)

要旨  試料に炭酸ナトリウム溶液を加え蒸発乾固した後,塩酸 (2+1)  に溶かし,エタノールと塩化

バリウム溶液を加えて生じる硫酸バリウムの白濁を,硫酸塩標準液を同様に操作して生じる白濁と比

較して硫酸塩の含有量を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

炭酸ナトリウム溶液 (100g/l)    JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(b)

エタノール (95)   JIS K 8102 に規定するもの。

(c)

塩化バリウム溶液 (100g/l)    JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(d)

塩酸 (21)    JIS K 8001 の 4.1 に規定するもの。

(e)

硫酸塩標準液 (0.01mgSO

4

/ml) 

  JIS K 8001 の 4.3(1)に規定するもの。

(3)

器具  器具は,次のとおりとする。

(a)

平底蒸発皿  JIS R 1302 に規定する呼び容量 90ml のもの。

(b)

加熱板  電熱ホットプレートなど。

(c)

共通すり合わせ平底試験管  JIS K 8001 の 5.1(2)(b)に規定するもの。

(4)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 60g を平底蒸発皿に 1g のけたまではかりとり,炭酸ナトリウム溶液 (100g/l) 0.1ml を加え加熱

板上で蒸発乾固する。塩酸 (2+1) 0.3ml と少量の水を加えて残留物を溶かし,少量の水とともに共

通すり合わせ平底試験管に移し入れ,平底蒸発皿を少量の水で洗い,洗液も共通すり合わせ平底試

験管に入れ,水を 25ml の標線まで加える。

(b)

別に,4 個の共通すり合わせ平底試験管に,それぞれ炭酸ナトリウム溶液 (100g/l) 0.1ml,塩酸 (2

+1) 0.3ml 及び硫酸塩標準液 (0.01mgSO

4

/ml) 0, 4.0, 6.0, 8.0ml

ずつ加えて水で全量を 25ml にする。

(c)

それぞれの溶液にエタノール (95) 3ml と塩化バリウム溶液 (100g/l) 2ml とを加えよく振り混ぜる。

約 1 時間放置した後,それらの背後に黒い紙を置き,試料側の白濁と標準側の白濁とを,共通すり

合わせ平底試験管の前面から目視によって比較し,硫酸塩の含有量 (mg) を求める。

(5)

計算  硫酸塩の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。


5

K 9904-1994

000

1

60

×

=

A

C

ここに,

C

:  硫酸塩の含有率 (ppm)

A

:  比濁によって求めた硫酸塩の含有量 (mg)

60

:  試料の質量 (g)

4.5

水銀 (Hg)

(1)

要旨  試料を水に溶かし,テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液を加える。この溶液に通気して水銀蒸

気を発生させ,原子吸光分析装置に導入して指示値を読み取り,水銀の含有量を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

よう化カリウム溶液 (200g/l)    JIS K 8001 の 4.2 に規定するもの。

(b)

テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液 (6g/l)    テトラヒドロほう酸ナトリウム(純度 96%以上のも

の)1.5g と JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム 1.25g を水に溶かし,水を加えて 250ml とした

もの。

(c)

塩酸 (119)    JIS K 9902 に規定する高純度試薬−50ml に水を加えて 1としたもの。

(d)

硝酸 (11)    JIS K 9901 に規定する高純度試薬−硝酸 50ml に水を加えて 100ml としたもの。

(e)

水銀標準液 (1

µgHg/ml)    JIS K 8001 の 4.3(2)に規定する水銀標準液 (0.001mgHg/ml)。

(f)

水銀標準液 (1ngHg/ml)   (e)の水銀標準液 (1

µgHg/ml) 1.0ml を全量フラスコ 1 000ml にとり,硝酸

(1

+1) 10ml を加えた後,水を標線まで加えたもの (0.001FgHg/ml)。

(3)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

原子吸光分析装置

(b)

水銀還元気化装置  図 に示す還元気化装置。

(c)

