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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 9902-1994 

高純度試薬−塩酸 

Highly purified hydrochloric acid 

HCl  FW : 36.46 

1. 適用範囲 この規格は,高純度試薬として用いる塩酸について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 0050,JIS K 8001及びJIS K 8007による。 

3. 品質 品質は,4.によって試験し,表1に適合しなければならない。 

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 品質 

項目 

規格値 

濃度 

35.0〜37.0% 

20.0〜21.0% 

臭化物 (Br) 

0.003%以下 

りん酸塩 (PO4) 

0.01ppm以下 

硫酸塩 (SO4) 

0.2ppm以下 

亜硫酸塩 (SO3) 

0.5ppm以下 

遊離塩素 

0.1ppm以下 

リチウム (Li) 

1ppb以下 

ナトリウム (Na) 

5ppb以下 

カリウム (K) 

1ppb以下 

銅 (Cu) 

1ppb以下 

銀 (Ag) 

1ppb以下 

金 (Au) 

1ppb以下 

ベリリウム (Be) 

1ppb以下 

マグネシウム (Mg) 

1ppb以下 

カルシウム (Ca) 

5ppb以下 

ストロンチウム (Sr) 

1ppb以下 

バリウム (Ba) 

1ppb以下 

亜鉛 (Zn) 

1ppb以下 

カドミウム (Cd) 

1ppb以下 

水銀 (Hg) 

1ppb以下 

アルミニウム (Al) 

2ppb以下 

ガリウム (Ga) 

1ppb以下 

インジウム (In) 

1ppb以下 

タリウム (Tl) 

1ppb以下 

チタン (Ti) 

1ppb以下 

ジルコニウム (Zr) 

1ppb以下 

けい素 (Si) 

0.01ppm以下 

すず (Sn) 

1ppb以下 

鉛 (Pb) 

1ppb以下 

バナジウム (V) 

1ppb以下 

ひ素 (As) 

1ppb以下 

アンチモン (Sb) 

1ppb以下 

ビスマス (Bi) 

1ppb以下 

クロム (Cr) 

1ppb以下 

モリブデン (Mo) 

1ppb以下 

マンガン (Mn) 

1ppb以下 

鉄 (Fe) 

5ppb以下 

コバルト (Co) 

1ppb以下 

ニッケル (Ni) 

1ppb以下 

アンモニウム (NH4) 

0.5ppm以下 

4. 試験方法 

4.1 

濃度 

(1) 要旨 試料を水に薄め,指示薬としてブロモチモールブルー溶液を加え,1mol/l水酸化ナトリウム溶

液で滴定して塩酸の濃度を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 1mol/ l水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8001の4.5(19.1)に規定するもの。 

(b) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8001の4.4に規定するもの。 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 共通すり合わせ三角フラスコ 呼び容量200mlのもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 共通すり合わせ三角フラスコ200mlに水20mlを入れ,その質量を0.1mgのけたまではかる。 

(b) (a)の三角フラスコに,試料約2mlを加えて,その質量を0.1mgのけたまではかる。 

(c) 指示薬としてブロモチモールブルー溶液約0.2mlを加え,1mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴定する

(終点は,溶液の色が黄から緑に変わる点)。 

(5) 計算 濃度は,次の式によって計算し,JIS Z 8401によって規格値のけたに丸める。 

100

036461

.0

×

×

×

=

S

f

b

A

ここに, 

A: 濃度(%) 

b: 1mol/l水酸化ナトリウム溶液の滴定量 (ml) 

f: 1mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター 

S: 試料の質量 (g) 

0.036 461: 1mol/l水酸化ナトリウム溶液1mlのHCl相当量 (g) 

4.2 

臭化物 (Br) 

(1) 要旨 試料にフェノールレッド溶液を加え,1mol/l水酸化ナトリウム溶液で弱塩基性とし酢酸塩緩衝

液を加えた後,p−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム溶液を加える。これに0.1mol/lチオ硫酸

ナトリウム溶液を加えて生じる青紫の吸光度を測定して臭化物の含有量を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) フェノールレッド溶液 JIS K 8800に規定するフェノールレッド0.02gをJIS K 8102に規定するエ

タノール (95) 20mlに溶かし,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム0.02gを加え水で100mlにする。 

(b) p−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム溶液 (10g/l) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(c) 酢酸塩pH緩衝液 JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物68gにJIS K 8355に規定する酢

酸30mlを加え水に溶かして1lにする。 

(d) 水酸化ナトリウム溶液 (1mol/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム40gをとり,水に溶かし

て1lにする。 

(e) 0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液 JIS K 8001の4.5(21.2)に規定するもの。 

