サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 8819:2017  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 3 

4.1 性状 ···························································································································· 3 

4.2 定性方法 ······················································································································ 3 

5 品質······························································································································· 3 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 濃度(HF) ·················································································································· 4 

6.3 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 4 

6.5 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 5 

6.6 硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) ··················································································· 6 

6.7 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 7 

6.8 銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びひ素(As) ····································································· 8 

6.9 ひ素(As) ·················································································································· 10 

6.10 ヘキサフルオロけい酸(H2SiF6) ··················································································· 12 

7 容器······························································································································ 13 

8 表示······························································································································ 13 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 14 

K 8819:2017  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8819:2007は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8819:2007によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8819:2017 

ふっ化水素酸(試薬) 

Hydrofluoric acid 

HF  FW:20.01 

序文 

この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: 

Specifications−Second series R67 Hydrofluoric acidを基とし,技術の進歩を反映し,技術的内容を変更して

作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるふっ化水素酸について規定する。 

警告1 ふっ化水素酸は,有害なので特に蒸気を吸入しないようにし,また,粘膜及び皮膚に付着し

ないようにする。樹脂製手袋を使用する場合,空気で膨らませた状態で水中で気泡が発生し

ないことを確認して使用する必要がある。また,廃液は法的規制の適用を受けるものであり,

取扱い及び廃棄には,十分注意する。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series R67 

Hydrofluoric acid(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0133 高周波プラズマ質量分析通則 

JIS K 0970 ピストン式ピペット 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬) 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8230 過酸化水素(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8529 臭素(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

JIS K 8810 1-ブタノール(試薬) 

JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

種類 

種類は,特級とする。 

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

性質 

4.1 

性状 

ふっ化水素酸は,無色の液体で,ガラスを腐食する。また,空気中で発煙し,水及びエタノール(99.5)

に極めて溶けやすい。 

4.2 

定性方法 

試料1 gを白金皿にはかりとり,水10 mL及び塩化カルシウム溶液(100 g/L)5 mLを加えると,白い沈

殿が生じ,これに酢酸1 mLを加えてもこの沈殿は溶けない。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

濃度(HF) 

質量分率 % 

46.0〜48.0 

6.2 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.3 

塩化物(Cl) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.4 

りん酸塩(PO4) 

質量分率 ppm 

0.5以下 

6.5 

硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) 

質量分率 ppm 

3以下 

6.6 

銅(Cu) 

質量分率 ppm 

0.5以下 

6.7又は6.8 

鉛(Pb) 

質量分率 ppm 

0.5以下 

6.7又は6.8 

ひ素(As) 

質量分率 ppm 

0.05以下 

6.8又は6.9 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

0.5以下 

6.7又は6.8 

ヘキサフルオロけい酸(H2SiF6) 

質量分率 % 

0.05以下 

6.10 

試験方法 

6.1 

一般事項 

一般事項は,次による。 

a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。 

c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確

認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認

して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。 

注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan 

Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標

準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所

(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市

販の認証標準液がある。 

d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の

調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。 

注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認

定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。 

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2 

濃度(HF) 濃度(HF)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS 

K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

2) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用

い,6.1 d)による。 

b) 装置 主な装置は,次による。 

自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

蓋付き白金るつぼ又は樹脂製平形はかり瓶に水5 mLを入れて,0.1 mgの桁まではかり,これに試

料2 gを入れて,0.1 mgの桁まではかる。これを水約30 mLで樹脂製ビーカーなどに洗い移し,フェ

ノールフタレイン溶液3滴を加え,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色がう

すい紅色を保つ点とする。 

または,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示薬を用いず,耐ふっ化水素酸用複合電

極などを用いて,1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,変曲点とする。 

d) 計算 濃度(HF)は,次の式によって算出する。 

100

006

020

.0

×

×

×

=

m

f

V

A

ここに, 

A: 濃度(HF)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積

(mL) 

f: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.020 006: 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するHFの質

量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

る。この場合,試料200 gをJIS H 6202に規定する白金皿にはかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mL

を用い,強熱温度は,600 ℃±50 ℃とする。 

なお,試料は白金皿の大きさに合わせ,数回に分割して加えてよい。 

6.4 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合する。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム

1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

1) 樹脂製試験管 目盛があり,キャップなどの栓ができる透明なもの。例として,容量50 mL,直径

約23 mmのもの。 

2) 共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを樹脂製試験管などにはかりとり,水を加えて20 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,樹脂製試験管などに塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mLをとり,水を加え

