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K 8638:2011  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法 ························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(Na2S2O3) ············································································································ 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 5 

6.4 pH(50 g/l,25 ℃) ········································································································ 6 

6.5 硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) ··················································································· 6 

6.6 硫化物(S) ·················································································································· 7 

6.7 マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) ········································································ 8 

7 容器······························································································································· 9 

8 表示······························································································································· 9 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬

協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに

よって,JIS K 8638:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成23年12月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS

マーク表示認証において,JIS K 8638:1994によることができる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

日本産業規格          JIS 

K 8638:2011 

チオ硫酸ナトリウム(試薬) 

Sodium thiosulfate(Reagent) 

Na2S2O3  FW:158.11 

序文 

この規格は,1952年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1994年に

行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるチオ硫酸ナトリウムについて規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 0970 プッシュボタン式液体用微量体積計 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬) 

JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬) 

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬) 

background image

K 8638:2011  

  

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8780 ピロガロール(試薬) 

JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8920 よう素(試薬) 

JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬) 

JIS Z 8802 pH測定方法 

種類 

種類は,一級とする。 

性質 

4.1 

性状 

チオ硫酸ナトリウムは,白い結晶性粉末又は粉末で,吸湿性があり,水に極めて溶けやすく,エタノー

ルにほとんど溶けない。 

4.2 

定性方法 

定性方法は,次による。 

a) 試料1 gに水20 mlを加えて溶かす(A液)。A液5 mlに塩酸(2+1)1 mlを加えると,二酸化硫黄を

発生し,白い濁りを生じる。 

b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,

内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水

平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端約5 mm

をA液に浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れると黄色が現れる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(Na2S2O3) 

質量分率 % 

95.0以上 

6.2 

水溶状 

試験適合 

6.3 

pH(50 g/l,25 ℃) 

6.0〜8.5 

6.4 

硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) 質量分率 % 

0.4以下 

6.5 

硫化物(S) 

質量分率 % 

0.003以下 

6.6 

マグネシウム(Mg) 

質量分率 % 

0.002以下 

6.7 

カルシウム(Ca) 

質量分率 % 

0.004以下 

6.7 

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試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(Na2S2O3) 

純度(Na2S2O3)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(1+10) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積10とを混合する。 

2) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして

100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。 

3) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱

水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に

使用する。 

4) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ

ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす

る(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。 

5) 溶存酸素を除いた水 次の5.1)〜5.5) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用い,

使用時に調製する。 

5.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フラ

スコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・

水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。 

5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。 

5.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。 

5.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。 

5.5) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立

てないように採取したもの。 

注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合があるので,

溶存酸素が除かれていることを確認する。 

6) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々

に加える。 

7) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液

の調製,標定及び計算は,次による。 

7.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ

トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ

て保存する。調製後2日間放置したものを用いる。 

7.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ

ムを用い,次のとおり行う。 

7.2.1) 認証標準物質1) のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。 

7.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,

130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。 

7.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 mlに

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0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mlを共

通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,JIS K 8913

に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ

て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,7.1) で調製した液で滴定する。

この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終

点は,液の青が消える点とする。 

別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,

硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件

で空試験を行って滴定量を補正する。 

注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単

位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を

入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説

明書に従って使用する。 

なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総

合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標

準物質生産者がある。 

7.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

100

)

(

7

566

003

.0

250

25

2

1

A

V

V

m

f

×

×

×

=

ここに, 

f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g) 

A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体

積(ml) 

V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の

体積(ml) 

0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよ

う素酸カリウムの質量(g) 

8) 0.05 mol/l よう素溶液(I:12.69 g/l) 0.05 mol/lよう素溶液の調製,標定及び計算は,次による。 

8.1) 調製 JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,水25 ml及びJIS K 8920に規定

するよう素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mlとする。これにJIS K 8180に規定する

塩酸3滴を加えて混合した後,遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。 

8.2) 標定 8.1) で調製した液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかりとり,塩酸(1+10)1 ml

を加える。指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。こ

の場合,でんぷん溶液は,終点近くで液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終点

は,液の青が消える点とする。 

8.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。 

25

1

V

f

f

×

=

ここに, 

f1: 0.05 mol/l よう素溶液のファクター 

f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

V: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の

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体積(ml) 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

試料4.5 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ250 mlに入れる。水20 mlを加えて溶かし,

更に水を標線まで加えて混合する(B液)。 

別に,コニカルビーカー200 mlなどに0.05 mol/l よう素溶液25 mlを正確にはかりとり,塩酸(1+

10)1 mlを加え,B液で滴定する。終点間際で液の色がうすい黄になったときに,指示薬としてでん

ぷん溶液約0.5 mlを加え,引き続きB液で滴定する。終点は,液の色が無色になる点とする。 

c) 計算 純度(Na2S2O3)は,次の式によって算出する。 

100

250

25

811

015

.0

×

×

×

=

V

m

f

A

ここに, 

A: 純度(Na2S2O3)(質量分率 %) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

V: B液の滴定量(ml) 

f1: 0.05 mol/l よう素溶液のファクター 

0.015 811: 0.05 mol/l よう素溶液1 mlのNa2S2O3相当質量(g) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す

る。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス

製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液 

3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。 

3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し

た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”

という。)。 

3.1.2) JCSS以外の認証標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要

な場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市

販の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外

の認証標準液など”という。)。 

3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。 

3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml

に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。 

塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)

1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置

する。 

c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

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共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。 