(f) 臭化物標準原液 (1mgBr/ml) JIS K 8506に規定する臭化カリウムを110℃で4時間乾燥し,デシケ

ーター中で放冷した後,1.49gを全量フラスコ1 000mlにはかりとり,水に溶かし,標線まで水を加

える。 

(g) 臭化物標準液 (0.01mgBr/ml) (f)の原液10mlを正確にとり,全量フラスコ1 000mlに入れ標線まで

水を加える。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 分光光度計 

(b) 吸収セル 光路長10mmのもの。 

(c) ビーカー 呼び容量100mlのもの。 

(d) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する呼び容量100mlのもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) ビーカー100mlに水25mlを入れ,試料2g (1.7ml) をはかり入れる。 

(b) フェノールレッド溶液約0.2mlを加えて水酸化ナトリウム溶液 (1mol/l) を微紅色になるまで滴加す

る。 

(c) 全量フラスコ100mlに移し入れ,ビーカー内を水約25mlで洗い,洗液も全量フラスコに移し入れ

る。 

(d) 別に,4個のビーカー100mlにそれぞれ水25mlを入れ,臭化物標準液 (0.01mgBr/ml) を0,3,6,

9mlずつを加えて,(b)〜(c)の操作を行う。 

(e) (c)及び(d)の溶液に酢酸塩緩衝液5mlを加えた後,p−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム溶

液2mlを加え振り混ぜて約20分間放置する。 

(f) 0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液20mlを加え水を標線まで加える。 

(g) それぞれの溶液の一部を吸収セルにとり,水を対照液として波長590nmにおける吸光度を測定する。 

(h) 試料側の吸光度から臭化物標準液 (0.01mgBr/ml) 0mlのものの吸光度を差し引いて,試料について

の吸光度を求める。 

(i) (g)で得た臭化物標準液 (0.01mgBr/ml) 3,6,9mlのものの吸光度から臭化物標準液 (0.01mgBr/ml) 0ml

のものの吸光度を差し引いた後,臭化物の質量 (mg) と吸光度との関係線を作成し,検量線とする。 

(5) 計算 臭化物の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。 

1

10

2

×

=A

C

ここに, C: 臭化物の含有率 (%) 
 

A: 検量線から求めた臭化物の質量 (mg) 

2: 試料の質量 (g) 

4.3 

りん酸塩 (PO4) 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固し,蒸発残留物を硫酸 (1+5) に溶かした後,七モリブデン酸六アンモニウム

溶液及び塩化すず (Ⅱ) 溶液を加え,生じるモリブデン青の吸光度を測定してりん酸塩の含有量を求

める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硫酸 (1+5) JIS K 8001の4.1に規定するもの。 

(b) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(c) 塩化すず (Ⅱ) 溶液(りん酸定量用) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(d) りん酸塩標準液 (0.01 mgPO4/ml) JIS K 8001の4.3(1)に規定するもの。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 分光光度計 

(b) 蒸発皿 JIS R 1302に規定する化学分析用磁器蒸発ざらの平底型,呼び容量120mlのもの。 

(c) 加熱板 電熱ホットプレートなど。 

(d) 共通すり合わせ三角フラスコ 呼び容量300mlのもの。 

(e) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する呼び容量25mlのもの。 

(f) 吸収セル 光路長10mmのもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料300gを共通すり合わせ三角フラスコに1gのけたまではかりとり,これを数回に分けて蒸発皿

に移し入れ,加熱板上で蒸発する。最後に共通すり合わせ三角フラスコ内を少量の水で洗い,洗液

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

も蒸発皿に入れ,蒸発乾固する。 

(b) 蒸発残留物を少量の水で溶かし全量フラスコ25mlに移し入れる。蒸発皿を少量の水で洗い,洗液

も全量フラスコに入れ,硫酸 (1+5) 2.5ml及び水約10mlを加える。 

(c) 別に,4個の全量フラスコ25mlにりん酸塩標準液 (0.01mgPO4/ml) を0,0.2,0.3,0.5mlをとり,

硫酸 (1+5) 2.5ml及び水約10mlを加える。 

(d) (b)及び(c)の溶液に七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)1mlを加えてよく振り混ぜ,

約3分間放置した後,塩化すず (Ⅱ) 溶液(りん酸定量用)2mlを加え,水を標線まで加えて約20

分間放置する。 

(e) それぞれの溶液の一部を吸収セルにとり,水を対照液として波長700nmにおける吸光度を測定する。 

(f) 試料を加えないで(a)〜(e)の操作を行い,吸光度を測定し,(e)で得た吸光度から差し引いて,試料に

ついての吸光度を求める。 

(g) りん酸塩標準液 (0.01mgPO4/ml) 0.2,0.3,0.5mlのものの吸光度からりん酸塩標準液 (0.01mgPO4/ml) 