て20 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,

15分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

に移し,その上方又は側方から観察して濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.5 

りん酸塩(PO4) 

りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸 JIS K 8541に規定する質量分率60 %〜61 %の特級。 

2) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかり

とり,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mLを加えて溶かす(褐色ガラス製瓶に保存す

る。)。この1 mLをとり,硫酸(1+30)を加えて250 mLにする。使用時に調製する。 

なお,硫酸(1+30)の調製は,水の体積30を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する

硫酸の体積1を徐々に加える。 

3) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六アン

モニウム四水和物10.6 gをはかりとり,水70 mL及びJIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分

率28.0 %〜30.0 %)7 mLを加えて加熱しないで溶かし,水を加えて100 mLにする。これをろ過後,

ろ液に水を加え200 mLにする。さらに,硫酸(1+5)10 mLを加える。 

七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)の洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810

に規定する1-ブタノール30 mLを加え1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,1-ブタノール相と水

相とを分離する(水相を保存する。)。 

洗浄の確認試験は,洗浄操作で分離した1-ブタノール相を硫酸(1+5)15 mLで洗い,硫酸相を

除去する操作を2回行った後,1-ブタノール相に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mLを加え

30秒間振り,放置し,1-ブタノール相に青が現れないことを確認する。 

なお,確認試験で1-ブタノール相に青が現れた場合は,保存水相の洗浄及び確認試験を繰り返す。

ポリエチレン製瓶などに保存する。 

4) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に

加える。 

5) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 9007に規定するりん酸二水素

カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで混合する。

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 2)による。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

3) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料40 gを白金皿にはかりとり,硝酸0.5 mLを加え,沸騰水浴上で蒸発乾固

する。少量の水で共通すり合わせ平底試験管に洗い入れ,水を加えて20 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,硝酸0.5 mLを白金皿にとり,沸騰水浴上で蒸発乾固する。少量の水で共通すり

合わせ平底試験管に洗い入れ,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)2.0 mLを加え,水を加えて20 mL

にする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,硫酸(1+5)2.5 mL及び七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定

量用)1 mLを加えて,振り混ぜて3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 mL

を加え,振り混ぜて10分間放置する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,青を比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):質量分率0.5 ppm以下(規格値)”

とする。 

試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。 

6.6 

硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) 

硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。 

3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,

水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。 

5) 炭酸ナトリウム溶液(100 g/L) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム10 gをはかりとり,水を加

えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

6) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム

1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b) 2)による。 

2) 水浴 6.5 b) 2)による。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料20 gを耐熱性の樹脂製ビーカーなどにはかりとり,過酸化水素1 mL及び

炭酸ナトリウム溶液(100 g/L)0.1 mLを加え,沸騰水浴上で蒸発乾固する。これに塩酸(2+1)0.5 

mLを加え,再び沸騰水浴上で蒸発乾固した後,水5 mL及び塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水で共通

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

すり合わせ平底試験管に洗い入れ,水を加えて25 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,過酸化水素1 mL,炭酸ナトリウム溶液(100 g/L)0.1 mL及び塩酸(2+1)0.5 mL

を耐熱性の樹脂製ビーカーなどにとり,沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)0.3 mL,硫酸

塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)6.0 mLを加え,水で共通すり合わせ平底試験管に洗い入れ,水を加

えて25 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて

振り混ぜた後,1時間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として):質量分率3 ppm

以下(規格値)”とする。試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃く

ない。 

6.7 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) 

銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+1) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積1と

を混合する。 

2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和

物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を

標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mL

を加え,更に水を標線まで加えて混合する。 

3) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを

全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて混

合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に水

を標線まで加えて混合する。 

4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄

(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶か

し,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1

+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 白金皿 6.5 b) 3)による。 

2) 水浴 6.5 b) 2)による。 

3) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。 

c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。 

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−分析種の測定波長の例 

分析種 

測定波長 nm 

銅(Cu) 

324.8 

鉛(Pb) 

283.3 

鉄(Fe) 

248.3 

d) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料50 gを白金皿又は耐熱性の樹脂製ビーカーなどにはかりとり,沸騰水浴上

又は約100 ℃の熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固した後,硝酸(1+1)1 mL及び水1 mLを加

え,沸騰水浴上又は約100 ℃の熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固する。これに硝酸(1+1)2 mL

を加え,沸騰水浴上又は約100 ℃の熱板(ホットプレート)上で加熱して溶かし,水を加えて25 mL

にする(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)2.5 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.5 mL,鉄

