>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 K

9801

-1993

大腸菌 DNA ポリメラーゼⅠ(試薬)

DNA Polymerase

Ⅰ (E. coli)

1.

適用範囲  この規格は,試薬として用いる大腸菌 DNA ポリメラーゼ I(以下,DNA ポリメラーゼ I

という。

)について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,付表1に示す。

2.

国際生化学連合  (International Union of Biochemistry)  勧告の DNA ポリメラーゼ I の酵素番号

は,EC 2.7.7.7 である。

2.

共通事項  この規格に共通する事項は,JIS K 8001 及び JIS K 8008 による。

なお,試薬,水及び溶液に接する器具の微生物は,滅菌又は除去する。

3.

性質  DNA ポリメラーゼ I は,酵素活性をもつ高分子物質及び安定化剤を含む無色透明な溶液である。

4.

品質  品質は,5.によって試験し,次の表 の規定に適合しなければならない。

表 1  品質

項目

品質

活性度

測定値表示記載

非特異的 DNA 加水分解酵素

認めない。

5.

試験方法  試験方法は,JIS K 8008 の 4.2(酵素活性試験)によるほか,次のとおりとする。

5.1

活性度  DNA ポリメラーゼ I の活性度は,Poly (dA)  ・ (dT) 合成 DNA を,鋳型プライマーとして用

い,37℃,pH7.4 において 30 分間の反応で 10nmol のチミジン-三りん酸を酸不溶性沈殿物に取り込む活性

を 1 ユニット (U) とする。

(1)

試薬

(a)  1mol/l

りん酸カリウム緩衝液 (pH7.4)   JIS K 9007 に規定するりん酸二水素カリウム 130.09g を水

に溶かし,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ標線に合わせたもの(A 液)と,JIS K 9017 に規定す

るりん酸水素二カリウム 174.18g を水に溶かして 1 000ml としたもの(B 液)を混合し,JIS Z 8802

に規定する pH 計を用いて pH7.4 に調整する。

参考  A 液と B 液を混合し,pH を調整するとき,混合比約 3 : 7 で pH7.4 になる。

(b)  1mol/l

塩化マグネシウム溶液  JIS K 8159 に規定する塩化マグネシウム六水和物 203.30g を水に溶

かして 1 000ml とする。

(c)  2-

メルカプトエタノール溶液などの還元剤  純度 99%以上のもの(たん白質研究用特性試薬)を水

で希釈して 1mol/とする。


2

K 9801-1993

(d)  1mol/l

デオキシアデノシン-5

-三りん酸又はそのナトリウム塩 (dATP)    dATP 10µmol を水にかし

て 10ml とする。

(e)  1mol/l

チミジン-5

-三りん酸又はそのナトリウム塩 (TTP)    TTP10µmol を水に溶かして 10ml とす

る。

(f)

ポリデオキシアデニル・チミジル酸ナトリウム塩 [poly (dA)  (dT)]   poly (dA)  ・ (dT) を,トリ

ス緩衝液(

1

)

に溶かして 5A

260

ユニット/ml(

2

)

とする。

(

1

)

トリス緩衝液  JIS K 9704に規定する2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1, 3-プロパンジオール[ト

リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]121.14g をはかりとり,水に溶かし,JIS K 8180に規

定する塩酸を加えて JIS Z 8802に規定する pH 計を用いて pH8.0に調整し,

更に水を加え,

1 000ml

とする(A 液)

JIS K 8576

に規定する水酸化ナトリウムを加えて JIS Z 8802 に規定する pH 計を用いて pH8.0

に調整し,更に水を加え,1 000ml とする(B 液)

A

液 1ml,B 液 50

µl,(c)の 1mol/のメルカプトエタノール 100µl,水 8.85ml を加えて 10ml

としたものをトリス緩衝液とする。

(

2

) 1A

260

ユニットは,20℃で光路長 10mm の吸収セルを用いて 1ml のりん酸緩衝液に懸濁した試料

の 260nm の吸光度を 1 とする。

(g)

[メチル-

3

H

]チミジン 5

-三りん酸 ([

3

H] TTP) 