0mlのものの吸光度を差し引いた後,りん酸塩の質量 (mg) と吸光度との関係線を作成し,検量線

とする。 

(5) 計算 りん酸塩の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。 

1000

300×

=A

C

ここに, 

C: りん酸塩の含有率 (ppm) 

A: 検量線から求めたりん酸塩の質量 (mg) 

300: 試料の質量 (g) 

4.4 

硫酸塩 (SO4) 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固した後,蒸発残留物を塩酸 (2+1) に溶かし,エタノールと塩化バリウム溶液

を加えて生じる硫酸バリウムの濁りを,硫酸塩標準液を同様に操作して生じる白濁と比較して硫酸塩

の含有量を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) エタノール (95) JIS K 8102に規定するもの。 

(b) 塩化バリウム溶液 (100g/l) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(c) 塩酸 (2+1) JIS K 8001の4.1に規定するもの。 

(d) 硫酸塩標準液 (0.01 mgSO4/ml) JIS K 8001の4.3(1)に規定するもの。 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 蒸発皿 JIS R 1302に規定する化学分析用磁器蒸発ざらの丸底形,呼び容量120mlのもの。 

(b) 共通すり合わせ平底試験管 JIS K 8001の5.1(2)(b)に規定するもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料100gを蒸発皿に1gのけたまではかりとり,水浴上で蒸発乾固する。塩酸 (2+1) 0.3mlを加え

蒸発残留物を溶かし,少量の水を加えてから共通すり合わせ平底試験管に移し入れる。蒸発皿を少

量の水で洗い,洗液も共通すり合わせ平底試験管に入れ,水を25mlの標線まで加える。 

(b) 別に,4個の共通すり合わせ平底試験管にそれぞれ塩酸 (2+1) 0.3mlを入れ,硫酸塩標準液 

(0.01mgSO4/ml) 0,3,5,7mlずつを加え,水で全量を25mlにする。 

(c) それぞれの溶液にエタノール (95) 3mlと塩化バリウム溶液 (100g/l) 2mlを加えてよく振り混ぜ,1

時間放置した後,その背後に黒い紙を置き,試料側の白濁と標準側の白濁とを共通すり合わせ平底

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験管の前面から目視によって比較し,硫酸塩の質量 (mg) を求める。 

(5) 計算 硫酸塩の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。 

1000

100×

=A

C

ここに, 

C: 硫酸塩の含有率 (ppm) 

A: 比濁によって求めた硫酸塩の質量 (mg) 

100: 試料の質量 (g) 

4.5 

亜硫酸塩 (SO3) 

(1) 要旨 試料によう化カリウム溶液とでんぷん溶液を加え5mmol/lよう素溶液で滴定し,その消費量か

ら亜硫酸塩の含有量を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 溶存酸素を含まない水 JIS K 8001の3.6(4)に規定するもの。 

(b) よう化カリウム溶液 (100g/l) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(c) でんぷん溶液 JIS K 8001の4.4に規定するもの。 

(d) 0.05mol/lよう素溶液 JIS K 8001の4.5(24)に規定するもの。 

(e) 5mmol/lよう素溶液 0.05mol/lよう素溶液100mlを全量フラスコ1 000mlに正確にとり塩酸 (2+1) 

0.5mlを加え,水を標準まで加える。 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) ビーカー 呼び容量500mlのもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) ビーカー500mlに溶存酸素を含まない水400mlを入れ,塩酸 (2+1) 7ml,よう化カリウム溶液 

(100g/l) 1ml及びでんぷん溶液2mlを加えて穏やかにかき混ぜる。 

(b) 穏やかにかき混ぜながらわずかに青が現われるまで5mmol/lよう素溶液を滴加する。 

(c) (b)の液を穏やかにかき混ぜながら,試料100gを徐々に加える。これを5mmol/lよう素溶液で滴定

を行う。終点は,液にわずかに青が現れる点とする。 

(5) 計算 亜硫酸塩の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。 

6

10

100

0004003

.0

×

×

×

=

f

a

C

ここに, 

C: 亜硫酸塩の含有率 (ppm) 

a: 5mmol/lよう素溶液の滴定量 (ml) 

f: 5mmol/lよう素溶液のファクター 

100: 試料の質量 (g) 

0.000 400 3: 5mmol/lよう素溶液1mlの亜硫酸塩の相当量 (g) 

4.6 

遊離塩素 (Cl) 

(1) 要旨 試料によう化カリウム溶液を加え,遊離塩素によって遊離するよう素を二硫化炭素で抽出し,

二硫化炭素層が紅色にならないことによって遊離塩素が一定値以下であることを確認する。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) よう化カリウム溶液 (20g/l) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(b) 二硫化炭素 JIS K 8732に規定するもの。 