はかり瓶  JIS R 3503 に規定する筒形はかり瓶 45×60mm。

(d)

還元容器  呼び容量 200ml のガラス瓶又は三角フラスコ(100ml の位置に印を付けておく)。

(4)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

還元気化装置を組み立てる。

(b)

試料 20g をはかり瓶に 0.1g のけたまではかりとり,あらかじめ水 50ml を入れた還元容器に振り混

ぜながら徐々に加え,はかり瓶の内部を少量の水で洗い,洗液も還元容器に入れ,水を加えて 100ml

とする。

(c)

この溶液に手早くよう化カリウム溶液 (200g/l) 5ml と塩酸 (1+19) 4ml を加え,更にテトラヒドロほ

う酸ナトリウム溶液 (6g/l) 2ml を加えて還元容器を直ちに還元気化装置に取り付ける。あらかじめ

設定した最適流量で空気ポンプを作動させ,発生した水銀蒸気を吸収セルに導き,波長 253.7nm に

おける指示値を読み取る。

(d)

バイパスコックを開いて指示値が元に戻るまで通気を続ける。

(e)

空試験は還元容器に水 100ml を入れ,同様に(c)(d)の操作を行って空試験の指示値を読み取る。こ

の指示値を用いて(c)で得た指示値を補正する。

(f)

還元容器に水銀標準液 (1ngHg/ml) 0∼20ml を段階的にとり,水を加えて 100ml とした後,(c)及び(d)

の操作を行って指示値を読み取る。この指示値を水銀標準液 (1ngHg/ml) 0ml について得た空試験の

指示値で補正した後,水銀の質量 (ng) と指示値との関係線を作成し,検量線とする。検量線の作

成は,試料測定時に行う。

(5)

計算  水銀の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。


6

K 9904-1994

20

V

C

=

ここに,

C

水銀の含有率 (ppb)

V

検量線から求めた水銀の質量 (ng)

20

試料の質量 (g)

図 1  還元気化装置の一例

4.6

けい素 (Si)

(1)

要旨  試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に水酸化ナトリウム溶液を加えて溶かし,水で一定量に薄めた

後,誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,発光強度を測定してけい素の含有量を求める。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

水酸化ナトリウム溶液 (0.1mol/l)    JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム 4g をとり,水に溶か

して 1としたもの。使用時に調整する。

(b)

けい素標準液 (0.01mgSi/ml)   JIS K 8001 の 4.3(1)規定するもの。

(3)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置

(b)

白金皿  JIS H 6202 に規定する 100 番のもの。

(c)

加熱板  電熱ホットプレートなど。

(d)

目盛付試験管  容量 20ml の合成樹脂製のもので,5ml の標線における体積を確認して用いる。

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件  操作条件は,JIS K 8007 の 9. (3.2)による。

(5)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 100g を白金皿に 1g のけたまではかりとり,加熱板上で蒸発乾固して冷却する。

(b)

蒸発残留物に,水酸化ナトリウム溶液 (0.1mol/l) 0.5ml を加えて加熱し,溶かす。

(c)

冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れる。白金皿の内部を少量の水で洗い,洗液

も目盛付試験管に入れる。水を 5ml の標線まで加えてよく振り混ぜる。

(d)

この溶液を,誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,251.612nm における発光強度を測定す

る。


7

K 9904-1994

(e)

空試験は,同様に(b)(d)の操作を行って発光強度を測定する。この発光強度を用いて(d)で得た発

光強度を補正する(この場合,加熱操作は行わなくてよい)

(f)

けい素標準液 (0.01mgSi/ml) 0∼2.0ml を段階的に数個の白金皿にとり,(b)(d)の操作を行って発光

強度を測定する。この発光強度をけい素標準液 (0.01mgSi/ml) 0ml について得た空試験の発光強度で

補正した後,けい素の質量 (mg) と発光強度との関係線を作成し,検量線とする。検量線は,試料

測定時に作成する。

(6)