標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.5 mL,硝酸(1+1)2 mL及び水を加えて25 mLにする(Y液)。 

3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を

測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。 

4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値n2と比較する。 

e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.5 ppm以下(規格値),鉛(Pb):

質量分率0.5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.5 ppm以下(規格値)”とする。 

n1は,n2より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。 

6

2

1

10

000

1

×

×

×

=m

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 ppm) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

6.8 

銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びひ素(As) 

銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸(1+9) 水の体積9を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に

加える。 

2) 飽和臭素水 JIS K 8529に規定する臭素3 mL〜4 mLに水を加えて100 mLにする。激しく振り混ぜ,

放置後,上澄み液を用いる。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 硝酸(1+1) 6.7 a) 1)による。 

4) 硝酸(1 mol/L) JIS K 8541に規定する硝酸(微量金属測定用)など63.1 g(硝酸を質量分率100 %

相当として)を樹脂製の全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を標線まで加えて,混合する。  

5) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.7 a) 2)による。 

6) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.7 a) 3)による。 

background image

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.7 a) 4)による。 

8) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) 6.1 c)による。 

なお,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8044に規定する特級又は1級の

三酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mL及び水500 mLを加えて

溶かす。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mLに移し,

水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水を標線まで

加えて混合する。さらに,この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて

混合する。 

なお,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)及び塩酸(1+3)の調製は,次による。 

水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをは

かりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存す

る。 

塩酸(1+3)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混

合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 目盛付き試験管 容量20 mLのポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂製のもので,10 mLの標線

における体積を確認したもの。 

2) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。 

3) 高周波プラズマ質量分析計(ICP-MS) 装置の構成は,JIS K 0133に規定するもの。 

c) 分析種のm/z及び測定モード 分析種のm/z及び測定モードの例を表3に示す。 

なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても

よい。 

表3−分析種のm/z及び測定モードの例 

分析種 

m/z 

測定モード 

銅(Cu) 

63,65 

クールプラズマ 

鉛(Pb) 

208,206,207 

ホットプラズマ/ヘリウムガスコリジョン 

ひ素(As) 

75 

ホットプラズマ/ヘリウムガスコリジョン 

鉄(Fe) 

56,54,57 

クールプラズマ 

d) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料10 gを耐熱性の樹脂製ビーカーなどにはかりとり,硝酸(1+1)1 mL,飽

和臭素水1 mL及び硫酸(1+9)0.1 mLを加えて混合し,沸騰水浴上又は約100 ℃の熱板(ホット

プレート)上で蒸発乾固した後,硝酸(1 mol/L)5 mLを加え,蒸発しない程度に加熱する。目盛

付き試験管に移し,硝酸(1 mol/L)を加えて10 mLにする。 

2) 空試験溶液の調製は,耐熱性の樹脂製ビーカーなどに,硝酸(1+1)1 mL,飽和臭素水1 mL及び

硫酸(1+9)0.1 mLを加え,沸騰水浴上又は約100 ℃の熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固した

後,硝酸(1 mol/L)5 mLを加え,蒸発しない程度に加熱する。目盛付き試験管に移し,硝酸(1 mol/L)

を加えて10 mLにする。 

3) 検量線溶液の調製は,3本の目盛付き試験管に表4に示す標準液の体積をピストン式ピペットを用

background image

10 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

いて3段階とり,硝酸(1 mol/L)を加えて10 mLにする(それぞれ,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。 

4) ICP-MS装置の一般事項は,JIS K 0133による。 

5) ICP-MS装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,イオンカウント数を測定できる状態に

する。 

6) 試料溶液,空試験溶液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種のイオン

カウント数を測定する。 

表4−採取する標準液の体積 

標準液 

mg/mL 

採取量 μL 

Y1 

Y2 

Y3 

銅標準液(Cu) 

0.01 

250 

500 

750 

鉛標準液(Pb) 

0.01 

250 

500 

750 

ひ素標準液(As) 

0.001 

250 

500 

750 

鉄標準液(Fe) 

0.01 

250 

500 

750 

e) 計算 JIS K 0133の12.2 a)(検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を計算する。 

f) 

判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.5 ppm以下

(規格値),鉛(Pb):質量分率0.5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.5 ppm以下(規格値),

ひ素(As):質量分率0.05 ppm以下(規格値)”とする。 

計算して得られた含有率が,規格値を満足している。 

6.9 

ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 µm〜1 400 μmのもの。 

2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

3) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法

用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩

酸(ひ素分析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにする。JIS K 8580に規定する

小粒のすず2,3個を加えて,褐色ガラス製瓶に保存する。これを,使用時に水で10倍にうすめる。 

4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを

混合する。 

5) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。 

6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンで

溶かし,JIS K 8777に規定するピリジンで100 mLにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存す