(c) 溶存酸素を含まない水 JIS K 8001の3.6(4)に規定するもの。 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 共通すり合わせ三角フラスコ 呼び容量200mlのもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 共通すり合わせ三角フラスコ200mlに溶存酸素を含まない水50mlを入れ,試料60gを加え穏やか

に振り混ぜる。 

(b) 約20℃に冷却した後,よう化カリウム溶液 (20g/l) 0.1mlを加えて穏やかに振り混ぜた後,二硫化炭

素1mlを加える。 

(c) 10秒間激しく振り混ぜた後,30秒以内に二硫化炭素層に紅色が現われないことを確認する。 

4.7 

水銀 (Hg) 

(1) 要旨 試料を水で薄め,テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液を加える。この液に通気して水銀蒸気を

発生させ,原子吸光分析装置に導入して指示値を読み取り,水銀の含有量を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) よう化カリウム溶液 (200g/l) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(b) テトラヒドロほう酸ナトリウム溶液 (6g/l) テトラヒドロほう酸ナトリウム(純度96%以上のもの)

1.5gとJIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1.25gを水に溶かし,水を加えて250mlとしたもの。 

(c) 塩酸 (1+19) 塩酸(1)50mlに水を加えて1lとしたもの。 

(d) 硝酸 (1+1) JIS K 9901に規定する高純度試薬−硝酸50mlに水を加えて100mlとしたもの。 

(e) 水銀標準液 (1μgHg/ml) JIS K 8001の4.3(2)に規定する水銀標準液 (0.001mgHg/ml)。 

(f) 水銀標準液 (1 ngHg/ml) (e)の水銀標準液 (1μgHg/ml) 1.0mlを全量フラスコ1 000mlにとり,硝酸 

(1+1) 10mlを加え,水を標線まで加えたもの (0.001μgHg/ml)。 

注(1) 空試験値がこの試験に支障がないもの。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 原子吸光分析装置 

(b) 水銀還元気化装置 図1に示す還元気化装置。 

(c) はかり瓶 JIS R 3503に規定する筒型はかり瓶45×60 mmのもの。 

(d) 還元容器 呼び容量200mlのガラス瓶又は三角フラスコ(100mlの位置に印を付けておく)。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 還元気化装置を組み立てる。 

(b) 試料20gをはかり瓶に0.1gのけたまではかりとり,あらかじめ水50mlを入れた還元容器に振り混

ぜながら徐々に加え,はかり瓶内を少量の水で洗い,洗液も還元容器に移し入れ,水を加えて100ml

とする。 

(c) この溶液に手早くよう化カリウム溶液 (200g/l) 5mlと塩酸 (1+19) 4mlを加え,更にテトラヒドロほ

う酸ナトリウム溶液 (6g/l) 2mlを加えて還元容器を直ちに還元気化装置に取り付ける。あらかじめ

設定した最適流量で空気ポンプを作動させ,発生した水銀蒸気を吸収セルに導き,波長253.7nmの

指示値を読み取る。 

(d) バイパスコックを開いて指示値が元に戻るまで通気を続ける。 

(e) 空試験は,還元気化器に水100mlを入れ,同様に(c)〜(d)の操作を行って指示値を読み取る。この指

示値を用いて(b)で得た指示値を補正する。 

(f) 還元容器に水銀標準液 (1ngHg/ml) 0〜20mlを段階的にとり,水を加えて100mlとした後,(b)〜(c)

の操作を行い,指示値を読み取る。この指示値を水銀標準液 (1ngHg/ml) 0mlについて得た空試験の

指示値で補正した後,水銀の質量 (ng) と指示値との関係線を作成し,検量線とする。検量線の作

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

成は,試料測定時に行う。 

(5) 計算 水銀の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。 

20

V

C=

ここに, 

C: 水銀の含有率 (ppb) 

V: 検量線から求めた水銀の質量 (ng) 

20: 試料の質量 (g) 

図1 還元気化装置の一例 

4.8 

けい素 (Si) 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に水酸化ナトリウム溶液を加えて溶かし,水で一定量に薄めた

後,誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,発光強度を測定してけい素の含有量を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 水酸化ナトリウム溶液 (0.1mol/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム4gをとり,水に溶かし

て1lとする。使用時に調製する。 

(b) けい素標準液 (0.01mgSi/ml) JIS K 8001の4.3(1)に規定するもの。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置 

(b) 白金皿 JIS H 6202に規定する100番のもの。 

(c) 加熱板 電熱ホットプレートなど。 

(d) 目盛付試験管 容量20mlの合成樹脂製のもので,5mlの標線における体積を確認して用いる。 

(4) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件 操作条件は,JIS K 8007の9.(3.2)による。 

(5) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料100gを白金皿に1gのけたまではかりとり,加熱板上で蒸発乾固して冷却する。 