計算  けい素の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。

000

1

100

×

=

V

C

ここに,

C

けい素の含有率 (ppm)

V

検量線から求めたけい素の質量 (mg)

100

試料の質量 (g)

4.7

その他の金属元素

4.7.1

電気加熱方式原子吸光法

(1)

要旨  試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に硝酸を加え加熱して溶かし,水で一定量に薄めて電気加熱方

式原子吸光分析装置に導入して指示値を読み取り,各元素の含有量を求める。

測定する元素は,リチウム,ナトリウム,カリウム,銅,銀,金,ベリリウム,マグネシウム,カ

ルシウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,インジウム,タリウム,

鉛,バナジウム,クロム,モリブデン,マンガン,鉄,コバルト及びニッケルの 24 元素とする。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

硫酸 (19)    硫酸(

1

)

を用いて調製する。

(b)

硝酸 (1mol/l)    JIS K 9901 に規定するものを用いて調製する。

(c)

王水  JIS K 9901 に規定するものと,JIS K 9902 に規定するものを使用時に体積比で 1 : 3 に混合し

て用いる。

(d)

標準液  JIS K 8001 の 4.3(2)に規定するもの又は JIS に規定する金属標準液。市販のものを用いて

もよい。

(

1

)

空試験値がこの試験に支障がないもの。

(3)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

電気加熱方式原子吸光分析装置  バックグラウンド補正が可能なもの。発熱体に黒鉛製(又はパイ

ロコーティングしたもの)又は耐熱金属製を用いる。

(b)

平底蒸発皿  呼び容量 100ml の石英ガラス製のもの。

(c)

加熱板  電気ホットプレートなど。

(d)

目盛付試験管  容量 20ml の合成樹脂製のもので,10ml の標線における体積を確認して用いる。

(e)

プッシュボタン式液体用微量体積計  JIS K 0970 に規定する 10∼100

µl のもの。

(4)

電気加熱方式原子吸光分析装置の操作条件  操作条件は,JIS K 0121 によって次の項目について設定

するほか,取扱説明書による。

(a)

分析線波長  表 による。


8

K 9904-1994

表 2  分析線波長

単位 nm

リチウム 670.8

カルシウム 422.7

鉛 283.3

ナトリウム 589.0

ストロンチウム 460.7  バナジウム 318.4

カリウム 766.5

バリウム 553.6

クロム 357.9

銅 324.8

亜鉛 213.9

モリブデン 313.3

銀 328.1

カドミウム 228.8

マンガン 279.5

金 242.8

アルミニウム 309.3 鉄 248.3

ベリリウム 234.9

インジウム 325.6

コバルト 240.7

マグネシウム 285.2 タリウム 276.8

ニッケル 232.0

(5)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 50g を平底蒸発皿に 1g のけたまではかりとり,硫酸 (1+9) 1ml を加え加熱板上で蒸発乾固し

て冷却する。

(b)

蒸発残留物に,水 5ml を加えて再び加熱板上で蒸発乾固して冷却する。

(c)

蒸発残留物に,硝酸 (1mol/l(

1

)

5ml

を加え,加熱して溶かす。

(d)

冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れ,平底蒸発皿を少量の水で洗い,洗液も目

盛付試験管に入れる。水を 10ml の標線まで加え,よく振り混ぜる(A 液)

(リチウム,カリウム,

銅,銀,金,ベリリウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,インジ

ウム,タリウム,鉛,バナジウム,クロム,モリブデン,マンガン,鉄,コバルト及びニッケル測

定用)

(e)

  A

液 1ml を目盛付試験管に正確にとり,水を 10ml の標線まで加え,よく振り混ぜる(B 液)

(ナト

リウム,マグネシウム及びカルシウム測定用)

(f)

  A

液,B 液の一定量をプッシュボタン式液体微量体積計を用いて目的元素の条件に設定した電気加

熱方式原子吸光分析装置に導入し,各元素の分析波長における指示値を読み取る。

(g)