2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又

は側方から観察する。 

e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。 

6.4 

pH(50 g/l,25 ℃) 

pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。 

a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。 

2) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。 

3) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml

にする(必要な場合に用いる。)。溶液は,ポリエチレン製瓶などに保存する。 

4) 二酸化炭素を除いた水 次の4.1)〜4.4) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用

い,使用時に調製する。 

4.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ

ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ

ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却

したもの。 

4.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。 

4.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。 

4.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立

てないように採取したもの。 

5) pH標準液 pH標準液は,JCSSに基づくpH標準液(第2種以上のもの),JCSS以外の認証された

pH標準液又はJIS Z 8802に規定する調製pH標準液のいずれかを用いる。 

b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。 

1) 恒温水槽 25±0.5 ℃に調節できるもの。 

2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,二酸化炭素を除いた水を加えて溶か

し,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにとる。 

2) pHの測定は,JIS Z 8802の7.2(測定方法)による。この場合,液温25±0.5 ℃の恒温水槽につ(浸)

けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。 

6.5 

硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として) 

硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。 

2) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして

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100 mlにする。 

3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。 

4) 0.05 mol/l よう素溶液(I:12.69 g/l) 6.2 a) 8) による。 

5) 硫酸塩標準液 

5.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。 

5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。 

5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。 

5.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,

水を標線まで加えて混合する。 

5.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml

に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加

えて混合する。この液5 ml(試料量0.025 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,0.05 mol/l よう

素溶液を液の色がうすい黄色になるまで加え,更に塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて25 mlにす

る。 

2) 比較溶液の調製は,試料溶液の調製に用いた量の0.05 mol/l よう素溶液を液の色がうすい黄色にな

るまで,水浴上で加熱する。冷却後,水10 mlを加えた後,共通すり合わせ平底試験管に移し,硫

酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)10 ml,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて25 mlにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振

り混ぜた後,30分間放置する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩及び亜硫酸塩(SO4として):質量分率0.4 %

以下(規格値)”とする。 

試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。 

6.6 

硫化物(S) 

硫化物(S)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 酢酸鉛(II)・水酸化ナトリウム溶液 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)10 mlに生じた沈殿が溶けるまで

水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)を加える。使用時に調製する。 

1.1) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.7 gを水に溶かして

100 mlにした後,酢酸0.1 mlを加える。 

1.2) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして

100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。 

2) 溶存酸素を除いた水 6.2 a) 5) による。 

3) 硫化物標準液 

K 8638:2011  

  

3.1) 硫化物標準液(S:1 mg/ml) JIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物7.49 g(質量分率

100 %としての相当量)を水に溶かして1 000 mlにする。使用時に調製する。 

3.2) 硫化物標準液(S:0.01 mg/ml) 硫化物標準液(S:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正

確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。 

共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,溶存酸素を除いた水を加えて溶

かし,10 mlにする。 

2) 比較溶液の調製は,硫化物標準液(S:0.01 mg/ml)3.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,溶

存酸素を除いた水を加えて10 mlにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,酢酸鉛(II)・水酸化ナトリウム溶液0.3 mlを加える。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側面から観察して暗色を比較する。 

d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫化物(S):質量分率0.003 %以下(規格値)”とす

る。 

試料溶液から得られた液の暗色は,比較溶液から得られた液の暗色より濃くない。 

6.7 

マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) 

マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による(必要な場合に用いる。)。 

2) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規

定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) アンモニア水(1+10) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)の体積1と

水の体積10とを混合する。 

4) マグネシウム標準液及びカルシウム標準液 

4.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) 次のいずれかのも

のを用いる。 

4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。 

4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。 

4.1.3) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)を調製する場合 

4.1.3.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml) JIS K 8995に規定する硫酸マグネシウム七水和物10.1 g

を全量フラスコ1 000 mlにとり,塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加

えて混合する。 

4.1.3.2) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) JIS K 8617に規定する炭酸カルシウム2.50 gに水50 ml

及び塩酸(2+1)15 mlを加え,沸騰しない程度に加熱して溶かし,更に二酸化炭素を除き,

冷却する。これを全量フラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン

製瓶などに保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。 

1) プッシュボタン式液体用微量体積計 JIS K 0970に規定するもの。 

background image

K 8638:2011  

2) フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。 

3) 水浴 6.5 b) 2) による。 

c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。 

表2−分析種及び測定波長の例 

単位 nm 

分析種 

測定波長 

マグネシウム 

Mg 

285.2 

カルシウム 

Ca 

422.7 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水50 mlを加えて溶かし,ブロモチ

モールブルー溶液1滴を加え,アンモニア水(1+10)で中和した後,水を標線まで加えて混合する

(X液)。 

2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水50 mlを加えて溶かし,ブロモチ

モールブルー溶液1滴を加え,アンモニア水(1+10)で中和した後,プッシュボタン式液体用微量

体積計などを用いてマグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)40 μl,カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)

80 μlを加え,再び,アンモニア水(1+10)で中和した後,水を標線まで加えて混合する(Y液)。 

3) 空試験溶液の調製は,中和に用いたアンモニア水(1+10)を水浴上で加熱して蒸発乾固し,水を標

線まで加えて混合する(Z液)。 

4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光

度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸

光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。 

5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値からX液の指示値を

引いたn2−n1とを比較する。 

e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“マグネシウム(Mg):質量分率0.002 %以下(規格値),

カルシウム(Ca):質量分率0.004 %以下(規格値)”とする。 

n1−n3は,n2−n1より大きくない。 

注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。 

100

000

 1

1

2

3

1

×

×

×

=m

n

n

n

n

B

A

ここに, 

A: 分析種の含有率(質量分率 %) 

B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg) 

m: はかりとった試料の質量(g) 

容器 

容器は,気密容器とする。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

10 

K 8638:2011  

  

a) 日本産業規格番号 

b) 名称 “チオ硫酸ナトリウム”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造年月又はその略号 

i) 

製造業者名又はその略号