(b) 蒸発残留物に水酸化ナトリウム溶液 (0.1mol/l) 0.5mlを加えて加熱して溶かす。 

(c) 冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れる。白金皿を少量の水で洗い,洗液も目盛

付試験管に移し入れる。水を5mlの標線まで加えて,よく振り混ぜる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(d) この溶液を,誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,251.612nmにおける発光強度を測定す

る。 

(e) 空試験は,同様に(b)〜(d)の操作を行って発光強度を測定し,この発光強度を用いて(d)で得た発光

強度を補正する(この場合,加熱操作は行わなくてよい)。 

(f) けい素標準液 (0.01mgSi/ml) 0〜2mlを段階的に数個の白金皿にとり,(b)〜(d)の操作を行って発光強

度を測定する。この発光強度をけい素標準液 (0.01mgSi/ml) 0mlについて得た空試験の発光強度で補

正した後,けい素の質量 (mg) と発光強度との関係線を作成し検量線とする。検量線は,試料測定

時に作成する。 

(6) 計算 けい素の含有率 (ppm) は,次の式によって算出する。 

1000

100×

=V

C

ここに, 

C: けい素の含有率 (ppm) 

V: 検量線から求めたけい素の質量 (mg) 

100: 試料の質量 (g) 

4.9 

その他の金属元素 

4.9.1 

電気加熱方式原子吸光法 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に硝酸を加えて加熱して溶かし,水で一定量に薄めて電気加熱

方式原子吸光分析装置に導入して指示値を読み取り,各元素の含有量を求める。 

測定する元素は,リチウム,ナトリウム,カリウム,銅,銀,金,ベリリウム,マグネシウム,カ

ルシウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,インジウム,タリウム,

鉛,バナジウム,クロム,モリブデン,マンガン,鉄,コバルト及びニッケルの24元素とする。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硝酸 (1mol/l) JIS K 9901に規定するものを用いて調製する。 

(b) 王水 塩酸(1)とJIS K 9901に規定するものを使用時に体積比で3:1に混合して用いる。 

(c) 標準液 JIS K 8001の4.3(2)に規定するもの,又はJISに規定する金属標準液。市販のものを用い

てもよい。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 電気加熱方式原子吸光分析装置 バックグラウンド補正が可能なもの。発熱体は,黒鉛製(又はパ

イロコーティングしたもの)又は耐熱金属製を用いる。 

(b) 平底蒸発皿 呼び容量100mlの石英ガラス製のもの。 

(c) 加熱板 電熱ホットプレートなど。 

(d) 目盛付試験管 容量20mlの合成樹脂製のもので,10mlの標線における体積を確認して用いる。 

(e) プッシュボタン式液体用微量体積計 JIS K 0970に規定する容量10〜100μlのもの。 

(4) 電気加熱方式原子吸光分析装置の操作条件 操作条件は,JIS K 0121によって次の項目について設定

するほか,取扱説明書による。 

(a) 分析線波長 表2による 

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 分析線波長 

単位 nm 

リチウム 

670.8 

カルシウム 

422.7 

鉛 

283.3 

ナトリウム 

589.0 

ストロンチウム 460.7 

バナジウム 

318.4 

カリウム 

766.5 

バリウム 

553.6 

クロム 

357.9 

銅 

324.8 

亜鉛 

213.9 

モリブデン 

313.3 

銀 

328.1 

カドミウム 

228.8 

マンガン 

279.5 

金 

242.8 

アルミニウム 

309.3 

鉄 

248.3 

ベリリウム 

234.9 

インジウム 

325.6 

コバルト 

240.7 

マグネシウム 

285.2 

タリウム 

276.8 

ニッケル 

232.0 

(5) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料100gを平底蒸発皿に1gのけたまではかりとり,加熱板上で蒸発乾固し,冷却する。 

