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K 8630:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 1 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 純度(HSCH2COOH) ···································································································· 3 

6.3 水溶状 ························································································································· 3 

6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.5 鉄分析適合性 ················································································································ 4 

6.6 鉄(Fe) ······················································································································ 5 

7 容器······························································································································· 5 

8 貯蔵方法························································································································· 5 

9 表示······························································································································· 5 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 8630:1994は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8630:1994を適用してもよい。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8630:2019 

メルカプト酢酸(試薬) 

Mercaptoacetic acid (Reagent) 

HSCH2COOH  FW:92.12 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いるメルカプト酢酸について規定する。 

注記 別名:チオグリコール酸,2-スルファニル酢酸 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0117 赤外分光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8202 1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物(試薬) 

JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8920 よう素(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

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K 8630:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

性質 

4.1 

性状 

メルカプト酢酸は,無色又はほとんど無色の透明な液体で,強い不快な臭いがある。水及びジエチルエ

ーテルに極めて溶けやすい。空気中で徐々に酸化し,ジスルフィドを形成する。密度は,約1.33 g/mLで

ある。 

4.2 

定性方法 

試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 098 cm-1,2 678 cm-1,2 569 cm-1,

1 716 cm-1,1 420 cm-1,1 297 cm-1,及び1 157 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,

JIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1

に示す。 

図1−赤外吸収スペクトルの例 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

純度(HSCH2COOH) 

質量分率 % 

90.0以上 

6.2 

水溶状 

− 

試験適合 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.01以下 

6.4 

鉄分析適合性 

− 

試験適合 

6.5 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.6 

K 8630:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

純度(HSCH2COOH) 

純度(HSCH2COOH)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mLを加えてか

き混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かしたもの。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所

に保存し,10日以内に使用する。 

2) 0.05 mol/L よう素溶液(I2:12.69 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム及びJIS K 8920に規

定するよう素を用いて,JIS K 8001のJA.6.4 w)(0.05 mol/L よう素溶液)に従って調製,標定及び

計算したもの。 

b) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料0.2 gを三角フラスコ100 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水20 mLを加えて混合する。 

2) 指示薬として,でんぷん溶液約0.5 mLを加え,0.05 mol/L よう素溶液で滴定する。 

3) 終点は,液の色が2分間,青を保つ点とする。 

4) 別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。 

c) 計算 純度(HSCH2COOH)は,次の式によって算出する。 

(

)

100

212

009

.0

2

1

×

×

×

=

m

f

V

V

A

ここに, 

A: 純度(HSCH2COOH)(質量分率 %) 

V1: 滴定に要した0.05 mol/L よう素溶液の体積(mL) 

V2: 空試験に要した0.05 mol/L よう素溶液の体積(mL) 

f: 0.05 mol/L よう素溶液のファクター 

m: はかりとった試料の質量(g) 

0.009 212: 0.05 mol/L よう素溶液1 mLに相当するHSCH2COOHの

質量を示す換算係数(g/mL) 

6.3 

水溶状 

水溶状の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ

ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。 

澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 

参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

とし,振り混ぜてから15分間放置する。 

c) 器具 主な器具は,次による。 

・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

d) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて混合し,水を

加えて20 mLにする。 

2) 試料溶液は,試料を混合直後に試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物など

の異物の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。 

e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。 

2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。 

6.4 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ

る。この場合,試料10 gをはかりとる。JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを用い,強熱温度は,500 ℃±

50 ℃とする。強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。残分は,6.6の試験にも用いる。 

6.5 

鉄分析適合性 

鉄分析適合性の試験方法は,次による。 

a) 試験溶液類 試験溶液類は,次のものを用いる。 

1) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と

水の体積3を混合したもの。 

2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄

(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶

かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1

+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

3) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)8.0 mLを全量フラスコ25 mLにとり,水7 mL,

塩酸(2+1)0.1 mL,試料0.10 mL及びアンモニア水(2+3)5 mLを加え,水を標線まで加えて混

合する。 

2) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)0.1 mL,試料0.10 mL及びアンモニア水(2+3)5 mLを全量フ

ラスコ25 mLにとり,水を標線まで加えて混合する。 

3) 水を対照として,試料溶液及び空試験溶液の波長535 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定

波長における吸収の測定)によって測定する。 

d) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“鉄分析適合性:試験適合(規格値)”とする。 

1) 試料溶液から得られる吸光度は,0.20以上 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 空試験溶液から得られる吸光度は,0.01以下 

6.6 

鉄(Fe) 

鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

2) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ

ウム10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

3) 塩酸(2+1) 6.5 a) 2) による。 

4) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

5) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物

0.28 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存す

る。 

6) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.5 a) 3) による。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。 

2) 水浴 6.5 b) 2) による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,6.4の残分(試料量10 g)に塩酸(2+1)1 mLを加え,水浴上で蒸発乾固する。

塩酸(2+1)5 mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。

その10 mL(試料量2.0 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて15 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,硫酸0.5 mLを熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固し,冷却後,塩酸(2+1)

1 mLを加え,水浴上で蒸発乾固する。塩酸(2+1)1 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試

験管に移し,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0 mLを加え,水を加えて15 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて5分間放置

後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び水を加

えて25 mLとし,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験

管の上方又は側方から観察して,色を比較する。 

d) 判定 試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くないとき,“鉄

(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

容器 

遮光した気密容器とする。 

貯蔵方法 

冷所に保存する。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

K 8630:2019  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“メルカプト酢酸”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式及び式量 

e) 純度 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造年月又はその略号 

i) 

製造業者名又はその略号