空試験は,同様に(a)(f)の操作を行って,指示値を読み取る。この指示値を用いて(f)で得た指示値

を補正する(この場合,加熱操作は行わなくてよい)

(h)

各元素の標準液をプッシュボタン式液体用微量体積計を用いて段階的に数個の目盛付試験管にとり,

1mol/l

硝酸(

2

)

5ml

を加え,水を 10ml の標線まで加えてよく振り混ぜた後,(f)の操作を行う。この指

示値を標準液 0ml のもので得た指示値で補正した後,各元素の質量 (mg) と指示値と関係線を作成

し,検量線とする。検量線は,試料測定時に作成する。

(

2

)

金を定量する場合には,硝酸 (1mol/l) 5ml に代えて王水1ml を用いる。

(6)

計算  各元素の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。

6

10

50

×

=

V

C

ここに,

C

元素の含有率 (ppb)

V

検量線から求めた元素の質量 (mg)

50

試料の質量 (g)

4.7.2

誘導結合プラズマ発光分光分析法

(1)

要旨  試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に硝酸を加えて加熱して溶かし,水で一定量に薄めて誘導結合

プラズマ発光分光分析装置に導入し,発光強度を測定して各元素の含有量を求める。

測定する元素は,リチウム,銅,ベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリ

ウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,チタン,ジルコニウム,バナジウム,モリブデン,マンガ


9

K 9904-1994

ン,鉄,コバルトの 17 元素とする。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

硫酸 (19)    高純度硫酸(

1

)

を用いて調製する。

(b)

硝酸 (1mol/l)    JIS K 9901 に規定するものを用いて調製する。

(c)

塩酸 (1mol/l)    JIS K 9902 に規定するものを用いて調製する。

(d)

標準液  JIS K 8001 の 4.3(2)に規定するもの,又は JIS に規定する金属標準液。市販のものを用いて

もよい。

(3)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置

(b)

共通すり合わせ三角フラスコ  呼び容量 200ml のもの。

(c)

平底蒸発皿  呼び容量 100ml の石英ガラス製のもの。

(d)

加熱板  電熱ホットプレートなど。

(e)

目盛付試験管  容量 20ml の合成樹脂製のもので,20ml の標線における体積を確認して用いる。

(f)

プッシュボタン式液体用微量体積計  JIS K 0970 に規定する容量 10∼100

µl のもの。

(4)

誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件  操作条件は,JIS K 8007 の 9.(3.2)によって次の項目

にっいて設定するほか,取扱説明書による。

(a)

分析線波長  表 による。

表 3  分析線波長

単位 nm

リチウム 670.784

バリウム 455.404

バナジウム 311.071

銅 324.754

亜鉛 213.856

モリブデン 379.825

ベリリウム 313.042

カドミウム 228.802

マンガン 257.610

マグネシウム 279.553

アルミニウム 396.153

鉄 259.940

カルシウム 393.367

チタン 334.941

コバルト 238.892

ストロンチウム 407.771 ジルコニウム 343.823

(5)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 100∼250g を共通すり合わせ三角フラスコ 200ml に 1g のけたまではかりとり,

硫酸 (1+9) 1ml

を加え,数回に分けて平底蒸発皿に移し入れ,加熱板上で蒸発する。最後に共通すり合わせ三角フ

ラスコ内部を少量の水で洗い,洗液も平底蒸発皿に入れ,蒸発乾固して冷却する。

(b)

蒸発残留物に,水 5ml を加え再び加熱板上で蒸発乾固して冷却する。

(c)

蒸発残留に,硝酸 (1mol/l(

3

)

5ml

を加えて加熱し,溶かす。

(d)

冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れ,平底蒸発皿を少量の水で洗い,洗液も目

盛付試験管に入れ,水を 20ml の標線まで加えてよく振り混ぜる。

(e)

この溶液を,誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,発光強度を測定する。

(f)