又は[メチル-

3

H

]アデニン 5

-三りん酸 ([

3

H] ATP) 

エタノール/水 (1 : 1) 溶液  1.5∼2.2TBq/nmol のもの。

(h)

トリクロロ酢酸溶液 (100g/l)    JIS K 8667 に規定するトリクロロ酢酸 10g を水に溶かして 100ml と

する。

(i)

反応停止液  JIS K 8667 に規定するトリクロロ酢酸 10g 及び JIS K 8785 に規定する二りん酸ナトリ

ウム十水和物 2.23g を水に溶かして 100ml とする。

(j)

液体シンチレーション計測用可溶化剤  1中に PPO (2,5-diphenyloxazole) 4g 及び POPOP [1,4-bis-

(5-phenyloxazole) -benzen] 0.1g

が含まれているトルエン(純度 95%)溶液。

(k)

エタノール (95)    JIS K 8102 に規定するもの。

(2)

装置及び器具

(a)

試験管

(b)

恒温水槽

(c)

ガラス繊維ろ紙  円形で,直径が 2.1cm,厚さが 0.26mm,ほうけい酸ガラス製のもの。

(d)

ろ紙用吸引ろ過器

(e)

液体シンチレーション計数器  JIS K 8008 の 4.1.16(液体シンチレーション計数器法による試験法)

による。

(f)

液体シンチレーション計数器測定用バイアル

(g)

赤外線ランプ

(3)

操作  操作は,次のとおりとする。

(3.1)

次の試薬を混合したものに,水を加え,10ml の溶液を作る。

(a)

りん酸カリウム緩衝液 (pH7.5±0.1)    670

µl

(b)

塩化マグネシウム溶液  65±2

µl

(c)  2-

メルカプトエタノール  10

µl

(d)

デオキシアデノシン 5

-三りん酸 (dATP)   33±1µl


3

K 9801-1993

(e)

チミジン 5

′三りん酸 (TTP)   33±1µl

(f)  5A260

ユニット/ml ポリデオキシアデニル・チミジル酸 [poly (dA)  (dT)]   280

µl

(g)

[メチル-

3

H

]チミジン 5

-三りん酸 ([

3

HTTP]) (

3

)

又は[メチル-

3

H

]アデニン 5

-三りん酸 ([

3

HATP]) 

(

3

)

(

3

) 65MBq

相当の放射能活性を示す量

(3.2)  (3.1)

の溶液 300

µl を試験管に入れる。

(3.3)

これを 37℃の恒温槽に入れ,5 分間保った後,DNA ポリメラーゼ I を加える。

(3.4) 37.0

±0.1℃で更に 30 分間保つ。

(3.5)  (1)(i)

の反応停止液 2ml を加える。

(3.6)

試験管を 4±1℃で 15 分間保つ。

(3.7)

反応液をガラス繊維ろ紙でろ過する。

(3.8)

トリクロロ酢酸溶液 (100g/l) 5ml ずつでろ紙を 6 回洗浄する。

(3.9)

エタノール (95) 5ml ずつでろ紙を 3 回洗浄する。

(3.10)

ろ紙を赤外線ランプに当てて乾燥させる。

(3.11)

乾燥したろ紙の放射線の測定は,JIS K 8008 の 4.1.16 による。

(4)

計算  試料の活性度[ユニット (U) /ml]は,次の式によって算出する。

2

15

30

000

1

×

×

×

=

d

b

c

A

(

4

)

ここに,

A

:  活性度 (U/ml)

b

:  全 CPM(

5

)

c

:  実測 CPM-blankCPM(

6

)

d

:  試料の量  (

µl)

(

4

) dATP

,TTP それぞれ10mmol が反応中に含まれているので2倍する。

(

5

)

全 CPM の測定方法は,次のとおりとする。

(3.1)

の溶液 200

µl を JIS K 0970 に規定するプッシュボタン式液体微量体積計でガラス繊維ろ

紙に吸わせるように塗る。ろ紙を乾燥させた後,(3.10)(3.11)と同じ操作を行う。

(

6

) blankCPM

の測定方法は,次のとおりとする。

(3.3)