(b) 蒸発残留物に硝酸 (1mol/l)(2)5mlを加え,加熱して溶かす。 

(c) 冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れ,少量の水で蒸発皿を洗い,洗液も試験管

に入れる。水を10mlの標線まで加え,よく振り混ぜる(A液)(リチウム,カリウム,銅,銀,金,

ベリリウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,インジウム,タリウ

ム,鉛,バナジウム,クロム,モリブデン,マンガン,鉄,コバルト及びニッケル測定用)。 

(d) A液1mlを目盛付試験管に正確にとり,水を10mlの標線まで加えてよく振り混ぜる(B液)(ナト

リウム,マグネシウム及びカルシウム測定用)。 

(e) A液,B液の一定量をプッシュボタン式液体用微量体積計を用い,目的元素の条件に設定した電気

加熱方式原子吸光分析装置に導入し,各元素の分析線波長における指示値を読み取る。 

(f) 空試験は,同様に(b)〜(e)の操作を行って指示値を読み取り,この指示値を用いて(e)で得た指示値を

補正する(この場合,加熱操作は行わなくてよい)。 

(g) 各元素の標準液をプッシュボタン式液体用微量体積計を用いて,段階的に数個の目盛付試験管にと

り,硝酸 (1mol/l)(2)5mlを加え,水を10mlの標線まで加えてよく振り混ぜた後,(e)の操作を行う。

この指示値を(f)で得た空試験の指示値で補正した後,元素の質量 (mg) と指示値との関係線を作成

し,検量線とする。検量線は,試料測定時に作成する。 

注(2) 金の定量の場合には,硝酸 (1mol/l) 5mlに代えて王水1mlを用いる。 

(6) 計算 各元素の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。 

6

10

×

=SV

C

ここに, C: 元素の含有率 (ppb) 
 

V: 検量線から求めた元素の質量 (mg) 

S: 試料の質量 (g) 

4.9.2 

誘導結合プラズマ発光分光分析法 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に硝酸を加えて加熱して溶かし,水で一定量に薄めて誘導結合

プラズマ発光分光分析装置に導入し,発光強度を測定して各元素の含有量を求める。 

測定する元素は,リチウム,銅,ベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリ

ウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,チタン,ジルコニウム,バナジウム,モリブデン,マンガ

ン,鉄及びコバルトの17元素とする。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硝酸 (1mol/l) 4.9.1(2)(a)による。 

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) 塩酸 (1mol/l) 塩酸(1)を用いて調製する。 

(c) 標準液 4.9.1(2)(c)による。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置 

(b) 共通すり合わせ三角フラスコ 呼び容量200mlのもの。 

(c) 平底蒸発皿 4.9.1(3)(b)による。 

(d) 加熱板 4.9.1(3)(c)による。 

(e) 目盛付試験管 容量20mlの合成樹脂製のもので,20mlの標線における体積を確認して用いる。 

(f) プッシュボタン式液体用微量体積計 4.9.1(3)(e)による。 

(4) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置の操作条件 操作条件は,JIS K 8007の9.(3.2)による。 

(a) 分析線波長 表3による。 

表3 分析線波長 

単位 nm 

リチウム 

670.784 

バリウム 

455.404 

バナジウム 

311.071 

銅 

324.754 

亜鉛 

213.856 

モリブデン 

379.825 

ベリリウム 

313.042 

カドミウム 

228.802 

マンガン 

257.610 

マグネシウム 

279.553 

アルミニウム 

396.153 

鉄 

259.940 

カルシウム 

393.367 

チタン 

334.941 

コバルト 

238.892 

ストロンチウム 407.771 

ジルコニウム 

343.823 

(5) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料100〜200gを共通すり合わせ三角フラスコ200mlに1gのけたまではかりとり,数回に分けて

平底蒸発皿に移し入れ,加熱板上で蒸発する。最後に,共通すり合わせ三角フラスコ内を少量の水

で洗い,洗液も平底蒸発皿に入れ,蒸発乾固し,冷却する。 

(b) 蒸発残留物に硝酸 (1mol/l)(3)5mlを加えて加熱して溶かす。 

(c) 冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れ,蒸発皿を少量の水で洗い,洗液も目盛付

試験管に入れ,水を20mlの標線まで加えてよく振り混ぜる。 

(d) この溶液を,誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し,発光強度を測定する。 

(e) 空試験は,同様に(b)〜(d)の操作を行って発光強度を測定し,この発光強度を用いて(d)で得た発光

強度を補正する(この場合,加熱操作は行わなくてよい)。 

(f) 各元素の標準液をプッシュボタン式液体用微量体積計を用いて,段階的に数個の目盛付試験管にと

り,硝酸 (1mol/l)(3)5mlを加え,水を20mlの標線まで加えてよく振り混ぜた後,(d)の操作を行う。

この発光強度を(e)で得た空試験の発光強度で補正した後,各元素の質量 (mg) と発光強度との関係

線を作成し,検量線とする。 

注(3) チタンの定量の場合には,硝酸 (1mol/l) 5mlに代えて塩酸 (1mol/l) 5mlを用いる。 

(6) 計算 各元素の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。 

6

10

×

=SV

C

ここに, C: 元素の含有率 (ppb) 
 

V: 検量線から求めた元素の質量 (mg) 

S: 試料の質量 (g) 

4.9.3 

誘導結合プラズマ質量分析法 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固し,蒸発残留物に硝酸を加えて加熱して溶かし,水で定量に薄めて誘導結合プ

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ラズマ質量分析装置に導入し,信号強度を測定して各元素の含有量を求める。 

測定する元素は,リチウム,銅,銀,金,ベリリウム,マグネシウム,ストロンチウム,バリウム,

亜鉛,カドミウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,タリウム,チタン,ジルコニウム,すず,

鉛,バナジウム,ひ素,アンチモン,ビスマス,クロム,モリブデン,マンガン,コバルト及びニッ

ケルの27元素とする。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硝酸 (1mol/l) 4.9.1(2)(a)による。 