る。 

7) 飽和臭素水 6.8 a) 2)による。 

8) 硝酸(1+1) 6.7 a) 1)による。 

9) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を加

background image

11 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

えて溶かし,水を加えて100 mLにする。使用時に調製する。 

10) 硫酸(1+9) 6.8 a) 1)による。 

11) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) 6.8 a) 8)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,

光路長が10 mmのもの。 

2) ひ素試験装置 例を図1に示す。 

3) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料50 gを耐熱性の樹脂製ビーカーなどにはかりとり,硝酸(1+1)4 mL,飽

和臭素水5 mL及び硫酸(1+9)5 mLを加え,沸騰水浴上で約0.5 mLになるまで濃縮する。これを

少量の水で容器の内壁を洗い,再び沸騰水浴上で約0.5 mLになるまで濃縮し,少量の水で水素化ひ

素発生瓶に洗い入れ,水を加えて20 mLにする(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,試料50 gを耐熱性の樹脂製ビーカーなどにはかりとり,ひ素標準液(As:0.001 

mg/mL)2.5 mL,硝酸(1+1)4 mL,飽和臭素水5 mL及び硫酸(1+9)5 mLを加え,沸騰水浴上

で約0.5 mLになるまで濃縮する。これを少量の水で容器の内壁を洗い,再び沸騰水浴上で約0.5 mL

になるまで濃縮し,少量の水で水素化ひ素発生瓶に洗い入れ,水を加えて20 mLにする(Y液)。 

3) 空試験溶液の調製は,樹脂製ビーカーなどに硝酸(1+1)4 mL,飽和臭素水5 mL及び硫酸(1+9)

5 mLを加え,沸騰水浴上で約0.5 mLになるまで濃縮する。少量の水で容器の内壁を洗い,再び沸

騰水浴上で約0.5 mLになるまで濃縮し,少量の水で水素化ひ素発生瓶に洗い入れ,水を加えて20 mL

にする(Z液)。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水で40 mLにす

る。これらによう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mL

を加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発

生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLをとり,

導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結する。水素化ひ素発生瓶を約25 ℃の

水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,水素化ひ素吸収管Cの上

方又は側方から観察して,赤を比較する。 

なお,必要があれば吸収セルを用い,波長519 nmにおける吸光度を,空試験溶液からのAgDDTC・

ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。 

d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率0.05 ppm以下(規格

値)”とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

background image

12 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 
 
 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

 
 
 
水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/mL)で湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 

図1−ひ素試験装置の例 

6.10 

ヘキサフルオロけい酸(H2SiF6) 

ヘキサフルオロけい酸(H2SiF6)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩化カリウム溶液(100 g/L) JIS K 8121に規定する塩化カリウム10 gをはかりとり,水を加えて

溶かし,水を加えて100 mLにする。 

2) 塩化ナトリウム溶液(50 g/L) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム5.0 gをはかりとり,水を加

えて溶かし,水を加えて100 mLにする。 

3) フェノールフタレイン溶液 6.2 a) 1)による。 

4) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) 6.2 a) 2)による。 

5) 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用

い,6.1 d)による。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のものを用いる。 

1) 白金皿 6.5 b) 3)による。 

2) 水浴 6.5 b) 2)による。 

c) 操作 操作は,排気に注意して次のとおり行う。 

試料25 gを白金皿にとり,塩化ナトリウム溶液(50 g/L)5 mLを加え,白金線でよくかき混ぜた後,

沸騰水浴上で蒸発乾固する。これに塩化カリウム溶液(100 g/L)20 mLを加え,内壁を約10 mLの水

で洗い,フェノールフタレイン溶液3滴を加える。外部から氷で0 ℃に冷却しながら,1 mol/L 水酸

化ナトリウム溶液でほとんど中和した後,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で中和する(15秒間紅色

を保つまで。)。穏やかに煮沸した後,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,うすい紅

色を保つ点とする。 

d) 計算 ヘキサフルオロけい酸(H2SiF6)は,次の式によって算出する。 

100

3

602

003

.0

1

1

×

×

×

=

m

f

V

B

ここに, 

B:ヘキサフルオロけい酸(H2SiF6)(質量分率 %) 