で DNA ポリメラーゼ I の溶液試料を加えずに,それ以外は(3)と同様の操作を行う。

5.2

非特異的 DNA 加水分解酵素  DNA ポリメラーゼ I の反応を妨害する非特異的 DNA 加水分解酵素を

電気泳動法によって検出する。

(1)

試薬

(a)  1mol/l

りん酸カリウム緩衝液 (pH6.5)    5.1(1)(a)と同様に A 液,B 液を調製し,混合して pH を 6.5

に調整する。

(b)  1mol/l

塩化マグネシウム溶液  5.1(1)(b)による。

(c)  1mol/l2-

メルカプトエタノール  5.1(1)(c)による。

(d)

φ

X174

  DNA RFI  2 本鎖 Covalently Closed Circular Form (RFI)  を 70%以上含んでいる DNA

φ

X174

5.1(1)(f)

のトリス緩衝液に溶けているもの。

(e)

トリス・ほう酸緩衝液  JIS K 9704 に規定するトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 113g,JIS 

K 8863

に規定するほう酸 55g,JIS K 8107 に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム


4

K 9801-1993

二水和物 9.2g を水に溶かして 10とする。

(f)

アガロース  核酸電気泳動用アガロースを用いる。

(g)  1mg/ml

エチジウムブロミド溶液  エチジウムブロミド 100mg を水に溶かして 100ml とする。

備考  エチジウムブロミドには,変異原性があるとされているので,取り扱う際には,ゴム手袋を用

いるなど十分な注意が必要である。

(h)

反応停止液  ラウリル硫酸ナトリウム (SDS) 0.1g,JIS K 8844 に規定するブロモフェノールブルー

0.002g

JIS K 8295 に規定するグリセリン 5ml を加え,水を加えて 10ml にする。

(2)

装置及び器具  装置及び器具は,JIS K 8008 に規定するほか,次のとおりとする。

(a)

平板アガロースゲル電気泳動装置  サブマリン型電気泳動装置とする。

(b)

紫外線ランプ  254nm の輝光を発するもの。

(c)

カメラ及びフィルム

(d)

恒温水槽  5.1(2)(b)による。

(e)

反応容器  滅菌したマイクロチューブ (1.5ml)

(3)

操作  操作は,次のとおり行う。

(3.1)

次の試薬を混合したものに,水を加え,1 000

µl の溶液を調製する。

(a)  1mol/l

りん酸カリウム緩衝液 (pH6.5)   67

µl

(b)  1mol/l

塩化マグネシウム溶液  6.7

µl

(c)  1mol/l2-

メルカプトエタノール  1

µl

(d)

φ

X174 DNA RFI

  20

µg

(3.2)  (3.1)

の溶液 50

µl を滅菌した反応溶液に入れる。

(3.3) DNA

ポリメラーゼ I 約 10 ユニットを(3.2)に加える。

(3.4)  (3.3)

を 37℃の恒温槽に入れ 1 時間保つ。

(3.5)  (3.4)

の反応液に(1)(h)の反応停止液 5

µl を入れる。

(3.6)  1

µg/ml エチジウムブロミドを含むアガロースゲル (10g/l)  (

7

)

(3.5)の反応液を添加し電気泳動を行

う。

(

7

)

アガロースゲル (10g/l)  の調製  核酸電気泳動用アガロース3g にトリス・ほう酸緩衝液300ml

を加え溶解する。溶解したアガロース溶液に(3.6)のエチジウムブロミド溶液300

µl を加え,ゲル

作成板に流す。

(3.7)

泳動距離(原点からブロモフェノールブルーの泳動した位置)が約 5cm になるまで泳動する。

(3.8)

泳動後,ゲルを紫外線ランプで照射し,電気泳動のバンドに異常の認められないことを確認する(

8

)

(

8

)

電気泳動の結果を保存する場合には,写真を撮っておく。

6.

容器  密閉容器

7.