空試験は,同様に(a)(e)の操作を行って空試験の発光強度を測定する。この発光強度を用いて(e)

で求めた発光強度を補正する。

(g)

各元素の標準液をプッシュボタン式液体用微量体積計を用いて段階的に数個の目盛付試験管にとり,

硝酸 (1mol/l) 5ml を加え,水を 20ml の標線まで加えてよく振り混ぜる。誘導結合プラズマ発光分光

分析装置で発光強度を測定し,この発光強度を標準液 0ml のもので得た発光強度で補正した後,各

元素の質量 (mg) と発光強度との関係線を作成し,検量線とする。検量線は,試量測定時に作成す

る。


10

K 9904-1994

(

3

)

チタンの定量の場合には硝酸 (1mol/l)  に代えて塩酸 (1mol/l)  を用いる。

(6)

計算  各元素の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。

6

10

×

=

S

V

C

ここに,

C

:  元素の含有率 (ppb)

V

:  検量線から求めた各元素の質量 (mg)

S

:  試料の質量 (g)

4.7.3

誘導結合プラズマ質量分析法

(1)

要旨  試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に硝酸を加えて加熱して溶かし,水で一定量に薄めて誘導結合

プラズマ質量分析装置に導入し,信号強度を測定して各元素の含有量を求める。

測定する元素は,リチウム,銅,銀,金,ベリリウム,マグネシウム,ストロンチウム,バリウム,

亜鉛,カドミウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,タリウム,チタン,ジルコニウム,すず,

鉛,パナジウム,ひ素,アンチモン,ビスマス,モリブデン,マンガン,コバルト及びニッケルの 26

元素とする。

(2)

試薬  試薬は,次のとおりとする。

(a)

硝酸 (1mol/l)    JIS K 9901 に規定するものを用いて調製する。

(b)

塩酸 (1mol/l)    JIS K 9902 に規定するものを用いて調製する。

(c)

硫酸 (19)    4.7.1 (2)(a)による。

(d)

王水  JIS K 9901 に規定するものと,JIS K 9902 に規定するものを使用時に 1 : 3 に混合して用いる。

(e)

標準液  JIS K 8001 の 4.3(2)に規定するもの,又は JIS に規定する金属標準液。市販のものを用い

てもよい。

(3)

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(a)

誘導結合プラズマ質量分析装置

(b)

平底蒸発皿  呼び容量 100ml の石英ガラス製のもの。

(c)

加熱板  電熱ホットプレートなど。

(d)

目盛付試験管  4.7.1(3)(d)による。

(e)

プッシュボタン式液体用微量体積計  JIS K 0970 に規定する容量 10∼100

µl のもの。

(4)

誘導結合プラズマ質量分析装置の操作条件  操作条件は,JIS K 8007 の 9.(4.2)による。

(a)

測定質量数  表 による。

表 4  測定質量数[質量/電荷数 (m/z)

リチウム 7

カドミウム 114

バナジウム 51

銅 63

アルミニウム 27

ひ素 75

銀 107

ガリウム 69

アンチモン 121

金 197

インジウム 115

ビスマス 209

ベリリウム 9

タリウム 205

モリブデン 98

マグネシウム 24

チタン 48

マンガン 55

ストロンチウム 88

ジルコニウム 90

コバルト 59

バリウム 138

すず 120

ニッケル 58

亜鉛 68

鉛 208

(5)

操作  操作は,次のとおり行う。

(a)

試料 100g を平底蒸発皿に 1g のけたまではかりとり,硫酸 (1+9) 1ml を加えた加熱板上でほとんど

蒸発して冷却する(乾固してはならない)


11

K 9904-1994

(b)

蒸発残留物に,水 5ml を加え再び加熱板上でほとんど蒸発して冷却する(乾固してはならない)

(c)

蒸発残留物に,硝酸 (1mol/l(

4

)

5ml

を加え加熱し,溶かす。

(d)

冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れ,平底蒸発皿を少量の水で洗い,洗液も目

盛付試験管に入れ,水を 10ml の標線まで加え,よく振り混ぜる。

(e)

誘導結合プラズマ質量分析装置に導入し,信号強度を測定する。

(f)

試料を加えることなく,同様に(a)(e)の操作を行って空試験の信号強度を測定する。この発光強度

を用いて(e)で得た信号強度を補正する。

(g)

各元素の標準液を,プッシュボタン式液体用微量体積計で,段階的に数個の目盛付試験管にとり,

硝酸 (1mol/l) 5ml を加え,水を 10ml 標線まで加えて振り混ぜる。誘導結合プラズマ質量分析装置に

導入し,信号強度を測定する。この信号強度を標準液 0ml のもので得た信号強度で補正した後,各

元素の質量 (mg) と信号強度との関係線を作成し検量線とする。検量線は,試料測定時に作成する。

(

4

)

チタン及びすずを定量する場合には,硝酸 (1mol/l) 5ml に代えて,王水1ml を用いる。金を定量

する場合には,硝酸 (1mol/l) 5ml に代えて王水1ml を用いる。

(6)

計算  各元素の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。

6

10

100

×

=

V

C

ここに,

C

元素の含有率 (ppb)

V

検量線から求めた元素の質量 (mg)

100

試料の質量 (g)

5.

容器  ポリエチレン容器又は過塩素酸に侵されず,品質を損なわない気密容器とする。

6.

取扱い上の注意事項  取扱いは,JIS K 8007 の 7.に規定するクリーンルーム及びクリーンベンチ内で

行うのが好ましい。容器の口を伝って流れ出た過塩素酸は,表示ラベル等を汚損し危険であるので直ちに

拭き取るようにする。

7.

表示  容器には,次の事項を表示しなければならない。

(1)

名称  “高純度試薬”及び“過塩素酸”の文字

(2)

化学式,式量

(3)

品質(濃度)

(4)

保証期限(年月)又は製造後の保証期間(保証期間の場合は,製造年月を記載する。

(5)

内容量

(6)

製造番号

(7)

製造業者名又はその略号


12

K 9904-1994

付表 1  引用規格

JIS H 6202

  化学分析用白金皿

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0121

  原子吸光分析通則

JIS K 0970

  プッシュボタン式液体用微量体積計

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8007

  高純度試薬試験方法通則

JIS K 8102

  エタノール(95)[エチルアルコール(95)]

(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 9901

  高純度試薬−硝酸

JIS K 9902

  高純度試薬−塩酸

JIS R 1302

  化学分析用磁器蒸発ざら

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製化学用体積計

JIS Z 8401

  数値の丸め方

原案作成委員会  構成表

(委員長)

川  瀬      晃

社団法人日本分析化学会

細  川  幹  夫

通商産業省基礎産業局生物化学産業課

地  崎      修

工業技術院標準部繊維化学規格課

(分科会長)

久保田  正  明

工業技術院物質工学工業技術研究所

喜多川      忍

通商産業省通商産業検査所

坂  本      勉

財団法人日本規格協会

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

梅  崎  芳  美

社団法人産業公害防止協会

藤  貫      正

社団法人日本分析化学会

飯  島  弘  淳

財団法人化学品検査協会

中  村      靖

株式会社日鉱共石

池  田  久  幸

横河アナリティカルシステム株式会社

鶴  田  利  行

硫酸協会

池  田  稔  保

関東高圧化学株式会社

北  田  佳  伸

和光純薬工業株式会社

飯  岡  寛  一

柳島製薬株式会社

中  野  忠  男

関東化学株式会社

藤  川  和  幸

米山薬品工業株式会社

児  島      茂

富山薬品工業株式会社

西      英  勝

石津製薬株式会社

(関係者)

阪  本  公  昭

工業技術院標準部織維化学規格課

(事務局)

平  井  信  次

日本試薬連合会

○印は分科会委員を兼任