日本工業規格
JIS
K
9550
-1994
ポリビニルアルコール(試薬)
Polyvinyl alcohol
(-CH
2
CHOH-)
1.
適用範囲 この規格は,試薬として用いるポリビニルアルコールについて規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0067
化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0117
赤外分光分析方法通則
JIS K 8001
試薬試験方法通則
2.
共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001 による。
3.
種類 特級
4.
性質 ポリビニルアルコールは,次の性質を示す。
(1)
性状 ポリビニルアルコールは,白〜うすい黄色の粒又は粉末で,水にやや溶けやすく,エタノール
及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。
(2)
定性方法 試料の赤外吸収スペクトルを JIS K 0117 によって測定すると,波数 3 370cm
-1
,2 930cm
-1
,
1 730cm
-1
,1 430cm
-1
,1 370cm
-1
,1 240cm
-1
,1 090cm
-1
及び 850cm
-1
付近に主な吸収を認める。この場
合,試料調製は JIS K 0117 の 6.2(3)(フィルム法)による。赤外吸収スペクトルの一例を
図 1 に示す。
2
K 9550-1994
図 1 赤外吸収スペクトルの一例
5.
品質 品質は,6.によって試験し,表 1 に適合しなければならない。
表 1 品質
項目
規格値
水溶状
試験適合
乾燥減量 (105℃) 10.0%以下
強熱残分(硫酸塩) 1.0%以下
吸光分析適合性
試験適合
けん化度 78〜82mol%
6.
試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1)
水溶状
試料 0.10g+水 (→20ml) →よくかき混ぜる……澄明[溶液は(4)の試験に用いる]
。
(2)
乾燥減量 (105℃) 10.0%以下
JIS K 0067
の 4.1.4(1)(第 1 法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。試料 1.0g(0.1mg のけたま
ではかる)を用いて 105℃で 3 時間乾燥し,減量 100mg 以下。
(3)
強熱残分(硫酸塩) 1.0%以下
JIS K 0067
の 4.4.4(4)(第 4 法 硫酸塩として強熱する方法)(4.2)による。試料 1.0g 及び硫酸 1ml
を用いて操作し,残分 10mg 以下。
(4)
吸光分析適合性
試料側溶液 I:すず標準液(
1
) (0.02mgSn/ml) 2ml
+塩酸(1+11)1.5ml+塩化アンモニウム 1g+くえん酸
溶液 (100g/l) 5ml+(1)の溶液 0.5ml+水 (→40ml)。
3
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試料側溶液 II:すず標準液 (0.02mgSn/ml) 2ml+塩酸(1+11)1.5ml+塩化アンモニウム 1g+くえん酸
溶液 (100g/l) 5ml+(1)の溶液 5ml+水 (→40ml)。
空試験溶液:(1)の溶液を用いないで試料側溶液 I と同様に操作する。
操作:試料側溶液 I,試料側溶液 II 及び空試験溶液それぞれに,+フェニルフルオロン・メタノー
ル溶液 (0.1g/l)(
2
)5ml
+水 (50ml) →30 分間放置……試料側溶液 I 及び試料側溶液 II は空試験溶液と比
べて黄みの赤が現れ,透明となる。
注(
1
)
すず標準液 (0.02mgSn/ml) の調製 金属すず0.100g+硫酸2.5ml→加熱して溶かす+硫酸7.5ml
→全量フラスコ50ml に入れる→水を標線まで加える→その5ml(正確にとる)→全量フラスコ
500ml
に入れる+硫酸1ml+水4ml+硫酸(1+2)150ml→水を標線まで加える。
(
2
)
フェニルフルオロン・メタノール溶液 (0.1g/l) の調製 フェニルフルオロン 0.010g+メタノー
ル 10ml+塩酸(1+2)3ml+メタノール (→100ml) →必要ならばろ過→ろ液を用いる。
(5)
けん化度 78〜82mol%
(a)
操作 試料 0.50g
(0.1mg のけたまではかる)
→共通すり合せ三角フラスコ 300ml に入れる+水 100ml
→約 60℃に加熱して溶かす→冷却+0.2mol/l 水酸化ナトリウム溶液(
3
)25ml
(正確にとる)→2 時間
放置+0.1mol/l 硫酸(
3
)25ml
(正確にとる)→0.1mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定(指示薬:フェノ
ールフタレイン溶液)
(滴定量 a ml)
。
別に,同条件で空試験を行う(滴定量 b ml)
。
(b)
計算
A
=0.008 609× (a
−
b)
×f
S
A
B
100
×
=
B
B
A
S
A
A
C
4
420
.
0
09
.
86
05
.
44
05
.
44
09
.
86
100
09
.
86
−
=
−
+
×
=
D
=100−C
ここに,
A
:
残存酢酸ビニルの含有量 (g)
B
:
残存酢酸ビニルの含有率 (%)
C
:
残存酢酸ビニルの含有率 (mol%)
D
:
けん化度 (mol%)
S
:
はかりとった試料の質量 (g)
f
:
0.1mol/l
水酸化ナトリウム溶液のファクター
0.008 609
:
0.1mol/l
水酸化ナトリウム溶液 1ml の酢酸ビニル相当量 (g)
86.09
:
酢酸ビニルの式量
44.05
:
ビニルアルコールの式量
0.420 4
:
05
.
44
100
09
.
86
−
注(
3
)
0.1mol/l
硫酸のファクターは,0.2mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクターより大きくなければ
ならない。
7.
容器 気密容器とする。
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8.
表示 容器には,次の事項を表示しなければならない。
(1)
名称
ポリビニルアルコール
及び
試薬
の文字
(2)
種類
(3)
化学式
(4)
内容量
(5)
製造番号
(6)
製造業者名又はその略号
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原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久保田 正 明
物質工学工業技術研究所計測化学部
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
津 田 博
通商産業省機械情報産業局計量行政室
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
喜多川 忍
通商産業検査所化学部化学標準課
野々村 誠
都立工業技術センター無機化学部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
石 橋 無味雄
厚生省国立衛生試験所
川 瀬 晃
社団法人日本分析化学会
柳 瀬 斉 彦
社団法人日本化学工業協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
鶴 田 利 行
硫酸協会
中 村 靖
日本鉱業協会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社
中 村 穣
森田化学工業株式会社
山 岡 宏
片山化学工業株式会社
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
山 田 和 夫
関東化学株式会社
(事務局)
平 井 信 次
日本試薬連合会