表示  表示は,容器に次のことを表示又は添付する(

9

)

(1)

名称  大腸菌 DNA ポリメラーゼ I 又は DNA Polymerase I (E. coli)

(2)

製造番号

(3)

製造業者名又は販売業者名

(4)

品質(活性度)

(5)

添加剤


5

K 9801-1993

(

9

)

表示は,英文によってもよい。

付表 1  引用規格

JIS K 0970

  プッシュボタン式液体用微量体積計

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8008

  生化学試薬通則

JIS K 8102

  エタノール (95) [エチルアルコール (95)]

(試薬)

JIS K 8107

  エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)

JIS K 8159

  塩化マグネシウム六水和物(試薬)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8576

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8667

  トリクロロ酢酸(試薬)

JIS K 8785

  二りん酸ナトリウム十水和物(試薬)

JIS K 8844

  ブロムフェノールブルー(試薬)

JIS K 8863

  ほう酸(試薬)

JIS K 9007

  りん酸二水素カリウム(試薬)

JIS K 9017

  りん酸水素二カリウム(試薬)

JIS K 9704

  2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1, 3-プロパンジオール[トリス(ヒドロキシメチル)アミ

ノメタン]

(試薬)

JIS Z 8802

  pH 測定方法


6

K 9801-1993

JIS K 9801

  原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

奥  山  典  生

東京都立大学理学部

増  田      優

通商産業省基礎産業局

細  川  幹  夫

工業技術院標準部

桑      克  彦

筑波大学医療技術短期大学部

田  中  秀  興

微生物工業技術研究所細胞機能部機能制御研究室

西      末  雄

化学技術研究所化学標準部

鈴  木  正  信

通商産業省通商産業検査所化学部

大  野  忠  夫

理化学研究所ジーンバンク細胞銀行

栗  原      力

財団法人化学品検査協会東京事業所

坂  田      衛

財団法人日本分析機器工業会

三  木  敬三郎

東燃株式会社総合研究所基礎研究所

角  田      勝

三菱化成株式会社ライフサイエンス室

桜  井  正  二

味の素株式会社アミノ酸部

河  崎  忠  好

ファルマシア株式会社バイオテクノロジーモレキ

ュラーセンター

堀  尾  武  一

オリエンタル酵母工業株式会社長浜生物化学研究

藤  島  鉄  郎

ヤマサ醤油株式会社研究開発本部特許情報室

竹  内  幸  夫

和光純薬工業株式会社

木  幡      守

協和発酵工業株式会社研究開発本部

第 1 分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

桜  井  正  二

味の素株式会社アミノ酸部

鈴  木  貞  夫

田辺製薬株式会社分析化学研究所事業部

宗  像  豊  尅

協和発酵工業株式会社生産計画センター

松  岡      学

日本理化学薬品株式会社研究開発本部

北  島      尚

第一化学薬品株式会社化学薬品事業部

第 2 分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

河  崎  忠  好

ファルマシア株式会社バイオテクノロジーバイオ

モレキュラーセンター

平  岡  信  次

宝酒造株式会社中央研究所バイオプロダクツセン

ター

前  川  宜  彦

東洋紡績株式会社生化学事業部

倉  橋  嘉  治

コスモバイオ株式会社営業一部

第 3 分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

桑      克  彦

筑波大学医療技術短期大学部

藤  田      剛

オリエンタル酵母工業株式会社生化学開発センタ

ー製品開発室

宗  像  豊  尅

協和発酵工業株式会社生産計画センター

友  松  保  幸

関東化学株式会社試薬事業本部学術部

第 4 分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

藤  島  鉄  郎

ヤマサ醤油株式会社研究開発本部特許情報室

宗  像  豊  尅

協和発酵工業株式会社生産計画センター

斉  藤  幹  彦

株式会社同仁化学研究所技術部


7

K 9801-1993

第 5 分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

竹  内  幸  夫

和光純薬工業株式会社

井  上      肇

ナカライテクス株式会社

斉  藤  幹  彦

株式会社同仁化学研究所技術部

高  野  虞美子

東京化成工業株式会社検査部

飯  島  弘  淳

財団法人化学品検査協会化学標準部