(b) 塩酸 (1mol/l) 4.9.2(2)(b)による。 

(c) 王水 4.9.1(2)(b)による。 

(d) 標準液 4.9.1(2)(c)による。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 誘導結合プラズマ質量分析装置 

(b) 平底蒸発皿 4.9.1(3)(b)による。 

(c) 目盛付試験管 4.9.1(2)(d)による。 

(d) プッシュボタン式液体用微量体積計 4.9.1(3)(e)による。 

(4) 誘導結合プラズマ質量分析装置の操作条件 操作条件は,JIS K 8007の9.(4.2)による。 

(a) 測定質量数 表4による。 

表4 測定質量数[質量/電荷数 (m/z)] 

リチウム 

カドミウム 

114 

バナジウム 

51 

銅 

63 

アルミニウム 

27 

ひ素 

75 

銀 

107 

ガリウム 

69 

アンチモン 

121 

金 

197 

インジウム 

115 

ビスマス 

209 

ベリリウム 

タリウム 

205 

クロム 

52 

マグネシウム 

24 

チタン 

48 

モリブデン 

98 

ストロンチウム 88 

ジルコニウム 

90 

マンガン 

55 

バリウム 

138 

すず 

120 

コバルト 

59 

亜鉛 

66 

鉛 

208 

ニッケル 

58 

(5) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料100gを平底蒸発皿に1gのけたまではかりとり,加熱板上でほとんど蒸発した後水浴上で蒸発

乾固し,冷却する。 

(b) 蒸発残留物に硝酸 (1mol/l)(4)5mlを加え,加熱して溶かす。 

(c) 冷却した後,少量の水とともに目盛付試験管に移し入れ,平底蒸発皿を少量の水で洗い,洗液も目

盛付試験管に入れ,水を10mlの標線まで加えてよく振り混ぜる。 

(d) 誘導結合プラズマ質量分析装置に導入し,信号強度を測定する。 

(e) 空試験は,同様に(b)〜(d)の操作を行って信号強度を測定し,この信号強度を用いて(d)で得た信号

強度を補正する(この場合,加熱操作は行わなくてよい)。 

(f) 各元素の標準液をプッシュボタン式液体用微量体積計を用いて段階的に数個の目盛付試験管にとり,

硝酸 (1mol/l)(4)5mlを加え,水を10mlの標線まで加えてよく振り混ぜた後,(d)の操作を行う。この

信号強度を,(e)で得た空試験の信号強度で補正した後,各元素の質量 (mg) と信号強度との関係線

を作成し,検量線とする。検量線は,試料測定時に作成する。 

注(4) チタン,すずの定量の場合には,硝酸 (1mol/l) 5mlに代えて,塩酸 (1mol/l) 5mlを用いる。金の

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

定量の場合には,硝酸 (1mol/l) 5mlに代えて,王水1mlを用いる。 

(6) 計算 各元素の含有率 (ppb) は,次の式によって算出する。 

6

10

100×

=V

C

ここに, 

C: 元素の含有率 (ppb) 

V: 検量線から求めた元素の質量 (mg) 

100: 試料の質量 (g) 

4.10 アンモニウム (NH4) 

(1) 要旨 試料に水酸化ナトリウム溶液を加えて強塩基性とした後,水蒸気蒸留し,留出液にナトリウム

フェノキシド溶液と次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて生じるインドフェノール青の吸光度を測定し

てアンモニウムの含有量を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 硫酸 (1+5) JIS K 8001の4.1に規定するもの。 

(b) 水酸化ナトリウム溶液 (500g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム52.7gを水70mlに溶かし,

10分間煮沸した後冷却し,水を加えて全量を100mlにする。 

(c) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素約1%) JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(d) ナトリウムフェノキシド溶液 JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

(e) アンモニウム標準液 (0.01mgNH4/ml) JIS K 8001の4.3(1)に規定するもの。 

(f) メチルレッド−メチレンブルー溶液 JIS K 8001の4.4に規定するもの。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 水蒸気蒸留装置 水蒸気蒸留装置の一例を,図2に示す。 

(b) 分光光度計 

(c) 吸収セル 光路長10mmのもの。 

(d) ビーカー 呼び容量500mlのもの。 

(e) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する呼び容量50mlのもの。 

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2 水蒸気蒸留装置(一例) 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) ビーカー500mlに水100mlを入れ,試料160gをはかり入れる。メチルレツド−メチレンブルー溶液

