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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8698-1995 

1−ナフトール(試薬) 

1-Naphthol 

C10H8O  FW : 144.17 

1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いる1−ナフトールについて規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。 

3. 種類 特級 

4. 性質 1−ナフトールは,次の性質を示す。 

(1) 性状 1−ナフトールは,白〜明るい灰色若しくはうすい紅色の結晶又は結晶性粉末で,特異なにおい

があり,空気中で次第に着色する。エタノール及びジエチルエーテルに極めて溶けやすく,水には溶

けにくい。 

(2) 定性方法 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 300cm−1,1 600cm−1,

1 390cm−1,1 270cm−1,1 080cm−1,1 020cm−1,790cm−1及び770cm−1付近に主な吸収を認める。この

場合,試料調製はJIS K 0117の6.2(1)(錠剤法)による。赤外吸収スペクトルの一例を図1に示す。 

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K 8698-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 赤外吸収スペクトルの一例 

5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。 

表1 品質 

項目 

規格値 

純度 (GC) 

99.0%以上 

エタノール溶状 

試験適合 

融点 

95〜97℃ 

乾燥減量 

1.0%以下 

強熱残分(硫酸塩) 

0.02%以下 

ナフタレン 

0.1%以下 

2−ナフトール 

0.1%以下 

6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。 

(1) 純度 (GC)  99.0%以上 

ここで(6)及び(7)の試験も行う。 

JIS K 8001の5.32(ガスクロマトグラフ法)による。 

(a) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器 

(b) 試料溶液の調製 試料0.50g→全量フラスコ10mlに入れる+アセトニトリル8ml→溶かす→アセト

ニトリルを標線まで加える(A液)。 

A液2ml(正確にとる)(試料量0.10g)→全量フラスコ10mlに入れる+N, O−ビス(トリメチル

シリル)アセトアミド(1)2.5ml→アセトニトリルを標線まで加える(X液)。 

K 8698-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(c) 被検成分追加試料溶液の調製 ナフタレン10mg+2−ナフトール10mg+アセトニトリル (→

100ml)(B液)。A液2ml(正確にとる)→全量フラスコ10mlに入れる+B液1ml(正確にとる)(ナ

フタレン量0.1mg,2−ナフトール量0.1mg)+N, O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(1)2.5ml

→アセトニトリルを標線まで加える(Y液)。 

注(1) N, O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミドは,純度75%以上で,(d)によって試験し,ナフ

タレンの保持時間から1−ナフトールのトリメチルシリル化誘導体の保持時間の2倍の範囲に不

純物ピークがなるべくないもの。 

(d) 分析条件 

カラム 

キャピラリーカラム 

参考 キャピラリーカラムとして100%メチルシリコーン(例えばDB−1),50%メチルー50%フェニ

ルシリコーン(例えば,MPS50)などが適当である。 

カラム用管の内径,長さ及び膜厚 

0.25mm,25m,0.25μm 

設定温度 カラム槽  150〜160℃ 

試料気化室 270〜290℃ 

検出器槽  240〜260℃ 

キャリヤーガスの種類及び線速度 ヘリウム,30cm/s 

試料溶液(X液)及び被検成分追加試料溶液(Y液)の注入量 

1μl 

(e) 操作 ガスクロマトグラフを用いて試料溶液及び被検成分追加試料溶液を測定する。 

① 

純度 (GC):1−ナフトールの面積百分率を純度 (GC) の測定値とする。 

② 

ナフタレン:試料溶液(X液)及び被検成分追加試料溶液(Y液)を測定し試料溶液中の1−ナフ

トールのトリメチルシリル化誘導体のピーク面積をN1,ナフタレンのピーク面積をn1,被検成分

追加試料溶液中の1−ナフトールのトリメチルシリル化誘導体のピーク面積をN2,ナフタレンの

ピーク面積をn2とすると, 

1

1

2

2

1

1

N

n

N

n

N

n

③ 

2−ナフトール:②において,試料溶液中の2−ナフトールのトリメチルシリル化誘導体のピーク

面積をn3,被検成分追加試料溶液中の2−ナフトールのトリメチルシリル化誘導体のピーク面積

をn4とすると, 

1

3

2

4

1

3

N

n

N

n

N

n

(2) エタノール溶状 

試料2g+エタノール (99.5) (→20ml)……澄明。 

(3) 融点 95〜97℃ 

JIS K 8001の5.4(融点及び溶融範囲)による。 

(4) 乾燥減量 1.0%以下 

JIS K 0067の4.1.4(4)(第4法 減圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法)による。この場合,試料

1.0g(0.1mgのけたまではかる)を用いて18時間乾燥し,減量10mg以下。 

(5) 強熱残分(硫酸塩) 0.02%以下 

JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。試料5g及び硫酸1mlを用い,

残分1mg以下。 

K 8698-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(6) ナフタレン 0.1%以下 

(1)による。 

(7) 2−ナフトール 0.1%以下 

(1)による。 

7. 容器 遮光した気密容器とする。 

8. 表示 容器には,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 名称 “1−ナフトール”及び“試薬”の文字 

(2) 種類 

(3) 化学式,式量 

(4) 品質(純度) 

(5) 内容量 

(6) 製造番号 

(7) 製造年月又はその略号 

(8) 製造業者名又はその略号 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

久保田 正 明 

物質工学工業技術研究所計測化学部 

地 崎   修 

通商産業省基礎産業局生物化学産業課 

津 田   博 

通商産業省機械情報産業局計量行政室 

倉   剛 進 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

喜多川   忍 

通商産業検査所化学部化学標準課 

野々村   誠 

都立工業技術センター無機化学部 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

石 橋 無味雄 

厚生省国立衛生試験所 

川 瀬   晃 

社団法人日本分析化学会 

柳 瀬 斉 彦 

社団法人日本化学工業協会 

藤 貫   正 

社団法人日本分析化学会 

並 木   昭 

財団法人化学品検査協会 

鶴 田 利 行 

硫酸協会 

中 村   靖 

日本鉱業協会 

大 槻   孝 

社団法人日本鉄鋼協会 

日 暮 喜八郎 

第一化学薬品株式会社 

北 田 佳 伸 

和光純薬工業株式会社 

飯 岡 寛 一 

柳島製薬株式会社 

高 野 虞美子 

東京化成工業株式会社 

飛 田 和 彦 

米山化学工業株式会社 

山 岡   宏 

片山化学工業株式会社 

山 田 和 夫 

関東化学株式会社 

(事務局) 

平 井 信 次 

日本試薬連合会