V1:0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の滴定量(mL) 

f1:0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター 

background image

13 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m:はかりとった試料の質量(g) 

0.003 602 3:0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するH2SiF6

の質量を示す換算係数(g/mL) 

容器 

容器は,ふっ化水素酸に侵されない気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“ふっ化水素酸”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 濃度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号 

background image

14 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 8819:2017 ふっ化水素酸(試薬) 

ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series 
R67 Hydrofluoric acid 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 

試薬として用いる
ふっ化水素酸につ
いて規定 

R67 

化学分析用試薬46品目
の仕様について規定。 

変更 

JISは1品目1規格。 

試薬の規格使用者が各規格を多く
引用しやすくするために1品目1
規格としている。 
なお,対応国際規格は25年以上見
直しをされていないため市場の実
態に合わない。国際規格の改正提
案を検討する。 

2 引用規格 

3 種類 

− 

− 

追加 

種類の項目を追加。 

JISは種類として“特級”だけな
ので,ISO規格と技術的な差異は
ない。 

4 性質 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

一般的な説明事項であり,技術上
の差はない。 

5 品質 

R67.1 

追加 
変更 

追加した項目:ひ素。 
変更した項目:重金属を銅,鉛に変
更。 

ISO規格の重金属を銅,鉛として
規格化したが,技術的な差異も軽
微である。 

6 試験方法 

R67.2 

試験用溶液を調製。 

変更 

試験ごとに試料を採取。 

技術的な差異はない。 

6.1 一般事項  JIS K 0050,JIS K 

8001,JIS R 3503及
びJIS R 3505によ
る。 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

一般的な試験及び検査方法の条件
並びに結果に関する事項であり,
技術的な差異はない。 

 
 

4

K

 8

8

1

9

2

0

1

7

background image

15 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6.2 濃度 

(HF) 

中和滴定法 

R67.3.1 

中和滴定法 

変更 

電位差滴定法を追加。 

JISは,技術的改良を行ったが,
試験結果の差異は軽微であり,
ISO規格の見直し時に,改正提案
の検討を行う予定。 

6.3 強熱残分

(硫酸塩) 

重量法 

R67.3.8 

重量法 

変更 

規格値を変更。 

技術上の差異は軽微であり,対策
は考慮しない。 

6.4 塩化物

(Cl) 

塩化銀比濁法 

R67.3.2 

塩化銀比濁法 

6.5 りん酸塩

(PO4) 

りんモリブデン酸
青法 

R67.3.4 

りんモリブデン酸青法 

6.6 硫酸塩及
び亜硫酸塩

(SO4として) 

硫酸バリウム比濁
法 

R67.3.5 

硫酸バリウム重量法 

変更 

ISO規格の重量法をJISは比濁法に
変更。 

JISは,技術的改良を行ったが,
試験結果の差異は軽微であり,
ISO規格の見直し時に,改正提案
の検討を行う予定。 

6.7 銅(Cu),
鉛(Pb)及び
鉄(Fe) 

フレーム原子吸光
法 

R67.3.6
重金属 
R67.3.7
鉄 

重金属:比色法 
鉄:o-フェナントロリン
比色法 

変更 

ISO規格の重金属をJISはフレーム
原子吸光法に変更。 

6.8 銅(Cu),
鉛(Pb),鉄

(Fe)及びひ

素(As) 

ICP質量分析法 

R67.3.6
重金属 
R67.3.7
鉄 

重金属:比色法 
鉄:o-フェナントロリン
比色法 

追加 

項目としてひ素を追加し,ICP質量
分析法による多元素同時分析を追
加。 

6.9 ひ素(As) ジエチルジチオカ

ルバミド酸銀比色
法 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

品質確保のために必要。ISO規格
の見直し時に,改正提案の検討を
行う予定。 

6.10 ヘキサ
フルオロけ
い酸(H2SiF6) 

中和滴定法 

R67.3.3 

けいモリブデン酸青比
色法 

変更 

試験方法を変更。 

JISは,技術的改良を行ったが,
試験結果の差異は軽微であり,
ISO規格の見直し時に,改正提案
の検討を行う予定。 

7 容器 

− 

− 

追加 

項目を追加。 

規格適合性を評価する関係で必要
な項目を追加。 

8 表示 

− 

− 

追加 

4

K

 8

8

1

9

2

0

1

7

background image

16 

K 8819:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD 

関連する外国規格 

ACS Reagent Chemicals: Specifications And Procedures: American Chemical Society Specifications 2005/9/15 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

4

K

 8

8

1

9

2

0

1

7