約0.2mlを加えた後,冷却しながら水酸化ナトリウム溶液 (500g/l) を液の色が緑になるまで加えた

後,蒸留フラスコGに移し入れ装置を組み立てる。 

(b) 共栓付メスシリンダーMに,硫酸 (1+5) 2ml及び水18mlを入れ逆流止めJの先端を浸す。 

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K 9902-1994  

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(c) 水酸化ナトリウム溶液 (500g/l) 10mlを注入漏斗Dから加え,漏斗を水で洗いすり合せコックを閉じ

る。 

(d) 蒸留フラスコGと水蒸気発生フラスコAを加熱し沸騰させ,Aで発生した水蒸気をGに送り込み

水蒸気蒸留を行う。留出速度は,3〜5ml/minとし,初留180mlをとり,水を加えて全量を200mlに

する。 

(e) (d)の液25mlを全量フラスコ50mlに正確にとり,ナトリウムフェノキシド溶液4mlを加えて振り混

ぜた後,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素約1%)2.5mlを加え,水を標線まで加えて振り混ぜ,

液温を20〜30℃に保って約30分間放置する。 

(f) 別に,4個の全量フラスコ50mlにアンモニウム標準液 (0.01mgNH4/ml) 0,0.5,1,2mlをとり,硫

酸 (1+5) 0.25mlと水20mlを加え,ナトリウムフェノキシド溶液4mlを加えて振り混ぜた後,次亜

塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素約1%)2.5mlを加え,水を標線まで加えて振り混ぜ,液温を20

〜30℃に保って約30分間放置する。 

(g) それぞれの溶液の一部を吸収セルにとり,水を対照液として波長630nm付近の吸光度を測定する。 

(h) 試料側の吸光度からアンモニウム標準液 (0.01mgNH4/ml) 0mlのものの吸光度を差し引いて試料側

の吸光度を求める。 

(i) アンモニウム標準液 (0.01mgNH4/ml) 0.5,1,2mlのものの吸光度からアンモニウム標準液 

(0.01mgNH4/ml) 0mlのものの吸光度を差し引いて,アンモニウムの質量 (mg) と吸光度との関係線

を作成し,検量線とする。 

(5) 計算 アンモニウムの含有率 (ppm) は,次の式から求める。 

1000

200

25

160

×

×

=

A

C

ここに, 

C: アンモニウムの含有率 (ppm) 

A: 検量線から求めたアンモニウムの質量 (mg) 

160: 試料の質量 (g) 

5. 容器 ポリエチレン容器又は塩酸に侵されず,品質を損わない気密容器とする。 

6. 取扱い上の注意事項 取扱いは,JIS K 8007の7.に規定するクリーンルーム及びクリーンベンチ内で

行うのが望ましい。 

7. 表示 容器には,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 名称 “高純度試薬”及び“塩酸”の文字 

(2) 化学式,式量 

(3) 品質(濃度) 

(4) 保証期限(年月)又は製造後の保証期間(保証期間の場合は,製造年月を記載する。) 

(5) 内容量 

(6) 製造番号 

(7) 製造業者名又はその略号 

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K 9902-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付表1 引用規格 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0970 プッシュボタン式液体用微量体積計 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8007 高純度試薬試験方法通則 

JIS K 8102 エタノール (95)[エチルアルコール (95)](試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8506 臭化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8732 二硫化炭素(試薬) 

JIS K 8800 フェノールレッド(試薬) 

JIS K 9901 高純度試薬−硝酸 

JIS R 1302 化学分析用磁器蒸発ざら 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製化学用体積計 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

川 瀬   晃 

社団法人日本分析化学会 

細 川 幹 夫 

通商産業省基礎産業局生物化学産業課 

○ 地 崎   修 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

(分科会長) 

○ 久保田 正 明 

工業技術院化学技術研究所化学標準部 

○ 喜多川   忍 

通商産業検査所化学部化学標準課 

藤 貫   正 

社団法人日本分析化学会 

飯 島 弘 淳 

財団法人化学品検査協会 

中 村   靖 

日本鉱業株式会社 

○ 池 田 久 幸 

社団法人日本分析機器工業会 

坂 本   勉 

オルガノメンテナンスサービス株式会社 

○ 中 村   穰 

日本無機薬品協会 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

○ 芝 山   正 

関東化学株式会社 

○ 飯 岡 寛 一 

柳島製薬株式会社 

○ 足 立 一 雄 

株式会社三共化学工業所 

○ 北 田 佳 伸 

和光純薬工業株式会社 

○ 黒 瀬 正 守 

株式会社松野園製薬所 

村 松   潔 

住友化学工業株式会社 

猪 子 正 憲 

鶴見曹達株式会社 

(関係者) 

吉 迫   守 

多摩化学工業株式会社 

中 野 忠 男 

関東化学株式会社 

(事務局) 

大 越 市 郎 

日本試薬連合会 

○印は分科会委員を兼任